玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
   玉臺新詠 概要 目録・目次 http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/list1.html

花間集 巻四 張泌

張泌《巻五04蝴蝶兒 一首》『花間集』205全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6297

張泌  蝴蝶兒 一首  

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

還似花間見,雙雙對對飛。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

張泌《巻五04蝴蝶兒 一首》『花間集』205全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6297

 

 
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蝴蝶兒 一首

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

還似花間見,雙雙對對飛。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となりて並んで飛んでいる。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。
訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

 

(蝴蝶兒【こちょうじ】)

蝴蝶兒,春の時,阿嬌【あきょう】初めて淡の衣を著けて,に倚り 伊【これ】を畫くを學ぶ。

還た花間 見るに似たり,雙雙とし 對對として飛ぶ。

端無くもを和して 脂【えんし】を拭【ぬぐい】,惹【さそ】いて雙翅【そうし】垂れ教【し】む。

 

 

『蝴蝶兒』 現代語訳と訳註

(本文)

蝴蝶兒 一首

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

還似花間見,雙雙對對飛。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

 

(下し文)

(蝴蝶兒【こちょうじ】)

蝴蝶兒,晚春の時,阿嬌【あきょう】初めて淡黃の衣を著けて,に倚り 伊【これ】を畫くを學ぶ。

還た花間 見るに似たり,雙雙とし 對對として飛ぶ。

端無くも淚を和して 鷰脂【えんし】を拭【ぬぐい】,惹【さそ】いて雙翅【そうし】垂れ教【し】む。

 

(現代語訳)

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となって並んで飛んでいる。

訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

 

(訳注)

蝴蝶兒

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

描かれた番の蝶は、楽しそうで花から花へと並び飛ぶえであったものが、ほかの女のもとに行った男を思い、思わず絵に涙を落とす。そして、慌てて濡れた腋脂の色をぬぐうと、蝶の絵は二枚の羽を垂れた姿に変わったと述べる。媒の絵を見て悔しい思い涙を落とした。

『花間集』には張泌の一首のみ所収。曲名が作品冒頭の語になっていること、またこの曲名の作品は、張泌以外にはないことからすると、彼の創作曲である。双調四十字、前段十八字四句四平韻、後段二十二字四句三平韻で、③③⑦⑤/5⑤⑦⑤の詞形をとる。

蝴蝶兒 一首

蝴蝶  晚春
阿嬌初著淡黃衣  
還似花間見  雙雙對對飛
無端和淚拭鷰  惹教雙翅

○●○  ●○○

○△○△△○△  △○●●○

○●○△●  ○○●●○

○○△●●●○  ●△○●○

 

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

胡蝶児 胡蝶に同じ。児は接尾辞。多く愛らしいものや小さいものに付ける。「・・・・ちゃん」という雰囲気の類。児童、子どもの意味はない。

阿嬌 漢の武帝の従妹の名。武帝が「若得阿嬌,當以金屋貯之。」と言い、後に皇后とした。ここでは、美少女の意味で使われている。阿は呼びかけの接頭語。ここでは少女を意味する。「かわいこちゃん」という雰囲気の類。

・淡黄 アオギリ科の落葉高木。樹皮は緑色。葉は大形で手のひら状に三~五つに裂け、柄は長い。夏に、淡黄色の雄花と雌花がまじって咲き、果実は、種子のついた舟形のさやが放射状につく。庭木・街路樹とし、材は楽器・家具用。梧桐(ごどう)。《季 夏》

・倚窗 窓に寄り添い。

・學畫 絵を学ぶ。

 指示代名詞。ここでは蝶を指す。

 

還似花間見,雙雙對對飛。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となりて並んで飛んでいる。

・還似 まるで…みたい。なおも…のごとく。

・花間 花の咲き乱れているところ。

・見 出会う。

・雙雙 あちらで二匹、こちらで二匹という具合に、ならんで飛んでいるさま。

・對對 あちらで一対、こちらで一対という具合に、対になって飛んでいるさま。

還似花間見 この句は男女の関係、性交を云うもので、花が女で、蝶が男ということでの花間に見るようだということ『花間集』の象徴ともいえるものである。還は、やはり。だからこそ、絵の蝶は「やはり」花の間を飛ぶ、本当の蝶のようだの意。好きな人とうまくいっている時には、思うことも、絵にかいても二つ、つがいに書くという女心を云う。今だったら相合傘を書くということだ。

 

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

・無端 ゆえなく。わけもなく。端なくも。

・和涙 涙と共に。

・拭臙脂 (絵を描いている)べにをぬぐう。涙がべにを流し去ったということ。

 引き起こす。

張泌《巻五03何瀆神一首》『花間集』204全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6292

張泌  河瀆神 一首  

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

張泌《巻五03何瀆神一首》『花間集』204全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6292

 
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 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
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 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-68杜甫 《1501移居夔州郭》五言律詩 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-68 <931-#2> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6290 
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(改訂版Ver.2.1

河瀆神 一首

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

河瀆神【かとくしん】 一首

古樹 寒鴉【かんあ】噪【さわ】がしく,庭を滿る 楓葉【ふうよう】蘆花【ろか】。

晝燈【ちゅうとう】午に當りて輕紗【けいさ】を隔て,畫閣 珠簾 影斜【なな】めなり。

門外 往來す祈賽【きさい】の客,翩翩【へんぺん】たる帆は天涯に落つ。

首を迴らせば 江を隔つる煙火あり,渡頭 三つ兩つの人家あり。

 


(改訂版Ver.2.1

『河瀆神一首』現代語訳と訳註

(本文)

河瀆神 一首

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

 

(下し文)

河瀆神【かとくしん】 一首

古樹 寒鴉【かんあ】噪【さわ】がしく,庭を滿る 楓葉【ふうよう】蘆花【ろか】。

晝燈【ちゅうとう】午に當りて輕紗【けいさ】を隔て,畫閣 珠簾 影斜【なな】めなり。

門外 往來す祈賽【きさい】の客,翩翩【へんぺん】たる帆は天涯に落つ。

首を迴らせば 江を隔つる煙火あり,渡頭 三つ兩つの人家あり。

 

(現代語訳)

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

河瀆神 一首

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

歴史のある長江の水神を祀る社の内側は、ひっそりとしていて、落ち葉も庭一面に広がり、紅葉も赤く染まっている。長江に灌ぎこむ支流の川の両岸には多くの人がいるが、長江の向こう岸には、二、三軒の民家が夕餉の支度をしている。

前段は、冬を迎える社を覆う古木、烏、楓、蘆の花、祠の高閣の珠簾、灯明を掲げて客を迎えるのを描き、後段は、社の外の参拝客、川を行く帆船、娼屋の燈火が上る二、三軒の人家の様を描く。

『花間集』には張泌の作が一首収められている。双調四十九字、前段二十四字四句四平韻、後段五字四句四灰韻で、⑤⑥⑦⑥/❼❻❻❻の詞形をとる。

河瀆神 一首

古樹噪寒,滿庭楓葉蘆

晝燈當午隔輕,畫閣珠簾影

門外往來祈賽,翩翩帆落天

迴首隔江煙,渡頭三兩人

●●●○○  ●○○●○○

●○△●●△○  ●●○○●○

○●●△○●●  ○○△●○○

△●●○○●  ●○△●○○

 

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

古樹 長い年月を経ている樹木。古木(こぼく)。古い歴史のある社を連想させる。

○寒鴉 秋から冬にかけての烏。『鴉』(からす)、人がいない寂しさを連想させる。

楓葉 紅葉したカエデの葉。・楓 マンサク科の落葉高木。カエデではない。

滿庭 「秋の花」庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花、秋の景色がいっぱいであること。

○蘆花 アシの花穂。蘆には秋という意味があり「秋の花」庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱいであること。

此の二句は、秋の色模様と矢代の寂寞感を表す。

 

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

晝燈 昼行燈。 (日中にともっている行灯のように)ぼんやりとしている人。また,役に立たない人。

當午 1.正午, 中午。 唐李紳《憫農》詩之二: “鋤禾日當午, 汗滴禾下土。2)指午夜。 温庭筠 巻一12菩薩蠻十四首其十二》夜來皓月纔當午,重簾悄悄無人語。深處麝煙長,臥時留薄粧。當年還自惜,往事那堪憶。花落月明殘,錦衾知曉寒。」

『花間集』全詩訳注解説(再)-1溫庭筠2《菩薩蠻十四首 其二》溫庭筠66首巻一1-2〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5207

○畫閣 絵が壁に描かれた祠の楼閣。珠簾とあるところから、道女、聖女妓の祠であることがわかる。

 

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

○門外往來 門前を行き交う

○祈賽 祈は御利益を祈る、賽は神の加護に感謝を捧げる。

○翩翩 ばたばたとはためくさま。

落天涯 水平線の彼方に消え去る。

 

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

迴首隔江 振り向けば川を隔てる渡し場

〇煙火 炊事の煙が起ち上るとかがり火。

○渡頭 渡し場。

三兩 二、三軒の家

 

 

 

 

 

 

温庭筠、『河瀆神』参照。

 

(改訂)-1溫庭筠45《巻1-45 河瀆神 三首其一》

(改訂)-1溫庭筠46《巻1-46 河瀆神 三首其二》

改訂)-1溫庭筠47《巻1-47 河瀆神 三首其三》

 

 

孫光憲の

14-359《河瀆神二首其一》孫光憲

14-360《河瀆神二首其二》孫光憲

 

 

 

張泌《巻五02江城子 二首之二》『花間集』203全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6287

張泌  江城子 二首 其二  

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。綠雲高綰,金族小蜻蜓。好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

張泌《巻五02江城子 二首之二》『花間集』203全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6287

 
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(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

睡起捲簾無一事,面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面をえ了り,心も情も沒【な】くす。

 

(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其二

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

こんな生活を続けていていいものだろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

江城子 二首其の二

浣花溪の上【ほと】り卿卿するを見る,臉波 秋水明るく,黛眉 輕し。

綠雲 高綰にして,金族の小蜻蜓あり。

是を好とし 他に問う「來りて磨を得んや?」和かに笑うて道う「多情する莫れ。」

 

 

(改訂版Ver.2.1

『江城子 二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子 二首 其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

 

(下し文)

江城子 二首其の二

浣花溪の上【ほと】り卿卿するを見る,臉波 秋水明るく,黛眉 輕し。

綠雲 高綰にして,金族の小蜻蜓あり。

是を好とし 他に問う「來りて磨を得んや?」和かに笑うて道う「多情する莫れ。」と

 

(現代語訳)

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

こんな生活を続けていていいものだろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

江城子 二首 其二

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

・張泌:唐末~五代・後蜀の詞人。唐末に進士となる。生没年不詳。出身地不詳。五代・後蜀の花間派(五代・『花間集』に掲載された詞人)たちの一。官は右諫議大夫史館修撰で終わる。

『花間集』には張泌の江城子が二首収められている。単調三十五字、八句五平韻で、⑦③③4⑤73③の詞形をとる。

江城子 二首其一

碧欄干外小中、 雨初晴、 曉鶯聲。

飛絮落花、 時節近清明。

睡起捲簾無一事、 勻面了、 沒心情。

●○○●●△○  ●○○ ●○○

○●●○ ○●●○○

●●△○○●● ○●● ●○○

江城子 二首其二

浣花溪上見卿,臉波秋水,黛眉

綠雲高綰,金族小蜻

好是問他來得磨?和笑道:莫多

   

 

   

 

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

・浣花溪 花さき乱れる浣花渓。杜甫が名づけた成都の草堂のあった場所、後、薛濤が晩年に草堂に隠遁した。

・卿卿 昵懇の間柄。貴人と逢ってうれしい状況を云う。男女の情事の際の声を意味する。形容夫妻或相的男女十分昵人は手に手を取っていつまでも語り合い,仲むつまじい限りだ。

牛嶠『菩薩蠻七首 其三』

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

樓上望卿卿寒新雨晴。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

何處有相知,羨他初畫眉。

・臉波 清らかな目のような波。

菩薩蠻七首 其二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

今宵求夢想,難到青樓上。

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

菩薩蠻七首 二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-331-6-#18  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3202

花間集「臉波」

牛嶠

巻四16菩薩蠻七首其二

金鳳小簾開,臉波和恨來。

張泌

巻五02江城子二首其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

和凝

巻六17臨江仙二首其二

肌骨細勻紅玉軟,臉波微送春心。

顧夐

巻六47甘州子五首其五

山枕上,燈背臉波橫。

・秋水明 秋水:秋のころの澄わたった水。清らかに張った空と海。転じて清廉潔白清らかさを喩える。

・黛眉 まゆずみでかいた眉 (まゆ)

 

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

・綰 髪をかき上げて束ねる。「人皆は今は長しと―・けと言へど」〈万・一二四〉2 舟をあやつる。「大舟を荒海(あるみ)に漕ぎ出で八()舟―・け我が見し児らがまみは著(しる)しも」〈万・一二六六〉3 《「だく」とも》手綱をあやつる。

・金族 金細工の群がったもの

・蜻蜓 とんぼ。ここでは髪飾り。

 

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

こんな生活を続けていていい者だろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

・好是 ~したほうがよい。

・多情 ]1 情が深くて、感じやすいこと。また、そのさま。2 異性に対する心が移りやすいこと。また、そのさま。移り気。

江城子二首 其一

恩重嬌多情易傷,漏更長,解鴛鴦。

朱唇未動,先覺口脂香。

緩揭繡衾抽皓腕,移鳳枕,枕潘郎。

103 江城子 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-295-5-#49  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3022

 

『天仙子 其一』 

惆望前回夢裏期、看花不語苦尋思。

露桃花裏小腰肢。

眉眼細、鬢雲垂。

唯有多情宋玉知。

天仙子 其一 ~ 其五 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-270-5-#24  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2897

張泌《巻五01江城子 二首之一》『花間集』202全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6282

張泌  江城子 二首 其一  

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。飛絮落花,時節近清明。睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

 

 

張泌《巻五01江城子 二首之一》『花間集』202全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6282

 
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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

睡起捲簾無一事,面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面をえ了り,心も情も沒【な】くす。

 

其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『江城子 二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子 二首 其一

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

飛絮落花,時節近清明。

睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

 

 

(下し文)

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面を勻え了り,心も情も沒くす。

 

 

(現代語訳)

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

江城子 二首 其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

愛されるかどうかというのは問題なく、愛されることなくても、ただ毎日そのための準備だけをするというもの。最大120~130名もの、妃を制度として老いた。そのための準備をするのが数万人の宮女の仕事である。

唐は隋の制度を参照して完壁で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。

韋荘、牛嶠の『江城子』参照。欧陽烱については後日掲載する。

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-25韋荘103《巻3-03 江城子二首 其一》三巻3-〈103〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5717

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-26韋荘104《巻3-04 江城子二首 其二》三巻4-〈104〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5722

牛嶠《巻四22江城子二首 其一》『花間集』173全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6137

牛嶠《巻四23江城子二首 其二》『花間集』174全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6142

11 -16 江城子一首 歐陽舍人炯十七首ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-426-11-#16  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3677

 

『花間集』には張泌の江城子が二首収められている。単調三十五字、八句五平韻で、⑦③③4⑤73③の詞形をとる。

碧欄干外小中、 雨初晴、 曉鶯聲。

飛絮落花、 時節近清明。

睡起捲簾無一事、 勻面了、 沒心情。

●○○●●△○  ●○○ ●○○

○●●○ ○●●○○

●●△○○●● ○●● ●○○

 

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

○碧欄 東側の欄干。寝殿への渡り廊下の欄干。

○小中庭 後宮寝殿へ続く庭。

雨初晴 春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れの様子を意。。

○曉鶯聲 鶯は早春の暁に春を告げるために啼くもの。

 

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

飛絮落花 前聯が早春を表現し、この聯は盛春をいう。

清明 春分から数えて十五日目。二十四節気の一つ。現在の四月四、五日頃。韋荘の詞と極似している。寒食、清明節は行楽の時季の始まり。

韋荘『河傳其三』

錦浦,春女,繡衣金縷,霧薄雲輕。

花深柳暗,時節正是清明雨初晴

玉鞭魂斷煙霞路,鶯鶯語,一望巫山雨。

香塵隱映,遙見翠檻紅摟,黛眉愁。

寒食節は、2月末に、一日中冷たいものを食べる。前後3日間、火を焚くこと、夜間に灯りをつけることを禁じられた。清明節は、31日に寒食節が終わると、一続きで行われる、家で新火をおこし始める行事である。

 

睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

無一事 寵愛を受ける準備をすることだけが仕事であり、外にすることはない。

勻面了 顔を整える、化粧するのもすぐ終わる。・勻面:顔を整える、化粧する。謂化妝時用手搓臉使脂粉勻凈。指用脂粉化妝過的臉。

沒心情 心の中にある思いや感情がなくなる。・心情:心の中にある思いや感情。

 

張泌《巻四50柳枝一首》『花間集』201全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6277

張泌  柳枝一首  

膩粉瓊粧透碧紗,雪休誇。金鳳搔頭墮鬢斜,髮交加。

倚著雲屏新睡覺,思夢笑。紅腮隱出枕函花,有些些。

(柳のようにほそく、柳絮の白より白く美しい姿、妃嬪の美しさを詠う)柳のようにほそく美しい姿、なめらかな白粉、紅い宝玉に飾られ、碧い薄絹から細腰が透けて見える。雪のように飛ぶ柳絮よ、その白さを自慢するのはやめなさい、お前より美しいものがあるのだから。

張泌《巻四50柳枝一首》『花間集』201全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6277

 
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花間集 教坊曲 『楊柳枝』二十四首

 

 

溫助教庭筠(温庭筠)

巻一

楊柳枝八首之一

館娃宮外鄴城西,

 

 

巻一

楊柳枝八首之二

宜春苑外最長條,

 

 

巻一

楊柳枝八首之三

金縷毿毿碧瓦溝,

 

 

巻一

楊柳枝八首之四

御柳如絲映九重,

 

 

巻一

楊柳枝八首之五

織錦機邊鶯語頻,

 

 

巻一

楊柳枝八首之六

蘇小門前柳萬條,

 

 

巻一

楊柳枝八首之七

牆東御路傍,

 

 

巻一

楊柳枝八首之八

兩兩黃鸝色似金,

 

 

皇甫先輩松(皇甫松)

巻二

楊柳枝二首其一

春入行宮映翠微

 

 

巻二

楊柳枝二首其二

爛熳春歸水國時

 

 

牛給事嶠(牛嶠)

巻三

柳枝五首其一

解凍風來末上青,

 

 

巻三

柳枝五首其二

橋北橋南千萬條,

 

 

巻三

柳枝五首其三

狂雪隨風撲馬飛,

 

 

巻三

柳枝五首其四

王宮裡色偏深,

 

 

巻三

柳枝五首其五

裊翠籠煙拂暖波,

 

 

張舍人泌(張泌)

巻四

柳枝一首

膩粉瓊粧透碧紗,

 

 

和學士凝(和凝)

巻六

柳枝三首  其一

軟碧瑤煙似送人,

 

 

巻六

柳枝三首  其二

瑟瑟羅裙金縷腰,

 

 

巻六

柳枝三首 其三

鵲橋初就咽銀河,

 

 

顧太尉(顧

巻七

楊柳枝一首 顧夐

秋夜香閨思寂寥,

 

 

孫少監光憲(孫光憲)

巻八

陽柳枝四首 其一

閶門風暖落花乾

 

 

巻八

陽柳枝四首 其二

有池有榭即濛濛,

 

 

巻八

楊柳枝四首其三

根柢雖然傍濁河,

 

 

巻八

楊柳枝四首其四

萬株枯槁怨亡隋,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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張泌《巻四49滿宮花一首》『花間集』200全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6272

張泌《巻四49滿宮花一首》

花正芳,樓似綺,寂寞上陽宮裏。鈿籠金鏁睡鴛鴦,簾冷露華珠翠。

嬌豔輕盈香雪膩,細雨黃鶯雙起。東風惆悵欲清明,公子橋邊沉醉。

(一度寵愛を受けていた妃嬪は数多く、歳を重ねて洛陽の上陽宮に遷されたものには寵愛を受ける春はやってこないし、ひっそりと生涯を終えると。)春の暖かさを運ぶ風も吹いては来るが寂しく音を立て、気が付けば春の盛りの清明節になっている。それでも、公子は上陽宮にわたる橋のあたりまでこられてはいるが酒に酔い潰れて此処に訪れることはない。

 

