和凝《漁父一首其一》 (春の日釣り糸を垂れる風流人の隠遁者の目に映る、白にまつわる景色、ツガイの白鷺を見るにつけ、芙蓉の美人に引き寄せられる。)ヨロイグサの白い小さな花があつまって生えている冷たいき水際に白鷺が羽を広げ降り立った。白い小花の浮水草が渡る風にゆれ、さざ波起こる時よろい草も揺れ、驚いて白露が飛び上がる。
12 -20 漁父一首 其一 和學士凝(和凝【わぎょう】)二十首ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-447-12-#20 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3782
和凝(898〜955)、字を成績と言い、鄆州の須昌(今の山東省東平の西北)の人。彼は幼い時から聡明で、早くから書物を学び、一読すれば常に大義に通じた。梁の義成軍節度使賀瓌に招かれて従事となったが、賀瓌が唐の荘宗との戦いに敗れると、彼一人が賀瓌に従った。賀瓌は和凝に対して、自分に従うのをやめて己の道を求めるように勧めたが、和凝は「男子たるもの、人の知遇を得ながら危難の際に恩に報いないのは、本意ではない」と言い、行動をともにし、追っ手を射倒して、賀瓌の命を救った。そこで、賀瓌は自分の娘を和凝に娶らせ、「和凝は将来重位に就くであろぅから、謹んで仕えるように」と子供らに諭した。そのために、和凝の名は一時に轟いた。彼は、梁、唐、晋、漢、周の五朝に仕え、多くの後進を導いたので、人々から広く慕われたと言う。和凝は若い時に好んで艶詞を作ったが、晋の宰相になると詞を回収して焼き捨てさせた。しかし、艶詞のために名を汚すことになり、契丹は晋に入朝すると、彼を曲子相公と呼んだと言う。和凝の詞は二十七首が伝わり、『花間集』 には二十首の詞が収められている。後周の顕徳二年(955)五十八歳で卒した。
漁父
(春の日釣り糸を垂れる風流人の隠遁者の目に映る、白にまつわる景色、ツガイの白鷺を見るにつけ、芙蓉の美人に引き寄せられる。)
白芷汀寒立鷺鷥,蘋風輕剪浪花時。
ヨロイグサの白い小さな花があつまって生えている冷たいき水際に白鷺が羽を広げ降り立った。白い小花の浮水草が渡る風にゆれ、さざ波起こる時よろい草も揺れ、驚いて白露が飛び上がる。
烟冪冪,日遲遲。
もやは立ち籠めのかすんだ向こうにはなまちがある、春の日はうららにさし、日一日と日が伸びる。
香引芙蓉惹釣絲。
蓮の花の香りは女妓の香、隠遁者は釣り糸を垂れているが、芙蓉の美人に引き寄せられる。
(漁父)
白芷の汀 寒くして鷺鷥 立つ、蘋風 軽く浪花を剪る時。
烟は 冪冪として、日は 遅遅たり。
香りは 引きて芙蓉 釣糸を惹う。
『漁父』 現代語訳と訳註
(本文)
漁父
白芷汀寒立鷺鷥,蘋風輕剪浪花時。
烟冪冪,日遲遲。香引芙蓉惹釣絲。
(下し文)
(漁父)
白芷【はくし】の汀【みぎわ】寒くして鷺鷥【ろし】立つ、蘋風【ひんふう】軽く浪花を剪る時。
烟【もや】は冪冪【べきべき】として、日は 遅遅たり。
香りは 引きて芙蓉 釣糸を惹【さそ】う。(芙蓉の香りは釣り糸を引き惹う)
(現代語訳)
(春の日釣り糸を垂れる風流人の隠遁者の目に映る、白にまつわる景色、ツガイの白鷺を見るにつけ、芙蓉の美人に引き寄せられる。)
ヨロイグサの白い小さな花があつまって生えている冷たいき水際に白鷺が羽を広げ降り立った。白い小花の浮水草が渡る風にゆれ、さざ波起こる時よろい草も揺れ、驚いて白露が飛び上がる。、
