孫光憲 菩薩蠻 其四
青巖碧洞經朝雨,隔花相喚南溪去。一隻木蘭舡,波平遠浸天。
扣舡驚翡翠,嫩玉擡香臂。紅日欲沉西,煙中遙解觽。
(成都から乗り合わせの舟に乗って長江を下る。重慶に立ち寄るまでの舟の中から見えた南渓の景色と美人に見とれた様子を詠う。)
舟が急流に差し掛かると苔が張り付いた大きな岩があり、今度は木々の被われた洞窟を過ぎる。巫女の化身の朝から降っていた雨が止んだ。川岸には花が離れ合って互いの綺麗さを競っている。峨嵋山を過ぎて長江の流れは進み、南渓を通過していく。一槽の木蘭の中型船は進んでゆく、川幅は広がり、波は穏やかに平坦な流れに変わると流れの先、遠くの先の方では天にしみ込んでいくようだ。船端をたたいて詠い始めると翡翠鳥は驚いて翅をばたつかせると、舟の上の美しく若い妓女は香りの良い肩と腕を少し高くするように動かして翡翠のまねをして可愛いい振りをする夕日は紅く西の山影に沈んでゆき、夕靄に煙る中を遙か先に向い謎解きのように探りながら船は進んでゆく。
12孫光憲《巻八04菩薩蠻五首其四 青巖》『花間集』356全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7052
菩薩蠻 五首其一
(妃嬪も年を重ねてきて以前の若さがなくなってきて、それでも希望をもって夜を過ごす女を詠う)
月華如水籠香砌,金環碎撼門初閉。
仲秋の明月は明るく庭を照らすけれど、水に映るのと違って地面にかくれている、庭に出ると石砌のとこまでは閨のお香が漂ってくる。風が吹く度、門がゆれ、錠の音が響くので、開いていた門扉をはじめて閉じる。
寒影墮高簷,鉤垂一面簾。
秋の夜が更け、高き庇の影が寒々と地に落ちる。月の形の吊金具をはずしてすべての簾を垂らす。
碧煙輕裊裊,紅戰燈花笑。
閨で青い薫香が軽やかに、なよなよと立ち上がり、紅き炎が大きく揺れ、灯芯が爆けて嬉しいことと笑みをうかべる。
即此是高唐,掩屏秋夢長。
すなわち、これこそが、きっと「高唐賦」にいう化身をしたことだろう。寝牀のまわりにたてる屏風を用意し、秋の夜は長いから、秋の夜の夢はながくつづく。
(菩薩蠻 其の一)
月華 水の如く香砌【こうせい】を籠め,金環 碎け撼【ゆ】れて 門 初めて閉す。
影を寒くして 高簷【こうえん】に墮ち,鉤は 一面に簾を垂らす。
碧煙 輕やかに 裊裊【じょうじょう】とし,紅 戰うは 燈花 笑う。
即ち 此れは 是れ「高唐」なり,屏を掩うは 秋の夢も 長し。
菩薩蠻 其二
(寵愛を受け、夜を一緒に過ごしたけれど、暗いうちから、鶏や、鶯までも鳴きだして朝を知らせる。まだ名残の月が明るいというのに見送らねばならないと妃賓を詠う)
花冠頻皷牆頭翼,東方澹白連䆫色。
まだ暗いうちに雄鶏が土塀の上でしきりに羽ばたきをはじめた。するとまもなく、東側の窓が白みはじめて空が明け初めた。
門外早鶯聲,背樓殘月明。
門の外の高枝で、まだ夜が明けきっていない早い時間なのに鶯がなきだした、名残月は高殿の彼方高く、まだ明るくのこっている。
薄寒籠醉態,依舊鈆華在。
春といっても早朝はまだ寒く、酔いが残るからだを寒さが包む、少しでも長く仲睦まじくしていたいから、夜化粧はそのままにしている。
握手送人歸,半拖金縷衣。
あのお方がお帰りになるのを送るために手を握り交わし、金糸の縫い取りの衣を半ば肩にはおらせてあげる。
(菩薩蠻 其の二)
花冠 頻りに 牆頭 翼を鼓し、東方 澹白にして 窓色に連なる。
門外 早に鶯声すれど、楼を背に 残月 明きらかなり。
薄寒 酔態を寵め、旧に依り 鈆華 在り。
手を握り 人 帰るを送り、半ば金縷の衣を拖く。
菩薩蠻 其三
(寵愛を受けているときと同じように、春の盛りに散った花ビラを風流に楽しんでもらおうと、そうじもさせずにまっている。今は独りで春が過ぎようとしている)
