温庭筠《河瀆神 三首其一こんなに啼くと「啼いて血を吐くホトトギス」の逸話のように赤き躑躅が血の色に染ったものだということもわかる。若く美しい蝉の髪の女は愁うことなどまったくない、それは花咲き乱れ草薫る絶頂の良き時を過ごしているのだ。

 

2013年11月27日  の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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河瀆神 三首其一 温庭筠 Ⅹ唐五代詞Gs-362-1-#68 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3357

 

 

河瀆神三首

其一

河上望叢祠,廟前春雨來時。

楚山無限鳥飛遲,蘭棹空傷別離。

何處杜鵑啼不歇,豔紅開盡如血。

蟬鬢美人愁,百花芳草佳節。

 

其二

孤廟對寒潮,西陵風雨蕭蕭。

謝娘惆悵倚欄橈,淚流玉筋千條。

暮天愁聽思歸落,早梅香滿山郭。

迴首兩情蕭索,離魂何處飄泊。

 

其三

銅皷賽神來,滿庭幡蓋徘徊。

水村江浦過風雷,楚山如畫煙開。

離別櫓聲空蕭索,玉容惆悵粧薄。

青麥鷰飛落落,捲簾愁對珠閣。

 

 

河瀆神三首 其一

(道妓の居る祠に向うもの、女妓を伴っておいて出発する者、全くおとずれの居ないもの、鳴くもの喜ぶもの道妓たちの悲喜交々を詠う。)

河上望叢祠,廟前春雨來時。

舟の上より川岸の木立に囲まれた祠に向いながめやる。廟殿の辺りも巫女が成り変わった春雨の降り来ているころだ。

楚山無限鳥飛遲,蘭棹空傷別離。

この雨は楚の山々にもは果てしない思いがとどき、鳥が緩やかに飛びたつ、道女が加わって舟が発ちに空しく別れを傷むものがいる。

何處杜鵑啼不歇,豔紅開盡如血。

何処にでも杜鵑は鳴くつづけ声が絶えることはない。こんなに啼けば「啼いて血を吐くホトトギス」の逸話のように赤き躑躅が血の色に染ったものだということもわかる。

蟬鬢美人愁,百花芳草佳節。

若く美しい蝉の髪の女は愁うことなどまったくない、それは花咲き乱れ草薫る絶頂の良き時を過ごしているのだ。

(河瀆神三首其の一)

河上 叢祠【そうし】を望み,廟前 春雨來たる時。

楚山 限り 無く鳥 飛ぶこと遲く,蘭棹【らんとう】空しく別離を傷【いた】む。

何處にか 杜鵑【ほととぎす】啼き歇【や】まざるに,豔紅【えんこう】開き盡して血の如し。

蟬鬢【ぜんびん】の美人 愁【た】たば,百花 芳草 佳節なり。

美女004
 

 

『河瀆神三首 其一』 現代語訳と訳註

(本文) 河瀆神三首 其一

河上望叢祠,廟前春雨來時。

楚山無限鳥飛遲,蘭棹空傷別離。

何處杜鵑啼不歇,豔紅開盡如血。

蟬鬢美人愁,百花芳草佳節。

 

(下し文)

(河瀆神三首其の一)

河上 叢祠【そうし】を望み,廟前 春雨來たる時。

楚山 限り 無く鳥 飛ぶこと遲く,蘭棹【らんとう】空しく別離を傷【いた】む。

何處にか 杜鵑【ほととぎす】啼き歇【や】まざるに,豔紅【えんこう】開き盡して血の如し。

蟬鬢【ぜんびん】の美人 愁【た】たば,百花 芳草 佳節なり。

 

 

(現代語訳)

(道妓の居る祠に向うもの、女妓を伴っておいて出発する者、全くおとずれの居ないもの、鳴くもの喜ぶもの道妓たちの悲喜交々を詠う。)

舟の上より川岸の木立に囲まれた祠に向いながめやる。廟殿の辺りも巫女が成り変わった春雨の降り来ているころだ。

この雨は楚の山々にもは果てしない思いがとどき、鳥が緩やかに飛びたつ、道女が加わって舟が発ちに空しく別れを傷むものがいる。

何処にでも杜鵑は鳴くつづけ声が絶えることはない。こんなに啼けば「啼いて血を吐くホトトギス」の逸話のように赤き躑躅が血の色に染ったものだということもわかる。

若く美しい蝉の髪の女は愁うことなどまったくない、それは花咲き乱れ草薫る絶頂の良き時を過ごしているのだ。

 

(訳注)

河瀆神三首

唐の教坊の曲名。『花間集』には六首所収。温庭筠の作は三首収められている。双調四十九字、前段二十四字四句四平韻、後段二十五字四句四仄韻で、⑤⑥⑦⑥/❼❻❻❻の詞形をとる。張泌の作が一首、孫光憲の『河瀆神』参照。河瀆神 一首 張泌【ちょうひつ】ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-359-7-#21  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3342

