29・30・31―59・60・61 薛濤 《試新服裁制初成三首 其一》
節度使から、薛濤ら營枝の何人かが、美しい布地をもらった。薛濤はその布で新しい着物をつくって、そのお礼と感激をこの詩によみこんだもの。

2013年5月13日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 


試新服裁制初成三首 其一 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-164-36-#29   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2367

(一)試新服裁制初成三首 其一
bijo04(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。)
節度使から、薛濤ら營枝の何人かが、美しい布地をもらった。薛濤はその布で新しい着物をつくって、そのお礼と感激をこの詩によみこんだもの。

紫陽宮里賜紅綃,仙霧朦朧隔海遙。
仙人の紫陽宮(ここでは剣南西川節度使署を示す)から、あかいあやぎぬを頂いたのです。その宮殿は、海路はるかに仙霧のたちこめたあたりにあり、俗人の容易には出入できぬ尊いところです。ちょうどあの月宮殿にもたとえるべきところで、月のなかの兎は、この衣をつくるために、やわらかい毛をとられたにちがいない。
霜兔毳寒冰繭淨,嫦娥笑指織星橋。

月の兎はかわいそうに、いかにも清らかで、俗塵のかけらさえも見られない寒がっていることだろう。わたしは毛で織られたこの衣はおかげでさむくはないのです。月宮殿の女仙嫦娥も、さあさ急いで織ったがよいぞと、年一度の天の川の上にかかる織星橋の方を指さして、笑いながら、天上の織女星にお命じになり、そのようにして織りなされたものであろう。

(二)
九氣分為九色霞,五靈仙馭五云車。
春風因過東君舍,偷樣人間染百花。

(三)
長裾本是上清儀,曾逐群仙把玉芝。
每到宮中歌舞會,折腰齊唱步虛詞。


(新服の裁制を試み初めて成る三首其の一)
紫陽【しよう】宮里【きゅうり】紅綃【こうしょう】を賜う,仙霧【せんむ】朦朧【もうろう】海を隔てて遙かなり。
霜兔【そうと】毳【ぜい】寒うして冰繭【ひょうけん】淨し,嫦娥【じょうが】笑って指さす織星の橋。


(一)『試新服裁制初成三首 其一』現代語訳と訳註
(本文)
試新服裁制初成三首 其一
紫陽宮里賜紅綃,仙霧朦朧隔海遙。
霜兔毳寒冰繭淨,嫦娥笑指織星橋。


(下し文)
(新服の裁制を試み初めて成る三首其の一)
紫陽【しよう】宮里【きゅうり】紅綃【こうしょう】を賜う,仙霧【せんむ】朦朧【もうろう】海を隔てて遙かなり。
霜兔【そうと】毳【ぜい】寒うして冰繭【ひょうけん】淨し,嫦娥【じょうが】笑って指さす織星の橋。


(現代語訳)
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。)
節度使から、薛濤ら營枝の何人かが、美しい布地をもらった。薛濤はその布で新しい着物をつくって、そのお礼と感激をこの詩によみこんだもの。
仙人の紫陽宮(ここでは剣南西川節度使署を示す)から、あかいあやぎぬを頂いたのです。その宮殿は、海路はるかに仙霧のたちこめたあたりにあり、俗人の容易には出入できぬ尊いところです。ちょうどあの月宮殿にもたとえるべきところで、月のなかの兎は、この衣をつくるために、やわらかい毛をとられたにちがいない。
月の兎はかわいそうに、いかにも清らかで、俗塵のかけらさえも見られない寒がっていることだろう。わたしは毛で織られたこの衣はおかげでさむくはないのです。月宮殿の女仙嫦娥も、さあさ急いで織ったがよいぞと、年一度の天の川の上にかかる織星橋の方を指さして、笑いながら、天上の織女星にお命じになり、そのようにして織りなされたものであろう。


(訳注)
試新服裁制初成三首 其一

新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。
・裁製 きぬを裁って着物につくること。
節度使から、薛濤ら營枝の何人かが、美しい布地をもらった。薛濤はその布で新しい着物をつくって、そのお礼と感激をこの詩によみこんだもの。


紫陽宮里賜紅綃,仙霧朦朧隔海遙。
仙人の紫陽宮(ここでは剣南西川節度使署を示す)から、あかいあやぎぬを頂いたのです。その宮殿は、海路はるかに仙霧のたちこめたあたりにあり、俗人の容易には出入できぬ尊いところです。ちょうどあの月宮殿にもたとえるべきところで、月のなかの兎は、この衣をつくるために、やわらかい毛をとられたにちがいない。
・紫陽宮(しょぅきゅう) 昔から神仙の号として紫陽の二字が使われている。周の穆王の時の李八百は紫陽真君とよばれたし、漢の周義山も紫陽真人と号した。たがって紫陽官は、神仙の住む宮殿。こではそれをもって節度使の官署を、尊いところとしてほのめかしている。
・紅綃 綃はうすぎぬ。またあやぎぬ。紅はその色。
・朦朧 おぼろげなさま。
・隔海迄 東海に蓬莱・方丈・瀛州といぅ神仙の住む三つの島があるという神話から、紫陽宮もそこにあるもののごとくうたったもの。


霜兔毳寒冰繭淨,嫦娥笑指織星橋。
月の兎はかわいそうに、いかにも清らかで、俗塵のかけらさえも見られない寒がっていることだろう。わたしは毛で織られたこの衣はおかげでさむくはないのです。月宮殿の女仙嫦娥も、さあさ急いで織ったがよいぞと、年一度の天の川の上にかかる織星橋の方を指さして、笑いながら、天上の織女星にお命じになり、そのようにして織りなされたものであろう。

・霜兔 白兎。月中にいるという神話的兎。
 にこげ。柔い毛。
・冰繭 淡蚕の繭から取った糸は火にも焼けぬという。「拾遺記」に、「員晴山のなかに、氷蚕を産する。長さ七寸、霜や雪におおわれている。始めて薪を成すに、五色のものができる。織って錦にすると、水に入れても濡れず、火に投げこんでも焼けない」とある。
・嫦娥/姮娥 『准南子』に「翠、不死の薬を西王母に請ふ。その妻檀紙、これを病みて月官に奔る」とみえる。・誇蛾 恒蛾、嫦娥、常娥、娥娥 蛾娥など 神話中の女性。神話の英雄、羿(がい)が西方極遠の地に存在する理想国西王母の国の仙女にお願いしてもらった不死の霊薬を、その妻の嫦娥がぬすみ飲み、急に身軽くなって月世界まで飛びあがり月姫となった。漢の劉安の「淮南子」覧冥訓に登場する。なお、魯迅(1881-l936)にこの神話を小説化した「羿月」がいげつと題する小説がある。ここでは占いの雰囲気作りにはみょうれいな女性の神、巫女の登場というシチュエーションというところか。 
・織星橋 織女星は、銀河をさしはさんで牽牛星と向かいあい、年に一度だけ七月七日の夜に、この橋を渡り、牽牛星と会うという神話がある。天の川には橋はなく薛濤だけがこういう表現をしている。