《更漏子》韋荘 今宵も時を告げる寒々とした鐘鼓の響きがきこえ、ここの高殿の燈も暗くなり、月は明かるく桐の老木に、銅張りの井戸を照らしています。この屋の閉ざされた奥庭に、その離れの小樓にあの人の影はない、春も花が散ってしまって、晩春の細雨の露に濡れ紅は香しく鮮やかに見えるだけなのです。

 

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。    
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。    
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。    
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 


123 更漏子 韋荘  Ⅹ
唐五代詞・宋詩Gs-282-5-#36   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2957

 

 

更漏子.

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)

鐘鼓寒,樓閣暝,月照古銅金井。

今宵も時を告げる寒々とした鐘鼓の響きがきこえ、ここの高殿の燈も暗くなり、月は明かるく桐の老木に、銅張りの井戸を照らしています。

深院閉,小樓空,落花香露紅。

この屋の閉ざされた奥庭に、その離れの小樓にあの人の影はない、春も花が散ってしまって、晩春の細雨の露に濡れ紅は香しく鮮やかに見えるだけなのです。

 

煙柳重,春霧薄,燈背水窗高閣。

花街の土手に煙る柳は重く垂れ、春の霧も淡く籠めていて、高殿の水辺の窓に灯火が水面に影を落として、背後に寂しく燈っています。

閑倚,暗沾衣,待郎郎不歸。

何もすることなく戸口に身を寄せ、来ない人を待っています。そして誰にも知られないように泣くと着物は涙で濡れています。あの人を待っているけど、あの人は私の所へは帰っては来ないのです。

 

更漏子

鐘鼓【しょうこ】寒く,樓閣 暝【くら】く,月は古銅【こどう】の金井【きんせい】を照らす。

深院 閉ざし,小樓 空しく,落花 香露 紅【あか】し。

 

煙柳 重く,春霧 薄く,燈の水窓を背にする高閣。

閑【しず】かに倚り,暗【ひそ】かに衣を【ぬ】らし郎を待つも 郎は帰らず。

 

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『更漏子』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子.

鐘鼓寒,樓閣暝,月照古銅金井。

深院閉,小樓空,落花香露紅。

 

煙柳重,春霧薄,燈背水窗高閣。

閑倚,暗沾衣,待郎郎不歸。

 

 

(下し文)

更漏子

鐘鼓【しょうこ】寒く,樓閣 暝【くら】く,月は古銅【こどう】の金井【きんせい】を照らす。

深院 閉ざし,小樓 空しく,落花 香露 紅【あか】し。

 

煙柳 重く,春霧 薄く,燈の水窓を背にする高閣。

閑【しず】かに倚り,暗【ひそ】かに衣を沾【ぬ】らし,郎を待つも 郎は帰らず。

 

 

(現代語訳)

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)

今宵も時を告げる寒々とした鐘鼓の響きがきこえ、ここの高殿の燈も暗くなり、月は明かるく桐の老木に、銅張りの井戸を照らしています。

この屋の閉ざされた奥庭に、その離れの小樓にあの人の影はない、春も花が散ってしまって、晩春の細雨の露に濡れ紅は香しく鮮やかに見えるだけなのです。

花街の土手に煙る柳は重く垂れ、春の霧も淡く籠めていて、高殿の水辺の窓に灯火が水面に影を落として、背後に寂しく燈っています。

何もすることなく戸口に身を寄せ、来ない人を待っています。そして誰にも知られないように泣くと着物は涙で濡れています。あの人を待っているけど、あの人は私の所へは帰っては来ないのです。

 

 

(訳注)

bijo06更漏子

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)

更は五更、夕方から、夜明けまで時を告げることを示す。特に秋以降、待ち侘びる夜が長いことを強調するシチュエーションのものをいう。

 

鐘鼓寒,樓閣暝,月照古銅金井。

今宵も時を告げる寒々とした鐘鼓の響きがきこえ、ここの高殿の燈も暗くなり、月は明かるく桐の老木に、銅張りの井戸を照らしています。

・鍾鼓 時を告げる鐘や太鼓。

・金井 井戸の井桁の木枠に腐食を防ぐために鋼板を張った井戸。また井戸の美称。

 

深院閉,小樓空,落花香露紅。

この屋の閉ざされた奥庭に、その離れの小樓にあの人の影はない、春も花が散ってしまって、晩春の細雨の露に濡れ紅は香しく鮮やかに見えるだけなのです。

・落花香露紅 地面に散り落ちた紅い花に、残った花に晩春の春雨に濡れて香りを放っていること。

 

 

煙柳重,春霧薄,燈背水窗高閣。

花街の土手に煙る柳は重く垂れ、春の霧も淡く籠めていて、高殿の水辺の窓に灯火が水面に影を落として、背後に寂しく燈っています。

・水窓 池などの水辺に面した窓。柳と共に色町の風情を醸し出す語である。

 

閑倚,暗沾衣,待郎郎不歸。

何もすることなく戸口に身を寄せ、来ない人を待っています。そして誰にも知られないように泣くと着物は涙で濡れています。あの人を待っているけど、あの人は私の所へは帰っては来ないのです。

・閑倚 何もすることなく戸口に身を寄せる。

 

 

【解説】空しく男の帰りを待ちわびる女の心情を詠う。前段は、囲われた女、夜の娼屋の情景を描写しつつ、うちに密かに孤独の思いを託す。遠く聞こえて来る寒々とした時を告げる鐘や太鼓の音には、女の侘しい心が投影され、女の身を置く小樓、遠くを眺める高殿の暗さは、女の胸中の暗い思いが重ねられている。人けもなく静まりかえった閉ざされた庭、井戸端の古びた桐の木に、銅張りの屋根に影を落とす月。一夫多妻制で、通い婚の場合であり、男が夫が、来なくなった状況を云う。一夫多妻制で、通い婚の場合、女は自由を持たず、屋敷内から出ることのない悲哀を示している。また前段最後の句「落花香露紅」は、せっかくの楽しむべき春がまさに過ぎ去ろうとしていることを言ったもので、ここにも女の悲しみが込められている。後段も、前段に続き情景描写から始まっているが、最後は、今春も男はとうとう帰って来なかった。複数の女を妻にしていて、女はそこで待つことが当たり前という時代の詩である。中世以前の男女の倫理観で見なければいけない。