河瀆神三首 其一

(道妓の居る祠に向うもの、女妓を伴っておいて出発する者、全くおとずれの居ないもの、鳴くもの喜ぶもの道妓たちの悲喜交々を詠う。)

岸に取り残された女妓、最前から止むことなく聞こえて来る悲しい杜鴎(ホトトギス)の声。血を吐くようなその声は、女に代わって男を引き止めるかのように、「不如帰(帰るに如かず)」、「不如帰去(帰り去るに如かず)」と鳴く。そればかりか、周囲に咲く真っ赤な肺臓(ツツジ) の花は杜酷が鳴いて吐いた血に染まったものであると言い、女の悲しみを際だたせる。

 

 

河上望叢祠,廟前春雨來時。

舟の上より川岸の木立に囲まれた祠に向いながめやる。廟殿の辺りも巫女が成り変わった春雨の降り来ているころだ。

〇河上 川の上から。

〇叢祠 木立に囲まれた祠。

 

楚山無限鳥飛遲,蘭棹空傷別離。

この雨は楚の山々にもは果てしない思いがとどき、鳥が緩やかに飛びたつ、道女が加わって舟が発ちに空しく別れを傷むものがいる。

○楚山無限 楚の山々が果てしなく続くさまを言うと同時に、男の尽きぬ別離の思いを暗示する。

○蘭柑 木蘭の木で作った棹。ここは舟に華やかな女性が加わった様を云う。この二句は、選ばれた道妓とえらばれない道妓についていう。道妓については韓愈『華山女』李商隠『聖女祠』『重過聖女祠』などあり、場面設定を明確にしないと意味が正しく理解できない。

 

何處杜鵑啼不歇,豔紅開盡如血。

何処にでも杜鵑は鳴くつづけ声が絶えることはない。こんなに啼けば「啼いて血を吐くホトトギス」の逸話のように赤き躑躅が血の色に染ったものだということもわかる。

ホトトギス
○杜鵑
 ホトトギス。中国では古くからホトトギスの鳴き声を「不如帰(帰るに如かず)」または「不如焔去(帰り去るに如かず)」と聞きなしてきた。蜀の望帝の春を思う心は、血を吐いて悲しげになく杜鵑(ホトトギス)に魂を托(たく)した。望帝が百余歳のころ、楚(そ)の国で鼈霊(べつれい)という男が死んだ。ところが、その死体は長江を遡(さかのぼ)り、蜀の都に流れ着いて生き返り、望帝に会いに来た。そこで、望帝は鼈霊を宰相に任命した。おりしも、蜀で大洪水が起こり、鼈霊がまるで禹と同じように活躍し、それを治めた。ところが、この後、望帝は鼈霊の妻と密通してしまい、良心の呵責(かしゃく)にさいなまれて鼈霊に位を譲った。王となった鼈霊は開明帝と称したが、望帝の方は退位後に修行を積んでホトトギスとなり、毎年春が来るたびに鳴いた。蜀の人々はその鳴き声を聞いて望帝をしのんだという。

それを知った杜宇ホトトギスは嘆き悲しみ、「不如帰去」(帰り去くに如かず。帰ることが出来ない。)と鳴きながら血を吐いた。ホトトギスの口が赤いのはそのためだ。詳しくは杜甫『杜鵑行』を参照されたい。

不如帰、杜宇、杜鵑、蜀魂、蜀鳥、杜魄、蜀魄、子規、躑躅。李白『宣城見杜鵑花』「蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑」

杜甫『杜鵑行』

君不見昔日蜀天子,化作杜鵑似老烏。

寄巢生子不自啄,群鳥至今與哺雛。

雖同君臣有舊禮,骨肉滿眼身羈孤。

業工竄伏深樹裡,四月五月偏號呼。

其聲哀痛口流血,所訴何事常區區。

爾豈摧殘始發憤,羞帶羽翮傷形愚。

蒼天變化誰料得,萬事反覆何所無。

萬事反覆何所無,豈憶當殿群臣趨?

杜鵑行 杜甫 成都(2)浣花渓の草堂(2 -16-1)  <379 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1831 杜甫詩1000-379-557/1500

浣渓沙 十首 其一 張泌【ちょうひつ】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-339-7-#1  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3242

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天仙子 其四 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-273-5-#27  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2912

楊蘊中 薛濤  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-245-111-#101  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2607

蜀中三首 其三 鄭谷  唐五代詞・宋詩 薛濤-135-7-#3  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2222

菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644

○艶紅開尽如山 伝説によれば、ホトトギスは周末の蜀の望帝が亡き妻を求めて化身した鳥で、鳴き続けて喉から吐いた血がツツジの花になったと逸話もある。男女間の問題で何処でも鳴き続け、血を吐くようなことはあるものだという。

 

蟬鬢美人愁,百花芳草佳節。

若く美しい蝉の髪の女は愁うことなどまったくない、それは花咲き乱れ草薫る絶頂の良き時を過ごしているのだ。

○蝉鬢 透明で黒い麹脈の入った蝉の羽のような鬢。薄く梳いた女の鬢の毛をいう。雲型もとあり、流行があったもの。
雲髻001