顧夐 虞美人六首 其四 番いの鳳凰が棲むという梧桐の葉が茂った中で二人過していたというのに、日が西に傾くと閨の薄絹の窓に影を映す。咲きほこっていた花は鶯が春を告げるのをやめてしまうと枯れ始める。(見るもの聞くものすべて厭になってくる)小さな閨の屏風には春の山が画かれ折れ曲がって立ち、牀には空しく青い山のようにおんなが横たわる、翡翠のとばり、香りの高い白粉をつけ、飾がかがやく香炉には香が消えて久しく寒々としている。ここには二人の同じ境遇の女が集まっている。


2014年3月1日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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花間集『虞美人』十四首

毛文錫(毛司徒文錫)

虞美人二首

顧太尉

虞美人六首

孫少監光憲

虞美人(虞每人)二首

鹿太保虔扆

虞美人一首 

閻處士選

虞美人二首

李秀才珣

虞美人一首

 

 

虞美人六首

其一

(逢えなくても我慢してきた春の心が約束の日にも訪ねてくれず、心も体も満たされず、女の浮気心を目覚めさせることを詠う。)

曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。

夜も眠りにつけずうとうととしていると、春を告げに鶯が啼き、あの人と過ごす夢の続きを破られてしまう。起き上がり、寝床を離れて金泥の鳳模様の簾を巻き上げてみる。

宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。

寝化粧はそのまま残っていて、酒はいくら飲んでも初めから酔いはしなかった、鏡を見て、翡翠の簪を物憂げの心でなおしてみて、雲母の屏風に寄り添ってみる。どうみてもこれだけ艶めかしさいっぱいなのだ。 

香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。

香しき薄紅色の白粉を眉尻から頬にかけてすかしを入れて、桃の花のように優しい顔に化粧をなおした。涙がにじむので薄絹の袂でそっとなんども拭う。

佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

逢瀬の約束の日というのに、再び語り合うことが出来ないという、恨めしき気持ちのまま堪えなければいけないのだ。奥の院の庭一面に草花は生えさきみだれ、やがて柳のはがしげって暗く影を為す季節になろうという、春になればあの人と情を交わし合うという期待はやぶられてしまった、もうその気持ちは失って他の人に思いを寄せることになるのだろうか。

(虞美人六首其の一)

曉の鶯 啼き破りて相いに夢を思い,簾 金泥の鳳を看る。

宿粧 猶お酒 初めの醒る在り,翠翹 慵じて雲屏にる倚を整え,轉た娉婷たり。

香檀 細かに畫き 桃臉を侵し,羅袂 輕輕として斂む。

佳期 恨むに堪え 再び尋ね難き,綠蕪 院に滿ち 柳 陰を成し,春心に負く。 

其二

(逢えなくて、別れてもなおわすれることもできないでいる、うらむだけでは生きていけないと廣い気持ちになろうと思いなおすと詠う。)

觸簾風送景陽鐘,鴛被繡花重。

そよ風が簾を揺らしていく、春麗らかな昼下がり時を告げる鐘の音が聞えてくる。閨には鴛鴦の刺繍に牡丹の花が重ねて刺繍している蒲団がかけられている。

曉幃初卷冷煙濃,翠勻粉黛好儀容,思嬌慵。

とばりに明け方の日差しが当たってきたのではじめて巻き上げてみると、朝未だ冷たく朝もやがまだ濃く漂う。眉の緑が薄くなっているので粉の眉でなおすとやっと美しい晴れやかな顔になった。だけど、この艶やかさをだれに見せるともないので物憂げな気持ちになってしまう。

起來無語理朝粧,寶匣鏡凝光。

また、起き上がって窓辺に立って見ても、誰に話すこともなく、朝の化粧に整えてみる。どの飾にしようかと宝物の小箱を手にとると、その二朝日が射しこんで鏡が反射するように輝いた。

綠荷相倚滿池塘,露清枕簟藕花香,恨悠揚。

まだ緑の蓮の葉と蕾はそれぞれ寄り添っていて池の端にはいっぱいに繁っている。自分の身は清廉なもので枕にも、簟のシーツにもきれいなもので・別れたのに忘れられずに花の香りをこの閨に広げている。どんなに恨んでみても落ち着いてあの人のことを思い続けよう。

