皇甫松夢江南二首 其一香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

 

2013年10月5日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
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●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。 
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

夢江南二首 其一 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-309-5-#63   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3092

 

 

夢江南

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

人語驛邊橋。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

 

(夢江南)

 蘭燼【らんじん】落ち, 屏上【へいじょう】紅蕉【こうしょう】暗し。

 閒夢【かんむ】江南 梅 熟す日, 夜船の吹笛 雨 蕭蕭たり。

人は語る 驛邊の橋。

 

 

『夢江南』 現代語訳と訳註

(本文)

夢江南

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

人語驛邊橋。

 

 

(下し文)

 

 

(現代語訳)

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。いる。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

 

 

(訳注)

夢江南

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

・夢江南:【ぼうこうなん】単調の望江南、憶江南と同調。「夢」の音は「ぼう」がふさわしい。「む」は慣用音。なお「望江南」は【ばうこうなん】と言う。詞の形式名。花間集二巻第所収。

この作品は単調。二十七字。五句三平韻。望江南、謝秋娘、憶江南ともいう。別体三種、双調あり。 押韻:蕉・蕭・橋37⑦⑤の詞形をとる。

かつて江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出を詠う。第三句以下は、夢に見た、かつての別れの日を描く。梅の実の熟す頃の江南、しとしとと雨の降る夜、宿駅の橋、船の中で誰かが吹く笛、彼女は私との別れを惜しんで語りかけてくる、と。

 

 

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

・蘭燼:香油の入った立派なロウソクの燃え残り。・蘭:蘭膏。香油。また、植物の蘭と、特に関係はない場合もある。李淸照の「獨上蘭舟」の蘭も木蘭の舟の意はあるが、結果としては、美称。

・屏上:屏風の。屏風に描かれている。

・暗:ロウソクが消えかかっているので、薄暗くなっている。

・紅蕉:紅いカンナ。カンナは美人蕉という。白居易の「憶江南」「江南好,風景舊曾諳。 日出江花紅勝火,春來江水綠如藍。 能不憶江南。」「夢江南」と「憶江南」は同一詞調。

 

 

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

・閒夢:のどかな夢。ここの「閒」は「閑」の意(音も)。

江南:中国南部。長江以南。

・梅熟日:梅の実が熟す晩春、初夏に。=黄梅季、黄梅天。梅雨どき。

・閒夢江南梅熟日:ひそやかな夢は江南の初夏を辿る。白居易の「江南好,風景舊曽諳。日出江花紅勝火,春來江水綠如藍。能不憶江南!」に応えているとも思える。

・夜船:作者との関係が不明。作者は韋荘のように、船にいるのか、それとも、夜船でだれかが笛を吹いているのか。韋荘の「菩薩蛮」「人人盡説江南好,遊人只合江南老。春水碧於天,畫船聽雨眠。」も参考になる。

・吹笛:笛を吹く。静かな宵、遙か彼方から笛の音が伝わってきた、ということ。音が聞こえるということは、静かだからなので、静かな夜、と解しても好かろう。

・蕭蕭:もの寂しいさま。ここでは雨が静かに降る様子をいう。

 

 

人語驛邊橋。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

・人語:人の話し声が聞こえる。上の読み下しでは「人は語る」と読んではいるが…。 女性の話し声がする、鳥のさえずり、美人の声が聞こえる、という感じの意味である。「人語」の場合、「語」は、日本語で「かたる」という重々しい感じよりも「声が聞こえる」という軽いものの方がふさわしい。

・驛:古代の駅舎。宿舎。

 

皇甫松 鬢毛01
 夢江南二首 其一
蘭燼落,屏上暗紅蕉。
閑夢江南梅熟日,夜舡吹笛雨蕭蕭,人語驛邊橋。
夢江南二首 其二
樓上寢,殘月下簾旌。
夢見秣陵惆悵事,桃花柳絮滿江城,雙髻坐吹笙。
温庭筠
 夢江南二首 其一
千萬恨,恨極在天涯。
山月不知心裏事,水風空落眼前花,搖曳碧雲斜。
其二
梳洗罷,獨倚望江樓。
過盡千帆皆不是,斜暉脉脉水悠悠,腸斷白蘋洲。
牛嶠
 夢江南
含泥燕,飛到畫堂前。
占得杏樑安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。