尹顎 菩薩蠻
隴雲暗合秋天白,俯䆫獨坐窺煙陌。樓際角重吹,黃昬方醉歸。
荒唐難共語,明日還應去。上馬出門時,金鞭莫與伊。
(女性のもとに、西域から朝廷に命を受けて帰り、次の朝には又帰っていく、宮中の后妃であろう女性を詠う。)
隴山にかかる雲が広がると暗く厚く重い雲が秋晴れの白く高い空に蔽い始める、下窓の前に一人座って大通りからの塵埃の砂煙をうかがう。西域からあの人が帰って来る。高楼の端っこの向うから角笛が吹かれ響き渡る、夕暮れ時から帰国の宴があり、酔っ払って帰って来る。帰って来れば、とりとめのないこと二人で話したが通じ合わなかったようだ、それでも明日にはまたあの地へ帰っていくのだ。馬に跨り西の門から出て行こうとした時、寂しさよくないことと、ここにかのひとのぬくもりを遺すこととをして、西域を平定するため「金鞭」を振るって出発してゆく。
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《花間集》434巻九33 |
菩 薩 蠻 |
全詩訳注解説-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7439 |
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(改訂版Ver.2.1) |
16尹顎 |
前蜀の詞人 |
920年前後に在世 |
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菩薩蠻
(女性のもとに、西域から朝廷に命を受けて帰り、次の朝には又帰っていく、宮中の后妃であろう女性を詠う。)
隴雲暗合秋天白,俯䆫獨坐窺煙陌。
隴山にかかる雲が広がると暗く厚く重い雲が秋晴れの白く高い空に蔽い始める、下窓の前に一人座って大通りからの塵埃の砂煙をうかがう。西域からあの人が帰って来る。
樓際角重吹,黃昬方醉歸。
高楼の端っこの向うから角笛が吹かれ響き渡る、夕暮れ時から帰国の宴があり、酔っ払って帰って来る。
荒唐難共語,明日還應去。
帰って来れば、とりとめのないこと二人で話したが通じ合わなかったようだ、それでも明日にはまたあの地へ帰っていくのだ。
上馬出門時,金鞭莫與伊。
馬に跨り西の門から出て行こうとした時、寂しさよくないことと、ここにかのひとのぬくもりを遺すこととをして、西域を平定するため「金鞭」を振るって出発してゆく。
(菩薩蠻)
隴雲 暗く 秋天の白に合し,俯して䆫 獨り坐り煙陌を窺う。
樓の際 角吹くを重ね,黃昬 方に醉い歸る。
荒唐にして 共に語り難し,明日には 還た應に去らん。
上馬し 門を出づるの時,金鞭は 莫と伊とをす。
『菩薩蠻』 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻
隴雲暗合秋天白,俯䆫獨坐窺煙陌。
樓際角重吹,黃昬方醉歸。
荒唐難共語,明日還應去。
上馬出門時,金鞭莫與伊。
(下し文)
(菩薩蠻)
隴雲 暗く 秋天の白に合し,俯して䆫 獨り坐り煙陌を窺う。
樓の際 角吹くを重ね,黃昬 方に醉い歸る。
荒唐にして 共に語り難し,明日には 還た應に去らん。
上馬し 門を出づるの時,金鞭は 莫と伊とをす。
(現代語訳)
(女性のもとに、西域から朝廷に命を受けて帰り、次の朝には又帰っていく、宮中の后妃であろう女性を詠う。)
隴山にかかる雲が広がると暗く厚く重い雲が秋晴れの白く高い空に蔽い始める、下窓の前に一人座って大通りからの塵埃の砂煙をうかがう。西域からあの人が帰って来る。
高楼の端っこの向うから角笛が吹かれ響き渡る、夕暮れ時から帰国の宴があり、酔っ払って帰って来る。
帰って来れば、とりとめのないこと二人で話したが通じ合わなかったようだ、それでも明日にはまたあの地へ帰っていくのだ。
馬に跨り西の門から出て行こうとした時、寂しさよくないことと、ここにかのひとのぬくもりを遺すこととをして、西域を平定するため「金鞭」を振るって出発してゆく。
