牛嶠《感恩多 二首之一》浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

2013年10月16日  同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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『花間集』継続中

 

感恩多 一 牛嶠【ぎゅうきょう】Ⅹ唐五代詞・「花間集」Gs-320-6-#7 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3147

 

 

感恩多二首

其一

兩條紅粉淚,多少香閨意。

強攀桃李枝,斂愁眉。

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。

柳花飛,願得郎心,憶家還早歸。

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

感恩多 二首の一

兩條の紅粉の淚,多少 香閨【こうけい】の意。

強いて桃李の枝を攀【よ】じ,愁眉を斂【お】さむ。

陌上 鶯啼き蝶舞い,柳花飛び、柳花飛ぶ。

願わくば郎の心「家を憶いて還た早に歸らん。」を得ん。

 

其二

自從南浦別,愁見丁香結。

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

 

感恩多 二首の二

南浦にて別れて自從【より】,丁香の結ぶを愁い見る。

近來 情 轉【うた】た深く,鴛衾【えんきん】を憶う。

幾度 將に書を煙鴈【えんがん】に托せる,淚 襟に盈ち,淚 襟に盈つ。

月に禮し 天に求む,願わくば 君が我が心を知れと。

 DCF00110

 

『感恩多二首』 現代語訳と訳註

(本文) 感恩多二首

其一

兩條紅粉淚,多少香閨意。

強攀桃李枝,斂愁眉。

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。柳花飛,

願得郎心,憶家還早歸。

 

 

(下し文)

感恩多 二首の一

兩條の紅粉の淚,多少 香閨【こうけい】の意。

強いて桃李の枝を攀【よ】じ,愁眉を斂【お】さむ。

陌上 鶯啼き蝶舞い,柳花飛び。柳花飛ぶ,

願わくば郎の心「家を憶いて還た早に歸らん。」を得ん。

 

 

(現代語訳)

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

 

(訳注)

感恩多 二首之一

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

唐の教坊の曲名。『花間集』には牛嶠の二首のみ所収。㈱ほ、双調三十九字、前段十八字四旬二灰韻二平韻、後段二十一字五句三平韻で、❺❺⑤③/6③③4

前段は、頬を濡らす二筋の涙には、どれほどの愁いが込められているかと自問し、今が盛りの桃や李(スモモ)の花の枝を手折ってみたものの、愁いは依然として解けないことを言う。最後は、浮気男が女の家を思い起こして早く帰ってきてくるようにと、切ない願いを語る。

 

 

兩條紅粉淚,多少香閨意。

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

○多少 いかばかり、どれほど。

○香閏意 孤閏の思い。

 

 

強攀桃李枝,斂愁眉。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

○強攀桃李枝 無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取る。美しい花を折り取って自ら愁いを慰めることを言う。

○斂愁眉 「斂眉 愁」、斂眉:まゆをひそめる。

 

 

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。柳花飛,

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

○柳花 綿毛の生えた柳の種。柳絮というのは浮気男を示す言葉であり、春の盛りに他の女のもとに行っていることのうわさが飛んでくる。一夫多妻制の時代、女はただまっていることしか方法はない。

 

願得郎心,憶家還早歸。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

○郎心 郎心:「憶家、還早歸」浮気者の男の心に「女の家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」

○還 やはり帰ってきてほしいという気持ちをいう。
DCF00104