もやは立ち籠めのかすんだ向こうにはなまちがある、春の日はうららにさし、日一日と日が伸びる。蓮の花の香りは女妓の香、隠遁者は釣り糸を垂れているが、芙蓉の美人に引き寄せられる。
(訳注)
漁父
漁父は、漁歌子のまたの名。漁歌子は唐の教坊の曲名。漁歌子には、漁父の他に、漁父詞、漁父歌、漁楽の別名がある。『花間集』には和凝の漁父一首と顧夐の漁歌子一首が収められている。和凝衆の作は、単調二十七字、五句四平韻で、⑦⑦3③⑦の詞形をとる。
13-47 花間集第七巻 顧夐『漁歌子』
曉風清,幽沼綠,倚欄凝望珍禽浴。
畫簾垂,翠屏曲,滿袖荷香馥郁。
好攄懷,堪寓目,身閑心靜平生足。
酒盃深,光影促,名利無心較逐。
【解説】 隠遁者、風流者の漁父が釣り糸を垂れる水辺に、白芷と白鷺、白蘋とさざ波、もやとの日差し、白い花の香り、芙蓉と釣り糸の白、美人の白い肌、白という関連性で10種のものを織り込んでいる。そして、この画の向こう側に女妓の存在を感じさせる情景を詠う。末尾、垂れた釣り糸は蓮の香りに引き寄せられるかのように、風に吹かれてすーっと水面を移動する、の意。
白芷汀寒立鷺鷥,蘋風輕剪浪花時。
ヨロイグサの白い小さな花があつまって生えている冷たいき水際に白鷺が羽を広げ降り立った。白い小花の浮水草が渡る風にゆれ、さざ波起こる時よろい草も揺れ、驚いて白露が飛び上がる。、
○白芷 1 ヨロイグサの漢名。また、その根。漢方で鎮痛・鎮静薬などに用いる。2 ハナウドの漢名。花ウド。水辺に生える。
○鷺鷥 鷺に同じ。サギ。
白鷺
烟冪冪,日遲遲。香引芙蓉惹釣絲。
もやは立ち籠めのかすんだ向こうにはなまちがある、春の日はうららにさし、日一日と日が伸びる。蓮の花の香りは女妓の香、隠遁者は釣り糸を垂れているが、芙蓉の美人に引き寄せられる。
○烟冪冪 詔に霞むさま。
○香引芙蓉惹釣糸 「芙蓉香引惹釣糸」(芙蓉の香りは釣り糸を引き惹う)が平灰の関係で語順が変わったもの。漁父は隠遁者、風流人であり、芙蓉は美人である。
花間集にはない詞であるが同じ時期であるから参照されたい。
徐積 『漁歌子』
水曲山隈四五家、夕陽煙火隔蘆花。
漁唱歇、醉眠斜。綸竿蓑笠是生涯。
(漁歌子)
水の曲 山の隈 四、五の家、夕陽の煙火蘆花を隔つ
漁唱歇【や】み、醉眠斜めなり。綸竿【りんかん】蓑笠【さりゅう】是れ 生涯。
水面が湾曲して入り組んでいるところや、山の折れ曲がって奥まったところに四、五軒の娼屋がある。夕日の中に、炊煙がアシの花の向こう側に騰がっている。
漁の歌声は、やんで。だんだんと酔って、徐々に眠りについている。釣り糸と釣り竿、蓑と笠が、生涯の命である。
徐積 1028年天聖六年~1103年崇寧二年、字は仲車。楚州山陽の人で、治平二年の進士。
徐積は若い頃から殺すことを戒め、蟻の群を見て踏まないよう気を使った。仏書を読んだことはないが、仏を論じれば的を得ていた。いつも一室に黙って座り、世の中とは関わり無いようであったが、天下の事を論じれば次から次へと倦むことは無かった。広東から変える途中の人が客としてやってきて徐積に会い、辺境の事を語った。徐積は山川の険しさ、堡塞の疎密さ番禺の搶手の利害について、まるで手元にあるが如く論じた。客は嘆息して言った。「家から出ないで天下のことを知るとはまさに徐公のことである」



































































