(妓楼に遊んだ男が妓女について詠った)土塀の奥の門を叩いたら、内側より直ちにお客の訪れ知ってくれて応対してくれる。女が客にいよいよ会う時になると袖でわずかに顔隠し、流し目をしてくる。可愛がられると、全く男の方を見ないでもじもじしている。次に、頭を低く下げて恥ずかしそうに「壁に書かれた詩はどんな意味なの」と尋ねたのだ。

        
 2014年5月16日の紀頌之5つのブログ 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
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14-349

《浣溪紗九首(9)》孫光憲(孫少監光憲)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-532-14-(349)  花間集 巻第七 (十三首)漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4207

 

花間集

 

浣溪沙九首       其一

 (秋には帰るといって旅立った人を何度も秋を迎えたが帰ってこない。雁が見えなくなるように、川が流れ去るように忘れていくことになるのか、もう死んでしまったのなら、瀟湘の女神にもあこがれる)

    蓼岸風多橘柚香,江邊一望楚天長,片帆煙際閃孤光。

岸辺には蓼がしげる中を風がぬけると橘や柚子の香りを運んでくる、大江のほとりから一望すると楚の秋の空ははるかとおくまでつづく、一片の帆影を浮かべて霞む果てには風雨を呼ぶ閃光が一つきらめく。

    目送征鴻飛杳杳,思隨流水去茫茫,蘭紅波碧憶瀟湘。

             

女の眼は遠く飛び行く雁を消えて飛び去るまで追いかける、遠い先の帰ってこない男への思いは長江の流れとともに忘れ去ってしまう、蘭の花は紅色濃く、波は碧く瀟湘の慕情を偲ばせる。

(浣溪沙九首 其の一)

蓼岸【りょうがん】風 橘柚の香多くし,江邊 一望 楚天長しい,片帆 煙際に 孤光 閃く。

目【もく】せば 征鴻を送れば 飛びて杳杳たり,思いは流水に隨い去りて茫茫たり,蘭は紅いに 波は碧く 瀟湘を憶う。

             

浣溪沙九首           其二
(又春が来ても、秋になっても、若いころ詩を作り、もてはやされた女も今やだれも寄り付かない、夜も眠れずこれから先どうしてよいやら精神的に追い込まれた女を詠う)


    桃杏風香簾幕閑,謝家門約花關,畫梁幽語鷰初還。

桃と杏の花が咲く中を風が抜けて香りを運んでくる、簾と幔幕はおろしたままで静かなものだ。愛妾の家には門の扉は閉められたままで、花は満開に咲いているのにそのまま締めくくっている。秋にもすぎ、いろどられた梁の上の燕はもう帰ったのだろう鳴き声などなく静かになった。

    繡閣數行題了壁,曉屏一枕酒醒山,卻疑身是夢魂間。

窓に刺繍を張った樓閣にしばしば通い、そこの壁にこの詩を題して書き記したし、明方に屏風を動かしてやっと横になって眠ろうとするがもうお酒の酔いが醒めて眠れない。こんなことを毎日している。夢とうつつとの間を行ったり来たりの生活を、この身をどうしたらよいのか、

 

              浣溪沙九首           其二

桃杏から風香し 簾幕閑なり,謝家の門 花關に約し,畫梁には幽語 鷰初めて還る。

繡閣 數ば行く 題 壁に了し,曉屏 一枕 酒 山に醒め,卻て疑う 身是とし夢魂の間に。            


浣溪沙九首
           其三        

(若くて溌剌とした女も年を重ねてしまい他の女が辿ったおんなじ運命と同じ道をたどってしまうことになった)其三

              花漸凋疎不耐風,畫簾垂地晚堂空,墮階縈蘚舞愁紅。

庭一杯に咲いていた花もしだいに枯れて摩あらになってきて風が吹いて来てもう花を残しておくことが出来ない。閨には誰も来ないのできれいな簾は下におろしたまま夕方の奥座敷は誰もいなくて空しさが広がる。ここであれだけ華やかで、鮮やかで、繁栄していたのに今は見る影もなく頬を赤く染めるも愁いに満ちて一人で踊っている。

