採蓮子二首其二舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

2013年10月4日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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採蓮子二首  其二 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-308-5-#62   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3087

 

 

採蓮子二首 其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

採蓮子二首 其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

采蓮004
 

 

『採蓮子二首 其二』現代語訳と訳註

(本文)

其二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

 

 

(下し文)

採蓮子 其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)。

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)。

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

 

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

 

(訳注)

採蓮子二首 其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

唐の教坊の曲名。「教坊記』は采蓮子と記す。『花問集』には皇甫松の二首のみ所収。

単調二十八字、四句・平韻で、各句末に二字の囃子詞が付く。この囃子詞を含めると三十六字になり、⑦❷、⑦❷。⑦❷、⑦❷。の詞形をとる。( )内は囃子詞。

 

皇甫松:皇甫が姓。睦州の人(現・浙江建徳)。皇甫湜の息子。生没年不詳。唐代の人。花間集では「皇甫先輩松」とある。唐代では、進士を先輩と呼ぶので、進士で、出仕しないで終わったのだろう。

 

 

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

・船動湖光:船が湖面を波打たせたので、水面が動いて日の光がきらきらと反射しているさまをいう。

・灔灔:水の揺れ動くさま。(月光等が水に映って)美しく光るさま。

貪看:蓮の実を採っている少女が、岸辺にいる若者をうっとりとみつめていること。

・信船流:舟が流されるがまま。

 

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

・無端:訳もなく。故無く。

・隔水:水を隔てて。舟から岸をめがけて。

・抛:放り投げる。

・蓮子:蓮の実。食用にする。蓮池の側でよく売っている。

・遙被人知:遙か離れている所の人に見られてしまい。

・半日:長時間。長い間。現代語での「半天」(はんにち)と同じで、「半日(はんにち)」の意とともに、「相当長時間」の意味がある。

・羞:はじらう。
采蓮004