張泌《巻四49滿宮花一首》『花間集』200全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6272

 
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 孟郊張籍     
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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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花間集 教坊曲『滿宮花』三首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

滿宮花一首

花正芳,樓似綺,

 

 

魏太尉承班

巻九

滿花一首

雪霏霏,風凜凜,

 

 

尹參卿鶚

巻九

滿宮一首

月沉沉,人悄悄,

 

 

 

 

 

 

 

魏太尉承班 《滿宮花一首》

雪霏霏,風凜凜,玉郎何處狂飲。

醉時想得縱風流,羅帳香幃鴛寢。

春朝秋夜思君甚,愁見繡屏孤枕。

少年何事負初心,淚滴縷金雙衽。

15-444《滿宮花一首》魏承班Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-627-15-(444) 巻九漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4682

尹鶚 《滿宮花一首》

月沉沉,人悄悄,一炷後庭香裊。

風流帝子不歸來,滿地禁花慵掃。

離恨多,相見少,何處醉迷三島。

漏清宮樹子規啼,愁鏁碧春曉。

18-473《滿宮花一首,》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-656-18-(473) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4827

 

 

 

張泌 《滿宮花一首

(一度寵愛を受けていた妃嬪は数多く、歳を重ねて洛陽の上陽宮に遷されたものには寵愛を受ける春はやってこないし、ひっそりと生涯を終えると。)

花正芳,樓似綺,寂寞上陽宮裏。

その花は今まさに芳しく美しい盛りであり、高楼に於いても綺麗さはひけをとらないも、ひっそりと寂しさが洛陽上陽宮の中にある。

鈿籠金鏁睡鴛鴦,簾冷露華珠翠。

かごかんざし、金属製の輪をつないだひも状のもので結ばれ、鴛鴦のふとんのなかに眠る。簾から寒気が入り、ひらいたはなに夜露が降り、珠と翡翠に閨は飾られている。

嬌豔輕盈香雪膩,細雨黃鶯雙起。

愛嬌も、妖艶なしぐさも十分あり、薫り高く雪のように色白の素肌はきめ細かいけしょうがされている。これほどの魅力あるものなら、春なって細雨が降って来るころには高麗鶯の番が春を告げに起きだしてくるだろう。

東風惆悵欲清明,公子橋邊沉醉。

春の暖かさを運ぶ風も吹いては来るが寂しく音を立て、気が付けば春の盛りの清明節になっている。それでも、公子は上陽宮にわたる橋のあたりまでこられてはいるが酒に酔い潰れて此処に訪れることはない。

(滿宮花一首)

花 正に芳し,樓 綺に似るも,寂寞とす 上陽宮の裏。

鈿籠 金 鴛鴦睡り,簾 冷やかして 華に露 珠翠あり。

 輕やかに盈ちて 香雪の膩,細雨 鶯 雙びて起す。

東風 惆悵して 清明にならんと欲し,公子 橋邊に 醉す。

 


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張泌《巻四48思越人一首》『花間集』199全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6267

張泌  思越人  

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

 

張泌《巻四48思越人一首》『花間集』199全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6267

 
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花間集 教坊曲『思越人』四首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

思越人一首

鷰雙飛,鶯百囀

 

 

孫少監光憲

巻八

思越人二首其一

古臺平,芳艸遠

 

 

巻八

思越人二首其一

渚蓮枯,宮樹老,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

思越人一首

翠屏欹,銀燭背

 

 

 

 

 

 

 

(改訂版Ver.2.1

思越人

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

 

(思越人)

翠屏は欹だて,銀燭は背にす,漏殘の清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠 盤錦薦し,淚浸し 花暗く 香銷す。

珊瑚 枕膩 鴉鬟【あかん】亂して,玉纖 慵整し 雲散す。

若し是れ 適來すれば 新らたに夢め見,離腸すれども 千斷することなく爭す。

 

(改訂版Ver.2.1

『思越人』 現代語訳と訳註

(本文) (改訂版Ver.2.1

思越人

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

 

 

(下し文)

(思越人)

翠屏は欹だて,銀燭は背にす,漏殘の清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠 盤錦薦し,淚浸し 花暗く 香銷す。

珊瑚 枕膩 鴉鬟【あかん】亂して,玉纖 慵整し 雲散す。

若し是れ 適來すれば 新らたに夢め見,離腸すれども 千斷することなく爭す。

 

(現代語訳)

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

 

(改訂版Ver.2.1

(訳注)

思越人

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

『花間集』には四首所収。張泌の作は一首収められている。双調五十一字、前段二十五字五句二平韻、後段二十六字四句四仄韻で、33⑥7⑥/❼❻❼❻の詞形をとる。なお、『花間集』の思越人は鷓鴣天、思佳客、醉梅花の異名があるが、時代がもう少しあとになるもので無関係である。

思越人一首

翠屏欹 銀燭背  漏殘清夜迢
雙帶繡窠盤錦薦  淚浸花暗香
珊瑚枕膩鴉鬟  玉纖慵整雲
若是適來新夢  離腸爭不千

  
  
  
  

 

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

翠屏 翡翠の飾りのついた屏風。寝牀のまわりに立てる。

迢迢 1 はるかに遠いさま。2 他より高いさま。また、すぐれているさま。

 

雙帶 繡窠 盤錦薦,淚浸 花暗 香銷。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

繡窠 二人で一つになった刺繍で飾った布団。窠:巣,ねぐら,做窠巣をつくる.

 からまりあう

 (1) 推薦する,推挙する.(2) 草.(3) むしろ,ござ、草荐ベッドに敷くござ.

 

珊瑚 枕膩 鴉鬟亂,玉纖 慵整 雲散。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

枕膩 枕の赤、油汚れ。

鴉鬟【あかん】①黒い髪の毛。 ②髪の結い方の一つ。あげまき。また、その髪に結った少年・少女。 ③召使の女。

玉纖 指が白くて細く綺麗な様子。

 ものうい。けだるい。夢や目標がない様子。

 

若是 適來 新夢見,離腸 爭不千斷。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

張泌《巻四47生查子一首》『花間集』198全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6262

張泌  生子一首  

相見稀,喜見相見,相見還相遠。檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓軟。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

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 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
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張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛の絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『生子』七首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

子一首

相見稀,喜見相見

 

 

牛學士希濟

巻四

子一首

春山煙欲收,天澹

 

 

孫少監光憲

巻八

子三首其一

寂寞掩朱門,正是天

 

 

巻八

子三首其二

暖日策花驄,嚲鞚垂

 

 

巻八

子三首其三

金井墮高梧,玉殿籠

 

 

魏太尉承班

巻九

子二首其一

煙雨晚晴天,零落花

 

 

巻九

子二首其二

寂寞畫堂空,深夜垂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子一首

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

檀畫枝紅,金蔓蜻軟。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

可憐玉肌膚,消成慵懶。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

 

(生子)

相い見る稀れ,喜び見 相い見,相い見て還た相い遠ざかる。

檀畫  紅なり,金蔓 蜻 軟かなり。

魚鴈 疎にするも,芳信 斷ち,花落ち 庭陰の

可憐なる 玉の肌膚,消す 慵懶成るを。

 

 

『生』 現代語訳と訳註

(本文)

子一首

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓軟。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。

可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

 

(下し文)

(生子)

相い見る稀れ,喜び見 相い見,相い見て還た相い遠ざかる。

檀畫 荔枝 紅なり,金蔓 蜻蜓 軟かなり。

魚鴈 疎にするも,芳信 斷ち,花落ち 庭陰の晚。

可憐なる 玉の肌膚,消瘦す 慵懶成るを。

 

(現代語訳)

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

 

(訳注)

子一首

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

「生」は、唐教坊曲の名、『花間集』には七首所収。張泌の作は一首収められている。双調四十三字、前段二十二字四句三仄韻、後段二十一字五句三仄韻で、3❹❺5❺/3❸❺5❺の詞形をとる。

子一首

相見稀,喜見相,相見還相

檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓

魚鴈疎,芳信,花落庭陰

可憐玉肌膚,消瘦成慵

△●○  ●●△● △●○△●

○●●○○ ○△○△●

○●△ ○△●  ○●○○●

●○●○○  ○●○○●

 

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

相見・相見・相見 

 

檀畫 荔枝紅,金蔓 蜻蜓軟。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

/真弓  ニシキギ科の落葉低木。山野に生え、葉は楕円形で、対生。雌雄異株。初夏、緑白色の小花が集まって咲き、果実はほぼ四角形で、熟すと四つに裂けて赤い種子が現れる。古くは材で弓を作った。やまにしきぎ。かわくまつづら。《季 花=夏 実=秋》2 (「檀弓」とも書く)マユミの木で作った弓。3 (かさね)の色目の名。表は蘇芳(すおう)、裏は黄。多く秋に用いる。

荔枝 ライチはムクロジ科の果樹。 レイシとも呼ばれる。11種。中国の嶺南地方原産で、熱帯・亜熱帯地方で栽培される。 常緑高木で、葉は偶数羽状複葉で互生する。花は黄緑色で春に咲く。果実は夏に熟し、表面は赤くうろこ状、果皮をむくと食用になる白色半透明で多汁の果肉があり、その中に大きい種子が1個ある。

金蔓 金銭を得る、つてや手がかり。資金などを出してくれる人。「―をつかむ」ここは金細工の飾り物。

蜻蜓 トンボのかみかざり。 1 トンボ目ヤンマ科の昆虫の総称。体長6センチ以上あり、体は長く太めで、複眼も大きい。翅(はね)は幅広く、翅脈(しみゃく)が太い。昆虫類中最も速く飛ぶ。ギンヤンマ・ルリボシヤンマ・カトリヤンマなど。2 大形のトンボ。

 

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

魚鴈 魚中の書簡(魚中の書簡も雁書簡)も雁書簡(雁足)

芳信 1 他人を敬って、その手紙をいう語。慕っている身分の高い人からの手紙。2 花の咲いたという便り。花信。

庭陰 庭の南の草木も終る。

 

可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

玉肌膚 輝くような白い美肌。

慵懶 慵:ものうい,だるい。懶:1 なんとなく心が晴れ晴れしない。だるくておっくうである。2 苦しい。つらい。

張泌《巻四46女冠子一首》『花間集』197全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6257

張泌  女冠子 一首  

露花煙草,寂寞五雲三島,正春深。貌減潛銷玉,香殘尚惹襟。

竹疎虛檻靜,松密醮壇陰。何事劉郎去,信沉沉。

(後宮に祀られた祠の舞台、祭壇に、後宮に入った若い女冠子をうたうもので、膨大な数の尼と女道士(女冠)の集団の中のアイドルの頂点のような存在である、しかし歳を重ねれば世代交代ということはつきものである。数万にも及ぶ女道士も人知れずなくなっていくと詠う。

張泌《巻四46女冠子一首》『花間集』197全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6257

 
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張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『女冠子』十九首

 

 

溫助教庭筠

巻一

女冠子二首其一

含嬌含笑

 

 

 〃

巻一

女冠子二首其二

霞帔雲髮,

 

 

韋相莊

巻三

女冠子二首其一

四月十七,

 

 

 〃

巻三

女冠子二首其二

昨夜夜半,

 

 

薛侍郎昭蘊

巻三

女冠子二首其一

求仙去也,

 

 

 〃

巻三

女冠子二首其二

雲羅霧縠,

 

 

牛嶠(牛給事嶠)

巻四

女冠子四首 其一

綠雲高髻,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其二

錦江煙水,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其三

星冠霞帔,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其四

雙飛雙舞,

 

 

張舍人泌

巻四

女冠子一首

露花煙草,

 

 

孫少監光憲

巻八

女冠子二首其一

蕙風芝露,

 

 

 〃

巻八

女冠子二首其二

澹花瘦玉,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

女冠子二首其一

鳳樓琪樹,

 

 

 〃

巻九

女冠子二首其二

步虛壇上,

 

 

毛秘書熙震

巻九

女冠子二首其一

碧桃紅杏,

 

 

 〃

巻九

女冠子二首其二

脩蛾慢臉,

 

 

李秀才珣

巻十

女冠子二首其一

星高月午,

 

 

 〃

巻十

女冠子二首其二

春山夜靜,

 

 

 

 

 

 

 

 


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張泌《巻四41南歌子 三首之三》『花間集』192全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6232

張泌  南歌子三首 其三  

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

(若い妃嬪は春の水辺の宴に鴛鴦のように満ち足りた日を過ごす。いつしか風雪が窓を打っても、何事もなく寵愛を受ける。)

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 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
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(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其一

(春に寵愛を受けて、桐の花が散るとともに、寵愛を失い、それでも毎日、寵愛の準備をして待つ、夏に窓を開いて部屋に風を入れる、夕陽が巻き上げた水晶の簾に当たってかがやく、もうずっとこの生活をする。)

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

柳はすっかりみどりの色を茂らせていて、高殿を遮って影暗くしていると、桐の花は高殿のみぎりの石に散り落ちて春は過ぎていく。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

夏が来ると高殿の窓を開けて遠くより吹き寄せる風は涼しく通り抜けてゆき、水晶の簾を巻き掲げとめれば、傾いた日差しは簾の水晶に輝いている。

(南歌子三首 其の一)

柳色 樓を遮りて暗く,桐花 落砌【みぎり】香し。

畫堂 開く處 遠風 涼しく,高く水精の簾額を卷けば,斜陽を襯【つ】く。

 

(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其二

(柳が茂るのを見ても、庭の花を見ても、寵愛を受けていたのが昨日の日の様に思われる、何もすることが無く、横になるとその頃のことを思いだす。杜鵑の啼くのを聞いていて昼寝をしていて、急に鳴きやんだので、目を覚ましたけれど、何にも変わった事は無く、また夢を見る事しかない。閨の壁に倚る絵屏風は何時寵愛を受けても良い様に準備していること園もがむなしいと詠う。)

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

岸の柳は今年も芽を吹き、もう縁の靄のようにしげっている、寝殿前の中庭の花は、紅く一層美しく日に映えている。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

あちこちでホトトギスが別れた人を呼ぶために鳴くといわれる声が聞こえ、簾かかる連子窓からそよ風が入る、啼き声が止んで、驚いて目を覚ますが夢の出来事から離れられない、だから絵屏風が余計に空しく思われる。

(南歌子三首 其の二)

岸の柳は煙綠に【ひ】きて,庭花は日に照えて紅なり。

數聲 蜀の魄 簾に入り,驚斷す 碧殘夢,畫屏 空し。

 

(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其三

(若い妃嬪は春の水辺の宴に鴛鴦のように満ち足りた日を過ごす。いつしか風雪が窓を打っても、何事もなく寵愛を受ける。)

錦薦紅鸂鶒,羅衣鳳凰。

水上舞台の華美な墊席、頬を赤くした若い妃嬪は鴛鴦のように寄り添っている。閨では薄絹の着物を着ていてそれには鳳凰の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々をおくる。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻の窓には北風が狂ったように吹きつけ、荒れ雪が舞い飛んでくる。簾ととばりもすべておろしたので何事も無かったように待ちつづける、美しく良い香りのお香をたいて閨に鬱々とただよう。

 

(南歌子三首 其の三)

錦薦 紅の鸂鶒,羅衣 繡の鳳凰。

綺疎 飄雪 北風の狂,簾幕 盡く垂れ 事無し,金香鬱にす。

 

 

『南歌子三首 其三』 現代語訳と訳註

(本文)

南歌子三首 其三

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

 

(下し文)

(南歌子三首 其の三)

錦薦 紅の鸂鶒,羅衣 繡の鳳凰。

綺疎 飄雪 北風の狂,簾幕 盡く垂れ 事無し,金香鬱にす。

 

(現代語訳)

(若い妃嬪は春の水辺の宴に鴛鴦のように満ち足りた日を過ごす。いつしか風雪が窓を打っても、何事もなく寵愛を受ける。)

水上舞台の華美な墊席、頬を赤くした若い妃嬪は鴛鴦のように寄り添っている。閨では薄絹の着物を着ていてそれには鳳凰の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々をおくる。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻の窓には北風が狂ったように吹きつけ、荒れ雪が舞い飛んでくる。簾ととばりもすべておろしたので何事も無かったように待ちつづける、美しく良い香りのお香をたいて閨に鬱々とただよう。

 

(訳注)

南歌子三首 其三

(若い妃嬪は春の水辺の宴に鴛鴦のように満ち足りた日を過ごす。いつしか風雪が窓を打っても、何事もなく寵愛を受ける。)

春の水亭の宴、鴛鴦のように寵愛を受け、鳳凰の褥に入って満足な日を過ごす、夏が過ぎ、風雪が窓を討つようになっても何事もなく、ちょうあいをうける。い、作中の主人公の思いは、遙か彼方へと向かい、もうあきらめてしまうしかない。

温庭筠『南歌子』は下記に示す。

『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736

『南歌子七首』(二)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-31-5-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1740

『南歌子七首』(三)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-32-5-#10 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1744

『南歌子七首(四)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-33-5-#11 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1748

『南歌子七首(五)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-34-6-#12 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1752

『南歌子七首』(六)温庭筠 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-35-7-#13 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1756

『南歌子七首』 (七) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-36-5-#14 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1760

『花間集』には張泌の作が二首収められている。単調二十六字、五句三平韻で、5⑤⑦6③の詞形をとる。

南歌子三首 其一

柳色遮樓暗,桐花落砌

畫堂開處遠風,高卷水精簾額,襯斜

●●○○●、○○●●○。

●○○●●△△、○△●△○●、●○○。

『花間集』には張泌の作が二首収められている。単調二十六字、五句四平韻で、5⑤⑦⑥③の詞形をとる。

南歌子三首 其二

岸柳拖煙綠,庭花照日

數聲蜀魄入簾,驚斷碧,畫屏

●●△○●  ○○●●○

●○●●●○○  ○●●?○△ ●△△

『花間集』には張泌の作が二首収められている。単調二十六字、五句三平韻で、5⑤⑦6③の詞形をとる。

南歌子三首 其三

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳

綺疎飄雪北風,簾幕盡垂無事,鬱金

●●○○●  ○△●●○

●△○●●△△  ○●●○○● ●○○

 

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

水上舞台の華美な墊席、頬を赤くした若い妃嬪は鴛鴦のように寄り添っている。閨では薄絹の着物を着ていてそれには鳳凰の刺繍で飾ってあり、満ち足りた日々をおくる。

・錦薦 錦で以て緣どりで飾った席子。 亦た水上に泛んだ華美な墊席をいう。水上舞台の華美な墊席。・薦1 マコモを粗く編んだむしろ。現在は多く、わらを用いる。こもむしろ。「荷車に―を掛ける」2 「薦被(こもかぶ)2」の略。おこも。3 (「虚無」とも書く)「薦僧(こもそう)」の略。4 マコモの古名。

・鸂鶒 おしどり。

 

 

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

閨にはうつくしい模様をきざみこんだ彫刻の窓には北風が狂ったように吹きつけ、荒れ雪が舞い飛んでくる。簾ととばりもすべておろしたので何事も無かったように待ちつづける、美しく良い香りのお香をたいて閨に鬱々とただよう。

・綺疎 うつくしい模様をきざみこんだ彫刻、綺疏)、綺窓(キソウ=模様で飾った窓)

・飄雪 雪が風に吹かれ舞い飛ぶ、雪の花をいう。

・鬱 はればれしない気分のこと。

・金香 美しく良い香り。

張泌《巻四40南歌子 三首之二》『花間集』191全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6227

張泌  南歌子三首 其二  

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

(柳が茂るのを見ても、庭の花を見ても、寵愛を受けていたのが昨日の日の様に思われる、何もすることが無く、横になるとその頃のことを思いだす。杜鵑の啼くのを聞いていて昼寝をしていて、急に鳴きやんだので、目を覚ましたけれど、何にも変わった事は無く、また夢を見る事しかない。閨の壁に倚る絵屏風は何時寵愛を受けても良い様に準備していること園もがむなしいと詠う。)

張泌《巻四40南歌子 三首之二》『花間集』191全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6227

 
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(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其一

(春に寵愛を受けて、桐の花が散るとともに、寵愛を失い、それでも毎日、寵愛の準備をして待つ、夏に窓を開いて部屋に風を入れる、夕陽が巻き上げた水晶の簾に当たってかがやく、もうずっとこの生活をする。)

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

柳はすっかりみどりの色を茂らせていて、高殿を遮って影暗くしていると、桐の花は高殿のみぎりの石に散り落ちて春は過ぎていく。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

夏が来ると高殿の窓を開けて遠くより吹き寄せる風は涼しく通り抜けてゆき、水晶の簾を巻き掲げとめれば、傾いた日差しは簾の水晶に輝いている。

(南歌子三首 其の一)