              膩粉半粘金靨子,殘香猶暖繡薰籠,蕙心無處與人同。

化粧は染み出た肌の油で崩れ、金の付けボクロも半ばとれそうだ。閨に香の香りは残っているがまだ刺繍の台に乗った網籠の香炉にはあたたかさがのこっている。美人の麗しい心はもうここにはなくて歳をとってしまえば行く末はおんなじようになってしまう。

(浣溪沙九首 其の三)

花 漸く凋疎 風に耐えず,畫簾 地に垂れ 晚の堂 空し,階墮ち 縈蘚 愁紅に舞う。

膩粉 半粘 金靨子,殘香 猶お暖く繡薰籠,蕙心 處に無く 人と同じうす。
             

浣溪沙九首           其四

(日がな一日物憂げに暮らし、季節が過ぎていくのも可惜過している。悲しみと愁いが廻って次々と生まれてくる。歳を重ねて訪れるものがいない女を詠う。)

              攬鏡無言淚欲流,凝情半日懶梳頭,一庭疎雨濕春愁。

鏡を手にとって言葉もなくもう涙をこらえられなくてこぼれて来そうである、いまはあの人への気持ちを持ち続けていることができる日がある間は、何もする気にならず髪の毛にくしを当てることもしていない。ここの中庭には時折雨が降り春というのに愁いに気持ちも湿っている。

              楊柳秖知傷怨別,杏花應信損嬌羞,淚沾魂斷軫離憂。

男柳と女柳の枝はたれているのはただ見て季節を知るだけ、やっぱりあの別れは傷ついて恨みに思う、春の盛りの杏の花の咲くころ、手紙で答えてくれたから恥を忍んで愛嬌をだしていたのにそれは違っていた。なみだはとめどがなくながれきものをぬらすのでこころもきれてしまう、愁い悲しみから離れてもまた患いと悲しみがやってくる。

(浣溪沙九首 其の四)

鏡を攬り 無言にして 淚 流んと欲す,情を凝らし 半日 頭を梳くを懶く,一庭に 疎雨あり 春愁に濕う。

楊柳 秖だ知るも 怨別に傷み,杏花 應信あり 嬌羞を損い,淚沾い 魂斷し 離憂を軫る。     

             

浣溪沙九首           其五

(細身の素晴らしい妓女とひと時を過ごした。一目ぼれしたもののシャイでそれ以上何もできない、それから後も何にも知らない)
              半踏長裾宛約行,晚簾疎處見分明,此時堪恨昧平生。

細腰の女妓が半歩ずつ、長い裾の服を引いて、たおやかに小股であるいていく、夕暮れの簾の隙間からはっきりとみえている。このとき恨めしいいとおもったのは、日頃からここに来るわけではないのでもっと親しくなれないことだ。
              早是銷魂殘燭影,更愁聞著品絃聲,杳無消息若為情。              

燃え残る灯火に映る影に既に魂は奪われ、さらに彼女の弦の調べに愁いの耳を傾けすごした、でもそれ以上はその妓女のことは知らない、こんなシャイな自分の思いはどうすればよいのだろう。

              (浣溪沙九首 其の五)

半ば 長く裾を踏み 宛約として行く,晚簾 疎なる處 見ること分明,此の時 恨むに 平生昧きに堪える。

早に是れ  殘燭の影に銷魂し,更聞著するを愁う  品絃の聲,杳として無く 消息 情を若為【いかん】せん。

 

 杏の花0055

             

浣溪沙九首       其六

(春の日長に、胸元をはだけて髪を洗い終えたばかりの女の魅惑的な姿を讃えた詞。)

           蘭沐初休曲檻前,暖風遲日洗頭天,濕雲新斂未梳蟬。

角の手すりの前で髪を洗い終えたばかり、春分を過ぎれば、風は暖かになり、春の日は長くなっていくから、頭を洗って陽気の中にそのままいる。それから、長い髪を頭の上で雲型にまとめてみた、まだ櫛を使って梳くことなどしないし、蝉の簪も付けたりしない。

