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玉臺新詠集 巻四
8.王融_ 48-1-5雜詩五首其五巫山高 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11091

 

 

 8.王融_

 

48-1-5雜詩五首其五巫山高

 

玉臺新詠集 訳注解説

 

 

漢文委員会 紀頌之Blog11069

 

 

 

 

作者:王融

 

 

雜詩五首 其一 古意二首 

其一

遊禽暮知反、行人獨不歸。坐銷芳草氣、空度明月輝

嚬容入朝鏡、思淚點春衣。巫山彩雲沒、淇上綠條稀

待君竟不至、秋雁雙雙飛。

其二

霜氣下孟津、秋風度函谷。念君淒已寒、當軒卷羅縠。

纎手廢裁縫、曲鬢罷膏沐。千里不相聞、寸心氛氳。

况復飛螢夜、木葉亂紛紛。

 

雜詩五首其二 詠琵琶

抱月如可明、懷風殊復清。絲中傳意緒、花裏寄春情。

掩抑有奇態、悽愴多好聲。芳袖幸時拂、龍門空自生。

 

雜詩五首其三 詠幔

幸得與珠綴、羃歷君之楹。月映不辭卷、風來輒自輕。

每聚金鑪氣、時駐玉琴聲。俱願致尊酒、蘭釭當夜明。

 

雜詩五首其四 巫山高

想象巫山高、薄暮陽臺曲。煙霞乍舒卷、蘅芳時斷續。

彼美如可期、寤言紛在属。撫然坐相思、秋風下庭綠。

 

雜詩五首 其一 古意二首 其一

(つがいの雁、をみて旅に出て戻らない夫についての意を述べたもの)

遊禽暮知反、行人獨不歸。

明るいとき、飛び、遊ぶ禽でも日暮れには、塒に帰るということを知っているのに、旅に出た夫は、いろんなことがあるだろうが、その身はいまだに帰ってこない。

坐銷芳草氣、空度明月輝

留守居のわたしは春の若草の香りは夫婦の約束のことであり、それもいつとはなしに消え失わせ、また、早くも秋になり、明月の光も空しく見すごしている。

嚬容入朝鏡、思淚點春衣。

朝、鏡に映るのは愁いのためのしかめ顔と姿がうつっているのを見ると、悲しみの涙が春衣に点々としたたりおちるのです。

巫山彩雲沒、淇上綠條稀

男女の情をいう巫山を彩る雲も今は消えて、楚王と神女との契りを偲ぶよすがもなく、淇水のほとりには緑の条もまばらとなって、そこに愛する人を見送ったという歌も遠い昔のこととなってしまう。
待君竟不至、秋雁雙雙飛。

それも、これも、君を待つことしかなにもできないわが身の上に起こることであり、また、秋空につがいの雁が二羽揃うて飛んでゆくのを見つめているのです

(雜詩五首 其の一 古意二首の其の一)

遊禽は暮に反るを知るも、行人は獨り歸らず。

坐ろに 芳草の氣を銷し、空しく明月の輝を度る

嚬容は朝鏡に入り、思淚は春衣に點ず。

巫山に彩雲沒し、淇上に綠條稀なり。

君を待つ竟に至らず、秋雁 雙雙として飛ぶ。

其二

(故郷を思い出すはずの秋風が吹いてきても、極寒の寒さの中でも、私のもとに帰ってこない、もう何も贈る気はしないし、私自身のことも何もする気にはなれないと詠う)

霜氣下孟津、秋風度函谷。

孟津のほとりは霜の気が下り、函谷関には故郷を思い出させる秋風が吹きわたっていることでしょう。

念君淒已寒、當軒卷羅縠。

あなたは定めしぞっとするような寒さを身にしみ感じて居られると察っし、着物を縫おうと軒ばでうすぎぬの服地を巻き初めました。

纎手廢裁縫、曲鬢罷膏沐。

だけど、気がすすまぬままに、かよわい手での針仕事をやめてしまい、また、ゆがんだ髪を洗うこともせず、髪膏さすことも怠っているのです。

千里不相聞、寸心氛氳。

千里も遠く離れたあなたからは何のお便りも聞かしていただけず、わたしの胸はうつうつとふさがりもつれて何も手につきません。

况復飛螢夜、木葉亂紛紛。

ましてこの螢の飛びかう夜、木の葉がはらはらと乱れ散るのを眺めてはわびしきにたえることはできません。

(雜詩五首 其の一 古意二首の其の二)

(二)(霜気孟津に下る)

霜気 孟津に下り、秋風函谷をわたる。

念う 君が淒として 已に寒からんことを、軒に當りて 羅縠を卷く。

纎手 裁縫を廢し、曲鬢 膏沐を罷む。

千里 相い聞えず、寸心 として氛氳たり。

况んや 復た 飛螢の夜、木葉 亂れて 紛紛たるや。

 

雜詩五首其二 詠琵琶

(月琴・琵琶の形状・音声さまざまのおもむきを写した詠物詩を詠う)

