薛昭蘊 花間集巻三40《離別難一首》

離別難一首

寶馬曉鞲彫鞍,羅幃乍別情難。

那堪春景媚,送君千萬里。

半粧珠翠落,露華寒。

燭,青絲曲,偏能鉤引淚闌干。

 

良夜促,香塵綠,魂欲迷,檀眉半斂愁低。

未別心先咽,欲語情難

出芳艸,路東西。

搖袖立,春風急,櫻花楊柳雨淒淒。


薛昭蘊(改訂版)

 

 

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-4.薛昭蘊141《巻三40離別難一首》巻三4041-141〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5907


 

 

 

(旧解)

離別難

(男性から見た、宮女・官妓が情のかよった男を送り出し、これから先どうして貞操を守ってゆくのかその心持を詠う。)
寶馬曉鞲彫鞍,羅幃乍別情難。

夜明け前に出発する男の宝飾で盛装した馬を整え、車には暁の斜め横からの日差しを防ぐためのとばりがかけられ、彫刻に飾られた車前の横木のおおいや鞍も準備されている。閨の薄絹のとばりの中で二人は離れがたい気持ちでいたのだ。

那堪春景媚,送君千萬里。

どうしてまだ春の最中で、この景色を楽しみたいのに、それを堪えねばならないのでしょうか。あのお方を千里も万里もはるかなところへ送らないといけないのでしょうか。

半粧珠翠落,露華寒。

玉と翡翠の簪を落したまま兮そそくさと薄化粧を整えて外に出たのですが、朝露がきれいに降りて光っていてとても寒いのです。

燭,青絲曲,偏能鉤引淚闌干。

昨日の夜の赤い蝋燭と瑟で「靑絲の曲」を奏でたことで一つになった、そんなことを思い出すとひたすら涙を誘い、涙にぬれて渡り廊下の欄干にすがっているのです。

 

良夜促,香塵綠,魂欲迷,檀眉半斂愁低。

こんな素敵な春の夜を二人で過ごせたいい夜だったが、春の夜は短く二人で過ごす良い夜の時はあっという間に過ぎてしまったし、蝋燭の火も燃え尽きそうで、香炉のお香もいつしか消えていたのも気が付かず過したのです。別れるのがつらく眉が檀になり、眉間にしわを寄せてしままったままで、愁いの気持ちでただそこへ蹲ってしまうのです。

未別心先咽,欲語情難

本当に別れたわけではないのに一緒に居たい気持ちはどうにもならずむせび泣いています。声を掛けようと思うのですが別れがつらすぎて声にならないのです。

出芳艸,路東西。

あの人は良い香りの街道の草花の中へ旅立って、東西に長い街道を隔てて別れるのです

搖袖立,春風急,櫻花楊柳雨淒淒。

私はこの袖を揺らして別れを惜しんで立ち尽くし、一人で春の突風に晒されるのです。ああこんなに桜が咲いても、こんなにも、楊も柳も葉をつけて繁っても、私が巫山の巫女となって雨に化身しても、それはただ寂しくさらさらと降るだけなのです。

 

(離別【わかれ】難し)

馬を寶【かざ】り曉の鞲【ふく】彫の鞍【くら】,羅幃【らい】は乍【たちま】ちの別 情【なさけ】難し。

那んぞ春景の媚に堪えん,君を千萬里に送るを。

珠翠の落るに半粧して,露華の寒。

燭【かつしょく】紅にし,絲曲に青しものを,偏えに能く鉤引【こういん】し 闌干に淚す。

 

良夜は促し,香塵は綠す,魂は迷わんと欲し,檀眉 半ば斂して愁いて低す。

未だ心は咽を先んじて別れず,語らんと欲れど 情 難し。

芳艸に出で,東西に路す。

袖を搖して立し,春風急す,櫻花 楊柳 雨 淒淒【せいせい】。

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9 15-#2 離別難一首 (薛昭蘊)薛侍郎昭蘊ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-392-9-15-#2  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3507

 