柳色 樓を遮りて暗く,桐花 落砌【みぎり】香し。

畫堂 開く處 遠風 涼しく,高く水精の簾額を卷けば,斜陽を襯【つ】く。

 

(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其二

(柳が茂るのを見ても、庭の花を見ても、寵愛を受けていたのが昨日の日の様に思われる、何もすることが無く、横になるとその頃のことを思いだす。杜鵑の啼くのを聞いていて昼寝をしていて、急に鳴きやんだので、目を覚ましたけれど、何にも変わった事は無く、また夢を見る事しかない。閨の壁に倚る絵屏風は何時寵愛を受けても良い様に準備していること園もがむなしいと詠う。)

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

岸の柳は今年も芽を吹き、もう縁の靄のようにしげっている、寝殿前の中庭の花は、紅く一層美しく日に映えている。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

あちこちでホトトギスが別れた人を呼ぶために鳴くといわれる声が聞こえ、簾かかる連子窓からそよ風が入る、啼き声が止んで、驚いて目を覚ますが夢の出来事から離れられない、だから絵屏風が余計に空しく思われる。

(南歌子三首 其の二)

岸の柳は煙綠に【ひ】きて,庭花は日に照えて紅なり。

數聲 蜀の魄 簾に入り,驚斷す 碧殘夢,畫屏 空し。

其三

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『南歌子三首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

南歌子三首 其二

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

 

 

(下し文)

(南歌子三首 其の二)

岸の柳は煙綠に拖【ひ】きて,庭花は日に照えて紅なり。

數聲 蜀の魄 簾櫳に入り,驚斷す 碧殘夢,畫屏 空し。

 

 

(現代語訳)

(柳が茂るのを見ても、庭の花を見ても、寵愛を受けていたのが昨日の日の様に思われる、何もすることが無く、横になるとその頃のことを思いだす。杜鵑の啼くのを聞いていて昼寝をしていて、急に鳴きやんだので、目を覚ましたけれど、何にも変わった事は無く、また夢を見る事しかない。閨の壁に倚る絵屏風は何時寵愛を受けても良い様に準備していること園もがむなしいと詠う。)

岸の柳は今年も芽を吹き、もう縁の靄のようにしげっている、寝殿前の中庭の花は、紅く一層美しく日に映えている。

あちこちでホトトギスが別れた人を呼ぶために鳴くといわれる声が聞こえ、簾かかる連子窓からそよ風が入る、啼き声が止んで、驚いて目を覚ますが夢の出来事から離れられない、だから絵屏風が余計に空しく思われる。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其二

(諦めてはいたが杜鵑、夢、人の動きによって心が動かされるものの、そこには寂蓼だけがのこるを詠う。)

晩春、窓辺近く屏風に囲まれて午醇をとっていた女性は、ホトトギスの鳴き声に、夢から覚めて、身.人の現実に返り、つくづくと空しさを覚える。彼女が見ていたのは、旅に出て帰らぬ男が帰ってきた夢か、あるいは男を尋ね求めて行った夢に違いない。それは、夢を破ったのがホトトギスの声であることから知れる。「畫屏空」は、諦めてはいたが杜鵑、夢、人の動きによって心が動かされるものの、二人だけの世界を作る屏風も、空しく広げられたままになっていることを言う。

 

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

岸の柳は今年も芽を吹き、もう縁の靄のようにしげっている、寝殿前の中庭の花は、紅く一層美しく日に映えている。

○岸柳 岸辺の柳の木は護岸保護のために官によって植えられたものである。

顧太尉 巻七36醉公子二首其二

岸柳垂金線,雨晴鶯百囀。家在綠楊邊,往來多少年。

馬嘶芳草遠,高樓簾半捲。斂袖翠蛾攢,相逢爾許難。

13-339《醉公子二首 其二》顧太尉(顧夐【こけい】)五十五首Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-522-13-(339) 花間集 巻第七漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4157

○拖 (1) 引く,引きずる用子拖縄で引っ張る.把孩子拖屋子供を引きずって部屋に入れる.(2) 体の後に垂らす身后拖着一条大子背中に長いお下げの髪を垂らしている.(3) 引き延ばす拖日子日を延ばす.

○煙綠 春に柳の若葉がいっぱいに広がった様子を云う。夏の表現では緑が濃い、鬱蒼、暗いという語を使う。土手の補強に官が植えることが多く、花街は水郷と柳は一体のものである。春、岸、柳、煙、これは前の春にここで別れたことを意味する。

○庭花 寝殿の前庭を意味する。

○照日紅 花に日が射してその赤い色が生えることを云うが、これは男との佳き日を意味する。

 

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

あちこちでホトトギスが別れた人を呼ぶために鳴くといわれる声が聞こえ、簾かかる連子窓からそよ風が入る、啼き声が止んで、驚いて目を覚ますが夢の出来事から離れられない、だから絵屏風が余計に空しく思われる。

○數聲 あちこちで杜鵑の声が聞こえてくることをいう。

○蜀魄 他の渡り鳥よりも渡来時期が遅いのは、托卵の習性のために対象とする鳥の繁殖が始まるのにあわせることと、食性が毛虫類を捕食するため、早春に渡来すると餌にありつけないためである。杜鵑。ホトトギス。蜀魂ともいう。杜鵑  ほととぎす。蜀の望帝の春を思う心は、血を吐いて悲しげになく杜鵑(ホトトギス)に魂を托(たく)した。(そのように、血を吐きながらなく思いである)。詳しくは杜甫『杜鵑行』を参照されたい。

不如帰、杜宇、杜鵑、蜀魂、蜀鳥、杜魄、蜀魄、子規、躑躅。李白『宣城見杜鵑花』「蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑」

杜甫『杜鵑行』

君不見昔日蜀天子,化作杜鵑似老烏。

寄巢生子不自啄,群鳥至今與哺雛。

雖同君臣有舊禮,骨肉滿眼身羈孤。

業工竄伏深樹裡,四月五月偏號呼。

其聲哀痛口流血,所訴何事常區區。

爾豈摧殘始發憤,羞帶羽翮傷形愚。

蒼天變化誰料得,萬事反覆何所無。

萬事反覆何所無,豈憶當殿群臣趨?

杜鵑行 杜甫 成都(2)浣花渓の草堂(2 -16-1)  <379 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1831 杜甫詩1000-379-557/1500

浣渓沙 十首 其一 張泌【ちょうひつ】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-339-7-#1  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3242

酒泉子 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-275-5-#29  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2922

天仙子 其四 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-273-5-#27  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2912

楊蘊中 薛濤  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-245-111-#101  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2607

蜀中三首 其三 鄭谷  唐五代詞・宋詩 薛濤-135-7-#3  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2222

菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644

簾櫳 カーテンのかかった連丁窓。

○驚斷 杜鵑の声が途絶えて驚く。

○碧 簾かかる東の連子窓。

殘夢 眠っていて見た夢が、眠りから覚めても夢を思い出す。

○畫屏空 屏風は閨の寝牀の周りに立てかけるものであることで、寝牀で過ごしたことを意味する。

張泌《巻四39南歌子 三首之一》『花間集』190全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6222

張泌  南歌子三首 其一  

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

(春に寵愛を受けて、桐の花が散るとともに、寵愛を失い、それでも毎日、寵愛の準備をして待つ、夏に窓を開いて部屋に風を入れる、夕陽が巻き上げた水晶の簾に当たってかがやく、もうずっとこの生活をする。)

張泌《巻四39南歌子 三首之一》『花間集』190全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6222

 

 
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266 《卷8-12見京兆韋參軍量移東陽,二首之二》Index-19 Ⅱー14-739年開元二十七年39歳 <266> Ⅰ李白詩1534 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6218 
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(改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其一

(春に寵愛を受けて、桐の花が散るとともに、寵愛を失い、それでも毎日、寵愛の準備をして待つ、夏に窓を開いて部屋に風を入れる、夕陽が巻き上げた水晶の簾に当たってかがやく、もうずっとこの生活をする。)

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

柳はすっかりみどりの色を茂らせていて、高殿を遮って影暗くしていると、桐の花は高殿のみぎりの石に散り落ちて春は過ぎていく。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

夏が来ると高殿の窓を開けて遠くより吹き寄せる風は涼しく通り抜けてゆき、水晶の簾を巻き掲げとめれば、傾いた日差しは簾の水晶に輝いている。

(南歌子三首 其の一)

柳色 樓を遮りて暗く,桐花 落砌【みぎり】香し。

畫堂 開く處 遠風 涼しく,高く水精の簾額を卷けば,斜陽を襯【つ】く。

 

其二

岸柳拖煙綠,庭花照日紅。

數聲蜀魄入簾櫳,驚斷碧殘夢,畫屏空。

 

其三

錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。

綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『南歌子三首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

南歌子三首 其一

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

 

(下し文)

南歌子三首 其一

柳色 樓を遮りて暗く,桐花 落砌【みぎり】香し。

畫堂 開く處 遠風 涼しく,高く水精の簾額を卷けば,斜陽を襯【つ】く。

 

 

(現代語訳)

(春に寵愛を受けて、桐の花が散るとともに、寵愛を失い、それでも毎日、寵愛の準備をして待つ、夏に窓を開いて部屋に風を入れる、夕陽が巻き上げた水晶の簾に当たってかがやく、もうずっとこの生活をする。)

柳はすっかりみどりの色を茂らせていて、高殿を遮って影暗くしていると、桐の花は高殿のみぎりの石に散り落ちて春は過ぎていく。

夏が来ると高殿の窓を開けて遠くより吹き寄せる風は涼しく通り抜けてゆき、水晶の簾を巻き掲げとめれば、傾いた日差しは簾の水晶に輝いている。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

南歌子三首 其一

(春も過ぎ、夏も過ぎようと、気持ちは遙か彼方へと向かい、女はもうあきらめてしまうしかない。)

春が来ても来てくれない、晩春の日傾く頃になってこない。夏になってもこない、作中の主人公の思いは、遙か彼方へと向かい、もうあきらめてしまうしかない。

温庭筠『南歌子』は下記に示す。

 

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠38《巻1-38 南歌子七首其一》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠39《巻1-39 南歌子七首其二》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠40《巻1-40 南歌子七首其三》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠41《巻1-41 南歌子七首其四》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠42《巻1-42 南歌子七首其五》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠43《巻1-43 南歌子七首其六》溫庭筠66首巻一

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠44《巻1-44 南歌子七首其七》溫庭筠66首巻一

『花間集』には張泌の作が二首収められている。単調二十六字、五句三平韻で、5⑤⑦6③の詞形をとる。

南歌子三首 其一

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

●●○○●、○○●●○。

●○○●●△△、○△●△○●、●○○。

 

柳色遮樓暗,桐花落砌香。

柳はすっかりみどりの色を茂らせていて、高殿を遮って影暗くしていると、桐の花は高殿のみぎりの石に散り落ちて春は過ぎていく。

桐花 キリ属の落葉広葉樹。漢語の別名として白桐、泡桐、榮。聖王を表す”鳳凰”は梧桐の木に棲み、竹の実だけを食べるという伝説があり、 桐は霊鳥の宿り木とされた。開花は晩春、秋に実を付ける。白居易《桐花》詩「春令有常候,清明桐始發。何此巴峽中,桐花開十月。草木堅彊物,所稟固難奪。」〕憂欝、寂寥の意。

・砌 香は修飾的な詩的冠語。みぎり【砌】とは。《「水限(みぎり)」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを 限るところからという》1 時節。おり。ころ。石または煉瓦のきざはし(階段)。室内から庭へおりるところにある段。砌は石または煉瓦のきざはしの段をいうが、部屋から庭に出るポーチの角。薛濤、魚玄機も多く使う。女性らしい、細かい景色の描写の一つになる。『女妓を詠う詩によく登場する。世界間の区切りを示すものである。

薛濤『金燈花』

闌邊不見蘘蘘葉,下惟翻艷艷叢。

細視欲將何物比,曉霞初疊赤城宮。

金燈花 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-154-26-#19  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2317

薛濤 『鴛鴦草』

綠英滿香砌,兩兩鴛鴦小。

春日長,不管秋風早。

鴛鴦草 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-137-9-#2  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2232

魚玄機 『遣懷』

閑散身無事,風光獨自遊。

斷雲江上月,解纜海中舟。

琴弄蕭梁寺,詩吟庾亮樓。

叢篁堪作伴,片石好為儔。

燕雀徒為貴,金銀誌不求。

滿杯春酒綠,對月夜窗幽。

澄清沼,抽簪映細流。

臥牀書冊遍,半醉起梳頭。

遣懷 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-103-38-#2  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2062

魚玄機『期友人阻雨不至』

雁魚空有信,雞黍恨無期。

方籠月,褰簾已散絲。

近泉鳴畔,遠浪漲江湄。

思悲秋客,愁吟五字詩。

期友人阻雨不至 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-100-36  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2047

魚玄機『寄飛卿』

階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。

月中鄰樂響,樓上遠山明。

珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。

嵇君懶書劄,底物慰秋情。

寄飛卿 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-104-39-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2067

 

畫堂開處遠風涼,高卷水精簾額,襯斜陽。

夏が来ると高殿の窓を開けて遠くより吹き寄せる風は涼しく通り抜けてゆき、水晶の簾を巻き掲げとめれば、傾いた日差しは簾の水晶に輝いている。

・開処 開け放った時、開け放つと。

・簾額 簾の上端の部分。ここでは簾の意。

・襯斜陽 夕日の光が体に貼り付くように射し込んで来る。

張泌《巻四38酒泉子 二首之二》『花間集』189全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6217

張泌  酒泉子二首 其二  

紫陌青門,三十六宮春色。御溝輦路暗相通,杏園風。

咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。插花走馬落殘紅,月明中。

〔(春の科挙発表の無礼講を詠う。)長安の街は春の景色に染まっている、科挙合格の発表の無礼講のころから春の終わりにかけて、貴公子らは五陵、咸陽、高級住宅街を我が物顔で遊び歩く、それが毎年のことで毎夜、月が真上に在るころまでは大騒ぎしている。〕

張泌《巻四38酒泉子 二首之二》『花間集』189全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6217

 
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(改訂版Ver.2.1

酒泉子二首 其一

(寵愛を失った妃嬪の孤閏の酒におぼれる悲しみを詠う。)

春雨打,驚夢覺來天氣曉。

春の風雨は東の窓を打つ、うとうとして夢におどろいて、目が覚めてみれば、もう夜が明けはじめたはれた空にかわる。

畫堂深,紅小,背蘭缸。

彩の御殿の表座敷が奥まったところにある閨には、火影小さく、燭台に背を向け横になっている。

酒香噴鼻懶開缸,惆悵更無人共醉。

やるせない気持ちに、酒に頼るしかなく物憂げに酒の甕を取れば酒の香りは鼻打つ、つらく悲しい気持ちには、ともに酌み交わす人はいなくていい。

中,新子,語雙雙。

梁上の古巣には、また、新しい番いの燕が子を育て、仲睦まじく語らい、また番を増やす。

春雨 窓を打ち、夢を驚かせ覚め来たれは 天気 暁なり。

画堂 深く、紅焔 小さく、蘭鉦【らんこう】を背く。

酒の香り 鼻を噴ち 懶【ものう】く缸【かめ】を開き、惆悵す 更に人の酔いを共にする 無きに。

舊巢の中,新しき鷰子,雙雙と 語る。

(改訂版Ver.2.1

酒泉子二首 其二

〔(春の科挙発表の無礼講を詠う。)長安の街は春の景色に染まっている、科挙合格の発表の無礼講のころから春の終わりにかけて、貴公子らは五陵、咸陽、高級住宅街を我が物顔で遊び歩く、それが毎年のことで毎夜、月が真上に在るころまでは大騒ぎしている。〕

紫陌青門,三十六宮春色。

都の街路の東には靑門の春明門があり、ここにある漢の武帝の作った「周墻,四百餘里、離宮・別館、三十六か所、神池・霊沼」は、すべて春色の景色に染そまっている。

御溝輦路暗相通,杏園風。

長安城に張り巡らされた運河、宮中の庭を流れる溝水路、天子の輦車の通路のどちらも人知れず通ってゆける道である。曲江の杏園に春風は吹くころ科挙の合格発表がある。

咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。

御陵を背にして秦の咸陽の街があり、此処で貴公子が酒屋で酒を手にし、宝玉の簪を付けた女妓を弄び空しい春となる。そんなことをわらいとばして、未央宮・長安城に去りかえっていく。

插花走馬落殘紅,月明中。

貴公子たちは花を挿し、馬を我が物顔で走らせ、春も終わりころの残った赤い花も落ち始めているころまでつづく。そして今日も、月はまだ真上にあってこの街を照らす。(酒泉子二首 其の二)

紫陌【しはく】青門,三十六宮 春色なり。

御溝 輦路 暗に相い通じ,杏園の風。

咸陽 沽酒 寶釵空しく,笑指して 未央に 歸り去る。

花を插し 馬を走らせて 殘紅を落す,月明の中【うち】。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『酒泉子二首 其二』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

酒泉子二首 其二

紫陌青門,三十六宮春色。

御溝輦路暗相通,杏園風。

咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。

插花走馬落殘紅,月明中。


(下し文)
(酒泉子二首 其の二)

紫陌【しはく】青門,三十六宮 春色なり。

御溝 輦路 暗に相い通じ,杏園の風。

咸陽 沽酒 寶釵空しく,笑指して 未央に 歸り去る。

花を插し 馬を走らせて 殘紅を落す,月明の中【うち】。

(現代語訳)
〔(春の科挙発表の無礼講を詠う。)長安の街は春の景色に染まっている、科挙合格の発表の無礼講のころから春の終わりにかけて、貴公子らは五陵、咸陽、高級住宅街を我が物顔で遊び歩く、それが毎年のことで毎夜、月が真上に在るころまでは大騒ぎしている。〕

都の街路の東には靑門の春明門があり、ここにある漢の武帝の作った「周墻,四百餘里、離宮・別館、三十六か所、神池・霊沼」は、すべて春色の景色に染そまっている。

長安城に張り巡らされた運河、宮中の庭を流れる溝水路、天子の輦車の通路のどちらも人知れず通ってゆける道である。曲江の杏園に春風は吹くころ科挙の合格発表がある。

御陵を背にして秦の咸陽の街があり、此処で貴公子が酒屋で酒を手にし、宝玉の簪を付けた女妓を弄び空しい春となる。そんなことをわらいとばして、未央宮・長安城に去りかえっていく。

貴公子たちは花を挿し、馬を我が物顔で走らせ、春も終わりころの残った赤い花も落ち始めているころまでつづく。そして今日も、月はまだ真上にあってこの街を照らす。


(訳注)

(改訂版Ver.2.1

酒泉子二首 其二

〔(春の科挙発表の無礼講を詠う。)長安の街は春の景色に染まっている、科挙合格の発表の無礼講のころから春の終わりにかけて、貴公子らは五陵、咸陽、高級住宅街を我が物顔で遊び歩く、それが毎年のことで毎夜、月が真上に在るころまでは大騒ぎしている。〕

春の科挙発表の無礼講を詠う。前段、長安城、近郊の秦の都、漢の未央宮を詠い、杏園での祝賀に始まって、貴族の家の庭は解放され、牡丹の花を競った。後段、貴族の子息は無礼講で酒を飲んで馬を走らせ、夜遅くまで大騒ぎをする。春景色を詠い、北の五陵の高級居住地域の貴公子を詠い、弄ばれた女性のことを連想させる。

『花間集』には張泌の作が二首収められている。双調四十三字、前段二十字五句二平韻二仄韻、後段二十三字五句二平韻二仄韻で、④❼3❸③/⑦❼3❸③の詞形をとる。

酒泉子二首 其一

春雨打驚夢覺來天氣
畫堂深、紅焰背蘭

酒香噴鼻懶開惆悵更無人共

舊巢中、新鷰、語雙

○、



双調四十三字、前段二十字四句二平韻一仄韻、後段二十三字四句二平韻二仄韻で、4+++③=20 /⑦+++❸=23の詞形をとる。

酒泉子二首 其二

紫陌青門,三十六宮春

御溝輦路暗相,杏園

咸陽沽酒寶釵,笑指未央歸

插花走馬落殘,月明

●●○○  △●●○○●

●○●●●△○  ●○△

○○△●●○△  ●●●○○●

●○●●●○○  ●○△

 

