淸平樂(三) 韋荘 春の長雨がしとしとと降り、梨の花が細雨に濡れているのは、むかし色白の美貌であった女性が春に涙を流すのです。ツバメが飛び交い、美しい窓のカーテンの金の装飾や縫いとりのある立派な簾額の側を払って飛んでいます。 


2013年8月19日  同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。  
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html  
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー 
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李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html  
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。  
女性詩人 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。  
孟郊詩 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。  
李商隠詩 
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淸平樂(三) 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-262-5-#16   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2692

 

 

淸平樂

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)その三

春愁南陌。故國音書隔。

また来た春も愁いが募るばかり、表の通りもそうなのです。ふるさとの親族知人もなくなり、だれからの手紙が途絶えてしまったのです。

細雨霏霏梨花白。燕拂畫簾金額。

春の長雨がしとしとと降り、梨の花が細雨に濡れているのは、むかし色白の美貌であった女性が春に涙を流すのです。ツバメが飛び交い、美しい窓のカーテンの金の装飾や縫いとりのある立派な簾額の側を払って飛んでいます。 

 

 盡日相望王孫, 塵滿衣上涙痕。 
一日中、王孫の帰ってくるのを眺め待っていて、塵があの人が来ると着ていた衣の上に涙がおちて痕が一杯ついてしまっている。

誰向橋邊吹笛, 駐馬西望消魂。

誰が橋のたもとで向こうを向いて、笛を吹いているのでしょうか。柳のたもとに馬をとどめて、西の方を眺めて、私のもとへは誰も来ないから深く悲しんで沈んでしまいます。

  

淸平樂 (三)

春愁の 南陌。故國 音書隔つ。

細雨 霏霏として 梨花白し。燕は畫簾 金額を拂ふ。

 

 盡日 王孫相ひ望み,塵は衣上の涙痕に滿つ。

 誰か 橋邊に向いて 笛を吹く,馬を駐【とど】めて 西を望みて消魂す。

 

魚玄機が宮島に

 












『淸平樂』 (三) 現代語訳と訳註

(本文)

淸平樂

春愁南陌。故國音書隔。

細雨霏霏梨花白。燕拂畫簾金額。

 

 盡日相望王孫, 塵滿衣上涙痕。

 誰向橋邊吹笛, 駐馬西望消魂。

 

 

(下し文)

淸平樂 (三)

春愁の 南陌。故國 音書隔つ。

細雨 霏霏として 梨花白し。燕は畫簾 金額を拂ふ。

 

 盡日 王孫相ひ望み,塵は衣上の涙痕に滿つ。

 誰か 橋邊に向いて 笛を吹く,馬を駐【とど】めて 西を望みて消魂す。

 

 

(現代語訳)

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)その三

また来た春も愁いが募るばかり、表の通りもそうなのです。ふるさとの親族知人もなくなり、だれからの手紙が途絶えてしまったのです。

春の長雨がしとしとと降り、梨の花が細雨に濡れているのは、むかし色白の美貌であった女性が春に涙を流すのです。ツバメが飛び交い、美しい窓のカーテンの金の装飾や縫いとりのある立派な簾額の側を払って飛んでいます。 

一日中、王孫の帰ってくるのを眺め待っていて、塵があの人が来ると着ていた衣の上に涙がおちて痕が一杯ついてしまっている。

誰が橋のたもとで向こうを向いて、笛を吹いているのでしょうか。柳のたもとに馬をとどめて、西の方を眺めて、私のもとへは誰も来ないから深く悲しんで沈んでしまいます。

 

 

(訳注)

淸平樂

(世の中が清らかに治まっていることを詠う詩譜)その三

詞譜の一。詞の形式名。双調。四十六字。平韻相互の換韻。花間集巻第二所収。

この作品は『花間集』第二にある。妓女が年増になって誰の相手もされないことへの寂しさを詠う。この詩も男の目から見た女性を詠うもので、年増の妓女が侘しく思う語句を鏤めている。

 

 

春愁南陌。故國音書隔。

また来た春も愁いが募るばかり、表の通りもそうなのです。ふるさとの親族知人もなくなり、だれからの手紙が途絶えてしまったのです。

・春愁:春の物思い。女性のもとに男が訪れないことを悲しむことを云う。 

・南陌:家の正面の門は南側にある。その南にある大きな通りを云う。・陌:道。街路。東西に通じるあぜ道。この道を車に乗って訪れていたので、悲しみを強調するもの。

・故國:ふるさと。 売られてきた女性自身に故郷からも見放された。

・音書:たより。手紙。音信。男は来ないし、手紙もくれない。 

・隔:へだたる。便りが途絶えてきた。

 

 

細雨霏霏梨花白。燕拂畫簾金額。

春の長雨がしとしとと降り、梨の花が細雨に濡れているのは、むかし色白の美貌であった女性が春に涙を流すのです。ツバメが飛び交い、美しい窓のカーテンの金の装飾や縫いとりのある立派な簾額の側を払って飛んでいます。  

・細雨:こぬか雨。 

・霏霏:霧雨がしとしとと降るさま。 

・梨花:ナシの花。 

・白:白く咲く。

・燕拂:ツバメが払って触れるように飛び込んでUターンする。ツバメは交尾する時期であり、憐れを誘う語である。

・畫簾:美しい窓のカーテン。 

・金額:金の装飾や縫いとりのある立派な簾額。

 

盡日相望王孫, 塵滿衣上涙痕。

一日中、王孫の帰ってくるのを眺め待っていて、塵があの人が来ると着ていた衣の上に涙がおちて痕が一杯ついてしまっている。

・盡日:一日中。終日。 

・相望:見つめている。眺めている。「相」は対象に動作が及んでいる表現。…に。…を。 

・王孫:王族、貴族の子弟。ここでは、(女性の許を離れて旅立っている)男性を指す。男性。王維の『山居秋暝』で「空山新雨後,天氣晩來秋。明月松間照,清泉石上流。竹喧歸浣女,蓮動下漁舟。隨意春芳歇,王孫自可留。」、温庭筠の『楊柳枝』「館娃宮外城西,遠映征帆近拂堤。繋得王孫歸意切,不關春草綠萋萋。 」がある。 

『楊柳枝 之八』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-64-17-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1872

・塵滿 あの人が来ると来ていた衣の上にずっと身に着けていないからその上に塵が積もっているという意味である。

・衣上涙痕 塵が積もった衣の上に涙がおち濡れたの後に塵が附いて、涙の形が浮き出ているさまをいう。

 

 

誰向橋邊吹笛, 駐馬西望消魂。

誰が橋のたもとで向こうを向いて、笛を吹いているのでしょうか。柳のたもとに馬をとどめて、西の方を眺めて、私のもとへは誰も来ないから深く悲しんで沈んでしまいます。

・橋邊:橋のたもと。 そこを通って男が来たことを云う。又、行楽に橋を通って行った。

・吹笛:笛を吹く。

・駐馬:馬をとどめて。他の女のもとにきた男は、車か、馬、船で来たということ。 

・西望:西の方を眺める。夕陽の方になる。西は歓楽を意味する。 一般的には西域に出征した男を思い浮かべることが多い。

・消魂:深く悲しんで意気を失うこと。

女性詩人0053