韋荘《謁金門 其一》春の夜の時は忙しく流れる、灯火陰りさびれている灯心をかきたてる。その一夜、窓辺の竹は風が抜け揺れている、うとうととして見る夢は途切れ途切れでさびしさだけがのこる。

 

2013年9月6日  同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
LiveDoor
揚雄 《甘泉賦 》(26)#9-2 文選 賦<108-#25>9分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩879 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2943
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
 LiveDoor
遊城南十六首:把酒 韓愈(韓退之) <181>Ⅱ中唐詩792 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2944
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoor 639五言律詩《戲題寄上漢中王,三首之一》 蜀中転々 杜甫 <544>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2945 杜甫詩1000-544-783/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2 曹植(曹子建) 《雜詩六首其二》 魏詩 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 2946 (09/06)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor 101 謁金門 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-280-5-#34  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2947
 
 ■最近の人気の文・賦・詩・詞(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex

『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1>505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html    
『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304    
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html    
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html    
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html    
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html    
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html    
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。    
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。    
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html    
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html    
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html    
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。    
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。    
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。    
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

101 謁金門 其一 韋荘  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-280-5-#34   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2947

 

 

謁金門 其一 韋莊

(金門に謁見す 其の一)

春漏促,   金燼暗挑殘燭。

春の夜の時は忙しく流れる、灯火陰りさびれている灯心をかきたてる。

一夜簾前風撼竹,夢魂相斷續。

その一夜、窓辺の竹は風が抜け揺れている、うとうととして見る夢は途切れ途切れでさびしさだけがのこる。

有個嬌嬈如玉,夜夜繡屏孤宿。

宝玉のように麗しく艶やかな女なのに、夜ごと夜ごとに屏風の陰に独り寝している。

閒抱琵琶尋舊曲,遠山眉黛綠。

しずかに琵琶を抱いて懐かしき曲を奏でてみる、春の遠山の眉が色悲しくみえる。

 

(金門に謁す 其の一)

春漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭【ざんしょく】挑【かきあ】ぐ。

一夜 簾前 風 竹を撼【ゆるが】し,夢魂 相い斷續す。

 

個の嬌嬈【きょうじゅう】玉の如き有り,夜夜 繡屏孤り宿る。

閒かに琵琶【びわ】を抱き 舊曲を尋ぬ,遠山 眉黛【びたい】綠なり。

1781180




 

 

『謁金門』其一 現代語訳と訳註

(本文)

謁金門 韋莊 其一

春漏促,   金燼暗挑殘燭。

一夜簾前風撼竹,夢魂相斷續。

有個嬌嬈如玉,夜夜繡屏孤宿。

閒抱琵琶尋舊曲,遠山眉黛綠。

 

 

(下し文)

(金門に謁す 其の一) 韋莊 

春漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭【ざんしょく】挑【かきあ】ぐ。

一夜 簾前 風 竹を撼【ゆるが】し,夢魂 相い斷續す。

 

個の嬌嬈【きょうじゅう】玉の如き有り,夜夜 繡屏孤り宿る。

閒かに琵琶【びわ】を抱き 舊曲を尋ぬ,遠山 眉黛【びたい】綠なり。

 

 

(現代語訳)

(金門に謁見す 其の一)

春の夜の時は忙しく流れる、灯火陰りさびれている灯心をかきたてる。

その一夜、窓辺の竹は風が抜け揺れている、うとうととして見る夢は途切れ途切れでさびしさだけがのこる。

宝玉のように麗しく艶やかな女なのに、夜ごと夜ごとに屏風の陰に独り寝している。

しずかに琵琶を抱いて懐かしき曲を奏でてみる、春の遠山の眉が色悲しくみえる。

 

 

(訳注)

bijo06謁金門 韋莊 其一

(金門に謁見す 其の一)

唐の教坊の曲『花間集』には五首所収。韋莊の作は二首収められている。双調四十五字、前段二十一字四句四灰韻、後段二十四字四句四仄韻で、詞形である。

 

 

春漏促,   金燼暗挑殘燭。

春の夜は時は忙しく流れる、灯火陰りさびれている灯心をかきたてる。

・春漏促 春の夜が瞬く間に過ぎる。漏は水時計。ここでは時間のこと。秋は夜長、春の夜は瞬く間に過ぎる。なのに蝋燭の芯を斬らねばならない無情感。

・金慮暗挑残燭 灯火の芯が矩く暗くなり、明るくするために残りの芯をかき立てること。:損なわれる、さびれる。

 

一夜簾前風撼竹,夢魂相斷續。

その一夜、窓辺の竹は風が抜け揺れている、うとうととして見る夢は途切れ途切れでさびしさだけがのこる。

・夢魂 夢。魂夢とも言ぅ。あたかも夢のようにぼんやりとした心持を云う。

 

 

有個嬌嬈如玉,夜夜繡屏孤宿。

宝玉のように麗しく艶やかな女なのに、夜ごと夜ごとに屏風の陰に独り寝している。

・個/ 一箇に同じ。俗語。人を数える単位。一人。

・嬌嬈 艶やかなさま。

 

閒抱琵琶尋舊曲,遠山眉黛綠。

しずかに琵琶を抱いて懐かしき曲を奏でてみる、春の遠山の眉が色悲しくみえる。

・閒抱琵琶 寂しさに堪えしずかに琵琶を抱いて爪弾く。閑は他にすることがなく、まともに引くのではなく、ツン、ツンとはじくというほどの意。

・尋旧曲 かつて愛妾と過ごしたころ、あるいは住んでいた時弾き、また聞いた曲。花間集には舊○○というのはよく登場する。韋莊『荷葉杯 其一』「絶代佳人難得、傾国。花下見無期。一雙愁黛遠山眉、不忍更思惟。  閒掩翠屏金鳳、残夢。羅幕畫堂空。碧天無路信難通、惆悵舊房櫳。」。

・遠山 愁いを帯びた女性の美しい眉を言う。若い芸子の必須条件。

 

 

【解説】

春夜の年増女の孤閏の恨みを詠う。前段三、四句「一夜簾前風撼竹,夢魂相斷續。」は、晩中、待ち侘びて浅い眠りの中、風が窓辺の竹をざわざわと揺らしていたために目覚め、夢を見ては覚め、見ては覚めていたことを述べる。後段の前半「有個嬌嬈如玉,夜夜繡屏孤宿。」は、この詞の主人公が、閨で待つ独り寝の夜を送る艶やかな芸妓の女性であることを言い、後半二句は、女は無聊なるままに、懐かしい思い出の曲を聞かせる人もなく愁いの面持ちで奏でるさまを描く。

作品中では、女の孤独の理由を明確に説明する言葉はなく、じょうきょのられつである。「春漏促」待ち侘びての毎日,過ぎ去る春の世は日ごとに短くなっていく。逢いたい気持ちを募らせる句である。「金燼暗挑殘燭。」蝋燭の芯と、自分の若さを詠うもので侘しさを云うものである。「一夜簾前風撼竹,夢魂相斷續。」浅い眠り、夢も、断片、断片でしかない。諦めるしかないというせつな感をあらわす。「有個嬌嬈如玉,夜夜繡屏孤宿。」まだ十分に色香、妖艶であるのに、もっと若い女の所に心変わりをされたということを感じさせる。「閒抱琵琶尋舊曲,遠山眉黛綠。」この聯はひきたくもないけど激しく愛し合った頃の思い出に浸るしかないやるせなさを表現している。