天仙子 其五 着ている衣裳が金に似ているというなら、その体は宝石に輝いているというのに似ている。眼はというと秋の澄み切った水に似ているということで、そしてその髪型は雲のようである。

 

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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

 

天仙子 其五 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-274-5-#28   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2917

 

 

天仙子 其一

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の一 薄情な男)

惆望前回夢裏期、看花不語苦尋思。

うらむ気持ちをもってこの前の夢の中での情事の約束を思い出しています。それは花を観賞しても苦しく尋ねても、思いをうちあけても少しも私に語りかけてはくれませんでした。

露桃花裏小腰肢。

小さい枝のような腰の私の存在感は庭に咲くどの桃の花に同じように降りる露のようでしかないのでしょうか。

眉眼細、鬢雲垂。

私はまだ自信を持っているのです。眉や眼は柳の葉のように細く長いのです。そして、鬢は雲の形にかたちよくととのえています。

唯有多情宋玉知。

ただ、わたしは楚の文学者「宋玉」のことを知っていますし、あなたが同じように能力は持っていても多情の浮気者であることも知っているのです。

 

 

天仙子 其二 ----109

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の二 酒)

深夜歸來酩酊。扶入流蘇猶未醒

夜も更けてから帰ってゆく長い時間酩酊状態にあるようだ。万幕を張ったような流蘇樹の中に助けられて入っていったのだが、やっぱりまだ酔いがさめてはいないのだ。

醺醺酒気蘭和

酒に酔ってにこにこしている状態は続いているのにさらに酒を呑んでいるけれど、美人の蘭の香りや麝香の香りが和んでいる。

呵呵。

眠りから覚めて驚いたようで、次に大声で笑い始めている。

長道人生能幾何。

そして、何度も言うことは「人生というものはどれだけものであるか。」だからいまのこの時を愉しまないでどうするのか。

 

天仙子 其三

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の三 棄てられた女の寂しさ)

蟾彩霜華夜不分。天外鴻聾枕上聞。

月の蟾蜍も嫦娥もそして霜の花も夜溶けてなくなることはないのに。晴れた大空のもとなのか、他の部屋なのか、大鳥が鳴いているのが一人寝る枕の上にも聞こえてくるのです。

bijo06綉衾香冷懶重燻。

夜も更け、錦の豪華な夜具の中に横になったまま、香が燃え尽きたのに新しい香を継ぎ足すのには面倒なのです。

入寂寂、葉紛紛。

部屋内に入って來るのは寂しさの上に寂しさが、庭の木の葉に風に吹かれて揺れ動く。

纔睡依前夢見君。

うとうととする。それでも目覚める前にあの人のことを夢でもいいから見たいのです。

 

天仙子 其四 ----111

(天仙子【てんせんし】 其の四)
夢覚雲屏依舊空、杜鵑聲咽隔簾墻。

雲母を散らした屏風のかげに、あの人とのたのしいかたらいの夢がさめると、やっぱり相変わらず空しいものなのです。それはすだれを隔て、垣根を隔てて、ほととぎすの啼く声が、悲しくむせぶようにきこえてくるのです。

玉郎薄幸去無蹤。

薄情なおとこのあの人は、どこへいったのか、ゆくえもわからないのです。

一日日、恨重重。

あの人の迎えを待っているその一日と重ねる日々は恨みを重ねていく一日なのです。

涙界蓮腮兩線紅。

なみだのあとが、お化粧のほほをつたい紅のふたすじのなみだとなってながれるのです。

 

天仙子 其五 ----112

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の五 棄てられて道観の祠にいる女の寂しさ)

金似衣裳玉似身、眼如秋水鬢如雲。

着ている衣裳が金に似ているというなら、その体は宝石に輝いているというのに似ている。眼はというと秋の澄み切った水に似ているということで、そしてその髪型は雲のようである。

霞裙月帔一羣羣。

霞模様の裳裾を着て、月の刺繍の肩掛けをかけていて、そんな女たちがここ一か所に群がるように集まっている。

來洞口、望煙分。

女性のいるお洞の入り口に来てみると、お香の霞がそれぞれの個室から出ていて、それが分かれてくれることを望んでいる。

劉阮不歸春日曛。

竹林の七賢の劉伶と阮籍はもう帰って來ることはないし、この女たちにとっても盛春の日々はもう黄昏ており、もうかえってくることはないのだ。

 

(天仙子【てんせんし】 其の五)

衣裳は金に似て 身は玉に似たり。眼は秋水の如く 鬢は雲の如し。

霞裙【かくん】月帔【がつひ】一に羣羣。

洞口に来たりて、煙の分かるるを望む。

劉・阮 歸らず 春日 曛【くら】し

 

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『天仙子 其五』 現代語訳と訳註

(本文)

