荷葉杯 其二 韋荘 忘れもしない、あの年、花かげのもとで、それは深夜のことでした。「はじめて乙女を知った時」といっていました。 池のほとりの座敷の西側のところで、えすだれを垂れたその中で、手を携えて夜を過ごし、暗黙の内に次の情事の思いをきめたのです。


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荷葉杯 其二 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-258-5-#12   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2672

 

 

荷葉杯 其二

記得那年花下。 深夜。

忘れもしない、あの年、花かげのもとで、それは深夜のことでした。

初識謝娘時。

「はじめて乙女を知った時」といっていました。 

水堂西面畫簾垂。 攜手暗相期。

池のほとりの座敷の西側のところで、えすだれを垂れたその中で、手を携えて夜を過ごし、暗黙の内に次の情事の思いをきめたのです。

 

惆悵曉鶯殘月。 相別。

かなしくい嘆かわしいことに、あかつきの鷺がなき、名残の月が別れの月に変わって別れたのです。

從此隔音塵。

それ以来、音信は絶えてしまったのです。 

如今倶是異鄕人。 相見更無因。

今は二人とも異郷の人となってしまい、逢おうとしてももはやそのよしもなくなってしまいました。

 

60moon 













『荷葉杯』 現代語訳と訳註

(本文)

記得那年花下。 深夜。

初識謝娘時。

水堂西面畫簾垂。 攜手暗相期。

 

惆悵曉鶯殘月。 相別。

從此隔音塵。

如今倶是異鄕人。 相見更無因。

 

 

(下し文)

荷葉杯

記し得たり  那の年 花の下。 深夜。

初めて  謝娘を 識りし時。

水堂の西面は 畫簾垂れ。手を攜へ暗に相ひ期す。

 

惆悵たり  曉の鶯  殘の月。相ひ別れ。

此 從り 音塵を  隔つ。

如今 倶に是 異鄕の人。相ひ見ゆるに更に因無し。

 

 

(現代語訳)

忘れもしない、あの年、花かげのもとで、それは深夜のことでした。

「はじめて乙女を知った時」といっていました。 

池のほとりの座敷の西側のところで、えすだれを垂れたその中で、手を携えて夜を過ごし、暗黙の内に次の情事の思いをきめたのです。

かなしくい嘆かわしいことに、あかつきの鷺がなき、名残の月が別れの月に変わって別れたのです。

それ以来、音信は絶えてしまったのです。 

今は二人とも異郷の人となってしまい、逢おうとしてももはやそのよしもなくなってしまいました。

 

 

(訳注)

荷葉杯

詞譜一。詞の形式名。双調 五十字。換韻。花間集。

男が女の気持ちを詠うもの。

 

 

記得那年花下、深夜。

忘れもしない、あの年、花かげのもとで、それは深夜のことでした。

・記得:(俗語・現代語)…を覚えている。(「記」は、覚えている。記憶している。

・那年:(俗語)あのとし。彼(か)のとし。

・花下:花のもと。花底。

 

 

初識謝娘時。

「はじめて乙女を知った時」といっていました。 

・初識:はじめて知り合ったとき。 

・謝娘:「あの女性」の意。固有名詞ではあるが、詞では、若くて美しい女性を指す。乙女。マドンナ。

 

水堂西面畫簾垂、攜手暗相期。

池のほとりの座敷の西側のところで、えすだれを垂れたその中で、手を携えて夜を過ごし、暗黙の内に次の情事の思いをきめたのです。

・水堂:水辺の建物。

・畫簾:綺麗に彩色を施した簾。えすだれ。

・攜手:手を持つ。時を共にする際の導入語である。手をたずさえる。閨へエスコートする。 

・相期:時間を決めて会うことを心に定める。この頃の情事は夜日が昇前までを期す。

 

 

惆悵曉鶯殘月、相別。

かなしくい嘆かわしいことに、あかつきの鷺がなき、名残の月が別れの月に変わって別れたのです。

・惆悵:恨み。 

・曉鶯:明け方に鳴き始める鶯の声。 

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・殘月:沈みかけの月。有り明けの月。曉鶯殘月は、この頃は男は日が昇前に帰るもので、名残月(下弦の月)もその様子をいうもので、男が独り寝で、明け方まで悶々としているということではない。

 

 

從此隔音塵。

それ以来、音信は絶えてしまったのです。 

・從此:(…て、)それ以来ずっと。 

・隔音塵:消息、通信がないこと。音塵は、音信、たより。

 

如今倶是異鄕人、相見更無因。

今は二人とも異郷の人となってしまい、逢おうとしてももはやそのよしもなくなってしまいました。

・如今:いま。 

・倶是:ともに これ。是は、ここでは、接続詞、副詞の語尾として使われている。

・異鄕人:異郷の人。遠く離れてしまったことを云う。

・無因:便りがない。寄る辺がない。無由。