 

(虞美人六首、其の二)

簾觸れ 風送りて 景陽の鐘,鴛の繡の花重るを被う。

曉の幃 初めて卷き 煙濃を冷くし,翠 勻【すくな】く 粉黛す 好く儀容し,嬌やかと慵うくを思う。

起き來りて 語らる無く 朝粧を理【おさめ】る,寶匣 鏡 光を凝【かため】る。

綠荷【ろくか】相い倚り 池塘に滿つ,露清く 枕簟【ちんてん】藕花【ぐうか】の香,悠揚【ゆうよう】を恨む。

其三

(あれほどもてはやされた乙女のころが思い出され、どうしてこうなったのか悔やんで暮らす女を詠う)その三

翠屏閑掩垂珠箔,絲雨籠池閣。

翡翠に飾られた屏風の閨は、金箔、銀箔の簾は静かに垂れて、今は何事もなく静けさに被われる、糸を引く雨は池に降り、そのむこうに籠の中のように高閣がある。

露粘紅藕咽清香,謝娘嬌極不成狂,罷朝粧。

おなじ絲でも紅いれんこんの絲は、その露はねばりからまって、清らかなほのかな香りのなかで、むせびなくものである。生娘だったころは喘ぎ声を限りに叫んだものだが決して狂ったわけではない。そんなとき、朝が来ても、疲れ果てて朝の化粧なおしをする気になれないものだった。

小金鸂鶒沉煙細,膩枕堆雲髻。

金糸のおしどりのとばりにお香の煙が細くたなびきやがて消えてゆく、情事を重ねて枕に残る汗と脂ののこる枕にまた雲型の髪をまたのせる。

淺眉微斂炷檀輕,舊懽時有夢魂驚,悔多情。

年を重ねると眉が少し薄れてしまうが眉間にしわを作ってしまうし、白檀を少し焚くと軽やかに立ち上るだけにしてしまう。あれは少し前のことみたいなのに、夢の中では乙女のころのままのことが思い出されて驚いて起きてしまう。あの夢多かりし頃を懐かしんでまた悔やんでしまう。

(其の三)

翠屏 閑かに掩う 珠箔を垂れ,絲の雨 籠池の閣。

露粘 紅藕 清香に咽び,謝娘 嬌極めて 不成狂,罷朝粧。

小金 鸂鶒 煙細やかに沉み,膩枕 雲髻を堆す。

淺眉 微斂 檀輕やかに炷【くゆら】せ,舊懽れ有る時に夢魂に驚き,多情を悔む。
 

其四

其四

(貴公子にもてあそばれた女を詠う。)

碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。

番いの鳳凰が棲むという梧桐の葉が茂った中で二人過していたというのに、日が西に傾くと閨の薄絹の窓に影を映す。咲きほこっていた花は鶯が春を告げるのをやめてしまうと枯れ始める。(見るもの聞くものすべて厭になってくる)

小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。

小さな閨の屏風には春の山が画かれ折れ曲がって立ち、牀には空しく青い山のようにおんなが横たわる、翡翠のとばり、香りの高い白粉をつけ、飾がかがやく香炉には香が消えて久しく寒々としている。ここには二人の同じ境遇の女が集まっている。

顛狂少年輕離別,辜負春時節。

女に狂ってあちこちの女に手を出している貴公子は軽い気持ちで別れていく、それを罪悪感のない気持ちでやってしまうのは女にとってこの春の季節に背いた生活を強いていることになる。

畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

うす絹に描かれた赤い袂を泣きぬれた涙の跡が残っている。男を求める思いは消え、話す人も言葉もなく花街の入り口の門に寄り添って佇む。今しも黄昏時になろうとしている。

(其の四)

碧の梧桐 紗の晚を映し,花 鶯聲の懶を謝す。

小屏 屈曲 青山を掩い,翠幃 香粉 玉爐の寒,兩つながらの蛾を攢める。

狂を顛じて少年 離別を輕くし,辜 春の時節に負【そむ】く。

羅に畫く紅の袂 啼痕有り,魂消 語無く閨門に倚り,黃昬ならんと欲す。

 

