寄飛卿 魚玄機
| 2013年3月14日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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寄飛卿 魚玄機 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-104-39-# 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2067
卷804_32 【寄飛卿】魚玄機
寄飛卿
階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。
庭へおりるきざはしからのたたきの先あたりで、こおろぎがやたらに鳴いている。庭木の枝のあたりには、夜霧がこめて、すがすがしい気配に包まれる。
月中鄰樂響,樓上遠山明。
そんな月の光があたる夜には、隣家の宴の音楽の音が聞こえてくるものだし、高楼からは、遠くの山が月光にくっきりと見えもの。
珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。
すっかり秋になり、立派な簟の寝ござだと涼しすぎるし、美しい玉のような琴だとをひいていますと、逆に良すぎて引きずらいことになってしまうもの。
嵇君懶書劄,底物慰秋情。
詩文と琴の演奏に秀でた嵇康は、詩を読んでも記録しようとはしなかったのですが。わたしはこうした下手な詩でも作って秋の夜のさびしさも、どんなにか慰めるのです。(お越しいただけないなら、せめて詩文でもいただけませんか。)
飛卿に寄す
階砌【かいぜい】蛩鳴【きょうめい】亂れ,庭柯【ていか】煙露【えんろ】清し。
月中 鄰樂【りんがく】響き,樓上 遠山 明かなり。
珍簟【ちんてん】涼風 著しく,瑤琴【ようきん】寄恨【きこん】生ず。
嵇君【けいくん】書劄に懶し,底物か 秋情を慰めん。

『寄飛卿』 現代語訳と訳註
(本文)
階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。
月中鄰樂響,樓上遠山明。
珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。
嵇君懶書劄,底物慰秋情。
(下し文)
飛卿に寄す
階砌【かいぜい】蛩鳴【きょうめい】亂れ,庭柯【ていか】煙露【えんろ】清し。
月中 鄰樂【りんがく】響き,樓上 遠山 明かなり。
珍簟【ちんてん】涼風 著しく,瑤琴【ようきん】寄恨【きこん】生ず。
嵇君【けいくん】書劄に懶し,底物か 秋情を慰めん。
(現代語訳)
庭へおりるきざはしからのたたきの先あたりで、こおろぎがやたらに鳴いている。庭木の枝のあたりには、夜霧がこめて、すがすがしい気配に包まれる。
そんな月の光があたる夜には、隣家の宴の音楽の音が聞こえてくるものだし、高楼からは、遠くの山が月光にくっきりと見えもの。
すっかり秋になり、立派な簟の寝ござだと涼しすぎるし、美しい玉のような琴だとをひいていますと、逆に良すぎて引きずらいことになってしまうもの。
詩文と琴の演奏に秀でた嵇康は、詩を読んでも記録しようとはしなかったのですが。わたしはこうした下手な詩でも作って秋の夜のさびしさも、どんなにか慰めるのです。(お越しいただけないなら、せめて詩文でもいただけませんか。)
(訳注)
寄飛卿
・飛卿 温飛脚、名は庭筋。もとの名は岐。岐は「旧唐書」に見える。森鴎外はその「魚玄機」にこの岐をとっている。魚玄機の詩才を見出した人。この詩は、都にいる魚玄機から地方に都落ちしている温庭筠に。寄せたもので、魚玄機が旅先から都落ちしている温庭筠に寄せるのは不自然で詩の内容からも、「大系15」のようにこじつけることには無理がある。この詩は長安で作られたものとしか考えられない。森鴎外も長安の作としているのが正しい。(それにしても集英社発行辛島驍著「漢詩大系15」の訳註はひどすぎる。)

階砌亂蛩鳴,庭柯煙露清。
庭へおりるきざはしからのたたきの先あたりで、こおろぎがやたらに鳴いているし、庭木の枝のあたりには、夜霧がこめて、すがすがしい気配に包まれる。
・階砌 階はきざはし。室内から庭へおりるところにある段。砌は石または煉瓦のきざはしの段をいうが、今のポーチ(タタキ)と思えばよい。
・亂蛩 亂蛩はこおろぎ。白居易『禁中聞蛩』詩「悄悄禁門閉,夜深無月明。西窗獨暗坐,滿耳新蛩聲。」(西窗独り闇坐すれば、満耳新蛩の声)がある。乱蟄は、やかましくしきりにあちこちで鳴くこおろぎ。
・庭柯 庭の木のえだ。
・煙露 煙は、水蒸気のもや。ここでは夕もや。
月中鄰樂響,樓上遠山明。
そんな月の光があたる夜には、隣家の宴の音楽の音が聞こえてくるものだし、高楼からは、遠くの山が月光にくっきりと見えもの。
珍簟涼風著,瑤琴寄恨生。
すっかり秋になり、立派な簟の寝ござだと涼しすぎるし、美しい玉のような琴だとをひいていますと、逆に良すぎて引きずらいことになってしまうもの。
・珍簟 竹または葦で編んだ敷き物。夏期ベッドの上に敷いて涼をとる場合と、ベッドなり長椅子が竹で張ってある場合とあるが、ここは前者。シーツに似た寝具で、竹を編んで作る。夏はその上に寝ると、涼しい。珍は立派なという意味。『酬李學士寄簟』「珍簟新鋪翡翠樓,泓澄玉水記方流。唯應雲扇情相似,同向銀牀恨早秋。」
・涼風(りょうふう)
・瑤琴(ようきん) 瑤は美しい玉。
・寄恨 琴が思い切って引けなもどかしさ。花街のものが男性に云う言葉。さびしい夜、お待ちしてますというほどの意味。
嵇君懶書劄,底物慰秋情。
詩文と琴の演奏に秀でた嵇康は、詩を読んでも記録しようとはしなかったのですが。わたしはこうした下手な詩でも作って秋の夜のさびしさも、どんなにか慰めるのです。(お越しいただけないなら、せめて詩文でもいただけませんか。)
・嵇君 温庭筠を晋の嵇康にたとえてよんだもの。嵆 康(けい こう、224年 - 262年あるいは263年)は、中国三国時代の魏の文人。竹林の七賢の一人で、その主導的な人物の一人。字は叔夜。非凡な才能と風采を持ち、日頃から妄りに人と交際しようとせず、山中を渉猟して仙薬を求めたり、鍛鉄をしたりするなどの行動を通して、老荘思想に没頭した。気心の知れた少数の人々と、清談と呼ばれる哲学論議を交わし名利を求めず、友人の山濤が自分の後任に、嵆康を吏部郎に推薦した時には、「与山巨源絶交書」(『文選』所収)を書いて彼との絶交を申し渡し、それまで通りの生活を送った。嵆康は「琴(きん)」を演奏する事を好み、ある時に謎の人物から「広陵散」と呼ばれる琴の曲を学び得意としていたが、誰にもそれを教えなかった。刑の直前にこの曲を演奏し「広陵散今に於いて絶ゆ」と言い残し処刑されたという[5]。「声無哀楽論」・「琴賦」を著すなど、音楽理論に精通していた。
・書劄 詩文を随時書き記したもの。
・秋情 秋のさびしい思い















