唐・蜀 韋莊 《菩薩蠻 二》 酒爐のほとりには、お月さまを彷彿させる美人が居ます。その人の真白な腕から想像して、まるで雪がかたまったようなうつくしい体をしているのです。

 

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菩薩蠻 二 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-248-5-#2   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2622

 

 

菩薩蠻 二

人人盡説江南好,遊人只合江南老。

だれもかれも、江南はいいところだといいます。よそのくにへ遊びに出た人は、江南へいって年をとるまでくらすのが一ばんよいとおもっているのです。 

春水碧於天,  畫船聽雨眠。

春は、雪解けの増水したながれは空の青さと一体化する。舟遊びの美しく彩られた船にのって、雨をききながら寄り添って眠ります。

 

爐邊人似月,  皓腕凝雙雪。

酒爐のほとりには、お月さまを彷彿させる美人が居ます。その人の真白な腕から想像して、まるで雪がかたまったようなうつくしい体をしているのです。

未老莫還鄕,  還鄕須斷腸。

一旦こういうところへ来たならば、年をとりたくはないし、まして故郷へ帰ることなど思いはしないのです。故郷などへ帰ったならば、この性的欲求不満を解決することが出来はしないことがわかるのです。

(菩薩蠻 二)

人人 盡く説く  江南は好しと,遊人 只だ合に  江南に老ゆべし。

春水は 天よりも碧く,畫船に 雨を聽きて眠る。

爐邊 人は 月の似く,皓き腕は 雙つの雪を凝らせる。

未だ老いざれば 鄕に還る 莫かれ,鄕に還らば  須らく 斷腸すべし。 

 
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『菩薩蛮』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻 二

人人盡説江南好,遊人只合江南老。

春水碧於天,  畫船聽雨眠。

 

爐邊人似月,  皓腕凝雙雪。

未老莫還鄕,  還鄕須斷腸。

 

 

(下し文)

(菩薩蠻 二)

人人 盡く説く  江南は好しと,遊人 只だ合に  江南に老ゆべし。

春水は 天よりも碧く,畫船に 雨を聽きて眠る。

爐邊 人は 月の似く,皓き腕は 雙つの雪を凝らせる。

未だ老いざれば 鄕に還る 莫かれ,鄕に還らば  須らく 斷腸すべし。

 

 

(現代語訳)

だれもかれも、江南はいいところだといいます。よそのくにへ遊びに出た人は、江南へいって年をとるまでくらすのが一ばんよいとおもっているのです。 

春は、雪解けの増水したながれは空の青さと一体化する。舟遊びの美しく彩られた船にのって、雨をききながら寄り添って眠ります。

酒爐のほとりには、お月さまを彷彿させる美人が居ます。その人の真白な腕から想像して、まるで雪がかたまったようなうつくしい体をしているのです。

一旦こういうところへ来たならば、年をとりたくはないし、まして故郷へ帰ることなど思いはしないのです。故郷などへ帰ったならば、この性的欲求不満を解決することが出来はしないことがわかるのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻 二

『花間集』巻二 韋莊の『菩薩蛮』其二である。

双調 四十四字。換韻。現在でいう女性をエロい表現をして愉しむ詩詞である。

 

人人盡説江南好,遊人只合江南老。

だれもかれも、江南はいいところだといいます。よそのくにへ遊びに出た人は、江南へいって年をとるまでくらすのが一ばんよいとおもっているのです。 

・人人:どの人も。みんな。誰もが。 ・盡説:ことごとく いう。 

・説:言う。 

・江南:中国南部の安徽省浙江省等、長江下流以南の地域を指す。この地名のイメージは、女性が美人であること、温暖・豊饒で、文化の成熟した風光明媚な潤いのある風景となる。 

・好:よい。形よく、美しい意味のよい。

・遊人:旅行者。遊は旅をする意。遊を游ともする。 

・只合:ただ まさに。 

・合:まさに…すべし。当然…べきだ。≒應の意。 

・老:おいる。年をとる。

 

