玉臺・巻四-15 擬樂府四首其二#2〔吳邁遠

 

 

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玉臺・巻四-15 擬樂府四首其二#2〔吳邁遠〕 Ⅴ漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の玉臺新詠巻二ブログ 10594

そのうるわしい姿にはあでやかな月影がうつろい、うす絹の衣は蝉の羽のようにひるがえる。

昔、楚の宋玉や、そのような詩人が「陽春」や「巴人」の歌をうたうと、「巴人」の歌に皆が感嘆したとのことです。

わたしは雅声と鄭声とは同じように賞美しないものだと聞いているけれど、あなたは「巴人」のような鄭声のために心をいたましめるのでしょうか。

ふだんあなたの愛となさけをありがたく思っているわたしです。今棄てられては自分が可愛そうでならないのです。

 

 

 

 

玉臺新詠 巻四  (5邁遠 四首

 

 

擬樂府四首其一

14

巻四-14

其一

1.  飛來雙白鵠

邁遠〕

15

巻四-15

其二

2.  陽春曲

邁遠〕

16

巻四-16

其三

3.  長別離

邁遠〕

17

巻四-17

其四

4.  長相思

邁遠〕

 

《玉臺新詠》

其一 飛來雙白鵠

可憐雙白鵠,雙雙塵氛。連翩弄光景,交頸遊青雲。

逢羅復逢繳,雌雄一旦分。

哀聲流海曲,孤叫去江濆。豈不慕前侶,為爾不及群。

步步一零淚,千里猶待君。

樂哉新相知,悲來生別離。持此百年命,共逐寸陰移。

譬如空山草,零落心自知。

 

其二 陽春曲

百里望咸陽、知是帝京域。綠樹搖雲光、春城起風色。

佳人愛景華、流靡園塘側。

妍姿豔月映、羅衣飄蟬翼。宋玉歌陽春、巴人長歎息。

雅鄭不同賞、那令君愴惻。生平重愛惠、私自憐何極。

 

其三 長別離

生離不可聞、况復長相思。如何與君別、當我盛年時。

蕙華每搖蕩、妾心空自持。

榮乏草木歡、瘁極霜露悲。富貴身難老、貧賤年易衰。

持此斷君腸、君亦宜自疑。

淮陰有逸將、折翮謝翻飛。楚亦扛鼎士、出門不得歸。

正為隆準公、仗劍入紫微。君才定何如、白日下爭暉。

 

 

其四

晨有行路客,依依造門端。人馬風塵色,知從河塞還。

時我有同棲,結宦游邯鄲。

將不異客子,分饑復共寒。煩君尺帛書,寸心從此殫。

遣妾長憔悴,豈復歌笑顏。檐隱千霜樹,庭枯十載蘭。

經春不舉袖,秋落寧復看。一見愿道意,君門已九關。

虞卿棄相印,擔簦為同歡。閨陰欲早霜,何事空盤桓。

 

 


 

 

巻四-14《擬樂府四首其二》

 

 

玉臺新詠 字解集 訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10566

 

 

 

 

擬樂府四首其一 飛來雙白鵠  #1

(古樂府“雙白鵠”に擬した詩、四首のその一、雌鳥が雄鳥を追いそしてさることをうたう)

