毛文錫 接賢賓
香韉鏤襜五花驄,值春景初融。流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。
為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。信穿花,從拂柳,向九陌追風。
(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。
7毛文錫《巻五13接賢賓一首》『花間集』214全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6342
接賢賓
(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)
香韉鏤襜五花驄,值春景初融。
香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。
流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。
馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。
少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。
貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。
為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。
春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。
信穿花,從拂柳,向九陌追風。
その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。
接賢賓
香韉 鏤襜 五花の驄,值春 景初めて融なり。
流珠 噴沫 躞蹀,汗血 流紅。
少年 公子 能く乘馭し,金鑣 玉轡 瓏璁。
惜むを為す 珊瑚 鞭下らずを,生を驕す 百步 千蹤を。
花を穿つを信【つまびら】かにし,柳を拂うに從い,九陌 追風に向う。
『接賢賓』 現代語訳と訳註
(本文)
接賢賓
香韉鏤襜五花驄,值春景初融。
流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。
少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。
為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。
信穿花,從拂柳,向九陌追風。
(下し文)
接賢賓
香韉 鏤襜 五花の驄,值春 景初めて融なり。
流珠 噴沫 躞蹀,汗血 流紅。
少年 公子 能く乘馭し,金鑣 玉轡 瓏璁。
惜むを為す 珊瑚 鞭下らずを,生を驕す 百步 千蹤を。
花を穿つを信【つまびら】かにし,柳を拂うに從い,九陌 追風に向う。
(現代語訳)
(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)
香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。
馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。
貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。
春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。
その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。
(訳注)
接賢賓
(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)
貴公子が春都登路を闊歩するのは、科挙及第者の発表時に、都は無礼講になる。清明節の時期であり、行楽の時季であり、貴公子の舞台はどこにでもある。
『花間集』には毛文錫一首のみ所収。双調六十二字、前段三十五字六句四平韻、後段二十四字五句二平韻で、⑦⑤6④7⑥/7⑥33⑤ の詞形をとる。
香韉鏤襜五花驄 值春景初融
流珠噴沫躞蹀 汗血流紅
少年公子能乘馭 金鑣玉轡瓏璁
為惜珊瑚鞭不下 驕生百步千蹤
信穿花 從拂柳 向九陌追風
○○△△●○○ ●○●○○
○○△●●● △●○○
●○○●△△● ○○●●○○
香韉鏤襜五花驄,值春景初融。
香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来る、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。
韉 したぐら【下鞍・韉】. 馬具の一。和式の鞍で,鞍橋(くらぼね)の下に敷いて,馬の背を保護するもの。普通二枚を重ねて用い,上を切付(きつつけ),下を膚付(はだつけ)と称する。中世以後は,全体を切付と称することがある。(
鏤襜 〔襜褕〕古代一种短的便衣。まえかけ
五花驄 馬のたてがみを翦りて飾とせる馬。五花馬とおなじ。青と白の斑紋の馬。驄:あし毛の馬。五花驄馬七香車,云是平陽帝子家。
全唐詩·卷199 岑參《感遇》「五花驄馬七香車,云是平陽帝子家。鳳皇城頭日欲斜,門前高樹鳴春鴉。漢家魯元君不聞,今作城西一古墳。昔來唯有秦王女,獨自吹蕭乘白雲。」
李白《將進酒》「五花馬,千金裘。呼兒將出換美酒、與爾同銷萬古愁。」
初融 初めて融解する。
流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。
馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。
躞蹀 ①小股に歩く.②行き来する.
汗血馬【かんけつば】 西域(中央アジア)地方に産した名馬の一種。1日に千里を走り,疾駆すると血のような汗を流すので,この名がつけられたという。前漢の武帝のとき,張騫(ちようけん)の遠征によって西域に名馬のいることが中国に知られるようになった。中国では古来名馬を天馬と称しているが,《史記》の大宛列伝によると,〈はじめ烏孫の馬を天馬と名づけたが,大宛の汗血馬を得てみるといっそうたくましく,そこで大宛の馬を天馬と称し,烏孫の馬を西極(せいきよく)と改めた〉と記されている。
少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。
貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。
金鑣 轡・鑣・銜〔口輪の意〕① 馬に手綱(たづな)をつけるため,馬の口にくわえさせる金具。くつばみ。くくみ。 「 -を取る」② 家紋の一。① にかたどったもの。丸の中に十字形のあるものと,杏葉(ぎようよう)形のものとある。 ③ 遊女のいる家。また,遊女屋の主人。くつわ屋。
瓏璁 玉と玉の鳴る音の意とで、. 明朗に鳴る音の意。 【意味】明るく朗らかなさま。 明朗な気質を現すもの。 音色が美しく清らかなさま。 美しく清廉なさま。
為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。
惜しいことには珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。
驕生 富貴の者の生まれ持ったおごり。
蹤【しょう】[音]ショウ(漢)[訓]あと足あと。「蹤跡/先蹤・追蹤」 -
信穿花,從拂柳,向九陌追風。
その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。
信 ①まこと。②あきらかにする。③しる。④しるし。⑤わりふ。⑥したがう。⑦うやまう。⑧たもつ。⑨まかせる。⑩二晩泊まる。再宿。⑪海水の定時の干満。⑫つかい、使者。⑬たより、おとづれ。⑭五音の宮をいう。⑮五行で土をいう。⑯五行で水神をいう。
穿花
《巻六23薄命女》「天欲曉,宮漏穿花聲繚繞。牎裏星光少,冷霞寒侵帳額,殘月光沉樹杪。夢斷錦幃空悄悄,強起愁眉小。」

















