妓女を身請けしたのは大部分が武将、下級官吏、商人たちであったが、身分が賎しいために、彼女たちが正妻になることはきわめて難しかった。一般には彼らの側室とか姫妾になったのである。妓女は身請けされた後でも、依然として家庭の中で賎民の地位を抜けたせず、また主人の中には彼女たちを人間扱いしない者もいた。


 
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9-439《訴衷情二首其一》毛文錫唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-622-9-(439)  五巻漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4657

 

 <芸妓の身請け>

大多数の妓女の最後の願いは、途中で普通の男に身請けされ結婚することだった。しかし、この結婚も彼女たちが愛情を得て、円満な結婚生活を送れるということを決して意味してはいなかった。

 

彼女たちが見初めた人に必ずし.も結婚の意志があったり、身請けの金があったりしたわけではない。また、彼女たちを身請けしようと願い、またその金がある人が、必ずしも彼女たちの意中の人だったわけでもない。

 

妓女を身請けしたのは大部分が武将、下級官吏、商人たちであったが、身分が賎しいために、彼女たちが正妻になることはきわめて難しかった。一般には彼らの側室とか姫妾になったのである。正室になったものは、史書の記載ではただ一例見られるだけである。妓女は身請けされた後でも、依然として家庭の中で賎民の地位を抜けたせず、また主人の中には彼女たちを人間扱いしない者もいた。

 

唐代の著名な小説『雷小玉伝』は妓女の愛情悲劇を描いたものである。霞小玉は李益を心から愛したが、しかし「自らつり合わないことを知り」、李益と結婚する夢はもたなかった。李益が正式の結婚をする前の数年間の恩愛を願っただけである。このささやかな可憐な望みも、李益の裏切りと薄情によって粉々に砕かれ、小玉は悲しみのあまり病気にかかり、恨みを抱いたまま死んでしまった。このような凄惨な愛情悲劇は、まさに唐代の無数の妓女がたどった運命の一縮図であった。

 

妓女たちはこうした悪縁をたいへん恐れ、たとえ逆境にあっても愛と幸せを求めて全力を尽した。妓女たちは色町で世の中の金や人情のはかなさを見つくし、また身請けされて嫁いでも前途は計り難かったので、少なからざる妓女が別の道、つまり出家して仏門に入る道を選んだ。

 春爛漫の美女007

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『訴衷情』 十三首

 

 

作者



初句7字

 

 

溫庭筠(溫助教庭筠)

巻一

訴衷情

鶯語花舞春晝午

 

 

韋莊(韋相莊)

巻二

情二首 其一

燭燼香殘簾半卷

 

 

巻二

訴衷情二首 其二

碧沼紅芳煙雨靜

 

 

毛文錫(毛司徒文錫)

巻五

訴衷情二首其一

桃花流水漾縱橫

 

 

巻五

訴衷情二首其二

鴛鴦交頸繡衣輕

 

 

(顧太尉

巻七

訴衷二首 其一

香滅簾垂春漏永

 

 

巻七

訴衷情二首 其二

永夜人何處去

 

 

魏承班(魏太尉承班)

巻九

訴衷情五首 其一

高歌宴罷月初盈

 

 

巻九

訴衷情五首 其二

春深花簇小樓臺

 

 

巻九

訴衷情五首 其三

銀漢雲晴玉漏長

 

 

巻九

訴衷情五首 其四

金風輕透碧

 

 

巻九

訴衷情五首 其五

春情滿眼臉紅綃

 

 

 

 

 

 

 

 

泰山の夕日02

訴衷情二首

 

訴衷情二首其一

 (この詩は妓女の男に対する誠意を詠ったもの)

桃花流水漾縱橫,春晝彩霞明。

桃の花が咲き誇り、落ちた花弁は流れに乗ってゆきゆらゆら揺れて流れてゆく。のんびりとした昼下がりをのんびりと過ごすと、夕焼けが明るく綺麗だ。

劉郎去,阮郎行,惆悵恨難平。

久しぶりに訪ねて来ていた劉郎は去ってしまい、一度出たら帰ってこない阮郎はいってしまう、恨み嘆いているばかりで、過去の失敗を和らげようとしてもまた失敗をしてしまった。

