漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩 中唐詩人選集【Ⅰ李商隠-150】Ⅱ韓退之(韓愈)-500Ⅶ孟郊(東野)賈島張籍柳宗元韋応物

Ⅰ李商隠は難解詩といわれている。約150首紹介済。(晩唐詩人) Ⅱ韓退之(韓愈)-約500首Ⅶ孟郊、中唐の詩人を掲載中。万物の性(さが)をテーマにした哲学的な詩。このブログは基本的に中唐詩人を中心にして掲載する予定。 韓愈詩文のこれまでの掲載分とこれから掲載予定分を時系列で整理した2014.3.29のブログに集約してそこから各年次を見ることができる  kanbuniinkai 検索で、《漢文委員会HP05》サイトあります。漢詩唐詩を理解するための総合サイト:≪漢文委員会 漢詩07≫。

2012年08月

少し、マニアックな晩唐詩人Ⅰ-李商隠150首をまず掲載済み。中唐は盛唐詩人(孟浩然・王維、杜甫、李白)を受け継いだ多様な詩人が出ている。この時代も驚くほど詩が発展している。Ⅱ韓退之(韓愈)500首、Ⅲ柳宗元40首、Ⅳ韋応物、Ⅴ劉長卿、Ⅵ韋荘、Ⅶ孟郊(孟東野)、Ⅷ張籍、Ⅸ賈島、Ⅹ劉禹錫、ほか2012~2020年の予定で気長に進める。同じ中唐ではあるが、白居易のグループについては、李白のブログ350首(2015/6月再開~2018/夏・秋月予定)の後掲載の予定。別に杜甫詩ブログ1500首(2011/7月~2018/8月の予定で)を進行中。詩数につぃては、予定の詩数より多くなる。気まぐれなところがあるのでこの予定が少し変わる場合があり、その節はご容赦ください。                 古詩・謝霊運詩 杜甫詩 韓愈詩 花間集500首全詩 それぞれ毎日ブログしています。 このブログ、索引=語句の「検索」 参考書以上掲載。漢詩力up。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#26>Ⅱ中唐詩422 紀頌之の漢詩ブログ1345

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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

城南聯句 韓退之(韓愈)詩64首-#25>#1~#31(全31回)
第七部(#25~#28)

#25
孟郊) 玄祗祉兆姓,
韓愈) 黑秬饛豐盛。慶流蠲瘥癘,
孟郊) 威暢捐蹱輣。靈燔望高冏,
韓愈) 龍駕聞敲轑。是惟禮之盛,
孟郊) 永用表其宏。德孕厚生植,
韓愈) 恩熙完刖剠。
#25  *上記聯句を韻により変更して読む
玄祗祉兆姓,黑秬饛豐盛。
天の神、地の神は万民を幸福にするものであり、冬の黒木美を大皿に盛り上げて準備する。
慶流蠲瘥癘,威暢捐蹱輣。
幸せを慶びをまねき、流行病をとりのぞくと、権威、威勢はのびひろがり、戦車で敵陣を突き破ることになる。
靈燔望高冏,龍駕聞敲轑。
霊前でたく護摩壇は崇高で無の境地に臨むことであり、そうして修業すれば天子乗用の馬車のきしみひびかせてお迎えが来るのである。
是惟禮之盛,永用表其宏。
これもそれも祭礼のものとして各盛りつけておくのだ、そうすれば、幾久しく天子に上表しその宏壮など陵で用いられる。
德孕厚生植,恩熙完刖剠。

恩徳はみちあふれ動物植物の生育を増大させる。そして、恩に報いることは軍法に定める中程度の罪に対する刑罰の足の腱を切ったり、顔に入れ墨をする罰などから命を全うすることを広めることになるのだ。
玄祗【げんぎ】兆姓【ちょうせい】に祉【し】し,黑秬【こくきょ】豐盛【ほうせい】に饛【み】つ。
慶【けい】流【つた】いて蠲瘥癘【されい】を【のぞ】き,威【い】暢【の】びて蹱輣【しょうほう】を捐【す】つ。
靈燔【れいはん】高冏【こうけい】を望み,龍駕【りょうが】敲轑【こうろう】を聞く。
是れ惟れ禮之盛んなる,永く用いて其の宏を表わす。
德【とく】孕【み】ちて生植【せいしょく】を厚【あつくし】,恩 熙【ひろ】まりて刖剠【げいげつ】を完【まっと】うす。
#26
韓愈) 宅土盡華族,
孟郊) 運田間強甿,蔭庾森嶺檜。
韓愈) 啄場翙祥鵬,畦肥翦韭薤。
孟郊) 陶固收盆罌,利養積余健,
韓愈) 掘雲破嵽嵲,孝思事嚴祊。
孟郊) 采月漉坳泓。
#26  *上記聯句を韻により変更して読む
宅土盡華族,運田間強甿。
城郭の宅地には豪族のやしきがことごとく建ち並び、田畑を経営するのは、富強の民の間においてである。
蔭庾森嶺檜,啄場翽祥鵬。
米蔵は檜の木々が峰を為すように覆っていて、はたけで鳥が穀をついばみ、めでたい南方の神鳥がはばたいているのだ。
畦肥翦韭薤,陶固收盆罌,
畦の作物は肥えていてニラやラッキョウを摘みとる、陶器の窯で大皿や甕が固くやきあがっている。
利養積余健,孝思事嚴祊。
安らかに養なって健康な上に更に健康になる。恩に報い孝行し、体のことをおもんばかり、事に仕え、先祖を祭るのである。
掘雲破嵽嵲,采月漉坳泓。
雲がかかる高い所まで掘りくずし、山の高い所を平らにする。月を採って池と深くくぼんだ水たまりの水を漉して澄ますのである。

宅土【たくど】盡【ことごと】く華族,運田【うんでん】強甿【きょうぼう】を間【まじ】う。
庾【ゆ】蔭して嶺檜【れいかい】森たり,場に啄【ついば】みて祥鵬【しょうめい】翽【はばた】く。
畦肥えて韭薤【きゅうかい】を翦【き】り,陶【とう】固くして盆罌【ぼんおう】を收む,
利養【りよう】余健【よけん】を積み,孝思【こうし】嚴祊【げんぼう】を事す。
雲を掘りて嵽嵲【てつげつ】を破り,月を采りて坳泓【おうおう】を漉【こ】す。


#27
孟郊) 寺砌上明鏡,
韓愈) 僧盂敲曉鉦。泥像對騁怪。
孟郊) 鐵鐘孤舂锽,癭頸鬧鳩鴿。
韓愈) 蜿垣亂蛷蠑,葚黑老蠶蠋。
孟郊) 麥黃韻鸝鹒,韶曙遲勝賞。
韓愈) 賢朋戒先庚,
#28
韓愈) 馳門填偪仄。
孟郊) 競墅輾砯砰,碎纈紅滿杏。
韓愈) 稠凝碧浮餳,蹙繩覲娥婺。
孟郊) 鬥草擷璣珵,粉汗澤廣額。
韓愈) 金星墮連瓔。鼻偷困淑郁,
孟郊) 眼剽強盯黽。


現代語訳と訳註
(本文) #26
韓愈) 宅土盡華族,
孟郊) 運田間強甿。蔭庾森嶺檜,
韓愈) 啄場翽祥鵬。畦肥翦韭薤,
孟郊) 陶固收盆罌。利養積余健,
韓愈) 孝思事嚴祊。掘雲破嵽嵲,
孟郊) 采月漉坳泓。
#26  *上記聯句を韻により変更して読む
宅土盡華族,運田間強甿。
蔭庾森嶺檜,啄場翽祥鵬。
畦肥翦韭薤,陶固收盆罌,
利養積余健,孝思事嚴祊。
掘雲破嵽嵲,采月漉坳泓。


(下し文) #26
宅土【たくど】盡【ことごと】く華族,運田【うんでん】強甿【きょうぼう】を間【まじ】う。
庾【ゆ】蔭して嶺檜【れいかい】森たり,場に啄【ついば】みて祥鵬【しょうめい】翽【はばた】く。
畦肥えて韭薤【きゅうかい】を翦【き】り,陶【とう】固くして盆罌【ぼんおう】を收む,
利養【りよう】余健【よけん】を積み,孝思【こうし】嚴祊【げんぼう】を事す。
雲を掘りて嵽嵲【てつげつ】を破り,月を采りて坳泓【おうおう】を漉【こ】す。


(現代語訳)
城郭の宅地には豪族のやしきがことごとく建ち並び、田畑を経営するのは、富強の民の間においてである。
米蔵は檜の木々が峰を為すように覆っていて、はたけで鳥が穀をついばみ、めでたい南方の神鳥がはばたいているのだ。
畦の作物は肥えていてニラやラッキョウを摘みとる、陶器の窯で大皿や甕が固くやきあがっている。
安らかに養なって健康な上に更に健康になる。恩に報い孝行し、体のことをおもんばかり、事に仕え、先祖を祭るのである。
雲がかかる高い所まで掘りくずし、山の高い所を平らにする。月を採って池と深くくぼんだ水たまりの水を漉して澄ますのである。

 
(訳注) #26
宅土盡華族,運田間強甿。
城郭の宅地には豪族のやしきがことごとく建ち並び、田畑を経営するのは、富強の民の間においてである。
華族 立派な家柄。・強甿 富強の民。


蔭庾森嶺檜。啄場翽祥鵬。
米蔵は檜の木々が峰を為すように覆っていて、はたけで鳥が穀をついばみ、めでたい南方の神鳥がはばたいているのだ。
 おおいかぶさり陰になる。・ こめぐら。・ はばたく。・ はたけ・祥鵬 めでたい南方の神鳥。


畦肥翦韭薤,陶固收盆罌。
畦の作物は肥えていてニラやラッキョウを摘みとる、陶器の窯で大皿や甕が固くやきあがっている。
 陶がま。・盆罌 盆とかめ。


利養積余健,孝思事嚴祊。
安らかに養なって健康な上に更に健康になる。恩に報い孝行し、体のことをおもんばかり、事に仕え、先祖を祭るのである。
利養 保養。・積余健 健康な上に更に健康になる。・嚴祊 先祖を祭ること。


掘雲破嵽嵲,采月漉坳泓。
雲がかかる高い所まで掘りくずし、山の高い所を平らにする。月を採って池と深くくぼんだ水たまりの水を漉して澄ますのである。
 雲のたなびく高処。・嵽嵲 山の高いさま。・坳泓 深くくぼんだ水たまり。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#24>Ⅱ中唐詩420 紀頌之の漢詩ブログ1339

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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
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城南聯句 韓退之(韓愈)詩64首-#24>#1~#31(全31回)
第六部(#21~#24)
#21
孟郊) 飛膳自北下,
韓愈) 函珍極東烹。如瓜煮大卵,
孟郊) 比線茹芳菁。海嶽錯口腹,
韓愈) 趙燕錫媌娙。一笑釋仇恨,
孟郊) 百金交弟兄。貨至貊戎幣,
韓愈) 呼傳鸚鵒令。
#21  *上記聯句を韻により変更して読む
飛膳自北下,函珍極東烹。
空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。
飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。


#22
韓愈) 順居無鬼瞰,
孟郊) 抑橫免官評。殺候肆淩翦,
韓愈) 籠原巿罝紭。羽空顛雉鷃,
孟郊) 血路進狐麖。折足去踸踔,
韓愈) 蹙鬐怒髽鬤。躍犬疾翥鳥,
孟郊) 呀鷹甚饑虻。
#22  *上記聯句を韻により変更して読む
順居無鬼瞰,抑橫免官評。
普段はおだやかな生活をしていて、もののけなどがとりつくということはなく、横暴なしわざを抑制することを官吏・役人は咎めずにいる。
殺候肆淩翦,籠原巿罝紭。
狩の季節になれば狩猟の腕をふるいまくるし、野原いっぱいをしかけの網をはりめぐらすのだ。
羽空顛雉鷃,血路進狐麖。
空をとぶウヅラやキジを撃ち落とす、陸道に血が滴り、おどり、キツネと鹿が走り抜ける。
折足去踸踔,蹙鬐怒髽鬤。
足が折れてのがれ、よろめきながらにげようとする。鬣のように逆毛たて吼えるものもあるのだ。
躍犬疾翥鳥,呀鷹甚饑虻。

犬跳ね回り、とぶ鳥よりはやくはしりさる、鷹がさけんでいるかと思えば飢えた虻がはなはだしくいるのだ。
#23
孟郊) 算蹄記功賞,
韓愈) 裂腦擒摚掁。猛斃牛馬樂,
孟郊) 妖殘梟鵅煢。窟窮尚嗔視,
韓愈) 箭出方驚抨。連箱載已實,
孟郊) 礙轍棄仍贏。喘覷鋒刃點,
韓愈) 困沖株枿盲。
#23  *上記聯句を韻により変更して読む
算蹄記功賞,裂腦擒摚掁。
蹄を数えて獲物の論功行賞を記したし、脳を裂いて血抜きをするのにばたつき暴れるのを押さえつける。
猛斃牛馬樂,妖殘梟鵅煢。
猛獣を倒してしまえば牛馬たちはたのしくなるのだし、なまめかしいところをなくしてしまったらフクロウとミミズクは悩んでいるだけになる。
窟窮尚嗔視,箭出方驚抨。
穴の中にはまってにげられなくなった動物はそれでもなお眼むいてにらむものだし、矢を射ると走りだし、弓弦のはじく音だけでもおどろくものだ。
連箱載已實,礙轍棄仍贏。
えものをいれた箱をならべるともうすでに荷台にいっぱいになっている。積んだ獲物が重すぎて車が動かいとなればとった獲物のうちあまるほどのものを棄てるということになる。
喘覷鋒刃點,困沖株枿盲。

血のりの付いた刃をあえぎながら見ることになり、殺生の痛みと鋒刃の輝きに目がくらみ切株につまずく。

蹄【ひづめ】を算して功賞を記し,腦を裂いて摚掁【とうちょう】を擒【とら】える。
猛 斃【たお】れて牛馬 樂し,妖 殘【そこな】われて梟鵅【きょうかく】煢【うれ】う。
窟 窮【きわま】りて尚お嗔【いかり】視【み】,箭【や】出でて方に驚き抨【はじ】かる。
箱を連ねて載 已に實ち,轍【わだち】を礙【ささ】えて棄てて仍お贏【あま】る。
喘ぎて覷る 鋒刃の點ずるを,困しみて沖【つ】く 株枿【しゅげつ】に盲するを。


#24
韓愈) 掃凈豁曠曠,
孟郊) 騁遙略蘋蘋。饞扌義飽活臠,
韓愈) 惡嚼噉腥鯖。歲律及郊至,
孟郊) 古音命韶韺。旗旆流日月,
韓愈) 帳廬扶棟甍。磊落奠鴻璧,
孟郊) 參差席香藑。
#24  *上記聯句を韻により変更して読む
掃凈豁曠曠,騁遙略蘋蘋。
このあたりのよごれた跡をきれいにし広々と開けているとこうこうと広がってくる。馬に乗って向こうからぼうぼうと生い茂っている草をなびかせて近づいてくる。
饞扠飽活臠,惡嚼噉腥鯖。
はさみとってむさぼり食べて生肉に飽てくる。こんな悪食は生肉の寄せ鍋を噉【くら】うということだ。
歲律及郊至,古音命韶韺。
年を取ることの法則をそろそろ感じる11月になる。いにしへの音楽を演奏するため古代の宮廷の雅楽を練習せよと命を受ける。
旗旆流日月,帳廬扶棟甍。
旗とのぼりは日がたち、月が迫ると次第に旗がなびくようになる。とばりと幔幕、筵はむなぎ、いらかの下におかれている。
磊落奠鴻璧,參差席香藑。

度量が広く、小事にこだわらないかのように大きな玉をたてまつっている。不揃い下はあるがにおいのよい霊草の敷物をしいている。


掃うこと凈らかにして豁として曠曠【こうこう】,騁【は】すること遙かにして略して蘋蘋【ひょうひょう】。
饞扠【ざんさ】活臠【かつれん】に飽き,惡嚼【あくしゃく】腥鯖【せいせい】を噉【くら】う。
歲律【さいりつ】郊至【こうし】に及び,古音 韶韺【しょうえい】を命ず。
旗旆【きはい】日月【じつげつ】を流【つら】ね,帳廬【ちょうろ】棟甍【とうばく】を扶【たす】く。
磊落【らいらく】として鴻璧【こうへき】を奠【お】き,參差【しんじ】として香藑【こうけい】を席【し】く。



現代語訳と訳註
(本文)
#24
韓愈) 掃凈豁曠曠,
孟郊) 騁遙略蘋蘋。饞扠飽活臠,
韓愈) 惡嚼噉腥鯖。歲律及郊至,
孟郊) 古音命韶韺。旗旆流日月,
韓愈) 帳廬扶棟甍。磊落奠鴻璧,
孟郊) 參差席香藑。
#24
掃凈豁曠曠,騁遙略蘋蘋。
饞扠飽活臠,惡嚼噉腥鯖。
歲律及郊至,古音命韶韺。
旗旆流日月,帳廬扶棟甍。
磊落奠鴻璧,參差席香藑。


(下し文)
掃うこと凈らかにして豁として曠曠【こうこう】,騁【は】すること遙かにして略して蘋蘋【ひょうひょう】。
饞扠【ざんさ】活臠【かつれん】に飽き,惡嚼【あくしゃく】腥鯖【せいせい】を噉【くら】う。
歲律【さいりつ】郊至【こうし】に及び,古音 韶韺【しょうえい】を命ず。
旗旆【きはい】日月【じつげつ】を流【つら】ね,帳廬【ちょうろ】棟甍【とうばく】を扶【たす】く。
磊落【らいらく】として鴻璧【こうへき】を奠【お】き,參差【しんじ】として香藑【こうけい】を席【し】く。


(現代語訳)
このあたりのよごれた跡をきれいにし広々と開けているとこうこうと広がってくる。馬に乗って向こうからぼうぼうと生い茂っている草をなびかせて近づいてくる。
はさみとってむさぼり食べて生肉に飽てくる。こんな悪食は生肉の寄せ鍋を噉【くら】うということだ。
年を取ることの法則をそろそろ感じる11月になる。いにしへの音楽を演奏するため古代の宮廷の雅楽を練習せよと命を受ける。
旗とのぼりは日がたち、月が迫ると次第に旗がなびくようになる。とばりと幔幕、筵はむなぎ、いらかの下におかれている。
度量が広く、小事にこだわらないかのように大きな玉をたてまつっている。不揃い下はあるがにおいのよい霊草の敷物をしいている。


(訳注)
掃凈豁曠曠,騁遙略蘋蘋。
このあたりのよごれた跡をきれいにし広々と開けているとこうこうと広がってくる。馬に乗って向こうからぼうぼうと生い茂っている草をなびかせて近づいてくる。
広々と開けているさま。・曠曠 こうこうと広がっているさま。・略 うちなびかせる。・蘋蘋 草がぼうぼうと茂り生じる。


饞扠飽活臠,惡嚼噉腥鯖。
はさみとってむさぼり食べて生肉に飽てくる。こんな悪食は生肉の寄せ鍋を噉【くら】うということだ。
饞扠 はさみとってむさぼり食う。・活臠 生肉。・惡嚼 悪い食。・噉 たべる。・腥鯖 生肉の寄せ鍋。


歲律及郊至,古音命韶韺。
年を取ることの法則をそろそろ感じる11月になる。いにしへの音楽を演奏するため古代の宮廷の雅楽を練習せよと命を受ける。
歲律及郊至 11月になること。(歲律:年を取ることの法則。及郊至:十一月のこと。)・韶韺 古代の宮廷の雅楽。


旗旆流日月,帳廬扶棟甍。
旗とのぼりは日がたち、月が迫ると次第に旗がなびくようになる。とばりと幔幕、筵はむなぎ、いらかの下におかれている。
旗旆 はた。旗はのぼりのようなはた。旆は後ろの割れた小さなのぼり。・帳廬 天幕。・棟甍 むなぎ、いらか。


磊落奠鴻璧,參差席香藑。
度量が広く、小事にこだわらないかのように大きな玉をたてまつっている。不揃い下はあるがにおいのよい霊草の敷物をしいている。
磊落 度量が広く、小事にこだわらないこと。・鴻璧 大きな玉。・參差 長短の等しくないさま。そろわないさま。入りまじるさま。入り組むさま。・香藑 においのよい霊草。


城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#23>Ⅱ中唐詩419 紀頌之の漢詩ブログ1336

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第六部(#21~#24)
#21
孟郊) 飛膳自北下,
韓愈) 函珍極東烹。如瓜煮大卵,
孟郊) 比線茹芳菁。海嶽錯口腹,
韓愈) 趙燕錫媌娙。一笑釋仇恨,
孟郊) 百金交弟兄。貨至貊戎幣,
韓愈) 呼傳鸚鵒令。
#21   *上記聯句を韻により変更して読む
飛膳自北下,函珍極東烹。
空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。

飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。


#22
韓愈) 順居無鬼瞰,
孟郊) 抑橫免官評。殺候肆淩翦,
韓愈) 籠原巿罝紭。羽空顛雉鷃,
孟郊) 血路進狐麖。折足去踸踔,
韓愈) 蹙鬐怒髽鬤。躍犬疾翥鳥,
孟郊) 呀鷹甚饑虻。
#22    *上記聯句を韻により変更して読む
順居無鬼瞰,抑橫免官評。
普段はおだやかな生活をしていて、もののけなどがとりつくということはなく、横暴なしわざを抑制することを官吏・役人は咎めずにいる。
殺候肆淩翦,籠原巿罝紭。
狩の季節になれば狩猟の腕をふるいまくるし、野原いっぱいをしかけの網をはりめぐらすのだ。
羽空顛雉鷃,血路進狐麖。
空をとぶウヅラやキジを撃ち落とす、陸道に血が滴り、おどり、キツネと鹿が走り抜ける。
折足去踸踔,蹙鬐怒髽鬤。
足が折れてのがれ、よろめきながらにげようとする。鬣のように逆毛たて吼えるものもあるのだ。
躍犬疾翥鳥,呀鷹甚饑虻。
犬跳ね回り、とぶ鳥よりはやくはしりさる、鷹がさけんでいるかと思えば飢えた虻がはなはだしくいるのだ。
#23
孟郊) 算蹄記功賞,
韓愈) 裂腦擒摚掁。猛斃牛馬樂,
孟郊) 妖殘梟鵅煢。窟窮尚嗔視,
韓愈) 箭出方驚抨。連箱載已實,
孟郊) 礙轍棄仍贏。喘覷鋒刃點,
韓愈) 困沖株枿盲。
#23  *上記聯句を韻により変更して読む
算蹄記功賞,裂腦擒摚掁。
蹄を数えて獲物の論功行賞を記したし、脳を裂いて血抜きをするのにばたつき暴れるのを押さえつける。
猛斃牛馬樂,妖殘梟鵅煢。
猛獣を倒してしまえば牛馬たちはたのしくなるのだし、なまめかしいところをなくしてしまったらフクロウとミミズクは悩んでいるだけになる。
窟窮尚嗔視,箭出方驚抨。
穴の中にはまってにげられなくなった動物はそれでもなお眼むいてにらむものだし、矢を射ると走りだし、弓弦のはじく音だけでもおどろくものだ。
連箱載已實,礙轍棄仍贏。
えものをいれた箱をならべるともうすでに荷台にいっぱいになっている。積んだ獲物が重すぎて車が動かいとなればとった獲物のうちあまるほどのものを棄てるということになる。
喘覷鋒刃點,困沖株枿盲。
血のりの付いた刃をあえぎながら見ることになり、殺生の痛みと鋒刃の輝きに目がくらみ切株につまずく。

蹄【ひづめ】を算して功賞を記し,腦を裂いて摚掁【とうちょう】を擒【とら】える。
猛 斃【たお】れて牛馬 樂し,妖 殘【そこな】われて梟鵅【きょうかく】煢【うれ】う。
窟 窮【きわま】りて尚お嗔【いかり】視【み】,箭【や】出でて方に驚き抨【はじ】かる。
箱を連ねて載 已に實ち,轍【わだち】を礙【ささ】えて棄てて仍お贏【あま】る。
喘ぎて覷る 鋒刃の點ずるを,困しみて沖【つ】く 株枿【しゅげつ】に盲するを。


#24
韓愈) 掃凈豁曠曠,
孟郊) 騁遙略蘋蘋。饞扌義飽活臠,
韓愈) 惡嚼<口尃>腥鯖。歲律及郊至,
孟郊) 古音命韶韺。旗旆流日月,
韓愈) 帳廬扶棟甍。[192]磊落奠鴻璧,
孟郊) 參差席香藑。


現代語訳と訳註
(本文)
#23
孟郊) 算蹄記功賞,
韓愈) 裂腦擒摚掁。猛斃牛馬樂,
孟郊) 妖殘梟鵅煢。窟窮尚嗔視,
韓愈) 箭出方驚抨。連箱載已實,
孟郊) 礙轍棄仍贏。喘覷鋒刃點,
韓愈) 困沖株枿盲。
#23  *上記聯句を韻により変更して読む
算蹄記功賞,裂腦擒摚掁。
猛斃牛馬樂,妖殘梟鵅煢。
窟窮尚嗔視,箭出方驚抨。
連箱載已實,礙轍棄仍贏。
喘覷鋒刃點,困沖株枿盲。


(下し文) #23
蹄【ひづめ】を算して功賞を記し,腦を裂いて摚掁【とうちょう】を擒【とら】える。
猛 斃【たお】れて牛馬 樂し,妖 殘【そこな】われて梟鵅【きょうかく】煢【うれ】う。
窟 窮【きわま】りて尚お嗔【いかり】視【み】,箭【や】出でて方に驚き抨【はじ】かる。
箱を連ねて載 已に實ち,轍【わだち】を礙【ささ】えて棄てて仍お贏【あま】る。
喘ぎて覷る 鋒刃の點ずるを,困しみて沖【つ】く 株枿【しゅげつ】に盲するを。