(改訂版) 薛昭蘊 花間集巻三40《離別難一首》

離別難一首

寶馬曉鞲彫鞍,羅幃乍別情難。

天子のお馬車に夜明け前から彫刻に飾られた輦、馬には彫刻の鞍が、そしてうす絹のとばりが足らされて待っているが、別れをされながら情が離れがたいのだろうお出ましが遅い。

那堪春景媚,送君千萬里。

天子を千里、万里もはるかなところへ送りすれば、一緒にこの春の景色をいつくしむことが出来ないのをどうして堪えられようか?という別れもある。

半粧珠翠落,露華寒。

「徐妃半面妝」というので珠翠の寵愛を失い、鬱くちい妃嬪が後宮を出て、四つを浴び寒い寺観に追いやられたという別れもある。

燭,青絲曲,偏能鉤引淚闌干。

紅い蝋燭のもと天子に“壽陽來”と侯景は渦陽を大敗させた戦果に錦を求めたが、朝廷は靑布を給したことで、童謠の「靑絲の曲」のように謀反を起こした。錦の変わりに蒼絲ということが引き金になって謀反を起し、涙で御殿の欄干から別離をしたこんな偏ったこともある。

 

良夜促,香塵綠,魂欲迷,檀眉半斂愁低。

春の夜、二人で過ごせたいい夜だが短くすぐにすぎる、香炉のお香もいつしか消えていたのも気が付かず過したというのに、愛する心はどこへ行ったのか、ここにはいなくなった、つらく眉間に横の皺と縦の皺が出来てしまって、愁いの気持ちは心沈ませて高まることはない。

未別心先咽,欲語情難

いまだに別れを告げられたのではない、別れの事が咲きに考えるから嗚咽してしまう、声を掛けようと思うが別れがつらすぎて声にならない。

出芳艸,路東西。

門を出れば、良い香りの草草は沢山あるし、路は東と西にわけてしまうと、あとは何にをしようと分からない。

搖袖立,春風急,櫻花楊柳雨淒淒。

袖を揺らして立ち見送る、一人ですごす春の風は急いで過ぎてゆく。桜の花を吹き飛ばし、柳絮もいそいでとびさるし、雨はただ寂しくさらさらと降るだけで、それが別れというものである。

 
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(離別難一首:別れというのは昔からいろいろあるが、別れて仕舞えば、あれほど「那堪春景媚」と春景色をいつくしんでいたものが、櫻も花も楊も柳も雨も淒淒としてただ寂しいだけであると詠う)

 

『離別難』 現代語訳と訳註

(本文)

薛昭蘊 花間集巻三40《離別難一首》

離別難一首

寶馬曉鞲彫鞍,羅幃乍別情難。

那堪春景媚,送君千萬里。

半粧珠翠落,露華寒。

燭,青絲曲,偏能鉤引淚闌干。

 

良夜促,香塵綠,魂欲迷,檀眉半斂愁低。

未別心先咽,欲語情難

出芳艸,路東西。

搖袖立,春風急,櫻花楊柳雨淒淒。

 

(下し文)

(離別【わかれ】難し)

馬を寶【かざ】り曉の鞲【ふく】彫の鞍【くら】,羅幃【らい】は乍【たちま】ちの別 情【なさけ】難し。

那んぞ春景の媚に堪えん,君を千萬里に送るを。

珠翠の落るに半粧して,露華の寒。

燭【かつしょく】紅にし,絲曲に青しものを,偏えに能く鉤引【こういん】し 闌干に淚す。

 

良夜は促し,香塵は綠す,魂は迷わんと欲し,檀眉 半ば斂して愁いて低す。

未だ心は咽を先んじて別れず,語らんと欲れど 情 難し。

芳艸に出で,東西に路す。

袖を搖して立し,春風急す,櫻花 楊柳 雨 淒淒【せいせい】。

 

(現代語訳)

(離別難一首:別れというのは昔からいろいろあるが、別れて仕舞えば、あれほど「那堪春景媚」と春景色をいつくしんでいたものが、櫻も花も楊も柳も雨も淒淒としてただ寂しいだけであると詠う)