紫陌青門,三十六宮春色。

都の街路の東には靑門の春明門があり、ここにある漢の武帝の作った「周墻,四百餘里、離宮・別館、三十六か所、神池・霊沼」は、すべて春色の景色に染そまっている。

・紫陌青門 長安を東西に抜ける最も拡幅(104m)の大きい通り、春明門から入城し、西の金光門までの東西道、南北道は中央の朱雀路が最も広く120mの拡員であった 紫陌【しはく】都の街路。都の市街。紫陌,長安の道路を指す。青門は春明門

・三十六宮 漢の武帝がつくった三十六か所の宮殿。李賀『金銅仙人辭漢歌』「畫欄桂樹懸秋香,三十六宮土花碧。」(畫欄の桂樹秋香を懸け,三十六宮土花碧なり。)

班孟堅《西都賦》

東郊則有通溝大漕,潰渭洞河。

汎舟山東,控引淮湖,與海通波。

西郊則有上囿禁苑,林麓藪澤,陂池連乎蜀漢。

繚以周墻,四百餘里。

離宮別館,三十六所。

(東郊と西郊) 東の郊外には、疏水、大運河があり、渭水に交流して過ぎ、黄河につきぬけて流入する。

舟を山東の地にうかべ、淮水や湖水の水を引きこみ、海と水波を相通じて一つとなる。

西の郊外には、天子専用の自然公園や禁宛、深林・大湿地帯・用水池があり、萄漠の地に向かって続き、牆をぐるりとめぐらすこと四百余里。

離宮・別館が三十六か所、神池・霊沼が至るところに存在する。

班孟堅(班固)《西都賦》(16)6(東郊と西郊)-1 文選 賦<1121618分割55回 Ⅱ李白に影響を与えた詩970 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3398

 

御溝輦路暗相通,杏園風。

長安城に張り巡らされた運河、宮中の庭を流れる溝水路、天子の輦車の通路のどちらも人知れず通ってゆける道である。曲江の杏園に春風は吹くころ科挙の合格発表がある。

・御溝 御溝水、渠溝、運河、宮中の庭を流れる溝の水。曲江の芙蓉苑に向かう運河。南北、東西に設置された。当時の大量輸送手段は、船舶によるものである。

・輦路 輦道(れんどう)」に同じ天子の車の通路。興慶宮から曲江の杏園に向かう専用道路。

・杏園 長安の曲江の池の畔(ほとり)にあった杏園で、祝宴を賜り、長安の街を園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。また、貴族は自邸自慢のボタンを庭を開放して鑑賞させ、合格者の無礼を許した。

・杏園:官吏登用試験(科挙)に合格した進士たちの祝宴会場。科挙に合格した進士には、曲江の池の畔(ほとり)の杏園で、祝宴を賜り、長安の街で園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。 

・杏園人:科挙に合格し、新たに進士となった人たちを指す。

 

咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。

御陵を背にして秦の咸陽の街があり、此処で貴公子が酒屋で酒を手にし、宝玉の簪を付けた女妓を弄び空しい春となる。そんなことをわらいとばして、未央宮・長安城に去りかえっていく。

・咸陽 秦朝の首都として大いに栄えた。風水においては山・丘・阜などの南側、河・江・川・湖などの水辺の北側を陽と言う。この都市は九嵕山の南、渭水の北に当たり「咸陽」なためにこの名前がついた。

・沽酒 酒を売買すること。また、その酒。

・未央 前漢の都である長安の南西部にあった宮殿であり、前漢の皇帝の居場所であった。 『三輔黄図』によると漢の高祖7年に、少府陽城延の指揮のもと、丞相蕭何が主導して造営を開始した。

咸陽沽酒 “五陵・少年” 李白、王維、杜甫が詩にしている、李白『少年行』「五陵年少金市東,銀鞍白馬度春風。落花踏盡遊何處,笑入胡姫酒肆中。」

・少年を題材にしたものは盛唐の詩人の間で流行っていたのだろう。杜甫も最初二首詠い、しばらくして、この一首詠っている。どの詩人も貴族の親に向けて、批判はできないが、その息子らの破廉恥な様子を詠うことにより、貴族社会を批判している。

・貴族の子弟が酒屋において傲慢に酒を貪ったさまをうたう。(762)宝応元年、杜甫51歳の成都での作品。李白や、王維の同名の作品は楽府、音楽に合わせて歌うように詩を読むものであるが、杜甫のこの詩は七言絶句の形式の歌行である。同種の『貧孝行』がある。

王維の「少年行四首」は漢時代を借りて四場面の劇構成になっている。
王維『少年行四首』 其一
   
新豊美酒斗十千、咸陽遊侠多少年。  
相逢意気為君飲、繋馬高楼垂柳辺。

 

插花走馬落殘紅,月明中。

貴公子たちは花を挿し、馬を我が物顔で走らせ、春も終わりころの残った赤い花も落ち始めているころまでつづく。そして今日も、月はまだ真上にあってこの街を照らす。

 

張泌《巻四37酒泉子 二首之一》『花間集』188全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6212

張泌  酒泉子二首 其一  

春雨打,驚夢覺來天氣曉。畫堂深,紅焰小,背蘭缸。

酒香噴鼻懶開缸,惆悵更無人共醉。舊巢中,新鷰子,語雙雙。

やるせない気持ちに、酒に頼るしかなく物憂げに酒の甕を取れば酒の香りは鼻打つ、つらく悲しい気持ちには、ともに酌み交わす人はいなくていい。梁上の古巣には、また、新しい番いの燕が子を育て、仲睦まじく語らい、また番を増やす。

張泌《巻四37酒泉子 二首之一》『花間集』188全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6212

 

 
 2015年6月26日の紀頌之5つのBlog 
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264-#2 《卷8-04贈徐安宜#2》Index-19 Ⅱー14-739年開元二十七年39歳 <264-#2>(改訂版Ver..2.1) Ⅰ李白詩1532 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6208 
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 ●唐を代表する 中唐 韓愈 全500首  
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酒泉子二首 其一

(寵愛を失った妃嬪の孤閏の酒におぼれる悲しみを詠う。)

春雨打,驚夢覺來天氣曉。

春の風雨は東の窓を打つ、うとうとして夢におどろいて、目が覚めてみれば、もう夜が明けはじめたはれた空にかわる。

畫堂深,紅小,背蘭缸。

彩の御殿の表座敷が奥まったところにある閨には、火影小さく、燭台に背を向け横になっている。

酒香噴鼻懶開缸,惆悵更無人共醉。

やるせない気持ちに、酒に頼るしかなく物憂げに酒の甕を取れば酒の香りは鼻打つ、つらく悲しい気持ちには、ともに酌み交わす人はいなくていい。

中,新子,語雙雙。

梁上の古巣には、また、新しい番いの燕が子を育て、仲睦まじく語らい、また番を増やす。

春雨 窓を打ち、夢を驚かせ覚め来たれは 天気 暁なり。

画堂 深く、紅焔 小さく、蘭鉦【らんこう】を背く。

酒の香り 鼻を噴ち 懶【ものう】く缸【かめ】を開き、惆悵す 更に人の酔いを共にする 無きに。

舊巢の中,新しき鷰子,雙雙と 語る。

 

其二

紫陌青門,三十六宮春色。

御溝輦路暗相通,杏園風。

咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。

插花走馬落殘紅,月明中。

(酒泉子二首 其の二)

紫陌【しはく】青門,三十六宮 春色。

御溝 輦路 暗く相い通ず,杏園の風。

咸陽 沽酒 寶釵の空,笑指 未央 歸り去る。

插花をし 走馬 殘紅を落す,月明の中【うち】。

 

 

『酒泉子二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

酒泉子二首 其一

春雨打,驚夢覺來天氣曉。

畫堂深,紅焰小,背蘭缸。

酒香噴鼻懶開缸,惆悵更無人共醉。

舊巢中,新鷰子,語雙雙。

 

(下し文)

春雨 窓を打ち、夢を驚かせ覚め来たれは 天気 暁なり。

画堂 深く、紅焔 小さく、蘭鉦【らんこう】を背く。

酒の香り 鼻を噴ち 懶【ものう】く缸【かめ】を開き、惆悵す 更に人の酔いを共にする 無きに。

舊巢の中,新しき鷰子,雙雙と 語る。

 

(現代語訳)

(寵愛を失った妃嬪の孤閏の酒におぼれる悲しみを詠う。)

春の風雨は東の窓を打つ、うとうとして夢におどろいて、目が覚めてみれば、もう夜が明けはじめたはれた空にかわる。

彩の御殿の表座敷が奥まったところにある閨には、火影小さく、燭台に背を向け横になっている。

やるせない気持ちに、酒に頼るしかなく物憂げに酒の甕を取れば酒の香りは鼻打つ、つらく悲しい気持ちには、ともに酌み交わす人はいなくていい。

梁上の古巣には、また、新しい番いの燕が子を育て、仲睦まじく語らい、また番を増やす。

 

(訳注)

酒泉子二首 其一

(寵愛を失った妃嬪の孤閏の酒におぼれる悲しみを詠う。)

寵愛を失った妃嬪の孤閏の悲しみを詠うもので、末尾の、もう幾年も続いている古巣に新しい番の燕がやって来て子を作り、育て、仲良く鳴き交わしているとは、それだけが変化している出来事であると女性の孤独を際立たせている。

『花間集』には張泌の作が二首収められている。双調四十三字、前段二十字五句二平韻二仄韻、後段二十三字五句二平韻二仄韻で、④❼3❸③/⑦❼3❸③の詞形をとる。

酒泉子二首 其一

春雨打驚夢覺來天氣
畫堂深、紅焰背蘭

酒香噴鼻懶開惆悵更無人共

舊巢中、新鷰、語雙

○、



 

春雨打,驚夢覺來天氣曉。

春の風雨は東の窓を打つ、うとうとして夢におどろいて、目が覚めてみれば、もう夜が明けはじめたはれた空にかわる。

○春雨打 雨交じりの東風が夜の間中つよく吹いて窓にたたきつける。

○天気暁 空の気配は明け方。時は既に暁であることを言う。

 

畫堂深,紅焰小,背蘭缸。

彩の御殿の表座敷が奥まったところにある閨には、火影小さく、燭台に背を向け横になっている。

○畫堂深 彩の御殿の表座敷が奥まったところにあるという意。

○紅焰小 火影小さく、芯が燃え尽きるまで、誰も燃えカスを処理しないほどに物憂げになっている意。

○背蘭鉦 灯火の光が目に入らぬよう背ける。この表現も、うとうととしていて、なおかつ物憂げであることをいう。

 

酒香噴鼻懶開缸,惆悵更無人共醉。

やるせない気持ちに、酒に頼るしかなく物憂げに酒の甕を取れば酒の香りは鼻打つ、つらく悲しい気持ちには、ともに酌み交わす人はいなくていい。

○酒香唱鼻 酒の香りが鼻を打つ。

 

舊巢中,新鷰子,語雙雙。

梁上の古巣には、また、新しい番いの燕が子を育て、仲睦まじく語らい、また番を増やす。

○新燕子 また新らたに燕が来たこと、子は燕が子を育てをする。この三句は、もう何年も繰り返していることを表現している。

張泌《河傳 二首之二》張泌《巻四36河傳 二首之二》『花間集』187全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6207

張泌  河傳二首其二  紅杏,交枝相映,密密濛濛。一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。

斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。

(今年も杏の花が咲き乱れる春の終わり、春風も、鶯も春を教えてくれたが、妃嬪は、いくら待っても寵愛を受ける事は無い、何時しか酔うことで仙界にいることを出紛らわせ、酔い続けるのであると詠う)

張泌《河傳 二首之二》張泌《巻四36河傳 二首之二》『花間集』187全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6207

 
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(改訂版Ver.2.1

河傳二首 其二

(今年も杏の花が咲き乱れる春の終わり、春風も、鶯も春を教えてくれたが、妃嬪は、いくら待っても寵愛を受ける事は無い、何時しか酔うことで仙界にいることを出紛らわせ、酔い続けるのであると詠う)

紅杏,交枝相映,密密濛濛。

紅いあんずの花は、花を一杯に付けて枝を混交差させ、互いに華やいでいる。密集し細やかに花が咲き、花が開きすぎてぼんやりとしてしまった枝枝があり、春の盛りを過ぎていこうとしている。

一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。

この庭も艶やかな色に染まって行くのは春風が吹くにしたがっているようであるし、芳しい香りは溶け込んでゆき、簾のかこいのなかに透けていく。

斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。

春の日は長くても、やがて西に傾いてゆくように春のひかりも、詩文語句、語らいも同様に陰り始めて、蝶は舞うのを急ぎ争い、さらに、それが続いて鶯の美声も妬みのように聞こえてくる。

魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。

慕い続ける強い思いが消えうせてからは飾りの着いた玉盃を何度も何度も傾けて、もう仙人の心地、もはや西王母と化して、仙郷の瑤池で暮れ方の空に酔い潰れている。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『河傳 二首之二』 現代語訳と訳註

(本文)

河傳 二首 其二

紅杏,交枝相映,密密濛濛。

一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。

斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。

魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。

 

(下し文)

河傳 二首 其の二

紅の杏,枝を交え 相いに映え,密密として濛濛たり。

一庭 豔を濃くし 東風に倚り,香融け,簾櫳を透る。

陽に斜して 共に春光語るに似て,蝶 舞を爭い,更に引く 鶯妬に流るを。

魂銷え 千片 玉樽の前にし,神仙なり,瑤池 醉うて天暮る。

 

(現代語訳)

(今年も杏の花が咲き乱れる春の終わり、春風も、鶯も春を教えてくれたが、妃嬪は、いくら待っても寵愛を受ける事は無い、何時しか酔うことで仙界にいることを出紛らわせ、酔い続けるのであると詠う)

紅いあんずの花は、花を一杯に付けて枝を混交差させ、互いに華やいでいる。密集し細やかに花が咲き、花が開きすぎてぼんやりとしてしまった枝枝があり、春の盛りを過ぎていこうとしている。

この庭も艶やかな色に染まって行くのは春風が吹くにしたがっているようであるし、芳しい香りは溶け込んでゆき、簾のかこいのなかに透けていく。

春の日は長くても、やがて西に傾いてゆくように春のひかりも、詩文語句、語らいも同様に陰り始めて、蝶は舞うのを急ぎ争い、さらに、それが続いて鶯の美声も妬みのように聞こえてくる。

慕い続ける強い思いが消えうせてからは飾りの着いた玉盃を何度も何度も傾けて、もう仙人の心地、もはや西王母と化して、仙郷の瑤池で暮れ方の空に酔い潰れている。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

河傳 二首 其二

(今年も杏の花が咲き乱れる春の終わり、春風も、鶯も春を教えてくれたが、妃嬪は、いくら待っても寵愛を受ける事は無い、何時しか酔うことで仙界にいることを出紛らわせ、酔い続けるのであると詠う)

前段は、女としてこんなにも愛されていたということを云い、中段で、他の妃嬪に向かい、天子の足が遠のくのを必死で取り返そうとする。後段ではもはや仙人のように毎日飲んだくれて過ごす妃嬪を詠う。杏の花は、三月の科挙及第者の祝宴を連想させれを過ぎるとすぐに初夏になる、春の終わりを感じさせる花である。

「花間集』には張泌の作が二首収められている。其の一は双調五十一字、前段二十五字六句五仄韻、後段二十六字六句四仄韻で、❹4❹❻❷❺/❼❸5❻❺の詞形をとる。

河傳二首 其一

渺莽雲,惆悵暮帆,去程迢

夕陽芳艸千,萬,鴈聲無限

夢魂悄斷煙波,心如

相見何處是,錦屏香冷無,被頭多少

●●○●  ○●●△ ●○○●

●○○●○● ●●  ●○○●●

△○●●○○●  ○△●

△●△●●  ●△○△○● ●○○●●

其の二は双調五十四字、前段二十二字六句五仄韻、後段二十九字六句五仄韻で、❷4❹❼❷❸/❼3❺❼❷❺の詞形をとる。

河傳 二首 其二

,交枝相映,密密濛

一庭濃豔倚東,香,透簾

斜陽似共春光,蝶爭舞,更引流鶯

魂銷千片玉樽,神,瑤池醉暮

○●  ○○△● ●●△△

●○○●△○△

○○  ●○○

○○●△○△●  ●○●

△●○○●  ○○○●●○○

○○  ○○●●○

紅杏,交枝相映,密密濛濛。

紅いあんずの花は、花を一杯に付けて枝を混交差させ、互いに華やいでいる。密集し細やかに花が咲き、花が開きすぎてぼんやりとしてしまった枝枝があり、春の盛りを過ぎていこうとしている。

○杏 ・杏花 ピンク色の花。 桜とよく似ている。 開花は桜より少しだけ早いようだ。 幹の部分は桜と同じく 横向きの線が入る

張泌『浣渓沙 十首 其八』

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

浣渓沙 十首 其八 張泌【ちょうひつ】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-346-7-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3277

花間集 「紅杏」

牛嶠

巻四17

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

張泌

巻四41

紅杏,交枝相映,密密濛濛。

孫光憲

巻七49

玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

 

 

 

 

 

 

孫光憲 巻七49河傳四首其三花落,煙薄,謝家池閣。寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。沾襟,無人知此心。玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

○梁燕帰紅杏 燕は梁の巣に紅い杏の花咲く時節に帰って来た。

○密密 1 きわめて秘密なこと。また、そのさま。内々(ないない)2 配慮がこまやかであるさま。

○濛濛 1 霧・煙・ほこりなどが立ちこめるさま。「―と砂ぼこりをまき上げる」2 心がぼんやりとしているさま。

 

一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。

この庭も艶やかな色に染まって行くのは春風が吹くにしたがっているようであるし、芳しい香りは溶け込んでゆき、簾のかこいのなかに透けていく。

濃豔 華麗鮮豔。

 

斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。

春の日は長くても、やがて西に傾いてゆくように春のひかりも、詩文語句、語らいも同様に陰り始めて、蝶は舞うのを急ぎ争い、さらに、それが続いて鶯の美声も妬みのように聞こえてくる。

・鶯妬 鶯が美声で啼きあい、うまく鳴けなくて卑屈になっている、這いを謳歌できないものは妬むということ、寵愛を失った年増の妃嬪をいう。

 

魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。

慕い続ける強い思いが消えうせてからは飾りの着いた玉盃を何度も何度も傾けて、もう仙人の心地、もはや西王母と化して、仙郷の瑤池で暮れ方の空に酔い潰れている。

・千片 盃を繰り返すこと。

・玉樽前 飾りのついた盃を前にする。

・神仙 不老不死で、神通力をもつ人。仙人。

瑤池 崑崙山にあり、周の穆王が西王母と会ったという伝説の仙境。西王母は仙女王。魚玄機『光・威・裒、姉妹三人、小孤、而始姸乃有是作。精醉儔難。謝家聯雪何以加之。有客自京師来者示予。因次其韻。』 「恐向瑤池曾作女,謫來塵世未為男。」三人の姉妹はその西王母に仕えていた天上仙宮の仙女であったろうという心。

瑤池 李商隱 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 52

瑤池阿母綺窗開、黄竹歌聲動地哀。
八駿日行三萬里、穆王何事不重來。
崑崙山の瑶池に住む不老不死の薬を持つ女の仙人の西王母(せいおうぼ)は、綾絹(あやぎぬ)を張った美しい窓を開けると。穆王が作った民の苦しみを歌った『黄竹詩(こうちくし)』の歌声が地を揺るがせて響いてきて哀(あわれ)なものだ。
西王母とは、西方の崑崙山上に住する女性の尊称である。すべての女仙たちを統率する聖母。東王父に対応する。
周の穆王が西に巡符して崑崙に遊び、彼女に会い、帰るのを忘れたという。また前漢の武帝が長生を願っていた際、西王母は天上から降り、三千年に一度咲くという仙桃七顆を与えたという。
周の穆王は八頭だての馬車に乗って、一日に三万里の道のりを行ける、穆王は、どうしてなのだろうか、西王母の許へ再び来ることはなかった。

・暮天  夕暮れ時の空。暮れ方の空。

張泌《巻四35河傳 二首之一》『花間集』186全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6202

張泌  河傳二首 其一  

渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。夕陽芳艸千里,萬里,鴈聲無限起。

夢魂悄斷煙波裡,心如醉。相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。

(旅立った人のことを思う女性の悲しみを詠う。)霞がかかってぼんやりとかすんでいて、遠くまで雲と水がひろがり、怨めしく悲しい思いの船が帆を挙げて舟が帰って來る。しかしあの人は行く手遙かなところにいるまま。きっとあの人は夕日照る草原にいて、千里万里の地、旅の空のもとにある、だから手紙を託せる雁の声は数知れず沸き起こっているだろうに。  

