漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩 中唐詩人選集【Ⅰ李商隠-150】Ⅱ韓退之(韓愈)-500Ⅶ孟郊(東野)賈島張籍柳宗元韋応物

Ⅰ李商隠は難解詩といわれている。約150首紹介済。(晩唐詩人) Ⅱ韓退之(韓愈)-約500首Ⅶ孟郊、中唐の詩人を掲載中。万物の性(さが)をテーマにした哲学的な詩。このブログは基本的に中唐詩人を中心にして掲載する予定。 韓愈詩文のこれまでの掲載分とこれから掲載予定分を時系列で整理した2014.3.29のブログに集約してそこから各年次を見ることができる  kanbuniinkai 検索で、《漢文委員会HP05》サイトあります。漢詩唐詩を理解するための総合サイト:≪漢文委員会 漢詩07≫。

2012年10月

少し、マニアックな晩唐詩人Ⅰ-李商隠150首をまず掲載済み。中唐は盛唐詩人(孟浩然・王維、杜甫、李白)を受け継いだ多様な詩人が出ている。この時代も驚くほど詩が発展している。Ⅱ韓退之(韓愈)500首、Ⅲ柳宗元40首、Ⅳ韋応物、Ⅴ劉長卿、Ⅵ韋荘、Ⅶ孟郊(孟東野)、Ⅷ張籍、Ⅸ賈島、Ⅹ劉禹錫、ほか2012~2020年の予定で気長に進める。同じ中唐ではあるが、白居易のグループについては、李白のブログ350首(2015/6月再開~2018/夏・秋月予定)の後掲載の予定。別に杜甫詩ブログ1500首(2011/7月~2018/8月の予定で)を進行中。詩数につぃては、予定の詩数より多くなる。気まぐれなところがあるのでこの予定が少し変わる場合があり、その節はご容赦ください。                 古詩・謝霊運詩 杜甫詩 韓愈詩 花間集500首全詩 それぞれ毎日ブログしています。 このブログ、索引=語句の「検索」 参考書以上掲載。漢詩力up。

莎柵聯句 韓退之(韓愈)詩<86>Ⅱ中唐詩482 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1525

 
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莎柵聯句 韓退之(韓愈)詩<86>Ⅱ中唐詩482 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1525


卷 別:卷七九一
詩 題:莎柵聯句〈韓愈、孟郊〉


  808年元和三年、かれは、権知国子博士から、正博士に進んだ。このとし、同じ洛陽で、水陸転運判官として、東都留守の鄭余慶の幕下にあった孟郊が、生まれてまもない子どもを死なせた。孟郊はすでに五十六歳、それまでにも、二人の子を、生まれてすぐに死なせている。そのなげき方は、ひと通りでなかった。悲しみのあまり、天をもうらみ、おのれの生をすら厭うほどであった。韓愈は、この友を、何とかなぐさめ、力づけたいと思って「孟東野、子を失う」の詩をつくって贈った。
やはりこのころ、たぶん韓愈が孟郊の気を晴らせようとして誘ったのでもあろう。ふたりは莎柵谷に遊んだ。このとき試みたのが「莎柵聯旬」である。だが、谷では、風ははげしく、景色は荒涼として、かえってふたりの心を悲哀にさそい、聯句もまた、おのおの一韻をおいたのみで、吹っ切れてしまったのだ。
莎柵谷は、いまの河南省洛寧県に近く、その谷の水は東流して昌谷に入り、やがて洛水にそそぎ、洛陽を通って黄河に合するのである。その昌谷には、さきごろ韓愈の弟子となった少年詩人李賀の家がある。ふたりが莎柵谷をたずねたのは、李賀がその勝景を吹聴していたからであるかもしれない。

莎柵聯句
冰溪時咽絕,風櫪方軒舉。 -〈韓愈〉
氷結した莎柵の渓谷はこの季節になるとむせんでいきがたえるほどである、風にふかれるくぬぎはまさにたかくそびえている。
此處不斷腸,定知無斷處。 -〈孟郊〉
ここのこの場所は凍りつく寒さと風の枝きり音により断腸の声ではないというが、この場所にじっとしていると断腸の声を上げているのではないということが分かった。


莎柵聯句
冰渓【ひょうけい】時に 咽絶【えんぜつ】し、
      風櫪【ふうれき】方【まさ】に軒舉【れんきょ】す。 -〈韓愈〉
此の處に断腸せずむば、定めて知る 断ずる虚無けむ。 -〈孟郊〉



現代語訳と訳註
(本文)
莎柵聯句
冰溪時咽絕,風櫪方軒舉。
此處不斷腸,定知無斷處。


(下し文)
冰渓【ひょうけい】時に 咽絶【えんぜつ】し、
風櫪【ふうれき】方【まさ】に軒舉【れんきょ】す。
此の處に断腸せずむば、
定めて知る 断ずる虚無けむ。


(現代語訳)
氷結した莎柵の渓谷はこの季節になるとむせんでいきがたえるほどである、風にふかれるくぬぎはまさにたかくそびえている。
ここのこの場所は凍りつく寒さと風の枝きり音により断腸の声ではないというが、この場所にじっとしていると断腸の声を上げているのではないということが分かった。


(訳注)
莎柵聯句
・莎柵
 莎柵は谷の名。中国歴史地図唐44-45都畿道河南府、洛陽の西南西110里(約60km)長水と福昌の中間いまの河南省洛寧県に近く、その水は東流して昌谷に入り、洛水にそそぐ。

莎柵洛陽地図001

冰溪時咽絕,風櫪方軒舉。
氷結した莎柵の渓谷はこの季節になるとむせんでいきがたえるほどである、風にふかれるくぬぎはまさにたかくそびえている。
氷渓 氷結した渓谷。
咽絶 むせんでいきがたえる。
風櫪 風にふかれるくぬぎ。櫪:ブナ科の落葉高木。雑木林に多い。葉は狭長楕円形で縁に鋸歯(きよし)がある。秋、球形の「どんぐり」がなる。どんぐりの皿には線形の鱗片(りんぺん)が多数つく。
軒舉 軒は高いさま。挙はあがる。たかくそびえること。


此處不斷腸,定知無斷處。 -〈孟郊〉
ここのこの場所は凍りつく寒さと風の枝きり音により断腸の声ではないというが、この場所にじっとしていると断腸の声を上げているのではないということが分かった。



冬の渓谷は冷凍庫のようであり、落葉したくぬぎに北風が吹き抜けると、さびしい思いをした女性の嘆きの叫びのように聞こえるのであろう。

嘲鼾睡二首 其二 韓退之(韓愈)詩<85-#2>Ⅱ中唐詩481 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1522

 
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嘲鼾睡二首  其二 韓退之(韓愈)詩<85-#2>Ⅱ中唐詩481 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1522


嘲鼾睡 其二
澹公坐臥時,長睡無不穩。
澹公が日頃横になる時、長時間眠ると、隠れるところがありはしない。
吾嘗聞其聲,深慮五藏損。
私はかつてその声を聴いている、深く聞きこむと五臓六腑を破損するかと思うのだ。
黃河弄濆薄,梗澀連拙鯀。
それは、黄河が洪水の水と渇水にもてあそばれているのであり、その水を閊えたり、滑らかでないようであり、へたな洪水の神を連ねたようである。
南帝初奮槌,鑿竅泄混沌。
古代の南帝がはじめて槌をふるわれたようであり、小さい穴や大きな穴を呑みで削るような音であってすべてが入り混じって訳の分からない音で吐き出される。
迥然忽長引,萬丈不可忖。
とおく遙かなところから急に長く引っ張っているのであり、万丈であるので推し量ることができない。
謂言絕於斯,繼出方袞袞。

こんなことを云い次にはその音が絶え、そして離れていく。引き続いてでてくるとまさに大水が流れるように延々と続くのである。
#2
幽幽寸喉中,草木森苯䔿。
幽幽と静まり返っている中に音がするのど三寸の中は草木が苯となり、䔿となるのがさらに森となる。
盜賊雖狡獪,亡魂敢窺閫。
盜賊がずるく立ち回るといえども、死後の魂があえて後宮の御門を除くというものである。
鴻蒙總合雜,詭譎騁戾很。
天地が開闢する前の混沌とした元気がよって集まり混ざるのであり、譎詭され頑固に気立てがひねくれていてあらあらしいまま馳せ参じるのである。
乍如鬥呶呶,忽若怨懇懇。
早速の事くどくどと言い争って、すぐに丁寧に説きほどくように怨み怒っている。
賦形苦不同,無路尋根本。
詩や歌のかたちはどんなに苦しんでみても同じものはないし、その根本の原因を追究してみてもその道はない。
何能堙其源,惟有土一畚。
どうしたらその根本をふさぎつぶすことが出来るというのか、なくないのはただモッコ一杯の土があればいいのである。


