張泌  浣渓沙 十首其十  

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

 

張泌《巻四33浣渓沙 十首 其十》『花間集』184全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6192

 

 
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(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其十

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

小市東門欲雪天,中依約見神仙,蘂香畫貼金

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

飲散昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵一街煙。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が立ち上って行く。

(浣渓沙 十首 其の十)

小市 東門 雪天と欲し,眾中 依約して 神仙を見,蘂黃 香畫 金蟬を貼る。

飲散 黃昏 人 草草たり,醉容して語る無く 門前に立ち,馬嘶き 塵烘【じんこう】一街の煙。

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首其十

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

 

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の十)

小市 東門 雪天と欲し,眾中 依約して 神仙を見,蘂黃 香畫 金蟬を貼る。

飲散 黃昏 人 草草たり,醉容して語る無く 門前に立ち,馬嘶き 塵烘【じんこう】一街の煙。

 

 

(現代語訳)

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が起ち上って行く。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其十

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜,綺筵幽會暗傷,嬋娟依約畫屏

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝

○●○○●●○ ●○○●●△○ ○○△●●△○

○△●○○●● △△○●●○○ ●○○●△△○

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉,睡容新起意沉,翠鈿金縷鎮眉

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花,斷香輕碧鏁愁

△●○△●●○  ●○○●●○△ ●△○●●○○

●●●○△●● ●○△●●○○  ●○△●?○△

浣渓沙 十首 其九

晚逐香車入鳳,東風斜揭繡簾,慢迴嬌眼笑盈

消息未通何計是,便須佯醉且隨,依稀聞道大狂

●●○○●●○  ○△○●●○△ ●△△●●○○

○●●○△●● △○○●△○△  △○△●●△△

浣渓沙 十首其十

小市東門欲雪,眾中依約見神,蘂黃香畫貼金

飲散黃昏人草草,醉容無語立門,馬嘶塵烘一街

●●○○●●○  ○△△●●○○ ●○○●●○○

●●○○○●● ●○○●●○○  ●○○△●○○

 

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

○小市東門 長安では東市の東に、春明門がある。そこの北側には興慶宮がある。

○依約 ①よりむすびつける。②かすかなさま。さもにたり。さながら、まるで。「他依約前去赴會。」依稀隱約。唐.白居易〈答蘇庶子〉詩:「蓬山閒氣味,依約似龍樓。」

孫少監光憲 《巻八25女冠子二首其二》「澹花瘦玉,依約神仙粧束。佩瓊文,瑞露通宵貯,幽香盡日焚。碧紗籠絳節,黃藕冠濃雲。勿以吹簫伴,不同羣。」

○神仙 神仙となって長命を得ることは道を得る機会が増えることであり、奨励される。真理としての宇宙観には多様性があり、中国では儒・仏・道の三教が各々補完し合って共存しているとするのが道教の思想である。平康里から、長安城東北の城内、興慶宮付近、おおくは官営の妓楼、宴会場があり、神仙といった。雪が降って来て行楽の宴席も神仙世界のように見える。

○蘂黃 蘂:① 花の生殖器官。ずい。② ひもの先端と総(ふさ)との間につける飾り。

○香畫 神仙の絵巻物。

○貼金蟬 金箔の蝉の羽を貼りつける。

 

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が立ち上って行く。

○草草 (1)忙しいこと。あわただしいこと。また、そのさま。(2)簡略にすること。粗末であること。また、そのさま。 

○塵烘 烘とは。 [](火で)暖める,乾かす。