(現代語訳)
蹄を数えて獲物の論功行賞を記したし、脳を裂いて血抜きをするのにばたつき暴れるのを押さえつける。
猛獣を倒してしまえば牛馬たちはたのしくなるのだし、なまめかしいところをなくしてしまったらフクロウとミミズクは悩んでいるだけになる。
穴の中にはまってにげられなくなった動物はそれでもなお眼むいてにらむものだし、矢を射ると走りだし、弓弦のはじく音だけでもおどろくものだ。
えものをいれた箱をならべるともうすでに荷台にいっぱいになっている。積んだ獲物が重すぎて車が動かいとなればとった獲物のうちあまるほどのものを棄てるということになる。
血のりの付いた刃をあえぎながら見ることになり、殺生の痛みと鋒刃の輝きに目がくらみ切株につまずく。


(訳注) #23
算蹄記功賞,裂腦擒摚掁。
蹄を数えて獲物の論功行賞を記したし、脳を裂いて血抜きをするのにばたつき暴れるのを押さえつける。
算蹄 算は算術。けものの数を勘定する。・摚掁 蹴り突く。


猛斃牛馬樂,妖殘梟鵅煢。
猛獣を倒してしまえば牛馬たちはたのしくなるのだし、なまめかしいところをなくしてしまったらフクロウとミミズクは悩んでいるだけになる。
 猛獣。・ なまめかしい妖鳥。夭鳥は梟のこと。不気味な声で鳴くもの。・ ほろぼされる。・梟鵅 フクロウとミミズク。・ 憂える。


窟窮尚嗔視,箭出方驚抨。
穴の中にはまってにげられなくなった動物はそれでもなお眼むいてにらむものだし、矢を射ると走りだし、弓弦のはじく音だけでもおどろくものだ。
窟窮 穴の中にはまってにげられなくなった動物。・驚抨 弓弦のはじく音におどろく。


連箱載已實,礙轍棄仍贏。
えものをいれた箱をならべるともうすでに荷台にいっぱいになっている。積んだ獲物が重すぎて車が動かいとなればとった獲物のうちあまるほどのものを棄てるということになる。
連箱 えものをいれた箱をならべる。・実 充実している。・礙轍 つんだえものが重すぎて車が動かぬ。


喘覷鋒刃點,困沖株枿盲。
血のりの付いた刃をあえぎながら見ることになり、殺生の痛みと鋒刃の輝きに目がくらみ切株につまずく。
 うかがいみる。・ つく。つきすすむ。困沖でつまづくという意味になる。・株枿 切り株。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#22>Ⅱ中唐詩418 紀頌之の漢詩ブログ1333

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#22>Ⅱ中唐詩418 紀頌之の漢詩ブログ1333


     
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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

城南聯句 韓退之(韓愈)詩64首-#24>#1~#31(全31回)
第六部(#21~#24)
#21
孟郊) 飛膳自北下,
韓愈) 函珍極東烹。如瓜煮大卵,
孟郊) 比線茹芳菁。海嶽錯口腹,
韓愈) 趙燕錫媌娙。一笑釋仇恨,
孟郊) 百金交弟兄。貨至貊戎幣,
韓愈) 呼傳鸚鵒令。
#21  *上記聯句を韻により変更して読む
飛膳自北下,函珍極東烹。
空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。
飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。


#22
韓愈) 順居無鬼瞰,
孟郊) 抑橫免官評。殺候肆淩翦,
韓愈) 籠原巿罝紭。羽空顛雉鷃,
孟郊) 血路進狐麖。折足去踸踔,
韓愈) 蹙鬐怒髽鬤。躍犬疾翥鳥,
孟郊) 呀鷹甚饑虻。
#22  *上記聯句を韻により変更して読む
順居無鬼瞰,抑橫免官評。
普段はおだやかな生活をしていて、もののけなどがとりつくということはなく、横暴なしわざを抑制することを官吏・役人は咎めずにいる。
殺候肆淩翦,籠原巿罝紭。
狩の季節になれば狩猟の腕をふるいまくるし、野原いっぱいをしかけの網をはりめぐらすのだ。
羽空顛雉鷃,血路進狐麖。
空をとぶウヅラやキジを撃ち落とす、陸道に血が滴り、おどり、キツネと鹿が走り抜ける。
折足去踸踔,蹙鬐怒髽鬤。
足が折れてのがれ、よろめきながらにげようとする。鬣のように逆毛たて吼えるものもあるのだ。
躍犬疾翥鳥,呀鷹甚饑虻。
犬跳ね回り、とぶ鳥よりはやくはしりさる、鷹がさけんでいるかと思えば飢えた虻がはなはだしくいるのだ。
#23
孟郊) 算蹄記功賞,
韓愈) 裂腦擒摚掁。猛斃牛馬樂,
孟郊) 妖殘梟鵅煢。窟窮尚嗔視,
韓愈) 箭出方驚抨。連箱載已實,
孟郊) 礙轍棄仍贏。喘覷鋒刃點,
韓愈) 困沖株枿盲。
#23  *上記聯句を韻により変更して読む
算蹄記功賞,裂腦擒摚掁。
蹄を数えて獲物の論功行賞を記したし、脳を裂いて血抜きをするのにばたつき暴れるのを押さえつける。
猛斃牛馬樂,妖殘梟鵅煢。
猛獣を倒してしまえば牛馬たちはたのしくなるのだし、なまめかしいところをなくしてしまったらフクロウとミミズクは悩んでいるだけになる。
窟窮尚嗔視,箭出方驚抨。
穴の中にはまってにげられなくなった動物はそれでもなお眼むいてにらむものだし、矢を射ると走りだし、弓弦のはじく音だけでもおどろくものだ。
連箱載已實,礙轍棄仍贏。
えものをいれた箱をならべるともうすでに荷台にいっぱいになっている。積んだ獲物が重すぎて車が動かいとなればとった獲物のうちあまるほどのものを棄てるということになる。
喘覷鋒刃點,困沖株枿盲。

血のりの付いた刃をあえぎながら見ることになり、殺生の痛みと鋒刃の輝きに目がくらみ切株につまずく。

蹄【ひづめ】を算して功賞を記し,腦を裂いて摚掁【とうちょう】を擒【とら】える。
猛 斃【たお】れて牛馬 樂し,妖 殘【そこな】われて梟鵅【きょうかく】煢【うれ】う。
窟 窮【きわま】りて尚お嗔【いかり】視【み】,箭【や】出でて方に驚き抨【はじ】かる。
箱を連ねて載 已に實ち,轍【わだち】を礙【ささ】えて棄てて仍お贏【あま】る。
喘ぎて覷る 鋒刃の點ずるを,困しみて沖【つ】く 株枿【しゅげつ】に盲するを。


#24
韓愈) 掃凈豁曠曠,
孟郊) 騁遙略蘋蘋。饞扌義飽活臠,
韓愈) 惡嚼噉腥鯖。歲律及郊至,
孟郊) 古音命韶韺。旗旆流日月,
韓愈) 帳廬扶棟甍。磊落奠鴻璧,
孟郊) 參差席香藑。

現代語訳と訳註
(本文)

#22
韓愈) 順居無鬼瞰,
孟郊) 抑橫免官評。殺候肆淩翦,
韓愈) 籠原巿罝紭。羽空顛雉鷃,
孟郊) 血路進狐麖。折足去踸踔,
韓愈) 蹙鬐怒髽鬤。躍犬疾翥鳥,
孟郊) 呀鷹甚饑虻。
#22  *上記聯句を韻により変更して読む
順居無鬼瞰,抑橫免官評。
殺候肆淩翦,籠原巿罝紭。
羽空顛雉鷃,血路進狐麖。
折足去踸踔,蹙鬐怒髽鬤。
躍犬疾翥鳥,呀鷹甚饑虻。


(下し文) #22
順居【じゅんきょ】鬼の瞰【のぞ】む無く,抑橫【よくこう】官の評【そし】るを免【まぬか】る。
殺候【さつこう】肆淩翦【りょうせん】を【ほしいまま】にし,籠原【ろうげん】罝紭【しゃこう】を巿【めぐら】す。
空に羽ぶ雉鷃【ちあん】を顛【お】とし,血路して狐麖【こけい】を進【はし】らせる。
足を折りて踸踔【ちんとう】して去る,鬐【き】を蹙【ちぢ】めて髽鬤【ほうじょう】して怒る。
躍犬【よくけん】 翥鳥【しょちょう】より疾【と】く、呀鷹【がよう】 饑虻【きぼう】よりも甚はなはだし。


(現代語訳)
普段はおだやかな生活をしていて、もののけなどがとりつくということはなく、横暴なしわざを抑制することを官吏・役人は咎めずにいる。
狩の季節になれば狩猟の腕をふるいまくるし、野原いっぱいをしかけの網をはりめぐらすのだ。
空をとぶウヅラやキジを撃ち落とす、陸道に血が滴り、おどり、キツネと鹿が走り抜ける。
足が折れてのがれ、よろめきながらにげようとする。鬣のように逆毛たて吼えるものもあるのだ。
犬跳ね回り、とぶ鳥よりはやくはしりさる、鷹がさけんでいるのが飢えた虻よりはなはだしいのだ。


(訳注) #22
順居無鬼瞰,抑橫免官評。
普段はおだやかな生活をしていて、もののけなどがとりつくということはなく、横暴なしわざを抑制することを官吏・役人は咎めずにいる。
順居 おだやかな生活。・ もののけ。・抑橫 横暴なわざを抑制する。


殺候肆淩翦,籠原巿罝紭。
狩の季節になれば狩猟の腕をふるいまくるし、野原いっぱいをしかけの網をはりめぐらすのだ。
殺候 猟期というほどの意。・淩翦 狩猟のことをさす。・籠原 野をこめて、野はらいっぱい、というほどの意。・罝紭 しかけのあみとつな。


羽空顛雉鷃,血路進狐麖。
空をとぶウヅラやキジを撃ち落とす、陸道に血が滴り、おどり、キツネと鹿が走り抜ける。
 転落。
・雉鷃 キジとフナシウズラ.
・麖 こじか。


折足去踸踔,蹙鬐怒髽鬤。
足が折れてのがれ、よろめきながらにげようとする。鬣のように逆毛たて吼えるものもあるのだ。
踸踔 びっこをひく。
 たてがみ。
髽鬤 かみがみだれる。


躍犬疾翥鳥,呀鷹甚饑虻。
犬跳ね回り、とぶ鳥よりはやくはしりさる、鷹がさけんでいるのが飢えた虻よりはなはだしいのだ。
翥鳥 とぶ鳥。・呀鷹 さけぶたか。・饑虻 飢えたあぶ。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#21>Ⅱ中唐詩417 紀頌之の漢詩ブログ1330

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#21>Ⅱ中唐詩417 紀頌之の漢詩ブログ1330

     
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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

第六部(#21~#24)
#21
孟郊) 飛膳自北下,
韓愈) 函珍極東烹。如瓜煮大卵,
孟郊) 比線茹芳菁。海嶽錯口腹,
韓愈) 趙燕錫媌娙。一笑釋仇恨,
孟郊) 百金交弟兄。貨至貊戎幣,
韓愈) 呼傳鸚鵒令。
#21  *上記聯句を韻により変更して読む
飛膳自北下,函珍極東烹。
空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。
飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。


#22
韓愈) 順居無鬼瞰,
孟郊) 抑橫免官評。殺候肆淩翦,
韓愈) 籠原巿罝紭。羽空顛雉鷃,
孟郊) 血路進狐麖。折足去踸踔,
韓愈) 蹙鬐怒髽鬤。躍犬疾翥鳥,
孟郊) 呀鷹甚饑虻。
#23
孟郊) 算蹄記功賞,
韓愈) 裂腦擒摚掁。猛斃牛馬樂,
孟郊) 妖殘梟鵅煢。窟窮尚嗔視,
韓愈) 箭出方驚抨。連箱載已實,
孟郊) 礙轍棄仍贏。喘覷鋒刃點,
韓愈) 困沖株枿盲。
#24
韓愈) 掃凈豁曠曠,
孟郊) 騁遙略蘋蘋。饞扌義飽活臠,
韓愈) 惡嚼<口尃>腥鯖。歲律及郊至,
孟郊) 古音命韶韺。旗旆流日月,
韓愈) 帳廬扶棟甍。[192]磊落奠鴻璧,
孟郊) 參差席香藑。


現代語訳と訳註
(本文)
#21
孟郊) 飛膳自北下,
韓愈) 函珍極東烹。如瓜煮大卵,
孟郊) 比線茹芳菁。海嶽錯口腹,
韓愈) 趙燕錫媌娙。一笑釋仇恨,
孟郊) 百金交弟兄。貨至貊戎幣,
韓愈) 呼傳鸚鵒令。
#21  *上記聯句を韻により変更して読む
飛膳自北下,函珍極東烹。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。


(下し文)
#21
飛膳自北下,函珍極東烹。
如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
一笑釋仇恨,百金交弟兄。
貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。


(現代語訳)
空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。


(訳注) #21
飛膳自北下,函珍極東烹。

空を飛び交うほどの膳が北側の厨房より運ばれる。重箱に盛られた珍しい料理みな東国風のものである。
飛膳 お膳が飛ぶように運ばれる。・北下 台所。・函珍 箱に盛った珍味。・東烹 東国風の料理。


如瓜煮大卵,比線茹芳菁。
瓜のようにみえるのは大き卵を煮たものである。糸のように細く切られているのは香ばしいニラである。
比線 糸とくらべられるはど細く切る。・芳菁 香ばしいにらの花。


海嶽錯口腹,趙燕錫媌娙。
海や山でとれた材料でつくったごちそうが多くある。燕と趙方面の小柄な美人と丈の高い美人がずらりと侍っている。
海嶽 海や山でとれた材料でつくったごちそう。・趙燕 むかしから美人が多いといわれた国。趙女︰趙國的女子,古稱趙燕二國多美女。・媌娙 小柄な美人と丈の高い美人。


一笑釋仇恨,百金交弟兄。
彼女たちが一度笑めば憎みあっていた気持ちも溶けて仲よくなる。百両のお金を積んで兄弟となり交わりたいものだ。
釈仇恨 にくみあっていたきもちもとけて仲よくなる。


貨至貊戎幣,呼傳鸚鵒令。
飾られる器物はみな北夷西蛮で作られたものだ。鸚鵡やクヨクのように同じ言葉を繰り返して人を呼びこんでいる。
貊戎 北夷西蛮。異民族の国をさす。・鸚鵒 オウムとクヨク。どちらも人のことばをまねる烏。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#20>Ⅱ中唐詩416 紀頌之の漢詩ブログ1327

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#20>Ⅱ中唐詩416 紀頌之の漢詩ブログ1327


悲哉行 謝霊運(康楽) 詩<76-#2>Ⅱ李白に影響を与えた詩503 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1326
城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#20>Ⅱ中唐詩416 紀頌之の漢詩ブログ1327
雨晴 杜甫 <287> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1328 杜甫詩 700- 407


   
 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
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   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     


第五部(#17~#20)
#17
孟郊) 葩蘗相妒出,
韓愈) 菲茸共舒晴。類招臻倜詭,
孟郊) 翼萃伏衿纓。危望跨飛動,
韓愈) 冥升躡登閎。春遊轢靃靡,
孟郊) 彩伴颯嫈嫇。遺燦飄的皪,
韓愈) 淑顏洞精誠。
#17  *上記聯句を韻により変更して読む
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
危望跨飛動,冥升躡登閎。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。
#17
葩蘗【はげつ】相妒【ねた】んで出で,菲茸【ひじゅう】共に舒【の】びて晴【やす】らぐ。
類 招いて倜詭【てきき】臻【いた】り,翼 萃【あつま】って衿纓【きんえい】に伏す。
危望【きぼう】飛動【ひどう】に跨【またが】り,冥升【めいしょう】登閎【とうこう】を躡【ふ】む。
春遊【しゅんゆう】靃靡【ずいび】を轢【ふ】み,彩伴【さいはん】嫈嫇【おうぼう】を颯【うごか】す。
遺燦【いさん】的皪【てきれき】を飄【ひるがえ】し,淑顏【しゅくがん】精誠【せいせい】洞【あきらか】なり。

#18
韓愈) 嬌應如在寤,
孟郊) 頹意若含酲。鹓毳翔衣帶,
韓愈) 鵝肪截佩璜。文升相照灼,
孟郊) 武勝屠攙搶。割錦不酬價,
韓愈) 構雲有高營。通波牣鱗介,
孟郊) 疏畹富蕭蘅。
#18  *上記聯句を韻により変更して読む
嬌應如在寤,頹意若含酲。
やさしい返事によってめざめるおもいがする。やる気のない気の抜けた表情がまるで二日酔いのようである。
鹓毳翔衣帶,鵝肪截佩璜。
鳳凰の羽は、羽衣を着て翔び立つようだ。鵝鳥の脂肪は堂々と佩び玉をつけて歩く。
文升相照灼,武勝屠攙搶。
詩歌・文化の興隆はそれぞれの文人をみやびにかがやかせている。軍人は戦争に勝つことであるがそれはほうき星の占いによるものである。
割錦不酬價,構雲有高營。
彩錦をさいてその恩賞にすることはないが、雲の中に構築するかのように高大な建造物に招かれることはあるのだ。
通波牣鱗介,疏畹富蕭蘅。
川の流からとって魚や貝類を充満させる。きりひらいた菜園からは青菜がゆたかにとれる。

嬌應【きょうおう】寤【ご】に在るが如く,頹意【たいい】酲【てい】を含むが若し。
鹓毳【えんせい】衣帶【いたい】に翔【かげ】り,鵝肪【がぼう】截佩璜【はいこう】を【き】る。
文升【ぶんしょう】相い照灼【しょうしゃく】し,武勝【ぶしょう】攙搶【ざんそう】を屠【ほう】る。
錦を割いて價を酬いず,雲に構えて高營【こうえい】有り。
通波【つうは】鱗介【りんかい】に牣【み】ち,疏畹【そえん】蕭蘅【しょうこう】に富む。


#19
孟郊) 買養馴孔翠,
韓愈) 遠苞樹蕉栟。鴻頭排刺芡,
孟郊) 鵠卵攢瑰橙。騖廣雜良牧,
韓愈) 蒙休賴先盟。罷旄奉環衛,
孟郊) 守封踐忠貞。戰服脫明介,
韓愈) 朝冠飄彩纮。
#19
買養馴孔翠,遠苞樹蕉栟。
買ってきて飼育した孔雀がなれてきて、遠くから包みもって来たバナナやヤシを移し植えたりする。
鴻頭排刺芡,鵠靍攢瑰橙。
鬼ハスの実の頭をミヅブキがしげるので揃えている。鵠の巣の卵はダイダイみのるのと一緒に集まる。
騖廣雜良牧,蒙休賴先盟。
広い土地を占有する良好な地方長官はその地域に同化していく。目出度いしるしをうけ前の時代の約束をよりどころとしている。
罷旄奉環衛,守封踐忠貞。
戰旗を返納しても天子の宮殿を守りたてまつる。国の領土をまもり中世・忠議・貞操の定めを踏襲する。
戰服脫明介,朝冠飄彩纮。
鎧兜など軍服を脱いだ後も、朝廷の冠で気分高々で 冠の美しい紐をひるがえして参上する。

買養【ばいよう】孔翠【こうすい】に馴れ,遠苞【えんぽう】蕉栟【しょうへい】樹【う】う。
鴻頭【こうとう】刺芡【しけん】を排し,鵠靍【こうかく】瑰橙【かいとう】を攢【あつ】む。
廣きに騖【は】せて良牧【りょうぼく】を雜【まじ】へ,休を蒙【こうむ】って先盟【せんめい】に賴る。
旄【ぼう】を罷めて環衛【かんえい】を奉じ,封を守って忠貞を踐【ふ】む。
戰服【せんぷく】明介【めいかい】を脫し,朝冠【ちょうかん】彩纮【さいこう】を飄【ひるがえ】す。


#20
韓愈) 爵勛逮僮隸,
孟郊) 簪笏自懷繃。乳下秀嶷嶷,
韓愈) 椒蕃泣喤々。貌鑒清溢匣,
孟郊) 眸光寒發硎。館儒養經史,
韓愈) 綴戚觴孫甥。考鍾饋肴核,
孟郊) 戛鼓侑牢牲。
#20  *上記聯句を韻により変更して読む

爵勛逮僮隸,簪笏自懷繃。
乳下秀嶷嶷,椒蕃泣喤々。
貌鑒清溢匣,眸光寒發硎。
館儒養經史,綴戚觴孫甥。
考鍾饋肴核,戛鼓侑牢牲。

爵位・勲位が召使たちまでおよんでいるし、官吏となることは孫のオムツをするときから始まる。
赤子であっても優秀で智恵のすぐれている。山椒のみがいっぱいになっている名門の子はわんわん泣きさけぶ。
鏡にうつった顔が清涼感が箱に満ち溢れているし、その顔の眼光は寒々として研ぎ澄ました光を放っている。
そして儒学者を家庭教師としてまねき四書五経や歴史を勉強させるし、一族の孫やおいまで集めて杯を挙げる。
鐘をたたき酒のさかなとくだものを贈り物とし、太鼓を打ち鳴らして、神にそなえる獣肉を薦めてくれる。

爵勛【しゃくくん】僮隸【どうれい】に逮【およ】び,簪笏【しんこく】懷繃【かいほう】自【より】す。
乳下も秀【ひい】でて嶷嶷【ぎぎ】たり,椒蕃【しょうばん】は泣いて喤々【こうこう】たり。
貌鑒【ぼうかん】清くして匣【こう】に溢【あふ】れ,眸光【ぼうこう】寒くして硎【けい】を發す。
儒を館して經史を養い,戚【せき】を綴って孫甥【そんそう】に觴【しょう】す。
鍾を考【たた】いて肴核【こうかく】を饋【おく】り,鼓を戛【う】って牢牲【ろうせい】を侑【すす】む。

宮島(6)

現代語訳と訳註
(本文)
#20
韓愈) 爵勛逮僮隸,
孟郊) 簪笏自懷繃。乳下秀嶷嶷,
韓愈) 椒蕃泣喤々。貌鑒清溢匣,
孟郊) 眸光寒發硎。館儒養經史,
韓愈) 綴戚觴孫甥。考鍾饋肴核,
孟郊) 戛鼓侑牢牲。
#20 *上記聯句を韻により変更して読む

爵勛逮僮隸,簪笏自懷繃。
乳下秀嶷嶷,椒蕃泣喤々。
貌鑒清溢匣,眸光寒發硎。
館儒養經史,綴戚觴孫甥。
考鍾饋肴核,戛鼓侑牢牲。


(下し文)
爵勛【しゃくくん】僮隸【どうれい】に逮【およ】び,簪笏【しんこく】懷繃【かいほう】自【より】す。
乳下も秀【ひい】でて嶷嶷【ぎぎ】たり,椒蕃【しょうばん】は泣いて喤々【こうこう】たり。
貌鑒【ぼうかん】清くして匣【こう】に溢【あふ】れ,眸光【ぼうこう】寒くして硎【けい】を發す。
儒を館して經史を養い,戚【せき】を綴って孫甥【そんそう】に觴【しょう】す。
鍾を考【たた】いて肴核【こうかく】を饋【おく】り,鼓を戛【う】って牢牲【ろうせい】を侑【すす】む。


(現代語訳)
爵位・勲位が召使たちまでおよんでいるし、官吏となることは孫のオムツをするときから始まる。
赤子であっても優秀で智恵のすぐれている。山椒のみがいっぱいになっている名門の子はわんわん泣きさけぶ。
鏡にうつった顔が清涼感が箱に満ち溢れているし、その顔の眼光は寒々として研ぎ澄ました光を放っている。
そして儒学者を家庭教師としてまねき四書五経や歴史を勉強させるし、一族の孫やおいまで集めて杯を挙げる。
鐘をたたき酒のさかなとくだものを贈り物とし、太鼓を打ち鳴らして、神にそなえる獣肉を薦めてくれる。


(訳注)
爵勛逮僮隸,簪笏自懷繃。

爵位・勲位が召使たちまでおよんでいるし、官吏となることは孫のオムツをするときから始まる。
 爵位。・ 勲位。・ およぶ。・僮隸 召使たち。・簪笏【しんこつ】冠をとめるこうがいと、手に持つしゃく。 転じて、 ①官吏の礼服。また、礼服をつけた官吏。 ②任官すること。官吏となること。・懷繃 おむつ。


乳下秀嶷嶷,椒蕃泣喤々。
赤子であっても優秀で智恵のすぐれている。山椒のみがいっぱいになっている名門の子はわんわん泣きさけぶ。
乳下 赤子。・嶷嶷 こどもの智恵のすぐれたさま。・椒蕃 名門の子。繁昌分家の繁昌を詠うもの。『詩経、唐風(椒聊)』に「椒聊之實,蕃衍盈升」(椒聊の実は、繁って増え、升に盈つ。)の句があり、大きな勢力をもつ家の子のことをさす。・喤々 わんわん泣きさけぶ。


貌鑒清溢匣,眸光寒發硎。
鏡にうつった顔が清涼感が箱に満ち溢れているし、その顔の眼光は寒々として研ぎ澄ました光を放っている。
貌鑒 鏡にうつった顔。・眸光 眼光。・ といし。


館儒養經史,綴戚觴孫甥。
そして儒学者を家庭教師としてまねき四書五経や歴史を勉強させるし、一族の孫やおいまで集めて杯を挙げる。
・館儒 儒学者を家庭教師としてまねく。・経史 四書五経や歴史。・綴戚 親戚をあつめる。・ さかずき。酒を飲むことをさす。