嘲鼾睡 其二
澹公 坐ろに臥す時,長睡 穩せざるなし。
吾 嘗て其の聲を聞ん,深慮して五藏の損。
黃河 濆薄に弄び,澀を梗して連拙の鯀。
南帝 初めて槌を奮い,鑿竅 混沌を泄う。
迥然として忽し長引し,萬丈して忖すべからず。
言を謂うは絕して斯し,繼出するは方に袞袞す。

幽幽たり寸喉の中,草木 苯䔿 森なり。
盜賊 狡獪【こうかい】なると雖も,亡魂 敢えて窺閫。
鴻蒙【こうもう】總て合さり雜【まじ】る,詭譎【ききつ】戾很【れいこん】を騁【は】せる。
乍【たちま】ち呶呶【どうどう】と鬥うが如し,忽ち懇懇【こんこん】と怨るが若し。
賦形 苦しみは同じからず,根本を尋ねる路は無し。
何れか能く其の源を堙【ふさぎ】,惟だ土一畚【もっこ】有ればなり。


現代語訳と訳註
(本文)
#2
幽幽寸喉中,草木森苯䔿。盜賊雖狡獪,亡魂敢窺閫。
鴻蒙總合雜,詭譎騁戾很。乍如鬥呶呶,忽若怨懇懇。
賦形苦不同,無路尋根本。何能堙其源,惟有土一畚。


(下し文)
幽幽たり寸喉の中,草木 苯䔿 森なり。
盜賊 狡獪【こうかい】なると雖も,亡魂 敢えて窺閫。
鴻蒙【こうもう】總て合さり雜【まじ】る,詭譎【ききつ】戾很【れいこん】を騁【は】せる。
乍【たちま】ち呶呶【どうどう】と鬥うが如し,忽ち懇懇【こんこん】と怨るが若し。
賦形 苦しみは同じからず,根本を尋ねる路は無し。
何れか能く其の源を堙【ふさぎ】,惟だ土一畚【もっこ】有ればなり。


(現代語訳)
幽幽と静まり返っている中に音がするのど三寸の中は草木が苯となり、䔿となるのがさらに森となる。
盜賊がずるく立ち回るといえども、死後の魂があえて後宮の御門を除くというものである。
天地が開闢する前の混沌とした元気がよって集まり混ざるのであり、譎詭され頑固に気立てがひねくれていてあらあらしいまま馳せ参じるのである。
早速の事くどくどと言い争って、すぐに丁寧に説きほどくように怨み怒っている。
詩や歌のかたちはどんなに苦しんでみても同じものはないし、その根本の原因を追究してみてもその道はない。
どうしたらその根本をふさぎつぶすことが出来るというのか、なくないのはただモッコ一杯の土があればいいのである。


(訳注) #2
幽幽寸喉中,草木森苯䔿。

幽幽と静まり返っている中に音がするのど三寸の中は草木が苯となり、䔿となるのがさらに森となる。
・幽幽 かすかなおと。静まり返って中に音がする様子。
・寸喉 のど三寸
森苯䔿 森:もののおおいさま。 苯:草が群がり生えること。 䔿:群がって生えている草。


盜賊雖狡獪,亡魂敢窺閫。
盜賊がずるく立ち回るといえども、死後の魂があえて後宮の御門を除くというものである。
・狡獪 悪賢いこと。ずるく立ち回るさま。狡猾(こうかつ)。
・窺 閫覗く/覘く/窺く/臨く【のぞく】とは。意味や解説。[動カ五(四)]1 物陰やすきま、小さな穴などから見る。「鍵穴から―・く」「部屋を―・く」2 装置を用いて物体を見る。
・閫 戸のしきい。宮中の小門。女性。


鴻蒙總合雜,詭譎騁戾很。
天地が開闢する前の混沌とした元気がよって集まり混ざるのであり、譎詭され頑固に気立てがひねくれていてあらあらしいまま馳せ参じるのである。
・鴻蒙 天地が開闢する前の混沌とした元気、この種の自然の元気。
・詭譎 ききつ譎詭【けっき】1 いつわりあざむくこと。譎詐(けっさ)。2 変わること。また、奇異なこと。
・騁 馳せる、のばす、のべる、ほしいままにする、きわまる、平らか、
・戾很 很戾【こんれい】ゆうことを聞かない。気立てがひねくれていてあらあらしい。


乍如鬥呶呶,忽若怨懇懇。
早速の事くどくどと言い争って、すぐに丁寧に説きほどくように怨み怒っている。
・呶呶 【どど】「どうどう」の慣用読み。くどくど言うこと。くどくど言うさま。
懇懇/悃悃 【こんこん】心の込もったさま。また、心を込めて丁寧に説くさま。


賦形苦不同,無路尋根本。
詩や歌のかたちはどんなに苦しんでみても同じものはないし、その根本の原因を追究してみてもその道はない。
賦形 1 詩や歌。2 「詩経」の六義(りくぎ)の一。比喩(ひゆ)などを用いないで感じたことをありのままによむ詩の叙述法。3 漢文の文体の一。対句を多用し、句末で韻をふむもの。


何能堙其源,惟有土一畚。
どうしたらその根本をふさぎつぶすことが出来るというのか、なくないのはただモッコ一杯の土があればいいのである。
 ふさぐ、うもれる。ほろぼす。「湮滅/堙滅/隠滅」【いんめつ】とは。意味や解説。[名](スル)1 跡形もなく消えてしまうこと。また、消すこと。「証拠を―する」2 (隠滅)陰にかくれて見えないこと。
【ふご】1 竹・わら・縄などで網状に編み、四すみにつりひもをつけ、物を入れて運ぶ用具。もっこ。2 釣った魚を入れるかご。びく。


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嘲鼾睡 其二
澹公坐臥時,長睡無不穩。
澹公が日頃横になる時、長時間眠ると、隠れるところがありはしない。
吾嘗聞其聲,深慮五藏損。
私はかつてその声を聴いている、深く聞きこむと五臓六腑を破損するかと思うのだ。
黃河弄濆薄,梗澀連拙鯀。
それは、黄河が洪水の水と渇水にもてあそばれているのであり、その水を閊えたり、滑らかでないようであり、へたな洪水の神を連ねたようである。
南帝初奮槌,鑿竅泄混沌。
古代の南帝がはじめて槌をふるわれたようであり、小さい穴や大きな穴を呑みで削るような音であってすべてが入り混じって訳の分からない音で吐き出される。
迥然忽長引,萬丈不可忖。
とおく遙かなところから急に長く引っ張っているのであり、万丈であるので推し量ることができない。
謂言絕於斯,繼出方袞袞。

こんなことを云い次にはその音が絶え、そして離れていく。引き続いてでてくるとまさに大水が流れるように延々と続くのである。

幽幽寸喉中,草木森苯䔿。盜賊雖狡獪,亡魂敢窺閫。
鴻蒙總合雜,詭譎騁戾很。乍如鬥呶呶,忽若怨懇懇。
賦形苦不同,無路尋根本。何能堙其源,惟有土一畚。


嘲鼾睡 其二
澹公 坐ろに臥す時,長睡 穩せざるなし。
吾 嘗て其の聲を聞ん,深慮して五藏の損。
黃河 濆薄に弄び,梗澀【こうじゅう】 拙鯀【せつげい】に連る。
南帝 初めて槌を奮い,鑿竅【さくきゅう】 混沌【こんとん】を泄う。
迥然【けいぜん】忽【こつ】として長引し,萬丈して忖【すい】すべからず。
言を謂うは絕えて斯【し】し,繼出するは方【まさ】に袞袞【えんえん】。

幽幽たり寸喉の中,草木 苯䔿 森なり。
盜賊 狡獪【こうかい】なると雖も,亡魂 敢えて窺閫。
鴻蒙【こうもう】總て合さり雜【まじ】る,詭譎【ききつ】戾很【れいこん】を騁【は】せる。
乍【たちま】ち呶呶【どうどう】と鬥うが如し,忽ち懇懇【こんこん】と怨るが若し。
賦形 苦しみは同じからず,根本を尋ねる路は無し。
何れか能く其の源を堙【ふさぎ】,惟だ土一畚【もっこ】有ればなり。


現代語訳と訳註
(本文)
嘲鼾睡 其二
澹公坐臥時,長睡無不穩。吾嘗聞其聲,深慮五藏損。
黃河弄濆薄,梗澀連拙鯀。南帝初奮槌,鑿竅泄混沌。
迥然忽長引,萬丈不可忖。謂言絕於斯,繼出方袞袞。


(下し文)
嘲鼾睡 其二
澹公 坐して臥す時,長睡 穩せざるなし。
吾 嘗て其の聲を聞ん,深慮して五藏の損。
黃河 弄濆の薄,澀を梗して連拙の鯀。
南帝 初めて槌を奮い,鑿竅 混沌を泄う。
迥然として忽し長引し,萬丈して忖すべからず。
言を謂うは絕して斯し,繼出するは方に袞袞す。


