魏承班 漁歌子
柳如眉,雲似髮。蛟綃霧縠籠香雪。夢魂驚,鐘漏歇,䆫外曉鶯殘月。
幾多情,無處說,落花飛絮清明節。少年郎,容易別,一去音書斷絕。
(「買斷」を受けていた妓女は歳をとって来ると誰とも接触がなくなる、今年も、春が来て、約束の清明節にも帰ってこなかったと貴公子の多情に諦めてしまったことを詠う。)
巫女は柳の葉を眉にしたようである、流行の雲のような髪型をして、蛟の絹の上かけ着、霧の様な穀織の薄い着物、香炉には燃えカスが雪のようにいっぱいになっている。
うとうとした夢の中で思いを遂げていたのを驚かされたのは、漏刻の四更を告げる鐘の声が止んだ、窓の外には春を告げる暁の鶯が啼き、空には名残の二十日月がある。
あのひとは、優しいけれど好きになる気持ちが多い、そして、何処の女の所にいるかはわからない、春も盛りに花びらが散り始め、柳絮が飛び交い、そして清明節が来てしまった。
貴公子の遊び人は、「別れることを簡単にできると考えているし、一度去ってしまえば、音信は完全に断たれてしまうというものだ」と思っていたとおりであった。
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《花間集》411巻九13 |
漁 歌 子 |
全詩訳注解説-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7339 |
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(改訂版Ver.2.1) |
13 魏承班 |
前蜀の詞人 |
930年前後に在世 |
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長安の娼妓は、名儀上でも決してすべてが教坊に属していたのではない。『北里志』 の 「楊妙児」なる一節に記載されている妓女の王福娘は、人に身請けされることを願い、「私は幸いに教坊籍に入っていません。あなたにもし結婚の意志があるなら一、二百金のみですみます」といった。どうやら、教坊籍に入っていれば「官身」となり勝手に請け出されることはできないが、教坊籍に入っていないものは金を出し身請けする人がいればいつでも落籍できたようである。しかし、教坊籍に入っていない妓女も、やはり完全に官妓身分から脱していたというわけではなかった。「楊妙児」の一節によると、妓女たちがたとえ客から「買断」(特定の客が囲い独占すること)されても、いぜんとして彼女は「官使を免れず」、つまりこれまで通り官府への奉仕を免れることができなかったようである。また同書には、「およそ中央官僚の集まりや宴会には、役所から妓女を借り出す許可状をもらわねばならず、そうやって始めて彼女たちは他処に出ることができた」(『北里志』序)とある。
官僚が妓女を宴遊に呼ぶには官府の許可が必要だったということは、妓女が官妓の身分であったことを証明している。その他、平康里の妓女たちの中には「都知」と呼ばれるものがいて、妓女たちを分担管理しており、古株のものがその任に就いた。妓女にも一定の組織があり、完全に独立し自由というわけでなかったことが分かる。教坊籍に入っていない妓女は、当然長安の妓女の大多数を占めていたはずだが、彼女たちは一体どこの管轄下に属していたのだろうか。地方州府の制度に照らせば、京兆府の管轄下に属すのが当然と思われるが、いまだそうした記録を見出せないので、みだりに結論を出さないでおきたい。
妓女は買われてくると、歌舞や酒席での遊戯などを習い、少しでも怠けると仮母に激しく鞭打たれたり殴られたりし、成人に達すると客を取り銭を稼がされた。彼女たちは行動の自由がなく、平生は勝手に門を出ることもできなかった。平康里の妓女は僧が道でお経を講ずるのを最も待ち望んだ。僧が来ると、仮母に千文納めて機を見て外出し、半日間自由の空気を吸うことができたからである。
