淸平樂(一) 韋荘 あの遊女はどこにいるのだろうか。蜀の国に降る雨は「巫山雲雨」の言い伝えどおりに多情のものである。雲となる男は情を解して、花はおんなでその言葉がわかる。金糸の女の身にまとう衣装であるくと突然と風音のもの寂しさが地を這う。


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清平楽

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)

何處遊女,蜀國多雲雨。

あの遊女はどこにいるのだろうか。蜀の国に降る雨は「巫山雲雨」の言い伝えどおりに多情のものである。

雲解有情花解語,窣地綉羅金縷。

雲となる男は情を解して、花はおんなでその言葉がわかる。金糸の女の身にまとう衣装であるくと突然と風音のもの寂しさが地を這う。

 

妝成不整金鈿。含羞待月鞦韆。

お化粧、身繕いができあがったはずなのにあわてたからか金の髪飾りがゆがんでいる。それでもはじらいながら月の出を待つ、ブランコで女は遊んでいる。

住在綠槐陰裏,門臨春水橋邊。

「あたしは、青々と茂ったエンジュの木陰のところに住んでいる。」いっていた。門から望む景色は春のぞうすいした川の流れに橋のあたりに面しているものなのだ。

 

淸平樂

何處にか 遊女,蜀國雲雨多し。

雲は情を有し花は語を解す,地を窣(さらさら)たる  綉羅 金縷。

 

妝【よそほ】い成るも金鈿整はず。羞いを含み月を鞦韆に待つ。

綠槐の陰裏に住む在り,春水の橋邊に門臨す。

 

 

『淸平樂』() 現代語訳と訳註

美女画557












(
本文)

清平楽

何處遊女,蜀國多雲雨。

雲解有情花解語,窣地綉羅金縷。

 

妝成不整金鈿。含羞待月鞦韆。

住在綠槐陰裏,門臨春水橋邊。

 

 

(下し文)

淸平樂

何處にか 遊女,蜀國雲雨多し。

雲は情を有し花は語を解す,地を窣(さらさら)たる  綉羅 金縷。

 

妝【よそほ】い成るも金鈿整はず。羞いを含み月を鞦韆に待つ。

綠槐の陰裏に住む在り,春水の橋邊に門臨す。

 

 

(現代語訳)

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)

あの遊女はどこにいるのだろうか。蜀の国に降る雨は「巫山雲雨」の言い伝えどおりに多情のものである。

雲となる男は情を解して、花はおんなでその言葉がわかる。金糸の女の身にまとう衣装であるくと突然と風音のもの寂しさが地を這う。

お化粧、身繕いができあがったはずなのにあわてたからか金の髪飾りがゆがんでいる。それでもはじらいながら月の出を待つ、ブランコで女は遊んでいる。

「あたしは、青々と茂ったエンジュの木陰のところに住んでいる。」いっていた。門から望む景色は春のぞうすいした川の流れに橋のあたりに面しているものなのだ。

 

 

(訳注)

淸平樂

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)

詞譜の一。詞の形式名。双調。四十六字。平韻相互の換韻。花間集巻第二所収。

春になって、行楽しようとたずねてみたが女はどこ得行ったのか黙って居なくなっている。残されたのは衣擦れの音と増水した川に架かる橋だけであった。

 

何處遊女、蜀國多雲雨。

あの遊女はどこにいるのだろうか。蜀の国に降る雨は「巫山雲雨」の言い伝えどおりに多情のものである。

・何處:どこにいるのか。

・遊女:あそびめ。

・蜀國:蜀の国。ここの巫山県の東部に巫山がある。「巫山雲雨」で男女の交情をいう。現・四川省のこと。

・多雲雨:多情である。雲雨:男女の交情をいう。楚の襄王が巫山で夢に神女と契ったことをいう。神女は朝は巫山の雲となり夕べには雨になるという故事からきている。

宋玉『高唐賦』によると、楚の襄王と宋玉が雲夢の台に遊び、高唐の観を望んだところ、雲気(雲というよりも濃い水蒸気のガスに近いもの(か))があったので、宋玉は「朝雲」と言った。襄王がそのわけを尋ねると、宋玉は「昔者先王嘗游高唐,怠而晝寢,夢見一婦人…去而辭曰:妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」と答えた。「巫山之夢」。婉約の詩詞によく使われるが、千載不磨の契りといった感じのものではなく、もっと、気楽な契りをいう。

杜甫『水檻遣心二首』其の2 「蜀天常夜雨,江檻已朝晴。葉潤林塘密,衣幹枕席清。不堪支老病,何得尚浮名?淺把涓涓酒,深憑送此生。」楚の懐王が巫山の神女と夢のなかで交わった故事を連想させるが蜀では夜雨が降る。

李商隠『細 雨』「帷飄白玉堂、簟巻碧牙牀。楚女昔時意、蕭蕭髪彩涼。」(やわらかに風に翻るとばりは、白い玉の輝く堂を包んでいる。あるいは竹の敷物は、冷やかに碧く光る象牙の牀に拡げられている。巫山の神女はその身をささげたあの時の気持ちを秘めて今もいる、粛々と黒髪を一層色濃くし涼やかにしている。

・無覓處:探しようがない。漂いやがて消えてゆくガスのような雲なので、探しようがない。

 

 

雲解有情花解語,窣地綉羅金縷。

雲となる男は情を解して、花はおんなでその言葉がわかる。金糸の女の身にまとう衣装であるくと突然と風音のもの寂しさが地を這う。

・花解語:花は言葉がわかる。美しい女性を暗示している。婉約詞では、美しい女性を「解語花」(言葉を解する花)という。

・雲解有情花解語:雲は男の情で、それを解して花はおんなの言葉で、情が深くてやさしく美しい女性たちはよくわかる。

・窣地:突然と風音のもの寂しさが地を這う。

・綉羅:ぬいとりのあるうすぎぬ。女性の身にまとう衣装の布地。

・金縷:金糸の(刺繍)。

 

 

妝成不整金鈿。含羞待月鞦韆。

お化粧、身繕いができあがったはずなのにあわてたからか金の髪飾りがゆがんでいる。それでもはじらいながら月の出を待つ、ブランコで女は遊んでいる。

・妝成:よそおいがなる。身繕いができあがる。

・不整金鈿:金のかんざしなどの髪飾りがゆがんで。

ここは白居易の「長恨歌」の「雲鬢半偏新睡覺,花冠不整下堂來。」をふまえていよう。

・含羞:はじらいながら。

・待月:月の出を待つ。明るくなるのを待つ。ここは月はおんなをいむするので「待女()」意味になる。

・鞦韆:ブランコ。妓女の遊具。

 

 

住在綠槐陰裏,門臨春水橋邊。

「あたしは、青々と茂ったエンジュの木陰のところに住んでいる。」いっていた。門から望む景色は春のぞうすいした川の流れに橋のあたりに面しているものなのだ。

・住在:…に住んでいる。

・綠槐陰裏:青々と茂ったエンジュの木陰で。裏:なかで。男が女の棲んでいるところに通うのが当時の情交の基本であって、どこを探しても女がいない。増水した水の揺れを男女の情交として見ている。

・門臨:門は…に面している。

・春水橋邊:雪解けの水が増水している春の川の流れに架かった橋のたもと。春水は男女の思いと情交を比喩するものである。
李清照0055