(現代語訳)
澹公が日頃横になる時、長時間眠ると、隠れるところがありはしない。
私はかつてその声を聴いている、深く聞きこむと五臓六腑を破損するかと思うのだ。
それは、黄河が洪水の水と渇水にもてあそばれているのであり、その水を閊えたり、滑らかでないようであり、へたな洪水の神を連ねたようである。
古代の南帝がはじめて槌をふるわれたようであり、小さい穴や大きな穴を呑みで削るような音であってすべてが入り混じって訳の分からない音で吐き出される。
とおく遙かなところから急に長く引っ張っているのであり、万丈であるので推し量ることができない。
こんなことを云い次にはその音が絶え、そして離れていく。引き続いてでてくるとまさに大水が流れるように延々と続くのである。


(訳注)嘲鼾睡 其二
澹公坐臥時,長睡無不穩。

澹公が日頃横になる時、長時間眠ると、隠れるところがありはしない。


吾嘗聞其聲,深慮五藏損。
私はかつてその声を聴いている、深く聞きこむと五臓六腑を破損するかと思うのだ。


黃河弄濆薄,梗澀連拙鯀。
それは、黄河が洪水の水と渇水にもてあそばれているのであり、その水を閊えたり、滑らかでないようであり、へたな洪水の神を連ねたようである。
 1 しんの堅い枝。「花梗」 2 つかえてふさがる。「梗塞(こうそく)」 3 骨組み。「梗概」
・澀 (1) しぶい.(2) 滑らかでない
・拙 1(名・形動) [文]ナリ まずいこと。へたなこと。また、そのさま。2(代) 一人称。
・鯀 中国の神話にみえる洪水神。顓頊(せんぎよく)ののちとされるが,顓頊は〈死して蘇(よみがえ)る〉神,すなわち洪水神で,魚形の神であったらしい。鯀は治水に失敗して放逐され,その子である禹(う)が大洪水を治めて夏(か)王朝をひらいた。禹も顓頊と同じように,偏枯(へんこ)にして魚形の神とされる。これらは夏系諸族の伝える洪水神で,夏系の先史文化である彩陶土器の最も早期とされる西安半坡(はんぱ)遺跡出土の土器文様に魚形,人面魚身の多いことが注意される。


南帝初奮槌,鑿竅泄混沌。
古代の南帝がはじめて槌をふるわれたようであり、小さい穴や大きな穴を呑みで削るような音であってすべてが入り混じって訳の分からない音で吐き出される。
南帝 詩経、周南・召南における皇帝。三皇五帝の舜帝をさすもの。
鑿竅 ・鑿【さく】1 穴を掘る。うがつ。「鑿岩/開鑿・掘鑿・穿鑿(せんさく)」2 のみ。「斧鑿(ふさく)」・竅【きょう】あな細い穴。人間の身体にある穴。
【せつ】緩やかに外へもれ出る。もらす。「排泄・漏泄」
混沌/渾沌 【こんとん】天地がまだ開けず不分明である状態。すべてが入りまじって区別がつかないさま。


迥然忽長引,萬丈不可忖。
とおく遙かなところから急に長く引っ張っているのであり、万丈であるので推し量ることができない。
迥然【けいぜん】遙かな様子。
・忖 推し量る。


謂言絕於斯,繼出方袞袞。
こんなことを云い次にはその音が絶え、そして離れていく。引き続いてでてくるとまさに大水が流れるように延々と続くのである。
 わける。はなれる
袞袞 大水が流れる様子。塵が後からあとから立のぼる様子。ねんごろに説いて話の尽きない様子。○
杜甫『酬孟雲卿』「相逢難袞袞,告別莫匆匆。」(相い逢いて袞袞【こんこん】としするが難し,告別は匆匆【そうそう】とする莫れ。)

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#3
乍如彭與黥,呼冤受菹醢。
そうしているうちに、まるでむちうちの刑のようであり、刺青の刑を受けているようであるし、冤罪のものが塩漬けの刑を受けているような呼び声がするのである。
又如圈中虎,號瘡兼吼餒。
また、囲いの中の虎のようであり、傷口をひろげるようであり、餓えた虎が大口を開けたようである。
雖令伶倫吹,苦韻難可改。
これでは黄帝の臣で、音楽をつかさどったという中国古伝説上の人物の伶人がいい音楽を拭き七瀬といっても、苦心をして音階を奏でていても何も聞こえないので音色がかわったかわかりはしないだろう。
雖令巫鹹招,魂爽難複在。
最高指導者と、現場の間を取り持つ者といわれる巫咸を招いたとしても、その魂は崩されてしまってそこに存在する事さえ難しいであろう。
何山有靈藥,療此願與采。
このことに効く霊薬が何処の崇高な山に有るだろうか、この薬草があることを願いそして採取できて、治療するのである。


現代語訳と訳註
(本文)
#3
乍如彭與黥,呼冤受菹醢。又如圈中虎,號瘡兼吼餒。
雖令伶倫吹,苦韻難可改。雖令巫鹹招,魂爽難複在。
何山有靈藥,療此願與采。


(下し文)
乍ち 彭【ほう】と黥【けい】と、冤【】を呼んで菹醢【そかい】を受くるが如し。
又 圏中の虎、瘡に号び兼ねて餒【】に吼ゆるが如し。
伶倫【れいりん】をして吹かしむと雖も、苦韻 改む可きこと難し。
巫鹹【ふかん】をして招かしむと雄も、魂 爽【やぶ】れて復た在り難し。
何れの山にか霊薬有る、此を療さば 願はくは与に採らむ。


(現代語訳)
そうしているうちに、まるでむちうちの刑のようであり、刺青の刑を受けているようであるし、冤罪のものが塩漬けの刑を受けているような呼び声がするのである。
また、囲いの中の虎のようであり、傷口をひろげるようであり、餓えた虎が大口を開けたようである。
これでは黄帝の臣で、音楽をつかさどったという中国古伝説上の人物の伶人がいい音楽を拭き七瀬といっても、苦心をして音階を奏でていても何も聞こえないので音色がかわったかわかりはしないだろう。
最高指導者と、現場の間を取り持つ者といわれる巫咸を招いたとしても、その魂は崩されてしまってそこに存在する事さえ難しいであろう。
このことに効く霊薬が何処の崇高な山に有るだろうか、この薬草があることを願いそして採取できて、治療するのである。


(訳注)
乍如彭與黥,呼冤受菹醢。
乍ち 彭【ほう】と黥【けい】と、冤【】を呼んで菹醢【そかい】を受くるが如し。
そうしているうちに、まるでむちうちの刑のようであり、刺青の刑を受けているようであるし、冤罪のものが塩漬けの刑を受けているような呼び声がするのである。
彭與黥 彭:むちうちの刑。黥:刺青を入れる刑罰
 冤罪。
菹醢 ①塩漬けの野菜と細かく刻んで塩漬けした肉。②中國古代の刑罰。楚辞、離騒 「后辛之菹醢兮,殷宗用而不長」死刑にして塩漬けにされること。


又如圈中虎,號瘡兼吼餒。
又 圏中の虎、瘡に号び兼ねて餒【だい】に吼ゆるが如し。
また、囲いの中の虎のようであり、傷口をひろげるようであり、餓えた虎が大口を開けたようである。
 できもの。かさぶた。
 おおくちをあけてわめくほえる。。
 うえる. 食べ物がなく空腹で苦しむ。ひどく腹が減る。栄養不足で体がぐったりする。


雖令伶倫吹,苦韻難可改。
伶倫【れいりん】をして吹かしむと雖も、苦韻 改む可きこと難し。
これでは黄帝の臣で、音楽をつかさどったという中国古伝説上の人物の伶人がいい音楽を拭き七瀬といっても、苦心をして音階を奏でていても何も聞こえないので音色がかわったかわかりはしないだろう。
伶倫 黄帝の臣で、音楽をつかさどったという中国古伝説上の人物伶人のこと。


雖令巫鹹招,魂爽難複在。
巫鹹【ふかん】をして招かしむと雄も、魂 爽【やぶ】れて復た在り難し。
最高指導者と、現場の間を取り持つ者といわれる巫咸を招いたとしても、その魂は崩されてしまってそこに存在する事さえ難しいであろう。
巫鹹(巫咸)巫咸(ふかん)、巫即、巫肦(ふはん)、巫彭(ふほう)、巫姞(ふきつ)、巫真、巫礼、巫抵、巫謝、巫羅(ふら)の十人がいる。このうち、巫彭と巫咸は彭咸と呼ばれ、巫祝者(ふしゅくしゃ)たちの祖神とされている。巫咸:古の神の巫女。神の使い。人の禍福や寿命を知ると云われる。ここでは、最高指導者と、現場の間を取り持つ者。『楚辞』『招魂』 では、上帝が巫陽に命じて、巫陽が魂を招くために「魂兮歸來」(魂よ、帰ってこい。)と、計十回以上繰り返して言っている。