考鍾饋肴核,戛鼓侑牢牲。
鐘をたたき酒のさかなとくだものを贈り物とし、太鼓を打ち鳴らして、神にそなえる獣肉を薦めてくれる。
考鍾 かねをたたく。鐘は鐘と同じ。・ 贈る。・肴核 さかなとくだもの。酒のさかな。・ 堅い物どうしが触れ合う音。また、その音を立てる。・ すすめる。・牢牲 神にそなえる獣肉。ごちそう、というはどの意。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#19>Ⅱ中唐詩415 紀頌之の漢詩ブログ1324

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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     



第五部
(#17~#20)
#17
孟郊) 葩蘗相妒出,
韓愈) 菲茸共舒晴。類招臻倜詭,
孟郊) 翼萃伏衿纓。危望跨飛動,
韓愈) 冥升躡登閎。春遊轢靃靡,
孟郊) 彩伴颯嫈嫇。遺燦飄的皪,
韓愈) 淑顏洞精誠。
#17  *上記聯句を韻により変更して読む
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
危望跨飛動,冥升躡登閎。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。
#17
葩蘗【はげつ】相妒【ねた】んで出で,菲茸【ひじゅう】共に舒【の】びて晴【やす】らぐ。
類 招いて倜詭【てきき】臻【いた】り,翼 萃【あつま】って衿纓【きんえい】に伏す。
危望【きぼう】飛動【ひどう】に跨【またが】り,冥升【めいしょう】登閎【とうこう】を躡【ふ】む。
春遊【しゅんゆう】靃靡【ずいび】を轢【ふ】み,彩伴【さいはん】嫈嫇【おうぼう】を颯【うごか】す。
遺燦【いさん】的皪【てきれき】を飄【ひるがえ】し,淑顏【しゅくがん】精誠【せいせい】洞【あきらか】なり。

#18
韓愈) 嬌應如在寤,
孟郊) 頹意若含酲。鹓毳翔衣帶,
韓愈) 鵝肪截佩璜。文升相照灼,
孟郊) 武勝屠攙搶。割錦不酬價,
韓愈) 構雲有高營。通波牣鱗介,
孟郊) 疏畹富蕭蘅。
#18  *上記聯句を韻により変更して読む
嬌應如在寤,頹意若含酲。
やさしい返事によってめざめるおもいがする。やる気のない気の抜けた表情がまるで二日酔いのようである。
鹓毳翔衣帶,鵝肪截佩璜。
鳳凰の羽は、羽衣を着て翔び立つようだ。鵝鳥の脂肪は堂々と佩び玉をつけて歩く。
文升相照灼,武勝屠攙搶。
詩歌・文化の興隆はそれぞれの文人をみやびにかがやかせている。軍人は戦争に勝つことであるがそれはほうき星の占いによるものである。
割錦不酬價,構雲有高營。
彩錦をさいてその恩賞にすることはないが、雲の中に構築するかのように高大な建造物に招かれることはあるのだ。
通波牣鱗介,疏畹富蕭蘅。
川の流からとって魚や貝類を充満させる。きりひらいた菜園からは青菜がゆたかにとれる。

嬌應【きょうおう】寤【ご】に在るが如く,頹意【たいい】酲【てい】を含むが若し。
鹓毳【えんせい】衣帶【いたい】に翔【かげ】り,鵝肪【がぼう】截佩璜【はいこう】を【き】る。
文升【ぶんしょう】相い照灼【しょうしゃく】し,武勝【ぶしょう】攙搶【ざんそう】を屠【ほう】る。
錦を割いて價を酬いず,雲に構えて高營【こうえい】有り。
通波【つうは】鱗介【りんかい】に牣【み】ち,疏畹【そえん】蕭蘅【しょうこう】に富む。


#19
孟郊) 買養馴孔翠,
韓愈) 遠苞樹蕉栟。鴻頭排刺芡,
孟郊) 鵠卵攢瑰橙。騖廣雜良牧,
韓愈) 蒙休賴先盟。罷旄奉環衛,
孟郊) 守封踐忠貞。戰服脫明介,
韓愈) 朝冠飄彩纮。
#19
買養馴孔翠,遠苞樹蕉栟。
買ってきて飼育した孔雀がなれてきて、遠くから包みもって来たバナナやヤシを移し植えたりする。
鴻頭排刺芡,鵠靍攢瑰橙。
鬼ハスの実の頭をミヅブキがしげるので揃えている。鵠の巣の卵はダイダイみのるのと一緒に集まる。
騖廣雜良牧,蒙休賴先盟。
広い土地を占有する良好な地方長官はその地域に同化していく。目出度いしるしをうけ前の時代の約束をよりどころとしている。
罷旄奉環衛,守封踐忠貞。
戰旗を返納しても天子の宮殿を守りたてまつる。国の領土をまもり中世・忠議・貞操の定めを踏襲する。
戰服脫明介,朝冠飄彩纮。

鎧兜など軍服を脱いだ後も、朝廷の冠で気分高々で 冠の美しい紐をひるがえして参上する。

買養【ばいよう】孔翠【こうすい】に馴れ,遠苞【えんぽう】蕉栟【しょうへい】樹【う】う。
鴻頭【こうとう】刺芡【しけん】を排し,鵠靍【こうかく】瑰橙【かいとう】を攢【あつ】む。
廣きに騖【は】せて良牧【りょうぼく】を雜【まじ】へ,休を蒙【こうむ】って先盟【せんめい】に賴る。
旄【ぼう】を罷めて環衛【かんえい】を奉じ,封を守って忠貞を踐【ふ】む。
戰服【せんぷく】明介【めいかい】を脫し,朝冠【ちょうかん】彩纮【さいこう】を飄【ひるがえ】す。


#20
韓愈) 爵勛逮僮隸,
孟郊) 簪笏自懷繃。乳下秀嶷嶷,
韓愈) 椒蕃泣喤々。貌鑒清溢匣,
孟郊) 眸光寒發硎。館儒養經史,
韓愈) 綴戚觴孫甥。考鍾饋肴核,
孟郊) 戛鼓侑牢牲。




現代語訳と訳註
(本文)
#19
孟郊) 買養馴孔翠,
韓愈) 遠苞樹蕉栟。鴻頭排刺芡,
孟郊) 鵠靍攢瑰橙。騖廣雜良牧,
韓愈) 蒙休賴先盟。罷旄奉環衛,
孟郊) 守封踐忠貞。戰服脫明介,
韓愈) 朝冠飄彩纮。
#19  *上記聯句を韻により変更して読む
買養馴孔翠,遠苞樹蕉栟。
鴻頭排刺芡,鵠靍攢瑰橙。
騖廣雜良牧,蒙休賴先盟。
罷旄奉環衛,守封踐忠貞。
戰服脫明介,朝冠飄彩纮。


(下し文) #19
買養【ばいよう】孔翠【こうすい】に馴れ,遠苞【えんぽう】蕉栟【しょうへい】樹【う】う。
鴻頭【こうとう】刺芡【しけん】を排し,鵠靍【こうかく】瑰橙【かいとう】を攢【あつ】む。
廣きに騖【は】せて良牧【りょうぼく】を雜【まじ】へ,休を蒙【こうむ】って先盟【せんめい】に賴る。
旄【ぼう】を罷めて環衛【かんえい】を奉じ,封を守って忠貞を踐【ふ】む。
戰服【せんぷく】明介【めいかい】を脫し,朝冠【ちょうかん】彩纮【さいこう】を飄【ひるがえ】す。


(現代語訳)
買ってきて飼育した孔雀がなれてきて、遠くから包みもって来たバナナやヤシを移し植えたりする。
鬼ハスの実の頭をミヅブキがしげるので揃えている。
鵠の巣の卵はダイダイみのるのと一緒に集まる。
広い土地を占有する良好な地方長官はその地域に同化していく。目出度いしるしをうけ前の時代の約束をよりどころとしている。
戰旗を返納しても天子の宮殿を守りたてまつる。国の領土をまもり中世・忠議・貞操の定めを踏襲する。
鎧兜など軍服を脱いだ後も、朝廷の冠で気分高々で 冠の美しい紐をひるがえして参上する。


(訳注) #19
買養馴孔翠,遠苞樹蕉栟。

買ってきて飼育した孔雀がなれてきて、遠くから包みもって来たバナナやヤシを移し植えたりする。
孔翠 孔雀。・遠苞 遠くからやって来たつつみ。・蕉桝 バナナと椰子


鴻頭排刺芡,鵠靍攢瑰橙。
鬼ハスの実の頭をミヅブキがしげるので揃えている。鵠の巣の卵はダイダイみのるのと一緒に集まる。
鴻頭 鬼ハスの実。・刺芡 みずぶき。・鵠靍 鵠の卵。・瑰橙 だいだい。


騖廣雜良牧,蒙休賴先盟。
広い土地を占有する良好な地方長官はその地域に同化していく。目出度いしるしをうけ前の時代の約束をよりどころとしている。
騖広 広い土地を占有する。・良牧 良好な地方長官。・蒙休 めでたいしるしをうける。・先盟 前の時代の約束。


罷旄奉環衛,守封踐忠貞。
戰旗を返納しても天子の宮殿を守りたてまつる。国の領土をまもり中世・忠議・貞操の定めを踏襲する。
  戰旗。・環衛 禁節。天子の宮殿を守る。・守封 領土をまもる。


戰服脫明介,朝冠飄彩紘。
鎧兜など軍服を脱いだ後も、朝廷の冠で気分高々で 冠の美しい紐をひるがえして参上する。
戰服 軍服。・明介 りつはなよろい。
彩紘 冠の美しい紐。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#18>Ⅱ中唐詩414 紀頌之の漢詩ブログ1321

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第五部(#17~#20)
#17
孟郊) 葩蘗相妒出,
韓愈) 菲茸共舒晴。類招臻倜詭,
孟郊) 翼萃伏衿纓。危望跨飛動,
韓愈) 冥升躡登閎。春遊轢靃靡,
孟郊) 彩伴颯嫈嫇。遺燦飄的皪,
韓愈) 淑顏洞精誠。
#17  *上記聯句を韻により変更して読む
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
危望跨飛動,冥升躡登閎。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。
#17
葩蘗【はげつ】相妒【ねた】んで出で,菲茸【ひじゅう】共に舒【の】びて晴【やす】らぐ。
類 招いて倜詭【てきき】臻【いた】り,翼 萃【あつま】って衿纓【きんえい】に伏す。
危望【きぼう】飛動【ひどう】に跨【またが】り,冥升【めいしょう】登閎【とうこう】を躡【ふ】む。
春遊【しゅんゆう】靃靡【ずいび】を轢【ふ】み,彩伴【さいはん】嫈嫇【おうぼう】を颯【うごか】す。
遺燦【いさん】的皪【てきれき】を飄【ひるがえ】し,淑顏【しゅくがん】精誠【せいせい】洞【あきらか】なり。

#18
韓愈) 嬌應如在寤,
孟郊) 頹意若含酲。鹓毳翔衣帶,
韓愈) 鵝肪截佩璜。文升相照灼,
孟郊) 武勝屠攙搶。割錦不酬價,
韓愈) 構雲有高營。通波牣鱗介,
孟郊) 疏畹富蕭蘅。
#18  *上記聯句を韻により変更して読む
嬌應如在寤,頹意若含酲。
やさしい返事によってめざめるおもいがする。やる気のない気の抜けた表情がまるで二日酔いのようである。
鹓毳翔衣帶,鵝肪截佩璜。
鳳凰の羽は、羽衣を着て翔び立つようだ。鵝鳥の脂肪は堂々と佩び玉をつけて歩く。
文升相照灼,武勝屠攙搶。
詩歌・文化の興隆はそれぞれの文人をみやびにかがやかせている。軍人は戦争に勝つことであるがそれはほうき星の占いによるものである。
割錦不酬價,構雲有高營。
彩錦をさいてその恩賞にすることはないが、雲の中に構築するかのように高大な建造物に招かれることはあるのだ。
通波牣鱗介,疏畹富蕭蘅。

川の流からとって魚や貝類を充満させる。きりひらいた菜園からは青菜がゆたかにとれる。

嬌應【きょうおう】寤【ご】に在るが如く,頹意【たいい】酲【てい】を含むが若し。
鹓毳【えんせい】衣帶【いたい】に翔【かげ】り,鵝肪【がぼう】截佩璜【はいこう】を【き】る。
文升【ぶんしょう】相い照灼【しょうしゃく】し,武勝【ぶしょう】攙搶【ざんそう】を屠【ほう】る。
錦を割いて價を酬いず,雲に構えて高營【こうえい】有り。
通波【つうは】鱗介【りんかい】に牣【み】ち,疏畹【そえん】蕭蘅【しょうこう】に富む。


#19
孟郊) 買養馴孔翠,
韓愈) 遠苞樹蕉栟。鴻頭排刺芡,
孟郊) 鵠卵攢瑰橙。騖廣雜良牧,
韓愈) 蒙休賴先盟。罷旄奉環衛,
孟郊) 守封踐忠貞。戰服脫明介,
韓愈) 朝冠飄彩纮。
#20
韓愈) 爵勛逮僮隸,
孟郊) 簪笏自懷繃。乳下秀嶷嶷,
韓愈) 椒蕃泣喤々。貌鑒清溢匣,
孟郊) 眸光寒發硎。館儒養經史,
韓愈) 綴戚觴孫甥。考鍾饋肴核,
孟郊) 戛鼓侑牢牲。



現代語訳と訳註
(本文)
 #18
韓愈) 嬌應如在寤,
孟郊) 頹意若含酲。鹓毳翔衣帶,
韓愈) 鵝肪截佩璜。文升相照灼,
孟郊) 武勝屠攙搶。割錦不酬價,
韓愈) 構雲有高營。通波牣鱗介,
孟郊) 疏畹富蕭蘅。
#18  *上記聯句を韻により変更して読む
嬌應如在寤,頹意若含酲。
鹓毳翔衣帶,鵝肪截佩璜。
文升相照灼,武勝屠攙搶。
割錦不酬價,構雲有高營。
通波牣鱗介,疏畹富蕭蘅。


(下し文)
嬌應【きょうおう】寤【ご】に在るが如く,頹意【たいい】酲【てい】を含むが若し。
鹓毳【えんせい】衣帶【いたい】に翔【かげ】り,鵝肪【がぼう】截佩璜【はいこう】を【き】る。
文升【ぶんしょう】相い照灼【しょうしゃく】し,武勝【ぶしょう】攙搶【ざんそう】を屠【ほう】る。
錦を割いて價を酬いず,雲に構えて高營【こうえい】有り。
通波【つうは】鱗介【りんかい】に牣【み】ち,疏畹【そえん】蕭蘅【しょうこう】に富む。


(現代語訳)
やさしい返事によってめざめるおもいがする。やる気のない気の抜けた表情がまるで二日酔いのようである。
鳳凰の羽は、羽衣を着て翔び立つようだ。鵝鳥の脂肪は堂々と佩び玉をつけて歩く。
詩歌・文化の興隆はそれぞれの文人をみやびにかがやかせている。軍人は戦争に勝つことであるがそれはほうき星の占いによるものである。
彩錦をさいてその恩賞にすることはないが、雲の中に構築するかのように高大な建造物に招かれることはあるのだ。
川の流からとって魚や貝類を充満させる。きりひらいた菜園からは青菜がゆたかにとれる。


(訳注)
嬌應如在寤,頹意若含酲。

やさしい返事によってめざめるおもいがする。やる気のない気の抜けた表情がまるで二日酔いのようである。
嬬応 やさしい返事。・ めざめていること。・頹意 ものたゆげなさま。やる気のない気の抜けた表情。・ 二日酔い。


鹓毳翔衣帶,鵝肪截佩璜。
鳳凰の羽は、羽衣を着て翔び立つようだ。鵝鳥の脂肪は堂々と佩び玉をつけて歩く。
鹓毳 鳳凰の羽毛。・鵝肪 鵝鳥の脂肪。・佩璜 おびだま。


文升相照灼,武勝屠攙搶。
詩歌・文化の興隆はそれぞれの文人をみやびにかがやかせている。軍人は戦争に勝つことであるがそれはほうき星の占いによるものである。
文昇 詩歌・文化の興隆。・武勝 戦争に勝つ。・攙搶 ほうき星。妖。この星があらわれると天下に変乱がおこると信じられていた。


割錦不酬價,構雲有高營。
彩錦をさいてその恩賞にすることはないが、雲の中に構築するかのように高大な建造物に招かれることはあるのだ。
構雲 雲の中に構築するかのように。・高營 高大な建造物。


通波牣鱗介,疏畹富蕭蘅。
川の流からとって魚や貝類を充満させる。きりひらいた菜園からは青菜がゆたかにとれる。
通波 川。・ 充満する。・疏畹 きりひらいた菜園。・蕭蘅 よもぎとかんあおい。


城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#17>Ⅱ中唐詩413 紀頌之の漢詩ブログ1318

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城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#17>#1~#31(全31回)

第五部
(#17~#20)
#17
孟郊) 葩蘗相妒出,
韓愈) 菲茸共舒晴。類招臻倜詭,
孟郊) 翼萃伏衿纓。危望跨飛動,
韓愈) 冥升躡登閎。春遊轢靃靡,
孟郊) 彩伴颯嫈嫇。遺燦飄的皪,
韓愈) 淑顏洞精誠。
#17  *上記聯句を韻により変更して読む
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
危望跨飛動,冥升躡登閎。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。
#17
葩蘗【はげつ】相妒【ねた】んで出で,菲茸【ひじゅう】共に舒【の】びて晴【やす】らぐ。
類 招いて倜詭【てきき】臻【いた】り,翼 萃【あつま】って衿纓【きんえい】に伏す。
危望【きぼう】飛動【ひどう】に跨【またが】り,冥升【めいしょう】登閎【とうこう】を躡【ふ】む。
春遊【しゅんゆう】靃靡【ずいび】を轢【ふ】み,彩伴【さいはん】嫈嫇【おうぼう】を颯【うごか】す。
遺燦【いさん】的皪【てきれき】を飄【ひるがえ】し,淑顏【しゅくがん】精誠【せいせい】洞【あきらか】なり。


韓愈) 嬌應如在寤,
孟郊) 頹意若含酲。鹓毳翔衣帶,
韓愈) 鵝肪截佩璜。文升相照灼,
孟郊) 武勝屠攙搶。割錦不酬價,
韓愈) 構雲有高營。通波牣鱗介,
孟郊) 疏畹富蕭蘅。
#19
孟郊) 買養馴孔翠,
韓愈) 遠苞樹蕉栟。鴻頭排刺芡,
孟郊) 鵠卵攢瑰橙。騖廣雜良牧,
韓愈) 蒙休賴先盟。罷旄奉環衛,
孟郊) 守封踐忠貞。戰服脫明介,
韓愈) 朝冠飄彩纮。
#20
韓愈) 爵勛逮僮隸,
孟郊) 簪笏自懷繃。乳下秀嶷嶷,
韓愈) 椒蕃泣喤々。貌鑒清溢匣,
孟郊) 眸光寒發硎。館儒養經史,
韓愈) 綴戚觴孫甥。考鍾饋肴核,
孟郊) 戛鼓侑牢牲。



現代語訳と訳註
(本文)

#17
孟郊) 葩蘗相妒出,
韓愈) 菲茸共舒晴。類招臻倜詭,
孟郊) 翼萃伏衿纓。危望跨飛動,
韓愈) 冥升躡登閎。春遊轢靃靡,
孟郊) 彩伴颯嫈嫇。遺燦飄的皪,
韓愈) 淑顏洞精誠。
#17  *上記聯句を韻により変更して読む
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
危望跨飛動,冥升躡登閎。
春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。


(下し文)#17
葩蘗【はげつ】相妒【ねた】んで出で,菲茸【ひじゅう】共に舒【の】びて晴【やす】らぐ。
類 招いて倜詭【てきき】臻【いた】り,翼 萃【あつま】って衿纓【きんえい】に伏す。
危望【きぼう】飛動【ひどう】に跨【またが】り,冥升【めいしょう】登閎【とうこう】を躡【ふ】む。
春遊【しゅんゆう】靃靡【ずいび】を轢【ふ】み,彩伴【さいはん】嫈嫇【おうぼう】を颯【うごか】す。
遺燦【いさん】的皪【てきれき】を飄【ひるがえ】し,淑顏【しゅくがん】精誠【せいせい】洞【あきらか】なり。


(現代語訳)
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。


(訳注) #17
葩蘗相妒出,菲茸共舒晴。
花と芽はたがいにねたむようにして伸び、咲いている。 青菜と蒲の穂はともに伸びて萌木色にきらめいている。
・葩蘗 はなと芽。・相妬 競争する。・菲茸 青菜と蒲の穂。・ 伸長する。


類招臻倜詭,翼萃伏衿纓。
けだものも互いに呼び合ってずばぬけて怪奇なことになっている。鳥類があつまってきてひとに接近して なれたりする。
類招 けだものは同類で相よびあう。・倜詭 ずばぬけて怪奇なこと。・翼萃 鳥類があつまる。・衿纓 人の襟と冠のひも。ひとびとをさす。


危望跨飛動,冥升躡登閎。
高殿に昇りながめとびあがるとりまたがるのである。ひとに知られないうちに高いところに上り高大を踏むのである。
危望 高く登ってながめること。・冥升 ひとに知られないうちに高いところに上ること。・園 高大。


春遊轢靃靡,彩伴颯嫈嫇。
春の野で遊んだ時にはなよやかな草をふみしめる。目もあやな衣裳をつけた腰元がはにかむ新婦の姫うながしている。
靃靡 草のなよやかなさま。・彩伴 目もあやな衣裳をつけた同伴者。・嫈嫇 はにかむ新婦。


遺燦飄的皪,淑顏洞精誠。
キラキラ輝いて舞翻って散りおちてもきらめいている。奥ゆかしく清そな顔立ちはすなおそうなかんじである。
遺燦 地におちたきらめくもの。・的皪 キラキラ輝くさま。・ こぢんまりとして控えめなこと。
洞精誠 すなおそうだというほどの意。性的な表現かもしれない。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#16>Ⅱ中唐詩412 紀頌之の漢詩ブログ1315

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第四部(#12~#16)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。
  *上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
祥色被文彥,良才插杉檉。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。

#14
隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴。
  *上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。

だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。

隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。

#15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#15 *上記聯句を韻により変更して読む
積照涵德鏡,傳經儷金籝。
仁徳の鏡にほまれがかがやき、かさなりあう、経典を伝え遺すことは 竹かごに黄金を盛ったものより優るものである。
食家行鼎鼐,寵族飫弓旌。
家で食事をすることは小さなかなえと大きなかなえをならべてするものだ、家門一族を愛し、恩に感じることは高官として迎えられることをあふれさせたい。
弈制盡從賜,殊私得逾程。
国の代々受け継がれた制度によりてことごとく天子より賜ることにより、わたしとって特別ないつくしみが程度をこしてあられる。
飛橋上架漢,繚岸俯規瀛。
天の河のうえに吊橋をかけ、仙人の住む里の一つである、東海の三山、瀛州の入り組んだ岸辺に橋でつなぐことになろう。
瀟碧遠輸委,湖嵌費攜擎。
瀟湘地方の碧竹をとおくからはこばせ、太湖産の穴のあいた奇岩をもってこさせる。

照を積みて涵德鏡【とくきょう】を【ひた】し,經を傳えて金籝【きんえい】を儷【くら】ぶ。
家に食して鼎鼐【ていだい】を行【つら】ね,族を寵【ちょう】して弓旌【きゅうせい】を飫【おお】からしむ。
弈制【えきせい】盡【ことごと】く賜【し】に從い,殊私【しゅし】程を逾ゆるを得たり。
飛橋【ひきょう】上って漢に架け,繚岸【しゅうがん】俯して瀛【えい】を規【はか】る。
瀟碧【しょうへき】遠くより輸委【しゅい】し,湖嵌【こかん】攜擎【けいけい】を費【ついや】す。


#16
萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑骍。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。
#16  *上記聯句を韻により変更して読む
萄苜從大漠,楓櫧至南荊。
中央アジアの大沙漠こえて、葡萄とアルファルファがきた、フウの木とかしの木荊南よりひろがった。
嘉植鮮危朽,膏理易滋榮。
珍しいあぶないか、くちたかのような植物を喜んで植える、白いあぶらのような木目をもつ木々は茂り、花さきほこっている。
懸長巧紐翠,象曲善攢珩。
ながい枝をそろえるのに巧みに紐をつかい翠をいかしている。蔓のくねり利用し、おび玉をあつめる。
魚口星浮沒,馬毛錦斑騂。
魚の口は星のように浮き沈みするし、馬の毛は赤黄色の馬が赤黄まだらになる。
五方亂風土,百種分鉏耕。

東西南北と中央の五方にあるみだれた異民族の風俗があり、したがって百種ある草については分けて植える。

萄苜【とうもく】は大漠【たいばく】從りし,楓櫧【ふうしょ】南荊【なんけい】より至る。
嘉植【かしょく】危朽【ききゅう】するは鮮【すくな】く,膏理【こうり】滋榮【じえい】し易し。
長を懸けて巧に翠を紐【ちゅう】し,曲を象【かたど】って善く珩【こう】を攢【あつ】む。
魚口【ぎょこう】に星は浮沒【ふぼつ】し,馬毛は錦【にしき】斑騂【はんせい】なり。
五方 風土 亂れ,百種 鉏耕【しゅこう】を分つ。


現代語訳と訳註
(本文) #16

萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑騂。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。
#16  *上記聯句を韻により変更して読む
萄苜從大漠,楓櫧至南荊。
嘉植鮮危朽,膏理易滋榮。
懸長巧紐翠,象曲善攢珩。
魚口星浮沒,馬毛錦斑騂。
五方亂風土,百種分鉏耕。


