牛嶠《女冠子四首 其四》あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

 

2013年10月13日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
LiveDoor
司馬相如 《上林賦 》(11)#4-3 文選 賦<110-#4-3>9分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩916 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3128
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
 LiveDoor
《和侯協律詠筍》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <829>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3129韓愈詩-202-#4
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoor663五言古詩 《寄題江外草堂》 蜀中転々 杜甫 <569-#3>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3130 杜甫詩1000-569-#3-820/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor女冠子四首 其四 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-317-5-#57-(8)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3132
 
 ■最近の人気の文・賦・詩・詞(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex

『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html
『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html 
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-1>文選雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 
http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

魚玄機 詩 全首130賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876

薛濤 詩詞全首100 井梧吟 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-136-8-#1  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2227

主に花間集から

温庭筠 70『菩薩蠻 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-1-1-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1620

韋荘 50首 菩薩蠻 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩花間集Gs-247-5-#1  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2617

皇甫松 10首 採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

牛嶠  20首 女冠子四首 其一 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

 


『花間集』継続中

 
女冠子四首 其四 牛嶠  Ⅹ
唐五代詞・宋詩Gs-317-5-#57-8   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3132

花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

  

 

女冠子四首

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

其の一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

其の二

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

其三

(もう何年も来てくれない劉郎のようなあの人を思って詠う)その三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めて薄い刺繍の肩掛けを付けていて、額の中心に黄色い化粧をぬり、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れる、きまのこまかい白粉の粉を寝化粧をする。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

 

其四

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

不語勻珠淚,落花時。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

鴛鴦おしどり0022
 

 

『女冠子』 現代語訳と訳註

(本文)

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 

 

(下し文)

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

 

 

(現代語訳)

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

 

 

(訳注)

女冠子四首

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

女冠子 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-254-5-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2652

女冠子 二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-255-5-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2657

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

其四

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

 

 

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

 

 

錦字書封了,銀河鴈過遲。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

・錦字 すぐれて美しい詩句。

・封【ふう】あるものを空間的に閉じこめ,内外の空間の間の相互干渉を遮断するためのしるし。この空間は,文書の封のように物理的に設定されたものもあれば,たとえば地震鯰を封じこめるために鹿島神宮の要石によって作られたそれのように,呪術的に設定されたものもあった。文書の場合,現在の封筒のようにして作られた空間の封じ目に,〆や封などのしるしを印判や手書きで加えることによって封が完成するが,このしるし自体に空間を守る呪力がそなわっており,したがって封印で守られる空間も単なる物理的なそれではないと意識されていたところに,前近代の封の特質がある。

 

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

・荳 ナツメグ。ニクズク科の常緑高木の一種である。またはその種子中の仁から作られる香辛料。和名はニクズク。アンズに似た卵形の黄色い果実をつける。果実は成熟すると果皮が割れ、網目状の赤い仮種皮につつまれた暗褐色の種子が現れる。 この仮種皮を乾燥させたものが香辛料の1つ、メースである。

種子全体または種子の仁を取り出し、石灰液に浸してから乾燥させ、粉砕したものを香辛料のナツメグとする。種子を直接、おろし金で挽いて用いる場合もある。種子は肉荳蔲という生薬名で、収斂、止瀉、健胃作用がある。

 

不語勻珠淚,落花時。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

 蓮00