愁坐對雲屏,算歸程。

年を重ねるほどに、愁いはつのり、あの人と過ごした所縁の雲母の屏風の前に、いつも坐っている、あの人が帰って来るといった日を数えてみるばかり、唯繰り返すだけだ。

何時攜手洞邊迎,訴衷情。

何時になったらこの手を携えて、この窟洞の前に身請けのためにきてくれたあのひとを迎えるのか、あの人を愛するうそいつわりのない心をわかってほしい。

(訴衷情二首其の一)

桃花 流水 縱橫に漾し,春晝 霞明を彩す。

劉郎去って,阮郎行き,惆悵して 難平を恨む。

愁坐して 雲屏に對し,歸程を算す。

何の時にか 手を攜えて 洞邊に迎わん,訴衷の情。

 

 

訴衷情二首其二

鴛鴦交頸繡衣輕,碧沼藕花馨。

隈藻荇,映蘭汀,和雨浴浮萍。

思婦對心驚,想邊庭。

何時解珮掩雲屏,訴衷情。

 

 

『訴衷情二首』 現代語訳と訳註

(本文)

訴衷情二首其一

桃花流水漾縱橫,春晝彩霞明。

劉郎去,阮郎行,惆悵恨難平。

愁坐對雲屏,算歸程。

何時攜手洞邊迎,訴衷情。

 

 

(下し文)

 (訴衷情二首其の一)

桃花 流水 縱橫に漾し,春晝 霞明を彩す。

劉郎去って,阮郎行き,惆悵して 難平を恨む。

愁坐して 雲屏に對し,歸程を算す。

何の時にか 手を攜えて 洞邊に迎わん,訴衷の情。

 

(現代語訳)

(この詩は妓女の男に対する誠意を詠ったもの)

桃の花が咲き誇り、落ちた花弁は流れに乗ってゆきゆらゆら揺れて流れてゆく。のんびりとした昼下がりをのんびりと過ごすと、夕焼けが明るく綺麗だ。

久しぶりに訪ねて来ていた劉郎は去ってしまい、一度出たら帰ってこない阮郎はいってしまう、恨み嘆いているばかりで、過去の失敗を和らげようとしてもまた失敗をしてしまった。

年を重ねるほどに、愁いはつのり、あの人と過ごした所縁の雲母の屏風の前に、いつも坐っている、あの人が帰って来るといった日を数えてみるばかり、唯繰り返すだけだ。

何時になったらこの手を携えて、この窟洞の前に身請けのためにきてくれたあのひとを迎えるのか、あの人を愛するうそいつわりのない心をわかってほしい。

kairo10681
 

 

(訳注)

訴衷情二首

 (この詩は妓女の男に対する誠意を詠ったもの)

『花間集』には毛文錫の作が二首収められている。単調四十一字、九句六平韻で、7⑤33⑤ ⑤③⑦③の詞形をとる。

桃花流水漾縱  春晝彩霞
劉郎去  阮郎行 惆悵恨難

愁坐對雲屏   算歸

何時攜手洞邊迎 訴衷

○○○●●△△  ○●●○○

○○●  △○△ ○●●△○

○●●○△   ●○○

△○○●△○△ ●△○

訴衷情二首其一

詩中に劉郎、阮郎とある劉郎とあり、仙郷⇒道教道女と関連付けられるが、遊女・妓女の花街が仙郷とされる事柄、この詩は妓女の男に対する誠意を詠ったものと考える。

 

桃花流水漾縱橫,春晝彩霞明。

桃の花が咲き誇り、落ちた花弁は流れに乗ってゆきゆらゆら揺れて流れてゆく。のんびりとした昼下がりをのんびりと過ごすと、夕焼けが明るく綺麗だ。

漾 こぼれる,溢れる酒出来酒が溢れる.出笑容笑顔がこぼれる.水がゆらゆら揺れる,たゆとう漾。この二句は夜となく、昼となく逢瀬を過す様子を意味する。次の3句で別れる状況をいうのと対比、状況が一変する。。

春晝 のんびりとした春のひるま。

彩霞 朝焼け,夕焼け.