(下し文)
萄苜【とうもく】は大漠【たいばく】從りし,楓櫧【ふうしょ】南荊【なんけい】より至る。
嘉植【かしょく】危朽【ききゅう】するは鮮【すくな】く,膏理【こうり】滋榮【じえい】し易し。
長を懸けて巧に翠を紐【ちゅう】し,曲を象【かたど】って善く珩【こう】を攢【あつ】む。
魚口【ぎょこう】に星は浮沒【ふぼつ】し,馬毛は錦【にしき】斑騂【はんせい】なり。
五方 風土 亂れ,百種 鉏耕【しゅこう】を分つ。


(現代語訳)
中央アジアの大沙漠こえて、葡萄とアルファルファがきた、フウの木とかしの木荊南よりひろがった。
珍しいあぶないか、くちたかのような植物を喜んで植える、白いあぶらのような木目をもつ木々は茂り、花さきほこっている。
ながい枝をそろえるのに巧みに紐をつかい翠をいかしている。蔓のくねり利用し、おび玉をあつめる。
魚の口は星のように浮き沈みするし、馬の毛は赤黄色の馬が赤黄まだらになる。
東西南北と中央の五方にあるみだれた異民族の風俗があり、したがって百種ある草については分けて植える。


(訳注)
萄苜從大漠,楓櫧至南荊。
中央アジアの大沙漠こえて、葡萄とアルファルファがきた、フウの木とかしの木荊南よりひろがった。
・萄 ぶどうとうまごやし、アルファルファ。
大漠 大きな沙漠。中央アジアをさす。
楓櫧 フウの木とかしの木。楓は日本のかえでとはちがう。


嘉植鮮危朽,膏理易滋榮。
珍しいあぶないか、くちたかのような植物を喜んで植える、白いあぶらのような木目をもつ木々は茂り、花さきほこっている。
膏理 白いあぶらのような木目をもつ木々。


懸長巧紐翠,象曲善攢珩。
ながい枝をそろえるのに巧みに紐をつかい翠をいかしている。蔓のくねり利用し、おび玉をあつめる。
・珩 おびだま。


魚口星浮沒,馬毛錦斑騂。
魚の口は星のように浮き沈みするし、馬の毛は赤黄色の馬が赤黄まだらになる。
斑騂 騂は赤黄色の馬。斑騂は赤黄まだらに。


五方亂風土,百種分鉏耕。
東西南北と中央の五方にあるみだれた異民族の風俗があり、したがって百種ある草については分けて植える。
五方 東西南北と中央。中国と四方の異民族のくにぐに。

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第四部(#12~#16)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。
  *上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
祥色被文彥,良才插杉檉。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。

#14
隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴。
  *上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。
だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。

隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。

#15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#15  *上記聯句を韻により変更して読む
積照涵德鏡,傳經儷金籝。
仁徳の鏡にほまれがかがやき、かさなりあう、経典を伝え遺すことは 竹かごに黄金を盛ったものより優るものである。
食家行鼎鼐,寵族飫弓旌。
家で食事をすることは小さなかなえと大きなかなえをならべてするものだ、家門一族を愛し、恩に感じることは高官として迎えられることをあふれさせたい。
弈制盡從賜,殊私得逾程。
国の代々受け継がれた制度によりてことごとく天子より賜ることにより、わたしとって特別ないつくしみが程度をこしてあられる。
飛橋上架漢,繚岸俯規瀛。
天の河のうえに吊橋をかけ、仙人の住む里の一つである、東海の三山、瀛州の入り組んだ岸辺に橋でつなぐことになろう。
瀟碧遠輸委,湖嵌費攜擎。

瀟湘地方の碧竹をとおくからはこばせ、太湖産の穴のあいた奇岩をもってこさせる。

照を積みて涵德鏡【とくきょう】を【ひた】し,經を傳えて金籝【きんえい】を儷【くら】ぶ。
家に食して鼎鼐【ていだい】を行【つら】ね,族を寵【ちょう】して弓旌【きゅうせい】を飫【おお】からしむ。
弈制【えきせい】盡【ことごと】く賜【し】に從い,殊私【しゅし】程を逾ゆるを得たり。
飛橋【ひきょう】上って漢に架け,繚岸【しゅうがん】俯して瀛【えい】を規【はか】る。
瀟碧【しょうへき】遠くより輸委【しゅい】し,湖嵌【こかん】攜擎【けいけい】を費【ついや】す。


#16
萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑骍。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。



現代語訳と訳註
(本文) #15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#15  *上記聯句を韻により変更して読む
積照涵德鏡,傳經儷金籝。
食家行鼎鼐,寵族飫弓旌。
弈制盡從賜,殊私得逾程。
飛橋上架漢,繚岸俯規瀛。
瀟碧遠輸委,湖嵌費攜擎。


(下し文)
照を積みて涵德鏡【とくきょう】を【ひた】し,經を傳えて金籝【きんえい】を儷【くら】ぶ。
家に食して鼎鼐【ていだい】を行【つら】ね,族を寵【ちょう】して弓旌【きゅうせい】を飫【おお】からしむ。
弈制【えきせい】盡【ことごと】く賜【し】に從い,殊私【しゅし】程を逾ゆるを得たり。
飛橋【ひきょう】上って漢に架け,繚岸【しゅうがん】俯して瀛【えい】を規【はか】る。
瀟碧【しょうへき】遠くより輸委【しゅい】し,湖嵌【こかん】攜擎【けいけい】を費【ついや】す。


(現代語訳)
仁徳の鏡にほまれがかがやき、かさなりあう、経典を伝え遺すことは 竹かごに黄金を盛ったものより優るものである。
家で食事をすることは小さなかなえと大きなかなえをならべてするものだ、家門一族を愛し、恩に感じることは高官として迎えられることをあふれさせたい。
国の代々受け継がれた制度によりてことごとく天子より賜ることにより、わたしとって特別ないつくしみが程度をこしてあられる。
天の河のうえに吊橋をかけ、仙人の住む里の一つである、東海の三山、瀛州の入り組んだ岸辺に橋でつなぐことになろう。
瀟湘地方の碧竹をとおくからはこばせ、太湖産の穴のあいた奇岩をもってこさせる。


(訳注)
積照涵德鏡,傳經儷金籝。
仁徳の鏡にほまれがかがやき、かさなりあう、経典を伝え遺すことは 竹かごに黄金を盛ったものより優るものである。
積照 照り輝くのが重なり合うさま。・ くらべる。・金籝 黄金を盛った竹かご。


食家行鼎鼐,寵族飫弓旌。
家で食事をすることは小さなかなえと大きなかなえをならべてするものだ、家門一族を愛し、恩に感じることは高官として迎えられることをあふれさせたい。
食家 家で食事をする。・行 ならべる。・鼎飛 小さなかなえと大きなかなえ。・寵族 家門一族を愛するとう恩に感じること。・弓旌 高官として迎えられること。・ 旗竿(はたざお)のさきに旄(ぼう)という旗飾りをつけ、これに鳥の羽などを垂らした旗。天子が士気を鼓舞するのに用いる。また、旗の総称。


弈制盡從賜,殊私得逾程。
国の代々受け継がれた制度によりてことごとく天子より賜ることにより、わたしとって特別ないつくしみが程度をこしてあられる。
弈制 国の代々受け継がれた制度。えきせい【奕世】とは。《「奕」は重ねる意》世を重ねること。代々。奕葉。累世。《奕【えき】碁を打つこと。手段を考える。》大きな制度。・殊私 特別のいつくしみ。・遜程 程度をこす。


飛橋上架漢,繚岸俯規瀛。
天の河のうえに吊橋をかけ、仙人の住む里の一つである、東海の三山、瀛州の入り組んだ岸辺に橋でつなぐことになろう。
 あまのがわ。・繚岸 入り組んだ岸辺。
 滄州のことであろう。東海三山。蓬莱・方丈・瀛州の中にあって神仙が住むという山。


瀟碧遠輸委,湖嵌費攜擎。
瀟湘地方の碧竹をとおくからはこばせ、太湖産の穴のあいた奇岩をもってこさせる。

蒲碧 瀟湘地方の碧竹。・輪委 はこび、おく。・湖嵌 太湖産の穴のあいた奇岩。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#14>Ⅱ中唐詩410 紀頌之の漢詩ブログ1309

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#14>Ⅱ中唐詩410 紀頌之の漢詩ブログ1309


第四部(#12~#16)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。

*上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
祥色被文彥,良才插杉檉。

#14
韓愈) 隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴。

*上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。

隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。

#15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#16
萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑骍。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。


現代語訳と訳註
(本文)
#14
隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴

*上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
擘華露神物,擁終儲地禎。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。

(下し文)
隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。


(訳注)
隱伏饒氣象,興潛示堆坑。

隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
隱伏 (1)隠れひそむこと。 (2)見えないように隠すこと。・【じょう】有り余るほど多い。ゆたか。
氣象 生まれつきもっている性格。気だて。・興潛 隠遁して興のある生活でひそむこと。・【たい】 1か所にうず高く積もっていること。海底で、平らな頂をもつ隆起部。プランクトンが多く好漁場となる。坑【こう】地中に掘った穴。鉱山の穴。


擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
擘華 華山はもと黄河対岸の首陽山と一つの山で、黄河かそれを迂廻していたが、河の神が、山を二つにさいて、その間を黄河が通れるようにした、という伝説がある。韓愈『南山詩』「巨靈與誇蛾,遠賈期必售。」参照。・神物 華山をさす。・擁終 終南山をかかえこむ。・地禎 土地の瑞祥。めでたいことが起こるという前兆。吉兆。


訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
訏謨 大きなはかりごと。・締始 終始。・輔弼 天子の政治をたすけること。また、その人。朝廷の大臣。


坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
坌秀 坌はわき上がること、またつもること。秀気の堆積というほどの意。・填塞 満たしてふさぐこと。また、満ちふさがること。・呀靈 はき出された霊気。・渟澄 水がたたえて澄むこと。


益大聯漢魏,肇初邁周嬴。
だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。
益大 だんだん大きくなってゆくこと。・肇初 国家をつくり始めるわざ。・周嬴 周と泰。豪の始皇帝の名は嬴。

だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#13>Ⅱ中唐詩409 紀頌之の漢詩ブログ1306

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#13>Ⅱ中唐詩409 紀頌之の漢詩ブログ1306


第四部(#12~#16)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。

*上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
祥色被文彥,良才插杉檉。

#14
隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴。
#15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#16
萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑骍。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。




現代語訳と訳註
(本文)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。
#13

*上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
祥色被文彥,良才插杉檉。


(下し文) #13
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。


(現代語訳)
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。


(訳注) #13
藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。

巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
藂巧 芸達者な連中をあつめる。・ わかどりの肉をさす。


桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
蕪蔓 雑草が生いしげった荒れ地。・ くすのき。・登丁 木をきる音。


霞鬥詎能極,風期誰復賡。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
霞鬥 霞は、日の光の空にはえることをいう。霞鬥は、その家の栄華を霞と競争するというほどの意。
風期 風流。


臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
皐区 すぐれた地域。・〔壤〕【じょう】1 耕作に適した土。「土壌」2 国土。大地。・瑰蘊 うつくしくやさしい。・天京 天子のみやこ。


祥色被文彥,良才插杉檉。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
文彦 文才あるひと。・杉檉 すぎとかわやなぎ。杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるように才能をあらわすというほどの意。


幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#12>Ⅱ中唐詩408 紀頌之の漢詩ブログ1303

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第三部
#9
孟郊) 寶唾拾未盡,
韓愈) 玉啼墮猶槍。窗綃疑閟艷,
孟郊) 妝燭已銷檠。綠發抽瑉甃,
韓愈) 青膚聳瑤楨。白蛾飛舞地,
孟郊) 幽蠹落書棚。惟昔集嘉詠,
韓愈) 吐芳類鳴嚶。

*上記聯句を韻により変更して読む

寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。
宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。

寶唾【ほうだ】未だ盡さざるを拾わん,玉啼【ぎょくてい】猶お槍【そう】たることく墮ちん。
窗綃【そうしょう】は艷【えん】を閟【と】づるかを疑い,妝燭【しょうしょく】は已に檠【けい】を銷【き】ゆ。
綠發【りょくはつ】瑉甃【びんしゅう】より抽【ぬき】んでて,青膚【せいふ】は瑤楨【ようてい】を聳【そびえ】かす。
白蛾【はくが】舞地【ぶち】に飛び,幽蠹【ゆうと】書棚【しょほう】より落つ。
惟【こ】れ昔嘉詠【かえい】を集め,芳を吐いて鳴嚶【めいおう】に類す。


#10
韓愈) 窺奇摘海異,
孟郊) 恣韻激天鯨。腸胃繞萬象,
韓愈) 精神驅五兵。蜀雄李杜拔,
孟郊) 嶽力雷車轟。大句斡玄造,
韓愈) 高言軋霄崢。芒端轉寒燠,
孟郊) 神助溢杯觥。

*上記聯句を韻により変更して読む

窺奇摘海異,恣韻激天鯨。

奇を窺いて海異【かいい】を摘み,韻を恣【ほしいまま】にして天鯨【てんげい】を激す。
腸胃【ちょうい】萬象【ばんしょう】を繞り,精神は五兵を驅【か】る。
蜀雄【しょくゆう】李杜【りと】拔きんで,嶽力【がくりょく】雷車轟く。
大句は玄造【げんぞう】を斡【あつ】,高言は霄崢【しょうそう】を軋【きし】る。
芒端【ぼうたん】 寒燠【かんいく】を.じ,神助【しんじょ】 杯觥【はいこう】に溢る。


#11
孟郊) 巨細各乘運,
韓愈) 湍潿亦騰聲。淩花咀粉蕊,
孟郊) 削縷穿珠櫻。綺語洗晴雪,
韓愈) 嬌辭哢雛鶯。酣歡雜弁珥,
孟郊) 繁價流金瓊。菡萏寫江調,
韓愈) 萎蕤綴藍瑛。

*上記聯句を韻により変更して読む

巨細各乘運,湍潿亦騰聲。

巨細【きょ・さい】は各【おのお】の運に乘じ,湍潿【たんい】も亦た聲を騰げる。
花を淩いで粉蕊【ふんずい】を咀【くら】い,縷【る】を削って珠櫻【しゅおう】を穿【うが】つ。
綺語【きご】は晴雪を洗【そそ】ぎ,嬌辭【きょうじ】は雛鶯【すうおう】を哢【ささや】く。
酣歡【かんかん】弁珥【べんじょ】を雜【まじ】へ,繁價【はんか】金瓊【きんけい】を流【ついや】す。
菡萏【かたん】江調【こうちょう】を寫す,萎蕤【いずい】藍瑛【らんえい】を綴る。



#12
韓愈) 庖霜膾玄鯽,
孟郊) 浙玉炊香粳。朝饌已百態,
韓愈) 春醪又千名。哀匏蹙駛景,
孟郊) 冽唱凝余晶。解魄不自主,
韓愈) 痺肌坐空瞠。扳援賤蹊絕,
孟郊) 炫曜仙選更。
#12

*上記聯句を韻により変更して読む

庖霜膾玄鯽,浙玉炊香粳。
黒フナの肉片を霜柱のように細く包丁を入れ、それをなますにする、宝玉をすすぐように上等のうるち米をとぎ炊飯する。
朝饌已百態,春醪又千名。
朝食は並べられすでに百種類もあろうか、その上この春の一番搾りの千の銘柄の濁り酒がある。
哀匏蹙駛景,冽唱凝余晶。
かなしい笛の音が聞こえて消えるように光陰は矢のように過ぎ去る。清らかな歌声は名残の光と疑うばかりである。
解魄不自主,痺肌坐空瞠。
快楽に心が解けるようなことには自ら主役になることはないし、ましてや座り続けて痺れを切らして見上げるということもない。
扳援賤蹊絕,炫曜仙選更。
ひとを採り立てることはしても賤しいひとの進み通うみちを遮断することはない。まばゆいこととおもうのはえりぬきの仙女をさらに選び出すことであろうか。

霜を庖【ほう】して玄鯽【げんせい】を膾【なます】にし,玉を浙【あら】って炊香粳【こうこう】を【かし】ぐ。
朝饌【ちょうせん】已に百態【ひゃくたい】,春醪【しゅんろう】又 千名。
哀匏【あいほう】は駛景【しけい】を蹙【お】い,冽唱【れつしょう】は余晶【よしょう】を凝【こ】らす。
解魄【かいはく】して自ら主ならず,痺肌【ひき】して坐し空しく瞠【みは】る。
扳援【はんえん】賤蹊【せんけい】絕【た】え,炫曜【げんよう】仙選【せんせん】更【かわ】る。


現代語訳と訳註
(本文)
#12
韓愈) 庖霜膾玄鯽,
孟郊) 浙玉炊香粳。朝饌已百態,
韓愈) 春醪又千名。哀匏蹙駛景,
孟郊) 冽唱凝余晶。解魄不自主,
韓愈) 痺肌坐空瞠。扳援賤蹊絕,
孟郊) 炫曜仙選更。
#12

*上記聯句を韻により変更して読む

庖霜膾玄鯽,浙玉炊香粳。
朝饌已百態,春醪又千名。
哀匏蹙駛景,冽唱凝余晶。
解魄不自主,痺肌坐空瞠。
扳援賤蹊絕,炫曜仙選更。


(下し文) #12
霜を庖【ほう】して玄鯽【げんせい】を膾【なます】にし,玉を浙【あら】って炊香粳【こうこう】を【かし】ぐ。
朝饌【ちょうせん】已に百態【ひゃくたい】,春醪【しゅんろう】又 千名。
哀匏【あいほう】は駛景【しけい】を蹙【お】い,冽唱【れつしょう】は余晶【よしょう】を凝【こ】らす。
解魄【かいはく】して自ら主ならず,痺肌【ひき】して坐し空しく瞠【みは】る。
扳援【はんえん】賤蹊【せんけい】絕【た】え,炫曜【げんよう】仙選【せんせん】更【かわ】る。


(現代語訳)
黒フナの肉片を霜柱のように細く包丁を入れ、それをなますにする、宝玉をすすぐように上等のうるち米をとぎ炊飯する。
朝食は並べられすでに百種類もあろうか、その上この春の一番搾りの千の銘柄の濁り酒がある。
かなしい笛の音が聞こえて消えるように光陰は矢のように過ぎ去る。清らかな歌声は名残の光と疑うばかりである。
快楽に心が解けるようなことには自ら主役になることはないし、ましてや座り続けて痺れを切らして見上げるということもない。
ひとを採り立てることはしても賤しいひとの進み通うみちを遮断することはない。まばゆいこととおもうのはえりぬきの仙女をさらに選び出すことであろうか。


(訳注) #12
庖霜膾玄鯽,浙玉炊香粳。
黒フナの肉片を霜柱のように細く包丁を入れ、それをなますにする、宝玉をすすぐように上等のうるち米をとぎ炊飯する。
庖霜 魚の肉片を霜柱のように細く包丁を入れること。・玄鯽 黒いふな。・香粳 上等のうるち米。


朝饌已百態,春醪又千名。
朝食は並べられすでに百種類もあろうか、その上この春の一番搾りの千の銘柄の濁り酒がある。
朝饌 朝食。・百態 百種類。・春醪 春つくった濁り酒。・千名 千の銘柄。


匏蹙駛景,冽唱凝余晶。
かなしい笛の音が聞こえて消えるように光陰は矢のように過ぎ去る。清らかな歌声は名残の光と疑うばかりである。
哀匏 かなしい笛のこえ。・ 追いすがる。・駛景 走る日かげ。経過する時間をさす。・冽唱 きよらかなうたごえ。・余晶 なごりのひかり。


解魄不自主,痺肌坐空瞠。
快楽に心が解けるようなことには自ら主役になることはないし、ましてや座り続けて痺れを切らして見上げるということもない。
・解 こころがとろける。


扳援賤蹊絕,炫曜仙選更。
ひとを採り立てることはしても賤しいひとの進み通うみちを遮断することはない。まばゆいこととおもうのはえりぬきの仙女をさらに選び出すことであろうか。
扳援 とりたてる。・賤蹊 賤しいひとの進み通うみち。・炫曜 まばゆいこと。・仙選 えりぬきの仙女。
 さらに選び出す。

細石であり、巨岩であり、それぞれみな乗せられているし、早瀬と淀はまた大声をあげ驚くのである。
淩花咀粉蕊,削縷穿珠櫻。
花でいえば花ビラを砕いたり、花粉の付いた花の蕊を 食べてしまうということである。そしてサトザクラの宝石の穴をあけ糸で繋いで首飾りにするようだ。
綺語洗晴雪,嬌辭哢雛鶯。
きらびやかな言葉は空を洗い晴れ雪を照らす。艶めかしい言葉は、ひなのうぐいすがさえずるようである。
酣歡雜弁珥,繁價流金瓊。
艶歌は男女の性交を詠い、歓喜もさいこうちょうになる。そうしておびただしい費用となり、黄金と美玉が消費されることになる。
菡萏寫江調,萎蕤綴藍瑛。
蓮の花は江南の採蓮歌として世に広がったし、そしてそれは、あまどころのようであり、藍田の水晶玉をぶらさげたようだ。

大海の珍しいものがないかと探し出し海では異なったものを摘み取るような句であり、縦横に押韻するということで大鯨が大暴れする様な詩歌が詠われる。
腸胃繞萬象,精神驅五兵。
胸中にある万物のすがたをむねにめぐらせる巧さがあり、こころに思うことは五種類の道具を駆使して存分にする。 
蜀雄李杜拔,嶽力雷車轟。
蜀の国のすぐれた人は李白・杜甫を抜くほどのものだ。そして、雲や雷を生み出す力を内蔵している大岩のように雷や戦車の車輪の轟をさせる句をつくる。
大句斡玄造,高言軋霄崢。
大いなる句は幽玄な造化をめぐらせ、高士の言葉は高い空をきしませてひろがる。
芒端轉寒燠,神助溢杯觥。
筆の穂先ひとつで暑さ、寒さ変幻自在であるし、神の助けを授けられた直観力は大盃にあふれるほどである。

あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#11>Ⅱ中唐詩407 紀頌之の漢詩ブログ1300

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#11>Ⅱ中唐詩407 紀頌之の漢詩ブログ1300


第三部
#9
孟郊) 寶唾拾未盡,
韓愈) 玉啼墮猶槍。窗綃疑閟艷,
孟郊) 妝燭已銷檠。綠發抽瑉甃,
韓愈) 青膚聳瑤楨。白蛾飛舞地,
孟郊) 幽蠹落書棚。惟昔集嘉詠,
韓愈) 吐芳類鳴嚶。

*上記聯句を韻により変更して読む

寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。
宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。

寶唾【ほうだ】未だ盡さざるを拾わん,玉啼【ぎょくてい】猶お槍【そう】たることく墮ちん。
窗綃【そうしょう】は艷【えん】を閟【と】づるかを疑い,妝燭【しょうしょく】は已に檠【けい】を銷【き】ゆ。
綠發【りょくはつ】瑉甃【びんしゅう】より抽【ぬき】んでて,青膚【せいふ】は瑤楨【ようてい】を聳【そびえ】かす。
白蛾【はくが】舞地【ぶち】に飛び,幽蠹【ゆうと】書棚【しょほう】より落つ。
惟【こ】れ昔嘉詠【かえい】を集め,芳を吐いて鳴嚶【めいおう】に類す。


#10
韓愈) 窺奇摘海異,
孟郊) 恣韻激天鯨。腸胃繞萬象,
韓愈) 精神驅五兵。蜀雄李杜拔,
孟郊) 嶽力雷車轟。大句斡玄造,
韓愈) 高言軋霄崢。芒端轉寒燠,
孟郊) 神助溢杯觥。

*上記聯句を韻により変更して読む

窺奇摘海異,恣韻激天鯨。

奇を窺いて海異【かいい】を摘み,韻を恣【ほしいまま】にして天鯨【てんげい】を激す。
腸胃【ちょうい】萬象【ばんしょう】を繞り,精神は五兵を驅【か】る。
蜀雄【しょくゆう】李杜【りと】拔きんで,嶽力【がくりょく】雷車轟く。
大句は玄造【げんぞう】を斡【あつ】,高言は霄崢【しょうそう】を軋【きし】る。
芒端【ぼうたん】 寒燠【かんいく】を.じ,神助【しんじょ】 杯觥【はいこう】に溢る。


#11
孟郊) 巨細各乘運,
韓愈) 湍潿亦騰聲。淩花咀粉蕊,
孟郊) 削縷穿珠櫻。綺語洗晴雪,
韓愈) 嬌辭哢雛鶯。酣歡雜弁珥,
孟郊) 繁價流金瓊。菡萏寫江調,
韓愈) 萎蕤綴藍瑛。

*上記聯句を韻により変更して読む

巨細各乘運,湍潿亦騰聲。
細石であり、巨岩であり、それぞれみな乗せられているし、早瀬と淀はまた大声をあげ驚くのである。
淩花咀粉蕊,削縷穿珠櫻。
花でいえば花ビラを砕いたり、花粉の付いた花の蕊を 食べてしまうということである。そしてサトザクラの宝石の穴をあけ糸で繋いで首飾りにするようだ。
綺語洗晴雪,嬌辭哢雛鶯。
きらびやかな言葉は空を洗い晴れ雪を照らす。艶めかしい言葉は、ひなのうぐいすがさえずるようである。
酣歡雜弁珥,繁價流金瓊。
艶歌は男女の性交を詠い、歓喜もさいこうちょうになる。そうしておびただしい費用となり、黄金と美玉が消費されることになる。
菡萏寫江調,萎蕤綴藍瑛。

巨細【きょ・さい】は各【おのお】の運に乘じ,湍潿【たんい】も亦た聲を騰げる。
花を淩いで粉蕊【ふんずい】を咀【くら】い,縷【る】を削って珠櫻【しゅおう】を穿【うが】つ。
綺語【きご】は晴雪を洗【そそ】ぎ,嬌辭【きょうじ】は雛鶯【すうおう】を哢【ささや】く。
酣歡【かんかん】弁珥【べんじょ】を雜【まじ】へ,繁價【はんか】金瓊【きんけい】を流【ついや】す。
菡萏【かたん】江調【こうちょう】を寫す,萎蕤【いずい】藍瑛【らんえい】を綴る。


