和凝《小重山二首其一》

春入神京萬木芳,禁林鶯語滑,蝶飛狂。曉花擎露妬啼粧,紅日永,風和百花香。

煙鏁柳絲長,御溝澄碧水,轉池塘。時時微雨洗風光,天衢遠,到處引笙篁。

(大明宮を中心に南の離宮に通じる夾城、北は長安城より広い禁苑を有し、天使の過ごすところには、それぞれに初心な妃嬪が配置されていることを詠う。)

天子のお住まいの都に春景色にかわり、ここのすべて木々は萌えて香りひろがる。後宮の奥に広がる御苑に春を告げる鶯声が滑らかにひろがる。花から花へ蝶は飛び、ひらひら狂い飛び交う。初心【うぶ】に見える涙顔の化粧を施して、曉花の朝露をささげて、麗らかな春の日は早く明けそして日ごとに長くなる、風が吹いてきて、花々の匂いを届けてくれて和ませてくれる。春の夕靄が漂うと青柳の長いゆれる枝を隠してしまう、お堀の水は春水で嵩をたかく、淥水一層青く澄んでいる、そして太掖池に流れ入り堤をびっしり春の草が生えている。一時ふった春雨がまた降り、花を散り落として春の景色を洗い流してしまうけれど、天使の夾城はるか遠くまで続き、季節が変わっても花の苑に向かう、そうして《竹枝子曲》の笙歌を吹奏するのである。

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10 和學士凝二十首

 和凝898955)字は成績、郭州須昌(山東省東平県)の人。幼少のころから聡明で、学問を好み、一読した書はみなその大義に達していた。十七歳で明経に挙げられ、十九歳で進士に及第した。はじめ後梁に仕えて地方官をつとめたが、つづいて後唐に仕えて、天成年間(926929)に殿中侍御史を拝し、礼部員外即を経て主客員外郎、知制許に改められ、ついで翰林に入って学士となった。また後晋に仕えて、天福五年(940) に中書侍郎同中書門下平車掌(宰相)を拝命した。ついでまた後漢に仕えて、太子大伴を拝し、魯国公に封ぜられた。後周の顕徳二年(955)五十八歳で卒した。のち侍中を贈与された。外見をつくろうことが好きで、平生、乗物や衣服を美しく装飾してりっぱなようすをしていた。また、後進のものを世話するのが好きで、賢不肖にかかわらず、虚心をもってその仕進の道を開きみちびいたので、たいそう評判がよかったという。

文章をつくるにはその分量の多いことが得意であった。文集は百余巻あり、かつて自ら板に訝って、数百状を校印し、人に分かち与えた。短歌艶曲に長じ、「由子相公」というよび名がつけられていた。かれの艶詞をあつめたものに香密集があり、宰相の名を避けて韓樫の名に託してあったというが、今日伝わる韓促の香密集(香散薬)は和顔の作ではないことはすでに明の毛管などがその尤もであることを弁じている(五唐人集)。著述に演論集三十巻、群芸集五十巻、紅薬編五巻(宋史芸文志)があったといぅが、今伝わらない。

かれの詩集に紅葉稿一巻あり、百余首を収めているといぅが(歴代詩余、竜沐勘著唐宋名家詩選に紹介した宋大字本)、この本も明らかではない。紅葉稿は紅薬編のことで、これは制語に関する著述であるといぅ説もある (胡透、詞選)。かれの詞は花間集に二十首収められている。王国経の輯本には二十九首を収めている。

* 旧五代史巻一二七 新五代史巻五六 北夢項言巻パ以歌詞自娯粂 歴代詩余巻一〇二詞人姓氏 全唐詩巻三二 紅葉稿詞一巻 王国稚韓、唐五代二十一家詞輯所収

 

「花間集」和學士凝二十首

巻六14小重山二首其一  春入神京萬木芳,禁林鶯語滑,蝶飛狂。曉花擎露妬啼粧,紅日永,風和百花香。煙鏁柳絲長,御溝澄碧水,轉池塘。時時微雨洗風光,天衢遠,到處引笙篁。

巻六15小重山二首其二  正是神京爛熳時,羣仙初折得,郄詵枝。烏犀白紵最相宜,精神出,御陌袖鞭垂。柳色展愁眉,管絃分響亮,探花期。光陰占斷曲江池,新牓上,名姓徹丹墀。