天子のお馬車に夜明け前から彫刻に飾られた輦、馬には彫刻の鞍が、そしてうす絹のとばりが足らされて待っているが、別れをされながら情が離れがたいのだろうお出ましが遅い。

天子を千里、万里もはるかなところへ送りすれば、一緒にこの春の景色をいつくしむことが出来ないのをどうして堪えられようか?という別れもある。

「徐妃半面妝」というので珠翠の寵愛を失い、鬱くちい妃嬪が後宮を出て、四つを浴び寒い寺観に追いやられたという別れもある。

紅い蝋燭のもと天子に“壽陽來”と侯景は渦陽を大敗させた戦果に錦を求めたが、朝廷は靑布を給したことで、童謠の「靑絲の曲」のように謀反を起こした。錦の変わりに蒼絲ということが引き金になって謀反を起し、涙で御殿の欄干から別離をしたこんな偏ったこともある。

春の夜、二人で過ごせたいい夜だが短くすぐにすぎる、香炉のお香もいつしか消えていたのも気が付かず過したというのに、愛する心はどこへ行ったのか、ここにはいなくなった、つらく眉間に横の皺と縦の皺が出来てしまって、愁いの気持ちは心沈ませて高まることはない。

いまだに別れを告げられたのではない、別れの事が咲きに考えるから嗚咽してしまう、声を掛けようと思うが別れがつらすぎて声にならない。

門を出れば、良い香りの草草は沢山あるし、路は東と西にわけてしまうと、あとは何をしようと分からない。

袖を揺らして立ち見送る、一人ですごす春の風は急いで過ぎてゆく。桜の花を吹き飛ばし、柳絮もいそいでとびさるし、雨はただ寂しくさらさらと降るだけで、それが別れというものである。

 

(訳注) 《離別難一首》

離別難

(男性から見た、宮女・官妓が情のかよった男を送り出し、これから先どうして貞操を守ってゆくのかその心持を詠う。)

(男性から見た、宮女・官妓が情のかよった男を送り出し、これから先どうして貞操を守ってゆくのかその心持を詠う。)

唐の教坊の曲名。『花間集』には薛昭蘊の一首のみ所収。双調八十七字、前段四十三字九句四平韻四仄韻、後段四十四字十句四平韻五仄韻で、⑥⑥❺❺5③❸❸⑦/❸❸③⑥5❺3③❸❸⑦の詞形をとる。

薛昭蘊 花間集巻三40《離別難一首》

寶馬曉鞲彫、羅幃乍別情難。
那堪春景、送君千萬
半粧珠翠落、露華
、青絲、偏能鉤引淚闌

/

良夜香塵魂欲檀眉半斂愁

未別心先欲語情難

出芳艸路東西

搖袖春風櫻花楊柳雨淒

 

《離別難一首》




  

/

 

寶馬曉鞲彫鞍,羅幃乍別情難。

天子のお馬車に夜明け前から彫刻に飾られた輦、馬には彫刻の鞍が、そしてうす絹のとばりが足らされて待っているが、別れをされながら情が離れがたいのだろうお出ましが遅い。

・寶馬 天子のお馬車。神の馬。宝飾で盛装した馬。四頭立ての馬車ではなかろうか。寶:①天子の御座。天子の事にもちいる接頭語。②對者を貴ぶ接頭語。③佛教家にもちいる接頭語。④道家にもちいる接頭語。

・曉鞲彫鞍 行幸の準備をすること。 鞲:皮袋。矢入れ。ふいご。ここでは車前の横木のおおい。彫鞍:彫刻に飾られた鞍。

・羅幃 寝床の薄絹のとばり。車の入り口の薄絹のとばり。

李白『春思』

燕草如碧絲,秦桑低綠枝。

當君懷歸日,是妾斷腸時。

春風不相識,何事入羅幃

李白20 辺塞詩 (春思、秋思)