#12
韓愈) 庖霜膾玄鯽,
孟郊) 浙玉炊香粳。朝饌已百態,
韓愈) 春醪又千名。哀匏蹙駛景,
孟郊) 冽唱凝余晶。解魄不自主,
韓愈) 痺肌坐空瞠。扳援賤蹊絕,
孟郊) 炫曜仙選更。


現代語訳と訳註
(本文)
#11
孟郊) 巨細各乘運,
韓愈) 湍潿亦騰聲。淩花咀粉蕊,
孟郊) 削縷穿珠櫻。綺語洗晴雪,
韓愈) 嬌辭哢雛鶯。酣歡雜弁珥,
孟郊) 繁價流金瓊。菡萏寫江調,
韓愈) 萎蕤綴藍瑛。

*上記聯句を韻により変更して読む

巨細各乘運,湍潿亦騰聲。
淩花咀粉蕊,削縷穿珠櫻。
綺語洗晴雪,嬌辭哢雛鶯。
酣歡雜弁珥,繁價流金瓊。
菡萏寫江調,萎蕤綴藍瑛。


(下し文)
巨細【きょ・さい】は各【おのお】の運に乘じ,湍潿【たんい】も亦た聲を騰げる。
花を淩いで粉蕊【ふんずい】を咀【くら】い,縷【る】を削って珠櫻【しゅおう】を穿【うが】つ。
綺語【きご】は晴雪を洗【そそ】ぎ,嬌辭【きょうじ】は雛鶯【すうおう】を哢【ささや】く。
酣歡【かんかん】弁珥【べんじょ】を雜【まじ】へ,繁價【はんか】金瓊【きんけい】を流【ついや】す。
菡萏【かたん】江調【こうちょう】を寫す,萎蕤【いずい】藍瑛【らんえい】を綴る。


(現代語訳)
細石であり、巨岩であり、それぞれみな乗せられているし、早瀬と淀はまた大声をあげ驚くのである。
花でいえば花ビラを砕いたり、花粉の付いた花の蕊を 食べてしまうということである。
そしてサトザクラの宝石の穴をあけ糸で繋いで首飾りにするようだ。
きらびやかな言葉は空を洗い晴れ雪を照らす。艶めかしい言葉は、ひなのうぐいすがさえずるようである。
艶歌は男女の性交を詠い、歓喜もさいこうちょうになる。そうしておびただしい費用となり、黄金と美玉が消費されることになる。
蓮の花は江南の採蓮歌として世に広がったし、そしてそれは、あまどころのようであり、藍田の水晶玉をぶらさげたようだ。


(訳注)
巨細各乘運,湍潿亦騰聲。

細石であり、巨岩であり、それぞれみな乗せられているし、早瀬と淀はまた大声をあげ驚くのである。
乘運 はこばれる。・湍潿 早瀬と淀。


淩花咀粉蕊,削縷穿珠櫻。
花でいえば花ビラを砕いたり、花粉の付いた花の蕊を 食べてしまうということである。そしてサトザクラの宝石の穴をあけ糸で繋いで首飾りにするようだ。
淩花 花をくだく。・ 食べる。・粉蕊 花粉のついた花しべ。・削縷 糸をしごく。・珠櫻 サトザクラの一種。花の形が雲珠に似ているところからいう。石のきれいなもの。


綺語洗晴雪,嬌辭哢雛鶯。
きらびやかな言葉は空を洗い晴れ雪を照らす。艶めかしい言葉は、ひなのうぐいすがさえずるようである。
綺語 きらびやかな言葉。・雛鶯 ひなのうぐいす。鷺は駕と同じ。


酣歡雜弁珥,繁價流金瓊。
艶歌は男女の性交を詠い、歓喜もさいこうちょうになる。そうしておびただしい費用となり、黄金と美玉が消費されることになる。
酣歡 喜びがたけなわになるさま。・弁珥 冠と耳輪。ここでは、男女のまじわりのこと。・繁価 おびただしい費用。・ 費消する。・金噴 黄金と美玉。


菡萏寫江調,萎蕤綴藍瑛。
蓮の花は江南の採蓮歌として世に広がったし、そしてそれは、あまどころのようであり、藍田の水晶玉をぶらさげたようだ。
菡萏 蓮。・江調 江南の歌詞。江南の採蓮歌。

江南の採蓮歌。玉台新詠五巻『江南曲』 、同六巻擬古四首『採蓮』 李白『越女詞』、『採蓮曲』淥水曲  李白 11

李白10  採蓮曲

越女詞 五首 其一 李白12

萎蕤【いずい】 あまどころ。薬草から山菜,山野草のこと朝鮮半島や中国東北部、シベリアに分布する。海岸や山地の草地に生え、高さは5~15センチになる。地下茎を伸ばして群生する。葉は長楕円形から楕円形で、5月から6月ごろ、葉腋から1~2個、小さな鐘状の花を下垂して咲かせる。「あまどころ」を小さくしたような植物で、和名は「あまどころ」の中国名「萎蕤(いずい)」。・藍瑛 藍田は玉の名産地。瑛は水晶。



蓮の花は江南の採蓮歌として世に広がったし、そしてそれは、あまどころのようであり、藍田の水晶玉をぶらさげたようだ。

大海の珍しいものがないかと探し出し海では異なったものを摘み取るような句であり、縦横に押韻するということで大鯨が大暴れする様な詩歌が詠われる。
腸胃繞萬象,精神驅五兵。
胸中にある万物のすがたをむねにめぐらせる巧さがあり、こころに思うことは五種類の道具を駆使して存分にする。 
蜀雄李杜拔,嶽力雷車轟。
蜀の国のすぐれた人は李白・杜甫を抜くほどのものだ。そして、雲や雷を生み出す力を内蔵している大岩のように雷や戦車の車輪の轟をさせる句をつくる。
大句斡玄造,高言軋霄崢。
大いなる句は幽玄な造化をめぐらせ、高士の言葉は高い空をきしませてひろがる。
芒端轉寒燠,神助溢杯觥。
筆の穂先ひとつで暑さ、寒さ変幻自在であるし、神の助けを授けられた直観力は大盃にあふれるほどである。

あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#10>Ⅱ中唐詩406 紀頌之の漢詩ブログ1297

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#10>Ⅱ中唐詩406 紀頌之の漢詩ブログ1297


第三部
#9
孟郊) 寶唾拾未盡,
韓愈) 玉啼墮猶槍。窗綃疑閟艷,
孟郊) 妝燭已銷檠。綠發抽瑉甃,
韓愈) 青膚聳瑤楨。白蛾飛舞地,
孟郊) 幽蠹落書棚。惟昔集嘉詠,
韓愈) 吐芳類鳴嚶。

*上記聯句を韻により変更して読む

寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。
宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。

寶唾【ほうだ】未だ盡さざるを拾わん,玉啼【ぎょくてい】猶お槍【そう】たることく墮ちん。
窗綃【そうしょう】は艷【えん】を閟【と】づるかを疑い,妝燭【しょうしょく】は已に檠【けい】を銷【き】ゆ。
綠發【りょくはつ】瑉甃【びんしゅう】より抽【ぬき】んでて,青膚【せいふ】は瑤楨【ようてい】を聳【そびえ】かす。
白蛾【はくが】舞地【ぶち】に飛び,幽蠹【ゆうと】書棚【しょほう】より落つ。
惟【こ】れ昔嘉詠【かえい】を集め,芳を吐いて鳴嚶【めいおう】に類す。


#10
韓愈) 窺奇摘海異,
孟郊) 恣韻激天鯨。腸胃繞萬象,
韓愈) 精神驅五兵。蜀雄李杜拔,
孟郊) 嶽力雷車轟。大句斡玄造,
韓愈) 高言軋霄崢。芒端轉寒燠,
孟郊) 神助溢杯觥。

*上記聯句を韻により変更して読む

窺奇摘海異,恣韻激天鯨。
大海の珍しいものがないかと探し出し海では異なったものを摘み取るような句であり、縦横に押韻するということで大鯨が大暴れする様な詩歌が詠われる。
腸胃繞萬象,精神驅五兵。
胸中にある万物のすがたをむねにめぐらせる巧さがあり、こころに思うことは五種類の道具を駆使して存分にする。 
蜀雄李杜拔,嶽力雷車轟。
蜀の国のすぐれた人は李白・杜甫を抜くほどのものだ。そして、雲や雷を生み出す力を内蔵している大岩のように雷や戦車の車輪の轟をさせる句をつくる。
大句斡玄造,高言軋霄崢。
大いなる句は幽玄な造化をめぐらせ、高士の言葉は高い空をきしませてひろがる。
芒端轉寒燠,神助溢杯觥。

奇を窺いて海異【かいい】を摘み,韻を恣【ほしいまま】にして天鯨【てんげい】を激す。
腸胃【ちょうい】萬象【ばんしょう】を繞り,精神は五兵を驅【か】る。
蜀雄【しょくゆう】李杜【りと】拔きんで,嶽力【がくりょく】雷車轟く。
大句は玄造【げんぞう】を斡【あつ】,高言は霄崢【しょうそう】を軋【きし】る。
芒端【ぼうたん】 寒燠【かんいく】を.じ,神助【しんじょ】 杯觥【はいこう】に溢る。


#11
孟郊) 巨細各乘運,
韓愈) 湍潿亦騰聲。淩花咀粉蕊,
孟郊) 削縷穿珠櫻。綺語洗晴雪,
韓愈) 嬌辭哢雛鶯。酣歡雜弁珥,
孟郊) 繁價流金瓊。菡萏寫江調,
韓愈) 萎蕤綴藍瑛。
#12
韓愈) 庖霜膾玄鯽,
孟郊) 浙玉炊香粳。朝饌已百態,
韓愈) 春醪又千名。哀匏蹙駛景,
孟郊) 冽唱凝余晶。解魄不自主,
韓愈) 痺肌坐空瞠。扳援賤蹊絕,
孟郊) 炫曜仙選更。


現代語訳と訳註
(本文)
#10
韓愈) 窺奇摘海異,
孟郊) 恣韻激天鯨。腸胃繞萬象,
韓愈) 精神驅五兵。蜀雄李杜拔,
孟郊) 嶽力雷車轟。大句斡玄造,
韓愈) 高言軋霄崢。芒端轉寒燠,
孟郊) 神助溢杯觥。
#10

*上記聯句を韻により変更して読む

窺奇摘海異,恣韻激天鯨。
腸胃繞萬象,精神驅五兵。
蜀雄李杜拔,嶽力雷車轟。
大句斡玄造,高言軋霄崢。
芒端轉寒燠,神助溢杯觥。


(下し文) #10
奇を窺いて海異【かいい】を摘み,韻を恣【ほしいまま】にして天鯨【てんげい】を激す。
腸胃【ちょうい】萬象【ばんしょう】を繞り,精神は五兵を驅【か】る。
蜀雄【しょくゆう】李杜【りと】拔きんで,嶽力【がくりょく】雷車轟く。
大句は玄造【げんぞう】を斡【あつ】,高言は霄崢【しょうそう】を軋【きし】る。
芒端【ぼうたん】 寒燠【かんいく】を.じ,神助【しんじょ】 杯觥【はいこう】に溢る。


(現代語訳)
大海の珍しいものがないかと探し出し海では異なったものを摘み取るような句であり、縦横に押韻するということで大鯨が大暴れする様な詩歌が詠われる。
胸中にある万物のすがたをむねにめぐらせる巧さがあり、こころに思うことは五種類の道具を駆使して存分にする。 
蜀の国のすぐれた人は李白・杜甫を抜くほどのものだ。そして、雲や雷を生み出す力を内蔵している大岩のように雷や戦車の車輪の轟をさせる句をつくる。
大いなる句は幽玄な造化をめぐらせ、高士の言葉は高い空をきしませてひろがる。
筆の穂先ひとつで暑さ、寒さ変幻自在であるし、神の助けを授けられた直観力は大盃にあふれるほどである。


(訳注) #10
窺奇摘海異,恣韻激天鯨。

大海の珍しいものがないかと探し出し海では異なったものを摘み取るような句であり、縦横に押韻するということで大鯨が大暴れする様な詩歌が詠われる。
窺奇 奇句を得ようとして。・海兵 海でとれる珍輿のもの。・慾韻 縦横に押韻する。・天鯨 大鯨。


腸胃繞萬象,精神驅五兵。
胸中にある万物のすがたをむねにめぐらせる巧さがあり、こころに思うことは五種類の道具を駆使して存分にする。 
腸胃 胸中。・万 万物のすがた。・五兵 五種類の兵器。・ 駆使する。


蜀雄李杜拔,嶽力雷車轟。
蜀の国のすぐれた人は李白・杜甫を抜くほどのものだ。そして、雲や雷を生み出す力を内蔵している大岩のように雷や戦車の車輪の轟をさせる句をつくる。
蜀雄 蜀の国のすぐれた人。・李杜抜 李白・杜甫がずばぬけている。・嶽力 山嶽から、雲を産み雷を育てる大岩の内蔵する能力を意味する。・雷車 雷や戦車の車輪の轟。


大句斡玄造,高言軋霄崢。
大いなる句は幽玄な造化をめぐらせ、高士の言葉は高い空をきしませてひろがる。
玄造 幽玄な造化。・霄崢 高い空。


芒端轉寒燠,神助溢杯觥。
筆の穂先ひとつで暑さ、寒さ変幻自在であるし、神の助けを授けられた直観力は大盃にあふれるほどである。
芒端 筆の穂先。・寒燠 寒さと熱さ。・神助 インスピレーション。・杯觥 大さかずき。

筆の穂先ひとつで暑さ、寒さ変幻自在であるし、神の助けを授けられた直観力は大盃にあふれるほどである。

あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#9>Ⅱ中唐詩405 紀頌之の漢詩ブログ1294

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#9>Ⅱ中唐詩405 紀頌之の漢詩ブログ1294


第三部
#9
孟郊) 寶唾拾未盡,
韓愈) 玉啼墮猶槍。窗綃疑閟艷,
孟郊) 妝燭已銷檠。綠發抽瑉甃,
韓愈) 青膚聳瑤楨。白蛾飛舞地,
孟郊) 幽蠹落書棚。惟昔集嘉詠,
韓愈) 吐芳類鳴嚶。

*上記聯句を韻により変更して読む

寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。
宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。

寶唾【ほうだ】未だ盡さざるを拾わん,玉啼【ぎょくてい】猶お槍【そう】たることく墮ちん。
窗綃【そうしょう】は艷【えん】を閟【と】づるかを疑い,妝燭【しょうしょく】は已に檠【けい】を銷【き】ゆ。
綠發【りょくはつ】瑉甃【びんしゅう】より抽【ぬき】んでて,青膚【せいふ】は瑤楨【ようてい】を聳【そびえ】かす。
白蛾【はくが】舞地【ぶち】に飛び,幽蠹【ゆうと】書棚【しょほう】より落つ。
惟【こ】れ昔嘉詠【かえい】を集め,芳を吐いて鳴嚶【めいおう】に類す。


#10
韓愈) 窺奇摘海異,
孟郊) 恣韻激天鯨。腸胃繞萬象,
韓愈) 精神驅五兵。蜀雄李杜拔,
孟郊) 嶽力雷車轟。大句斡玄造,
韓愈) 高言軋霄崢。芒端轉寒燠,
孟郊) 神助溢杯觥。
#11
孟郊) 巨細各乘運,
韓愈) 湍潿亦騰聲。淩花咀粉蕊,
孟郊) 削縷穿珠櫻。綺語洗晴雪,
韓愈) 嬌辭哢雛鶯。酣歡雜弁珥,
孟郊) 繁價流金瓊。菡萏寫江調,
韓愈) 萎蕤綴藍瑛。
#12
韓愈) 庖霜膾玄鯽,
孟郊) 浙玉炊香粳。朝饌已百態,
韓愈) 春醪又千名。哀匏蹙駛景,
孟郊) 冽唱凝余晶。解魄不自主,
韓愈) 痺肌坐空瞠。扳援賤蹊絕,
孟郊) 炫曜仙選更。


現代語訳と訳註
(本文) #9
孟郊) 寶唾拾未盡,
韓愈) 玉啼墮猶槍。窗綃疑閟艷,
孟郊) 妝燭已銷檠。綠發抽瑉甃,
韓愈) 青膚聳瑤楨。白蛾飛舞地,
孟郊) 幽蠹落書棚。惟昔集嘉詠,
韓愈) 吐芳類鳴嚶。

*上記聯句を韻により変更して読む

寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。
窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。


(下し文)
寶唾【ほうだ】未だ盡さざるを拾わん,玉啼【ぎょくてい】猶お槍【そう】たることく墮ちん。
窗綃【そうしょう】は艷【えん】を閟【と】づるかを疑い,妝燭【しょうしょく】は已に檠【けい】を銷【き】ゆ。
綠發【りょくはつ】瑉甃【びんしゅう】より抽【ぬき】んでて,青膚【せいふ】は瑤楨【ようてい】を聳【そびえ】かす。
白蛾【はくが】舞地【ぶち】に飛び,幽蠹【ゆうと】書棚【しょほう】より落つ。
惟【こ】れ昔嘉詠【かえい】を集め,芳を吐いて鳴嚶【めいおう】に類す。


(現代語訳)
宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。


(訳注)
寶唾拾未盡,玉啼墮猶槍。

宝石のような美しい唾、宝玉は、拾い尽くせない、珠玉のような涙は落ちるたびに玉のなる音を鳴らしている。
・寶唾 宝石のような美しい唾。・玉啼 珠玉のような涙。・ 玉のなる音。


窗綃疑閟艷,妝燭已銷檠。
窓の絹のとばりは美女をとじこめかくしているのだろうか、ぼんぼりのあかりがきえて化粧ができないのでまたつける。
窗綃 窓のカーテン。 ・閟艷 美女をとじこめかくす. ・妝燭 燭臘、ぼんぼりのあかり。・銷檠 あかりがきえる。


綠發抽瑉甃,青膚聳瑤楨。
みどりの髪のような草があり、その草の中で玉の敷石めだっている。あおいこけがいっぱいに生えている中に玉樹がそびえている。
綠發 みどりの髪のような草。 ・瑉甃 玉のしきいし。・青膚 あおいこけ。・瑤楨 玉樹。


白蛾飛舞地,幽蠹落書棚。
そういう景色は白蛾が飛びまわってひと舞する舞台をつくったようなものだ。こちら見目を遣れば本に着く紙むしは書棚から落ちている。
舞地 舞台。・幽蠹 紙むし。


惟昔集嘉詠,吐芳類鳴嚶。
あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。
嘉詠 りっぱな詩歌。・吐芳 花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じること。・鳴嚶 うぐいす。

あわれなるかな、昔はここでりっぱな詩歌を詠んで集ったものだが、花の香しさを出すように美しい句の歌を吟じることはうぐいすが鳴いているようなのだ。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#8>Ⅱ中唐詩404 紀頌之の漢詩ブログ1291

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#8>Ⅱ中唐詩404 紀頌之の漢詩ブログ1291


第二部
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。ラ肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

*上記聯句を韻により変更して読む

窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。

帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。

#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。

*上記聯句を韻により変更して読む

靈麻撮狗虱,村稚啼禽猩。
ゴマが集まることは犬に着くシラミとダニをとっているようだ、村の子供たちは、鳥が騒ぐ様に猩々と泣いている。
紅皺曬檐瓦,黃團系門衡。
赤く熟れて、しわが寄った果実が軒の瓦の下にさらし干される。黄色で丸い瓜は隠者の住居の冠木門に架けられている。
得雋蠅虎健,相殘雀豹趟。
蝿取り蜘蛛は元気で抜きん出てすぐれている。互いに飛び跳ねているのは雀の中の豹のような暴れ者である。
束枯樵指禿,刈熟擔肩赪。
枯れ木を束ねてきこりの指はまめがつぶれ禿げている、稲が実って刈りそろえ、担ぐ肩は赤くはれる。
澀旋皮卷臠,苦開腹彭亨。
くるくると巻いた渋皮はちぢまっている。にがうりを切り開くとそのおなかは異なったり、その通りだったりしているのだ。

靈麻【れいま】狗虱【くしつ】を撮【と】り,村稚【そんち】禽猩【きんせい】のごとく啼く。
紅皺【こうしゅう】檐瓦【たんが】に曬【さら】し,黃團【こうだん】門衡【もんこう】に系【か】く。
雋【しゅん】を得て蠅虎【ようこ】健【たけ】く,相い殘【そこな】いて雀豹【じゃくひょう】趟【おど】る。
枯れしを束ね樵指【しょうし】を禿げ,熟れしを刈りて擔肩【たんけん】赪【あか】し。
澀【じゅう】旋【めぐ】りて皮【かわ】卷臠【けんしん】,苦 開いて腹【はら】彭亨【ほうこう】。

#7
孟郊) 機舂潺湲力,
韓愈) 吹簸飄飖精。賽饌木盤簇,
孟郊) 靸妖藤索絣。荒學五六卷,
韓愈) 古藏四三塋。裏儒拳足拜,
孟郊) 土怪閃眸偵。蹄道補復破,
韓愈) 絲窠掃還成。
#7

*上記聯句を韻により変更して読む


機舂潺湲力,吹簸飄飖精。
こちらではきかいをつかいさらさら流れる川水の流れを利用して臼をついている。あっちでは風が吹くとふるえ、風に揺れて精錬する。
賽饌木盤簇,靸妖藤索絣。
祭神にそなえられる食品は木の大皿や竹で編んだ盆に盛り付けているし、盛り付けられた足の方は藤の蔓で巻き付いて妖怪のようである。
荒學五六卷,古藏四三塋。
荒れた学び舎には書が五六卷あり、いにしえから続く墓地には菱型の塚が何か所もある。
裏儒拳足拜,土怪閃眸偵。
いなかもんの儒学者は拝礼参拝しているし、土着の妖怪は目を見開いてこちらを覗い見ている。
蹄道補復破,絲窠掃還成。
牛が行き来する大道は補修したところがまた壊れたと思うと、蜘蛛の糸を拂って綺麗にしたのにまた糸を張って居る。
機の舂【うず】くは潺湲【せんかん】の力,吹【すき】に簸【ふる】いて飄飖【ひょうよう】として精【せい】し。
賽饌【さいせん】木盤【もくばん】の簇【そう】,靸妖【そうよう】藤索【とうさく】の絣【まとい】。
荒學【こうがく】は五六卷,古藏【こぞう】は四三塋【えい】。
裏儒【りじゅ】足を拳【かが】めて拜し,土怪【どかい】は眸【め】を閃【ひらめか】して偵【うかが】う。
蹄道【ていどう】は補【おぎな】えども復た破れ,絲窠【しか】は掃【はら】えども還た成る。
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。
#8

*上記聯句を韻により変更して読む


暮堂蝙蝠沸,破竈伊威盈。
夕暮れになり屋敷には蝙蝠が湧くように飛び出してくる、壊れかけたかまどにはワラジムシが這って居る。
追此迅前主,答雲皆冢卿。
ここに追いかけて来てみたがこの屋敷の前の持ち主を尋ねてみる。それに答えていったのは皆大臣様だと。
敗壁剝寒月,折篁嘯遺笙。
崩れた壁がありその上には剥げ落ちて三日月になった月が上がっているし、折れたりしてあれた竹藪に風が吹き、まるで笙の笛を吹いているかのようだ。
袿熏霏霏在,綦跡微微呈。
燻衣香や煙がただよっているとばりの囲いの中にいる、そして床には埃と塵に足跡を残している。
劍石猶竦檻,獸材尚挐楹。
剣のようにとがった庭石が垣根になお聳えるようにあり、獣の彫刻がなお、まるく太い柱がそばだっている。
暮堂に蝙蝠【へんぷく】沸き,破竈【はさく】に伊威【いい】盈【み】つ。
此を追いて前主を迅【たず】ねるに,答えて雲う皆冢卿【ちょけい】と。
敗壁【はいへき】寒月を剝【けず】り,折篁【せつこう】遺笙【いしょう】を嘯【うそぶ】く。
袿熏【けいたん】は霏霏【ひひ】として在り,綦跡【いせき】は微微【ひひ】として呈す。
劍石 猶お 檻【かん】に竦【そび】え,獸材【じゅうざい】尚お 楹【はしら】を挐【つか】まんとす。


現代語訳と訳註
(本文)
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。
#8

*上記聯句を韻により変更して読む


暮堂蝙蝠沸,破竈伊威盈。
追此迅前主,答雲皆冢卿。
敗壁剝寒月,折篁嘯遺笙。
袿熏霏霏在,綦跡微微呈。
劍石猶竦檻,獸材尚挐楹。


(下し文) #8
暮堂に蝙蝠【へんぷく】沸き,破竈【はさく】に伊威【いい】盈【み】つ。
此を追いて前主を迅【たず】ねるに,答えて雲う皆冢卿【ちょけい】と。
敗壁【はいへき】寒月を剝【けず】り,折篁【せつこう】遺笙【いしょう】を嘯【うそぶ】く。
袿熏【けいたん】は霏霏【ひひ】として在り,綦跡【いせき】は微微【ひひ】として呈す。
劍石 猶お 檻【かん】に竦【そび】え,獸材【じゅうざい】尚お 楹【はしら】を挐【つか】まんとす。


(現代語訳)
夕暮れになり屋敷には蝙蝠が湧くように飛び出してくる、壊れかけたかまどにはワラジムシが這って居る。
ここに追いかけて来てみたがこの屋敷の前の持ち主を尋ねてみる。それに答えていったのは皆大臣様だと。
崩れた壁がありその上には剥げ落ちて三日月になった月が上がっているし、折れたりしてあれた竹藪に風が吹き、まるで笙の笛を吹いているかのようだ。
燻衣香や煙がただよっているとばりの囲いの中にいる、そして床には埃と塵に足跡を残している。
剣のようにとがった庭石が垣根になお聳えるようにあり、獣の彫刻がなお、まるく太い柱がそばだっている。