抱月如可明、懷風殊復清。

月琴琵琶の月のような円い胴をいだくと、あたりを明るくすることができそうだし、器から起こる風を懐にすると、ことさら にすがすがしい気持ちになります。

絲中傳意緒、花裏寄春情。

絃絲の中にわが想いを寄せるお方に心持ちを伝え、琵琶胴体の花模様のうちにあのお方と情を交わす春の思いを寄せるのです。

掩抑有奇態、悽愴多好聲。

また、絃絲をおさえると音には不思議な抑揚と変化がおこり、見ていられないほど悲しむような響きの中に気持ちを和らげるよい音色がこもって聞こえてくるのです。

芳袖幸時拂、龍門空自生。

この器は願わくば美人のかぐわしい袖で時々払ってもらいたい、そうしてもらうと天への門である龍門山の桐もいたずらに生えてくるというのが、生き甲斐を持って生えてくるということになるのです。

 

(雜詩五首其の二 琵琶を詠む)

月を抱けば 明らかにすべきが如く、風を懷けば 殊に復た清し。

絲中に意緒を傳へ、花裏に春情を寄す。

掩抑すれば 奇態有り、悽愴として 好聲多し。

芳袖 幸に 時に拂えよ、龍門 空しく自ら生ぜん。

雜詩五首其三 詠幔

(楹の場所を飾ることを説明し、そこで月をめでて酒を酌み交わしたいものと詠う)

幸得與珠綴、羃歷君之楹。

仕合わせなことにこの 「まんまく」は珠と綴られて君の家のをおおい、あたりに張りめぐらされている。

月映不辭卷、風來輒自輕。

その楹は、月の光が映ずるときほ巻きつけることが意味のないどころか際立ってきれいであるし、風が吹いてくるといつも軽やかにゆらめいている。

每聚金鑪氣、時駐玉琴聲。

この楹の場所は、つねに黄金で作った香炉の気をあつめ、時には玉琴の声をとどめて共鳴するのである。

俱願致尊酒、蘭釭當夜明。

ここで、ただ願わしいのは樽酒を用意し、蘭香をたき、そして夜を照らす燈し皿のもとで華やかな宴を催すならば望ましいことである。

(雜詩五首三首 幔を詠む)

幸 に珠と綴らるるを得て 君の楹に羃歷たり。

月映じて巻くを辭せず、風来れば輒ち自ら軽し。

毎に金鑪の気を究め、時に玉琴の聾を駐む。

但だ願う 樽酒を置き、蘭紅の夜に当たって明かならんことを。

 

雜詩五首其四 巫山高

(重畳して天日を隠蔽する巫山についてそう玉の賦に基づいて詠う)

想象巫山高、薄暮陽臺曲。

ここには男女の情行に想像に思いを走らせる。見ると巫山は重畳して天日を隠蔽するという巫山十二峰は高くそびえ、陽台のくまには、日が暮れかかれば暗い。

煙霞乍舒卷、蘅芳時斷續。

そこには煙や霞がたちまちひろがって雲になり、巻き収まったり、谷底に吹く風で香草の香りが時に断えたり続いたりする。

彼美如可期、寤言紛在属。

この地は神秘的で目ざめると神女の姿が眼の中にちらつきまさしく美人と会えるような思いになる。

撫然坐相思、秋風下庭綠。

やがて茫然としてわれを忘れ、わけもなく彼女のことを思いつづける。しか しすべては想像にすぎない。現実に返れば庭にはすでに秋風が緑の草の上に吹き下っている。

 

(雜詩五首其四 巫山高し)

想象 巫山高く、薄暮 陽臺の曲。

煙霞 乍まち 舒卷し、蘅芳 時に斷續す。

彼の美 期す可きが如し、寤めて 言に紛として 属に在る。

撫然として 坐ろに 相思、秋風 庭綠に下る。

 巫山十二峰002

 

《雜詩五首其四 巫山高》現代語訳と訳注解説

雜詩五首其四 巫山高

想象巫山高、薄暮陽臺曲。

煙霞乍舒卷、蘅芳時斷續。

彼美如可期、寤言紛在属。

撫然坐相思、秋風下庭綠。

 

〔下し文〕

(雜詩五首其四 巫山高し)

想象 巫山高く、薄暮 陽臺の曲。

煙霞 乍まち 舒卷し、蘅芳 時に斷續す。

彼の美 期す可きが如し、寤めて 言に紛として 属に在る。

撫然として 坐ろに 相思、秋風 庭綠に下る。

 

〔現代語訳〕

(重畳して天日を隠蔽する巫山についてそう玉の賦に基づいて詠う)

ここには男女の情行に想像に思いを走らせる。見ると巫山は重畳して天日を隠蔽するという巫山十二峰は高くそびえ、陽台のくまには、日が暮れかかれば暗い。

そこには煙や霞がたちまちひろがって雲になり、巻き収まったり、谷底に吹く風で香草の香りが時に断えたり続いたりする。

この地は神秘的で目ざめると神女の姿が眼の中にちらつきまさしく美人と会えるような思いになる。

やがて茫然としてわれを忘れ、わけもなく彼女のことを思いつづける。しか しすべては想像にすぎない。現実に返れば庭にはすでに秋風が緑の草の上に吹き下っている。

 

