張泌浣渓沙 十首 其一 駅亭に花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものです。月は傾きて杜鵑の声途絶え、思いを秘めて言葉なく西にむかったあのひとを高殿に身を寄せておもうのです。

 

2013年11月4日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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浣溪沙十首

其一

(男の旅立ちを見送る女性の情を詠う。)その一

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を進み行きます。樺の灯火の煙は漂い、別れに当たりあの人の馬がしきりに噺くのです。あの人が旅に出ると思うと他の時と違い深酔いするのにどうしても意識は確かなのです。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭に花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものです。月は傾きて杜鵑の声途絶え、思いを秘めて言葉なく西にむかったあのひとを高殿に身を寄せておもうのです。

 

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 過柳堤をぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

其二

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,晚風斜日不勝愁。

 

其三

獨立寒堦望月華,露濃香泛小庭花,繡屏愁背一燈斜。

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

 

其四

依約殘眉理舊黃,翠鬟擲一簪長,暖風晴日罷朝粧。

閑折海棠看又撚,玉纖無力惹餘香,此情誰會倚斜陽。

 

其五

翡翠屏開繡幄紅,謝娥無力曉粧慵,錦帷鴛被宿香濃。

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾櫳,杏花凝恨倚東風。

 

其六

枕障燻鑪隔繡幃,二年終日兩相思,杏花明月始應知。

天上人間何處去,舊歡新夢覺來時,黃昏微雨畫簾垂。

 

其七

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

人不見時還暫語,令纔後愛微嚬,越羅巴錦不勝春。

 

其八

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

 

其九

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

 

其十

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

 

 李清照0055

  

『浣溪沙十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙十首 其一

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

 

 

(下し文)

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 過柳堤をぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

 

(現代語訳)

(男の旅立ちを見送る女性の情を詠う。)

螺鈿の車は柳の堤の道を進み行きます。樺の灯火の煙は漂い、別れに当たりあの人の馬がしきりに噺くのです。あの人が旅に出ると思うと他の時と違い深酔いするのにどうしても意識は確かなのです。

駅亭に花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものです。月は傾きて杜鵑の声途絶え、思いを秘めて言葉なく西にむかったあのひとを高殿に身を寄せておもうのです。

 

 

(訳注)

『花間集』と張泌、浣溪沙十首

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には二十七首の詞が収められている。『花間集』には張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

浣溪沙 其一(淸曉妝成寒食天)韋莊 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-264-5-#18 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2867

浣渓沙 其二 (欲上鞦韆四體傭) 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-265-5-#19  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2872

浣渓沙 其三 (惆悵夢餘山月斜) 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-266-5-#20  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2877

浣渓沙 其四 (緑樹藏鶯鴬正啼) 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-267-5-#21  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2882

浣渓沙 其五 (夜夜相思更漏殘) 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-268-5-#22  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2887

 

浣溪沙十首 其一

(男の旅立ちを見送る女性の情を詠う。)

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

男の旅立ちを見送る女性の情を詠う。前段は、彼女が車に乗り男を見送って柳の堤を進み、別れを交わす時、男の乗る附も別れを惜しむかのように斯くことを描く。そして、彼女は別離の悲しみを忘れようと、つい深酒をしてしまうが、愛する人との大事な別れ、正体を失うことはないと述べる。後段は、女が男を見送った後、駅事の高殿に身を寄せて密かに男に思いを馳せるが、杜鵑(ホトトギス)の声も途絶え、月は早くも西に低く傾いてしまったと言う。『花間集』に描かれる男女の別れは、残月(二十日頃の夜明けの月)が空に懸かる、当時の生活習慣で仕事に出る、旅に出るのは夜の明けきらぬ時であること、男が女のもとを去るという形が多い。この詞は女性が夜、男性を駅亭まで見送る。長安の場合、東に向かう場合、滻水を渡り、㶚水の駅亭で最後の一夜を過ごす。西に向かう場合渭水を渡ったところの咸陽の駅亭で最後の夜を共に過ごすのである。後段第一句の「玉蟾低し」からすれば、二人は駅亭で一夜をともにし、男性は翌日の明け方に旅立ったのである。こうした送別は、王維の「元二が安西に使いするを送る」詩に「渭城の朝雨 軽塵を泥す、客舎 青青 柳色 新たなり」とあるように、送別は送る側が一駅出たところまで送るのが通常の事であった。今連載中の「杜甫1000詩」では、杜甫は、成都から数百キロも離れたとこまで数か月過ごしている場合もある。男女間にあっても詩の上では多くある。後段末句の「楼西に倚る」から男は西に向かって旅立ったことが分かる。

 

 

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を進み行きます。樺の灯火の煙は漂い、別れに当たりあの人の馬がしきりに噺くのです。あの人が旅に出ると思うと他の時と違い深酔いするのにどうしても意識は確かなのです。

○鈿轂香車 螺釦や香木をあしらった婦人用の車。

○樺煙 蝋を樺の木の皮で巻いた灯火の煙。

○沉醉 深酔い。

○不成泥 泥酔しない、正体を失わない。

 

 

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭に花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものです。月は傾きて杜鵑の声途絶え、思いを秘めて言葉なく西にむかったあのひとを高殿に身を寄せておもうのです。

○玉蟾 月の別称。月は蟾が中に住むことで、性描写の一つである。「天仙子」の「蟾彩」の注参照。

○楼西 西楼を押韻のために倒置したもの。

○この三句、「香露細」「杜鵑聲斷」「玉蟾」「含情」は、性交を詠うものである。
agehacho01DCF00102010