訴衷情 其二 鴛鴦のように過したものが七夕の橋渡になり今はそれも隔たることになった。春ははるか遠くになってしまった。うす絹の上衣、香をたくこともなく消え行ってしまった。あれだけ寵愛によって栄華を誇ったものも今や落ちてしまった。

 

2013年9月18日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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訴衷情二首 其二

碧沼紅芳煙雨靜,倚蘭橈。

春も深まり緑に染まる池の周りには赤い花や薫り高い花が咲き、カスミが靄になり細雨に変わり静かに時が過ぎていく。そして蘭の大きな弱くなった樹に倚りかかる。

垂玉佩,交帶,嫋纖腰。

朝が来ると朝賀の儀に佩び玉が垂れ整列する。其の後でもう閨で交わる。妖艶な細腰は寵愛されていたのである。

鴛夢隔星橋,迢迢,越羅香暗銷,墜花翹。

鴛鴦のように過したものが七夕の橋渡になり今はそれも隔たることになった。春ははるか遠くになってしまった。うす絹の上衣、香をたくこともなく消え行ってしまった。あれだけ寵愛によって栄華を誇ったものも今や落ちてしまった。

 

(訴衷情【そちゅうじょう】二首其の二)

碧沼の紅き芳に煙雨静かに、蘭橈に倚れば。

玉佩び垂れ、帯交る、嫋【しなや】かに纖【ほそ】き腰鴛夢は星橋を隔てて、迢迢たり、越羅の香は暗【ひそ】かに銷え、花翹 墜つ。

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『訴衷情二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

訴衷情二首 其二

碧沼紅芳煙雨靜,倚蘭橈。

垂玉佩,交帶,嫋纖腰。

鴛夢隔星橋,迢迢,越羅香暗銷,墜花翹。

 

 

(下し文)

(訴衷情【そちゅうじょう】二首其の二)

碧沼の紅き芳に煙雨静かに、蘭橈【らんじょう】に倚れば。

玉佩【ぎょくはい】垂れ、帯交る、嫋【しなや】かに纖【ほそ】き腰。

鴛夢は星橋を隔てて、迢迢たり、越羅の香は暗【ひそ】かに銷え、花翹 墜つ。

 

 

(現代語訳)

春も深まり緑に染まる池の周りには赤い花や薫り高い花が咲き、カスミが靄になり細雨に変わり静かに時が過ぎていく。そして蘭の大きな弱くなった樹に倚りかかる。

朝が来ると朝賀の儀に佩び玉が垂れ整列する。其の後でもう閨で交わる。妖艶な細腰は寵愛されていたのである。

鴛鴦のように過したものが七夕の橋渡になり今はそれも隔たることになった。春ははるか遠くになってしまった。うす絹の上衣、香をたくこともなく消え行ってしまった。あれだけ寵愛によって栄華を誇ったものも今や落ちてしまった。

 

 

(訳注)

訴衷情二首 其二

(宮妓の女盛りを過ぎた女の孤独な心情を詠う二首の其の二。)

唐教坊曲、『花間集』には韋荘の作が二首収められている。単調三十三字、九句六平韻二仄韻で、⑦③❸❷③⑤②⑤③の詞形をとる。

 

碧沼紅芳煙雨靜,倚蘭橈。

春も深まり緑に染まる池の周りには赤い花や薫り高い花が咲き、カスミが靄になり細雨に変わり静かに時が過ぎていく。そして蘭の大きな弱くなった樹に倚りかかる。

・蘭橈 蘭の曲った木。くじく。よわまった蘭の花。

 

垂玉佩,交帶,嫋纖腰。

朝が来ると朝賀の儀に佩び玉が垂れ整列する。其の後でもう閨で交わる。妖艶な細腰は寵愛されていたのである。

・玉佩【ぎょくはい】礼服(らいふく)の付属具の一。即位・大嘗会・朝賀の儀式に、三位以上の臣下が腰に帯びた装身具。5色の玉を貫いた5本の組糸を金銅の花形の金具につないで足先に垂らし、沓(くつ)先にあたって鳴るようにしたもの。佩()び物。

 

鴛夢隔星橋,迢迢,越羅香暗銷,墜花翹。

鴛鴦のように過したものが七夕の橋渡になり今はそれも隔たることになった。春ははるか遠くになってしまった。うす絹の上衣、香をたくこともなく消え行ってしまった。あれだけ寵愛によって栄華を誇ったものも今や落ちてしまった。

・鴛夢 何時もツガイの鴛鴦のように過していたのが今や夢の中にしかない。

・星橋 七夕のように牽牛と織姫でさえ年に一度は銀河をわたって夜を過ごすというものである。李商隱『七夕』詩「鸞扇斜分鳳幄開,星橋橫過雀飛。」

・羅 羅は絡み織を用いた、目の粗い絹織物の一種。もともと羅とは鳥や小動物などを捕獲するための網を意味する言葉だったが、絹で織った網のような薄物を指す言葉にもなった。宮妓が夜天子が閨に來るのを待つ時の上に着る体のラインが透けて見える衣服を云う。

・翹 ①鳥の尾羽のように、高くかかげる。つまだてる。つま先だって背を高くする。②特に秀でた人。また、特にすぐれているさま。ぬきんでる。翹楚【ぎょうそ】大勢の中でとびぬけてすぐれていること。また、その人。

「楚」は、特に丈の高い木。『詩経、周南・漢広』「翹翹錯薪、言刈其楚(翹翹と錯れる薪の、言は其の楚を刈らん)」とある。
花蕊夫人006