 

張泌《巻四35河傳 二首之一》『花間集』186全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6202

 
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河傳二首 其一

(旅立った人のことを思う女性の悲しみを詠う。)

渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。

霞がかかってぼんやりとかすんでいて、遠くまで雲と水がひろがり、怨めしく悲しい思いの船が帆を挙げて舟が帰って來る。しかしあの人は行く手遙かなところにいるまま。

夕陽芳艸千里,萬里,鴈聲無限起。

きっとあの人は夕日照る草原にいて、千里万里の地、旅の空のもとにある、だから手紙を託せる雁の声は数知れず沸き起こっているだろうに。  

夢魂悄斷煙波裡,心如醉。

船に乗り旅立つときのことを夢で追いかけるが、追い付く前に、途中の波間で目が覚めてしまったし、心は酒に酔っているよう。

相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少

何処の地にいけば会えるのか、錦の屏風、お香もすでに消えてさめてしまったままであり、どんなにしても眠られず、掛け布団の襟は涙に濡れている。

 

 

河傳二首 其の一

渺莽【びょうぼう】たる雲水,惆悵【ちょうちょう】たる暮帆,去程 迢遞【ちょうてい】として。

夕陽【せきよう】芳艸【ほうそう】,千里萬里,鴈聲 無限に起る。

夢魂 悄【ひそ】かに斷ゆ 煙波の裡,心 醉うが如し。

相い見るは 何處か是れなる,錦屏【きんぺい】香 冷ややかに睡ること無く,被頭 多少の淚。

 

其二

紅杏,交枝相映,密密濛濛。

一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。

斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。

魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『河傳二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

河傳二首 其一

渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。

夕陽芳艸千里,萬里,鴈聲無限起。

夢魂悄斷煙波裡,心如醉。

相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。

 

(下し文)

河傳二首 其の一

渺莽【びょうぼう】たる雲水,惆悵【ちょうちょう】たる暮帆,去程 迢遞【ちょうてい】として。

夕陽【せきよう】芳艸【ほうそう】,千里萬里,鴈聲 無限に起る。

夢魂 悄【ひそ】かに斷ゆ 煙波の裡,心 醉うが如し。

相い見るは 何處か是れなる,錦屏【きんぺい】香 冷ややかに睡ること無く,被頭 多少の淚。

 

(現代語訳)

(旅立った人のことを思う女性の悲しみを詠う。)

霞がかかってぼんやりとかすんでいて、遠くまで雲と水がひろがり、怨めしく悲しい思いの船が帆を挙げて舟が帰って來る。しかしあの人は行く手遙かなところにいるまま。

きっとあの人は夕日照る草原にいて、千里万里の地、旅の空のもとにある、だから手紙を託せる雁の声は数知れず沸き起こっているだろうに。  

船に乗り旅立つときのことを夢で追いかけるが、追い付く前に、途中の波間で目が覚めてしまったし、心は酒に酔っているよう。

何処の地にいけば会えるのか、錦の屏風、お香もすでに消えてさめてしまったままであり、どんなにしても眠られず、掛け布団の襟は涙に濡れている。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

河傳二首 其一

(旅立った人のことを思う女性の悲しみを詠う。)

前段は、果てしない水平線の彼方に去ってゆったのを思い出し、帰り舟を漠然と見ている船を描写し、万里、千里の行先にはたくさんの雁が居るのに、その雁に「雁書」をたくしてくれない。後段は、今では私のことを夢見ることもないのか、おんなは夢でどこまで行けばあの人に会えるのかと問いかける。そして、床は冷たくて再び寝付けず、涙で布団の襟を濡らすことを詠む。「夕陽芳草千里、万里」の語は、実景であると同時に、男が帰って来ないのではないかという女の不安を示す。

花間集の「河傳」は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『河傳』十八首

 

 

溫助教庭筠

巻二

河傳三首其一(改訂)

曉妝仙,仙景箇

 

 

巻二

河傳三首其二(改訂)

雨蕭蕭,煙浦花

 

 

巻二

河傳三首其三(改訂)

杏花稀,夢裡每

 

 

韋相莊

巻二

河傳三首其一(改訂)

何處,煙雨,隋堤

 

 

巻二

河傳三首其二(改訂)

春晚,風暖,錦城

 

 

巻二

河傳三首其三(改訂)

錦浦,春女,繡衣

 

 

張舍人泌

巻五

河傳 二首之一

渺莽雲水,惆悵暮

 

 

巻五

河傳 二首之二

紅杏,交枝相映,

 

 

顧太尉

巻七

河傳三首 其一

鷰颺,晴景。小

 

 

巻七

河傳三首 其二

曲檻,春晚。

 

 

巻七

河傳三首 其三

棹舉,舟去,波光

 

 

孫少監光憲

巻七

河傳四首(1

太平天子,等閑遊

 

 

巻七

河傳四首(2

柳拖金縷,着煙籠

 

 

巻七

河傳四首(3

花落,煙薄,謝家

 

 

巻七

河傳四首(4

風颭,波斂。

 

 

閻處士選

巻九

河傳一首

秋雨,秋雨,

 

 

李秀才珣

巻十

河傳二首其一

朝雲暮雨,依舊

 

 

巻十

河傳二首其二

落花深處,啼鳥

 

 

 

 

 

 

 

「花間集』には張泌の作が二首収められている。双調五十一字、前段二十五字六句五仄韻、後段二十六字六句四仄韻で、❹4❹❻❷❺/❼❸5❻❺の詞形をとる。

河傳二首 其一

渺莽雲,惆悵暮帆,去程迢

夕陽芳艸千,萬,鴈聲無限

夢魂悄斷煙波,心如

相見何處是,錦屏香冷無,被頭多少

●●○●  ○●●△ ●○○●

●○○●○● ●●  ●○○●●

△○●●○○●  ○△●

△●△●●  ●△○△○● ●○○●●

 

渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。

霞がかかってぼんやりとかすんでいて、遠くまで雲と水がひろがり、怨めしく悲しい思いの船が帆を挙げて舟が帰って來る。しかしあの人は行く手遙かなところにいるまま。

○渺莽 霞がかかって、河水が浩大なさま、はてしなく広いさま;

○惆悵 恨めしく思うこと。恨み嘆くこと。うらめしい。うらみがましい。温庭筠『更漏子 一』「惆悵謝家池閣」  謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」送姪良携二妓赴会稽戯有此贈  李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -287
池閣は、謝霊運の「池塘生春草」謝霊運の「池塘生春草」にかけて、池堀に春草の生ずるようになったという春情にかける意がある。

○暮帆 夕ぐれに帰る舟。魚玄機『江陵愁望寄子安』「楓葉千枝復萬枝,江橋掩映暮帆遲。憶君心似西江水,日夜東流無歇時。」

○迢遞 遙遠的樣子。指路途遙遠。遙かに遠い。遠くに隔たる。遙か高く遠くに。

 

夕陽芳艸,千里萬里,鴈聲無限起。

きっとあの人は夕日照る草原にいて、千里万里の地、旅の空のもとにある、だから手紙を託せる雁の声は数知れず沸き起こっているだろうに。  

韋荘 『上行杯二首 其二

白馬玉鞭金轡。少年郎,離別容易。

迢遞去程千萬裏。

惆悵異雲水,滿酌一杯勸和淚。

須愧,珍重意,莫辭醉。

120上行杯 其二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-298-5-#52  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3037

○鴈聲無限起 「雁声無限に起こる」の語は、雁書を託せる雁は沢山いるはずなのになぜ音信がないのかという意味。

 

夢魂悄斷煙波裡,心如醉。

船に乗り旅立つときのことを夢で追いかけるが、追い付く前に、途中の波間で目が覚めてしまったし、心は酒に酔っているよう。

○夢魂情断煙波裏 女性は、船に乗り旅立っていった男を夢で追いかけて行くが、追い付く前に、途中の波間で目が覚めてしまったということ。夢魂は夢。

○心如酔 失意の余り、酔ったように虚ろになること。

 

相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。

何処の地にいけば会えるのか、錦の屏風、お香もすでに消えてさめてしまったままであり、どんなにしても眠られず、掛け布団の襟は涙に濡れている。

○被頭 布団の襟。

張泌《巻四34臨江仙 一首》『花間集』185全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6197

張泌臨江仙 一首煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁紅。五雲雙鶴去無蹤,幾迴魂斷,凝望向長空。翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波中,花鬟月鬢綠雲重。古祠深殿,香冷雨和風。(洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色に染まる瀟湘八景八景には、桃源郷初め、屈原の断腸の思いでの投身、娥皇女英が投身した地でもあり、彼女らを祀った宮祠殿には冷たい雨と風が吹き付けると詠う)

 

張泌《巻四34臨江仙 一首》『花間集』185全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6197

 
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 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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263#3 《巻五 34少年行#3》Index-19 Ⅱー14-739年開元二十七年39歳-2 <263#3> Ⅰ李白詩1529 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6193 
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 ●唐を代表する 中唐 韓愈 全500首  
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74-#10 《巻09-32 詠雪贈張籍》-#10 韓愈(韓退之) 803年貞元19年 38歳<1442> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6194 
 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
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 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
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 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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(改訂版Ver.2.1

臨江仙

煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁紅。

五雲雙鶴去無蹤,幾迴魂斷,凝望向長空。

翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波中,花鬟月鬢綠雲重。

古祠深殿,香冷雨和風。

(臨江仙【りんこうせん】)

煙【もや】收まり 湘渚【しょうちょ】秋江 靜まり,蕉花 露に泣き 紅に愁う。

五雲 雙鶴 去りて蹤【あと】無く,幾迴 魂斷え,望を凝らして 長空に向える。

翠竹 暗きに留み 珠の淚の怨み,閑かに寶瑟 波中に調ぶ,花鬟 月鬢 綠雲 重る。

古祠【こし】の深殿,香は雨と風に冷やか。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『臨江仙』 現代語訳と訳註

(本文)

臨江仙 一首

煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁紅。

五雲雙鶴去無蹤,幾迴魂斷,凝望向長空。

翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波中,花鬟月鬢綠雲重。

古祠深殿,香冷雨和風。

 

(下し文)

(臨江仙【りんこうせん】)

煙【もや】收まり 湘渚【しょうちょ】秋江 靜まり,蕉花 露に泣き 紅に愁う。

五雲 雙鶴 去りて蹤【あと】無く,幾迴 魂斷え,望を凝らして 長空に向える。

翠竹 暗きに留み 珠の淚の怨み,閑かに寶瑟 波中に調ぶ,花鬟 月鬢 綠雲 重る。

古祠【こし】の深殿,香は雨と風に冷やか。

 

(現代語訳)

(洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色に染まる瀟湘八景八景には、桃源郷初め、屈原の断腸の思いでの投身、娥皇女英が投身した地でもあり、彼女らを祀った宮祠殿には冷たい雨と風が吹き付けると詠う)

湘水の渚にただよっていた濃霧は消えてゆき、洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色を濃くしている。

この地には、桃源郷があり、五色の雲の彼方へ二羽の鶴が飛び去り、多くの詩人が幾度かこの地を訪ね回り、燃える思いを断ったし、遠くはるかな空の果てにその思いを望んだのだ。

この地の翠の斑竹は密かに留めている怨み込めたる涙跡であり、湘夫人が奏でる瑟琴の調は波の間に静かにはいってゆく。ここには花のような鬟髷、月のような両鬢、美しき黒髪は雲のように重なっている。

古き社祠の奥深い宮祠殿には、聖女祠殿の香りは吹きつける雨と風に冷やかに流れる。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

臨江仙 一首

(洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色に染まる瀟湘八景八景には、桃源郷初め、屈原の断腸の思いでの投身、娥皇女英が投身した地でもあり、彼女らを祀った宮祠殿には冷たい雨と風が吹き付けると詠う)

前段二段は、湘江の女神、娥皇と女英を祭った社を訪れた時の感懐を詠う。鶴に乗って去ったきり行方知れずの堯の娘蛾皇、女英を追慕する思いを吐露する。後段二段は、辺りに繁る青竹の娥皇、女英の怨みの涙の跡を今もなお留め、今の道女の美しさを詠い、波音は二人が奏でる琴のようであることを述べる。そして末三句で、古びた祠殿には、花のように髪を結いしげ、三日月のような賓を垂れた、黒髪豊かな道女がいる。香炉に薫かれる香の香りは吹きつける雨風に溶け入り、物寂しさが漂うことを言う。なお前段の泣き濡れたように露が降りた紆蕉(カンナ)の花は、娥皇、女英を連想させる働きをしているし、そこに今は美しい道女が居るのか、あるいはいてほしいということである。あるいは女性の精気を連想させるのである。

唐の教坊の曲名。『花間集』には二十六首所収。張泌の作は一首収められている。双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる。

臨江仙 一首

煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁

五雲雙鶴去無,幾迴魂斷,凝望向長

翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波,花鬟月鬢綠雲

古祠深殿,香冷雨和

○△○●○○●  ○○●●○○

●○○●●○○  △△○● △△●△△

●●●△○●△ ○△●●○△  ○○●●●○△

●○△●  ○△●△△。

 

煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁紅。

湘水の渚にただよっていた濃霧は消えてゆき、洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色を濃くしている。

〇湘 瀟湘八景(しょうしょう はっけい)とは、中国の山水画の伝統的な画題。またその8つの名所のこと。瀟湘は湖南省長沙一帯の地域。洞庭湖と流入する瀟水と湘江の合流するあたりを瀟湘といい、古来より風光明媚な水郷地帯として知られる。湘江は、広西チワン族自治区北部臨桂県の海陽山に発する。海洋圩から流れる海洋河を源流とし、北東方向へ広西チワン族自治区を流れる。湖南省永州市東安県の瀑埠頭で湖南省に入る。永州市では紫水、石期河、瀟水、応水、白水などの支流が、衡陽市では蒸水と耒水が、衡山県では水が、株洲県淥口鎮で淥水が、湘潭市で漣水が流入する。長沙市の中心で瀏陽河と撈刀河が、望城県新康で水が流入し、湘陰県の濠河口で左右に分かれて洞庭湖に注ぐ。湘江には2,157の支流があるとされ、主要な支流のうち、瀟水、耒水、水、淥水、瀏陽河は東岸の支流で、祁水、蒸水、涓水、漣水、水は西岸の支流である。

〇焦花 美人蕉の花。カンナの花。

 

五雲雙鶴去無蹤,幾迴魂斷,凝望向長空。

この地には、桃源郷があり、五色の雲の彼方へ二羽の鶴が飛び去り、多くの詩人が幾度かこの地を訪ね回り、燃える思いを断ったし、遠くはるかな空の果てにその思いを望んだのだ。

〇五雲 五色の瑞雲。めでたい兆しとして出現する、紫色や五色の仙界の雲。

〇双鶴去無躍 堯の二人の娘である娥皇と女英は、舜の后妃となったが、舜が崩御すると湘江に身を投じて、湘江の神、湘霊になったと伝えられる。本句は、湘江の神霊となった娥皇と女英が、舜を探し求めるために、鶴に跨って飛び去ったきり、行方の知れぬことを言う。

〇幾迴魂斷 桃源郷の伝説もこの一帯から生まれた。 屈原の『楚辞』「九歌」や「離騒」には、伝説上の皇帝堯の二人の娘湘君・湘妃の物語が幻想的に詠われている。後に二人は湘山に祀られた。戦国時代、この詩を詠んだ屈原自身もこの地を彷徨い、詩を詠み、ついには失意のうちに身を投じている。洞庭湖の畔に建つ岳陽楼には各地から文人が集い雅会を開いた。唐の張説、杜甫、宋代の范仲淹など多くの詩文がこの名勝の地で生まれた。

 

翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波中,花鬟月鬢綠雲重。

この地の翠の斑竹は密かに留めている怨み込めたる涙跡であり、湘夫人が奏でる瑟琴の調は波の間に静かにはいってゆく。ここには花のような鬟髷、月のような両鬢、美しき黒髪は雲のように重なっている。

〇翠竹暗留珠淚怨 娥皇と女英は湘夫人と呼ばれ、舜が崩御すると泣き崩れて涙を竹に払った。すると竹は残らず斑模様になったと言う。今の斑竹がそれである。本句はこの伝説を踏まえる。

〇閑調寶瑟波中 逐語訳すれば、静かに波間で琴を奏でる。ここでは波音を湘夫人が奏でる琴の音に喩える。

〇花鬟月鬢綠雲重 社に祀られた湘大人の像の髪の毛を形容した言葉。

 

古祠深殿,香冷雨和風。

古き社祠の奥深い宮祠殿には、聖女祠殿の香りは吹きつける雨と風に冷やかに流れる。

〇古祠深殿 娥皇と女英を祀る奥深い宮祠殿。

張泌《巻四33浣渓沙 十首 其十》『花間集』184全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6192

張泌  浣渓沙 十首其十  

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

 

張泌《巻四33浣渓沙 十首 其十》『花間集』184全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6192

 

 
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(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其十

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

小市東門欲雪天,中依約見神仙,蘂香畫貼金

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

飲散昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵一街煙。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が立ち上って行く。

(浣渓沙 十首 其の十)

小市 東門 雪天と欲し,眾中 依約して 神仙を見,蘂黃 香畫 金蟬を貼る。

飲散 黃昏 人 草草たり,醉容して語る無く 門前に立ち,馬嘶き 塵烘【じんこう】一街の煙。

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首其十

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

 

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の十)

小市 東門 雪天と欲し,眾中 依約して 神仙を見,蘂黃 香畫 金蟬を貼る。

飲散 黃昏 人 草草たり,醉容して語る無く 門前に立ち,馬嘶き 塵烘【じんこう】一街の煙。

 

 

(現代語訳)

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が起ち上って行く。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其十

(春の行楽に酒宴も華やかであったが、空も夜が急変して寒くなり、雪が降るような雲行きに変わった。宴席は散会になり、街中一斉に家々の暖房、竈に火が焚かれ始めたので、全体に煙が起ち上って来たと詠う。)

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜,綺筵幽會暗傷,嬋娟依約畫屏

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝

○●○○●●○ ●○○●●△○ ○○△●●△○

○△●○○●● △△○●●○○ ●○○●△△○

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉,睡容新起意沉,翠鈿金縷鎮眉

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花,斷香輕碧鏁愁

△●○△●●○  ●○○●●○△ ●△○●●○○

●●●○△●● ●○△●●○○  ●○△●?○△

浣渓沙 十首 其九

晚逐香車入鳳,東風斜揭繡簾,慢迴嬌眼笑盈

消息未通何計是,便須佯醉且隨,依稀聞道大狂

●●○○●●○  ○△○●●○△ ●△△●●○○

○●●○△●● △○○●△○△  △○△●●△△

浣渓沙 十首其十

小市東門欲雪,眾中依約見神,蘂黃香畫貼金

飲散黃昏人草草,醉容無語立門,馬嘶塵烘一街

●●○○●●○  ○△△●●○○ ●○○●●○○

●●○○○●● ●○○●●○○  ●○○△●○○

 

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

庶民の市場に、東の春明門に、春の雪の天気になろうとしている。人々が街に行き交う中で、まるで、神仙の世界かと見えるのである。それは、蕊黄の飾りをし、香しく巻き画のようで、金の蝉羽を貼り付けて宮殿のようである。

○小市東門 長安では東市の東に、春明門がある。そこの北側には興慶宮がある。

○依約 ①よりむすびつける。②かすかなさま。さもにたり。さながら、まるで。「他依約前去赴會。」依稀隱約。唐.白居易〈答蘇庶子〉詩:「蓬山閒氣味,依約似龍樓。」

孫少監光憲 《巻八25女冠子二首其二》「澹花瘦玉,依約神仙粧束。佩瓊文,瑞露通宵貯,幽香盡日焚。碧紗籠絳節,黃藕冠濃雲。勿以吹簫伴,不同羣。」

○神仙 神仙となって長命を得ることは道を得る機会が増えることであり、奨励される。真理としての宇宙観には多様性があり、中国では儒・仏・道の三教が各々補完し合って共存しているとするのが道教の思想である。平康里から、長安城東北の城内、興慶宮付近、おおくは官営の妓楼、宴会場があり、神仙といった。雪が降って来て行楽の宴席も神仙世界のように見える。

○蘂黃 蘂:① 花の生殖器官。ずい。② ひもの先端と総(ふさ)との間につける飾り。

○香畫 神仙の絵巻物。

○貼金蟬 金箔の蝉の羽を貼りつける。

 