妓女は平生、人に呼ばれて宴会や遊戯の席に侍ったり、あるいは家で客を接待したりした。毎年新たに進士の合格者が発表されると、彼らは盛んに平康里に泊って遊んだ。この時こそ彼女たちの最も多忙な時期であった。長安の妓女の大半は歌や触りといった技芸にそれほど熟達してはいなかったので、往々にしてさかんに客にふざけたりへつらったりした。普段は客席に侍り、話のあいづちをうったり、また客と寝て売春するのが主で、芸は補助的なものであった。こうした点が、地方の楽営妓女と違うところであり、また後世の娼妓と似ているところであった。客席に侍る料金は一般に一席あたり四環(鎧は銅銭の単位)であり、灯ともし時になるとその倍になった。新来の客は倍の料金を払った。新しく進士に合格した者が妓女を買う時は、慣例により一般の客よりも多くの花代を包まねばならなかった。値段は妓女の名声や地位によって決められた。平康里の名妓天水仙苛は少しばかり名声があり、貴公子劉雫が彼女を遊びに呼ぼうとしたが彼女はわざと断った。そこで劉軍は次々と値段を上げ、ついにかれこれ百余金を投じた。また、客は銭の支払いの他に絹布などを贈って礼晶とした。たとえば中央の官僚たちが鄭挙挙の家に集まって酒を飲む時には、座が盛りあがると客はそれぞれ彩給などを御礼に贈った。こうしたことは、客が自ら自由意志で行うことであった。
雛妓(半玉)の「初夜権」は高い値段で買い取らねばならなかった。南曲の張住住が成人になろうとした時、金持の陳小鳳は大金を出し「その元を取ろう」とした。彼女はすでに処女を失っていたが、手管を使って処女のごとく振舞って陳を騙した。陳は処女を得たと思い、さらに三緡(一緡は銅銭一千枚)を張家にやった。その他、「買断」という決まりもあった。つまり妓女が一人の客に独占されることであり、客が毎日仮母に一緒を払うと、この妓女はもう他の客をとれなかった。
漁歌子
(「買斷」を受けていた妓女は歳をとって来ると誰とも接触がなくなる、今年も、春が来て、約束の清明節にも帰ってこなかったと貴公子の多情に諦めてしまったことを詠う。)
柳如眉,雲似髮。蛟綃霧縠籠香雪。
妓女は柳の葉を眉にしたようである、流行の雲のような髪型をして、蛟の絹の上かけ着、霧の様な穀織の薄い着物、香炉には燃えカスが雪のようにいっぱいになっている。
夢魂驚,鐘漏歇,䆫外曉鶯殘月。
うとうとした夢の中で思いを遂げていたのを驚かされたのは、漏刻の四更を告げる鐘の声が止んだ、窓の外には春を告げる暁の鶯が啼き、空には名残の二十日月がある。
幾多情,無處說,落花飛絮清明節。
あのひとは、優しいけれど好きになる気持ちが多い、そして、何処の女の所にいるかはわからない、春も盛りに花びらが散り始め、柳絮が飛び交い、そして清明節が来てしまった。
少年郎,容易別,一去音書斷絕。
貴公子の遊び人は、「別れることを簡単にできると考えているし、一度去ってしまえば、音信は完全に断たれてしまうというものだ」と思っていたとおりであった。
(漁歌子)
柳 眉の如く,雲 髮に似て。蛟の綃 霧の縠 籠の香雪たり。
夢魂 驚き,鐘漏 歇み,䆫外には 曉鶯 殘月あり。
幾多の情,無處の說,花落ち 絮飛ぶ 清明節。
少年の郎,別を容易とし,一たび去れば 音書 斷絕。
『漁歌子』 現代語訳と訳註
(本文)
漁歌子
柳如眉,雲似髮。蛟綃霧縠籠香雪。
夢魂驚,鐘漏歇,䆫外曉鶯殘月。
幾多情,無處說,落花飛絮清明節。
少年郎,容易別,一去音書斷絕。
(下し文)
(漁歌子)
柳 眉の如く,雲 髮に似て。蛟の綃 霧の縠 籠の香雪たり。
夢魂 驚き,鐘漏 歇み,䆫外には 曉鶯 殘月あり。
幾多の情,無處の說,花落ち 絮飛ぶ 清明節。
少年の郎,別を容易とし,一たび去れば 音書 斷絕。
(現代語訳)
漁歌子(「買斷」を受けていた妓女は歳をとって来ると誰とも接触がなくなる、今年も、春が来て、約束の清明節にも帰ってこなかったと貴公子の多情に諦めてしまったことを詠う。)
巫女は柳の葉を眉にしたようである、流行の雲のような髪型をして、蛟の絹の上かけ着、霧の様な穀織の薄い着物、香炉には燃えカスが雪のようにいっぱいになっている。
うとうとした夢の中で思いを遂げていたのを驚かされたのは、漏刻の四更を告げる鐘の声が止んだ、窓の外には春を告げる暁の鶯が啼き、空には名残の二十日月がある。
あのひとは、優しいけれど好きになる気持ちが多い、そして、何処の女の所にいるかはわからない、春も盛りに花びらが散り始め、柳絮が飛び交い、そして清明節が来てしまった。
貴公子の遊び人は、「別れることを簡単にできると考えているし、一度去ってしまえば、音信は完全に断たれてしまうというものだ」と思っていたとおりであった。
(訳注)
漁歌子