(訳注)
菩薩蠻
(女性のもとに、西域から朝廷に命を受けて帰り、次の朝には又帰っていく、宮中の后妃であろう女性を詠う。)
宮中にはいわゆる「内職」という制度があった。『礼記』「昏義」 に、「古、天子は、后に六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻を立て、以て天下の内治を聴く」とある。唐初の武徳年間(618-626)に、唐は隋の制度を参照して完壁で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人、美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。
また、皇太子の東宮にも「内官」があり、太子妃一人、その下に良娣、良媛、承徽、昭訓、奉儀などの品級があった。諸親王の王妃の下にも孺人【じゅじん】等の媵妾【ようしょう】の身分があった。
『花問集』 には孫光憲の作が五首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/➎➎➄➄の詞形をとる。
隴雲暗合秋天白 俯䆫獨坐窺煙陌
樓際角重吹
黃昬方醉歸
荒唐難共語 明日還應去
上馬出門時
金鞭莫與伊
●○●●○○●
●?●●○○●
○●●△△
○?○●○
△○△△●
○●○△●
●●●○○
○○●△○
隴雲暗合秋天白,俯䆫獨坐窺煙陌。
隴山にかかる雲が広がると暗く厚く重い雲が秋晴れの白く高い空に蔽い始める、下窓の前に一人座って大通りからの塵埃の砂煙をうかがう。西域からあの人が帰って来る。
○隴雲 西への道は天に続く、天日への道であること。そこに続く道は杜甫の「兵車行」に述べられており、隴西から過酷な峠を抜ける様子も「前出塞九首」「後出塞五首」に述べられており、隴山に懸かる雲はそのすべてを見ている。兵車行 杜甫
酒泉子三首其一
空磧無邊,萬里陽關道路。
馬蕭蕭,人去去,隴雲愁。
香貂舊制戎衣窄,胡霜千里白。
綺羅心,魂夢隔,上高樓。
(酒泉子三首 其の一)
空磧 辺 無く、万里のさき陽関の道路あり。
馬は蕭蕭とし、人は去り去りて、隴雲は愁う。
香貂【こうちょう】 旧製にして戎衣窄【きつ】し、胡霜 千里さきに白し。
綺羅 心し、魂夢は隔つ、高楼に上らん。
14-370《酒泉子三首其一》孫光憲(30)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-553-14-(370) 花間集 巻第八 (四十八首)漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4312
樓際角重吹,黃昬方醉歸。
高楼の端っこの向うから角笛が吹かれ響き渡る、夕暮れ時から帰国の宴があり、酔っ払って帰って来る。
荒唐難共語,明日還應去。
帰って来れば、とりとめのないこと二人で話したが通じ合わなかったようだ、それでも明日にはまたあの地へ帰っていくのだ。
○荒唐 「荒」も「唐」も大きく、広い意。言うことに根拠がなく、とりとめのないこと。また、そのさま。
上馬出門時,金鞭莫與伊。
馬に跨り西の門から出て行こうとした時、寂しさよくないことと、ここにかのひとのぬくもりを遺すこととをして、西域を平定するため「金鞭」を振るって出発してゆく。
○金鞭 きんべん 聞仲の宝貝。二本の蛟竜が化したという双鞭。普通に鞭として使っても強力だが、空中に投げあげて放つと相手を落馬させるほどのダメージを与える。西岐遠征時に使用し、那咤を初め姜子牙、金咤、木咤らを次々に打ち据えた。三日後の戦いで姜子牙の打神鞭に壊されるが、なぜかその後の戦いでも使用されている。
○莫與伊 莫:よくないこと。さみしいこと。伊:このこと。これ。かれ。
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