 

劉郎去,阮郎行,惆悵恨難平。

久しぶりに訪ねて来ていた劉郎は去ってしまい、一度出たら帰ってこない阮郎はいってしまう、恨み嘆いているばかりで、過去の失敗を和らげようとしてもまた失敗をしてしまった。

○劉郎 別れ去る愛しい男。仙桃を味わった浦島太郎のような人物である劉晨=劉郎である夢心地の状態にある男、何年も訪れてくれなくなっているのでこのようにいう。12年もたっていることと、全く景色が変わって、ここにいる女を含めみんなが全く変わっていたというものだ。 劉禹錫『再遊玄都觀』「百畝庭中半是苔,桃花淨盡菜花開。種桃道士今何歸,前度劉郞今又來。」

○阮郎 別れ去って久しく帰らぬ愛しい男。後漢の劉展、阮肇は天台山に薬草を採りに入り、道に迷って仙女に出合い、しばらくともに暮らした。しかし家のことが思い起こされ、帰ってみると、既に数世が過ぎ、見知った人は誰もいなかった。そこで再び山に尋ね入ったが、仙女を探し当てられなかったと言う。以来、阮郎、劉郎は、別れ去る男や別れ去って久しく帰らぬ愛しい男を指すようになった。・檀郎/安仁/潘郎 晋の潘岳のあざな。彼は美男子であり、詩人であったが、妻の死にあい「悼亡」の詩三首を作った。後世、妻の死をなげいた模擬作が多く作られた。潘岳の幼名が檀奴だったので、「檀郎」は夫や恋い慕う男を意味する。・潘岳:安仁。滎陽(けいよう)中牟(河南省)の人。陸機と並ぶ美文の文学の大家で,錦を敷きのべたような絢爛(けんらん)たる趣をたたえられた。ことに人の死を悼む哀傷の詩文を得意とし,亡妻への尽きぬ思いをうたった〈悼亡詩(とうぼうし)〉3首はよく知られる。絶世の美男として,また権門の間を巧みに泳ぎまわる軽薄才子として,とかく話題にこと欠かなかった。八王の乱の渦中で悲劇的な刑死を遂げた。和凝『天仙子二首』其二「洞口春紅飛蔌蔌,仙子含愁眉黛綠。阮郎何事不歸來,懶燒金,慵篆玉。流水桃花空斷續。天仙子二首 其二  和學士凝(和凝【わぎょう】)二十首ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」情けの強い男を「潘郎」といい、劉郞、阮郎、檀郎、安仁など色町の女が男をそう呼んだ。

惆悵 恨み嘆くこと。

難平「難」(困難、難儀)を「平」らにする(平均化する)ことから、過去の失敗を和らげるという意味

 

愁坐對雲屏,算歸程。

年を重ねるほどに、愁いはつのり、あの人と過ごした所縁の雲母の屏風の前に、いつも坐っている、あの人が帰って来るといった日を数えてみるばかり、唯繰り返すだけだ。

○雲屏 雲母でこしらえた屏風、豪奮な調度品、ということも言えるが、同時に、雲を男性と考え、屏は包まれ隠されるという意味。ここでは男性の腕の中にいることを示す。

李商隠《嫦娥》

雲母屏風燭影深、長河漸落暁星沈。

嫦娥應悔倫塞薬、碧海青天夜夜心。

李商隠 『嫦娥』 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集約130首 詩の背景1.道教 2.芸妓 3.嫦娥と李商隠詩参照。

 

 

何時攜手洞邊迎,訴衷情。

何時になったらこの手を携えて、この窟洞の前に身請けのためにきてくれたあのひとを迎えるのか、あの人を愛するうそいつわりのない心をわかってほしい。

洞邊 冠女、巫女、は川辺の窰洞(ヤオトン)の部屋、房に客を迎い入れた。

衷情 うそいつわりのない心。まごころ。誠意。

 

DCF00212
 

<参考>

溫庭筠 訴衷情

鶯語花舞春晝午,雨霏微。

金帶枕,宮錦,鳳凰帷。

柳弱蝶交飛,依依。

遼陽音信稀,夢中歸。

 

鶯語花舞春晝午  雨霏
金帶枕  宮錦 鳳凰帷

柳弱蝶交飛 

遼陽音信稀 夢中

○●○●○●●  ●○○

○●△  ○●  ●○○

●●●○○   △△

○○○△○   △△○

 

 

顧夐 訴衷情二首 其一

香滅簾垂春漏永,整鴛衾。

羅帶重,雙鳳,縷黃金。

外月光臨,沉沉。

斷腸無處尋,負春心。

 

香滅簾垂春漏永  整鴛
羅帶重  雙鳳 縷黃  
外月
斷腸無處負春

○●○○○●●  ●○○

○●△  ○● ●○○ 

?●●△△  ○○

●○○●○  ●○○