閻選 河傳 一首
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。 秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
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《花間集》424巻九27 |
河傳 一首 |
全詩訳注解説-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7409 |
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(改訂版Ver.2.1) |
14 閻選 |
後蜀の詞人 |
932年前後に在世 |
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ID 巻 作品名 作者
■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首
1 九巻 虞美人二首,其一 閻選
2 九巻 虞美人二首,其二 閻選
3 九巻 臨江仙二首,其一 閻選
4 九巻 臨江仙二首,其二 閻選
5 九巻 浣溪紗一首, 閻選
6 九巻 八拍蠻二首,其一 閻選
7 九巻 八拍蠻二首,其二 閻選
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花間集 河傳 十八首 |
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溫庭筠 |
《巻二09河傳三首其一》江畔,相喚。曉妝仙,仙景箇女採蓮。請君莫向那岸邊,少年,好花新滿舡。紅袖搖曳逐風暖,垂玉腕,腸向柳絲斷。浦南歸,浦北歸,莫知,晚來人已稀。 |
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溫庭筠 |
《巻二10河傳三首其二》湖上,閑望。雨蕭蕭,煙浦花橋路遙。謝娘翠娥愁不消,終朝,夢魂迷晚潮。蕩子天涯歸棹遠,春已晚,鶯語空腸斷。若耶溪,溪水西,柳堤,不聞郎馬嘶。 |
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溫庭筠 |
《巻二11河傳三首其三》同伴,相喚。杏花稀,夢裡每愁依違。仙客一去鷰已飛,不歸,淚痕空滿衣。天際雲鳥引晴遠,春已晚,煙靄渡南苑。雪梅香,柳帶長,小娘,轉令人意傷。 |
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韋莊 |
《巻三05河傳三首其一》何處,煙雨,隋堤春暮。柳色葱蘢,畫橈金縷,翠旗高颭香風,水光融。青娥殿腳春粧媚,輕雲裡,綽約司花妓。江都宮闕,清淮月映迷樓,古今愁。 |
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韋莊 |
《巻三06河傳三首其二》春晚,風暖,錦城花滿。狂殺遊人,玉鞭金勒,尋勝馳驟輕塵,惜良晨。翠娥爭勸臨邛酒,纖纖手,拂面垂絲柳。歸時煙裏,鐘皷正是黃昏,暗銷魂。 |
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韋莊 |
《巻三07河傳三首其三》錦浦,春女,繡衣金縷。霧薄雲輕,花深柳暗,時節正是清明,雨初晴。玉鞭魂斷煙霞路,鶯鶯語,一望巫山雨。香塵隱映,遙見翠檻紅樓,黛眉愁。 |
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張泌 |
《巻四40河傳二首其一》渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。夕陽芳艸,千里萬里,鴈聲無限起。夢魂悄斷煙波裡,心如醉。相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。 |
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張泌 |
《巻四41河傳二首其二》紅杏,交枝相映,密密濛濛。一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。 |
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顧夐 |
《巻六40河傳三首其一》鷰颺,晴景。小䆫屏暖,鴛鴦交頸。菱花掩卻翠鬟欹,慵整。海棠簾外影。繡幃香斷金鸂鶒,無消息,心事空相憶。東風,春正濃。愁紅,淚痕衣上重。 |
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顧夐 |
《巻六41河傳三首其二》曲檻,春晚。碧流紋細,綠楊絲軟,露花,鮮杏,枝繁鶯囀,野蕪似剪。直是人間到天上,堪遊賞,醉眼疑屏障,對池塘,惜韶光,斷腸為花須盡狂。 |
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顧夐 |
《巻六42河傳三首其三》棹舉,舟去,波光渺渺,不知何處,岸花汀草共依依,雨微,鷓鴣相逐飛。天涯離恨江聲咽,啼猿切,此意向誰說。倚蘭橈,無憀。魂消,小爐香欲焦。 |
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孫光憲 |
《巻七47河傳四首其一》太平天子,等閑遊戲,疏河千里。柳如絲,隈倚淥波春水,長淮風不起。如花殿腳三千女,爭雲雨,何處留人住?錦帆風,煙際紅,燒空,魂迷大業中。 |
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孫光憲 |
《巻七48河傳四首其二》柳拖金縷,着煙籠霧,濛濛落絮。鳳皇舟上楚女,妙舞,雷喧波上皷。龍爭虎戰分中土,人無主,桃葉江南渡。襞花牋,豔思牽。成篇,官娥相與傳。 |
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孫光憲 |
《巻七49河傳四首其三》花落,煙薄,謝家池閣。寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。沾襟,無人知此心。玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。 |
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孫光憲 |
