皇甫松採蓮子二首  其一ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

2013年10月3日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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採蓮子二首  其一 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

 

 

採蓮子二首

其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

其二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

 

採蓮子二首  其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)。

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)。

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

采蓮004
 

 

『採蓮子二首』 現代語訳と訳註

(本文)

採蓮子二首

其一

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

 

(下し文)

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

 

(訳注)

採蓮子二首 其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

唐の教坊の曲名。「教坊記』は采蓮子と記す。『花問集』には皇甫松の二首のみ所収。

単調二十八字、四句・平韻で、各句末に二字の囃子詞が付く。この囃子詞を含めると三十六字になり、⑦❷、⑦❷。⑦❷、⑦❷。の詞形をとる。( )内は囃子詞。

 

皇甫松:皇甫が姓。睦州の人(現・浙江建徳)。皇甫湜の息子。生没年不詳。唐代の人。花間集では「皇甫先輩松」とある。唐代では、進士を先輩と呼ぶので、進士で、出仕しないで終わったのだろう。

 

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

・菡萏:ハスの花。はちす。

・香蓮:薫り高いハス。

・頃:面積の単位。一頃=百畝で、周代、古代では、1,82ヘクタール。碧波万頃(広い水面)という風に広さの表現となっている。

・陂/堤。ここでは、池。

・舉棹:第一句と三句の後に来るおはやしのことば。「(舟を漕ぐ)さおをあげて」止まってじっと見るという意味を含む。

・小姑:女の子。乙女。

・貪戲:遊びほうけている。

・採蓮遲:ハスを採るのがなかなか進まない。

・年少:第二句と四句の後に来るお囃子のことば。「年が若い(者)」

 

 

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

・晩來:薄暗くなってきて。

・弄水:水遊びをしている。

・船頭濕:船の上が濡れる。船頭:へさき。船首のこと。船頭さんのことではない。

・更:おまけに。

・脱:(衣服を)ぬぐ。

・紅裙:紅いスカート(状の着物)。

・裹:(くゎ;guo3)つつむ。

・鴨兒:アヒル。カモ。児は、名詞などに付く接尾辞。現代語では、可愛い感じを出す場合もあるが、特に意味はない。アヒルの子、ヒヨコという意味は普通ない。
DCF00004