可憐雙白鵠,雙雙塵氛。

愛すべき二匹の白鳥が、雌雄うちそろい塵多い空をたちきって、飛んでいる。

連翩弄光景,交頸遊青雲。

大空をひらひらと羽をひるがえし、日の光をあびながら、頸を交えて青空高く飛んでゆく。

逢羅復逢繳,雌雄一旦分。

それが狩人のあみにかかったり、いぐるみにであったりすると、急に雌と雄とが離れ離れになってしまう。

#2

哀聲流海曲,孤叫去江濆。

哀れな声は海のくまに伝わり、ひとりぼっちとなっての叫び声は江のほとりに響き出している。

豈不慕前侶,為爾不及群。

前に一緒だったなかまを慕うことがないわけではないけれど、彼等の仲間はずれになって居るのは、あなた(雄)を慕わしく思うてのことである。

步步一零淚,千里猶待君。

だけど、ゆっくりと、一歩ごとに涙をこぼし、千里隔たっているかもしれなくても、まだ、あなたを心待ちしている。

#3

樂哉新相知,悲來生別離。

新しい知りあいも楽しいことにちがいないが、ただこの生き別れが悲しい。

持此百年命,共逐寸陰移。

百年の寿命を持つとても、あなたと共に一寸きざみの光陰をおいかけていることしかできない。

譬如空山草,零落心自知。

たとえて見れば、人なき山の草のようなもの、だれに見られるわけもなく、やがてこぼれおち枯れ果ててしまうことは自分では承知している。

 

(樂府に擬す四首 其の一 “飛び來る 雙白鵠)  #1

憐れむ可し 雙白鵠,雙雙 塵氛をつ。

連翩として光景を弄し,頸を交えて 青雲に遊ぶ。

羅に逢い 復た 繳に逢い,雌雄 一旦 分る。

#2

哀聲は海曲に流れ,孤叫は江濆を去る。

豈に前侶を慕わざらんや,爾が為に群するに及ばず。

步步 一たび淚を零し,千里 猶お 君を待つ。

#3

樂しい哉 新相知,悲しいかな 來生別離。

此の百年の命を持して,共に寸陰の移るを逐う。

譬えば空山の草の如し,零落して 心自ら知る。

 

 

擬樂府四首其二 陽春曲

(都における人と情景との美麗を写し、それに心を移す夫に対して、妻の思いなやむ情を叙べたもの)

百里望咸陽、知是帝京域。

百里のかなたに成陽を眺めると、これこそは帝京の地域であるとすぐわかる。

綠樹搖雲光、春城起風色。

そこには線の樹々が雲間に照る光にゆらめいて、春の城には春風の“けわい”が動いてきた。

佳人愛景華、流靡園塘側。

美人はこのうるわしい景色を愛でて、うららかな春の光のなびく固の池のほとりを歩む。

#2

妍姿豔月映、羅衣飄蟬翼。

そのうるわしい姿にはあでやかな月影がうつろい、うす絹の衣は蝉の羽のようにひるがえる。

宋玉歌陽春、巴人長歎息。

昔、楚の宋玉や、そのような詩人が「陽春」や「巴人」の歌をうたうと、「巴人」の歌に皆が感嘆したとのことです。

雅鄭不同賞、那令君愴惻。

わたしは雅声と鄭声とは同じように賞美しないものだと聞いているけれど、あなたは「巴人」のような鄭声のために心をいたましめるのでしょうか。

生平重愛惠、私自憐何極。

ふだんあなたの愛となさけをありがたく思っているわたしです。今棄てられては自分が可愛そうでならないのです。

 

(樂府に擬す四首 其の二 陽春の曲)

百里 咸陽を望み、是れを知るは 帝京の域なるを。

綠樹 雲光 搖らぎ、春城 風色を起す。

佳人 景華を愛し、流靡 園塘の側ら。

#2

妍姿 豔月 映じ、羅衣 蟬翼を飄えす。

宋玉 陽春を歌い、巴人 長く歎息す。

雅鄭は同賞せず、那んぞ 君をして 愴惻せしむるや。

生平 愛惠を重んじ、私【じそか】に自ら憐れむ 何んぞ極りあらん。

 

 

《擬樂府四首其二 陽春曲》現代語訳と訳註解説

(本文)

#2

妍姿豔月映、羅衣飄蟬翼。

宋玉歌陽春、巴人長歎息。

雅鄭不同賞、那令君愴惻。

生平重愛惠、私自憐何極。

 

(下し文)

#2

妍姿 豔月 映じ、羅衣 蟬翼を飄えす。

宋玉 陽春を歌い、巴人 長く歎息す。

雅鄭は同賞せず、那んぞ 君をして 愴惻せしむるや。

生平 愛惠を重んじ、私【じそか】に自ら憐れむ 何んぞ極りあらん。

 

(現代語訳)