巻六16臨江仙二首其一  海棠香老春江晚,小樓霧縠濛。翠鬟初出繡簾中,麝煙鸞珮蘋風。碾玉釵搖鸂鶒戰,雪肌雲鬢將融。含情遙指碧波東,越王臺殿蓼花紅。

巻六17臨江仙二首其二  披袍窣地紅宮錦,鶯語時囀輕音。碧羅冠子穩犀簪,鳳皇雙颭步搖金。肌骨細勻紅玉軟,臉波微送春心。嬌羞不肯入鴛衾,蘭膏光裏兩情深。

巻六18菩薩蠻一首  越梅半拆輕寒裏,冰清澹薄籠藍水。暖覺杏梢紅,遊絲狂惹風。閑堦莎徑碧,遠夢猶堪惜。離恨又迎春,相思難重陳。

巻六19山花子二首其一  鶯錦蟬縠馥麝臍,輕裾花早曉烟迷。鸂鶒戰金紅掌墜,翠雲低。星靨笑隈霞臉畔,蹙金開襜襯銀泥。春思半和芳草嫩,碧萋萋。

巻六20山花子二首其二  銀字笙寒調正長,水紋簟冷畫屏涼。玉腕重金扼臂,澹梳粧。幾度試香纖手暖,一迴嘗酒絳脣光。佯弄紅絲蠅拂子,打檀郎。

巻六21河滿子二首其一  正是破瓜年幾,含情慣得人饒。桃李精神鸚鵡舌,可堪虛度良宵。卻愛藍羅裙子,羨他長束纖腰。

巻六22河滿子二首其二  寫得魚牋無限,其如花鏁春輝。目斷巫山雲雨,空教殘夢依依。卻愛熏香小鴨,羨他長在屏幃。

巻六23薄命女一首  天欲曉,宮漏穿花聲繚繞。牎裏星光少,冷霞寒侵帳額,殘月光沉樹杪。夢斷錦幃空悄悄,強起愁眉小。

巻六24望梅花一首  春草全無消息,臈雪猶餘蹤跡。越嶺寒枝香自拆,冷豔奇芳堪惜。何事壽陽無處覓,吹入誰家橫笛。

巻六25天仙子二首其一  柳色披衫金縷鳳,纖手輕拈紅豆弄,翠蛾雙斂正含情。桃花洞,瑤臺夢,一片春愁誰與共。

巻六26天仙子二首其二  洞口春紅飛蔌蔌,仙子含愁眉黛綠。阮郎何事不歸來,懶燒金,慵篆玉。流水桃花空斷續。

巻六27春光好二首其一  紗暖,畫屏閑,嚲雲鬟。睡起四肢無力,半春間。玉指剪裁羅勝,金盤點綴蘇山。窺宋深心無限事,小眉彎。

巻六28春光好二首其二  蘋葉軟,杏花明,畫舡輕。雙浴鴛鴦出淥汀,棹歌聲。春水無風無浪,春天半雨半晴。紅粉相隨南浦晚,幾含情。

巻六29採桑子一首  蝤蠐領上訶梨子,繡帶雙垂,椒閑時,競學樗蒲賭荔枝。叢頭鞋子紅編細,裙窣金絲。無事嚬眉,春思飜教阿母疑。

巻六30柳枝三首其一  軟碧瑤煙似送人,映花時把翠蛾嚬。青青自是風流主,慢颭金絲待洛神。

巻六31柳枝三首其二  瑟瑟羅裙金縷腰,黛眉隈破未重描。醉來咬損新花子,拽住仙郎盡放嬌。

巻六32柳枝三首其三  鵲橋初就咽銀河,今夜仙郎自姓和。不是昔年攀桂樹,豈能月裏索嫦娥。

巻六33漁父一首   白芷汀寒立鷺鷥,蘋風輕剪浪花時。烟冪冪,日遲遲。香引芙蓉惹釣絲。

 

 

小重山二首 其一

(大明宮を中心に南の離宮に通じる夾城、北は長安城より広い禁苑を有し、天使の過ごすところには、それぞれに初心な妃嬪が配置されていることを詠う。)

春入神京萬木芳,禁林鶯語滑,蝶飛狂。

天子のお住まいの都に春景色にかわり、ここのすべて木々は萌えて香りひろがる。後宮の奥に広がる御苑に春を告げる鶯声が滑らかにひろがる。花から花へ蝶は飛び、ひらひら狂い飛び交う。

