薛濤 《試新服裁制初成三首 其三》 唐五代詞・宋詩
頂戴しました美しい布地を、裾の長い着物にこしらえましたが、これはわれわれ妓女仙宮でのしきたりです。大勢の仙人(諸官吏)のおかたが、玉芝(役人が天子にまみえるときに持つ如意笏)をお持ちになっていらっしゃいますところへ、これまでずっと侍らせていただきました。


2013年5月15日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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試新服裁制初成三首 其三 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-166-38-#31   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2377


(一)試新服裁制初成三首 其一
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。)
節度使から、薛濤ら營枝の何人かが、美しい布地をもらった。薛濤はその布で新しい着物をつくって、そのお礼と感激をこの詩によみこんだもの。

紫陽宮里賜紅綃,仙霧朦朧隔海遙。
仙人の紫陽宮(ここでは剣南西川節度使署を示す)から、あかいあやぎぬを頂いたのです。その宮殿は、海路はるかに仙霧のたちこめたあたりにあり、俗人の容易には出入できぬ尊いところです。ちょうどあの月宮殿にもたとえるべきところで、月のなかの兎は、この衣をつくるために、やわらかい毛をとられたにちがいない。
霜兔毳寒冰繭淨,嫦娥笑指織星橋。

月の兎はかわいそうに、いかにも清らかで、俗塵のかけらさえも見られない寒がっていることだろう。わたしは毛で織られたこの衣はおかげでさむくはないのです。月宮殿の女仙嫦娥も、さあさ急いで織ったがよいぞと、年一度の天の川の上にかかる織星橋の方を指さして、笑いながら、天上の織女星にお命じになり、そのようにして織りなされたものであろう。

(二)
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。その二)
九氣分為九色霞,五靈仙馭五云車。
この布の色彩は、九天の佳気が分かれてできた九つの色の霞のような美しきです。そして、五つの神霊的鳥獣によって駆られた神仙が乗っている五色の雲の車のような美しきです。
春風因過東君舍,偷樣人間染百花。
そのうえ、春の神のいますところを通ってきた春風が、天上の百花の美しい姿を、そっとぬすんできて、人間のために染めてくださったようにも思われます。

(三)
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。その三)
長裾本是上清儀,曾逐群仙把玉芝。
頂戴しました美しい布地を、裾の長い着物にこしらえましたが、これはわれわれ妓女仙宮でのしきたりです。大勢の仙人(諸官吏)のおかたが、玉芝(役人が天子にまみえるときに持つ如意笏)をお持ちになっていらっしゃいますところへ、これまでずっと侍らせていただきました。(官宴にて酒衛のとりもち)
每到宮中歌舞會,折腰齊唱步虛詞。
これからは、仙宮のお役所で歌舞の宴会がございます度に、みんなでそろってお心をうたった「步虛の詞」を、うたって、ご奉仕いたしたいと思っております。

(一)
(新服の裁制を試み初めて成る三首其の一)
紫陽【しよう】宮里【きゅうり】紅綃【こうしょう】を賜う,仙霧【せんむ】朦朧【もうろう】海を隔てて遙かなり。
霜兔【そうと】毳【ぜい】寒うして冰繭【ひょうけん】淨し,嫦娥【じょうが】笑って指さす織星の橋。

(二)
(新服の裁制を試み初めて成る三首其の二)
九氣 分れて九色の霞と為り,五靈の仙 五云の車を馭す。
春風 東君の舍を過ぎるに因り,樣を偷んで人間に百花を染む。

(新服の裁制を試み初めて成る三首其の三)
(三)
(新服の裁制を試み初めて成る三首其の三)
長裾【ちょうきょ】本【もとも】と是れ上清の儀,曾て群仙の玉芝を把るを逐う。
宮中の歌舞の會に到る每に,折腰【せつよう】齊唱【せいしょう】步虛【ほきょ】の詞【うた】。


花蕊夫人006

『試新服裁制初成三首 其三』 現代語訳と訳註
(本文)
(三)
長裾本是上清儀,曾逐群仙把玉芝。
每到宮中歌舞會,折腰齊唱步虛詞。


(下し文) (三)
(新服の裁制を試み初めて成る三首其の三)
長裾【ちょうきょ】本【もとも】と是れ上清の儀,曾て群仙の玉芝を把るを逐う。
宮中の歌舞の會に到る每に,折腰【せつよう】齊唱【せいしょう】步虛【ほきょ】の詞【うた】。


(現代語訳)
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。その三)
頂戴しました美しい布地を、裾の長い着物にこしらえましたが、これはわれわれ妓女仙宮でのしきたりです。大勢の仙人(諸官吏)のおかたが、玉芝(役人が天子にまみえるときに持つ如意笏)をお持ちになっていらっしゃいますところへ、これまでずっと侍らせていただきました。(官宴にて酒衛のとりもち)
これからは、仙宮のお役所で歌舞の宴会がございます度に、みんなでそろってお心をうたった「步虛の詞」を、うたって、ご奉仕いたしたいと思っております。


(訳注) (三)
(新しい着物を作ることができたのでお礼に三首を詠ってみました。その三)


長裾本是上清儀,曾逐群仙把玉芝。
頂戴しました美しい布地を、裾の長い着物にこしらえましたが、これはわれわれ妓女仙官でのしきたりです。大勢の仙人(諸官吏)のおかたが、玉芝(役人が天子にまみえるときに持つ如意笏)をお持ちになっていらっしゃいますところへ、これまでずっと侍らせていただきました。(官宴にて酒衛のとりもち)
・長裾(ちょうきよ) 裾は着物のもすそ、スカートをいう。
・上清 道教では人天の外に二つの清境があると考える。「霊宝元経」に、「三凊の間、おのおの正位あり、聖は玉清に登り、真は上清に登り、仙は太凊に登る」とある。
・儀 おきて。行儀。
・玉芝 芝はさいかいだけ。きのこの類。その形に型どった玉製の如意のようなもの。玉製如意は、細い磨きと彫刻などの工程、外壁に諸般の紋様に上がることを刻むもの。


每到宮中歌舞會,折腰齊唱步虛詞。
これからは、仙宮のお役所で歌舞の宴会がございますたびに、みんなでそろってお心をうたった「步虛の詞」を、うたって、ご奉仕いたしたいと思っております。
・折腰(せつよう) 腰を折り下拝すること。うやうしくといった意。 
・歩虚詞 道家の曲の「楽府」の雑曲歌にあるもの。虚は空中。