そのうるわしい姿にはあでやかな月影がうつろい、うす絹の衣は蝉の羽のようにひるがえる。

昔、楚の宋玉や、そのような詩人が「陽春」や「巴人」の歌をうたうと、「巴人」の歌に皆が感嘆したとのことです。

わたしは雅声と鄭声とは同じように賞美しないものだと聞いているけれど、あなたは「巴人」のような鄭声のために心をいたましめるのでしょうか。

ふだんあなたの愛となさけをありがたく思っているわたしです。今棄てられては自分が可愛そうでならないのです。

 

(訳注)

擬樂府四首其二 陽春曲

1. (都における人と情景との美麗を写し、それに心を移す夫に対して、妻の思いなやむ情を叙べたもの)

2.【題意】都における人と情景との美麗を写し、それに心を移す夫に対して、妻の思いなやむ情を叙べた作である。

陽春は『楽府解題』に、もと曲名で、「時を傷むなり」と記してある。この作も『楽府詩集』によると、清商曲中の「江南弄」に列し、「陽春歌」 と題している。

3. 陽春曲 春秋時代の師曠が作曲したとされ、「陽春」は「白雪」と一対として作ったとも言われている。

「陽春白雪」は、宋玉の「対楚王問」に、「客、郢中に歌ふ者あり。其の始めを下里巴人と曰ふ、国中の属して和する者数千人なり。其の陽阿薤露を為す、国中の属して和する者数百人なり。其の陽春白雪を為す、国中の属して和する者数十人に過ぎず、商を引き羽を刻み、雑ふるに流徴を以てす、国中属して和する者、数人に過ぎざるのみ。是れ其の曲彌々高くして、其の和彌々寡なし。(『文選』巻四十五)」とあり、楚の国の高尚な歌曲の意である。この話から、「陽春の曲、和する者、必ず寡し」という言葉が、普通の人は高尚な詩調を理解できない喩として使用されるようになった。

「陽春」の曲調は清新で流暢であり、穏やかな風・柔らかな春光・青々とした山々など、生命力に満ちあふれた春の様子や、春が来た喜びを表現している。謝希逸(四二一〜四六八)の『琴論』には「劉涓子善鼓琴、制陽春白雪曲」とあり、この斉国の劉涓子が「陽春」を作曲したとも言われている。また、『琴歴』(『初学記』所引)には、「陽春弄」「白雪」の記載があり、古くより有名な琴曲であったことがわかる。また、中国では琵琶曲としても伝えられた。

#2

妍姿豔月映、羅衣飄蟬翼。

そのうるわしい姿にはあでやかな月影がうつろい、うす絹の衣は蝉の羽のようにひるがえる。

 

宋玉歌陽春、巴人長歎息。

昔、楚の宋玉や、そのような詩人が「陽春」や「巴人」の歌をうたうと、「巴人」の歌に皆が感嘆したとのことです。

7. 宋玉歌陽春 楚の臣、劉向の『新序』によると。宋玉が楚の威王に対えた言に、郢の都で「下里」「巴人」の曲を歌うと、和するもの千人、「陽阿」「薤露(柚い)」を歌うと和するもの数百人、「陽春」「白雪」を歌うと和するもの数十人、とある。これによって曲が高尚になればなるほど和するものが少なくなったこと、また「陽春」の曲の由来

の古いこともわかる。

 

雅鄭不同賞、那令君愴惻。

わたしは雅声と鄭声とは同じように賞美しないものだと聞いているけれど、あなたは「巴人」のような鄭声のために心をいたましめるのでしょうか。

8. 雅鄭 『詩経』に見える語、「雅」は正しくみやびな歌。「鄭」は鄭国の民謡で、淫排な歌。「陽春」は雅に属し、「巴人」は鄭声に焦す。

9. 恰側 心をいたみ悲しませること。ここは夫が美人と部曲に感嘆して心をなやますことを指したのであろう。

 

生平重愛惠、私自憐何極。

ふだんあなたの愛となさけをありがたく思っているわたしです。今棄てられては自分が可愛そうでならないのです。