韋荘 《女冠子(一)》初夏、四月十七日になると思いだす。まさにこの日一年前の今日の日のことです。そう、それはあなたと別れた時の事です。涙をこらえにこらえ、それを見られないように偽ってうつむいたままでした。とても恥かしいことと思い下を向いたのです。そして少し眉を寄せて、つらそうな表情をしたものです。
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花間集に収める『女冠子』
Ⅴ-ID | 詩人 | 首数 | 掲載 |
1 | 溫助教庭筠 | ||
5 | 韋相莊 | ||
9 | 薛侍郎昭蘊 | 女冠子二首 | ○ |
6 | 牛嶠(牛給事嶠) | ||
7 | 張舍人泌 | 女冠子一首 | 未 |
12 | 孫少監光憲 | 女冠子二首 | 未 |
15 | 魏太尉承班 | 女冠子二首 | 未 |
18 | 毛秘書熙震 | 女冠子二首 | 未 |
22 | 李秀才珣 | 女冠子二首 | 未 |
唐・蜀 韋莊
女冠子
四月十七,正是去年今日。
初夏、四月十七日になると思いだす。まさにこの日一年前の今日の日のことです。
別君時。
そう、それはあなたと別れた時の事です。
忍涙佯低面,含羞半斂眉。
涙をこらえにこらえ、それを見られないように偽ってうつむいたままでした。とても恥かしいことと思い下を向いたのです。そして少し眉を寄せて、つらそうな表情をしたものです。
不知魂已斷,空有夢相隨。
あの人のわたしへの思い(魂)はいつの間にか、とっくに断たれてしまっている。それなのに、むなしく夢で追いかけているのです。
除卻天邊月,沒人知。
空にある月が私なのにそれを除いてしまうのです。もう、誰もわたしの心を知ろうとはしないのです。
(女【じょ】冠子【かんし】 一)
四月の十七,正に是れ去年の今日。
君と別れし時。
涙を忍びて佯【いつは】りて面を低げ,羞【はぢら】いを含みて眉を斂む。
知らず魂い已に斷たれ,空しく夢に相ひ隨う有り。
天邊の月を除卻せば,人の知る沒【な】し。
女冠子 (二)
昨夜夜半,枕上分明夢見。
語多時。
依舊桃花面,頻低柳葉眉。
半羞還半喜,欲去又依依。
覺來知是夢,不勝悲。
『女冠子』 現代語訳と訳註
(本文)
四月十七,正是去年今日。
別君時。
忍涙佯低面,含羞半斂眉。
不知魂已斷,空有夢相隨。
除卻天邊月,沒人知。
(下し文)
(女【じょ】冠子【かんし】)
四月の十七,正に是れ去年の今日。
君と別れし時。
涙を忍びて佯【いつは】りて面を低げ,羞【はぢら】いを含みて眉を斂む。
知らず魂い已に斷たれ,空しく夢に相ひ隨う有り。
天邊の月を除卻せば,人の知る沒【な】し。
(現代語訳)
初夏、四月十七日になると思いだす。まさにこの日一年前の今日の日のことです。
そう、それはあなたと別れた時の事です。
涙をこらえにこらえ、それを見られないように偽ってうつむいたままでした。とても恥かしいことと思い下を向いたのです。そして少し眉を寄せて、つらそうな表情をしたものです。
あの人のわたしへの思い(魂)はいつの間にか、とっくに断たれてしまっている。それなのに、むなしく夢で追いかけているのです。
空にある月が私なのにそれを除いてしまうのです。もう、誰もわたしの心を知ろうとはしないのです。
(訳注)
女冠子
詞牌の一。双調(単調、異体もある) 四十一字。換韻。この作品は、女冠子(二)と聯章詞(聯章体=同一の事柄を複数の詞で詠むもの)になっている。男が女性の側に立って描いているが、発想はあくまで男性である。
四月十七,正是去年今日。
初夏、四月十七日になると思いだす。まさにこの日一年前の今日の日のことです。
・四月十七:初夏の四月十七日。一年前のこの日に、恋人と別れて、ちょうど再びその日が巡ってきた。
・正是:ちょうど。是は今日の火を強調するもの。特に意味はない。
別君時。
そう、それはあなたと別れた時の事です。
忍涙佯低面,含羞半斂眉。
涙をこらえにこらえ、それを見られないように偽ってうつむいたままでした。とても恥かしいことと思い下を向いたのです。そして少し眉を寄せて、つらそうな表情をしたものです。
・忍涙:涙を流すのをこらえる。
・佯:いつわる。ふりをする。まねをする。涙を見られるのが嫌で、偽ってうつむくこと。
・低面:顔を伏せる。とても恥かしいことと思い下を向いたのです。
・含羞:恥じらいの表情を見せて。
・半斂眉:少し眉根を寄せて、つらそうな表情をする。
不知魂已斷,空有夢相隨。
あの人のわたしへの思い(魂)はいつの間にか、とっくに断たれてしまっている。それなのに、むなしく夢で追いかけているのです。
・不知:知らない。気づかない。わからない。…かもしれない。ここでは前者。
・魂已斷:こころは、既に(冷え、愛しい人を慕う思いは)断ち切られてしまった。魂:こころ。たましい。肉体に対して使う。肉体に宿る精気。
・空有:むなしく…だけがある。
・夢相隨:夢の世界では逢っている。
・相:逢う対象となるものがある(いる)ことを表すもので、一方的なものである。また、言葉のリズムを取るために使うもので、ここでは「相互に」の意味はないのである。
・随:人についていく。付き従う。
除卻天邊月,沒人知。
空にある月が私なのにそれを除いてしまうのです。もう、誰もわたしの心を知ろうとはしないのです。
・除卻:除く。 ・卻=却:…し去る。…し捨てる。動詞の後ろに付き、強調する。滅却、破却、忘却などの却と同様の用法。
・天邊月:空にある月。月は女性をあらわす。
・沒人知:「一般の人でさえわたしのことを知ろうとする気持ちが没してなくなってしう。 ・沒:(白話)打ち消し。…が没してなくなった。