(訳注) #8
暮堂蝙蝠沸,破竈伊威盈。

夕暮れになり屋敷には蝙蝠が湧くように飛び出してくる、壊れかけたかまどにはワラジムシが這って居る。
暮堂 夕暮れのやしき。・蝙蝠 こうもり。・破竈 やぶれかまど。・伊威 わらじ虫。


追此迅前主,答雲皆冢卿。
ここに追いかけて来てみたがこの屋敷の前の持ち主を尋ねてみる。それに答えていったのは皆大臣様だと。
前主 やしきの前のもちぬし.・冢卿 大臣。


敗壁剝寒月,折篁嘯遺笙。
崩れた壁がありその上には剥げ落ちて三日月になった月が上がっているし、折れたりしてあれた竹藪に風が吹き、まるで笙の笛を吹いているかのようだ。
敗壁 やぶれた壁。・折篁 折れた竹。・遺笙 のこされた笙のふえ。


袿熏霏霏在,綦跡微微呈。
燻衣香や煙がただよっているとばりの囲いの中にいる、そして床には埃と塵に足跡を残している。
袿熏 衣にたきしめる香。・霏霏 煙や香のただようさま。・綦跡 くつのあと。


劍石猶竦檻,獸材尚挐楹。
剣のようにとがった庭石が垣根になお聳えるようにあり、獣の彫刻がなお、まるく太い柱がそばだっている。
劍石 剣のようにとがった庭石。・ てすり。・獸材 獣の形を彫刻した桂。・ ささえている。・ まるく太い柱。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#7>Ⅱ中唐詩403 紀頌之の漢詩ブログ1288

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#7>Ⅱ中唐詩403 紀頌之の漢詩ブログ1288


#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。ラ肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

#7
牛が行き来する大道は補修したところがまた壊れたと思うと、蜘蛛の糸を拂って綺麗にしたのにまた糸を張って居る。
機の舂【うず】くは潺湲【せんかん】の力,吹【すき】に簸【ふる】いて飄飖【ひょうよう】として精【せい】し。
賽饌【さいせん】木盤【もくばん】の簇【そう】,靸妖【そうよう】藤索【とうさく】の絣【まとい】。
荒學【こうがく】は五六卷,古藏【こぞう】は四三塋【えい】。
裏儒【りじゅ】足を拳【かが】めて拜し,土怪【どかい】は眸【め】を閃【ひらめか】して偵【うかが】う。
蹄道【ていどう】は補【おぎな】えども復た破れ,絲窠【しか】は掃【はら】えども還た成る。
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。

*上記聯句を韻により変更して読む

機舂潺湲力,吹簸飄飖精。
こちらではきかいをつかいさらさら流れる川水の流れを利用して臼をついている。あっちでは風が吹くとふるえ、風に揺れて精錬する。
賽饌木盤簇,靸妖藤索絣。
祭神にそなえられる食品は木の大皿や竹で編んだ盆に盛り付けているし、盛り付けられた足の方は藤の蔓で巻き付いて妖怪のようである。
荒學五六卷,古藏四三塋。
荒れた学び舎には書が五六卷あり、いにしえから続く墓地には菱型の塚が何か所もある。
裏儒拳足拜,土怪閃眸偵。
いなかもんの儒学者は拝礼参拝しているし、土着の妖怪は目を見開いてこちらを覗い見ている。
蹄道補復破,絲窠掃還成。

*上記聯句を韻により変更して読む

窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。

窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。

#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。

*上記聯句を韻により変更して読む

靈麻撮狗虱,村稚啼禽猩。
ゴマが集まることは犬に着くシラミとダニをとっているようだ、村の子供たちは、鳥が騒ぐ様に猩々と泣いている。
紅皺曬檐瓦,黃團系門衡。
赤く熟れて、しわが寄った果実が軒の瓦の下にさらし干される。黄色で丸い瓜は隠者の住居の冠木門に架けられている。
得雋蠅虎健,相殘雀豹趟。
蝿取り蜘蛛は元気で抜きん出てすぐれている。互いに飛び跳ねているのは雀の中の豹のような暴れ者である。
束枯樵指禿,刈熟擔肩赪。
枯れ木を束ねてきこりの指はまめがつぶれ禿げている、稲が実って刈りそろえ、担ぐ肩は赤くはれる。

靈麻【れいま】狗虱【くしつ】を撮【と】り,村稚【そんち】禽猩【きんせい】のごとく啼く。
紅皺【こうしゅう】檐瓦【たんが】に曬【さら】し,黃團【こうだん】門衡【もんこう】に系【か】く。
雋【しゅん】を得て蠅虎【ようこ】健【たけ】く,相い殘【そこな】いて雀豹【じゃくひょう】趟【おど】る。
枯れしを束ね樵指【しょうし】を禿げ,熟れしを刈りて擔肩【たんけん】赪【あか】し。
澀【じゅう】旋【めぐ】りて皮【かわ】卷臠【けんしん】,苦 開いて腹【はら】彭亨【ほうこう】。


韓愈のグループの各々は独奏者としての才能においては、あるいは韓愈をしのぐ場合もあったろうが、かれらの一人一人の特色を把起し、かれらにふさわしい楽器を与え、かれらに才能の発揮を強い、選択・按排・布置を加えて、聯句というユーモラスなシムフォニィーを演奏した指揮者として、遵衆のたれひとりとして韓愈におよぶものはない。聯句におけるこの指揮者ぶりは、わが国の芭蕉がそれを参考にしたのは間違いない所である。このことははなはだよく似ている。そうして、韓愈は・聯句においてのみならず、韓愈グループの全文学運動において、そのような指揮者としての役割をはたした。



現代語訳と訳註
(本文)#7
孟郊) 機舂潺湲力,
韓愈) 吹簸飄飖精。賽饌木盤簇,
孟郊) 靸妖藤索絣。荒學五六卷,
韓愈) 古藏四三塋。裏儒拳足拜,
孟郊) 土怪閃眸偵。蹄道補復破,
韓愈) 絲窠掃還成。
#7

*上記聯句を韻により変更して読む


機舂潺湲力,吹簸飄飖精。
賽饌木盤簇,靸妖藤索絣。
荒學五六卷,古藏四三塋。
裏儒拳足拜,土怪閃眸偵。
蹄道補復破,絲窠掃還成。

(下し文) #7
機の舂【うず】くは潺湲【せんかん】の力,吹【すき】に簸【ふる】いて飄飖【ひょうよう】として精【せい】し。
賽饌【さいせん】木盤【もくばん】の簇【そう】,靸妖【そうよう】藤索【とうさく】の絣【まとい】。
荒學【こうがく】は五六卷,古藏【こぞう】は四三塋【えい】。
裏儒【りじゅ】足を拳【かが】めて拜し,土怪【どかい】は眸【め】を閃【ひらめか】して偵【うかが】う。
蹄道【ていどう】は補【おぎな】えども復た破れ,絲窠【しか】は掃【はら】えども還た成る。


(現代語訳)
こちらではきかいをつかいさらさら流れる川水の流れを利用して臼をついている。あっちでは風が吹くとふるえ、風に揺れて精錬する。
祭神にそなえられる食品は木の大皿や竹で編んだ盆に盛り付けているし、盛り付けられた足の方は藤の蔓で巻き付いて妖怪のようである。
荒れた学び舎には書が五六卷あり、いにしえから続く墓地には菱型の塚が何か所もある。
いなかもんの儒学者は拝礼参拝しているし、土着の妖怪は目を見開いてこちらを覗い見ている。
牛が行き来する大道は補修したところがまた壊れたと思うと、蜘蛛の糸を拂って綺麗にしたのにまた糸を張って居る。


(訳注) #7
機舂潺湲力,吹簸飄飖精。
こちらではきかいをつかいさらさら流れる川水の流れを利用して臼をついている。あっちでは風が吹くとふるえ、風に揺れて精錬する。
機舂 機械で臼をつく。・潺湲 さらさら流れる川水の流れ。・吹簸 風が吹くとふるえる。・飄飖 風に揺れる,風になびく・ 精錬する。


賽饌木盤簇,靸妖藤索絣。
祭神にそなえられる食品は木の大皿や竹で編んだ盆に盛り付けているし、盛り付けられた足の方は藤の蔓で巻き付いて妖怪のようである。
賽饌 祭神にそなえられる食品。・ 小さい竹。竹で作ったお盆。集まる。群がる。矢じり。・靸妖 ぞうり。


荒學五六卷,古藏四三塋。
荒れた学び舎には書が五六卷あり、いにしえから続く墓地には菱型の塚が何か所もある。
荒學 荒れた学び舎。・古藏 いにしえから続く墓地。・ つか。


裏儒拳足拜,土怪閃眸偵。
いなかもんの儒学者は拝礼参拝しているし、土着の妖怪は目を見開いてこちらを覗い見ている。
裏儒 いなかもんの儒学者。本格的な学問をしていない儒学者を系統的に学んでいる儒学者に比較して、いやしめて言う。・土怪 土着の妖怪。


蹄道補復破,絲窠掃還成。
牛が行き来する大道は補修したところがまた壊れたと思うと、蜘蛛の糸を拂って綺麗にしたのにまた糸を張って居る
絲窠 くものす。

澀旋皮卷臠,苦開腹彭亨。
くるくると巻いた渋皮はちぢまっている。にがうりを切り開くとそのおなかは異なったり、その通りだったりしているのだ。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#6>Ⅱ中唐詩402 紀頌之の漢詩ブログ1285

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#6>Ⅱ中唐詩402 紀頌之の漢詩ブログ1285



城南聯句第二部
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。ラ肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

*上記聯句を韻により変更して読む

窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。

窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。

#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。

*上記聯句を韻により変更して読む

靈麻撮狗虱,村稚啼禽猩。
ゴマが集まることは犬に着くシラミとダニをとっているようだ、村の子供たちは、鳥が騒ぐ様に猩々と泣いている。
紅皺曬檐瓦,黃團系門衡。
赤く熟れて、しわが寄った果実が軒の瓦の下にさらし干される。黄色で丸い瓜は隠者の住居の冠木門に架けられている。
得雋蠅虎健,相殘雀豹趟。
蝿取り蜘蛛は元気で抜きん出てすぐれている。互いに飛び跳ねているのは雀の中の豹のような暴れ者である。
束枯樵指禿,刈熟擔肩赪。
枯れ木を束ねてきこりの指はまめがつぶれ禿げている、稲が実って刈りそろえ、担ぐ肩は赤くはれる。
澀旋皮卷臠,苦開腹彭亨。

靈麻【れいま】狗虱【くしつ】を撮【と】り,村稚【そんち】禽猩【きんせい】のごとく啼く。
紅皺【こうしゅう】檐瓦【たんが】に曬【さら】し,黃團【こうだん】門衡【もんこう】に系【か】く。
雋【しゅん】を得て蠅虎【ようこ】健【たけ】く,相い殘【そこな】いて雀豹【じゃくひょう】趟【おど】る。
枯れしを束ね樵指【しょうし】を禿げ,熟れしを刈りて擔肩【たんけん】赪【あか】し。
澀【じゅう】旋【めぐ】りて皮【かわ】卷臠【けんしん】,苦 開いて腹【はら】彭亨【ほうこう】。


#7
孟郊) 機舂潺湲力,
韓愈) 吹簸飄飖精。賽饌木盤簇,
孟郊) 靸妖藤索絣。荒學五六卷,
韓愈) 古藏四三塋。裏儒拳足拜,
孟郊) 土怪閃眸偵。蹄道補復破,
韓愈) 絲窠掃還成。
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。


現代語訳と訳註
(本文)
#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。

*上記聯句を韻により変更して読む

靈麻撮狗虱,村稚啼禽猩。
紅皺曬檐瓦,黃團系門衡。
得雋蠅虎健,相殘雀豹趟。
束枯樵指禿,刈熟擔肩赪。
澀旋皮卷臠,苦開腹彭亨。


(下し文)
靈麻【れいま】狗虱【くしつ】を撮【と】り,村稚【そんち】禽猩【きんせい】のごとく啼く。
紅皺【こうしゅう】檐瓦【たんが】に曬【さら】し,黃團【こうだん】門衡【もんこう】に系【か】く。
雋【しゅん】を得て蠅虎【ようこ】健【たけ】く,相い殘【そこな】いて雀豹【じゃくひょう】趟【おど】る。
枯れしを束ね樵指【しょうし】を禿げ,熟れしを刈りて擔肩【たんけん】赪【あか】し。
澀【じゅう】旋【めぐ】りて皮【かわ】卷臠【けんしん】,苦 開いて腹【はら】彭亨【ほうこう】。


(現代語訳)
ゴマが集まることは犬に着くシラミとダニをとっているようだ、村の子供たちは、鳥が騒ぐ様に猩々と泣いている。
赤く熟れて、しわが寄った果実が軒の瓦の下にさらし干される。黄色で丸い瓜は隠者の住居の冠木門に架けられている。
蝿取り蜘蛛は元気で抜きん出てすぐれている。互いに飛び跳ねているのは雀の中の豹のような暴れ者である。
枯れ木を束ねてきこりの指はまめがつぶれ禿げている、稲が実って刈りそろえ、担ぐ肩は赤くはれる。
くるくると巻いた渋皮はちぢまっている。にがうりを切り開くとそのおなかは異なったり、その通りだったりしているのだ。


(訳注)
靈麻撮狗虱,村稚啼禽猩。

ゴマが集まることは犬に着くシラミとダニをとっているようだ、村の子供たちは、鳥が騒ぐ様に猩々と泣いている。
・靈麻 胡麻。ダニつふのごとく ゴマ謝れ。・狗虱 犬に着くシラミとダニ。


紅皺曬檐瓦,黃團系門衡。
赤く熟れて、しわが寄った果実が軒の瓦の下にさらし干される。黄色で丸い瓜は隠者の住居の冠木門に架けられている。
・紅皺 赤く熟れて、しわが寄った果実。・曬 さらし干される。・檐瓦 軒の瓦。・黃團 黄色で丸もの。黄色の瓜。・門衡 衡門。2本の柱に横木をかけ渡しただけのそまつな門。転じて、貧しい者または隠者の住居をいう。冠木門(かぶきもん)。


得雋蠅虎健,相殘雀豹趟。
蝿取り蜘蛛は元気で抜きん出てすぐれている。互いに飛び跳ねているのは雀の中の豹のような暴れ者である。
・雋 すぐれる。すぐれている。 「儁」「俊」; やわらかい鳥の肉。 【雋れる】すぐれる. 抜きん出ている。人より勝る。・蠅虎 蝿取り蜘蛛・雀豹 雀の中の豹のような暴れ者。・趟 跳躍する事。


束枯樵指禿,刈熟擔肩赪。
枯れ木を束ねてきこりの指はまめがつぶれ禿げている、稲が実って刈りそろえ、担ぐ肩は赤くはれる。
・指禿 指のまめがつぶれ禿げている・刈熟 稲が実って刈りそろえる。・擔肩赪 担ぐ肩が赤くはれる


澀旋皮卷臠,苦開腹彭亨。
くるくると巻いた渋皮はちぢまっている。にがうりを切り開くとそのおなかは異なったり、その通りだったりしているのだ。
・澀 じぶ。・卷臠 ちじまる。・苦 にがうり。・彭亨 違っていたり、その通りであったりすること。・彭 異なる意味を表したり、統語的に異なる振る.・亨:支障なく通じる。

くるくると巻いた渋皮はちぢまっている。にがうりを切り開くとそのおなかは異なったり、その通りだったりしているのだ。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#5>Ⅱ中唐詩401 紀頌之の漢詩ブログ1282

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#5>Ⅱ中唐詩401 紀頌之の漢詩ブログ1282



第二部
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。ラ肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

*上記聯句を韻により変更して読む

窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。

窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。

#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。
#7
孟郊) 機舂潺湲力,
韓愈) 吹簸飄飖精。賽饌木盤簇,
孟郊) 靸妖藤索絣。荒學五六卷,
韓愈) 古藏四三塋。裏儒拳足拜,
孟郊) 土怪閃眸偵。蹄道補復破,
韓愈) 絲窠掃還成。
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。

元和元年は、韓愈のグループを開花し結実させるために、などを、長安にひきよせた聯句芸術の秋といってもよいものであった。
孟郊(東野)もうこう(とうや) 751年 - 814年
張籍(文昌) ちょうせき  768~830年
賈島(浪仙・無本) かとう  779~843年
皇甫湜(持正) こうほしょく777~835年
李 翺(習之)り こう772年 – 841年

韓愈グループの聯句作品をしらべてみると、いずれの場合にも、韓愈の名がみえる。聯句興行の首唱者が韓愈だったことを有力に物語る事実である。連衆は、韓愈にあおられて聯句にまきこまれ、詩句と詩句の闘いの渦中で技を錬磨し、それぞれの特色を際だたせていったのである。


現代語訳と訳註
(本文)
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。痒肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

#5

*上記聯句を韻により変更して読む


窯煙冪疏島,沙篆印回平。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。


(下し文) #5
窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。


(現代語訳)
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。


(訳注) #5
窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
窯煙 瓦がまの煙。・冪 おおいかくす。・ 1 水路を分けて通す。「疏水・疏通」 2 関係が分け離れる。うとくなる。「疏遠」 3 粗末な。「疏食(そし)」 4 事柄の筋を分けていちいち説明する。・沙篆 沙の上の篆字。・廻平 まがりくねって平らかな渚。


痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
 けむし。毛虫。・ 【生まれたての雛が】騒がしく啼く。


奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
・奇慮 素晴らしい、奇抜な着想。・ ほしいまま。かって気まま。・廻転 くるくるめぐる。・遐睎 遠いながめ。


巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
巔林 山頂の林。・遠睦 遠くをみるまなざし。・戢 吸いこまれる。・縹気 育白色の山気。・空情 世間をほなれた感情。・夷 平坦にする。よろこばせる。


歸跡歸不得,舍心舍還爭。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#4>Ⅱ中唐詩400 紀頌之の漢詩ブログ1279

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#4>Ⅱ中唐詩400 紀頌之の漢詩ブログ1279


城南聯句第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。

*上記聯句を韻により変更して読む

竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。

#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む

木腐或垂耳,草珠競駢睛。
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。

木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。

#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。

*上記聯句を韻により変更して読む


蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
宿羽有先曉,食鱗時半橫。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。
南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。
蔬甲【そこう】は社に臨むを喜び,田毛【でんもう】征を寬【ゆる】うせらるるを樂む。
露螢【ろけい】不自ら暖かならず,凍蝶【とうちょう】の尚お輕きを思う。
宿羽【しゅくう】曉に先んずる有り,食鱗【しょくりん】時に半ば橫たう。
菱【ひし】翻【ひるがえ】って紫角【しかく】利【と】く,荷【はす】折れて碧圓【へきえん】傾く。
楚膩【そじ】鳣鮪【てんゆう】亂れ,獠羞【りょうしゅう】螺蟹【らかい】並ぶ。


#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。

*上記聯句を韻により変更して読む

桑蠖見虛指,穴貍聞鬥獰。
尺取虫は桑の葉にむなしく跡つけている、こちらでは穴の狸がたたかったり、助け合ったりするのが聞えてくる。
逗翳翅相築,擺幽尾交搒。
林のかげにとどまる鳥は羽をふれあわせたり、羽ばたいたりさせる。うすぐらいところでたわむれ遊び、尾っぽを交わらせ、鞭うっている。
蔓涎角出縮,樹啄頭敲鏗。
かたつむりは涎をたれ、角を出したりちじめたりしている。キッツキはのこつこつとこづいてやむことはない。
修箭裊金餌,群鮮沸池羹。
釣り竿は黄金のようなよい餌にたわんでいる、むらがる魚は池が熱い汁のようにみえるほどである。
岸殼坼玄兆,野牟漸豐萌。

切り立った崖状の岸にある貝殻で暗い占いや輝ける予兆を占って岸から離れる。大麦はゆたかな芽ばえて豊作の卦がでたようだ。

桑蠖【そうかく】は虚しく指すに見、穴貍【けつり】は鬥【たたか】ひて獰【たすけ】きを聞く。
翳【かげ】逗【も】れて 翅【はね】相築き、幽【くら】きに擺【あそ】びて 尾交【こもご】も搒【う】つ。
蔓涎【まんぜん】角 出縮【しゅつしゅく】し、樹啄【じゅたく】頭【かしら】敲鐙【こうこう】す。
修箭【しゅうせん】は金餌【きんじ】に裊【たわ】み、群鮮【ぐんせん】は池羹【ちこう】を沸かす。
岸殻【がんかく】玄兆【げんちょう】に坼【さ】き、野牟【やぼう】豊萌【ほうぼう】を漸【ぜん】にす。



聯句は今日でいうディベートの一面があり、参加者の芸術性を高めたことは言うまでもないし、技巧性を格段に向上させた。

聯句は意表に出ることをつとめる。意表に出ようとつとめるときには、作者自身おもいかけぬ彷径、低迷、滞留、疾駆を余儀なくされる。欠略、重複もいとっている暇がない。いな、むしろ、偶然がもたらすさまざまの不利と、敵がわれに投げかける困苦とを、逆手にとって、聯憩の暴風をまき撃」し、あらかじめ引いた図によって中綿麗に仕立てる盆栽などには思いもおよはぬ、深山幽谷、荒漠平原、巨川大海の趣を生成せしめるもの、これこそ聯句でなければならない。
社会は、ひとりでは成り立たない。ふたり以上が集まれば、かならず、そこには相反する意志が働き合うであろう。
そのような社会におかれた人間の生命は、つねに他に対する抵抗順応、反覆妥協、のくりかえしであろう。そこには、みずから思いもかけぬ彷嘩・低迷、滞留、疾駆がある。つねに問いかけがあって、これに答えねはならぬ。社会的動物である人間は、孤独のうちにあっても、みずから、問いかけ、答えをせずには、生きることができないだろう。このような人生には、到るところに、重複、欠略が存するであろう。だとすれば、聯句は、批評家たちがいうように、「詩人たちの暇つぶしから生まれた遊戯」ではあっても、人生のありのままのすがたを写す芸術形式として、すこぶる相かなったものということができるのではないか。



現代語訳と訳註
(本文)#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。

*上記聯句を韻により変更して読む

桑蠖見虛指,穴貍聞鬥獰。
逗翳翅相築,擺幽尾交搒。
蔓涎角出縮,樹啄頭敲鏗。
修箭裊金餌,群鮮沸池羹。
岸殼坼玄兆,野牟漸豐萌。


(下し文) #4
桑蠖【そうかく】は虚しく指すに見、穴貍【けつり】は鬥【たたか】ひて獰【たすけ】きを聞く。
翳【かげ】逗【も】れて 翅【はね】相築き、幽【くら】きに擺【あそ】びて 尾交【こもご】も搒【う】つ。
蔓涎【まんぜん】角 出縮【しゅつしゅく】し、樹啄【じゅたく】頭【かしら】敲鐙【こうこう】す。
修箭【しゅうせん】は金餌【きんじ】に裊【たわ】み、群鮮【ぐんせん】は池羹【ちこう】を沸かす。
岸殻【がんかく】玄兆【げんちょう】に坼【さ】き、野牟【やぼう】豊萌【ほうぼう】を漸【ぜん】にす。


(現代語訳)
尺取虫は桑の葉にむなしく跡つけている、こちらでは穴の狸がたたかったり、助け合ったりするのが聞えてくる。
林のかげにとどまる鳥は羽をふれあわせたり、羽ばたいたりさせる。うすぐらいところでたわむれ遊び、尾っぽを交わらせ、鞭うっている。
かたつむりは涎をたれ、角を出したりちじめたりしている。キッツキはのこつこつとこづいてやむことはない。
釣り竿は黄金のようなよい餌にたわんでいる、むらがる魚は池が熱い汁のようにみえるほどである。
切り立った崖状の岸にある貝殻で暗い占いや輝ける予兆を占って岸から離れる。大麦はゆたかな芽ばえて豊作の卦がでたようだ。


(訳注) #4
桑蠖見虛指,穴貍聞鬥獰。

尺取虫は桑の葉にむなしく跡つけている、こちらでは穴の狸がたたかったり、助け合ったりするのが聞えてくる。
桑蠖 尺取虫。


逗翳翅相築,擺幽尾交搒。
林のかげにとどまる鳥は羽をふれあわせたり、羽ばたいたりさせる。うすぐらいところでたわむれ遊び、尾っぽを交わらせ、鞭うっている。
逗翳 林のかげにとどまる鳥。・相築 羽をふれあうこと。・搒 おおう。むちでうつ・擺幽 うすぐらいところでたわむれ遊ぶ。


蔓涎角出縮,樹啄頭敲鏗。
かたつむりは涎をたれ、角を出したりちじめたりしている。キッツキはのこつこつとこづいてやむことはない。
・蔓涎 かたつむり。・樹啄 きつつき。・敲鏗 こつこつとこづく。


修箭裊金餌,群鮮沸池羹。
釣り竿は黄金のようなよい餌にたわんでいる、むらがる魚は池が熱い汁のようにみえるほどである。
修箭 長い釣竿。・金餌 りっぱなえさ。・群鮮 むらがる魚。・池羹 池が熱い汁のようにみえること。


岸殼坼玄兆,野牟漸豐萌。
切り立った崖状の岸にある貝殻で暗い占いや輝ける予兆を占って岸から離れる。大麦はゆたかな芽ばえて豊作の卦がでたようだ。
岸殼 切り立った崖状の岸・坼 さける、 わかれる、 ひらく、 さけめ。・玄兆 うらない。・野牟 大麦。・豐萌 ゆたかな芽ばえ。

礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#3>Ⅱ中唐詩399 紀頌之の漢詩ブログ1276

城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#3>Ⅱ中唐詩399 紀頌之の漢詩ブログ1276


城南聯句第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。

*上記聯句を韻により変更して読む

竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。

#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む

木腐或垂耳,草珠競駢睛。
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。

木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。

#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。

*上記聯句を韻により変更して読む

蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
宿羽有先曉,食鱗時半橫。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。


#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


各時代に作者が出たが、初唐以前にはその数は微々たるものである。それが盛唐ごろから、にわかに流行する。唐代のすべての詩を集めた『全唐詩』の聯句の部は六巻、亘二十首をこえる。李白・杜甫にはじまり、韓愈らの聯句は第四巻全部をしめ、韓愈らについで多いのは、白居易のグループであった。中唐は、中国詩史上、たぐいまれな、聯句熱の盛んな時代であり、その流行をあおったのが、韓愈グループだったのだ。
聯句は、詩句を闘わすもので、かならず用語を奇異巧妙にすることを求める。用語の奇巧は、新しい語を造り、視聴覚の精微をともなう。聯句は微視的凝視の闘いでもある。相手の凝視の死角に強襲するのは当人たちの自己満足の問題であり、我々が鑑賞とする詩としては面白さは理解できるが、その範囲を超えるものではない。


現代語訳と訳註
(本文) #3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。

*上記聯句を韻により変更して読む

蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
宿羽有先曉,食鱗時半橫。
菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。


(下し文) #3
蔬甲【そこう】は社に臨むを喜び,田毛【でんもう】征を寬【ゆる】うせらるるを樂む。
露螢【ろけい】不自ら暖かならず,凍蝶【とうちょう】の尚お輕きを思う。
宿羽【しゅくう】曉に先んずる有り,食鱗【しょくりん】時に半ば橫たう。
菱【ひし】翻【ひるがえ】って紫角【しかく】利【と】く,荷【はす】折れて碧圓【へきえん】傾く。
楚膩【そじ】鳣鮪【てんゆう】亂れ,獠羞【りょうしゅう】螺蟹【らかい】並ぶ。


(現代語訳)
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。


(訳注) #3
蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
税みつぎゆるきに 楽し 田つくり
・疏甲 やさいの芽。・社 やしろ。・田毛 田から生じるもの。
・征 税。税を取り立てる。『礼記、王制』「夫圭田無征。」(夫れ圭田征無し。)夫圭田無征. 用民之力. 歲不過三日. 田里不粥.
以九賦斂財賄:一曰邦中之賦,二曰四郊之賦,三曰邦甸之賦,四曰家削之賦,五曰邦縣之賦,六曰邦都之賦,七曰關市之賦,八曰山澤之賦,九曰幣餘之賦。


露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
・露螢 露にぬれたほたる。・凍蝶 寒さにこごえる喋。


宿羽有先曉,食鱗時半橫。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
・宿羽 寝息。・先曉 まだ夜があけぬうちから飛ぶ。・食鱗 えものをたべる魚。


菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
柴角 むらさき色のかど。・ はす。・碧門 みどり色の円い葉。


楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。
南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。
楚膩 南方楚地方の珍味。・鳣鮪 カジキとシビ。・獠羞 生蛮のごちそう。・螺蟹 田にしとカニ。

南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。
蔬甲【そこう】は社に臨むを喜び,田毛【でんもう】征を寬【ゆる】うせらるるを樂む。
露螢【ろけい】不自ら暖かならず,凍蝶【とうちょう】の尚お輕きを思う。
宿羽【しゅくう】曉に先んずる有り,食鱗【しょくりん】時に半ば橫たう。
菱【ひし】翻【ひるがえ】って紫角【しかく】利【と】く,荷【はす】折れて碧圓【へきえん】傾く。
楚膩【そじ】鳣鮪【てんゆう】亂れ,獠羞【りょうしゅう】螺蟹【らかい】並ぶ。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。

城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#2>Ⅱ中唐詩398 紀頌之の漢詩ブログ1273

城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#2>Ⅱ中唐詩398 紀頌之の漢詩ブログ1273


第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。

#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む


木腐或垂耳,草珠競駢睛。
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。

木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。

#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。
#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


聯句の起原については、さまざまの説がある。『書経』にみえる「麘歌」すなわち古代の帝王舜がうたいはじめた詩句に、大臣の皐陶が統いだものとするのが一つ。『詩経』の「式徴」の詩だとするのが一つ。漢の武帝の柏梁体だとするのが一つ。だがむしろ、古代の労働者たちが、労働の苦しさを忘れるために、かけ合いで歌ったもの、日本の「かがひうた」と相似した発生経路をたどり、やがて文人にとりあげられ、知的遊戯となったものである。
ことばとことばとの連繋が、心と心とを結ぶことに、心と心とが、さらに結束が強くなっていくスパイラルな関係になっていった。


現代語訳と訳註
(本文) #2

韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む


木腐或垂耳,草珠競駢睛。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。


(下し文)
木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。


(現代語訳)
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。


(訳注)
木腐或垂耳,草珠競駢睛。

腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ
木腐 木がくさる。・垂耳 耳は木耳で、きくらげ。


浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
浮虚 木の空洞。・推机 くじきうごかす。


囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
囚飛 とらわれた飛ぶもの。くもの巣にかかった蝿などをいう。・盜啅 ぬすみぐいするもの。・ 弾丸。


脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
脱実 うれてはじけ出た果実・開坼 はじける。・牽柔 しなやかなつる。・繞縈 盛んにまとわせる。


禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。
礼鼠 礼儀正しいねずみ。・ 両手の指を組み令わせて敬礼する。・駭牛 おどろく牛。・ あがく。

城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#1>Ⅱ中唐詩397 紀頌之の漢詩ブログ1270

城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#1>Ⅱ中唐詩397 紀頌之の漢詩ブログ1270


第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。


#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。
#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。
#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


中央の官界は、顔ぶれががらりとかわっていた。この春、進土に及第したばかりの友皇甫湜がえらい元気で迎えに来た。
国子監の下僚で、かれの弟子である張籍や侯喜も、飛んで来た。張徹・李翺はいうまでもない。それに、あの孟郊が、長安に出て来ていた。汴州で別れて以来のことだ。
孟郊は、貞元十五年七九九春、汴州をはなれて蘇州各地をめぐり、十六年、五十歳で、はじめて溧陽県の尉に任命され赴任した。溧陽は、いまの江蘇省の南京から約百キロメートル東南のまちで、尉は、警察部長にあたる。県令の季操は官僚肌の男で、孟邦の学問や詩業など眼中になかった。孟邦は、老いた母親まで呼びよせて、しばらく落ちつくつもりだったが、805年永貞元年ついに母を常州の属邑義興にうつし、元和元年、職をもとめて、単身、長安に上って来た。韓愈が帰って来たときには、ほぼ新しい職のめどもついていたのである。
かれらにとっては、三、四年ないし四、五年ぶりの再会であった。話題が豊富であった。ほとんど毎晩のように寄り合い、酒をくみ、別れていた間の出来事を語りあい、詩をたたかわす。ただの詩ではおもしろくない、聯句をやろう、ということになる。孟邦と韓愈とは、汴州時代に、二、三度やったことがあった。一つの題で、おたがいに、何句かずつ連ねていって、一つの詩とするのである。



現代語訳と訳註
(本文) 第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。



(下し文)
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。


(現代語訳)
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。


(訳注)
城南聯句

底本巻八。
この聯句は、第一句が孟邦、第二、第三句が韓愈で、以下二句ずつ付け、最後の一句を韓愈が結んでいる。


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
金墳砕 金のこまかくくだけた細片。梢は瑞の俗字。
玉浣柑 玉のふれあうようなさわやかな水音。


琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
瑠璃 瑠璃/琉璃1青玉。【るり】2るりかけす【瑠璃懸巣】カラス科の鳥。全長38センチくらい。頭・翼・尾が瑠璃色の鳥。3るりがわら【瑠璃瓦】4瑠璃色の釉
翳翠 かわせみ。雄が毅で赤羽、雌が翠で青羽。・園英 園のはな。


流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
流滑 ぬるぬるした道。・灰歩 ななめになって渉く。


遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
追考 はるかなみね。・遠目 遠い見はらし。・雙明 両眼のさやけさ。


乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
乾穟 かわいた稲の穂。・柱地 大地を支える。・化虫 虫のから。・ かかえる。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#20>Ⅱ中唐詩396 紀頌之の漢詩ブログ1267

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#20>Ⅱ中唐詩396 紀頌之の漢詩ブログ1267
806年 元和元年夏まで江陵におり、権知国子博士に転任、長安に帰る。 


南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第四部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
終南山01
第五部 (#17~#20―十句五聯を四章分)終南山の特徴

#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
或靡然東注,或偃然北首。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
或行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。

#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。
あるものは頭のはげのように赤裸に、あるものは天を祭る薠柴の儀式のように煙をあげている。
或如龜拆兆,或若卦分繇。
あるものはうらないの亀が前兆を告げてひびわれたかのように、あるものは易の卦が叉を分けて吉凶を定めているかのようである。
或前横若剝,或後斷若姤。
ある唇のは剥の卦のように前の山が横たわり、あるものは姤の卦のように後の峰が断ち切れている。
延延離又屬,夬夬叛還遘。
ながながと連なり、きれて離れては又続くところもあり、ちぎれちぎれにそむきあってはまた出逢うところもある。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
ぱくぱくと魚が浮き草の間から頭を出しているのもある。そしてちらりほらりと星が瞬き、月が通り過ぎるときの空の星のまばらになったものもある。
或るいは赤として禿鬝【とうかん】の若く、或るいは熏【くん】じて柴槱【さいゆう】の若し。
或るいは亀【き】の兆【ちょう】を柝【わか】つが如く、或るいは卦【か】の繇【ちゅう】を分かつが若し。
或るいは前の横たわって剥【はく】の若く、攻るいは後【しり】えの断えて姤【こう】の若し。
延延【えんえん】として離れて又属【つら】なり、夬夬【かいかい】として叛いて還た遘【あ】えり。
喁喁【ぎょうぎょう】として魚は萍【うきぐさ】を闖【うか】がい、落落【らくらく】として月は宿を経【ふ】。


#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。
きちんと土塀を築き上げているもあり、高高と蔵や馬屋を建てているもある。
參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
するどく聳えるようで、ちょうど剣や戈をとがらせて立たせているもあり、死者がきらきらと宝石を口にくわえているもある。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。
蕾を咲かせ、爛漫と花がさいているようであり、ぼたぼたと屋根が雨だれをたたきつけているものもある。
悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
ゆったりとのどかにして安らかなものもあり、めったやたらに狂ったように昂奮し、それでもってなれなれしいのもある。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。
ひらりととび出してなお走りつづけるようなものもあり、がやがやとさわぎ立てるばかりで努力しようとしないものもある。
大哉立天地,經紀肖營腠。
大いなるかな この山は天地のあいだに立ち、秩序の正しさはからだの組織にも似ている。
誾誾【ぎんぎん】として牆垣【ちょうたん】を樹【た】て、巘巘【げんげん】として庫厩【こきゅう】を駕す。
参参【しんしん】として剣戟【けんげき】を削り、煥煥【かんかん】として瑩琇【えいしゅう】を銜【ふく】めり。
敷敷【ふふ】として花は萼【がく】を披【ひら】き、闟闟【とうとう】として屋は霤【したた】りを摧【くだ】く。
悠悠として舒【の】べて安く、兀兀【ごつごつ】として狂【たわ】れて以て狃【な】る。
超超として出でて猶奔【はし】り、蠢蠢【しゅんしゅん】として駭【おどろ】いて懋【つと】めず。
大【だい】なるかな天地に立ち,經紀【けいき】は營腠【えいそう】に肖【に】たり。終南山05

#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。
最初は誰が入山し、展開したのか、誰が熱心につとめはげみ勧めつづけたのか。
創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
この南山の創りだしたのはかざりけのないが巧妙なものだ、力を合わせて苦労を耐えていったのであろう。
得非施斧斤,無乃假詛咒。
斧や鉈を加えたのではなかったらできるわけはない、それともまじないの力を借りたのではなかろうか。
鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
大昔、天地の創造の開けはじめたときからすべて伝わる言葉もなく、仕事の大きさゆえに報いることもできない。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。
かつてあるとき祭祀に奉仕する官吏に聞いたことがあった、かぐわしい香には神が降りてきて嗅ぎわけられたのである。
斐然作歌詩,惟用讚報酭。

目にも美しいもようのようにこの詩を作り、それをもってささげつものの一助とするのである。

厥【そ】の初め孰【た】れか開張【かいちょう】せし,黽勉【びんべん】として誰か勸侑【かんゆう】せす。
茲を創【はじ】むること樸にして巧みに,力を戮【あわ】せて勞疚【ろうきゅう】を忍びたるか。
斧斤【ふきん】を施すに非ざるを得【え】んや,無乃【むしろ】詛咒【そじゅつ】を假れるか。
鴻荒【こうこう】にして竟に傳うること無く,功大にして酬僦【しゅうしゅう】すること莫し。
嚐って祠官【しかん】に聞けり,芬苾【ふんひつ】には降【くだ】って歆嗅【きんきゅう】すと。
斐然【ひぜん】として歌詩を作り,惟れ用って報酭【ほうゆう】を讚【たす】けん。

終南山03

現代語訳と訳註
(本文) #20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。
創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。
鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。
斐然作歌詩,惟用讚報酭。


(下し文)
厥【そ】の初め孰【た】れか開張【かいちょう】せし,黽勉【びんべん】として誰か勸侑【かんゆう】せす。
茲を創【はじ】むること樸にして巧みに,力を戮【あわ】せて勞疚【ろうきゅう】を忍びたるか。
斧斤【ふきん】を施すに非ざるを得【え】んや,無乃【むしろ】詛咒【そじゅつ】を假れるか。
鴻荒【こうこう】にして竟に傳うること無く,功大にして酬僦【しゅうしゅう】すること莫し。
嚐って祠官【しかん】に聞けり,芬苾【ふんひつ】には降【くだ】って歆嗅【きんきゅう】すと。
斐然【ひぜん】として歌詩を作り,惟れ用って報酭【ほうゆう】を讚【たす】けん。


(現代語訳)
最初は誰が入山し、展開したのか、誰が熱心につとめはげみ勧めつづけたのか。
この南山の創りだしたのはかざりけのないが巧妙なものだ、力を合わせて苦労を耐えていったのであろう。
斧や鉈を加えたのではなかったらできるわけはない、それともまじないの力を借りたのではなかろうか。
大昔、天地の創造の開けはじめたときからすべて伝わる言葉もなく、仕事の大きさゆえに報いることもできない。
かつてあるとき祭祀に奉仕する官吏に聞いたことがあった、かぐわしい香には神が降りてきて嗅ぎわけられたのである。
目にも美しいもようのようにこの詩を作り、それをもってささげつものの一助とするのである。


(訳注)
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。

最初は誰が入山し、展開したのか、誰が熱心につとめはげみ勧めつづけたのか。
厥初 厥は、その。「書経」などに見える古いいい方である。隠棲の場所として開かれ、浄土教や道教の修行山とされている。○ 誰。○開張 展開する。くりひろげる。○黽勉 熱心につとめはげむさま。○勧侑 勧も侑も、すすめる。


創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
この南山の創りだしたのはかざりけのないが巧妙なものだ、力を合わせて苦労を耐えていったのであろう。
 素朴。かざりけがない。○戮力 力をあわせる。あるいは、努力する。○ 卒抱する。耐え忍ぶ。○勞疚 苦労。疚は、苦しみ。


得非施斧斤,無乃假詛咒。
斧や鉈を加えたのではなかったらできるわけはない、それともまじないの力を借りたのではなかろうか。
得非……無乃 ……でなければ、……ではなかろうか。得非は、反語。……ではないか。無乃も、反語。古い訓読の習慣にしたがい、「むしろ」と読むが、「乃ち……無からんや」、「……ではないか」の意。同じような構文をかさねて、その二つのどちらかであることを示す。○斧斤 斧も斤も、ともに木を伐採する。○ 借りる。その助けを得る。○詛咒 まじない。おのうという悪い意味はなく、自分の願いがかなうように神に祈る単純なまじないの意。


荒竟無傳,功大莫酬僦。
大昔、天地の創造の開けはじめたときからすべて伝わる言葉もなく、仕事の大きさゆえに報いることもできない。
鴻荒 天地開闢の大昔。○酬僦 酬は、がんらい主人が客に返杯すること。僦は、何かを借りたとき借り賃を支払うこと。酬僦は、ここでは、山を造った労苦に対して報酬を支払うことをいう。
 

嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。
かつてあるとき祭祀に奉仕する官吏に聞いたことがあった、かぐわしい香には神が降りてきて嗅ぎわけられたのである。
 過去にあった経験であることを示す助辞。……したことがあった。○官 祭祀に奉仕する官吏。神官。○芬苾 ぷんぷんとよいかおりがする形容。○歆嗅 歆は、神が供物の香気を享けさせられること。嗅は、においをかぐこと。


斐然作歌詩,惟用讚報酭。
目にも美しいもようのようにこの詩を作り、それをもってささげつものの一助とするのである。
斐然 美しいもようのあるさま。それから、文章の美しいのを形容する。○ 文のはじめに来る詞子を整える助辞。○ それを用いて、それで。○ 助ける。補助とする。○報酭 酭も報の意味。ここでは、造物主のこの大きな仕事に対するお礼をいう。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#19>Ⅱ中唐詩395 紀頌之の漢詩ブログ1264

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#19>Ⅱ中唐詩395 紀頌之の漢詩ブログ1264


南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第四部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
終南山01
第五部 (#17~#20―十句五聯を四章分)終南山の特徴

#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
或靡然東注,或偃然北首。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
或行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。

#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。
あるものは頭のはげのように赤裸に、あるものは天を祭る薠柴の儀式のように煙をあげている。
或如龜拆兆,或若卦分繇。
あるものはうらないの亀が前兆を告げてひびわれたかのように、あるものは易の卦が叉を分けて吉凶を定めているかのようである。
或前横若剝,或後斷若姤。
ある唇のは剥の卦のように前の山が横たわり、あるものは姤の卦のように後の峰が断ち切れている。
延延離又屬,夬夬叛還遘。
ながながと連なり、きれて離れては又続くところもあり、ちぎれちぎれにそむきあってはまた出逢うところもある。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
ぱくぱくと魚が浮き草の間から頭を出しているのもある。そしてちらりほらりと星が瞬き、月が通り過ぎるときの空の星のまばらになったものもある。
或るいは赤として禿鬝【とうかん】の若く、或るいは熏【くん】じて柴槱【さいゆう】の若し。
或るいは亀【き】の兆【ちょう】を柝【わか】つが如く、或るいは卦【か】の繇【ちゅう】を分かつが若し。
或るいは前の横たわって剥【はく】の若く、攻るいは後【しり】えの断えて姤【こう】の若し。
延延【えんえん】として離れて又属【つら】なり、夬夬【かいかい】として叛いて還た遘【あ】えり。
喁喁【ぎょうぎょう】として魚は萍【うきぐさ】を闖【うか】がい、落落【らくらく】として月は宿を経【ふ】。

終南山05
#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。
きちんと土塀を築き上げているもあり、高高と蔵や馬屋を建てているもある。
參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
するどく聳えるようで、ちょうど剣や戈をとがらせて立たせているもあり、死者がきらきらと宝石を口にくわえているもある。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。
蕾を咲かせ、爛漫と花がさいているようであり、ぼたぼたと屋根が雨だれをたたきつけているものもある。
悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
ゆったりとのどかにして安らかなものもあり、めったやたらに狂ったように昂奮し、それでもってなれなれしいのもある。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。
ひらりととび出してなお走りつづけるようなものもあり、がやがやとさわぎ立てるばかりで努力しようとしないものもある。
大哉立天地,經紀肖營腠。
大いなるかな この山は天地のあいだに立ち、秩序の正しさはからだの組織にも似ている。
誾誾【ぎんぎん】として牆垣【ちょうたん】を樹【た】て、巘巘【げんげん】として庫厩【こきゅう】を駕す。
参参【しんしん】として剣戟【けんげき】を削り、煥煥【かんかん】として瑩琇【えいしゅう】を銜【ふく】めり。
敷敷【ふふ】として花は萼【がく】を披【ひら】き、闟闟【とうとう】として屋は霤【したた】りを摧【くだ】く。
悠悠として舒【の】べて安く、兀兀【ごつごつ】として狂【たわ】れて以て狃【な】る。
超超として出でて猶奔【はし】り、蠢蠢【しゅんしゅん】として駭【おどろ】いて懋【つと】めず。
大【だい】なるかな天地に立ち,經紀【けいき】は營腠【えいそう】に肖【に】たり。

#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。



現代語訳と訳註
(本文) #19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。
參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。
悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。
大哉立天地,經紀肖營腠。


(下し文)
誾誾【ぎんぎん】として牆垣【ちょうたん】を樹【た】て、巘巘【げんげん】として庫厩【こきゅう】を駕す。
参参【しんしん】として剣戟【けんげき】を削り、煥煥【かんかん】として瑩琇【えいしゅう】を銜【ふく】めり。
敷敷【ふふ】として花は萼【がく】を披【ひら】き、闟闟【とうとう】として屋は霤【したた】りを摧【くだ】く。
悠悠として舒【の】べて安く、兀兀【ごつごつ】として狂【たわ】れて以て狃【な】る。
超超として出でて猶奔【はし】り、蠢蠢【しゅんしゅん】として駭【おどろ】いて懋【つと】めず。
大【だい】なるかな天地に立ち,經紀【けいき】は營腠【えいそう】に肖【に】たり。


(現代語訳)
きちんと土塀を築き上げているもあり、高高と蔵や馬屋を建てているもある。
するどく聳えるようで、ちょうど剣や戈をとがらせて立たせているもあり、死者がきらきらと宝石を口にくわえているもある。
蕾を咲かせ、爛漫と花がさいているようであり、ぼたぼたと屋根が雨だれをたたきつけているものもある。
ゆったりとのどかにして安らかなものもあり、めったやたらに狂ったように昂奮し、それでもってなれなれしいのもある。
ひらりととび出してなお走りつづけるようなものもあり、がやがやとさわぎ立てるばかりで努力しようとしないものもある。
大いなるかな この山は天地のあいだに立ち、秩序の正しさはからだの組織にも似ている。


(訳注)
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。

きちんと土塀を築き上げているもあり、高高と蔵や馬屋を建てているもある。
誾誾 うやうやしいさま。きちんとしているさま。○ 立てる。○牆垣 土べい。O巘巘 高くつっ立っているきま。○駕 建てる。○庫廄 庫は、くら。厩はうまや。


參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
するどく聳えるようで、ちょうど剣や戈をとがらせて立たせているもあり、死者がきらきらと宝石を口にくわえているもある。
参参 ほそ長い形容。○削 けずり立っていること。○剣戟 剣は、両刃のつるぎ。戟は、ほこ。○煥煥 まばゆく光っているさま。○ 口にくわえる。なお、中国古代の習慣として、死者の口に玉を銜えさせるのが常だった。それを連想したもの。○瑩琇 瑩も琇も、玉に似て美しい石をいう。『詩経、衛風』淇奥篇詩経、衛風』淇奥篇「有匪君子 充耳琇瑩」(匪たる君子有り、 充耳琇瑩。)という句がある。


敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。
蕾を咲かせ、爛漫と花がさいているようであり、ぼたぼたと屋根が雨だれをたたきつけているものもある。
敷敷 花の爛漫と、ぱっと咲いているさま。○披萼 披は、開く。萼は、花びらの外がわにあるうてな。○闟闟 地にものが落ちる音。○ 屋根。○ 雨だれ。


悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
ゆったりとのどかにして安らかなものもあり、めったやたらに狂ったように昂奮し、それでもってなれなれしいのもある。
悠悠 ゆったりしているさま。○ のどかに。○兀兀 ものごとを知らない形容。○ くるう。あるいは、常態以上に昂奮する。○ なれしたしむ。


超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。
ひらりととび出してなお走りつづけるようなものもあり、がやがやとさわぎ立てるばかりで努力しようとしないものもある。
超超 ひらりととびこえる形容。○蠢蠢 がやがやとさわぎたてるさま。○ びっくりしてさわぐ。○ 勉める。努力する。


大哉立天地,經紀肖營腠。
大いなるかな この山は天地のあいだに立ち、秩序の正しさはからだの組織にも似ている。
大哉立天地 あの干変万化の山の状態を造りあげた造物主の偉大なしわざをほめたたえる。大哉は、その徳の偉大なことを称讃するのに用いられることば。例えば、「易」の卦の彖伝に、「大哉乾元」(大なるかな乾元)とあるのがそれである。○経紀 整ったすじみち。正しい秩序。○ 似ている。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#18>Ⅱ中唐詩394 紀頌之の漢詩ブログ1261

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#18>Ⅱ中唐詩394 紀頌之の漢詩ブログ1261


南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第四部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第五部 (#17~#20―十句五聯を四章分)終南山の特徴

終南山04
#17  

或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
或靡然東注,或偃然北首。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
或行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。

#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。
あるものは頭のはげのように赤裸に、あるものは天を祭る薠柴の儀式のように煙をあげている。
或如龜拆兆,或若卦分繇。
あるものはうらないの亀が前兆を告げてひびわれたかのように、あるものは易の卦が叉を分けて吉凶を定めているかのようである。
或前横若剝,或後斷若姤。
ある唇のは剥の卦のように前の山が横たわり、あるものは姤の卦のように後の峰が断ち切れている。
延延離又屬,夬夬叛還遘。
ながながと連なり、きれて離れては又続くところもあり、ちぎれちぎれにそむきあってはまた出逢うところもある。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。