(「買斷」を受けていた妓女は歳をとって来ると誰とも接触がなくなる、今年も、春が来て、約束の清明節にも帰ってこなかったと貴公子の多情に諦めてしまったことを詠う。)
花間集には、教坊曲『漁歌子』は八首、魏承班の詩は一首のみ所収されている。双調五十字、前後二十五字六句四仄韻、3❸❼3❸❻/3❸❼3❸❻の詞形をとる。若いころの放蕩を改め、風流、興を感じる隠士の生活を詠うものを基本とする。
柳如眉 雲似髮 蛟綃霧縠籠香雪
夢魂驚 鐘漏歇 䆫外曉鶯殘月
幾多情 無處說 落花飛絮清明節
少年郎 容易別 一去音書斷絕
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柳如眉,雲似髮。蛟綃霧縠籠香雪。
巫女は柳の葉を眉にしたようである、流行の雲のような髪型をして、蛟の絹の上かけ着、霧の様な穀織の薄い着物、香炉には燃えカスが雪のようにいっぱいになっている。
縠 からみ織りの一種。粟粒のような点で文様を表す。薄くて透けた夏用の布。こめ。宋玉《神女賦》 宜高殿以廣意兮,翼放縱而綽寬。動霧縠以徐步兮、拂墀聲之珊珊。
夢魂驚,鐘漏歇,䆫外曉鶯殘月。
うとうとした夢の中で思いを遂げていたのを驚かされたのは、漏刻の四更を告げる鐘の声が止んだ、窓の外には春を告げる暁の鶯が啼き、空には名残の二十日月がある。
歇 (1) 休息する歇一会儿ひと息入れる.(2) 停止する,中止する.(3) 《方》寝る,眠る.《方》短い時間,しばらくの間一歇ごく短い時間.歇班 xiē▽bān[動](~儿)仕事が休みになる,非番になる.
幾多情,無處說,落花飛絮清明節。
あのひとは、優しいけれど好きになる気持ちが多い、そして、何処の女の所にいるかはわからない、春も盛りに花びらが散り始め、柳絮が飛び交い、そして清明節が来てしまった。
清明節 清明節は農暦(旧暦)の24節気の一つ。春風が吹き、暖かくなると、空気は新鮮で爽やかになり、天地は明るく、清らかになる。このため「清明」と呼ばれる。しかし、この時節は、雨が次第に多くなる。親に仕える道を重視する中国人は、「生者に仕える如く死者にも仕える」という考え方から出発し、墓を先祖が地下に住んでいる場所と見なし、雨季が到来する前の清明の季節にはまず、風雨に一年間さらされてきた墓を修復、整理し、草を刈り、土を盛らなければならない。そして供物を並べて礼拝し、先祖にご加護と平安を祈るのだ。
妓女からすれば、清明節の時には、故郷の墓を祀るために、あの人はいるものだということをいい。この日は自分の所に来てくれるということをあらわしている。
少年郎,容易別,一去音書斷絕。
貴公子の遊び人は、「別れることを簡単にできると考えているし、一度去ってしまえば、音信は完全に断たれてしまうというものだ」と思っていたとおりであった。
少年郎 貴公子の遊び人。
漁歌子二首其二
花間集には、教坊曲『漁歌子』は八首所収されている。双調五十字、前後二十五字六句四仄韻、3❸❼3❸❻/3❸❼3❸❻の詞形をとる。若いころの放蕩を改め、風流、興を感じる隠士の生活を詠うものを基本とする。
孫光憲《漁歌子二首》
漁歌子二首其一
(劉郎のように家に帰らなくなった男が、漁師の歌う舟歌を聞きながら、次の港の女のもとにむかう)
草芊芊,波漾漾,湖邊艸色連波漲。
沿蓼岸,泊楓汀,天際玉輪初上。
扣舷歌,聯極望,槳聲伊軋知何向。
黃鵲叫,白鷗眠,誰似儂家疏曠。
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柳如眉 雲似髮 蛟綃霧縠籠香雪
夢魂驚 鐘漏歇 䆫外曉鶯殘月
幾多情 無處說 落花飛絮清明節
少年郎 容易別 一去音書斷絕
漁歌子二首其二
(船の旅情を詠うもので、江南の多くの湖をつなぐ運河を抜けて太湖・湖州、松江を抜けて我が家に帰る旅である。)
泛流螢,明又滅,夜涼水冷東灣闊。
風浩浩,笛寥寥,萬頃金波澄澈。
杜若洲,香郁烈,一聲宿鴈霜時節。
經霅水,過松江,盡屬濃家日月。
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泛流螢 明又滅 夜涼水冷東灣闊
風浩浩 笛寥寥 萬頃金波澄澈
杜若洲 香郁烈 一聲宿鴈霜時節
經霅水 過松江 盡屬濃家日月


