其五

深閨春色勞思想,恨共春蕪長。

黃鸝嬌囀泥芳妍,杏枝如畫倚輕煙,鏁前。

凭欄愁立雙蛾細,柳影斜搖砌。

玉郎還是不還家,教人魂夢逐楊花,繞天涯。

 

其六

少年豔質勝瓊英,早晚別三清。

蓮冠穩篸鈿篦橫,飄飄羅袖碧雲輕,畫難成。

遲遲少轉腰身裊,翠靨眉心小。

醮壇風急杏花香。

此時恨不駕鸞皇,訪劉郎。

 

 

『虞美人六首』 現代語訳と訳註

(本文) 虞美人六首

其四

碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。

小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。

顛狂少年輕離別,辜負春時節。

畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

 杏の花01

(下し文)

(其の四)

碧の梧桐 紗晚をし,花 鶯聲の懶を謝す。

小屏 屈曲 青山を掩い,翠幃 香粉 玉爐の寒,兩つながらの蛾を攢める。

狂を顛じて少年 離別を輕くし,辜 春の時節に負【そむ】く。

羅に畫く紅の袂 啼痕有り,魂消 語無く閨門に倚り,黃昬ならんと欲す。

 

(現代語訳)

(貴公子にもてあそばれた女を詠う。)

番いの鳳凰が棲むという梧桐の葉が茂った中で二人過していたというのに、日が西に傾くと閨の薄絹の窓に影を映す。咲きほこっていた花は鶯が春を告げるのをやめてしまうと枯れ始める。(見るもの聞くものすべて厭になってくる)

小さな閨の屏風には春の山が画かれ折れ曲がって立ち、牀には空しく青い山のようにおんなが横たわる、翡翠のとばり、香りの高い白粉をつけ、飾がかがやく香炉には香が消えて久しく寒々としている。ここには二人の同じ境遇の女が集まっている。

女に狂ってあちこちの女に手を出している貴公子は軽い気持ちで別れていく、それを罪悪感のない気持ちでやってしまうのは女にとってこの春の季節に背いた生活を強いていることになる。

うす絹に描かれた赤い袂を泣きぬれた涙の跡が残っている。男を求める思いは消え、話す人も言葉もなく花街の入り口の門に寄り添って佇む。今しも黄昏時になろうとしている。

 蜀の山50055

 

(訳注)

3 -4 虞美人六首 其四

『花間集』には顧夐の作が六首収められている。双調五十八字、前後段五句二十九字二仄韻三平韻で、❼❺⑦⑦③/❼❺⑦⑦③の詞形をとる。他の男が手を出せない、美しい女妓、宮女を虞美人としてうたうもの。

 

虞美人六首其四

(貴公子にもてあそばれた女を詠う。)詩の初めに、「碧梧桐」は詩詞で凋落を意味する語で、同様に「紗」:さびい閨、「花謝」:花が凋む、「鶯聲懶」:鶯が啼かなくなる―春が終わる、「掩青山」:春の山に被われる―女は横になっているだけ。「玉爐寒」:香炉にお香を焚かない。-人が来ない。「兩蛾攢」:同じ境遇の女が二人。「顛狂少年」:色ボケ、好き勝手なことをする貴公子。「輕離別」「辜」「負春時節」「有啼痕」「魂消」「無語」「倚閨門」「欲黃昬」とすべての語が妓女が女として生きていくのが嫌になったという語で作られた悲しい詞である。閨怨詩の五句のテキストである。

 

碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。

番いの鳳凰が棲むという梧桐の葉が茂った中で二人過していたというのに、日が西に傾くと閨の薄絹の窓に影を映す。咲きほこっていた花は鶯が春を告げるのをやめてしまうと枯れ始める。(見るもの聞くものすべて厭になってくる)

