牛嶠《菩薩蠻七首 其五》 風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。


2013年10月30日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
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菩薩蠻七首 其五 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ
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菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

 

其四

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

朝暮幾般心,向他情漫深。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

山月照山花,夢迴燈影斜。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。

(其の四)

畫屏 重疊 巫陽の翠,楚神 尚お行雲の意有り。

朝暮 幾か般心す,他に向う 情 漫深す。

風流 今古と隔り,虛作すは瞿塘の客を。

山月 山花を照し,夢は迴る 燈影斜なり。

 

其五

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

門前行樂客,白馬嘶春色。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

 

菩薩蠻七首其五

風簾 鷰舞い鶯柳に啼く,粧臺 鬢を約し纖手を低くす。

釵重く髻の盤珊,一枝 紅牡丹。

門前 行樂の客,白馬 春色に嘶く。

故故にして 金鞭墜ち,頭を迴して應に眼穿つ。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

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『菩薩蠻七首』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

 

(下し文)

菩薩蠻七首其五

風簾 鷰舞い鶯柳に啼く,粧臺 鬢を約し纖手を低くす。

釵重く髻の盤珊,一枝 紅牡丹。

門前 行樂の客,白馬 春色に嘶く。

故故にして 金鞭墜ち,頭を迴して應に眼穿つ。

 

 

(現代語訳)

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首其五

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

春が訪れて、春景色の中で、あの人は来ないと思っていたら、見たくもない光景を見にする。男目線で、よくある光景を詠った女の情を詠う。

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風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

・この二句は待ち遠しい春が来たことを春のアイテムを鏤めている。しかしその中に嬉しさ、楽しさというのは見いだせないのも特徴である。

 

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

・釵重 この二句は上句は閨の状況。下句は庭のようすを云う。カンザシを挿したままで落ち欠けている。

・髻盤珊 化粧台に向かっても何もしたくないという恩南パリ様を云う。

・一枝紅牡丹 庭に一本の赤いボタンの花を看る。ここは、若い女を指す。

 

門前行樂客,白馬嘶春色。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

・行楽 当時は野山に出かけ酒を呑むことを万幕を張って楽しんだ。当時は春には靑姦というのは通常のことであったようだ。

 

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

・應眼穿 行楽に向かうはずが、ここの座敷の中に入っていった。だから見たくも無い光景を目の当たりにしたというのがこの詩の意味である。