《巻七50河傳四首其四》風颭,波斂。團荷閃閃,珠傾露點。木蘭舟上,何處吳娃越豔,藕花紅照臉。大堤狂殺襄陽客,煙波隔,渺渺湖光白。身已歸,心不歸。斜暉,遠汀鸂鶒飛。 |
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閻選 |
《巻九27河傳 一首》 秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。 |
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李珣 |
《巻十49河傳二首其一》 去去,何處?迢迢巴楚,山水相連。朝雲暮雨,依舊十二峯前,猿聲到客舡。愁腸豈異丁香結?因離別,故國音書絕。想佳人花下,對明月春風,恨應同。 |
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李珣 |
《巻十50河傳二首其二》 春暮,微雨。送君南浦,愁斂雙蛾。落花深處,啼鳥似逐離歌,粉檀珠淚和。臨流更把同心結,情哽咽,後會何時節?不堪迴首,相望已隔汀洲,艣聲幽。 |
河傳 一首
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
(河傳)
秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。
燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖姬,悲に勝えず。
西風 稍や急に 䆫竹喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。
幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。
『河傳 一首』 現代語訳と訳註
(本文)
秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
(下し文)
(河傳)
秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。
燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖姬,悲に勝えず。
西風 稍や急に 䆫竹喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。
幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。
(現代語訳)
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
(訳注)
河傳 一首
(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)
60【解説】雁が飛び帰る頃、秋雨の降ると船は航行されず、本当は浮気心の男なのに、雨や、風で帰れないと雨や風をを恨むことでまぎらわせる女性の心情を詠う。末尾、男は「雁が帰る頃旨分も戻って来る」と約束をしたが、何年も約束を破り、今年も雁は渡って来たが、あの人はまたも帰って来なかったと恨みを述べる。昼夜を分かたず降り続く雨、窓辺で風にざわめく竹は胸中の不安を示すと同時に、船が航行されないから帰ってこないと気持ちを雨と風に恨む気持ちを紛らわせる。でも帰ってきて肥満体の男は暑がりだから、簟のシーツを片付けることが出来ない女の思いやりをうたっている。
この時代に、若くして、愛妾とされ、身請けされ、買斷されるというのは女妓たちの憧れである。その憧れは同時に閨で、一人で過ごすということも意味している。李白の「江夏行」「長干行」などとこの詩は、シチュエーションが似ているということでより参考にすると味わいが深まる。
なおも夏用の竹筵を使っているのは、女が愁いと悲しみとのために何もする気になれず、竹筵をしまうのも面倒なためであるとする解説書もあるが、それでは意味が浅すぎる。
『花問集』には閣選の作が一首収められている。双調五十三字、前段二十四字七句二仄韻四平韻、後段二十九字六句三仄韻四平韻で、❷❷4④⑦②③/❼❸❺⑦②②③の詞形をとる。
秋雨 秋雨 無晝無夜 滴滴霏霏
暗燈涼簟怨分離 妖姬 不勝悲
西風稍急喧䆫竹 停又續 膩臉懸雙玉
幾迴邀約鴈來時 違期 鴈歸 人不歸
○● ○● ○●○● ●●○○
●○△●△△△
○○ △△○
○△●●○?● ○●● ●△○○●
△△○●●△○
○○ ●○
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秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。
秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。
61 秋雨,秋雨 雨の日には船の航行が出来ないので、雨を恨む様子をいう。
62 霏霏 雨や雪の激しく降るさま。この四句は約束の時期に降る、秋の長雨を恨んでいる。
暗燈涼簟怨分離,妖姬,不勝悲。
今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。
63 涼簟 冷たい竹筵の高級ベッドシーツ。筆は竹皮で編んだ夏用の敷物。既に雁渡る秋に入っているので涼簟と言う。ベッドの情交の際、汗でぼと着くことが無い。閨で待ち続ける女の侘しさをイメージさせる。簟は高級なので男は富貴の者であることを意味する。
64 分離 ここでは男が別の女のもとに行っていることをイメージさせる、別れ別れになっていること。
65 妖姫 魅惑的な美女。女の良さをいうことは、男はそれに飽きたということを感じさせる。この三句は、男を待つ閨の様子と待つことに堪えなければいけないことをいう。
西風稍急喧䆫竹,停又續,膩臉懸雙玉。
秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。
66 西風 西風が吹けば長江を遡上できなくて航行不能になる。
67 雙玉 二筋の真珠の涙がおちる双玉は双真珠の様な珠の涙がほほをつたう涙の玉。
幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。
幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。
68 幾迴 何年も経過したこと。


































