今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
17-470《河傳》巻九 閻選Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-653-17-(470) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4812
| | | | | | ||
| 花間集 教坊曲『河傳』十八首 | | |||||
| 溫助教庭筠 | 巻二 | 曉妝仙,仙景箇 | | |||
| 巻二 | 雨蕭蕭,煙浦花 | | ||||
| 巻二 | 杏花稀,夢裡每 | | ||||
| 韋相莊 | 巻二 | 何處,煙雨,隋堤 | | |||
| 巻二 | 春晚,風暖,錦城 | | ||||
| 巻二 | 錦浦,春女,繡衣 | | ||||
| 張舍人泌 | 巻五 | 渺莽雲水,惆悵暮 | | |||
| 巻五 | 河傳 二首之二 張泌 | 紅杏,交枝相映, | | |||
| 顧太尉敻 | 巻七 | 鷰颺,晴景。小䆫 | | |||
| 巻七 | 曲檻,春晚。 | | ||||
| 巻七 | 棹舉,舟去,波光 | | ||||
| 孫少監光憲 | 巻七 | 太平天子,等閑遊 | | |||
| 巻七 | 柳拖金縷,着煙籠 | | ||||
| 巻七 | 河傳四首(3)孫光憲( | 花落,煙薄,謝家 | | |||
| 巻七 | 風颭,波斂。 | | ||||
| 閻處士選 | 巻九 | 河傳一首 | 秋雨,秋雨, | | ||
| 李秀才珣 | 巻十 | 河傳二首其一 | 朝雲暮雨,依舊 | | ||
| | 巻十 | 河傳二首其二 | 落花深處,啼鳥 | | ||
| | | | | | ||
河傳 一首
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
(河傳)
秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。
燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖姬,悲に勝えず。
西風 稍や急に 䆫竹喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。
幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。
『河傳 一首』 現代語訳と訳註
(本文)
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
(下し文)
(河傳)
秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。
燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖姬,悲に勝えず。
西風 稍や急に 䆫竹喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。
幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。
(現代語訳)
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
(訳注)
河傳 一首
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
【解説】雁が飛び帰る頃、秋雨の降ると船は航行されず、本当は浮気心の男なのに、雨や、風で帰れないと雨や風をを恨むことでまぎらわせる女性の心情を詠う。末尾、男は「雁が帰る頃旨分も戻って来る」と約束をしたが、何年も約束を破り、今年も雁は渡って来たが、あの人はまたも帰って来なかったと恨みを述べる。昼夜を分かたず降り続く雨、窓辺で風にざわめく竹は胸中の不安を示すと同時に、船が航行されないから帰ってこないと気持ちを雨と風に恨む気持ちを紛らわせる。でも帰ってきて肥満体の男は暑がりだから、簟のシーツを片付けることが出来ない女の思いやりをうたっている。
この時代に、若くして、愛妾とされ、身請けされ、買斷されるというのは女妓たちの憧れである。その憧れは同時に閨で、一人で過ごすということも意味している。李白の「江夏行」「長干行」などとこの詩は、シチュエーションが似ているということでより参考にすると味わいが深まる。
なおも夏用の竹筵を使っているのは、女が愁いと悲しみとのために何もする気になれず、竹筵をしまうのも面倒なためであるとする解説書もあるが、それでは意味が浅すぎる。
『花問集』には閣選の作が一首収められている。双調五十三字、前段二十四字七句二仄韻四平韻、後段二十九字六句三仄韻四平韻で、❷❷4④⑦②③/❼❸❺⑦②②③の詞形をとる。
秋雨 秋雨 無晝無夜 滴滴霏霏
暗燈涼簟怨分離 妖姬 不勝悲
西風稍急喧䆫竹 停又續 膩臉懸雙玉
幾迴邀約鴈來時 違期 鴈歸 人不歸
○● ○● ○●○● ●●○○
●○△●△△△ ○○ △△○
○△●●○?● ○●● ●△○○●
△△○●●△○ ○○ ●○ ○△○
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
○秋雨,秋雨 雨の日には船の航行が出来ないので、雨を恨む様子をいう。
○霏霏 雨や雪の激しく降るさま。この四句は約束の時期に降る、秋の長雨を恨んでいる。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
○涼簟 冷たい竹筵の高級ベッドシーツ。筆は竹皮で編んだ夏用の敷物。既に雁渡る秋に入っているので涼簟と言う。ベッドの情交の際、汗でぼと着くことが無い。閨で待ち続ける女の侘しさをイメージさせる。簟は高級なので男は富貴の者であることを意味する。
○分離 ここでは男が別の女のもとに行っていることをイメージさせる、別れ別れになっていること。
○妖姫 魅惑的な美女。女の良さをいうことは、男はそれに飽きたということを感じさせる。この三句は、男を待つ閨の様子と待つことに堪えなければいけないことをいう。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
○西風 西風が吹けば長江を遡上できなくて航行不能になる。
○雙玉 二筋の真珠の涙がおちる双玉は双真珠の様な珠の涙がほほをつたう涙の玉。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
幾迴 何年も経過したこと。