魚玄機『閨怨』

蘼蕪盈手泣斜暉,聞道鄰家夫婿歸。

別日南鴻才北去,今朝北雁又南飛。

春來秋去相思在,秋去春來信息稀。

扃閉朱門人不到,砧聲何事透羅幃

閨怨 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-78-14-# 卷804_10 【閨怨】魚玄機  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1937

・乍別情難 

 【乍ち】たちまち非常に短い時間の内に行われるようす。またたく間に。すぐに。 ある物事・行為が急に起こるようす。にわかに。 【乍ら】ながら~しつつ。二つの動作が平行して行われることを表す。

《梁書·侯景傳》

那堪春景媚,送君千萬里。

天子を千里、万里もはるかなところへ送りすれば、一緒にこの春の景色をいつくしむことが出来ないのをどうして堪えられようか?という別れもある。

春景媚 春の景色をいつくしむ。媚景:はるけしき。

 

半粧珠翠落,露華寒。

「徐妃半面妝」というので珠翠の寵愛を失い、鬱くちい妃嬪が後宮を出て、四つを浴び寒い寺観に追いやられたという別れもある。

・半粧/半面妝 「徐妃半面妝」の故事に基づく。」李商隠《南朝》「徐妃半面妝。」『南史后妃伝』「妃無容質,不見禮,帝三二年一入房。妃以帝眇一目,每知帝將至,必為半面粧以俟,帝見則大怒而出。妃性嗜酒,多洪醉,帝還房,必吐衣中。」梁元帝の徐妃は元帝が独眼であったため必ず顔の半分だけ化粧して迎い入れた。元帝は怒って、それ以来后妃の後宮へより附かなかったとういう故事。(夜のくずれた化粧を落とし、見送るための朝の薄化粧をそそくさとしたことを云う。)

・露華 朝露がきれいに降りて光っていること。

 

燭,青絲曲,偏能鉤引淚闌干。

紅い蝋燭のもと天子に“壽陽來”と侯景は渦陽を大敗させた戦果に錦を求めたが、朝廷は靑布を給したことで、童謠の「靑絲の曲」のように謀反を起こした。錦の変わりに蒼絲ということが引き金になって謀反を起し、涙で御殿の欄干から別離をしたこんな偏ったこともある。

昨日の夜の赤い蝋燭と瑟で「靑絲の曲」を奏でたことで一つになった、そんなことを思い出すとひたすら涙を誘い、涙にぬれて渡り廊下の欄干にすがっているのです。

 蝋燭のことであるが、蝋燭の炎の中心の明るい部分を云う。女性性器を意味する語である。

皇甫松『摘得新二首 其一』

酌一巵,須教玉笛吹。

錦筵紅燭,莫來遲。

繁紅一夜經風雨,是空枝。

摘得新 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-311-5-#65  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3102

・青絲曲 瑟、琴の曲。南朝、梁、普通年間に童謡あり、曰く、侯景白馬に乗り、青絲のたづなをとって“壽陽來”と侯景は渦陽を大敗させた戦果に錦を求めた。朝廷は給するに靑布を以てす。侯景、これをことごとく靑袍と為し、彩色靑を尚ぶとした。侯景白馬に乗り、青絲を手綱と為し、以て童謡の語に應ぜんとした。この井手達でむほんをおこした。、《梁書·侯景傳》南朝梁普通年間“有童謠曰: '青絲白馬壽陽來。 '”其後侯景作亂, 乘白馬以青絲為韁, 兵皆青衣, 從壽春進軍建康。

杜甫《青絲》「青絲白馬誰家子,粗豪且逐風塵起。」(青絲白馬は誰が家の子ぞ,粗豪 且つ風塵を逐いて起る。)

青絲白馬 白馬は梁の叛将侯景の故事。侯景は北魏の爾朱栄軍で頭角を現し、北魏が東西に分裂すると東魏の高歓の旗下に入り、河南大行台に任じられる。高歓死去後、東魏への叛乱を起こし、支配する州郡と共に梁の武帝に帰順した。その後、東魏の武将慕容紹宗に敗れ、寿春(安徽省)へ退いた。梁と東魏の間に和議成立の情勢となると、梁への叛乱を起こす。548年(太清2年)、梁宗室の蕭正徳を味方に就けて10万の兵を集め、都の建康に迫った。この時白馬にまたがっていたのが侯景であった。ここは僕固懐恩等の賊将をさす、《梁書·侯景傳》、

