唐・蜀 韋莊 《菩薩蠻 三》 いまになってみれば、また江南にいた時の楽しい思い出が沸き起こってきます。あのときはわたしもまだ年がわかく、うすい春の上衣を身につけた若々しい粋な姿をしていたのです。

 

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菩薩蠻 三 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-249-5-#3   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2627

 

 

菩薩蠻

如今却憶江南樂,當時年少春衫薄。

いまになってみれば、また江南にいた時の楽しい思い出が沸き起こってきます。あのときはわたしもまだ年がわかく、うすい春の上衣を身につけた若々しい粋な姿をしていたのです。

騎馬倚斜橋,  滿樓紅袖招。

馬にまたがって遊郭の斜橋に近づい時など、どこの靑楼からも、妓女が紅い袖をふって、わたしを手招きしたものです。

 

翠屏金屈曲,  醉入花叢宿。

翡翠の屏風には金の金具がかざられていてお酒に酔ったいきおいで、花の様な美しい妓女のたくさんいる宿に入りびたりたのしくすごしたのです。

此度見花枝,  白頭誓不歸。

そしてこのたびは花の枝のような細身のうつくしい好みの人を見いだし、こんな白髪あたまになったればこそ、故郷には帰るなどともったいないことはしないと誓ったのです。

(菩薩蠻 その三)

今さらに 却って 江南の樂しかりきを憶ふ,當時 年少 春なれば衫 薄きをつける。

騎馬 斜橋に倚り,樓に滿つ 紅袖が招くを。

 

翠の屏 金の屈曲あり, 醉ひて 花叢の宿に入る。

此の度【たび】も 花の枝に見【まみ】ゆ,白頭 歸らざるを誓う。

 

 

 

菩薩蠻』 現代語訳と訳註

bijo05(本文)

如今却憶江南樂,當時年少春衫薄。

騎馬倚斜橋,  滿樓紅袖招。

 

翠屏金屈曲,  醉入花叢宿。

此度見花枝,  白頭誓不歸。

 

 

(下し文)

(菩薩蠻 その三)

今さらに 却って 江南の樂しかりきを憶ふ,當時 年少 春なれば衫 薄きをつける。

騎馬 斜橋に倚り,樓に滿つ 紅袖が招くを。

 

翠の屏 金の屈曲あり, 醉ひて 花叢の宿に入る。

此の度【たび】も 花の枝に見【まみ】ゆ,白頭 歸らざるを誓う。

 

 

(現代語訳)

いまになってみれば、また江南にいた時の楽しい思い出が沸き起こってきます。あのときはわたしもまだ年がわかく、うすい春の上衣を身につけた若々しい粋な姿をしていたのです。

馬にまたがって遊郭の斜橋に近づい時など、どこの靑楼からも、妓女が紅い袖をふって、わたしを手招きしたものです。

翡翠の屏風には金の金具がかざられていてお酒に酔ったいきおいで、花の様な美しい妓女のたくさんいる宿に入りびたりたのしくすごしたのです。

そしてこのたびは花の枝のような細身のうつくしい好みの人を見いだし、こんな白髪あたまになったればこそ、故郷には帰るなどともったいないことはしないと誓ったのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻

詞牌の一。詞の形式名。双調。四十四字。換韻。詳しくは「構成について」を参照。この作品は『花間集』第二で韋荘の菩薩蠻其三としてあり、、当時の文人の共通の感情をあらわしている。

 

如今却憶江南樂,當時年少春衫薄。

いまになってみれば、また江南にいた時の楽しい思い出が沸き起こってきます。あのときはわたしもまだ年がわかく、うすい春の上衣を身につけた若々しい粋な姿をしていたのです。

・如今:いま。ただいま。今になって思う。

・却:かえって。逆に。

・憶:思い起こす。 

・江南樂:江南での楽しかった日々。菩薩蠻()「人人盡説江南好,遊人只合江南老。」に同じ。

・當時:過去のその時。そのころ。当時。 

・年少:十五歳から二十歳過ぎの年代の者たち、年若い者。

・春衫:春のひとえの衣。 

・春衫薄:春の服が薄ものである。粋ななりをしているということ。閨できる着物を云う。伊達の盛りの粋な着物というほどのもの。

 

騎馬倚斜橋,  滿樓紅袖招。

馬にまたがって遊郭の斜橋に近づい時など、どこの靑楼からも、妓女が紅い袖をふって、わたしを手招きしたものです。

・騎馬:馬にうち跨ることだが、それができるのは経済的に豊かで、地位のあるものになる。エリートの象徴でもある。 

・倚:たちよる。 

・斜橋:色里にある橋。遊里に架かる橋。

・紅袖:若い女性の衣服で、うら若い女性を指す。 

・招:手招きをする。

 

翠屏金屈曲,  醉入花叢宿。

翡翠の屏風には金の金具がかざられていてお酒に酔ったいきおいで、花の様な美しい妓女のたくさんいる宿に入りびたりたのしくすごしたのです。

・翠屏:翡翠のびょうぶ。 

・金屈曲:屏風の金色をしたちょうつがい。

・醉入:酔っぱらってしまう。 

・花叢宿:花の繁みになっている宿。美しい女性のいる所。遊ぶところがたくさんあり、女たちがたくさんいること。

 

此度見花枝,  白頭誓不歸。

そしてこのたびは花の枝のような細身のうつくしい好みの人を見いだし、こんな白髪あたまになったればこそ、故郷には帰るなどともったいないことはしないと誓ったのです。

・此度:このたび。 

・見花枝:細身の美しい女性に出逢った。若い時は肉感の女性をこの身一定の歳を重ねると「細腰」の女性がいいということ。・見:見出すこと。

・白頭:白髪頭。老齢になること。少しゆとりが出たことを云う。 

・誓不歸:誓って帰らない。やっと好みの女性にめぐり会えたというのに帰るわけにはいかないでしょうというほどの意味。
 くちなしの花