           翠袂半將遮粉臆,寶釵長欲墜香肩,此時模樣不禁憐。

翡翠色の袂には胸の襟元からなかばさげているけど白い胸を半ば遮ることになっている、長い宝飾の簪が白粉の香り漂う肩に落ちかかろうとしている。こんな有様を見ることができたとどうじに、なんて可愛らしいことと思わずにはいられないのだ。

(浣溪沙九首 其の六)

蘭沐 初めて休む 曲檻の前きに,暖風 遲日 洗頭の天,濕雲 新らたに斂【まと】め 未だ蟬を梳かず。

翠袂 半ば將に 粉臆を遮らんとし,寶釵 長く 香肩に墜ちんと欲し,此の時 模樣 憐れむに禁ぜず。
 

浣溪沙九首       其七

              (遊びに夢中な放蕩男を愛していることの心の葛藤を詠う)

           風遞殘香出繡簾,團窠金鳳舞襜襜,落花微雨恨相兼。

薫く香の残香が風に運ばれてくる、縫い取り詩集の簾から流れ出てゆくと、円い金刺繍の鳳凰が簾の前にゆらゆらと舞う。そぼ降る雨に煙るとともに散る花は愁いを誘う。

           何處去來狂太甚,空推宿酒睡無猒,爭教人不別猜嫌。

何処に行ってしまったのか遊びに夢中な男、「夕べはすっかり酔いつぶれて正体なく寝込んでいた」と、遊び人だと教えられ、それと戦ってきた、それなのに私に猜疑心を抱かせたり、嫌われるようなことをするのでしょうか、別れることになるのはやっぱりいやな事です。

               (浣溪沙九首 其七)

風 殘香を 繡簾より出ずるを遞り,團窠 金鳳 襜襜【たんたん】として舞う,落花 微雨 恨み相い兼ぬ。

何處にか去り來る 狂なる太甚,空推するは 宿酒もて睡り猒くこと無きを,教えに爭い人は別れず 猜嫌するを。    
 

浣溪沙九首           其八

(年を重ねた女が独り閏ですごす。晩春の日の女の無聊を詠う。)

              輕打銀箏墜鷰泥,斷絲高罥畫樓西,花冠閑上午牆啼。

誰に聞かせるわけでもなく弾いていたら,弾いた音に驚いて、燕の泥が銀で飾った琴にぽとりと落ちた、長い蜘蛛の絲は風にあおられ高殿の西窓に掛かり、雄鶏が正面の土塀にとまって鳴いた。

              粉籜半開新竹逕,紅苞盡落舊桃蹊,不堪終日閉深閨。

竹の子の粉を吹いた皮から半ば顔を出した晩春の小路沿いに若竹がつづき、紅い花が散り尽くしてしまったこれまで見なれてきた桃の小道がつづく、こんな春景色が残る中で、どうして一日中、奥まった閏に寵もっているのは堪えられないことだ。

              (浣溪沙九首 其の八)

輕く銀箏【ぎんそう】を打ち鷰泥 墜つ,斷絲 高く畫樓の西に罥【か】かり,花冠 閑【のど】かに午牆【ごしょう】に上り啼く。

粉籜【ふんたく】半ば開き 新竹の逕【けい】,紅苞【こうほう】盡く落ち 舊の桃の蹊【けい】,終日 深閨を閉ざすに 堪えず。

 

浣溪沙九首       其九

(年を重ねた女が独り閏ですごす。晩春の日の女の無聊を詠う。)

     烏帽斜欹倒佩魚,靜街步訪仙居,隔牆應認打門初。

誰に聞かせるわけでもなく弾いていたら,弾いた音に驚いて、燕の泥が銀で飾った琴にぽとりと落ちた、長い蜘蛛の絲は風にあおられ高殿の西窓に掛かり、雄鶏が正面の土塀にとまって鳴いた。

     將見客時微掩斂,得人憐處且先疎,低頭羞問壁邊書。

竹の子の粉を吹いた皮から半ば顔を出した晩春の小路沿いに若竹がつづき、紅い花が散り尽くしてしまったこれまで見なれてきた桃の小道がつづく、こんな春景色が残る中で、どうして一日中、奥まった閏に寵もっているのは堪えられないことだ。