何山有靈藥,療此願與采。
何れの山にか霊薬有る、此を療さば 願はくは与に採らむ。
このことに効く霊薬が何処の崇高な山に有るだろうか、この薬草があることを願いそして採取できて、治療するのである。

嘲鼾睡二首 其一 韓退之(韓愈)詩<84-#2>Ⅱ中唐詩478 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1513

 
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嘲鼾睡二首  其一 韓退之(韓愈)詩<84-#2>Ⅱ中唐詩478 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1513


韓愈風ユーモアの詩

#2
木枕十字裂,鏡面生痱癗。
木の枕でさえ十文字にさけて、鏡の面はでこぼこになってしまっている。
鐵佛聞皺眉,石人戰搖腿。
鉄の仏像はこの音を聞いて眉にしわを寄せている、石像さえも大腿部をわなわなとふるわせている。
孰雲天地仁,吾欲責真宰。
誰か「天地は仁なり」と言っているではないか、私は真の宰相が現れて、これを止めさせてほしいものだと思っている。
幽尋虱搜耳,猛作濤翻海。
しらみがみみを探すように死後の世界というか、奥深い所を尋ねる時もあれば、怒涛逆巻く海をさらにひどく激しくするようなものである。
太陽不忍明,飛禦皆惰怠。

真昼間の太陽は照り輝きくくれたりはしないが、書簡を運ぶ者たちは皆動かなくなる。


現代語訳と訳註
(本文)
#2
木枕十字裂,鏡面生痱癗。鐵佛聞皺眉,石人戰搖腿。
孰雲天地仁,吾欲責真宰。幽尋虱搜耳,猛作濤翻海。
太陽不忍明,飛禦皆惰怠。


(下し文)
木枕 十字に裂け、鏡面に痱癗【でこぼこ】生ず。
鉄仏も聞いて眉を皺【ちじ】め、石人も戦【わなな】いて腿を揺る。
孰【たれ】か云ふ 天地は仁なりと、吾 真宰【しんさい】を責めむと欲す。
幽尋【ゆうじん】して 虱【しらみ】 耳を捜り、猛作すれば 涛【】 海に翻る。
太陽 明かなるに忍びず、飛御 皆 惰怠す。


(現代語訳)
木の枕でさえ十文字にさけて、鏡の面はでこぼこになってしまっている。
鉄の仏像はこの音を聞いて眉にしわを寄せている、石像さえも大腿部をわなわなとふるわせている。
誰か「天地は仁なり」と言っているではないか、私は真の宰相が現れて、これを止めさせてほしいものだと思っている。
しらみがみみを探すように死後の世界というか、奥深い所を尋ねる時もあれば、怒涛逆巻く海をさらにひどく激しくするようなものである。
真昼間の太陽は照り輝きくくれたりはしないが、書簡を運ぶ者たちは皆動かなくなる。


(訳注) #2
木枕十字裂,鏡面生痱癗。
木枕 十字に裂け、鏡面に痱癗【でこぼこ】生ず。
木の枕でさえ十文字にさけて、鏡の面はでこぼこになってしまっている。


鐵佛聞皺眉,石人戰搖腿。
鉄仏も聞いて眉を皺【ちじ】め、石人も戦【わなな】いて腿を揺る。
鉄の仏像はこの音を聞いて眉にしわを寄せている、石像さえも大腿部をわなわなとふるわせている。


孰雲天地仁,吾欲責真宰。
孰【たれ】か云ふ 天地は仁なりと、吾 真宰【しんさい】を責めむと欲す。
誰か「天地は仁なり」と言っているではないか、私は真の宰相が現れて、これを止めさせてほしいものだと思っている。


幽尋虱搜耳,猛作濤翻海。
幽尋【ゆうじん】して 虱【しらみ】 耳を捜り、猛作すれば 涛【】 海に翻る。
しらみがみみを探すように死後の世界というか、奥深い所を尋ねる時もあれば、怒涛逆巻く海をさらにひどく激しくするようなものである。
幽尋 死後の世界、奥深い所を尋ねる。
猛作 はげしくする。


太陽不忍明,飛禦皆惰怠。
太陽 明かなるに忍びず、飛御 皆 惰怠す。
真昼間の太陽は照り輝きくくれたりはしないが、書簡を運ぶ者たちは皆動かなくなる。
惰怠 なまけてだらしないこと。また、そのさまをいう。

嘲鼾睡二首 其一 韓退之(韓愈)詩<84-#1>Ⅱ中唐詩477 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1510

 
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嘲鼾睡二首  其一 韓退之(韓愈)詩<84-#1>Ⅱ中唐詩477 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1510


嘲鼾睡二首 韓愈
鼾睡を嘲る 二首

412嘲鼾睡 其一
澹師晝睡時,聲氣一何猥。頑飆吹肥脂,坑穀相嵬磊。
雄哮乍咽絕,每發壯益倍。有如阿鼻屍,長喚忍眾罪。
馬牛驚不食,百鬼聚相待。
#2
木枕十字裂,鏡面生痱癗。鐵佛聞皺眉,石人戰搖腿。
孰雲天地仁,吾欲責真宰。幽尋虱搜耳,猛作濤翻海。
太陽不忍明,飛禦皆惰怠。
#3
乍如彭與黥,呼冤受菹醢。又如圈中虎,號瘡兼吼餒。
雖令伶倫吹,苦韻難可改。雖令巫鹹招,魂爽難複在。
何山有靈藥,療此願與采。

413嘲鼾睡 其二
澹公坐臥時,長睡無不穩。吾嘗聞其聲,深慮五藏損。
黃河弄濆薄,梗澀連拙鯀。南帝初奮槌,鑿竅泄混沌。
迥然忽長引,萬丈不可忖。謂言絕於斯,繼出方袞袞。

幽幽寸喉中,草木森苯䔿。盜賊雖狡獪,亡魂敢窺閫。
鴻蒙總合雜,詭譎騁戾很。乍如鬥呶呶,忽若怨懇懇。
賦形苦不同,無路尋根本。何能堙其源,惟有土一畚。


嘲鼾睡 其一
澹師晝睡時,聲氣一何猥。
澹師上人は、昼寝をしているとき、声と息遣いが糸旅興ると何という恐ろしいことであろうか。
頑飆吹肥脂,坑穀相嵬磊。
脂肪太りの体からかたくななつむじ風を起すのであり、山有り谷あり、高い音低い音と順に起こってくる。
雄哮乍咽絕,每發壯益倍。
雄雄しく雄叫びをあげたかと思うとピタッと息を止める。その音を発するたびにその音は荘厳であり、その後ますます倍増していくのである。
有如阿鼻屍,長喚忍眾罪。
無間地獄に堕ちこんだ屍がひどく苦しんで泣き叫び、長く叫んで罪を犯した罪人の拷問のこえがが集まったような感じである。
馬牛驚不食,百鬼聚相待。

近くにいる馬や牛は驚いて食欲がなくなり、多くの死者の霊魂が集まってそれぞれ次を待っている。
鼾睡【かんすい】を嘲【あざけ】る二首(うち一首)
澹師【たんし】 昼 睡る時、声気一に何ぞ猥【みだり】なる。
頑飆【がんびょう】肥脂【ひし】を吹き、坑谷【こうこく】相嵬磊【かいらい】たり。
雄哮【ゆうこう】乍【たちま】ち咽絶し、発する毎に壮にして益【ますま】す倍す。
阿鼻【あび】戸【し】に、長く喚【さけ】んで衆罪に忍【た】ふるが如き有り。
馬牛 驚いて食はず、百鬼 聚【あつま】って相待つ。


現代語訳と訳註
(本文)

嘲鼾睡 其一
澹師晝睡時,聲氣一何猥。頑飆吹肥脂,坑穀相嵬磊。
雄哮乍咽絕,每發壯益倍。有如阿鼻屍,長喚忍眾罪。
馬牛驚不食,百鬼聚相待。


(下し文)
鼾睡【かんすい】を嘲【あざけ】る二首
澹師【たんし】 昼 睡る時、声気一に何ぞ猥【みだり】なる。
頑飆【がんびょう】肥脂【ひし】を吹き、坑谷【こうこく】相嵬磊【かいらい】たり。
雄哮【ゆうこう】乍【たちま】ち咽絶し、発する毎に壮にして益【ますま】す倍す。
阿鼻【あび】戸【し】に、長く喚【さけ】んで衆罪に忍【た】ふるが如き有り。
馬牛 驚いて食はず、百鬼 聚【あつま】って相待つ。