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

暖かかった行楽の酒の席は空模様の急変でたそがれ、あわただしく人が行動する、酔ってしまった者は、御門の前に無言のまま立っている。馬が嘶き、家々の暖房の塵も一斉に温めはじめたので、この街全体から煙が立ち上って行く。

○草草 (1)忙しいこと。あわただしいこと。また、そのさま。(2)簡略にすること。粗末であること。また、そのさま。 

○塵烘 烘とは。 [](火で)暖める,乾かす。

張泌《巻四32浣渓沙 十首 其九》『花間集』183全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6187

張泌  浣渓沙 十首 其九  

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

(酒宴に招かれ、門を入る際に偶然に遭遇し、酔ったふりをして、心を通じ合った、こんなことがあってよいのか、思いもしなかった幸運を詠う)次第に暮れ、晩方の景色の後を追うように妃嬪を乗せた車が鳳凰の飾りの御門の宮城の中に入ってゆく。春風に車の小窓の簾が少しめくれ、刺繍の簾が緩やかに揺れる。ゆっくりと回ると愛嬌のある流し目があり、満面、微笑である。

張泌《巻四32浣渓沙 十首 其九》『花間集』183全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6187

 

 
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 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
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浣渓沙 十首 其九

(酒宴に招かれ、門を入る際に偶然に遭遇し、酔ったふりをして、心を通じ合った、こんなことがあってよいのか、思いもしなかった幸運を詠う)

逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

次第に暮れ、晩方の景色の後を追うように妃嬪を乗せた車が鳳凰の飾りの御門の宮城の中に入ってゆく。春風に車の小窓の簾が少しめくれ、刺繍の簾が緩やかに揺れる。ゆっくりと回ると愛嬌のある流し目があり、満面、微笑である。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

どうにかして消息を得ようとするも、どうやっても手紙が来ることはないと思っていたら、それは酔ったふりをして始まり、そして成り行きでうまくいったのだ。こんなことは稀中の稀で、生きていてこれほどのことがあるということかもしれない、大いに狂った者の仕業ということだろう。

 

(浣渓沙 十首 其の九)

晚 香車を逐い 鳳城に入る,東風 斜に揭げ 繡簾輕し,慢く迴り 嬌眼 笑み盈盈【えんえん】たり。

消息 未だ通わず 何ぞ是を計る,便ち須らく佯醉し 且く隨行し,依稀に聞道【きくなら】く大狂生なり と。

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其九

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の九)

晚 香車を逐い 鳳城に入る,東風 斜に揭げ 繡簾輕し,慢く迴り 嬌眼 笑み盈盈【えんえん】たり。

消息 未だ通わず 何ぞ是を計る,便ち須らく佯醉し 且く隨行し,依稀に聞道【きくなら】く大狂生なり と。

 

(現代語訳) (改訂版Ver.2.1

(酒宴に招かれ、門を入る際に偶然に遭遇し、酔ったふりをして、心を通じ合った、こんなことがあってよいのか、思いもしなかった幸運を詠う)

次第に暮れ、晩方の景色の後を追うように妃嬪を乗せた車が鳳凰の飾りの御門の宮城の中に入ってゆく。春風に車の小窓の簾が少しめくれ、刺繍の簾が緩やかに揺れる。ゆっくりと回ると愛嬌のある流し目があり、満面、微笑である。

どうにかして消息を得ようとするも、どうやっても手紙が来ることはないと思っていたら、それは酔ったふりをして始まり、そして成り行きでうまくいったのだ。こんなことは稀中の稀で、生きていてこれほどのことがあるということかもしれない、大いに狂った者の仕業ということだろう。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其九

(酒宴に招かれ、門を入る際に偶然に遭遇し、酔ったふりをして、心を通じ合った、こんなことがあってよいのか、思いもしなかった幸運を詠う)

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜,綺筵幽會暗傷,嬋娟依約畫屏

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝

○●○○●●○ ●○○●●△○ ○○△●●△○

○△●○○●● △△○●●○○ ●○○●△△○

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉,睡容新起意沉,翠鈿金縷鎮眉

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花,斷香輕碧鏁愁

△●○△●●○  ●○○●●○△ ●△○●●○○

●●●○△●● ●○△●●○○  ●○△●?○△

浣渓沙 十首 其九

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

●●○○●●○  ○△○●●○△ ●△△●●○○

○●●○△●● △○○●△○△  △○△●●△△

 

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

次第に暮れ、晩方の景色の後を追うように妃嬪を乗せた車が鳳凰の飾りの御門の宮城の中に入ってゆく。春風に車の小窓の簾が少しめくれ、刺繍の簾が緩やかに揺れる。ゆっくりと回ると愛嬌のある流し目があり、満面、微笑である。

・晚逐 逐:1 後を追う。追い払う。「逐鹿(ちくろく)/角逐・駆逐・放逐」2 順を追って進む。「逐一・逐次・逐条・逐年・逐語。不吉な予感を示す言葉。

・鳳城 1 《中国の漢代、門に銅製の鳳凰(ほうおう)を飾ったところから》宮城。皇居。禁裡。2 都。都城。帝京。

・斜揭 車の覆いを少しかかげて外を見るしぐさ。

・慢迴 ゆっくりと回る。

・嬌眼 あでやかな目。なまめかしい目。流し目。

・盈盈 (1)清澈. 春水盈盈. (2)止、仪态美好. 盈盈. (3)神情或美好情気分等充分流露. 盈盈. (4)動作. 盈盈起舞.

 

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

どうにかして消息を得ようとするも、どうやっても手紙が来ることはないと思っていたら、それは酔ったふりをして始まり、そして成り行きでうまくいったのだ。こんなことは稀中の稀で、生きていてこれほどのことがあるということかもしれない、大いに狂った者の仕業ということだろう。

・佯醉 よったふりをする。盧綸 《宴席賦得姚美人拍箏歌(美人曾在禁中)》「已愁紅臉能佯醉,又恐朱門難再過。」佯:振りをする,見せ掛ける佯死死んだ振りをする.佯装…の振りをする.佯攻 []《書》陽動作戦をとる,偽装攻撃をする.佯狂(阳狂) yángkuáng[]《書》狂人を装う,気のふれた振りをする.

・便須 就該。如:「要想成功,便須努力。」

張泌《巻四31浣渓沙 十首 其八》『花間集』182全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6182

張泌  浣渓沙 十首 其八  

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

(寵愛を受け続けている時も、不安な気持ちで過ごしていた、今もう何度も春を一人で過ごしていく寂しい妃嬪を詠う。)花冠は髷からかたよってつけ、輝く白玉の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっと小さな声で吟じる。翡翠や花鈿の飾、金の細い絲のかざり、寵愛を一手に受けていても、心配で眉をひそめ、気がかりな心のままである。

張泌《巻四31浣渓沙 十首 其八》『花間集』182全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6182

 

 
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(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其七

(選ばれた妃嬪が恋に落ちて、快楽におぼれたと詠う)

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

花の下に万幕を張り、花と月見の筵をする、冷えてきたので香爐に火をいれ、夜は清くふけてゆき、奇麗な筵を敷き、しかも容姿のあでやかで美しさといえばさながら屏風絵の美人のようであるだけに、二人だけで過ごすのはだれにもしられたくない。

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝春。

人目につかぬその時、わずかの間に言葉を交わして返事をする、人目をさけての恋は悦楽と苦悶の顔をする。美しき越地方産の薄絹と蜀産の錦の衣裳を寄贈しても春の思いにまさるものではないのだ。

(浣渓沙 十首 其の七)

花月 香り 寒く 夜塵 悄まり、綺筵の幽会 傷神を暗にし、嬋娟 依約として画屏の人。

人 見ざる時 還た暫く語り、纔かにたしむるの後 愛みて微かに嚬み、越羅、巴錦も春に勝えず。

(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其八

(寵愛を受け続けている時も、不安な気持ちで過ごしていた、今もう何度も春を一人で過ごしていく寂しい妃嬪を詠う。)

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意吟,翠鈿金縷鎮眉心。

花冠は髷からかたよってつけ、輝く白玉の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっと小さな声で吟じる。翡翠や花鈿の飾、金の細い絲のかざり、寵愛を一手に受けていても、心配で眉をひそめ、気がかりな心のままである。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧愁深。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。妃嬪もこの春を過してまた歳を重ねた、簾越に庭の杏花も枯れ落ちてゆく。花の香りも、お香もすでに斷たれ、薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

浣渓沙 十首 其の八

偏戴 花冠 白玉の簪,睡容 新起 意吟,翠鈿 金縷 鎮眉心。

小檻 日斜 風悄悄たり,簾を隔てて零落 杏花の陰,香を斷ち 輕やかに碧なし 鏁 愁い深し。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

 

(下し文)

浣渓沙 十首 其の八

偏戴 花冠 白玉の簪,睡容 新起 意沉吟,翠鈿 金縷 鎮眉心。

小檻 日斜 風悄悄たり,簾を隔てて零落 杏花の陰,香を斷ち 輕やかに碧なし 鏁 愁い深し。

 

(現代語訳)

(寵愛を受け続けている時も、不安な気持ちで過ごしていた、今もう何度も春を一人で過ごしていく寂しい妃嬪を詠う。)

花冠は髷からかたよってつけ、輝く白玉の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっと小さな声で吟じる。翡翠や花鈿の飾、金の細い絲のかざり、寵愛を一手に受けていても、心配で眉をひそめ、気がかりな心のままである。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。妃嬪もこの春を過してまた歳を重ねた、簾越に庭の杏花も枯れ落ちてゆく。花の香りも、お香もすでに斷たれ、薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其八

(寵愛を受け続けている時も、不安な気持ちで過ごしていた、今もう何度も春を一人で過ごしていく寂しい妃嬪を詠う。)

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜,綺筵幽會暗傷,嬋娟依約畫屏

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝

○●○○●●○ ●○○●●△○ ○○△●●△○

○△●○○●● △△○●●○○ ●○○●△△○

浣渓沙 十首 其八

偏戴花冠白玉,睡容新起意沉,翠鈿金縷鎮眉

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花,斷香輕碧鏁愁

△●○△●●○  ●○○●●○△ ●△○●●○○

●●●○△●● ●○△●●○○  ●○△●?○△

 

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

花冠は髷からかたよってつけ、輝く白玉の簪が揺れ,よこになってねむり、そして、新たに起きあがり、思いをそっと小さな声で吟じる。翡翠や花鈿の飾、金の細い絲のかざり、寵愛を一手に受けていても、心配で眉をひそめ、気がかりな心のままである。

・偏戴花冠白玉簪 寵愛を受ける閨でのようすをいう。髷は傾き、花の冠をつけ、輝く宝飾の簪が揺れる。

・睡容新起意沉吟 この句はいまの女の心の動きを詠う。・沉吟 思い迷う,決めかねてぶつぶつ呟(つぶ/や)く.・睡容 ねすがた。

・翠鈿金縷鎮眉心 ・翠:翡翠のかざり。・鈿:古代婦女の顔面の上に花鈿飾物をつけること。

温庭筠『菩薩蠻 九』

牡丹花謝聲歇,綠楊滿院中庭月。

相憶夢難成,背窗燈半明。

翠鈿金壓臉,寂寞香閨掩。

人遠淚闌幹,燕飛春又殘。

『菩薩蠻 九』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-9-9-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1652

・縷 金の糸。また、金色の糸。

 

 

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

小さな檻のようなこの閨に、斜になった日のひかりがさし、風はショウショウと静かでもの寂しくふいている。妃嬪もこの春を過してまた歳を重ねた、簾越に庭の杏花も枯れ落ちてゆく。花の香りも、お香もすでに斷たれ、薄く明るい緑色に染まり、部屋の鍵は締まっていて、愁いは深くなるだけなのだ。

・檻 猛獣や罪人が逃げないように入れておく、鉄格子などを使った頑丈な囲い、または室。

・悄悄 1 元気がなく、うちしおれているさま。悄然。「―として引き返す」 2 静かでもの寂しいさま。 すご‐すご【悄悄】: [副]気落ちして元気がないさま。また、元気なくその場をたち去るさま

・杏花 ピンク色の花。 桜とよく似ている。 開花は桜より少しだけ早いようだ。 幹の部分は桜と同じく 横向きの線が入る。閨怨詩では女性自身に喩えられる。

・鏁 ①. 0 戸・箱の蓋(ふた)などにつけて,自由に開閉できないようにする金具。 -をさす」 -をおろす」. . 1 錠剤。

張泌《巻四30浣渓沙 十首 其七》『花間集』181全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6177

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

人不見時還暫語,令纔後愛微嚬,越羅巴錦不勝春。

(選ばれた妃嬪が恋に落ちて、快楽におぼれたと詠う)

花の下に万幕を張り、花と月見の筵をする、冷えてきたので香爐に火をいれ、夜は清くふけてゆき、奇麗な筵を敷き、しかも容姿のあでやかで美しさといえばさながら屏風絵の美人のようであるだけに、二人だけで過ごすのはだれにもしられたくない。

張泌《巻四30浣渓沙 十首 其七》『花間集』181全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6177

 
 2015年6月19日の紀頌之5つのBlog 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
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262 《巻三17久別離》Index-19 Ⅱー14-739年開元二十七年39歳 <262> Ⅰ李白詩1525 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6173 
 孟浩然 詩 index李白詩index謝霊運 詩 index司馬相如 《 子虛賦 ・上林賦 》揚雄 《 甘泉賦 》 ●諸葛亮(孔明)出師表 
 曹植(曹子建)詩 65首 index文選 賦)兩都賦序・西都賦・東都賦 (班固)《李白 全詩》
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(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首其七

(選ばれた妃嬪が恋に落ちて、快楽におぼれたと詠う)

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

花の下に万幕を張り、花と月見の筵をする、冷えてきたので香爐に火をいれ、夜は清くふけてゆき、奇麗な筵を敷き、しかも容姿のあでやかで美しさといえばさながら屏風絵の美人のようであるだけに、二人だけで過ごすのはだれにもしられたくない。

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝春。

人目につかぬその時、わずかの間に言葉を交わして返事をする、人目をさけての恋は悦楽と苦悶の顔をする。美しき越地方産の薄絹と蜀産の錦の衣裳を寄贈しても春の思いにまさるものではないのだ。

(浣渓沙 十首 其の七)

花月 香り 寒く 夜塵 悄まり、綺筵の幽会 傷神を暗にし、嬋娟 依約として画屏の人。

人 見ざる時 還た暫く語り、纔かにたしむるの後 愛みて微かに嚬み、越羅、巴錦も春に勝えず。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首 其七』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

人不見時還暫語,令纔後愛微嚬,越羅巴錦不勝春。

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の七)

花月 香り 寒く 夜塵 悄まり、綺筵の幽会 傷神を暗にし、嬋娟 依約として画屏の人。

人 見ざる時 還た暫く語り、纔かにたしむるの後 愛みて微かに嚬み、越羅、巴錦も春に勝えず。

 

(現代語訳)

(選ばれた妃嬪が恋に落ちて、快楽におぼれたと詠う)

花の下に万幕を張り、花と月見の筵をする、冷えてきたので香爐に火をいれ、夜は清くふけてゆき、奇麗な筵を敷き、しかも容姿のあでやかで美しさといえばさながら屏風絵の美人のようであるだけに、二人だけで過ごすのはだれにもしられたくない。

人目につかぬその時、わずかの間に言葉を交わして返事をする、人目をさけての恋は悦楽と苦悶の顔をする。美しき越地方産の薄絹と蜀産の錦の衣裳を寄贈しても春の思いにまさるものではないのだ。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其七

(選ばれた妃嬪が恋に落ちて、快楽におぼれたと詠う)

本詞は解釈の上で異説が多い。ここでは、花の下の誰もいない宴席で人目を避けながら逢瀬を愉しむ男女の恋を詠う。もう一つには、顔を合わせることのできた男女が人目を盗んでしばし語らうさまと解した。前段は、春の夜の宴席、絵辟風の中の美人のような女性は心傷めずにはいられぬことを言う。後段は、人が見ていない時はしばらく語り合うが、男は人目につくと、女をそっと追いやると、彼女はしきりに悲しみの表情を浮かべるさまを詠う。そして最後は、美しい衣裳を纏った女性はこの春の時節に堪えかねるかのようだと結ぶ。なおこの女性は、宴に侍る妓女である。しかしこの詩の前段に、「綺筵幽會」とあることから、宴会の人がいない状態を云うので矛盾する。

『花間集』と張泌、《浣溪沙》

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

 

当時の貴族や官僚は外出には車を使わず、馬に乗り、牛車に乗るのは女性が多かった。

幹線道路沿いは、民家や商店が多く、民間の旅人でも食糧に不足はしなかった。民営の旅舎や逆旅と呼ばれる旅館も多数存在した。9世紀の唐代を旅行した円仁の『入唐求法巡礼行記』によると、円仁は長期間の旅行をほとんど危険もなく行っている。

宿屋は寝具持参で自炊が原則であった。相部屋が多く、その時は、寝床だけを借りることになる。寝床は大きいのを牀、小さいのを榻といった。使用しない時は寝床は壁に立てていたが、宿では常時、設置していたところもあった。食店という食堂を兼ねた宿も存在したが、安宿は自炊が一般的で、飯だけはつける宿もあった。旅行は遠距離なものが多く、長期間に渡るため、馬車や馬、ロバ、ラクダで荷を運ぶことが多かった。相部屋には炉があり、部屋で煮炊きを行い、外から食糧や酒も持参できた。宿屋の中に馬小屋があることもあった。宿は貸し切りもあり、小房という個室もある宿も存在した。

 

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

浣渓沙 十首 其七

花月香寒悄夜,綺筵幽會暗傷,嬋娟依約畫屏

人不見時還暫語,令纔後愛微,越羅巴錦不勝

○●○○●●○ ●○○●●△○ ○○△●●△○

○△●○○●● △△○●●○○ ●○○●△△○

 

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

花の下に万幕を張り、花と月見の筵をする、冷えてきたので香爐に火をいれ、夜は清くふけてゆき、奇麗な筵を敷き、しかも容姿のあでやかで美しさといえばさながら屏風絵の美人のようであるだけに、二人だけで過ごすのはだれにもしられたくない。

○花月 花の下の筵で花の向こうの空の上に月がある。・花月香寒 秋の日の月見の宴で冷えて來るので香炉に火を入れる。香炉はお香と暖を取るためのもの。

○悄夜塵 夜の塵が静まる。ここでは夜が清らかにふけゆくことを言う。

○幽会 男女が人目を忍んでこっそり会うこと。

○傷神 人に知られては困る後ろめたい気持ちを云う。神でさえも心を傷めること。

○嬋娟/嬋妍【せんけん】 ①女性の美しきを言う。容姿のあでやかで美しいさま。張衡《西京賦》「妖蠱豔夫夏,美聲暢于虞氏。始徐進而羸形,似不任乎羅綺。嚼清商而卻轉,增嬋娟以此豸。」(清商を嚼いて卻轉し,嬋娟を增して以て此豸【しち】す。その媚態はかの有名な美女の夏姫よりも艶に美しく、その美声は、名歌手虞公よりものびのびとよくとおる。初めて歩を進めると、その細遺肉付きの身体は、薄絹の衣裳にも堪えぬ風情がある。澄んだ音色の凊商の曲を吟じながら後すだりに旋回すれば典雅な貴賓も加わって、柔軟優美な舞いとなる。②ひきつながるさま。

依約 ①よりむすびつける。②かすかなさま。さもにたり。さながら、まるで。「他依約前去赴會。」依稀隱約。唐.白居易〈答蘇庶子〉詩:「蓬山閒氣味,依約似龍樓。」

孫少監光憲 《巻八25女冠子二首其二》「澹花瘦玉,依約神仙粧束。佩瓊文,瑞露通宵貯,幽香盡日焚。碧紗籠絳節,黃藕冠濃雲。勿以吹簫伴,不同羣。」

 

人不見時還暫語,令纔後愛微嚬,越羅巴錦不勝春。

人目につかぬその時、わずかの間に言葉を交わして返事をする、人目をさけての恋は悦楽と苦悶の顔をする。美しき越地方産の薄絹と蜀産の錦の衣裳を寄贈しても春の思いにまさるものではないのだ。

○人不見時 人に見られぬようなときに

○還暫語 わずかの間に言葉を交わして返事をする。

○令纔後愛微嚬 性にたいしての喜びの表情と悦楽と苦悶の顔をすることをいう。・は強制する。・は〜するとすぐに。・はここでは追いやること。・はしきりに〜する。・は眉をひそめる。

