薛濤 《西巌》  
静かでこぬか雨の音さえ聞こえてくるような神秘的な景色、そのまま馬で通り過ぎるにはあまりに惜しい。夕日がさすこの里に、あちこちでしきりに蝉の鳴き声がしてきます。


2013年5月17日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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西巌 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-168-40-#33   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2387


西巌
(西の方に巌が見えるところで)
憑闌卻憶騎鯨客,把酒臨風手自招。
西巌の江月楼の欄干によりかかっていると、川風に吹かれて、「騎鯨客」となのった李白か、仙人の楊昇賢が、昇天した故事を思い浮かべます。風の吹く欄干で、酒杯を手にしてよい気持ちになっていると、お前もはやく鯨に乗せてくれと手招きしているような気持ちなる。
細雨聲中停去馬,夕陽影里亂鳴蜩。

静かでこぬか雨の音さえ聞こえてくるような神秘的な景色、そのまま馬で通り過ぎるにはあまりに惜しい。夕日がさすこの里に、あちこちでしきりに蝉の鳴き声がしてきます。
(西岩)
闌に憑れば 卻って鯨に騎るの客を憶う,酒を把って風に臨めば手自ら招く。
細雨 聲中 去馬を停め,夕陽 影里 亂鳴の蜩【せみ】。

魚玄機が宮島に
『西巌』 現代語訳と訳註
(本文)
西岩
憑闌卻憶騎鯨客,把酒臨風手自招。
細雨聲中停去馬,夕陽影里亂鳴蜩。


(下し文)
(西岩)
闌に憑れば 卻って鯨に騎るの客を憶う,酒を把って風に臨めば手自ら招く。
細雨 聲中 去馬を停め,夕陽 影里 亂鳴の蜩【せみ】。


(現代語訳)
(西の方に巌が見えるところで)
西巌の江月楼の欄干によりかかっていると、川風に吹かれて、「騎鯨客」となのった李白か、仙人の楊昇賢が、昇天した故事を思い浮かべます。風の吹く欄干で、酒杯を手にしてよい気持ちになっていると、お前もはやく鯨に乗せてくれと手招きしているような気持ちなる。
静かでこぬか雨の音さえ聞こえてくるような神秘的な景色、そのまま馬で通り過ぎるにはあまりに惜しい。夕日がさすこの里に、あちこちでしきりに蝉の鳴き声がしてきます。


(訳注)
西岩
(西の方に巌が見えるところで)
・西巌 簡州(今の簡陽)の四巌の一つ、西巌を詠じたものと思われる。
「九州要記」に、「陽安県南七十歩、赤水の絳の如きあり。今の治西の二里絳渓これなり。又、陽安に雁水あり。雁・赤二水の間に、江月楼あり」と見え、この詩を引いている。
「蜀志補嘑」によれは、「西巌は簡州の湧泉鎮に在り。石刻の大悲観音の像あり。光相しばしは現はる。志に云ふ、治の西五里にあり、巌洞の酸さ三丈五尺、闊さこれに如く。洞門に西巌の二字を刻す。宋の嘉定甲子、王武卿、庵を比に結び、名を題す」とある。そして「巌に近く石柱山あり。孤高独立。上に石像百余、石室数間あり。仙人楊氏、養丹の炉鼎尚は存す。その頂に登れば、逍遥山を望むべし」とあることから、第一句の末三字「騎鯨客」は騎鯨=乗雲であり、ここから仙人の揚氏が昇天したことを詠じたものではある。
江月楼 今の簡陽県の地にある。簡陽は成渝鉄道の沿線の都市で、汶江に臨んでいる。古の簡県の地で、西南三里に、三国時代の陽安関があるので、別に陽安ともよばれている。その陽安の南三十歩に赤水というのがあり、また際水というのも流入しているが、その赤水と雁水の中間にあるのが江月榛だと「九州要記」に記され、繹薄のこの詩も載せられている。
 

憑闌卻憶騎鯨客,把酒臨風手自招。
西巌の江月楼の欄干によりかかっていると、川風に吹かれて、「騎鯨客」となのった李白か、仙人の楊昇賢が、昇天した故事を思い浮かべます。風の吹く欄干で、酒杯を手にしてよい気持ちになっていると、お前もはやく鯨に乗せてくれと手招きしているような気持ちなる。
・闌 攔干。
・騎鯨客 謫仙人と呼ばれた李白が自分のことを「海上騎鯨客」といっているが、ここではたんに仙人という意であろう。もちろん揚昇賢をさしたもの。“騎鯨人”仍指李白,傳說李白死後騎鯨歸去,而李白自己也曾自稱“海上騎鯨客”。


細雨聲中停去馬,夕陽影里亂鳴蜩。
静かでこぬか雨の音さえ聞こえてくるような神秘的な景色、そのまま馬で通り過ぎるにはあまりに惜しい。夕日がさすこの里に、あちこちでしきりに蝉の鳴き声がしてきます。
・細雨 こまかい雨。ぬかあめ。きりさめ。
・停去馬 旅立ってゆこうとする人の乗る馬を停めるのか、ついここの風景に見惚れて、足をとどめる意か。
・蜩 蝉の総称。