春水碧於天,  畫船聽雨眠。

春は、雪解けの増水したながれは空の青さと一体化する。舟遊びの美しく彩られた船にのって、雨をききながら寄り添って眠ります。

・春水:四川盆地を書くむ山々からの雪解け水により、ミネラル分の多い栄養価の高い増水した水で、成長に不可欠の水をいう。杜甫『春水』 

・碧:あおい。みどり。あさみどり。あおみどり。碧玉等、宝石のような美しい青さをいう。 

・於:…よりも。「形容詞+於…」は、比較を表し、「…よりも○○い」の意味になる。

・碧於天:空の蒼さになる。河川が多く、成都盆地の河川の水は漫々としてゆったりと流れるが、江陵より下流域は川幅が更に広くなるので空と川が一体となる。。

・畫船:江南の色彩を施した船。特に河川の合流点は、交通の要衝地点となるため、性風俗のビジネスが盛んであった。美しい船のこと。畫は、「畫堂」の「畫」と同じ働き。 

・聽雨眠:蜀は夜雨が降り、朝には晴ることをいい、雨音を聞きながら眠りに就くとは男女の交じりあいを云う、テーマは江南であるが詩を披露しているのは成都である。

 

爐邊人似月,  皓腕凝雙雪。

酒爐のほとりには、お月さまを彷彿させる美人が居ます。その人の真白な腕から想像して、まるで雪がかたまったようなうつくしい体をしているのです。

・爐邊:酒屋。酒の瓶を置いている土台近く(酒爐辺)にいる(女性)。「爐」は、香炉のこと。香炉の香が立ちこめている奥深い所にある女性の部屋のこと。成都の性風俗店には江南の女性が大勢いた。

・人:ここでは女性指す。「爐邊人」だと、香炉の香が立ちこめている奥深い部屋にいる女性のこと。「邊人」は、酒の瓶を置いている土台のある酒屋にいる女性のことで、お酒の相手などをする女性、酒旗や青旆、また、青楼、商女、斜巷等といわれ、飲んだり、楽しんだりするところであった。古今東西、性にかかわることが初めにあり、やがて商売につながっていき、やがて整備、規制されていくものである。 

・似月:女性の尻まわりの曲線をいう。輪郭が月のように丸くて、白くて美しいことを云い、月は女性の代名詞である。白いということは、肉体労働に従事しない高貴な存在、性的アピールをするものである。性に関してかなり自由な部分があったことを示すものである。

・皓腕:まっ白な肌の腕のことで、女性の腕をいう。 

・凝:かたまる。こらす。 

・雙雪:ふたつ並んだ雪、両腕の白さをいう。

 

未老莫還鄕,  還鄕須斷腸。

一旦こういうところへ来たならば、年をとりたくはないし、まして故郷へ帰ることなど思いはしないのです。故郷などへ帰ったならば、この性的欲求不満を解決することが出来はしないことがわかるのです。

・未老:いまだ 老いず。まだ歳をとっていない。 

・莫:なかれ。なし。禁止、打ち消しを表す。ここでは、後者の打ち消しになる。

・須:(古白話)必ず、まさしく、きっと。漢文の伝統では、「すべからく…べし」と読み、…すべきである。…する必要がある。の意味になるが、ここでは、そう読むのは不適切。「須斷腸」は「須(かならず)や斷腸せん」と読み、(きっと、断腸の思いをするだろう)と、とるべきであって、「須(すべから)く 斷腸すべし」とは、しない方がいい。 

・斷腸:性的欲求不満な状態をはらわたがちぎれるほどの、こらえきれない悶々とした感情のこと。性生活が隠された秘め事というのは時代が進んでからのことで、朱子儒学が科挙の基本になった北宋以降で、次第に、明清になると厳格に性生活が奥にしまいこまれたのである。
魚玄機55021