ぱくぱくと魚が浮き草の間から頭を出しているのもある。そしてちらりほらりと星が瞬き、月が通り過ぎるときの空の星のまばらになったものもある。
或るいは赤として禿鬝【とうかん】の若く、或るいは熏【くん】じて柴槱【さいゆう】の若し。
或るいは亀【き】の兆【ちょう】を柝【わか】つが如く、或るいは卦【か】の繇【ちゅう】を分かつが若し。
或るいは前の横たわって剥【はく】の若く、攻るいは後【しり】えの断えて姤【こう】の若し。
延延【えんえん】として離れて又属【つら】なり、夬夬【かいかい】として叛いて還た遘【あ】えり。
喁喁【ぎょうぎょう】として魚は萍【うきぐさ】を闖【うか】がい、落落【らくらく】として月は宿を経【ふ】。

#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。大哉立天地,經紀肖營腠。
#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。


終南山05

現代語訳と訳註
(本文)
#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。
或如龜拆兆,或若卦分繇。
或前横若剝,或後斷若姤。
延延離又屬,夬夬叛還遘。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。

(下し文)
或るいは赤として禿鬝【とうかん】の若く、或るいは熏【くん】じて柴槱【さいゆう】の若し。
或るいは亀【き】の兆【ちょう】を柝【わか】つが如く、或るいは卦【か】の繇【ちゅう】を分かつが若し。
或るいは前の横たわって剥【はく】の若く、攻るいは後【しり】えの断えて姤【こう】の若し。
延延【えんえん】として離れて又属【つら】なり、夬夬【かいかい】として叛いて還た遘【あ】えり。
喁喁【ぎょうぎょう】として魚は萍【うきぐさ】を闖【うか】がい、落落【らくらく】として月は宿を経【ふ】。


(現代語訳)
あるものは頭のはげのように赤裸に、あるものは天を祭る薠柴の儀式のように煙をあげている。
あるものはうらないの亀が前兆を告げてひびわれたかのように、あるものは易の卦が叉を分けて吉凶を定めているかのようである。
ある唇のは剥の卦のように前の山が横たわり、あるものは姤の卦のように後の峰が断ち切れている。
ながながと連なり、きれて離れては又続くところもあり、ちぎれちぎれにそむきあってはまた出逢うところもある。
ぱくぱくと魚が浮き草の間から頭を出しているのもある。そしてちらりほらりと星が瞬き、月が通り過ぎるときの空の星のまばらになったものもある。


(訳注) #18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。

あるものは頭のはげのように赤裸に、あるものは天を祭る薠柴の儀式のように煙をあげている。
 そこに何もない形容。赤裸。赤脚の赤。○禿鬝 鬝、禿、どちらもはげる。特に髪の「はげ」をいう。禿鬝で、はげ。○ くぶらす。煙をあげる。○柴槱 柴や薪を積みあげて供物を焼き、その煙を天にあげて、天の神々を祭る儀礼。薠柴の祭り。 


或如龜拆兆,或若卦分繇。
あるものはうらないの亀が前兆を告げてひびわれたかのように、あるものは易の卦が叉を分けて吉凶を定めているかのようである。
亀垢兆 亀は、その甲でうらないをする。甲に穴をあけ、そこに火を入れると、その熱で甲にひびが入る。そのひびの入り方によって、吉凶をきめる。垢とは、ひびの入ること。兆とは、吉凶をきめるひびの入り方である。なお、この亀甲によって、うらなうことを、トという。○卦分繇 繇は、易の卦につけられたうらないのことばであるが、それは、大てい一就ごとにあるから、ここは、反の意味と同じように使用し、韻をあわせるため。繇の字にしたのである。山がつらなったりたちきれたりしているのをいっているのを易の卦で表現したもの。


或前横若剝,或後斷若姤。
ある唇のは剥の卦のように前の山が横たわり、あるものは姤の卦のように後の峰が断ち切れている。
前横若剝 易の卦のことを持ち出したので、実際にどんな形の山があるか、その例をあげたのである。剥は、易の六十四卦の一つで、前が横たわっている形である。○後断若姤 姤も、剥と同じく六十四卦の一つで、後が断ち切れた形となる。


延延離又屬,夬夬叛還遘。
ながながと連なり、きれて離れては又続くところもあり、ちぎれちぎれにそむきあってはまた出逢うところもある。
延延離又属 この段は前段と同じく、山の形容で、内容上はつづいている。延延は、長くつづいているさま。凪は、つづきあっていること。○夬夬 あっさり手を切ってしまう形容。易の夬の卦に見えることば。夬は、切るの意。ここでは、山脈がちぎれちぎれになっていることをいう。○ 出逢う。
ただこの段は、毎句のはじめに同じ字を重ねるいわゆる畳語を置いて描写し、前段の「或」又は「或若」をおくのと、形式的にちがっている。またヽこの段では「若」や「如」の字で「ごとし」といっていないが、どの句も比喩であること。


喁喁魚闖萍,落落月經宿。
ぱくぱくと魚が浮き草の間から頭を出しているのもある。そしてちらりほらりと星が瞬き、月が通り過ぎるときの空の星のまばらになったものもある。
哨喘 魚が頭を水面に出してロをぱくぱくさせているさま。○ 頭を出していること。○ 水草の名。うきくさ。○落落 まばらな形容。月が明るいとその周りの星座が見えないこと。○月経宿 宿は、星宿。星座をいう。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#17>Ⅱ中唐詩393 紀頌之の漢詩ブログ1258

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#17>Ⅱ中唐詩393 紀頌之の漢詩ブログ1258


南山詩 第五部 (韓愈 唐詩)
南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第四部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第五部 (#17~#20―十句五聯を四章分)終南山の特徴

#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
或靡然東注,或偃然北首。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
或行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。

#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。或如龜拆兆,或若卦分繇。
或前横若剝,或後斷若姤。延延離又屬,夬夬叛還遘。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。大哉立天地,經紀肖營腠。
#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。


終南山03
現代語訳と訳註
(本文)#17
  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
或靡然東注,或偃然北首。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
或行而不輟,或遺而不收。
或斜而不倚,或弛而不彀。


(下し文)
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。


(現代語訳)
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。

Ta唐 長安近郊圖  新02

(訳注) #17
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
 高くそびえるさま・○戦陣 おそらく陣の塞がそびえていること。○蒐狩 狩猟。春の狩りを蒐といい、冬のかりを狩というと、中国古代の辞書「爾雅」の釈天にある。


或靡然東注,或偃然北首。
あるものは東に流れこんでいきそして靡くようになだらかにくだる、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
靡然 なびきふすさま。○東 東に流れこむ。ここは、山勢が東に次第に低くなっている形容であるが、中国の地形は西高東低で、三大河川は東流しているので、古典的意識では、川の流れは「東注」するものとされる。その反映が、ここに東注ということばとして便用されている。○偃然 よこたわるさま。○北首 北を向いている。死んだとき、北向きに葬むるのが、礼であったことをふまえている。北首とは、北枕のことであるともいう。


或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
熹焰 堪は、火のさかんにもえている形容であるとも、また、御飯をたくこと。熹焔は、めしをたくべくほのおをあげている。○饙餾 御飯を蒸すこと。半むしが娘で、むし上がったのが鱗だという。 


行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
 止める。


或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
斜而不倚 ななめにはなっているが、かたむいていない。この場合、倚は、斜の程度のひどいのをいうのである。○ だらりとゆるんでいる。○ 弓をいっぱいひきしぼること。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#16>Ⅱ中唐詩392 紀頌之の漢詩ブログ1255

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#16>Ⅱ中唐詩392 紀頌之の漢詩ブログ1255


南山詩 第四部 (韓愈 唐詩)
南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事

第四部 (#13~#16―十句五聯を四章分)
終南山の特徴


#13 
或散若瓦解,或赴若輻湊。
あるものは瓦がばらばらになったように散らばった小山があり、あるものは車の矢があつまるようにひと所をめざしている谷と尾根がある。
或翩若船游,或決若馬驟。
あるものは船がうかぶようにかろやかな稜線であり、あるものは馬が走るようにぶつりときれて崖を成している。
或背若相惡,或向若相佑。
あるものは憎みあうように背中あわせになっているし、あるものは助けあうように向かいあっている。
或亂若抽筍,或嵲若注灸。
あるものはたけのこがふいに頭を出したばかりのように乱れた小山があり、あるものは灸をすえるときの百草のようにけわしくもりあがっている小山がある。
或錯若繪畫,或繚若篆籀。
あるものは絵画のように濃い薄い、淡い深いなど複錐にまじわりあう山々があり、あるものは篆文のようにまがりくねっている。
或るいは散じて瓦の解く若し,或るいは赴いて輻【くるまや】の湊【あつま】るが若し。
或るいは翩【へん】として船游若し,或るいは決【けつ】として馬の驟【はし】るが若し。
或るいは背【そむ】いて相い惡【にく】むが若し,或るいは向いて相い佑【たす】くるが若し。
或るいは亂れて筍の抽【お】うるが若し,或るいは嵲【あや】うくして灸を注【す】えたるが若し。
或るいは錯【まじ】わりて繪畫の若し,或るいは繚【まと】わりて篆籀【てんちゅう】の若し

#14
或羅若星離,或蓊若雲逗。
あるものは星が天にちりばめられ、星座をつくっているように居並ぶ、あるものは草木の盛んに繁って山の形がもりあがるような勢いであり、雲がとどまっているように勢いをひそめている。
或浮若波濤,或碎若鋤耨。
あるものは大波小波のようにただよい、あるものは土を掘りかえして草を取る道具、川葦草を取る鋤物で耕やされたように砕けている。
或如賁育倫,賭勝勇前購。
あるものは孟賁や夏育のような人たちがいるようであり、目の前の賞品に勇んで勝負をかけているようである。
先強勢已出,後鈍嗔餖譳。
先の方は強くて形勢が早くも図抜けており、後の方は鈍さのあまり腹を立ててぶつぶつ不満をいっているようだ。
或如帝王尊,叢集朝賤幼。
あるものは帝王が尊厳、威厳をもっているようであり、身分いやしきものいと幼い王族のものたちをよびあつめ朝廷での朝礼に集わせられているようである。
或るいは羅【つら】なって星の離【つら】なるが若く、或るいは蓊【さかん】にして雲の逗【とど】まるが若し。
或るいは浮かんで波濤【はとう】の若く、或るいは砕【くだ】けて鋤耨【じょどう】せしが若し。
或るいは賁育【ほんいく】が倫【りん】の、勝つことを賭けて前の購【かけもの】に勇むが如し。
先強うして勢 已【すで】に出で、後 鈍くして嗔【いか】って餖譳【とうどう】す。
或るいは帝王の尊きが、叢【あつ】め集めて賤幼【せんよう】を朝せしむるが如し。

#15
雖親不褻狎,雖遠不悖謬。

親しいものとして尊厳をけがすほどに慣れ親しんでいるわけではなく、疎遠なものとして顔をそむけたりできるものではない。
或如臨食案,餚核紛飣餖。
あるものは食卓に向かうとき、山の幸と海の幸がいりみだれてならべ飾られているようである。
又如游九原,墳墓包槨柩。
又、墳墓のたくさんある九原に散歩するとき、もりあげられた塚の中にひつぎが収められているようでもある。
或累若盆罌,或揭若覴梪。
あるものは鉢やとっくりのようにかさなりあい、あるものは土製や木製の高杯のように高くぬっとそびえている。
或覆若曝鱉,或頹若寢獸。
あるものは日向ぼっこのすっぽんのように甲羅に覆われ、あるものは寝ている獣のようにだらりと崩れて禿げている。
親【したし】しと雖も褻狎【せつこう】せず、遠しと雖も悖謬【はいびゅう】せず。
或るいは食案【しょくあん】に臨んで、餚核【こうかく】の紛として飣餖【ていとう】するが如し。
又九原【きゅうげん】に遊んで、墳墓【ふんぼ】に槨柩【かくきゅう】を包みたるが如し。
或るいは愛として盆罌【ぼんえい】の若く、成るいは揚として覴梪【とうとう】の若し。
或るいは覆って曝【さら】せる鱉【べつ】の若く、攻るいは頹【くず】れて寝ねたる獣【けだもの】の若し。

#16 
或蜿若藏龍,或翼若搏鷲。
あるものは山地がひそんでいる竜のようにうねり、あるものは山地がたたかう鷲のようにはばたいている。
或齊若友朋,或隨若先後。
あるものはその山地が友だちのように肩を並らべ、あるものはその山地が小姑同士のように順に随っている。
或迸若流落,或顧若宿留。
あるいは山地が流れ落ちるように早い速力で散らばり、あるものは山地がひと所に逗留するようにふりかえっている。
或戾若仇讎,或密若婚媾。
あるものはその山地がかたきのようにそむきあいもどってくるし、あるものはその山地が結婚するかのようにくっつきあっている。
或儼若峨冠,或翻若舞袖。

あるものは山高の冠のようにおごそかにそびえ、あるものは舞いの袖のようにひるがえっている。
或るいは蜿【えん】として蔵れたる竜の若く、或るいは翼【はう】って搏【たたこ】う鷲【わし】の若し。
或るいは斉【な】らびて友朋【ゆうほう】の若く、或るいは随って先後【せんこう】の若し。
成るいは迸【ほとばし】りて流落【りゅうらく】するが若く、或るいは顧【かえ】りみて宿留【しゅうりゅう】するが若し。
或るいは戻って仇讎【きゅうしゅう】の若く、或るいは密【みつ】にして婚媾【こんこう】の若し。
或るいは儼【おごそ】かにして峨冠【がかん】の若く、或るいは翻【ひるがえ】って舞いの袖の若し。


終南山04
現代語訳と訳註
(本文)
#16 
或蜿若藏龍,或翼若搏鷲。或齊若友朋,或隨若先後。
或迸若流落,或顧若宿留。或戾若仇讎,或密若婚媾。
或儼若峨冠,或翻若舞袖。


(下し文)
或るいは蜿【えん】として蔵れたる竜の若く、或るいは翼【はう】って搏【たたこ】う鷲【わし】の若し。
或るいは斉【な】らびて友朋【ゆうほう】の若く、或るいは随って先後【せんこう】の若し。
成るいは迸【ほとばし】りて流落【りゅうらく】するが若く、或るいは顧【かえ】りみて宿留【しゅうりゅう】するが若し。
或るいは戻って仇讎【きゅうしゅう】の若く、或るいは密【みつ】にして婚媾【こんこう】の若し。
或るいは儼【おごそ】かにして峨冠【がかん】の若く、或るいは翻【ひるがえ】って舞いの袖の若し。


(現代語訳)
あるものは山地がひそんでいる竜のようにうねり、あるものは山地がたたかう鷲のようにはばたいている。
あるものはその山地が友だちのように肩を並らべ、あるものはその山地が小姑同士のように順に随っている。
あるいは山地が流れ落ちるように早い速力で散らばり、あるものは山地がひと所に逗留するようにふりかえっている。
あるものはその山地がかたきのようにそむきあいもどってくるし、あるものはその山地が結婚するかのようにくっつきあっている。
あるものは山高の冠のようにおごそかにそびえ、あるものは舞いの袖のようにひるがえっている。


 (訳注) #16 
或蜿若藏龍,或翼若搏鷲。
あるものは山地がひそんでいる竜のようにうねり、あるものは山地がたたかう鷲のようにはばたいている。
 竜のうねうねとうねっている形容。○ 鳥がはねをひろげたようなさま。○ あらそう。えさにおそいかかる。○ 並らぶ。


或齊若友朋,或隨若先後。
あるものはその山地が友だちのように肩を並らべ、あるものはその山地が小じゅうとめ同士のように順に随っている。
友朋 ともだち。○先後 この場合は、俤以という意昧。兄弟の妻をいう。俤が、弟の妻。以が、兄の妻。あるいは、この句が、「礼記」曲礼上篇の「五年以て長ずれぱ、則ち一刑随す。」とあるのをふんで、前後することかもしれないが、友朋と市する関係‐に、「先後」を卿獄と解するのがよいとされる。


或迸若流落,或顧若宿留。
あるいは山地が流れ落ちるように早い速力で散らばり、あるものは山地がひと所に逗留するようにふりかえっている。
 早い速力で散らばること。○宿留 同じところにじっととまっていること。


或戾若仇讎,或密若婚媾。
あるものはその山地がかたきのようにそむきあいもどってくるし、あるものはその山地が結婚するかのようにくっつきあっている。
 仲たがいする。○仇緬 かたき。○婚媾 媾は婚と同じ。結婚する。


或儼若峨冠,或翻若舞袖。
あるものは山高の冠のようにおごそかにそびえ、あるものは舞いの袖のようにひるがえっている。
○儼 おごそかなさま。○峨冠 高い冠ご朝廷に仕える官吏のかんむり。

南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#15>Ⅱ中唐詩391 紀頌之の漢詩ブログ1252

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南山詩 第四部 (韓愈 唐詩)
南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事

第四部 (#13~#16―十句五聯を四章分)
終南山の特徴


#13 
或散若瓦解,或赴若輻湊。
あるものは瓦がばらばらになったように散らばった小山があり、あるものは車の矢があつまるようにひと所をめざしている谷と尾根がある。
或翩若船游,或決若馬驟。
あるものは船がうかぶようにかろやかな稜線であり、あるものは馬が走るようにぶつりときれて崖を成している。
或背若相惡,或向若相佑。
あるものは憎みあうように背中あわせになっているし、あるものは助けあうように向かいあっている。
或亂若抽筍,或嵲若注灸。
あるものはたけのこがふいに頭を出したばかりのように乱れた小山があり、あるものは灸をすえるときの百草のようにけわしくもりあがっている小山がある。
或錯若繪畫,或繚若篆籀。
あるものは絵画のように濃い薄い、淡い深いなど複錐にまじわりあう山々があり、あるものは篆文のようにまがりくねっている。
或るいは散じて瓦の解く若し,或るいは赴いて輻【くるまや】の湊【あつま】るが若し。
或るいは翩【へん】として船游若し,或るいは決【けつ】として馬の驟【はし】るが若し。
或るいは背【そむ】いて相い惡【にく】むが若し,或るいは向いて相い佑【たす】くるが若し。
或るいは亂れて筍の抽【お】うるが若し,或るいは嵲【あや】うくして灸を注【す】えたるが若し。
或るいは錯【まじ】わりて繪畫の若し,或るいは繚【まと】わりて篆籀【てんちゅう】の若し

#14
或羅若星離,或蓊若雲逗。
あるものは星が天にちりばめられ、星座をつくっているように居並ぶ、あるものは草木の盛んに繁って山の形がもりあがるような勢いであり、雲がとどまっているように勢いをひそめている。
或浮若波濤,或碎若鋤耨。
あるものは大波小波のようにただよい、あるものは土を掘りかえして草を取る道具、川葦草を取る鋤物で耕やされたように砕けている。
或如賁育倫,賭勝勇前購。
あるものは孟賁や夏育のような人たちがいるようであり、目の前の賞品に勇んで勝負をかけているようである。
先強勢已出,後鈍嗔餖譳。
先の方は強くて形勢が早くも図抜けており、後の方は鈍さのあまり腹を立ててぶつぶつ不満をいっているようだ。
或如帝王尊,叢集朝賤幼。
あるものは帝王が尊厳、威厳をもっているようであり、身分いやしきものいと幼い王族のものたちをよびあつめ朝廷での朝礼に集わせられているようである。
或るいは羅【つら】なって星の離【つら】なるが若く、或るいは蓊【さかん】にして雲の逗【とど】まるが若し。
或るいは浮かんで波濤【はとう】の若く、或るいは砕【くだ】けて鋤耨【じょどう】せしが若し。
或るいは賁育【ほんいく】が倫【りん】の、勝つことを賭けて前の購【かけもの】に勇むが如し。
先強うして勢 已【すで】に出で、後 鈍くして嗔【いか】って餖譳【とうどう】す。
或るいは帝王の尊きが、叢【あつ】め集めて賤幼【せんよう】を朝せしむるが如し。

#15
雖親不褻狎,雖遠不悖謬。
親しいものとして尊厳をけがすほどに慣れ親しんでいるわけではなく、疎遠なものとして顔をそむけたりできるものではない。
或如臨食案,餚核紛飣餖。
あるものは食卓に向かうとき、山の幸と海の幸がいりみだれてならべ飾られているようである。
又如游九原,墳墓包槨柩。
又、墳墓のたくさんある九原に散歩するとき、もりあげられた塚の中にひつぎが収められているようでもある。
或累若盆罌,或揭若覴梪。
あるものは鉢やとっくりのようにかさなりあい、あるものは土製や木製の高杯のように高くぬっとそびえている。
或覆若曝鱉,或頹若寢獸。
あるものは日向ぼっこのすっぽんのように甲羅に覆われ、あるものは寝ている獣のようにだらりと崩れて禿げている。
親【したし】しと雖も褻狎【せつこう】せず、遠しと雖も悖謬【はいびゅう】せず。
或るいは食案【しょくあん】に臨んで、餚核【こうかく】の紛として飣餖【ていとう】するが如し。
又九原【きゅうげん】に遊んで、墳墓【ふんぼ】に槨柩【かくきゅう】を包みたるが如し。
或るいは愛として盆罌【ぼんえい】の若く、成るいは揚として覴梪【とうとう】の若し。
或るいは覆って曝【さら】せる鱉【べつ】の若く、攻るいは頹【くず】れて寝ねたる獣【けだもの】の若し。

#16 
或蜿若藏龍,或翼若搏鷲。或齊若友朋,或隨若先後。
或迸若流落,或顧若宿留。或戾若仇讎,或密若婚媾。
或儼若峨冠,或翻若舞袖。
#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。或靡然東注,或偃然北首。
或如火熹焰,或若氣饙餾。或行而不輟,或遺而不收。
或斜而不倚,或弛而不彀。
#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。或如龜拆兆,或若卦分繇。
或前横若剝,或後斷若姤。延延離又屬,夬夬叛還遘。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。大哉立天地,經紀肖營腠。
#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。



現代語訳と訳註
(本文) #15

雖親不褻狎,雖遠不悖謬。
或如臨食案,餚核紛飣餖。
又如游九原,墳墓包槨柩。
或累若盆罌,或揭若覴梪。
或覆若曝鱉,或頹若寢獸。


(下し文)
親【したし】しと雖も褻狎【せつこう】せず、遠しと雖も悖謬【はいびゅう】せず。
或るいは食案【しょくあん】に臨んで、餚核【こうかく】の紛として飣餖【ていとう】するが如し。
又九原【きゅうげん】に遊んで、墳墓【ふんぼ】に槨柩【かくきゅう】を包みたるが如し。
或るいは愛として盆罌【ぼんえい】の若く、成るいは揚として覴梪【とうとう】の若し。
或るいは覆って曝【さら】せる鱉【べつ】の若く、攻るいは頹【くず】れて寝ねたる獣【けだもの】の若し。


(現代語訳)
親しいものとして尊厳をけがすほどに慣れ親しんでいるわけではなく、疎遠なものとして顔をそむけたりできるものではない。
あるものは食卓に向かうとき、山の幸と海の幸がいりみだれてならべ飾られているようである。
又、墳墓のたくさんある九原に散歩するとき、もりあげられた塚の中にひつぎが収められているようでもある。
あるものは鉢やとっくりのようにかさなりあい、あるものは土製や木製の高杯のように高くぬっとそびえている。
あるものは日向ぼっこのすっぽんのように甲羅に覆われ、あるものは寝ている獣のようにだらりと崩れて禿げている。


(訳注)
雖親不褻狎,雖遠不悖謬。

親しいものとして尊厳をけがすほどに慣れ親しんでいるわけではなく、疎遠なものとして顔をそむけたりはできるものではない。
雖親不褻狎 褻狎は、過度になれしたしむ。親しいからといってことさらなれしたしむことはしない。この「親しい」というのは、前の句の「幼」を受ける。○雖遠不悖謬 悖謬は、仲たがいをする。自分から遠いものであっても、ことさらそれらをわるくあつかうことはしない。「遠い」は、「賤しい」人を受ける。


或如臨食案,餚核紛飣餖。
あるものは食卓に向かうとき、山の幸と海の幸がいりみだれてならべ飾られているようである。
食案 食卓。案は、つくえ。○餚核 ごちそう。・餚核は餖という高杯に盛る料理をいい核は竹で編んだ食器に入れるもの、挑や梅などをいう。「詩経」小雅賓之初筵篇に見えることばである。○紛 いりまじる。○飣餖 ごちそうがいっぱいならんでいるさま。


又如游九原,墳墓包槨柩。
又、墳墓のたくさんある九原に散歩するとき、もりあげられた塚の中にひつぎが収められているようでもある。
○遊九原 墓地を散歩する。九原は、墓地。むかし晋の国(今の山西省にあった)の卿大夫(家老たち)は、郊外の九原という野原に葬むられたところからいう。「礼記」檀弓篇に、「趙文子、叔誉と九原に観【よろこ】ぶ。」とあるのをふまえたことば。○墳墓 墳も墓も、はか。土を盛りあげて作る。○槨柩 槨柩は、棺おけの外をおおう箱、外棺。柩は、ひつぎ。死体のはいっている棺。


或累若盆罌,或揭若覴梪。
あるものは鉢やとっくりのようにかさなりあい、あるものは土製や木製の高杯のように高くぬっとそびえている。
 かさなりあっている。○盆罌 盆は、はち、たらいの類、土器である。・も、土器で、とっくりの類。○掲 高く挙がっている。ぬっとそびえている。○覴梪 覴は、土器製の高杯。梪は、豆の宇と同じ。木製の高杯。


或覆若曝鱉,或頹若寢獸。
あるものは日向ぼっこのすっぽんの様に甲羅に覆われ、あるものは寝ている獣のようにだらりと崩れて禿げている。
 長い間、風雨や太陽にさらされて、色あせたり朽ちたりする。○ すっぽん。 

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紀 頌之

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