天仙子 其五 ----112

金似衣裳玉似身、眼如秋水鬢如雲。

霞裙月帔一羣羣。

來洞口、望煙分。

劉阮不歸春日曛。

 

 

(下し文)

(天仙子【てんせんし】 其の五)

衣裳は金に似て 身は玉に似たり。眼は秋水の如く 鬢は雲の如し。

霞裙【かくん】月帔【がつひ】一に羣羣。

洞口に来たりて、煙の分かるるを望む。

劉・阮 歸らず 春日 曛【くら】し

 

 

(現代語訳)

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の五 棄てられて道観の祠にいる女の寂しさ)

着ている衣裳が金に似ているというなら、その体は宝石に輝いているというのに似ている。眼はというと秋の澄み切った水に似ているということで、そしてその髪型は雲のようである。

霞模様の裳裾を着て、月の刺繍の肩掛けをかけていて、そんな女たちがここ一か所に群がるように集まっている。

女性のいるお洞の入り口に来てみると、お香の霞がそれぞれの個室から出ていて、それが分かれてくれることを望んでいる。

竹林の七賢の劉伶と阮籍はもう帰って來ることはないし、この女たちにとっても盛春の日々はもう黄昏ており、もうかえってくることはないのだ。

 

 

 (訳注)

天仙子 其五 ----112

(天にある仙郷にいる人の詩。 其の五 棄てられて道観の祠にいる女の寂しさ)

・天仙子 単調三十四字、六句五平韻(詞譜二)。

当時の道教の道観、仏教の寺院には男に棄てられたり、年齢を重ねて客が着かない女性の駆け込み場所となって、売春で余生を過ごした。そうした女性を男の視線から詠ったものである。李商隠『聖女祠』『重過聖女祠』にこの女性たちについて詠っている。

聖女詞 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 99

 

 

金似衣裳玉似身、眼如秋水鬢如雲。

着ている衣裳が金に似ているというなら、その体は宝石に輝いているというのに似ている。眼はというと秋の澄み切った水に似ているということで、そしてその髪型は雲のようである。

★この詩のこの二句は、ここに登場する女性は以前奇麗な着物を着て美人と呼ばれていたということ。

 

霞裙月帔一羣羣。

霞模様の裳裾を着て、月の刺繍の肩掛けをかけていて、そんな女たちがここ一か所に群がるように集まっている。

・裙 裳裾(もすそ)

・帔 古代の女性の刺繍つきの肩掛け.

 

來洞口、望煙分。

女性のいるお洞の入り口に来てみると、お香の霞がそれぞれの個室から出ていて、それが分かれてくれることを望んでいる。

・洞口 木の内部にできた洞窟状の空間。うろ。 木の洞。

 

劉阮不歸春日曛。

竹林の七賢の劉伶と阮籍はもう帰って來ることはないし、この女たちにとっても盛春の日々はもう黄昏ており、もうかえってくることはないのだ。

・劉阮 竹林の七賢の劉伶と阮籍のこと。 3世紀の中国・魏(三国時代)の時代末期に、酒を飲んだり清談を行なったりと交遊した、下記の七人の称。「阮籍」、「嵆康」、「山濤」、「劉伶」、「阮咸」、「向秀」、「王戎」である。

阮籍が指導的存在である。その自由奔放な言動は『世説新語』に記されており、後世の人々から敬愛されている。七人が一堂に会したことはないらしく、4世紀頃からそう呼ばれるようになったとされる。隠者と言われることがあるが、多くは役職についており、特に山濤と王戎は宰相格の高官に登っている。

・劉伶 (221? - 300?)は、竹林の七賢の一人。字は伯倫。三国時代の魏および西晋の文人。沛国の人。世説新語によると、身長が約140cmと低く、手押し車に乗り、スコップを携えた下男を連れて、自分が死んだらそこに埋めろ、と言っていた。酒浸りで、素っ裸でいることもあった。ある人がそれをとがめたのに答えて言った。私は、天地を家、部屋をふんどしと思っている。君らはどうして私のふんどしの中に入り込むのだ。また酒浸りなので、妻が心配して意見したところ、自分では断酒できないので、神様にお願いすると言って、酒と肉を用意させた。そして祝詞をあげて、女の言うことなど聞かない、と言って肉を食って酒を飲んで酔っぱらった。

・阮籍 魏の詩人。老荘哲学者としても特異な存在であった。字は嗣宗。陳留(河南省)の人。嵆康とともに〈竹林の七賢〉の中心的な存在で,常識の意表をつく奇矯な発言と奔放な態度で世人を驚かせたが,その裏には社会の偽善や退廃に対する逆説的な批判精神がこめられていた。司馬氏の簒奪が進められる魏末の恐怖政治下にあって,目覚めた意識を持つ者としての苦悩をつぶさになめながら,韜晦【とうかい】した生きかたを貫き通した。

・曛 残照,日没時の淡い光り曛黄たそがれ.DCF00109