青袍白馬更何有?後漢今周喜再昌。』
もはや侯景の様な青袍白馬の大義のない叛乱の将等というのは物の数ではない。後漢光武の世、周の宣王の世が粛宗によって今日ふたたびさかんになるに至ったことはよろこばしいことである。』 
○青袍白馬 梁の侯景の故事。大同中に「青糸白馬寿陽より来たる」という童謡がはやった。景が渦陽の敗に錦を求めたところ、朝廷は給するのに青布を以てした。景はことごとく用いて袍となし、白馬に乗り青糸を轡となして童謡の語に応じょぅとした。青袍白馬は侯景が叛いたときのいでたちであり、今借りて安史軍の史思明・安慶緒等をさす。○更何有 意とするに足らないことをいう。○後漢今周  後漢は光武帝の中興をさし、今周は今日において周の宜王の再起したことをいう、竝に粛宗をたとえていう。○再昌 「攀竜」の句より「後漢」の句までは、功臣は恩寵をたのむべからず、宰相は其の人を得て、唐朝復興の兆のあることを喜ぶことをいう。

玄機『光威裒姉妹三人、・・・・因次其韻。』「當臺競鬥青絲發,對月爭誇白玉簪。」光威裒姉妹三人、小孤而始姸乃有是作。精醉儔難。謝家聯雪何以加之。有客自京師来者示予。因次其韻。-#7 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-125--#7  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2172

・鉤引 それが引き金となって~する。

・闌干 涙が流れるさまと渡り廊下、高楼の欄干に臨んでという意味を持つ。

 

 

良夜促,香塵綠,魂欲迷,檀眉半斂愁低。

春の夜、二人で過ごせたいい夜だが短くすぐにすぎる、香炉のお香もいつしか消えていたのも気が付かず過したというのに、愛する心はどこへ行ったのか、ここにはいなくなった、つらく眉間に横の皺と縦の皺が出来てしまって、愁いの気持ちは心沈ませて高まることはない。

・良夜促 こんな素敵な春の夜を二人で過ごせたいい夜だったが、春の夜は短く二人で過ごす良い夜の時はあっという間に過ぎてしまった。

・香塵綠 蝋燭の火も燃え尽きそうで、香炉のお香もいつしか消えていたのも気が付かず過した。

・檀眉半斂 別れるのがつらく眉が檀になり、眉間にしわを寄せてしまう事。

・愁低 愁いの気持ちでただそこへ蹲ってしまう。

 

未別心先咽,欲語情難

いまだに別れを告げられたのではない、別れの事が咲きに考えるから嗚咽してしまう、声を掛けようと思うが別れがつらすぎて声にならない。

 

出芳艸,路東西。

門を出れば、良い香りの草草は沢山あるし、路は東と西にわけてしまうと、あとは何にをしようと分からない。

・芳艸 春になって成長する草花を云うが、東の都にいる女妓を指す。

・路東西 東西に別れる、ここでは、男が、洛陽にいき女は長安に留まることでその間の道。

韋荘『望遠行』

欲別無言倚畫屏、含恨暗傷情。

謝家庭樹錦鶏鳴、残月落邊城。

人欲別、馬頻噺、綠槐千里長堤。

出門芳草路萋萋、雲雨別來易東西。

不忍別君後、却入旧香閏。

100 望遠行 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-285-5-#39  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2972

 

搖袖立,春風急,櫻花楊柳雨淒淒。

袖を揺らして立ち見送る、一人ですごす春の風は急いで過ぎてゆく。桜の花を吹き飛ばし、柳絮もいそいでとびさるし、雨はただ寂しくさらさらと降るだけで、それが別れというものである。。