小庭花落無人掃,疎香滿地東風老。
寝殿の中庭には咲き誇って花もみんな散り落ちているが、人に掃除はさせない。焚くお香は時折この中庭に漂い満ちていて春の風も終わって、夏の風に変わろうとしている。
春晚信沉沉,天涯何處尋。
春も終ろうとするのに暗い気持ちになってどうしようもない。このまま寵愛を失ったままでは、この後宮での生涯は何処いくやら、どうしたらいいのやら、だれに尋ねたらいいのか。
曉堂屏六扇,眉共湘山遠。
朝焼けの楼閣の閨には六曲の屏風と團扇を飾っていて、眉も瀟湘八景の絵の山々も遠く影を薄くする。
爭那別離心,近來尤不禁。
心の中で攻めたり、許したり、もうあきらめるかと落ち着かずにいる、でも別れる気持ちになることなどあろうか、又寵愛を近いうちにあるだろう、もうしばらくするとあるのかと考えてばかりこんな想いはいけないというのだろうか。
(菩薩蠻 其の三)
小庭 花落ち 人 掃く無し,疎香 滿地 東風 老ゆ。
春晚 信 沉沉,天涯 何處にか尋ねん。
曉堂 屏 六扇あり,眉 共に 湘山 遠し。
爭 那ぞ別離の心あらん,近來 尤も禁じえず。
菩薩蠻 其四
青巖碧洞經朝雨,隔花相喚南溪去。
一隻木蘭舡,波平遠浸天。
扣舡驚翡翠,嫩玉擡香臂。
紅日欲沉西,煙中遙解觽。
(成都から乗り合わせの舟に乗って長江を下る。重慶に立ち寄るまでの舟の中から見えた南渓の景色と美人に見とれた様子を詠う。)
舟が急流に差し掛かると苔が張り付いた大きな岩があり、今度は木々の被われた洞窟を過ぎる。巫女の化身の朝から降っていた雨が止んだ。川岸には花が離れ合って互いの綺麗さを競っている。峨嵋山を過ぎて長江の流れは進み、南渓を通過していく。
一槽の木蘭の中型船は進んでゆく、川幅は広がり、波は穏やかに平坦な流れに変わると流れの先、遠くの先の方では天にしみ込んでいくようだ。
船端をたたいて詠い始めると翡翠鳥は驚いて翅をばたつかせると、舟の上の美しく若い妓女は香りの良い肩と腕を少し高くするように動かして翡翠のまねをして可愛いい振りをする
夕日は紅く西の山影に沈んでゆき、夕靄に煙る中を遙か先に向い謎解きのように探りながら船は進んでゆく。
(菩薩蠻 其の四)
青巖 碧洞 朝雨を經り,隔花 相喚して南溪 去り。
一隻 木蘭の舡,波平らかにして 遠く天に浸む。
扣舡 翡翠驚き,嫩玉 香臂に擡す。
紅日 西に沉まんと欲し,煙中 遙か觽を解く。
菩薩蠻 其五
木綿花映叢祠小,越禽聲裏春光曉。
銅皷與蠻歌,南人祈賽多。
客帆風正急,茜袖隈牆立。
極浦幾迴頭,煙波無限愁。
『菩薩蠻 其四』 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻 其四
青巖碧洞經朝雨,隔花相喚南溪去。
一隻木蘭舡,波平遠浸天。
扣舡驚翡翠,嫩玉擡香臂。
紅日欲沉西,煙中遙解觽。
(下し文)
(菩薩蠻 其の四)
青巖 碧洞 朝雨を經り,隔花 相喚して南溪 去り。
一隻 木蘭の舡,波平らかにして 遠く天に浸む。
扣舡 翡翠驚き,嫩玉 香臂に擡す。
紅日 西に沉まんと欲し,煙中 遙か觽を解く。
(現代語訳)
(成都から乗り合わせの舟に乗って長江を下る。重慶に立ち寄るまでの舟の中から見えた南渓の景色と美人に見とれた様子を詠う。)
舟が急流に差し掛かると苔が張り付いた大きな岩があり、今度は木々の被われた洞窟を過ぎる。巫女の化身の朝から降っていた雨が止んだ。川岸には花が離れ合って互いの綺麗さを競っている。峨嵋山を過ぎて長江の流れは進み、南渓を通過していく。
一槽の木蘭の中型船は進んでゆく、川幅は広がり、波は穏やかに平坦な流れに変わると流れの先、遠くの先の方では天にしみ込んでいくようだ。