(現代語訳)
昼寝のいびきをあざける。
澹師上人は、昼寝をしているとき、声と息遣いが糸旅興ると何という恐ろしいことであろうか。
脂肪太りの体からかたくななつむじ風を起すのであり、山有り谷あり、高い音低い音と順に起こってくる。
雄雄しく雄叫びをあげたかと思うとピタッと息を止める。その音を発するたびにその音は荘厳であり、その後ますます倍増していくのである。
無間地獄に堕ちこんだ屍がひどく苦しんで泣き叫び、長く叫んで罪を犯した罪人の拷問のこえがが集まったような感じである。
近くにいる馬や牛は驚いて食欲がなくなり、多くの死者の霊魂が集まってそれぞれ次を待っている。


(訳注)
嘲鼾睡二首其一

鼾睡【かんすい】を嘲【あざけ】る二首その一。
昼寝のいびきをあざける


澹師晝睡時,聲氣一何猥。
澹師【たんし】 昼 睡る時、声気一に何ぞ猥【みだり】なる。
澹師上人は、昼寝をしているとき、声と息遣いが糸旅興ると何という恐ろしいことであろうか。


頑飆吹肥脂,坑穀相嵬磊。
頑飆【がんびょう】肥脂【ひし】を吹き、坑谷【こうこく】相嵬磊【かいらい】たり。
脂肪太りの体からかたくななつむじ風を起すのであり、山有り谷あり、高い音低い音と順に起こってくる。
・頑飆 かたくななつむじ風。狂風。肥脂 からだの脂肪分が多くて、太っていること。また、その人。脂肪太り。
・坑穀 谷間。漢•司馬相如《上林賦》:“佗佗籍籍,填坑滿谷。」(佗佗籍籍として,坑を填め谷に滿つ)
・嵬磊 高低のあるさま。多くの石が積み重なっている意。胸中に積み重なった不平。


雄哮乍咽絕,每發壯益倍。
雄哮【ゆうこう】乍【たちま】ち咽絶し、発する毎に壮にして益【ますま】す倍す。
雄雄しく雄叫びをあげたかと思うとピタッと息を止める。その音を発するたびにその音は荘厳であり、その後ますます倍増していくのである。


有如阿鼻屍,長喚忍眾罪。
阿鼻【あび】戸【し】に、長く喚【さけ】んで衆罪に忍【た】ふるが如き有り。
無間地獄に堕ちこんだ屍がひどく苦しんで泣き叫び、長く叫んで罪を犯した罪人の拷問のこえがが集まったような感じである。
阿鼻 地獄、無間地獄。ひどく苦しんで泣き叫ぶ。


馬牛驚不食,百鬼聚相待。
馬牛 驚いて食はず、百鬼 聚【あつま】って相待つ。
近くにいる馬や牛は驚いて食欲がなくなり、多くの死者の霊魂が集まってそれぞれ次を待っている。
百鬼 多くの死者の霊魂。

孟東野失子 韓退之(韓愈)詩<83-#5>Ⅱ中唐詩476 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1507

 
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孟東野失子 韓退之(韓愈)詩<83-#5>Ⅱ中唐詩476 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1507



東野連産三子、不数日、輒失之。
東野は、つづけて三人の子を授かったけれども、数日ならずして、すなはちこれを矢へり。
幾老、念無後以悲。
老にちかくして、後つぐものなきをおもひて悲しぶ。
其友人昌黎韓愈。懼其傷也。
その友なる昌黎の韓愈、かれの傷かむことをおそる。
推天假其命。以喩之。
天のこころを推しはかりその天命【ことば】を借りて、もてこれをさとしぬ。

東野【とうや】は連【しき】りに三子を産み、数日ならずして、輒【すなわ】ち之を失へり。
幾ど老いむとして、後無きを念ひて以て悲む。
其の友人、昌黎【しょうれい】の韓愈、その傷まむことを懼れるなり。
天を推し其の命を假って、以て之を喩【さと】しぬ。


孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。
子を失うということは、まさに悲しいことで誰をとがめたらいいのか、『論語』にいう「天を怨みず。人を尤めず。」というが、わたしは、かの上なる天を尤めるものである。
女實主下人,與奪一何偏。
あなたの実際の存在は下界人の主なものである、子を与えておいて奪うと、どうしてそんな偏ったことをされるのか。
彼于女何有,乃令蕃且延。
彼の元気で育つ子供は、あなたにおいて何かがあったということなのであるが、それはすなわち、草木が生い茂るようにうまれ、かつ長生きをすることを願うのである。
此獨何罪辜,生死旬日間。
この亡くなった子供はひとり何の罪があるというのであろうか、生れてたった10日の間に、死んだのである。」
上呼無時聞,滴地淚到泉。
天上にむかってかく呼んではみたが聞える時はないのだ。とめどない涙だけは地に滴りて黄泉の国にいたるのである。
地祇為之悲,瑟縮久不安。
涙が落ちた地の神は、このことを大変悲しんだ、かわいそうに思ってくれたのだろう縮んで伸びず、久しく安らにはならないのである。
子を失ひて 將に何をか尤【とが】めむとする、吾 將に 上 天を尤めむとす。
女は實に下人に主たるに、與奪一に何ぞ偏なる。
彼 女に於て何か有らむ、乃ち 蕃にして且つ延ならしむる。
此れ 濁り何の罪辜ありて、旬日の間に生死せしむる。
上に呼べども 時に聞く無し、地に滴りて 涙 泉に到る。
地祇 之が爲に悲み、瑟縮 久しくして安んぜず。
#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。
ということで、地祗は大霊亀をおよびになられた、雲に乗って天の御門をたたくのである。
問天主下人,薄厚胡不均。
そして、天に問いかけをしてみる「天は下界において人間が主であるというのに、疎んじられると厚遇されるのと、どうして不均衡なのだろうか。」
天曰天地人,由來不相關。
天はこれに答えて「天と地と人とそれぞれに領域があるが、もともと、相互の間には直接的な関聯はないのである。」
吾懸日與月,吾系星與辰。
そこでわたしは、太陽と月の領域とを懸けていき、そして星々と星座とを繋ぎ合わせて行くのである。
日月相噬齧,星辰踣而顛。
太陽と月とたがいに食べあっているし、中星と星座群とは、つまづきあっていて、倒れるということだ。
吾不女之罪,知非女由因。
わたしは、それらのことからも子供の死を、あなたの罪といえるはずもない。あなたの縁とゆかりによるものではないということが認知されたということであろう。
乃ち大靈亀を呼び、雲に騎りて 天門を款かしむ。
天に問ふ 下人に主たるに、薄厚 胡ぞ均しからざる。
天日く 天と地と人と、由来 相関らず。
吾 日と月とを懸く、吾 星と辰とを繋ぐ。
日と月と相噬齧し、星と辰と顛きて踣る。
吾 女を之れ罪せず、女の由因に非ざるを知ればなり。
且つ 物には各の分有り、軌か能く之をして然せしむる。
#3
且物各有分,孰能使之然。
それと、事生物はおのおの天分にしたがって行動しているものであり、他のいづれのものが行動させているということができようか。
有子與無子,禍福未可原。
子をもつものと、子なきものとがあり、災禍なのが転じて幸福となるのか、いまだ原因を追究するところまで行ってはいない。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。
魚の子は母の腹に満杯にいるけれども、そのひとつびとつを誰か憐んでやれるというのか。
細腰不自乳,舉族常孤鰥。
腰細き女は自らの乳が出ないので子を育てられないという、その一族からはおしなべて子を育てられない細腰か老いて妻のないやもめの家系というのが常識である。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。
ふくろう。ふくろうの子は大きくなると母の脳を啄み、食い殺して巣立つという、母が死んで、その子がはじめて飛ぶというのだ。
蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
まむしは子を生むとき、はらわたと肝と、千々に裂くという。
且つ物には各々の分有り,孰【たれ】か能く之をして然【しか】せしむる。
子有ると 子無きと、禍福【かふく】未だ原【たず】ぬ可からず
魚子 母の腹に満てり、一一誰か憐まむと欲する
細腰は自ら乳せず、舉族【きょぞく】常に孤鰥【こかん】なり。
鴟梟【しきょう】母の腦を啄【ついば】み,母死して子始めて翻【ひるがえ】る。
蝮蛇【ふくだ】は子を生む時,腸と肝を坼裂【たくれつ】す。
#4
好子雖雲好,未還恩與勤。
よい子は好ましいことであるとであるが、それでもなお、親の愛情、御恩と育てる苦労とに報いてくれることを得たわけではない。
惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
悪い子というのはいうまでもないことであるが、フクロウとマムシのことを例にとったとおりである。
有子且勿喜,無子固勿歎。
子があるからといって喜んではいけないし、子がないといって嘆いてはいけない。
上聖不待教,賢聞語而遷。
上知している聖人というものは、教えてもらって成るものではないし、賢人といわれる人は、論語、人の話を聞くことによってそちら側にうつるということだ。
下愚聞語惑,雖教無由悛。
徳が低く、愚かものは、論語、人の話を聞くことによっていよいよ惑ってしまい、それを教えてもらっても改目る、理由も方法もわからないというものだ。」
好子は好しと云ふと雖も、未だ恩と勤とを還さず。
悪子は説くべからず、鴟梟【しきゅう】蝮蛇【ふくだ】然り。
子有りとも 且つ喜ぶ勿れ、子無きも 固より歎ずる勿れ。
上聖【じょうせい】は教を待たず、賢は語を聞きて遷る。
下愚【かぐ】は語を聞いて惑ひ、教ふと雖も悛【あらた】むるに由無し と。
#5
大靈頓頭受,即日以命還。
そうして、大霊の亀は、天上の髪から頭を垂れて受けたまわった。その日のうちに、その承った命令をもって還っていったのである。
地祇謂大靈,女往告其人。
地の神は、大霊の亀にこういわれた、「汝、いそいで往って、その人に告げよ」と。
東野夜得夢,有夫玄衣巾。
東野はその夜、夢をみることを得た。それは黒い衣と頭巾つけた偉丈夫であった。
闖然入其戶,三稱天之言。
偉丈夫はたちまちのうちに、家に入ってきた。それから、三度ほど天の御言葉をとなえたのである。
再拜謝玄夫,收悲以歡忻。