曉花擎露妬啼粧,紅日永,風和百花香。

初心【うぶ】に見える涙顔の化粧を施して、曉花の朝露をささげて、麗らかな春の日は早く明けそして日ごとに長くなる、風が吹いてきて、花々の匂いを届けてくれて和ませてくれる。

煙鏁柳絲長,御溝澄碧水,轉池塘。

春の夕靄が漂うと青柳の長いゆれる枝を隠してしまう、お堀の水は春水で嵩をたかく、淥水一層青く澄んでいる、そして太掖池に流れ入り堤をびっしり春の草が生えている

時時微雨洗風光,天衢遠,到處引笙篁。

一時ふった春雨がまた降り、花を散り落として春の景色を洗い流してしまうけれど、天使の夾城はるか遠くまで続き、季節が変わっても花の苑に向かう、そうして《竹枝子曲》の笙歌を吹奏するのである。

(小重山二首 其の一)

春神京に入り 萬木 芳し,禁林 鶯語滑かなり,蝶 飛狂す。

曉花 擎露を【ささ】げて啼粧【ていしょう】を妬く,紅日 永く,風 百花と和【とも】に香る。

煙 柳絲の長きを鏁【とざ】し,御溝【ぎょこう】碧水 澄み,池塘に轉ず。

時時 微雨 風光を洗う,天衢【てんく】遠く,到る處 笙篁【しょうこう】を引く。

 

小重山二首 其二

正是神京爛熳時,羣仙初折得,郄詵枝。

烏犀白紵最相宜,精神出,御陌袖鞭垂。

柳色展愁眉,管絃分響亮,探花期。

光陰占斷曲江池,新牓上,名姓徹丹墀。

 

唐長安城 都計画図00
 

『小重山二首 其一』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

小重山二首 其一

春入神京萬木芳,禁林鶯語滑,蝶飛狂。

曉花擎露妬啼粧,紅日永,風和百花香。

煙鏁柳絲長,御溝澄碧水,轉池塘。

時時微雨洗風光,天衢遠,到處引笙篁。

(下し文)
(小重山二首 其の一)

春神京に入り 萬木 芳し,禁林 鶯語滑かなり,蝶 飛狂す。

曉花 擎露を【ささ】げて啼粧【ていしょう】を妬く,紅日 永く,風 百花と和【とも】に香る。

煙 柳絲の長きを鏁【とざ】し,御溝【ぎょこう】碧水 澄み,池塘に轉ず。

時時 微雨 風光を洗う,天衢【てんく】遠く,到る處 笙篁【しょうこう】を引く。

(現代語訳)
(大明宮を中心に南の離宮に通じる夾城、北は長安城より広い禁苑を有し、天使の過ごすところには、それぞれに初心な妃嬪が配置されていることを詠う。)

天子のお住まいの都に春景色にかわり、ここのすべて木々は萌えて香りひろがる。後宮の奥に広がる御苑に春を告げる鶯声が滑らかにひろがる。花から花へ蝶は飛び、ひらひら狂い飛び交う。

初心【うぶ】に見える涙顔の化粧を施して、曉花の朝露をささげて、麗らかな春の日は早く明けそして日ごとに長くなる、風が吹いてきて、花々の匂いを届けてくれて和ませてくれる。

春の夕靄が漂うと青柳の長いゆれる枝を隠してしまう、お堀の水は春水で嵩をたかく、淥水一層青く澄んでいる、そして太掖池に流れ入り堤をびっしり春の草が生えている

一時ふった春雨がまた降り、花を散り落として春の景色を洗い流してしまうけれど、天使の夾城はるか遠くまで続き、季節が変わっても花の苑に向かう、そうして《竹枝子曲》の笙歌を吹奏するのである。



(訳注)

小重山二首 其一

(大明宮を中心に南の離宮に通じる夾城、北は長安城より広い禁苑を有し、天使の過ごすところには、それぞれに初心な妃嬪が配置されていることを詠う。)

