牛嶠夢江南二首其一杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

2013年10月14日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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『花間集』継続中

 
夢江南二首其一 牛嶠  Ⅹ

唐五代詞・宋詩Gs-318-5-#57-9   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3137

 

 

夢江南二首

其一

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

夢江南【ぼうこうなん】二首

其の一

泥を㘅【ふく】む鷰【つばめ】,飛びて畫堂の前に到る。

占め得たり 杏梁【きょうりょう】の安穩【あんのん】の處,體 輕くして唯だ主人の憐れむ有り,羨やむに堪えたり 好き因緣を。

 

其二

紅繡被,兩兩間鴛鴦。

不是鳥中偏愛爾,為緣交頸睡南塘,全勝薄情郎。

くちなしの花

 

『夢江南二首』 現代語訳と訳註

(本文) 夢江南二首

其一

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

 

 

(下し文)

 夢江南【ぼうこうなん】二首

其の一

泥を㘅【ふく】む鷰【つばめ】,飛びて畫堂の前に到る。

占め得たり 杏梁【きょうりょう】の安穩【あんのん】の處,體 輕くして唯だ主人の憐れむ有り,羨やむに堪えたり 好き因緣を。

 

 

(現代語訳)

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

 

(訳注)

夢江南二首

『花間集』には牛嶠の作が二首収められている。単調二十七字、五句三平韻で、37⑦⑤の詞形をとる。

<家妓>高官や貴族、商人の家に置かれ、家長の妾姫となった。主人だけではなく、客を歓待する席でも技芸により、これをもてなす役目があった。官妓から、臣下に下賜されて家妓になるものもいた。始皇帝の母にあたる呂不韋の愛人や、西晋の石崇の愛妾である緑珠が有名。

其一

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

家の主のいとしみを得て巣作りにいそしむ燕を見ている女の感懐を詠う。作中の女手人公は、番の燕を見て、自分も燕にあやかって、良き連れ合いを得たことを語る。そして、家の主が、燕が立派な梁を泥で汚すのを見ても、燕を愛するあまりそのままにしておくのを見て、羨ましく思い、自分も家の主のような愛情豊かな男に愛されてみんなから羨ましく思われることと思う。ここに登場する女性は若いので寵愛を受けるものという家妓の思いを述べる。

 

 

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

 

 

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

○杏梁 杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁。

○安穏処 落ち着いて身の置ける安全な場所。

○体軽唯有主人憐 燕の軽やかな身のこなしは館の主の愛情を独り占めにしていること。

○好因縁 良い巡り合わせ。
DCF00109