牛嶠《應天長二首 其二》別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

 

2013年10月19日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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應天長二首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

 

 

應天長二首

其一

(思いを寄せたころから、愛情あふれる生活を詠う詩)

玉樓春望晴煙滅,舞衫斜卷金調

耀くような高楼に上って、あの人と一緒に過ごし、春の景色を眺めるのです、薄い肌着で踊り、斜卷の首輪をつけ、金細工の塗り物を付けていたものをすべて外して本物に変わったのです。

黃鸝嬌囀聲初歇,杏花飄盡攏山雪。

高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。

鳳釵低赴節,筵上王孫愁

女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

鴛鴦對㘅羅結,兩情深夜月。

オシドリはそのことに対して感謝し、女としての役割を果たしたのです。二人の心は夜も更けて真上にある月のように誠意ある物なのです。

應天長【おうてんちょう】二首

其一

玉樓 春望 晴れて煙滅し,舞衫 斜卷 金調

黃鸝 嬌囀し聲初めて歇み,杏花 飄盡 攏山の雪。

鳳釵 低く節に赴し,筵上 王孫 愁

鴛鴦 㘅に對し羅結し,兩情 深夜の月。

 

其二

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

 

應天長【おうてんちょう】二首 其の二

雙眉 澹薄【たんはく】にして心事を藏す,清夜 燈を背に 嬌として又た醉う。

玉釵 橫たわり,山枕 膩【てか】る,寶帳の鴛鴦 春睡 美【うま】し。

別れて時を經て,無恨の意,虛しく道【い】う相い思うて憔悴【しょうすい】すと。

信ずること莫れ 綵牋【さいせん】書裏,人を賺【たかぶ】らす腸斷の字。

 

 

『應天長二首』 現代語訳と訳註

(本文)

應天長二首 其二

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

 

 

(下し文)

應天長【おうてんちょう】二首 其の二

雙眉 澹薄【たんはく】にして心事を藏す,清夜 燈を背に 嬌として又た醉う。

玉釵 橫たわり,山枕 膩【てか】る,寶帳の鴛鴦 春睡 美【うま】し。

別れて時を經て,無恨の意,虛しく道【い】う相い思うて憔悴【しょうすい】すと。

信ずること莫れ 綵牋【さいせん】書裏,人を賺【たかぶ】らす腸斷の字。

 

 

(現代語訳)

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

嘉陵江111111
 

 

(訳注)

應天長二首 其二

『花間集』 には牛嶠の作が二首収められている。双調五十字、前段二十七字五句四仄韻、後段二十三字五句四仄韻で、❼❼3❸❼/3❸❻❻❺の詞形をとる。花間集に韋荘二首、顧夐一首の『応天長』がある。

其二

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

別離の後、手紙では、口先だけのうまいことを言うだけで、誠実さに欠けた男に対する女の恨みを詠う。前段は、男がまだ女と別れ去る前の逢瀬の女の喜びについて述べる。「寶帳の鴛駕」ほ帳の賀意(オシドリ)模様であると同時に、鴛駕のように過した日々のことをいい、「春睡美」は、交歓の後の幸せに満ちあふれた眠りを指す。後段は、男が去った後の悲しみの日々を詠う。男は手紙に心にもない「相い思うて憮俸す」「腸断」といった言葉を書き送って来るけれど、もうそんな人を欺く言葉は信じないと、男の不実をなじる。

 

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

○背灯 灯火に背を向ける。就寝の時、人に顔の表情を読み取られまいとしたり、薫じらいを隠そうとする際、明かりを避けるために行う。

 

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

○玉釵横 玉飾りの簪が枕の傍らに抜け落ちているさま。男女の交わりを云う。

○山枕 山形の枕。枕のこと。温庭筠の更漏子詞に「山枕蹴、錦余寒」、顧鼻の甘州子詞に山枕上、長是怯農鐘」とある。ただ、「山」羅衣を着て横になる女性の姿という意味もある。。

○鴛駕 オシドリ。

 

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

○虚道 心にもないことを言う。道は言う。心にもないことは「相思憔悴」

 

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

○綵牋 色付きの書簡箋。花街や芸妓が使うもので他に女がいることを示すもの。男の側からすれば、一夫多妻制の時代であるから、必ずしも浮気を隠す必要はないのである。ただこの時代の女は、男が通ってくることが妻という地位を作ったのである。

○賺 たぶらかす、欺く。
鸕鶿001
 

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-323-6-#10   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3162