越羅巴錦 越産の薄絹と蜀産の錦。ともに名品として有名。ここでは女の美しい着物を言う。

人々は常に女子、とりわけ美女を不祥の物、家を没落させ国を亡ぼす禍の種と見なしていた。桓彦範は中宗に上奏文を書き、后妃を政治に干渉させないよう諌言した。「帝王が婦人に政治を相談すれば、必ず国を破り身を亡ぼします。……それで古人が〝牝鶏の農するは、惟れ家の索ぶなりと″と誓えたのです」(『旧唐書』桓彦範伝)。女が政治に口を出せば、必ず国を滅ぼし身を滅ぼすという考えは、士大夫たちが女性の政治への参加に反感を持ち、憂慮の念を持っていたことの表れであった。女性で美貌の持ち主ならば、どうしても「女禍」(女の起す災難)という罪名から逃れられなかった。

 

唐代の人々の男女関係はわりに放噂で、貞操観念も稀薄であったことは誰もが認めるところであり、後世の通学者の「勝ない唐、欄った漢」という説を生むにいたった。それは女性の愛情、結婚生活の中にそう言われても仕方のない種々の明らかな根拠があったからである。というのは、唐代には未婚の娘が秘かに男と情を通じたり、既婚婦人が別に愛人を見つけたり、離婚や再婚があたりまえの社会風潮になっていたからである。

 

女性が結婚の後に、また夫の死後に愛人を見つけるといったことは、さらに普通のことだった。

貞元年間のこと、文人の李章武は、華州(陳西省筆県)のある民家に宿泊し、その家の息子の嫁と愛し合って情交を結び、死んでも心は変わらぬと誓った(李景亮『李章武伝』)。また、貴族の姫妾であった獣鄭新野達実が姓)は、一人の少年を自分の部屋にひそかに隠していた。官庁がこの少年を捜し始めたので、彼女はこの年若い愛人に自分の家族とは異なる人物や食べ物の話を教え込み、それを官に自白させた。

 

「バレなければ、良し。」という風潮が根強くあった。女性蔑視、軽視の反動として、権力持った女性が暴走するということも多くあり、はかなんで、自暴自棄でその時の快楽を求めることも大いにあったようだ。

張泌《巻四29浣渓沙 十首 其六》『花間集』180全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6172

張泌  浣渓沙 十首 其六  

枕障燻鑪隔繡幃,二年終日兩相思,杏花明月始應知。

天上人間何處去,舊歡新夢覺來時,黃昏微雨畫簾垂。

天上界といわれる天子の寵愛の行動は、寵愛を失うという人間界の現実、天子の心は、何処に去って行ってしまったのか、だから楽しく過ごした出来事は、あらたには夢でしか再びあうことはできない、「朝雲暮雨」日暮れてくれば微かな雨となって簾の中にいるだけで、歳を重ねてゆくだけである。

張泌《巻四29浣渓沙 十首 其六》『花間集』180全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6172

 
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浣渓沙 十首其六

(寵愛を失い、行事などにも呼ばれなくなって初めて、妃嬪の立場の悲しさくるしさを認識するもの)

枕障燻鑪隔幃,二年終日兩相思,杏花明月始應知。

使わない枕、障子、香炉の火もたたらのようにかたまったまま、そして、刺繍の垂れ幕も使わなくなってしまった。恋慕の思いのまま終日過ごす日々は二年になる。それでも、杏の花に時期の行事、中秋節にも呼ばれなくなって初めて妃嬪の将来を理解する。

天上人間何處去,舊歡新夢覺來時,昏微雨畫簾垂。

天上界といわれる天子の寵愛の行動は、寵愛を失うという人間界の現実、天子の心は、何処に去って行ってしまったのか、だから楽しく過ごした出来事は、あらたには夢でしか再びあうことはできない、「朝雲暮雨」日暮れてくれば微かな雨となって簾の中にいるだけで、歳を重ねてゆくだけである。

浣渓沙 十首 其の六

枕障 燻鑪 繡幃を隔つ,二年 終日 兩つながら相い思い,杏花 明月 始めて應に知る。

天上 人間 何處に去り,舊歡 新夢 時に來るを覺ゆ,黃昏 微雨 畫簾垂る。

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡幃,二年終日兩相思,杏花明月始應知。

天上人間何處去,舊歡新夢覺來時,黃昏微雨畫簾垂。

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の六)

枕障 燻鑪 繡幃を隔つ,二年 終日 兩つながら相い思い,杏花 明月 始めて應に知る。

天上 人間 何處に去り,舊歡 新夢 時に來るを覺ゆ,黃昏 微雨 畫簾垂る。

 

(現代語訳)

(寵愛を失い、行事などにも呼ばれなくなって初めて、妃嬪の立場の悲しさくるしさを認識するもの)

使わない枕、障子、香炉の火もたたらのようにかたまったまま、そして、刺繍の垂れ幕も使わなくなってしまった。恋慕の思いのまま終日過ごす日々は二年になる。それでも、杏の花に時期の行事、中秋節にも呼ばれなくなって初めて妃嬪の将来を理解する。

天上界といわれる天子の寵愛の行動は、寵愛を失うという人間界の現実、天子の心は、何処に去って行ってしまったのか、だから楽しく過ごした出来事は、あらたには夢でしか再びあうことはできない、「朝雲暮雨」日暮れてくれば微かな雨となって簾の中にいるだけで、歳を重ねてゆくだけである。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其六

(寵愛を失い、行事などにも呼ばれなくなって初めて、妃嬪の立場の悲しさくるしさを認識するもの)

枕障→ 燻鑪→ 隔繡幃,二年→ 終日→ 兩相思,杏花→ 明月→ 始應知。

寵愛を失って、月日の移り変わるが、恋慕の心はかわらない。

天上→ 人間→ 何處去,舊歡→ 新夢→ 覺來時,黃昏→ 微雨→ 畫簾垂。

天上界といわれる天子の行動は人間界には戻ってこない、だから楽しく過ごしたことは夢で再び実現し、「朝雲暮雨」日暮れてくれば微かな雨となって簾の中にいる。

『花間集』と張泌、《浣溪沙》

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

 

当時の貴族や官僚は外出には車を使わず、馬に乗り、牛車に乗るのは女性が多かった。

幹線道路沿いは、民家や商店が多く、民間の旅人でも食糧に不足はしなかった。民営の旅舎や逆旅と呼ばれる旅館も多数存在した。9世紀の唐代を旅行した円仁の『入唐求法巡礼行記』によると、円仁は長期間の旅行をほとんど危険もなく行っている。

宿屋は寝具持参で自炊が原則であった。相部屋が多く、その時は、寝床だけを借りることになる。寝床は大きいのを牀、小さいのを榻といった。使用しない時は寝床は壁に立てていたが、宿では常時、設置していたところもあった。食店という食堂を兼ねた宿も存在したが、安宿は自炊が一般的で、飯だけはつける宿もあった。旅行は遠距離なものが多く、長期間に渡るため、馬車や馬、ロバ、ラクダで荷を運ぶことが多かった。相部屋には炉があり、部屋で煮炊きを行い、外から食糧や酒も持参できた。宿屋の中に馬小屋があることもあった。宿は貸し切りもあり、小房という個室もある宿も存在した。

 

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃 翠鬟擲一長 暖風晴日罷朝

閑折海棠看又撚 玉纖無力惹餘香 此情誰會倚斜

△●○○●●○ ●○○●●○△ ●△○●△○○

○△●○△●● ●○○●●○○ ●○○●△○○

浣渓沙 十首 其五

翡翠屏開繡幄,謝娥無力曉粧,錦帷鴛被宿香

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾,杏花凝恨倚東

●●△○●●○ ●○○●●?○ ●○○●●○○

○●●○○●● ●○○●●○○ ●○△●△○△

浣渓沙 十首 其六

枕障燻鑪隔繡,二年終日兩相,杏花明月始應

天上人間何處去,舊歡新夢覺來,黃昏微雨畫簾垂。

△△○○●●○ ●○○●●△△ ●○○●●△○

○●○△△●● ●○○△●△○ ○○○●●○○

 

枕障 燻鑪 隔繡幃,二年 終日 兩相思,杏花 明月 始應知。

使わない枕、障子、香炉の火もたたらのようにかたまったまま、そして、刺繍の垂れ幕も使わなくなってしまった。恋慕の思いのまま終日過ごす日々は二年になる。それでも、杏の花に時期の行事、中秋節にも呼ばれなくなって初めて妃嬪の将来を理解する。

○枕障 1 じゃまをする。じゃま。さしさわり。「障害/故障・罪障・支障・万障・魔障」2 隔てさえぎるもの。「障子・障壁」3 防ぐ。「保障」[難読]

○燻鑪 1 物がよく燃えないで、煙ばかりを出す。「生木が―・る」「焼け跡が―・る」2 煙のすすで黒くなる。すすける。「天井が―・る」3 争い事などが表に現れずに、また、完全に解決しないままで続いている。鑪:粘土でつくられた高さの低い角形の炉。

○繡幃 刺繍に飾られた垂れ幕

○兩相思 相思相見 この場合の相はお互いにという意味ではなく相手のことを思う、見るであり、一人なのである。

杏花/明月 杏花:晩春に開花、科挙合格者の発表後曲池坊の杏園にて祝宴が開かれる。牡丹と杏花は科挙を連想させる。明月:曇りなく澄みわたった満月。また、名月。《季 秋》仲秋の名月。

春の行事:探春の宴、送窮日、寒食節、清明節、上巳節

秋の行事:七夕、天長節、中秋節、重陽節

 

 

天上 人間 何處去,舊歡 新夢 覺來時,黃昏 微雨 畫簾垂。

天上界といわれる天子の寵愛の行動は、寵愛を失うという人間界の現実、天子の心は、何処に去って行ってしまったのか、だから楽しく過ごした出来事は、あらたには夢でしか再びあうことはできない、「朝雲暮雨」日暮れてくれば微かな雨となって簾の中にいるだけで、歳を重ねてゆくだけである。

・天上人間何處去 この句は男がもう別の女性の所に行ってしまっていることを云う。

・舊歡新夢覺來時 この句は、昔はいい思いをさせてくれたという。

・黃昏微雨畫簾垂 春の夕暮になって雨が降り始めた、今日は誰も来ることはないというもの。黄昏・微雨は高唐の賦「朝雲暮雨」を思わせる言葉であると同時に、女性の年を重ねる事、雨は、腹を落下させ、凋ませてゆくことを暗示させる。

張泌《巻四28浣渓沙 十首 其五》『花間集』179全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6167

張泌  浣渓沙 十首 其五  

翡翠屏開繡幄紅,謝娥無力曉粧慵,錦帷鴛被宿香濃。

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾櫳,杏花凝恨倚東風。

(寵愛を失っても探春の宴の季節になると、同じように準備をして待つ、年を重ねても解放される恩赦がない以上準備をしなくてはいけない悲しい妃嬪を詠う)春の細雨は寝殿前の中庭には春なのに寂しさと空しさが広がり、ツバメが飛び交い、鶯が春を告げているのにすだれの籠檻のなかで隔離されているようなものだ。杏の花の季節には恨みを凝り固まるものであり、東の風に向かって正門に倚りかかる。

張泌《巻四28浣渓沙 十首 其五》『花間集』179全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6167

 

 
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張泌《巻四27浣渓沙 十首 其四》『花間集』178全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6162

張泌  浣溪沙十首其四  

依約殘眉理舊黃,翠鬟擲一簪長,暖風晴日罷朝粧。

閑折海棠看又撚,玉纖無力惹餘香,此情誰會倚斜陽。

浣渓沙 十首 その四(若い時は、薄化粧でも、あまり気にせず、ただ、一緒に過ごすことを楽しんだ、寵愛を失って、歳を重ねた妃嬪は、同じ春が来て、花束を作ってみてもただ一日陽だまりで一人過ごすだけである)

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張泌《巻四26浣渓沙 十首 其三》『花間集』177全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6157

張泌  浣渓沙 十首 其三  

獨立寒堦望月華,露濃香泛小庭花,繡屏愁背一燈斜。

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

浣渓沙 十首 その三 (朝雲暮雨と寵愛を受けていても、それを失えば、宮殿への道は天涯に阻まれるように遠いものとなると妃嬪を詠う。)

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(改訂版Ver.2.1

浣溪沙十首其一

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を西に向い過ぎて行く。樺の灯火の煙は漂い、最後の別れの朝には旅立つ馬もしきりに噺く。朝早く旅立つにあたって、酔いが醒めていなければ、不覚なので、夕べの宴会では深酔いすることはないものなのだ。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

 

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 柳堤を過ぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

(改訂版Ver.2.1

溪沙十首其二

(寵愛を受け、何不自由なく、楽しいおもいの日々に分袂すると、宮殿の御門、夜明け前に帰っていくあのお方の姿を追う、哀しい妃嬪の思いを詠う。)

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉頭。

馬上には思いを一身に集めるお方がいて、そして、楽しい日々は続いており、今も、夕べのことを思い浮かべている、咲き誇る花に朝日に照らされ、竹林の小路に入っていくと、小川が流れている誰にも気兼ねせず静かに過ごす、螺鈿の琴が奏でられ、薄絹のとばりに、漢の武帝の李夫人を思わせる「玉搔頭」を飾り何不自由のない生活を送る。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,風斜日不勝愁。

眠れず少し早く起き出し、門を出ると、涙があふれて有明けの月を見上げると長く帯のようににじんで見える。あの人とは【分袂】してから、また、この夜長の秋をひとりで堪えなければいけない。夕方の風が抜けてゆき、日が傾いて、この愁いを克服するものはなにもない。

(浣溪沙十首其の二)

馬上 凝情 舊遊を憶い,照花 淹竹 小溪の流れ,鈿箏 羅幕 玉として頭を搔く。

早に是こに出門 月も長帶たり,堪える可し 袂を分ち 又た秋も經るを,晚風 斜日 愁に勝らず。

 

(改訂版Ver.2.1

浣渓沙 十首 其三

浣渓沙 十首 その三 (朝雲暮雨と寵愛を受けていても、それを失えば、宮殿への道は天涯に阻まれるように遠いものとなると妃嬪を詠う。)

獨立寒望月華,露濃香泛小庭花,屏愁背一燈斜。

寒々とした宮殿の階に独り佇み、仲秋の月を眺めれば、露に濡れた寝殿前の庭の花は香しき香を放つ。寝牀の側の屏風を背にする灯火一つ愁わしく火影を揺らすだけ。

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

巫山神女の故事のように「朝雲暮雨」いつも一緒であったのに、別れて後は、人間ではその仙界の館に訪ねるすべはこの世にないのである、ということだと、できるのはただ夢の場合だけだが、しかも空のはてを訪ねるという大変な事なのだ。

(浣渓沙 十首 其の三)

独り寒堦【かんかい】に立ちて 月華を望む、露 濃く 香り 泛く 小庭の花、繍屏【しゅうへい】に 愁い背きて 一灯 斜めなり。

雲雨 分散してより後、人間 路の仙家に到る無く、但だ魂夢を憑【たの】みて 天涯を訪ぬ。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『浣渓沙 十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣渓沙 十首 其三

獨立寒堦望月華,露濃香泛小庭花,繡屏愁背一燈斜。

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

 

 

(下し文)

(浣渓沙 十首 其の三)

独り寒堦【かんかい】に立ちて 月華を望む、露 濃く 香り 泛く 小庭の花、繍屏【しゅうへい】に 愁い背きて 一灯 斜めなり。

雲雨 分散してより後、人間 路の仙家に到る無く、但だ魂夢を憑【たの】みて 天涯を訪ぬ。

 

 

(現代語訳)

浣渓沙 十首 その三 (朝雲暮雨と寵愛を受けていても、それを失えば、宮殿への道は天涯に阻まれるように遠いものとなると妃嬪を詠う。)

寒々とした宮殿の階に独り佇み、仲秋の月を眺めれば、露に濡れた寝殿前の庭の花は香しき香を放つ。寝牀の側の屏風を背にする灯火一つ愁わしく火影を揺らすだけ。

巫山神女の故事のように「朝雲暮雨」いつも一緒であったのに、別れて後は、人間ではその仙界の館に訪ねるすべはこの世にないのである、ということだと、できるのはただ夢の場合だけだが、しかも空のはてを訪ねるという大変な事なのだ。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

『花間集』と張泌、《浣溪沙》

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

 

当時の貴族や官僚は外出には車を使わず、馬に乗り、牛車に乗るのは女性が多かった。

幹線道路沿いは、民家や商店が多く、民間の旅人でも食糧に不足はしなかった。民営の旅舎や逆旅と呼ばれる旅館も多数存在した。9世紀の唐代を旅行した円仁の『入唐求法巡礼行記』によると、円仁は長期間の旅行をほとんど危険もなく行っている。

宿屋は寝具持参で自炊が原則であった。相部屋が多く、その時は、寝床だけを借りることになる。寝床は大きいのを牀、小さいのを榻といった。使用しない時は寝床は壁に立てていたが、宿では常時、設置していたところもあった。食店という食堂を兼ねた宿も存在したが、安宿は自炊が一般的で、飯だけはつける宿もあった。旅行は遠距離なものが多く、長期間に渡るため、馬車や馬、ロバ、ラクダで荷を運ぶことが多かった。相部屋には炉があり、部屋で煮炊きを行い、外から食糧や酒も持参できた。宿屋の中に馬小屋があることもあった。宿は貸し切りもあり、小房という個室もある宿も存在した。

 

浣溪沙十首 其三

浣渓沙 十首 その三 (朝雲暮雨と寵愛を受けていても、それを失えば、宮殿への道は天涯に阻まれるように遠いものとなると妃嬪を詠う。)

後宮を仙界にたとえることは多い、天子が妃嬪のもとを訪ねるものであり、寵愛を失えば後宮の中にあっても、天涯に在ることと一緒である。前半の語には、後宮を表す語を使い、後半は、仙界にいながら、遠く隔たってしまったという。妃嬪、後宮の中の出来事を詠ったもの。

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首 其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

浣溪沙十首 其三

獨立寒堦望月,露濃香泛小庭,繡屏愁背一燈

雲雨自從分散後,人間無路到仙,但憑魂夢訪天

●●○○△●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○●●△△●● ○△○●●○○  △○○△●○○

 

 

獨立寒堦望月華,露濃香泛小庭花,繡屏愁背一燈斜。

寒々とした宮殿の階に独り佇み、仲秋の月を眺めれば、露に濡れた寝殿前の庭の花は香しき香を放つ。寝牀の側の屏風を背にする灯火一つ愁わしく火影を揺らすだけ。

○堦 (1) 階段台(門前などの)階段.(2) 等級军阶軍隊における階級

○月華 仲秋の名月。

○小庭花 1 狭い庭。2 寝殿の前の東西の廊のまわりにある狭い庭。3 清涼殿の殿上 (てんじょう) の間 () の前庭。紫宸殿 (ししんでん) の前庭を大庭というのに対する。4 馬術で、狭い練習場。馬上の太刀打 (たちうち) を練習する。

○繍屏 屏風の美称。屏風を状況説明に使う場合は男が来なくて女が一人でベットに横たわること。蝋燭を背にするという表現も同じ。

 

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

巫山神女の故事のように「朝雲暮雨」いつも一緒であったのに、別れて後は、人間ではその仙界の館に訪ねるすべはこの世にないのである、ということだと、できるのはただ夢の場合だけだが、しかも空のはてを訪ねるという大変な事なのだ。

○雲雨 男女の交情を指す。韋荘「望遠行」の「雲雨別来易東西」の注 宋玉の「神女賦」に、「且に朝雲となり、碁に行雨となる」「朝雲暮雨。」の句がある。結句の「雲雨」に応じている。神女と雲雨は、雨が宋玉「高唐の賦」にある巫山神女の故事によるもので、懷王と交わった後、神女が「暮には行雨とならん」とどんな時でも一緒にいるといった意味を持つ雨である。楚の懐王が巫山の神女と夢のなかで交わった故事をいう。韋荘『望遠行』「欲別無言倚畫屏、含恨暗傷情。謝家庭樹錦鶏鳴、残月落邊城。  人欲別、馬頻噺、綠槐千里長堤。出門芳草路萋萋、雲雨別來易東西。不忍別君後、却入旧香閏。

100 望遠行 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-285-5-#39  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2972

