薛濤 《十離詩十首 犬離主-幷序》  元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。

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十離詩
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。
元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。
困事獲怒。遠之。
事件を起こして逆鱗に触れ、罰として遠ざけられた。
涛作十離詩以献。逐復善焉。

薛濤は、「十離詩」と題した詩を詩集にして元稹に献上した。やがてまた許され良いことになった。


『十離詩』 現代語訳と訳註
魚玄機55021(本文)
元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。因事獲怒。遠之。涛作十離詩以献。逐復善焉。


(下し文)
(十離詩)
元微之【げんびし】蜀に使わす。巌司空【げんしくう】遣涛【とう】をして往いて事えしむ。事に因って怒りを獲。之を遠ざく。涛 十離詩を作って以って献ず。逐に復た善し。


(現代語訳)
元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。
事件を起こして逆鱗に触れ、罰として遠ざけられた。
薛濤は、「十離詩」と題した詩を詩集にして元稹に献上した。やがてまた許され良いことになった。


(訳注) 十離詩
元稹が監察御史として東川(蜀の東側一帯)に使いしたのは、憲宗の809年元和四年春三月のことであった。ときに元稹三十歳。薛濤は四十二歳、詩人としての地位は確立し、その名は都の長安にもひびいていた。
彼女を彼の旅先の慰め相手として推薦したのが厳綬(厳司空)である。彼が夏州の楊恵琳と成都の劉闢の反乱を討伐し、その功によって、司空となったばかりのときで、成都にいたときのことである。
この詩は薛濤が酒の上で元稹の甥に、徳利を投げつけけがを負わせたために厳罰を受けた。
・十離詩 何々を離れたという題の詩十篇で、十離詩と名づけた。


元徴之使蜀。巌司空遣涛往事。
元稹が官吏を取り締まる官、監察御史として蜀に遣わされた。厳綬(厳司空)は旅の慰労に薛濤を同行させた。
・元微之 元稹のあざな。白居易(楽天)とならんで、中唐の代表的詩人。
・使蜀 上述のように、監察御史として東川に出張したことをいう。
・厳司空 厳綬のこと。司空は官名。刑獄のことをつかさどる最高官。


因事獲怒。遠之。
事件を起こして逆鱗に触れ、罰として遠ざけられた。
・因事 酔っはらって洒令をあらそい、酒豪を投げて元稹の甥を傷つけたということが原因であった。


濤作十離詩以献。逐復善焉。
薛濤は、「十離詩」と題した詩を詩集にして元稹に献上した。やがてまた許され良いことになった。