張泌浣渓沙 十首 其八小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。簾腰に庭の杏もここの女も春を過して枯れ落ちている。花の香り、お香もすでに斷垂れ薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。


2013年11月11日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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司馬相如 《上林賦 》(40)―#13-4  文選 賦<110-#13-4>13分割41回 Ⅱ李白に影響を与えた詩945 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3273
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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《晚秋郾城夜會聯句〔韓愈、李正封〕》(11)-#9韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <858>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3274韓愈詩-220-#9
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoorブログ687 《登牛頭山亭子》 蜀中転々 杜甫 <593>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3275 杜甫詩1000-593-849/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2ブログ70  謝靈運(謝康楽) 《擬魏太子鄴中集詩八首  平原侯值(曹植)》 魏詩  kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3276 (11/11)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor浣渓沙 十首 其八 張泌【ちょうひつ】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-346-7-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3277
 
 ■最近の人気の文・賦・詩・詞(漢詩の5ブログ各部門)
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『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1>505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html
『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html 
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謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
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主に花間集から
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『花間集』継続中 
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浣渓沙 十首 其八 張泌【ちょうひつ】  Ⅹ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-346-7-#8   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3277





浣渓沙 十首 其八

(年を取ってきて女は奥まった部屋に入れられたままで誰も訪れない。簾越しにあんずの花も枯れているのが見え侘しい思いの女妓の気持ちを詠う。)

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

髷は傾き、花の冠をつけ、輝く宝飾の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっとつぶやいている。翡翠や鈿飾、金の細い絲のかざり、それなのに眉をひそめ、沈んだ心のままである。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。簾腰に庭の杏もここの女も春を過して枯れ落ちている。花の香り、お香もすでに斷垂れ薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

浣渓沙 十首 其の八

偏戴 花冠 白玉の簪,睡容 新起 意沉吟,翠鈿 金縷 鎮眉心。

小檻 日斜 風悄悄たり,簾を隔てて零落 杏花の陰,斷香 輕碧 鏁愁深し。

杏の花01

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。


(下し文)

浣渓沙 十首 其の八

偏戴 花冠 白玉の簪,睡容 新起 意沉吟,翠鈿 金縷 鎮眉心。

小檻 日斜 風悄悄たり,簾を隔てて零落 杏花の陰,斷香 輕碧 鏁愁深し。


(現代語訳)

(年を取ってきて女は奥まった部屋に入れられたままで誰も訪れない。簾越しにあんずの花も枯れているのが見え侘しい思いの女妓の気持ちを詠う。)

髷は傾き、花の冠をつけ、輝く宝飾の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっとつぶやいている。翡翠や鈿飾、金の細い絲のかざり、それなのに眉をひそめ、沈んだ心のままである。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。簾腰に庭の杏もここの女も春を過して枯れ落ちている。花の香り、お香もすでに斷垂れ薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

 


(訳注)

浣渓沙 十首 其八

(年を取ってきて女は奥まった部屋に入れられたままで誰も訪れない。簾越しにあんずの花も枯れているのが見え侘しい思いの女妓の気持ちを詠う。)

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

髷は傾き、花の冠をつけ、輝く宝飾の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっとつぶやいている。翡翠や鈿飾、金の細い絲のかざり、それなのに眉をひそめ、沈んだ心のままである。

・偏戴花冠白玉簪 女の閨での現在のようすをいう。髷は傾き、花の冠をつけ、輝く宝飾の簪が揺れる。

・睡容新起意沉吟 この句はいまの女の心の動きを詠う。・沉吟 思い迷う,決めかねてぶつぶつ呟(つぶ/や)く.・睡容 ねすがた。

・翠鈿金縷鎮眉心 ・翠:翡翠のかざり。・鈿:古代婦女の顔面の上に飾物をつけること。

温庭筠『菩薩蠻 九』

牡丹花謝聲歇,綠楊滿院中庭月。

相憶夢難成,背窗燈半明。

翠鈿金壓臉,寂寞香閨掩。

人遠淚闌幹,燕飛春又殘。

『菩薩蠻 九』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-9-9-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1652

・縷 金の糸。また、金色の糸。


小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。簾腰に庭の杏もここの女も春を過して枯れ落ちている。花の香り、お香もすでに斷垂れ薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

・檻 猛獣や罪人が逃げないように入れておく、鉄格子などを使った頑丈な囲い、または室。

・悄悄 1 元気がなく、うちしおれているさま。悄然。「―として引き返す」 2 静かでもの寂しいさま。 すご‐すご【悄悄】: [副]気落ちして元気がないさま。また、元気なくその場をたち去るさま

・杏花 ピンク色の花。 桜とよく似ている。 開花は桜より少しだけ早いようだ。 幹の部分は桜と同じく 横向きの線が入る。閨怨詩では女性自身に喩えられる。

・鏁 ①. 0 戸・箱の蓋(ふた)などにつけて,自由に開閉できないようにする金具。 -をさす」 -をおろす」. . 1 錠剤。

カンナ223