孟東野はなんども頭を下げ、そして、黒すがたのひとに再拝した。悲しみを胸にしまいこみ、來家をよろこびそして楽しむこととしたのである。
大靈 頓頭して受け,即日 命を以って還る。
地祇 大靈に謂う,女往いて其人に告げよ と。
東野 夜 夢を得たり,夫有り玄衣巾す。
闖然【ちんぜん】として其戶に入り,三【みたび】天之言を稱す。
再拜して玄夫に謝し,悲しみを收めて以って歡忻【かんきん】す。


現代語訳と訳註
(本文)
#5
大靈頓頭受,即日以命還。地祇謂大靈,女往告其人。
東野夜得夢,有夫玄衣巾。闖然入其戶,三稱天之言。
再拜謝玄夫,收悲以歡忻。


(下し文) #5
大靈 頓頭して受け,即日 命を以って還る。
地祇 大靈に謂う,女往いて其人に告げよ と。
東野 夜 夢を得たり,夫有り玄衣巾す。
闖然【ちんぜん】として其戶に入り,三【みたび】天之言を稱す。
再拜して玄夫に謝し,悲しみを收めて以って歡忻【かんきん】す。


(現代語訳)
そうして、大霊の亀は、天上の髪から頭を垂れて受けたまわった。その日のうちに、その承った命令をもって還っていったのである。
地の神は、大霊の亀にこういわれた、「汝、いそいで往って、その人に告げよ」と。
東野はその夜、夢をみることを得た。それは黒い衣と頭巾つけた偉丈夫であった。
偉丈夫はたちまちのうちに、家に入ってきた。それから、三度ほど天の御言葉をとなえたのである。
孟東野はなんども頭を下げ、そして、黒すがたのひとに再拝した。悲しみを胸にしまいこみ、來家をよろこびそして楽しむこととしたのである。


(訳注) #5
大靈頓頭受,即日以命還。

そうして、大霊の亀は、天上の髪から頭を垂れて受けたまわった。その日のうちに、その承った命令をもって還っていったのである。
大靈 大靈亀。


地祇謂大靈,女往告其人。
地の神は、大霊の亀にこういわれた、「汝、いそいで往って、その人に告げよ」と。


東野夜得夢,有夫玄衣巾。
東野はその夜、夢をみることを得た。それは黒い衣と頭巾つけた偉丈夫であった。
玄衣巾 黒い衣と頭巾。


闖然入其戶,三稱天之言。
偉丈夫はたちまちのうちに、家に入ってきた。それから、三度ほど天の御言葉をとなえたのである。
闖然 ふいに。


再拜謝玄夫,收悲以歡忻。
孟東野はなんども頭を下げ、そして、黒すがたのひとに再拝した。悲しみを胸にしまいこみ、來家をよろこびそして楽しむこととしたのである。

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孟東野失子 韓退之(韓愈)詩<83-#4>Ⅱ中唐詩475 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1504


孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。
子を失うということは、まさに悲しいことで誰をとがめたらいいのか、『論語』にいう「天を怨みず。人を尤めず。」というが、わたしは、かの上なる天を尤めるものである。
女實主下人,與奪一何偏。
あなたの実際の存在は下界人の主なものである、子を与えておいて奪うと、どうしてそんな偏ったことをされるのか。
彼于女何有,乃令蕃且延。
彼の元気で育つ子供は、あなたにおいて何かがあったということなのであるが、それはすなわち、草木が生い茂るようにうまれ、かつ長生きをすることを願うのである。
此獨何罪辜,生死旬日間。
この亡くなった子供はひとり何の罪があるというのであろうか、生れてたった10日の間に、死んだのである。」
上呼無時聞,滴地淚到泉。
天上にむかってかく呼んではみたが聞える時はないのだ。とめどない涙だけは地に滴りて黄泉の国にいたるのである。
地祇為之悲,瑟縮久不安。
涙が落ちた地の神は、このことを大変悲しんだ、かわいそうに思ってくれたのだろう縮んで伸びず、久しく安らにはならないのである。
#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。
ということで、地祗は大霊亀をおよびになられた、雲に乗って天の御門をたたくのである。
問天主下人,薄厚胡不均。
そして、天に問いかけをしてみる「天は下界において人間が主であるというのに、疎んじられると厚遇されるのと、どうして不均衡なのだろうか。」
天曰天地人,由來不相關。
天はこれに答えて「天と地と人とそれぞれに領域があるが、もともと、相互の間には直接的な関聯はないのである。」
吾懸日與月,吾系星與辰。
そこでわたしは、太陽と月の領域とを懸けていき、そして星々と星座とを繋ぎ合わせて行くのである。
日月相噬齧,星辰踣而顛。
太陽と月とたがいに食べあっているし、中星と星座群とは、つまづきあっていて、倒れるということだ。
吾不女之罪,知非女由因。
わたしは、それらのことからも子供の死を、あなたの罪といえるはずもない。あなたの縁とゆかりによるものではないということが認知されたということであろう。
#3
且物各有分,孰能使之然。
それと、事生物はおのおの天分にしたがって行動しているものであり、他のいづれのものが行動させているということができようか。
有子與無子,禍福未可原。
子をもつものと、子なきものとがあり、災禍なのが転じて幸福となるのか、いまだ原因を追究するところまで行ってはいない。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。
魚の子は母の腹に満杯にいるけれども、そのひとつびとつを誰か憐んでやれるというのか。
細腰不自乳,舉族常孤鰥。
腰細き女は自らの乳が出ないので子を育てられないという、その一族からはおしなべて子を育てられない細腰か老いて妻のないやもめの家系というのが常識である。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。
ふくろうの子は大きくなると母の脳を啄み、食い殺して巣立つという、母が死んで、その子がはじめて飛ぶというのだ。
蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
まむしは子を生むとき、はらわたと肝と、千々に裂くという。
#4
好子雖雲好,未還恩與勤。
よい子は好ましいことであるとであるが、それでもなお、親の愛情、御恩と育てる苦労とに報いてくれることを得たわけではない。
惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
悪い子というのはいうまでもないことであるが、フクロウとマムシのことを例にとったとおりである。
有子且勿喜,無子固勿歎。
子があるからといって喜んではいけないし、子がないといって嘆いてはいけない。
上聖不待教,賢聞語而遷。
上知している聖人というものは、教えてもらって成るものではないし、賢人といわれる人は、論語、人の話を聞くことによってそちら側にうつるということだ。
下愚聞語惑,雖教無由悛。
徳が低く、愚かものは、論語、人の話を聞くことによっていよいよ惑ってしまい、それを教えてもらっても改目る、理由も方法もわからないというものだ。」
好子は好しと云ふと雖も、未だ恩と勤とを還さず。
悪子は説くべからず、鴟梟【しきゅう】蝮蛇【ふくだ】然り。
子有りとも 且つ喜ぶ勿れ、子無きも 固より歎ずる勿れ。
上聖【じょうせい】は教を待たず、賢は語を聞きて遷る。
下愚【かぐ】は語を聞いて惑ひ、教ふと雖も悛【あらた】むるに由無し と。

#5
大靈頓頭受,即日以命還。地祇謂大靈,女往告其人。
東野夜得夢,有夫玄衣巾。闖然入其戶,三稱天之言。
再拜謝玄夫,收悲以歡忻。



現代語訳と訳註
(本文)
#4
好子雖雲好,未還恩與勤。惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
有子且勿喜,無子固勿歎。上聖不待教,賢聞語而遷。
下愚聞語惑,雖教無由悛。


