張泌南歌子 三首 其三行楽に行っても錦の筵を敷きこめていたし、頬を赤くした女は鴛鴦のように寄り添っていた。閨では薄絹の着物を着ていてそれには寶應の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々であった。


2013年11月21日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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南歌子 三首之三 張泌【ちょうひつ】  Ⅹ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-356-7-#18   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3327

 

南歌子三首 其一

(春も過ぎ、夏も過ぎようと、気持ちは遙か彼方へと向かい、女はもうあきらめてしまうしかない。)

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

柳はすっかりみどりの色を茂らせては高殿を遮って影暗くしている、桐の花はこの世界のみぎりの石に散り落ちていく。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

夏が来て女妓の閨の窓を開ければ遠くより吹き寄せる風涼しい、水晶の簾を巻き掲げてば、夕日の光射し入り来る。

(南歌子三首 其の一)

柳色 樓を遮りて暗く,桐花 落砌【みぎり】香し。

畫堂 開く處 遠風 涼しく,高く水精の簾額を卷けば,斜陽を襯【つ】く。
hayashi880

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南歌子三首 其二

(諦めてはいたが杜鵑、夢、人の動きによって心が動かされるものの、そこには寂蓼だけがのこるを詠う。)

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

岸の柳は今年も芽を吹き、もう縁の靄のようになっている、中庭の花には、日に映えて紅が一層美しい。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

あちこちでホトトギス鳴く声が聞こえ、簾かかる連子窓越しに誰かが入って來る、窓近き名残りの夢は破られたがもしかあの人かと思うが、絵屏風の虚しく寂しい。

(南歌子三首 其の二)

岸の柳は煙綠に拖【ひ】きて,庭花は日に照えて紅なり。

數聲 蜀の魄 簾櫳に入り,驚斷す 碧の殘夢,畫屏空しうす。

hayashi880
 

南歌子三首 其三

(秋も過ぎ、ふゆがきても、閨の準備は満ち足りた時と何も変わらない、気持ちはふさぎ込むだけである。)

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

行楽に行っても錦の筵を敷きこめていたし、頬を赤くした女は鴛鴦のように寄り添っていた。閨では薄絹の着物を着ていてそれには寶應の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々であった。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻があるが女の心には北風が吹き荒れ雪が舞い飛んでしまっている。簾ととばりもすべておろして何事無かったようにあの人を待ち受けている、黄金に耀いた飾にお香をたいているけれど気持ちは晴れ晴れとすることはなくふさぎ込む。

 

(南歌子三首 其の三)

錦薦 紅の鸂鶒,羅衣 繡の鳳凰。

綺疎 飄雪 北風の狂,簾幕 盡く垂れ 事無し,金香鬱にす。

 

杏の花01
 

『南歌子三首 其三』 現代語訳と訳註

(本文)

南歌子三首 其三

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

 

 

(下し文)

(南歌子三首 其の三)

錦薦 紅の鸂鶒,羅衣 繡の鳳凰。

綺疎 飄雪 北風の狂,簾幕 盡く垂れ 事無し,金香鬱にす。

 

 

(現代語訳)

(秋も過ぎ、ふゆがきても、閨の準備は満ち足りた時と何も変わらない、気持ちはふさぎ込むだけである。)

行楽に行っても錦の筵を敷きこめていたし、頬を赤くした女は鴛鴦のように寄り添っていた。閨では薄絹の着物を着ていてそれには寶應の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々であった。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻があるが女の心には北風が吹き荒れ雪が舞い飛んでしまっている。簾ととばりもすべておろして何事無かったようにあの人を待ち受けている、黄金に耀いた飾にお香をたいているけれど気持ちは晴れ晴れとすることはなくふさぎ込む。

 

 

(訳注)

南歌子三首 其三

(秋も過ぎ、ふゆがきても、閨の準備は満ち足りた時と何も変わらない、気持ちはふさぎ込むだけである。)

『花間集』には張泌の作が二首収められている。単調二十六字、五句三平韻で、5⑤⑦6③の詞形をとる。

春が来ても来てくれない、晩春の日傾く頃になってこない。夏になってもこない、作中の主人公の思いは、遙か彼方へと向かい、もうあきらめてしまうしかない。

温庭筠『南歌子』は下記に示す。

『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736

『南歌子七首』(二)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-31-5-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1740

『南歌子七首』(三)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-32-5-#10 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1744

『南歌子七首(四)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-33-5-#11 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1748

『南歌子七首(五)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-34-6-#12 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1752

『南歌子七首』(六)温庭筠 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-35-7-#13 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1756

『南歌子七首』 (七) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-36-5-#14 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1760

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錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

行楽に行っても錦の筵を敷きこめていたし、頬を赤くした女は鴛鴦のように寄り添っていた。閨では薄絹の着物を着ていてそれには寶應の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々であった。

・薦1 マコモを粗く編んだむしろ。現在は多く、わらを用いる。こもむしろ。「荷車に―を掛ける」2 「薦被(こもかぶ)2」の略。おこも。3 (「虚無」とも書く)「薦僧(こもそう)」の略。4 マコモの古名。

・鸂鶒 おしどり。

 

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻があるが女の心には北風が吹き荒れ雪が舞い飛んでしまっている。簾ととばりもすべておろして何事無かったようにあの人を待ち受けている、黄金に耀いた飾にお香をたいているけれど気持ちは晴れ晴れとすることはなくふさぎ込む。

・綺疎 うつくしい模様をきざみこんだ彫刻、綺疏)、綺窓(キソウ=模様で飾った窓)

・飄雪 雪が風に吹かれ舞い飛ぶ、雪の花をいう。

・鬱 はればれしない気分のこと。