〇自従 〜より。

〇人間 この世。人間の世。

〇仙家 仙人のすみか。女性のいる寝殿

○憑 頼る。

○魂夢 夢。夢魂に同じ。

〇天涯 1 空のはて。2 故郷を遠く離れた地。3. 仙家に到達する距離。

張泌《巻四25浣渓沙 十首 其二》『花間集』176全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6152

張泌  浣溪沙十首其二  

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,晚風斜日不勝愁。

(寵愛を受け、何不自由なく、楽しいおもいの日々に分袂すると、宮殿の御門、夜明け前に帰っていくあのお方の姿を追う、哀しい妃嬪の思いを詠う。)

張泌《巻四25浣渓沙 十首 其二》『花間集』176全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6152

 
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(改訂版Ver.2.1

浣溪沙十首其一

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を西に向い過ぎて行く。樺の灯火の煙は漂い、最後の別れの朝には旅立つ馬もしきりに噺く。朝早く旅立つにあたって、酔いが醒めていなければ、不覚なので、夕べの宴会では深酔いすることはないものなのだ。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

 

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 柳堤を過ぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

(改訂版Ver.2.1

溪沙十首其二

(寵愛を受け、何不自由なく、楽しいおもいの日々に分袂すると、宮殿の御門、夜明け前に帰っていくあのお方の姿を追う、哀しい妃嬪の思いを詠う。)

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉頭。

馬上には思いを一身に集めるお方がいて、そして、楽しい日々は続いており、今も、夕べのことを思い浮かべている、咲き誇る花に朝日に照らされ、竹林の小路に入っていくと、小川が流れている誰にも気兼ねせず静かに過ごす、螺鈿の琴が奏でられ、薄絹のとばりに、漢の武帝の李夫人を思わせる「玉搔頭」を飾り何不自由のない生活を送る。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,風斜日不勝愁。

眠れず少し早く起き出し、門を出ると、涙があふれて有明けの月を見上げると長く帯のようににじんで見える。あの人とは【分袂】してから、また、この夜長の秋をひとりで堪えなければいけない。夕方の風が抜けてゆき、日が傾いて、この愁いを克服するものはなにもない。

(浣溪沙十首其の二)

馬上 凝情 舊遊を憶い,照花 淹竹 小溪の流れ,鈿箏 羅幕 玉として頭を搔く。

早に是こに出門 月も長帶たり,堪える可し 袂を分ち 又た秋も經るを,晚風 斜日 愁に勝らず。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『浣溪沙十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,晚風斜日不勝愁。

 

(下し文)

(浣溪沙十首其の二)

馬上 凝情 舊遊を憶い,照花 淹竹 小溪の流れ,鈿箏 羅幕 玉として頭を搔く。

早に是こに出門 月も長帶たり,堪える可し 袂を分ち 又た秋も經るを,晚風 斜日 愁に勝らず。

 

(現代語訳)

(寵愛を受け、何不自由なく、楽しいおもいの日々に分袂すると、宮殿の御門、夜明け前に帰っていくあのお方の姿を追う、哀しい妃嬪の思いを詠う。)

馬上には思いを一身に集めるお方がいて、そして、楽しい日々は続いており、今も、夕べのことを思い浮かべている、咲き誇る花に朝日に照らされ、竹林の小路に入っていくと、小川が流れている誰にも気兼ねせず静かに過ごす、螺鈿の琴が奏でられ、薄絹のとばりに、漢の武帝の李夫人を思わせる「玉搔頭」を飾り何不自由のない生活を送る。

眠れず少し早く起き出し、門を出ると、涙があふれて有明けの月を見上げると長く帯のようににじんで見える。あの人とは【分袂】してから、また、この夜長の秋をひとりで堪えなければいけない。夕方の風が抜けてゆき、日が傾いて、この愁いを克服するものはなにもない。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

『花間集』と張泌、《浣溪沙》

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

 

当時の貴族や官僚は外出には車を使わず、馬に乗り、牛車に乗るのは女性が多かった。

幹線道路沿いは、民家や商店が多く、民間の旅人でも食糧に不足はしなかった。民営の旅舎や逆旅と呼ばれる旅館も多数存在した。9世紀の唐代を旅行した円仁の『入唐求法巡礼行記』によると、円仁は長期間の旅行をほとんど危険もなく行っている。

宿屋は寝具持参で自炊が原則であった。相部屋が多く、その時は、寝床だけを借りることになる。寝床は大きいのを牀、小さいのを榻といった。使用しない時は寝床は壁に立てていたが、宿では常時、設置していたところもあった。食店という食堂を兼ねた宿も存在したが、安宿は自炊が一般的で、飯だけはつける宿もあった。旅行は遠距離なものが多く、長期間に渡るため、馬車や馬、ロバ、ラクダで荷を運ぶことが多かった。相部屋には炉があり、部屋で煮炊きを行い、外から食糧や酒も持参できた。宿屋の中に馬小屋があることもあった。宿は貸し切りもあり、小房という個室もある宿も存在した。

 

浣溪沙十首 其二

(寵愛を受け、何不自由なく、楽しいおもいの日々に分袂すると、宮殿の御門、夜明け前に帰っていくあのお方の姿を追う、哀しい妃嬪の思いを詠う。)

この詩は、寵愛の絶頂期、何不自由なくすごすことを「凝情」「舊遊」,「照花」「淹竹小溪流」,「鈿箏」「羅幕」「玉搔頭」とこれほどのちょうあいをうけるほどの絶世の美女であることを表す。「長帶月」は名残月、残月(二十日頃の夜明けの月)よりも月末に近い月のことで、何もかも終ったということを連想させる。当時の生活習慣で仕事に出る、旅に出るのは夜の明けきらぬ時であること、男が女のもとを去るという形が多い。

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首 其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊 照花淹竹小溪流 鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月 可堪分袂又經秋 晚風斜日不勝愁。

●●△○●●○  ●○△●●○○ △○○●●○○

●●●○△●● ●○△●●△○  ●△○●△△○

 

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉搔頭。

馬上には思いを一身に集めるお方がいて、そして、楽しい日々は続いており、今も、夕べのことを思い浮かべている、咲き誇る花に朝日に照らされ、竹林の小路に入っていくと、小川が流れている誰にも気兼ねせず静かに過ごす、螺鈿の琴が奏でられ、薄絹のとばりに、漢の武帝の李夫人を思わせる「玉搔頭」を飾り何不自由のない生活を送る。

・凝情 思いを一身に集める。情意專注唐李康成《玉華仙子歌》:轉態凝情五雲裏, 嬌顏千芙蓉花。 宋向滈《菩薩蠻望行人》詞:庭院欲黃昏, 凝情欲斷魂。”

・憶舊遊 楽しい日々のことを思い起こす。

・淹竹 小路竹藪に引き込まれる景色。

・鈿箏 箏では柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節する。立て琴。箏類の一種で撥弦楽器。中国太古からあって,琴とともに奏されたため〈琴瑟相和す〉の語源となった。構造は箏と同様であるが,弦数は多い。25弦が普通の型。

・羅幕 薄絹のとばり。幕。・陸機《文選、君子有所思行》:“邃宇列綺窻,室接幕。”邃宇は綺窻を列ね,室は幕を接す。奥のいえには、あや絹で飾った窓が連なり、蘭で作った芳しい室にはうす絹のとばりを張る。

・玉搔頭 女性の首飾,玉製の髮簪。漢武帝の李夫人により玉簪搔頭を以て,いわゆる玉簪をもって「玉搔頭」稱するようになる。(玉搔頭, 玉搔) 1.即玉簪。 古代女子的一種首飾。 《西京雜記》卷二:武帝過李夫人, 就取玉簪搔頭。 自此後宮人搔頭皆用玉, 玉價倍貴焉。” 唐白居易《長恨歌》:花鈿委地無人收, 翠翹金雀玉搔頭。”

 

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,晚風斜日不勝愁。

眠れず少し早く起き出し、門を出ると、涙があふれて有明けの月を見上げると長く帯のようににじんで見える。あの人とは【分袂】してから、また、この夜長の秋をひとりで堪えなければいけない。夕方の風が抜けてゆき、日が傾いて、この愁いを克服するものはなにもない。

・早是出門 夜も眠れず起き出して門を出る。夜明け前に男はこの門を出るので、もしかしたら、あの人を見つけることが出来るかもしれないと思ったのだ。

・長帶月 涙をためたままで月を見るので帯状の月に見えてしまう。有明けの月は、月の後半下弦の月をすぎた頃の月(名残月)だろう。

・分袂 【ぶんべい】たもとを分かつこと。別れること。決別。

・又經秋 また秋という季節が過ぎてゆく。

・晚風斜日 「照花淹竹小溪流」に風が吹き、斜めに日が射すのは風流の極みのはずである。でもそれは愁いの方が勝っているということ。そして女としての盛りを過ぎていくという意。

張泌《巻四24浣渓沙 十首 其一 》『花間集』175全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6147

張泌  浣溪沙十首其一  

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

張泌《巻四24浣渓沙 十首 其一 》『花間集』175全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6147

 

 
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花間集 張泌 《浣溪沙十首》

浣溪沙十首其一

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

(浣溪沙十首 其の一)
鈿轂【でんこく】香車 柳堤を過ぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。
花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

浣溪沙十首其二

馬上凝情憶舊遊,照花淹竹小溪流,鈿箏羅幕玉搔頭。

早是出門長帶月,可堪分袂又經秋,晚風斜日不勝愁。

(浣溪沙十首其の二)馬上 凝情 舊遊を憶い,照花 淹竹 小溪の流れ,鈿箏 羅幕 玉として頭を搔く。早に是こに出門 月も長帶たり,堪える可し 袂を分ち 又た秋も經るを,晚風 斜日 愁に勝らず。

浣溪沙十首其三

獨立寒堦望月華,露濃香泛小庭花,繡屏愁背一燈斜。

雲雨自從分散後,人間無路到仙家,但憑魂夢訪天涯。

(浣渓沙 十首 其の三)独り寒堦【かんかい】に立ちて 月華を望む、露 濃く 香り 泛く 小庭の花、繍屏【しゅうへい】に 愁い背きて 一灯 斜めなり。雲雨 分散してより後、人間 路の仙家に到る無く、但だ魂夢を憑【たの】みて 天涯を訪ぬ。

浣溪沙十首其四

依約殘眉理舊黃,翠鬟擲一簪長,暖風晴日罷朝粧。

閑折海棠看又撚,玉纖無力惹餘香,此情誰會倚斜陽。

(浣溪沙十首 其の四)約に依り眉を殘し舊黃を理し,翠鬟【すいかん】擲【ほうてき】一簪【いちしん】長じ,暖風 晴日 朝粧を罷む。閑にして海棠を折り 看 又た撚じ,玉纖 力無く 餘香に惹かる,此の情 誰れに會うのか 斜陽に倚る。

浣溪沙十首其五

翡翠屏開繡幄紅,謝娥無力曉粧慵,錦帷鴛被宿香濃。

微雨小庭春寂寞,鷰飛鶯語隔簾櫳,杏花凝恨倚東風。

(浣渓沙 十首 其の五)翡翠 屏開き 繡幄【しゅうあく】の紅,謝娥 力無く 曉粧の慵,錦帷 鴛被 宿香濃く。微雨 小庭 春 寂寞たり,鷰飛 鶯語 簾櫳を隔ち,杏花 凝恨 東風に倚る。

浣溪沙十首其六

枕障燻鑪隔繡幃,二年終日兩相思,杏花明月始應知。

天上人間何處去,舊歡新夢覺來時,黃昏微雨畫簾垂。

(浣渓沙 十首 其の六)枕障 燻鑪 繡幃を隔つ,二年 終日 兩つながら相い思い,杏花 明月 始めて應に知る。天上 人間 何處に去り,舊歡 新夢 時に來るを覺ゆ,黃昏 微雨 畫簾垂る。

浣溪沙十首其七

花月香寒悄夜塵,綺筵幽會暗傷神,嬋娟依約畫屏人。

人不見時還暫語,令纔後愛微嚬,越羅巴錦不勝春。

(浣渓沙 十首 其の七)花月 香り 寒く 夜塵 悄まり、綺筵の幽会 傷神を暗にし、嬋娟 依約として画屏の人。人 見ざる時 還た暫く語り、纔かにたしむるの後 愛みて微かに嚬み、越羅、巴錦も春に勝えず。

浣溪沙十首其八

偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。

小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。

(浣渓沙 十首 其の八)偏戴 花冠 白玉の簪,睡容 新起 意沉吟,翠鈿 金縷 鎮眉心。小檻 日斜 風悄悄たり,簾を隔てて零落 杏花の陰,斷香 輕碧 鏁愁深。

浣溪沙十首其九

晚逐香車入鳳城,東風斜揭繡簾輕,慢迴嬌眼笑盈盈。

消息未通何計是,便須佯醉且隨行,依稀聞道大狂生。

(浣渓沙 十首 其の九)晚 香車を逐い 鳳城に入る,東風 斜に揭げ 繡簾輕し,慢く迴り 嬌眼 笑み盈盈【えんえん】たり。消息 未だ通わず 何ぞ是を計る,便ち須らく佯醉し 且く隨行し,依稀に聞道【きくなら】く大狂生なり と。

浣溪沙十首其十

小市東門欲雪天,眾中依約見神仙,蘂黃香畫貼金蟬。

飲散黃昏人草草,醉容無語立門前,馬嘶塵烘一街煙。

(浣渓沙 十首 其の十)小市 東門 雪天に欲し,眾中 依約 神仙を見,蘂黃 香畫 金蟬を貼る。飲散 黃昏 人草草たり,醉容して語る無し 門前に立ち,馬嘶き 塵烘【じんこう】一街の煙。

 

 

(改訂版Ver.2.1

浣溪沙十首其一

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を西に向い過ぎて行く。樺の灯火の煙は漂い、最後の別れの朝には旅立つ馬もしきりに噺く。朝早く旅立つにあたって、酔いが醒めていなければ、不覚なので、夕べの宴会では深酔いすることはないものなのだ。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

 

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 柳堤を過ぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『浣溪沙十首』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙十首 其一

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

 

(下し文)

(浣溪沙十首 其の一)

鈿轂【でんこく】香車 柳堤を過ぐ,樺煙【かえん】分かるる處 馬 頻りに嘶く,他が為に沉醉するも泥を成さず。

花は驛亭に滿ち 香露 細やかなり,杜鵑 聲 斷え 玉蟾【ぎょくぜん】低し,情を含んで語ること無く 樓西に倚る。

 

(現代語訳)

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)

螺鈿の車は柳の堤の道を西に向い過ぎて行く。樺の灯火の煙は漂い、最後の別れの朝には旅立つ馬もしきりに噺く。朝早く旅立つにあたって、酔いが醒めていなければ、不覚なので、夕べの宴会では深酔いすることはないものなのだ。

駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

『花間集』と張泌、《浣溪沙》

張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。

 

当時の貴族や官僚は外出には車を使わず、馬に乗り、牛車に乗るのは女性が多かった。

幹線道路沿いは、民家や商店が多く、民間の旅人でも食糧に不足はしなかった。民営の旅舎や逆旅と呼ばれる旅館も多数存在した。9世紀の唐代を旅行した円仁の『入唐求法巡礼行記』によると、円仁は長期間の旅行をほとんど危険もなく行っている。

宿屋は寝具持参で自炊が原則であった。相部屋が多く、その時は、寝床だけを借りることになる。寝床は大きいのを牀、小さいのを榻といった。使用しない時は寝床は壁に立てていたが、宿では常時、設置していたところもあった。食店という食堂を兼ねた宿も存在したが、安宿は自炊が一般的で、飯だけはつける宿もあった。旅行は遠距離なものが多く、長期間に渡るため、馬車や馬、ロバ、ラクダで荷を運ぶことが多かった。相部屋には炉があり、部屋で煮炊きを行い、外から食糧や酒も持参できた。宿屋の中に馬小屋があることもあった。宿は貸し切りもあり、小房という個室もある宿も存在した。

 

浣溪沙十首 其一

(西に向かう旅人との別れを題材にしたよくある別れを詠う)

男の旅立ちを見送る女性の情を詠う。前段は、彼女が車に乗り、一駅までの道すがら、柳の堤を進み、一駅である駅亭で別れを交わし、後段、朝まだきから旅の支度をはじめ、暗いうちに出発する様子と、楼閣の窓辺でいつまでもみおくりつづけるようすをうたったものである。高殿に身を寄せて思いを馳せるが、杜鵑(ホトトギス)の声も途絶え、名残の月は西に低く傾いてしまい、何もかも終ったという。

『花間集』に描かれる男女の別れは、残月(二十日頃の夜明けの月)が空に懸かる、当時の生活習慣で仕事に出る、旅に出るのは夜の明けきらぬ時であること、男が女のもとを去るという形が多い。しかし、この詞は女性が夜、男性を駅亭まで見送る形をとる。明瞭に書かれていないが、後段第一句の「玉蟾低し」からすれば、二人は駅亭で一夜をともにし、男性は翌日の明け方に旅立ったのであろう。こうした送別は、王維の「元二が安西に使いするを送る」詩に「渭城の朝雨 軽塵を泥す、客舎 青青 柳色 新たなり」とあるように、男同上の間では広く行われていた。けれども、男女間にあってほ例が少ない。なお、後段末句の「楼西に倚る」から男は西に向かって旅立ったことが分かる。

唐の教坊の曲名。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦.の詞形をとる。韋荘は同名の詩五首載せている。

浣溪沙十首 其一

鈿轂香車過柳,樺煙分處馬頻,為他沉醉不成

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾,含情無語倚樓西

△●○○△●△  △○△●●○○ ○△○●△○△

○●●○○●● ●○○●●○○  ○○○●△○○

 

 

鈿轂香車過柳堤,樺煙分處馬頻嘶,為他沉醉不成泥。

螺鈿の車は柳の堤の道を西に向い過ぎて行く。樺の灯火の煙は漂い、最後の別れの朝には旅立つ馬もしきりに噺く。朝早く旅立つにあたって、酔いが醒めていなければ、不覚なので、夕べの宴会では深酔いすることはないものなのだ。

○鈿轂香車 螺釦や香木をあしらった高貴な人用の車。

○柳堤 この頃の柳は、区画の境、堤の維持保護に官費で飢えられたものが多い。東、南に向かう別れには長安から30里一駅目の㶚水橋の駅亭まで行って別れの宴会をして翌朝旅立つ。西、北に向かう場合は、西渭水橋の駅亭で宴会をした。通常は馬による旅立ちであった。

○樺煙 蝋を樺の木の皮で巻いた灯火の煙。

○沉醉 深酔い。

○不成泥 泥酔しない、正体を失わない。

 

花滿驛亭香露細,杜鵑聲斷玉蟾低,含情無語倚樓西。

駅亭をめぐって、花は咲き満ちていて、香しき夜の露は細やかなものである。杜鵑の声途絶え、名残の月は傾きてみえない。思いを秘めて言葉なく西にむかったひとを高殿に身を寄せておもう。

○玉蟾 月の別称。月は蟾が中に住むことで、性描写の一つである。「天仙子」の「蟾彩」の注参照。夜明けまで月が残る、20日前後の、名残月である。

○驛亭 長安を中心とした各地方につながる道路、水路が整備されていった。道路には、30里(約17km)ごとに駅站(駅館、公営の宿)が置かれ、公文書を運ぶ政府の使者や地方へ赴任し、帰ってくる官僚が利用した。駅站の近くには、往々において民間の宿が存在した。宿の名称の最後には、『駅』、『館』、『店』とつくことが多かった。唐全土には1,639もの駅站が存在し、水駅が260、水陸駅が86か所設置されていた。駅站を利用できる政府関係者は、食糧、運送、宿泊が無料であった。また、道路の五里ごとに『里隔柱』という標識が置かれ、十里ごとに別の標識を立てられた。幹線道路沿いには多数の店舗が建ち並び、交通は大いに発達した。

○楼西 西楼を押韻のために倒置したもの。

○この三句、「香露細」「杜鵑聲斷」「玉蟾」「含情」は、送別の夜の性交を連想させる語句である。

後世、別離の際に歌われるようになった。近代以降の我が国でいえば『蛍の光』のような使われ方をしたしである。

唐 王維 《送元二使安西》

渭城朝雨裛輕塵,客舍靑靑柳色新。

勸君更盡一杯酒,西出陽關無故人。

(元二の 安西に使するを 送る)

渭城の朝雨  輕塵を 裛し,客舍 靑靑 柳色 新たなり。

君に勸む 更に盡)せ 一杯の酒,西 陽關を 出づれば 故人 無からん

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