34薛濤 題竹郎廟 47 蜀の栄県の竹郎廟のまえには多くの古木が残っている。夕日が山の端に沈んでゆく、沈むにしたがって古木の緑が濃くなってゆく。


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題竹郎廟 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-169-41-#34   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2392


題竹郎廟 
(竹郎廟に題す)
竹郎廟前多古木,夕陽沉沉山更綠。
蜀の栄県の竹郎廟のまえには多くの古木が残っている。夕日が山の端に沈んでゆく、沈むにしたがって古木の緑が濃くなってゆく。
何處江村有笛聲,聲聲盡是迎郎曲。
何処からだろうか、この川べりの村に笛の音が聞えてくる。次々に聞こえてくる笛の調はことごとく「竹郎を迎える曲」である。
竹郎廟に題す
竹郎の廟前 古木多く、夕陽 沈沈 山更に緑なり。
何れの處の江村か 笛声あり、聾撃 盡く是れ 迎郎曲。


『題竹郎廟』 現代語訳と訳註
(本文) 
竹郎廟前多古木,夕陽沉沉山更綠。
何處江村有笛聲,聲聲盡是迎郎曲。


(下し文)
竹郎廟に題す
竹郎の廟前 古木多く、夕陽 沈沈 山更に緑なり。
何れの處の江村か 笛声あり、聾撃 盡く是れ 迎郎曲。


(現代語訳)
(竹郎廟に題す)
蜀の栄県の竹郎廟のまえには多くの古木が残っている。夕日が山の端に沈んでゆく、沈むにしたがって古木の緑が濃くなってゆく。
何処からだろうか、この川べりの村に笛の音が聞えてくる。次々に聞こえてくる笛の調はことごとく「竹郎を迎える曲」である。


(訳注)
題竹郎廟
 
(竹郎廟に題す)
これは貴州省の桐梓の「竹郎廟」ではない。四川省と貴州省とは隣りあわせているで、四川省の南を流れる榮川の岸にも、竹邸を祭った廟はあった。(D・E-1・2)そこで「巫山廟に謁す」(90)などと同時期の者であろう。この詩は、薛濤の四十四歳から四十七歳までの間の作ということである。この詩は、薛濤の代表作の一つになっている。「四庫全書提要」の「薛濤李冶詩集」の條には、この詩と「友人を迭る」(69)の両詩をもって、「向乗、博詞すろところと賃や」と記してある。それは後蘭の韋穀(王建に仕えて監察御史となる)の「才調集」(十巻・四部叢刊本あり)に、この二首と『柳絮』(18)が採られているからであろう。



竹郎廟前多古木,夕陽沉沉山更綠。
蜀の栄県の竹郎廟のまえには多くの古木が残っている。夕日が山の端に沈んでゆく、沈むにしたがって古木の緑が濃くなってゆく。
成都南部01・竹郎廟 今の栄県の東を流れる栄川の河岸にある。栄県は、楽山縣の東115km、儙為の東121km、東は40kmの威遠県をへて資中に、東南は自流井まで56kmという地点。栄川は今、梧桐溝といい沱江の支流である。これが古代に遯水とよばれた河で、「蜀記」によれば、この他の河岸に竹郎廟がある。竹郎については、「漢書」の西南夷伝に、「遯水のほとりで洗濯していた女の足の間に、節の三つある大きな竹が流れついた。竹の中から泣き声がするので、女が竹を割ってみると、なかに男の子がいた。抱いて帰り育てると、才あり武芸もたっしゃな大人になった。彼は自立して夜郎侯を名乗り、竹を姓とした。武帝のとき、南夷を平げて牂柯郡を置いたが、そのとき、夜郎侯は漠の征討軍を出迎えてくだったので、武帝はこれに印綬をあたえたが、後に殺してしまった。その地方の者は、竹王が竹から生まれたというので、尊敬していたから、その死後、彼の血筋の者を立てたいと願い出た。牂柯の太守定覇は、そのことを上奏したので、武帝は、彼の二人の息子をそれぞれ侯にし、死後は父といっしょに祭られることを許した。今、夜県(貴州省の北境に近い) に『竹王の三郎廟』があるのが、それである」と見えている。
「才調集」の箋註にも、同じことを「華陽国志にいふ」として説明している。すなわち竹郎廟は、夜郎侯とその三人の息子を祭った廟である。漢の牂柯郡は、今の貴州省の徳江県のあたり。
 ・沈沈 静かなさま。


何處江村有笛聲,聲聲盡是迎郎曲。
何処からだろうか、この川べりの村に笛の音が聞えてくる。次々に聞こえてくる笛の調はことごとく「竹郎を迎える曲」である。
・江村 川ぞいの村。江頭とした本もある。頭はほとり。
・迎郎曲 夜郎王らの霊を迎える祭りの笛のふし。