梧桐 梧桐の葉に棲む鳳凰のつがい。鳳凰は梧桐の木に棲むとされる。『詩経』大雅・巻阿に「鳳凰鳴けり、彼の高岡に。梧桐生ぜり、彼の朝陽に」。その鄭玄の箋に「鳳凰の性は、梧桐に非ざれは棲まず。竹の実に非ざれは食わず」。

・梧桐 こどう 立秋の日に初めて葉を落とす。大きな葉を一閒一枚落としてゆく青桐は凋落を象徴するもの。特に井戸の辺の梧桐は砧聲と共に秋の詩には欠かせない。李煜「采桑子其二」李煜「烏夜啼」温庭筠「更漏子」李白「贈舎人弟台卿江南之」李賀「十二月楽詞」などおおくある。玄宗と楊貴妃を喩える場合もある。

 

 

小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。

小さな閨の屏風には春の山が画かれ折れ曲がって立ち、牀には空しく青い山のようにおんなが横たわる、翡翠のとばり、香りの高い白粉をつけ、飾がかがやく香炉には香が消えて久しく寒々としている。ここには二人の同じ境遇の女が集まっている。

攢 []集める,集めまとめる攒钱金を集める. []群がる,密集する.

青山 ここでの山は女性が横たわった姿を言い、青いは若いことを示す。若い女性が何もすることがなくて、ただ横になっているだけのようすをいう。

 

顛狂少年輕離別,辜負春時節。

女に狂ってあちこちの女に手を出している貴公子は軽い気持ちで別れていく、それを罪悪感のない気持ちでやってしまうのは女にとってこの春の季節に背いた生活を強いていることになる。

顛狂 気が狂う。動作が落ち着かないことの喩え。顛:てっぺん。物の先端。逆さになる。ひっくり返る。杜甫『句漫興九首、其五』「腸斷春江欲盡頭,杖藜徐步立芳洲。顛狂柳絮隨風去,輕薄桃花逐水流。」(腸斷 春江 盡きんと欲するの頭【ほと】り,藜【あかざ】に杖して徐【おもむろ】に步み芳洲に立つ。顛狂 柳絮 風に隨って去り,輕薄 桃花 水流に逐う。)

少年 ・少年 貴族の子弟が酒屋において傲慢に酒を貪ったさまをうたう。(762)宝応元年、杜甫51歳の成都での作品。李白や、王維の同名の作品は楽府、音楽に合わせて歌うように詩を読むものであるが、杜甫のこの詩は七言絶句の形式の歌行である。同種の『貧孝行』がある。唐詩で「少年」といえば、

王維 『少年行』
新豐美酒斗十千,咸陽遊侠多少年。
相逢意氣爲君飮,繋馬高樓垂柳邊。 
李白17少年行
少年行      
五陵年少金市東、銀鞍白馬度春風。
落花踏尽遊何処、笑入胡姫酒肆中。

 王昌齢『少年行』
走馬遠相尋,西樓下夕陰。結交期一劍,留意贈千金。高閣歌聲遠,重門柳色深。夜闌須盡飲,莫負百年心。
いなせな若者や壮士を詠う。

杜甫 少年行 

馬上誰家白面郎、臨階下馬坐人牀。

不通姓氏麤豪甚、指點銀瓶索酒嘗。

少年行 杜甫 蜀中転々 杜甫 <501>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2695 杜甫詩1000-501-733/1500

韓愈『遊城南十六首:嘲少年』

直把春償酒,都將命乞花。

祗知閒信馬,不覺誤隨車。

(城南に遊ぶ十六首:少年を嘲る)

直【ただち】に春を把って酒を償【つぐな】い、都【すべ】て命を將って花を乞【あた】う。

祗だ知る 閑に馬に信【まか】するを、覚えず 誤って車に随ふを。

遊城南十六首:嘲少年 韓愈(韓退之) <182>Ⅱ中唐詩793 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2949

 

辜 (1) 罪无辜罪のない.(2) [](好意・期待などを)無にする,背く

 

畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

うす絹に描かれた赤い袂を泣きぬれた涙の跡が残っている。男を求める思いは消え、話す人も言葉もなく花街の入り口の門に寄り添って佇む。今しも黄昏時になろうとしている。
美女画55101道観