 

〔訳注解説〕

作者 王融(おうゆう、467 - 493年)は、中国南北朝時代、南斉の政治家・文学者。字は元長。本貫は琅邪郡臨沂県(現在の山東省臨沂市蘭山区)。六朝時代を代表する名門貴族出身。名門の出身に加えて文才にも優れ、南斉の皇族、竟陵王蕭子良の西邸に集った文人「竟陵八友」の1人に数えられ、同じく八友の仲間である沈約・謝朓らとともに「永明体」と呼ばれる詩風を生み出した。

 

雜詩五首其四 巫山高

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漢代の「鼓吹曲辞」で鐃歌(ドウ)に「巫山高」があり、これに擬した作である。巫山は四川省にある山、巫山の神女に関する説話は 前出王元長の雑詩第一首の注(二七八貫) に記した。この詩はその巫山の神女を慕うことを述べたのである。

巫山 重慶市巫山県と湖北省の境にある名山。長江が山中を貫流して、巫峡を形成する。山は重畳して天日を隠蔽するという。巫山十二峰と言われ、その中で代表的なものに神女峰がある。

巫山は四川盆地の東半部に多数平行して走る褶曲山脈の中でも最も大きく最も東にある山脈で、四川盆地の北東の境界に北西から南東へ走る褶曲山脈の大巴山脈へと合わさってゆく。長さは40km余り、主峰の烏雲頂は海抜2,400mに達する。

楚の宋玉の「高唐賦」(『文選』所収)序に、楚の懐王が高唐(楚の雲夢沢(中国語版)にあった台館)に遊んだ際、疲れて昼寝していると、夢の中に「巫山の女(むすめ)」と名乗る女が現れて王の寵愛を受けた、という記述がある。彼女は立ち去る際、王に「私は巫山の南の、険しい峰の頂に住んでおります。朝は雲となり、夕べは雨となり(旦為朝雲、暮為行雨)、朝な夕な、この楼台のもとに参るでしょう」[2]と告げた。

 

想象巫山高、薄暮陽臺曲。

ここには男女の情行に想像に思いを走らせる。見ると巫山は重畳して天日を隠蔽するという巫山十二峰は高くそびえ、陽台のくまには、日が暮れかかれば暗い。

想像 この二字諸本異同多い。『宋刻』本では「響像」、『古楽府』では「髣髴」、『芸文類聚』では「髣象」に作る。ここは『楽府詩集』に従った。

陽台 「高唐賦」に見える台、神女と楚襄王と会し夢を結んだところ。

 

煙霞乍舒卷、蘅芳時斷續。

そこには煙や霞がたちまちひろがって雲になり、巻き収まったり、谷底に吹く風で香草の香りが時に断えたり続いたりする。

蘅芳時断続 一本「蘅芳」を「猿島」に作る。 「蘅」は「かおりぐさ」。

 

彼美如可期、寤言紛在属。

この地は神秘的で目ざめると神女の姿が眼の中にちらつきまさしく美人と会えるような思いになる。

この二句 高唐賦で、“疲れて昼寝していると、夢の中に「巫山の女」と名乗る女が現れて王の寵愛を受けた”に基づく。

 

撫然坐相思、秋風下庭綠。

やがて茫然としてわれを忘れ、わけもなく彼女のことを思いつづける。しか しすべては想像にすぎない。現実に返れば庭にはすでに秋風が緑の草の上に吹き下っている。

撫然坐相思 『芸文類衆』には「無応坐相望」に作る。今『楽府詩集』に従う。「憮然」は失意のさま、ぼんやりすること。「相思」
長相思 久遠の辞、行人久寿戍、書を寄せて思うところをおくる。夜着の中には「長相思」の綿をつめて、縁のかざりは「結不解」のかがり糸にして、固く結んで解けぬ意をもたせるという女の気持ちを詠う。

李白 長相思【寄遠】,二首之一

日色已盡花含煙,月明欲素愁不眠。

趙瑟初停鳳凰柱,蜀琴欲奏鴛鴦弦。

此曲有意無人傳,願隨春風寄燕然。

憶君迢迢隔青天,昔日橫波目。【昔時橫波目】。

今成流淚泉。

不信妾腸斷,歸來看取明鏡前。

 (長相思,二首之一)

日色 已に盡きて 花は煙を含む,月明 素ならんと欲して愁て眠らず。

趙瑟 初めて停む鳳凰の柱,蜀琴 奏せんと欲す 鴛鴦の弦。

此曲 意有れども人の傳うる無し,願くば 春風に隨って燕然に寄せん。

君を憶えば迢迢として青天を隔ち,昔日 橫波の目。

今は流淚の泉と成る。

妾の腸斷つを信ぜざれば,歸り來って明鏡の前へ看取せよ。

巫山十二峰003