(下し文)
好子は好しと云ふと雖も、未だ恩と勤とを還さず。
悪子は説くべからず、鴟梟【しきゅう】蝮蛇【ふくだ】然り。
子有りとも 且つ喜ぶ勿れ、子無きも 固より歎ずる勿れ。
上聖【じょうせい】は教を待たず、賢は語を聞きて遷る。
下愚【かぐ】は語を聞いて惑ひ、教ふと雖も悛【あらた】むるに由無し と。


(現代語訳)
よい子は好ましいことであるとであるが、それでもなお、親の愛情、御恩と育てる苦労とに報いてくれることを得たわけではない。
悪い子というのはいうまでもないことであるが、フクロウとマムシのことを例にとったとおりである。
子があるからといって喜んではいけないし、子がないといって嘆いてはいけない。
上知している聖人というものは、教えてもらって成るものではないし、賢人といわれる人は、論語、人の話を聞くことによってそちら側にうつるということだ。
徳が低く、愚かものは、論語、人の話を聞くことによっていよいよ惑ってしまい、それを教えてもらっても改目る、理由も方法もわからないというものだ。」


(訳注) #4
好子雖雲好,未還恩與勤。
よい子は好ましいことであるとであるが、それでもなお、親の愛情、御恩と育てる苦労とに報いてくれることを得たわけではない。
好子 よいこ。
恩與勤 親の愛情、御恩と育てる苦労。


惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
悪い子というのはいうまでもないことであるが、フクロウとマムシのことを例にとったとおりである。
不可說 いうまでもない。
鴟梟 ふくろう。
蝮蛇 まむし。


有子且勿喜,無子固勿歎。
子があるからといって喜んではいけないし、子がないといって嘆いてはいけない。


上聖不待教,賢聞語而遷。
上知している聖人というものは、教えてもらって成るものではないし、賢人といわれる人は、論語、人の話を聞くことによってそちら側にうつるということだ。
上聖 『論語』の陽貨篇
「子曰、唯上知与下愚不移。」
(子曰く、唯【ただ】上知【じょうち】と下愚【げぐ】とは移らず。)
先生が言われた。『(多くの人は学習・努力によって変われるが)ただ最高の知者と最低の愚者は変わることがない。』
儒教は人間の才能・適性・素質の「完全平等主義」を説くものではなく、現実状況に照らし合わせて最高の知性と最低の知性との間にはやはり後天的学習によっては「越えがたい壁」があることを認めていた。これが自虐という反作用として支配側に利用された部分もある。


下愚聞語惑,雖教無由悛。
徳が低く、愚かものは、論語、人の話を聞くことによっていよいよ惑ってしまい、それを教えてもらっても改目る、理由も方法もわからないというものだ。」

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孟東野失子 韓退之(韓愈)詩<83-#3>Ⅱ中唐詩474 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1501


#3
且物各有分,孰能使之然。
それと、事生物はおのおの天分にしたがって行動しているものであり、他のいづれのものが行動させているということができようか。
有子與無子,禍福未可原。
子をもつものと、子なきものとがあり、災禍なのが転じて幸福となるのか、いまだ原因を追究するところまで行ってはいない。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。
魚の子は母の腹に満杯にいるけれども、そのひとつびとつを誰か憐んでやれるというのか。
細腰不自乳,舉族常孤鰥。
腰細き女は自らの乳が出ないので子を育てられないという、その一族からはおしなべて子を育てられない細腰か老いて妻のないやもめの家系というのが常識である。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。
ふくろう。ふくろうの子は大きくなると母の脳を啄み、食い殺して巣立つという、母が死んで、その子がはじめて飛ぶというのだ。
蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
まむしは子を生むとき、はらわたと肝と、千々に裂くという。

且つ物には各々の分有り,孰【たれ】か能く之をして然【しか】せしむる。子有ると 子無きと、禍福【かふく】未だ原【たず】ぬ可からず
魚子 母の腹に満てり、一一誰か憐まむと欲する
細腰は自ら乳せず、舉族【きょぞく】常に孤鰥【こかん】なり。
鴟梟【しきょう】母の腦を啄【ついば】み,母死して子始めて翻【ひるがえ】る。
蝮蛇【ふくだ】は子を生む時,腸と肝を坼裂【たくれつ】す。


現代語訳と訳註
(本文)
#3
且物各有分,孰能使之然。有子與無子,禍福未可原。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。細腰不自乳,舉族常孤鰥。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。


(下し文)
且つ物には各々の分有り,孰【たれ】か能く之をして然【しか】せしむる。子有ると 子無きと、禍福【かふく】未だ原【たず】ぬ可からず
魚子 母の腹に満てり、一一誰か憐まむと欲する
細腰は自ら乳せず、舉族【きょぞく】常に孤鰥【こかん】なり。
鴟梟【しきょう】母の腦を啄【ついば】み,母死して子始めて翻【ひるがえ】る。
蝮蛇【ふくだ】は子を生む時,腸と肝を坼裂【たくれつ】す。


(現代語訳)
それと、事生物はおのおの天分にしたがって行動しているものであり、他のいづれのものが行動させているということができようか。
子をもつものと、子なきものとがあり、災禍なのが転じて幸福となるのか、いまだ原因を追究するところまで行ってはいない。
魚の子は母の腹に満杯にいるけれども、そのひとつびとつを誰か憐んでやれるというのか。
腰細き女は自らの乳が出ないので子を育てられないという、その一族からはおしなべて子を育てられない細腰か老いて妻のないやもめの家系というのが常識である。
ふくろう。ふくろうの子は大きくなると母の脳を啄み、食い殺して巣立つという、母が死んで、その子がはじめて飛ぶというのだ。
まむしは子を生むとき、はらわたと肝と、千々に裂くという。


(訳注) #3
且物各有分,孰能使之然。

それと、事生物はおのおの天分にしたがって行動しているものであり、他のいづれのものが行動させているということができようか。
執能使之然 それぞれのものが、その天分にしたがって行動しているのだが、それをほかの何者が、そのように行動させている、などといえようか、というほどの意。


有子與無子,禍福未可原
子をもつものと、子なきものとがあり、災禍なのが転じて幸福となるのか、いまだ原因を追究するところまで行ってはいない。
・原 原因を追究する。


魚子滿母腹,一一欲誰憐。
魚の子は母の腹に満杯にいるけれども、そのひとつびとつを誰か憐んでやれるというのか。
魚干 魚のたまご。
欲誰憐 魚のたまごの一粒一粒に対して、誰が一匹の魚としての愛情を注いでやれるのか、という意


細腰不自乳,舉族常孤鰥。
腰細き女は自らの乳が出ないので子を育てられないという、その一族からはおしなべて子を育てられない細腰か老いて妻のないやもめの家系というのが常識である。
細腰 細腰の女は子を産めない。雲でも乳が出ないとされている。春秋、楚の霊王(在位、前540-前529;クーデターで崩壊歿す)は痩せ型の美人を好み、王の趣向を先取りし、そのために食を節して餓死者が増やした。
李商隠『夢澤』
夢澤悲風動白茅、楚王葬壷満城嬬。
未知歌舞能多少、虚減宮厨焉細腰。
夢澤 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-72
・孤鰥
 親なし子なし、というはどの意。鰥:老いて妻のない男。


鴟梟啄母腦,母死子始翻。
ふくろうの子は大きくなると母の脳を啄み、食い殺して巣立つという、母が死んで、その子がはじめて飛ぶというのだ。
鴟梟 ふくろう。ふくろうの子は大きくなると母を食い殺して巣立つといいつたえられる。
 とぶ。


蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
まむしは子を生むとき、はらわたと肝と、千々に裂くという。
蝮蛇 まむし。
坼裂 ひきさく.

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孟東野失子 韓退之(韓愈)詩<83-#2>Ⅱ中唐詩473 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1498


孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。女實主下人,與奪一何偏。
彼于女何有,乃令蕃且延。此獨何罪辜,生死旬日間。
上呼無時聞,滴地淚到泉。地祇為之悲,瑟縮久不安。
#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。問天主下人,薄厚胡不均。
天曰天地人,由來不相關。吾懸日與月,吾系星與辰。
日月相噬齧,星辰踣而顛。吾不女之罪,知非女由因。
#3
且物各有分,孰能使之然。有子與無子,禍福未可原。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。細腰不自乳,舉族常孤鰥。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
#4
好子雖雲好,未還恩與勤。惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
有子且勿喜,無子固勿歎。上聖不待教,賢聞語而遷。
下愚聞語惑,雖教無由悛。
#5
大靈頓頭受,即日以命還。地祇謂大靈,女往告其人。
東野夜得夢,有夫玄衣巾。闖然入其戶,三稱天之言。
再拜謝玄夫,收悲以歡忻。


