愁いや怨みがあったとしても、夢がまさに叶えばいいのだ、そして、何処であっても、歓楽を貪り得られればいいのだ。春を見て、歓楽を見るだけ、宮女にはそんな春がまた来たのだ、こんなことを繰り返す、そこにはうらぶれた寂しさがと長しえに続くのだ。

 
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15-454《生子二首》魏承班Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-637-15-(454)  巻九漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4732

 

 

魏承班 生子二首

 

子二首 其一

(琴を奏でる教坊の宮女・妓優が懸命に自分の持っている芸は、年々上手になるが、腸斷=寵愛が亡くなれば、どんなに努力をしても見向きもされないと詠う。)

煙雨晚晴天,零落花無語。

少し前だと煙雨のようにあいしてくれた夕暮れに晴れに変わるように心も変わってしまった、散り落つ花のように妓優にとって年を重ねるということは声もかけてはもらえぬということなのだ。

難話此時心,梁鷰雙來去。

この宮女や妓優の話というのは難しいもので、歳を重ねればだれもがその心のうちを言いがたいのである、でも春が来れば梁の燕は番いになってきて、子をそだてて去ってゆく。 

琴韻對薰風,有恨和情撫。

初夏の青葉風のころになると奏でる琴の調べに、どんなに恨み心を持っていても妓優の芸の発揮によって、愛を取り戻そうと琴韻を風に乗せるのである。

腸斷斷絃頻,淚滴黃金縷。

情が通い合わないことは、をどんなに糸がしきりに切れるほど琴の演奏してもとどかない、年増の妓優は涙を黄金の糸に滴らせるしかないのだ。

 

(生子二首 其一)

煙雨 晚に晴天なり,零落 花に無語たり。

話り難し 此の時の心,梁の鷰 雙びて來り去る。

琴韻 薰風に對し,恨有るも 情と撫すを和す。

腸斷 斷絃 頻に,淚滴り 黃金の縷に。

 

子二首 其二

(宮女が毎日懸命に待ち続ける、見るだけの春がまた来て、過ぎてゆくと詠う。)その二

寂寞畫堂空,深夜垂羅幕。

いろどられた高楼の奥座敷には訪れる人も誰もいなくてひっそりとして寂しい、それなのに夜が深まればいつものようにお迎えのため、うす絹の幕帳を降ろす。

燈暗錦屏欹,月冷珠簾薄。

燭台の燈火は暗くして錦の屏風を寝牀にそば立てる。月は高く、冷たく照らす真珠の簾に当たり薄い光に照らされる。

愁恨夢應成,何處貪歡樂。

愁いや怨みがあったとしても、夢がまさに叶えばいいのだ、そして、何処であっても、歓楽を貪り得られればいいのだ。

看看又春來,還是長蕭索。

春を見て、歓楽を見るだけ、宮女にはそんな春がまた来たのだ、こんなことを繰り返す、そこにはうらぶれた寂しさがと長しえに続くのだ。

 

(生子二首 其二)

寂寞として 畫堂空しく,深夜 羅幕を垂る。

燈 暗く 錦屏欹てて,月 冷たし 珠簾薄きに。

愁恨 夢應に成り,何處にか歡樂を貪らん。

看て看る 又た春來りて,是に還る 長蕭の索に。

大毛蓼003
 

 

『生子二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

子二首 其二

寂寞畫堂空,深夜垂羅幕。

燈暗錦屏欹,月冷珠簾薄。

愁恨夢應成,何處貪歡樂。

看看又春來,還是長蕭索。

 

(下し文)

(生子二首 其二)

寂寞として 畫堂空しく,深夜 羅幕を垂る。

燈 暗く 錦屏欹てて,月 冷たし 珠簾薄きに。

愁恨 夢應に成り,何處にか歡樂を貪らん。

看て看る 又た春來りて,是に還る 長蕭の索に。

 

(現代語訳)

(宮女が毎日懸命に待ち続ける、見るだけの春がまた来て、過ぎてゆくと詠う。)その二

いろどられた高楼の奥座敷には訪れる人も誰もいなくてひっそりとして寂しい、それなのに夜が深まればいつものようにお迎えのため、うす絹の幕帳を降ろす。

燭台の燈火は暗くして錦の屏風を寝牀にそば立てる。月は高く、冷たく照らす真珠の簾に当たり薄い光に照らされる。

愁いや怨みがあったとしても、夢がまさに叶えばいいのだ、そして、何処であっても、歓楽を貪り得られればいいのだ。

春を見て、歓楽を見るだけ、宮女にはそんな春がまた来たのだ、こんなことを繰り返す、そこにはうらぶれた寂しさがと長しえに続くのだ。

 芍薬001

 

(訳注)

子二首 其二

(琴を奏でる教坊の宮女・妓優が懸命に自分の持っている芸は、年々上手になるが、腸斷=寵愛が亡くなれば、どんなに努力をしても見向きもされないと詠う。)その二

『花間集』 には魂承斑の作が二首収められている。双調四十字、前後段二十字四句二仄韻で、5❺5❺/5❺5❺の詞形をとる。

寂寞畫堂空  深夜垂羅
燈暗錦屏欹  月冷珠簾
愁恨夢應成  何處貪歡
看看又春來  還是長蕭

●●●○△  △●○○●

○●●△○  ●△○○●

○●△△○  △●○○●

△△●○△  ○●△○●

 

寂寞畫堂空,深夜垂羅幕。

いろどられた高楼の奥座敷には訪れる人も誰もいなくてひっそりとして寂しい、それなのに夜が深まればいつものようにお迎えのため、うす絹の幕帳を降ろす。

寂寞 1 ひっそりとして寂しいさま。じゃくまく。「人居を遠く離れた―たる別世界にも」〈柳田・山の人生〉2 心が満たされずにもの寂しいさま。

 

燈暗錦屏欹,月冷珠簾薄。

燭台の燈火は暗くして錦の屏風を寝牀にそば立てる。月は高く、冷たく照らす真珠の簾に当たり薄い光に照らされる。

 

愁恨夢應成,何處貪歡樂。

愁いや怨みがあったとしても、夢がまさに叶えばいいのだ、そして、何処であっても、歓楽を貪り得られればいいのだ。

 

看看又春來,還是長蕭索。

春を見て、歓楽を見るだけ、宮女にはそんな春がまた来たのだ、こんなことを繰り返す、そこにはうらぶれた寂しさがと長しえに続くのだ。

蕭索 もの寂しいさま。うらぶれた感じのするさま。蕭条。
十三夜月