船端をたたいて詠い始めると翡翠鳥は驚いて翅をばたつかせると、舟の上の美しく若い妓女は香りの良い肩と腕を少し高くするように動かして翡翠のまねをして可愛いい振りをする
夕日は紅く西の山影に沈んでゆき、夕靄に煙る中を遙か先に向い謎解きのように探りながら船は進んでゆく。
(訳注)
菩薩蠻其四
(成都から乗り合わせの舟に乗って長江を下る。重慶に立ち寄るまでの舟の中から見えた南渓の景色と美人に見とれた様子を詠う。)
『花問集』 には孫光憲の作が五首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/➎➎➄➄の詞形をとる。
菩薩蠻 其一
月華如水籠香砌,金環碎撼門初閉。
寒影墮高簷,鉤垂一面簾。
碧煙輕裊裊,紅戰燈花笑。
即此是高唐,掩屏秋夢長。
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双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/➎➎➄➄の詞形をとる。
菩薩蠻 其二
花冠頻皷牆頭翼,東方澹白連䆫色。
門外早鶯聲,背樓殘月明。
薄寒籠醉態,依舊鈆華在。
握手送人歸,半拖金縷衣。
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双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/➎➎➄➄の詞形をとる。
菩薩蠻 其三
小庭花落無人掃,疎香滿地東風老。
春晚信沉沉,天涯何處尋。
曉堂屏六扇,眉共湘山遠。
爭那別離心,近來尤不禁。
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双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/➎➎➄➄の詞形をとる。
菩薩蠻 其四
青巖碧洞經朝雨,隔花相喚南溪去。
一隻木蘭舡,波平遠浸天。
扣舡驚翡翠,嫩玉擡香臂。
紅日欲沉西,煙中遙解觽。
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青巖碧洞經朝雨,隔花相喚南溪去。
舟が急流に差し掛かると苔が張り付いた大きな岩があり、今度は木々の被われた洞窟を過ぎる。朝から降っていた雨が止んだ。川岸には花が離れ合って互いの綺麗さを競っている。峨嵋山を過ぎて長江の流れは進み、南渓を通過していく。
25. 南溪 四川省西部地図 DE―1 成都から乗り合わせの舟に乗って長江を下る。重慶に立ち寄るまでの舟の中から見えた南渓の景色。
一隻木蘭舡,波平遠浸天。
一槽の木蘭の中型船は進んでゆく、川幅は広がり、波は穏やかに平坦な流れに変わると遠くの先の方では天にしみ込んでいくようだ。
26. 木蘭舡 木蘭の中型船。
扣舡驚翡翠,嫩玉擡香臂。
船端をたたいて詠い始めると翡翠鳥は驚いて翅をばたつかせると、舟の上の美しく若い妓女は香りの良い肩と腕を少し高くするように動かして翡翠のまねをして可愛いい振りをする
27. 扣舡 船端をたたいて船頭が舟歌を歌い始めること。王維輞川集二十首『欒家瀨』では水しぶきの音でシラサギが飛んでゆく、とある。
28. 嫩玉 美しく若い妓女。
29. 擡香臂 香りの良い肩と腕を少し高くするように動かして翡翠のまねをして可愛いい振りをする
紅日欲沉西,煙中遙解觽。
夕日は紅く西の山影に沈んでゆき、夕靄に煙る中を遙か先に向い謎解きのように探りながら船は進んでゆく。
30. 觽 くじり。つのぎり。紐の結び目を角でほどいたことから すなわち 掘り下げる。えくじり. 「探る 」の意味
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