(浣溪沙九首 其の九)

烏帽 斜めに欹【そばだ】て倒にした魚を佩びる,靜かな街を【ひそか】に步み 仙居を訪れる,牆を隔てて應に門を打ち初めるを認むべし。

將に客を見んとする時 微かに斂【ひきし】めるを掩う,人 憐れみを得る處 且つ疎を先んず,頭を低れ  壁邊の書を羞問す。

花蕊夫人006
 

 

『浣溪沙九首 其九』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙九首 其九

烏帽斜欹倒佩魚,靜街步訪仙居,隔牆應認打門初。

將見客時微掩斂,得人憐處且先疎,低頭羞問壁邊書。

 

(下し文)

(浣溪沙九首 其の九)

烏帽 斜めに欹【そばだ】て倒にした魚を佩びる,靜かな街を【ひそか】に步み 仙居を訪れる,牆を隔てて應に門を打ち初めるを認むべし。

將に客を見んとする時 微かに斂【ひきし】めるを掩う,人 憐れみを得る處 且つ疎を先んず,頭を低れ  壁邊の書を羞問す。

 

 

(現代語訳)

(妓楼に遊んだ男が妓女について詠った)

酔っぱらった男は烏紗の帽子を斜めにかぶり、金魚袋を逆さに下げて、静かな街を足音ひそめて仙女の館を訪ねる。土塀の奥の門を叩いたら、内側より直ちにお客の訪れ知ってくれて応対してくれる。

女が客にいよいよ会う時になると袖でわずかに顔隠し、流し目をしてくる。可愛がられると、全く男の方を見ないでもじもじしている。次に、頭を低く下げて恥ずかしそうに「壁に書かれた詩はどんな意味なの」と尋ねたのだ。

紅莓苔子002
 

 

(訳注)

浣溪沙九首

『花間集』には孫光憲の作が六十一首収められている。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦の詞形をとる。

 

其九

(妓楼に遊んだ男が妓女について詠った)

【解説】妓女は、男が門を叩けばそれだけで誰が来たかとすぐに分かり、また男に会っては袖でちょっと顔を隠し、男から可愛がられれば少々初心な態度をとり差ずかしそうに俯いて壁に書かれた詩を尋ねる。彼女のこのような仕草は、男を引きつけるための爛れた作戦ではなく、孫光憲が作詞して壁に書いた詩の意味が全く分からなかった。この時のお客は孫光憲であり、女は尊敬の気持ちで理解しようとした、ということで妓女遊びも楽しい。

 

烏帽斜欹倒佩魚,靜街步訪仙居,隔牆應認打門初。

酔っぱらった男は烏紗の帽子を斜めにかぶり、金魚袋を逆さに下げて、静かな街を足音ひそめて仙女の館を訪ねる。土塀の奥の門を叩いたら、内側より直ちにお客の訪れ知ってくれて応対してくれる。

○烏帽 烏紗帽。隋、唐時代には身分の高い者がかぶったが、後には貴賎に関係なく用いられ、さらには閑居の際にかぶるようになった。

○魚 魚袋。唐代には五品官以上の官僚が身に付けた魚の形をした飾り。品級の違いによって金製、銀製、銅製があった。○倫歩 足音を忍ばせて歩く。○仙居 仙女の館。ここでは妓楼を指す。あるいは女道士のいる道観の可能性もある。当時の通観の尼は多くが春を禦いでいた。

 

將見客時微掩斂,得人憐處且先疎,低頭羞問壁邊書。

女が客にいよいよ会う時になると袖でわずかに顔隠し、流し目をしてくる。可愛がられると、全く男の方を見ないでもじもじしている。次に、頭を低く下げて恥ずかしそうに「壁に書かれた詩はどんな意味なの」と尋ねたのだ。

○掩赦 顔を覆いかくすようにして眼を流し目にしてみて、羞ずかしそうにする。

○且生疎 少男の方を見ないでもじもじする。初心な仕草。
合歓の花