【解説】 都の春景色を讃えた詞。前段は、嗅覚、聴覚、視覚を動員して大明宮の春の景の中、天使と過ごす喜びの時を過ごすが、同時に他の多くの妃賓にとっては、一人で寂しく過ごすことを意味する。後段は、春景色の移り変わりは、それぞれ異なった御苑があり、それを結ぶ専用道路があって、順にこれを愛でる、一年中行楽にでかけることができる模様を描く。前段の 「曉花 擎露を【ささ】げて啼粧【ていしょう】を妬く」の句は、夜明けの花が、男と夜を共に過ごしたように露に濡れている。その花に嫉妬してしまうと、朝露に濡れて咲いているさまを述べ、天使の寵愛に会いそのうれしさ表現を強調したものである。この詩を単なる抒情詩としてとらえることと、この解説のような意味を理解しなくては、この詩の深みはわからない。当時の倫理観、生活様式、その中で詞はできていることを理解されたい。小重山は後宮の恋愛事情を詠ったものであること、酒宴の席で、高級官僚のお遊びとしてうたわれたものであること、中国でも日本でも、酒宴の席では、卑猥と表裏一体な出来事をいかにきれいに歌い上げるかというお遊びの歌なのである。教坊曲とはそうしたものである。小重山とは女性が寝牀に横に臥せ、そのシルエットが、小山であること、それが屏風の画とかなって連山となるということからいうのである。

 

和凝(898955)、字を成績と言い、鄆州の須昌(今の山東省東平の西北)の人。彼は幼い時から聡明で、早くから書物を学び、一読すれば常に大義に通じた。梁の義成軍節度使賀瓌に招かれて従事となったが、賀瓌が唐の荘宗との戦いに敗れると、彼一人が賀瓌に従った。賀瓌は和凝に対して、自分に従うのをやめて己の道を求めるように勧めたが、和凝は「男子たるもの、人の知遇を得ながら危難の際に恩に報いないのは、本意ではない」と言い、行動をともにし、追っ手を射倒して、賀瓌の命を救った。そこで、賀瓌は自分の娘を和凝に娶らせ、「和凝は将来重位に就くであろぅから、謹んで仕えるように」と子供らに諭した。そのために、和凝の名は一時に轟いた。彼は、梁、唐、晋、漢、周の五朝に仕え、多くの後進を導いたので、人々から広く慕われたと言う。和凝は若い時に好んで艶詞を作ったが、晋の宰相になると詞を回収して焼き捨てさせた。しかし、艶詞のために名を汚すことになり、契丹は晋に入朝すると、彼を曲子相公と呼んだと言う。和凝の詞は二十七首が伝わり、『花間集』 には二十首の詞が収められている。後周の顕徳二年(955)五十八歳で没した。

【構成】『花間集』には和凝の作が二首収められている。

小重山二首 其一は双調五十八字、前段三十宇六句四平韻、後段二十八字六句四平韻で、⑦5③⑦3⑤/⑤5③⑦3⑤の詞形をとる。

春入神京萬木,禁林鶯語滑,蝶飛。 曉花擎露妬啼,紅日永,風和百花

煙鏁柳絲,御溝澄碧水,轉池。   時時微雨洗風,天衢遠,到處引笙

○●○○●●○  △○○●● ●○△  ●○○●●○○ ○●●  △△●○○

○?●○△  ●○○●● ●○○    ○○○●●△△ ○○●  ●●●○○

原型となった韋荘の作構成は以下の通り。

双調五十八字、前段三十字六句四平韻、後段二十八字六句四平韻で、⑦5③⑦3⑤/⑤5③⑦3⑤の詞形をとる。

一閉昭陽春又、夜寒宮漏永、夢君恩。 臥思陳事暗消魂、羅衣濕、紅袂有啼

歌吹隔重閽、繞庭芳草綠、倚長門。   萬般惆悵向誰、凝情立、宮殿欲黃昏。

。 

。   

 

春入神京萬木芳,禁林鶯語滑,蝶飛狂。

天子のお住まいの都に春景色にかわり、ここのすべて木々は萌えて香りひろがる。後宮の奥に広がる御苑に春を告げる鶯声が滑らかにひろがる。花から花へ蝶は飛び、ひらひら狂い飛び交う。

○神京 神は天子を示す、天子のお住まいの都長安、大明宮。

○禁林 御苑の木立。図に見る様に大明宮は東側から北側広大な禁苑にかこまれているが、ここではこの中にある、梨園、梅園、葡萄園、蚕壇亭、望春亭と妃嬪、妓優の関連施設が点在していたことを言う。ここの春景色、妃嬪妓優らとの春の行楽をしさするものである。したがって、ここでは蝶は天子であり、後宮の妃嬪、妓優、宮女の花に飛び回ることを示している。
興慶宮の位置関係00
長安城図 作図00