#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。
ということで、地祗は大霊亀をおよびになられた、雲に乗って天の御門をたたくのである。
問天主下人,薄厚胡不均。
そして、天に問いかけをしてみる「天は下界において人間が主であるというのに、疎んじられると厚遇されるのと、どうして不均衡なのだろうか。」
天曰天地人,由來不相關。
天はこれに答えて「天と地と人とそれぞれに領域があるが、もともと、相互の間には直接的な関聯はないのである。」
吾懸日與月,吾系星與辰。
そこでわたしは、太陽と月の領域とを懸けていき、そして星々と星座とを繋ぎ合わせて行くのである。
日月相噬齧,星辰踣而顛。
太陽と月とたがいに食べあっているし、中星と星座群とは、つまづきあっていて、倒れるということだ。
吾不女之罪,知非女由因。
わたしは、それらのことからも子供の死を、あなたの罪といえるはずもない。あなたの縁とゆかりによるものではないということが認知されたということであろう。
乃ち大靈亀を呼び、雲に騎りて 天門を款かしむ。
天に問ふ 下人に主たるに、薄厚 胡ぞ均しからざる。
天日く 天と地と人と、由来 相関らず。
吾 日と月とを懸く、吾 星と辰とを繋ぐ。
日と月と相噬齧し、星と辰と顛きて踣る。
吾 女を之れ罪せず、女の由因に非ざるを知ればなり。
且つ 物には各の分有り、軌か能く之をして然せしむる。


現代語訳と訳註
(本文)
#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。問天主下人,薄厚胡不均。
天曰天地人,由來不相關。吾懸日與月,吾系星與辰。
日月相噬齧,星辰踣而顛。吾不女之罪,知非女由因。


(下し文) #2
乃ち大靈亀を呼び、雲に騎りて 天門を款かしむ。
天に問ふ 下人に主たるに、薄厚 胡ぞ均しからざる。
天日く 天と地と人と、由来 相関らず。
吾 日と月とを懸く、吾 星と辰とを繋ぐ。
日と月と相噬齧し、星と辰と顛きて踣る。
吾 女を之れ罪せず、女の由因に非ざるを知ればなり。
且つ 物には各の分有り、軌か能く之をして然せしむる。


(現代語訳)
ということで、地祗は大霊亀をおよびになられた、雲に乗って天の御門をたたくのである。
そして、天に問いかけをしてみる「天は下界において人間が主であるというのに、疎んじられると厚遇されるのと、どうして不均衡なのだろうか。」
天はこれに答えて「天と地と人とそれぞれに領域があるが、もともと、相互の間には直接的な関聯はないのである。」
そこでわたしは、太陽と月の領域とを懸けていき、そして星々と星座とを繋ぎ合わせて行くのである。
太陽と月とたがいに食べあっているし、中星と星座群とは、つまづきあっていて、倒れるということだ。
わたしは、それらのことからも子供の死を、あなたの罪といえるはずもない。あなたの縁とゆかりによるものではないということが認知されたということであろう。


(訳注) #2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。

ということで、地祗は大霊亀をおよびになられた、雲に乗って天の御門をたたくのである。
・呼 地祗が呼ぶのである。
・大霊亀 地祗のお使いである。
・款 叩く。孟郊『杏殤 九首之七』
哭此不成春,淚痕三四班。
失芳蝶既狂,失子老亦孱,
且無生生力,自有死死顏。
靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖
此を哭して春を成さず,淚の痕は三四の班。
芳を失いて蝶の既に狂い,子を失いて老いたるものの亦た孱【ひよわ】し,
且つ生生の力無く,自ら死 死の顏有り。
靈鳳 訴えを銜みてゆかんとせず,誰が為に天の關を扣【たた】かんや﹖
の句があるので、韓愈がおのれの詩に、款天門の語を用いたのであろう。


問天主下人,薄厚胡不均。
そして、天に問いかけをしてみる「天は下界において人間が主であるというのに、疎んじられると厚遇されるのと、どうして不均衡なのだろうか。」


天曰天地人,由來不相關。
天はこれに答えて「天と地と人とそれぞれに領域があるが、もともと、相互の間には直接的な関聯はないのである。」
不相関 天と地と人とはそれぞれの領域があって、相互の間には直接的な関聯はない、というのである。


吾懸日與月,吾系星與辰。
そこでわたしは、太陽と月の領域とを懸けていき、そして星々と星座とを繋ぎ合わせて行くのである。
星与辰 星辰すなわち、ほし。区別していえば、星は四方の中星、辰は日と月との会う星座。銀河、北斗七星。


日月相噬齧,星辰踣而顛。
太陽と月とたがいに食べあっているし、中星と星座群とは、つまづきあっていて、倒れるということだ。
・噬齧 かむ。日蝕・月蝕は、月が日をかじり、日が月をかむのだ、としているのである。
・踣 たおれる。
・顛 ひっくりかえる。


吾不女之罪,知非女由因。
わたしは、それらのことからも子供の死を、あなたの罪といえるはずもない。あなたの縁とゆかりによるものではないということが認知されたということであろう。
由因 原因。




杏殤 九首 孟郊 808年元和三年 孟郊詩集卷十

并序:
杏殤,花乳也。
霜翦而落,因悲昔嬰,故作是詩。

之 一
凍手莫弄珠,弄珠珠易飛;
驚霜莫翦春,翦春無光輝。
零落小花乳,爛斑昔嬰衣。
拾之不盈把,日莫空悲歸。


之二
地上空拾星,枝上不見花。
哀哀孤老人,戚戚無子家。
豈若沒水鳧﹖不如拾巢鴉;
浪鷇破便飛,風鶵裊相誇。
芳嬰不復生,向物空悲嗟。

之三
應是一線淚,入此春木心;
枝枝不成花,片片落翦金。
春壽何可長﹖霜哀亦已深。
常時喜芳泉,此日洗淚襟!

之四
兒生月不明,兒死月始光;
兒月兩相奪,兒命果不長!
如何此英英,亦為弔蒼蒼﹖
甘為墮地塵,不為末世芳。

之五
踏地恐土痛,損彼芳樹根。
此誠天不知,翦棄我子孫。
垂枝有千落,芳命無一存。
誰謂生人家,春色不入門。

之六
冽冽霜殺春,枝枝疑纖刀。
木心既零落,山竅空呼號。
班班落地英,點點如明膏。
始知天地間,萬物皆不牢。

之七
哭此不成春,淚痕三四班。
失芳蝶既狂,失子老亦孱,
且無生生力,自有死死顏。
靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖

之八
此兒自見災,花發多不諧。
窮老收碎心,永夜抱破懷。
聲死更何言﹖意死不必喈。
病叟無子孫,獨立猶束柴。

之九
霜似敗紅芳,翦啄十數雙。
參差呻細風,噞喁沸淺江。
泣凝不可消,恨壯難自降,
空遺舊日影,怨彼小書窗。

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孟東野失子 幷序
東野連産三子、不数日、輒失之。
幾老、念無後以悲。
其友人昌黎韓愈。懼其傷也。
推天假其命。以喩之。


孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。女實主下人,與奪一何偏。
彼于女何有,乃令蕃且延。此獨何罪辜,生死旬日間。
上呼無時聞,滴地淚到泉。地祇為之悲,瑟縮久不安。
#2
乃呼大靈龜,騎雲款天門。問天主下人,薄厚胡不均。
天曰天地人,由來不相關。吾懸日與月,吾系星與辰。
日月相噬齧,星辰踣而顛。吾不女之罪,知非女由因。
#3
且物各有分,孰能使之然。有子與無子,禍福未可原。
魚子滿母腹,一一欲誰憐。細腰不自乳,舉族常孤鰥。
鴟梟啄母腦,母死子始翻。蝮蛇生子時,坼裂腸與肝。
#4
好子雖雲好,未還恩與勤。惡子不可說,鴟梟蝮蛇然。
有子且勿喜,無子固勿歎。上聖不待教,賢聞語而遷。
下愚聞語惑,雖教無由悛。
#5
大靈頓頭受,即日以命還。地祇謂大靈,女往告其人。
東野夜得夢,有夫玄衣巾。闖然入其戶,三稱天之言。
再拜謝玄夫,收悲以歡忻。



東野連産三子、不数日、輒失之。
東野は、つづけて三人の子を授かったけれども、数日ならずして、すなはちこれを矢へり。
幾老、念無後以悲。
老にちかくして、後つぐものなきをおもひて悲しぶ。
其友人昌黎韓愈。懼其傷也。
その友なる昌黎の韓愈、かれの傷かむことをおそる。
推天假其命。以喩之。
天のこころを推しはかりその天命【ことば】を借りて、もてこれをさとしぬ。
東野【とうや】は連【しき】りに三子を産み、数日ならずして、輒【すなわ】ち之を失へり。
幾ど老いむとして、後無きを念ひて以て悲む。
其の友人、昌黎【しょうれい】の韓愈、その傷まむことを懼れるなり。
天を推し其の命を假って、以て之を喩【さと】しぬ。


現代語訳と訳註
(本文)

東野連産三子、不数日、輒失之。
幾老、念無後以悲。
其友人昌黎韓愈。懼其傷也。
推天假其命。以喩之。


(下し文)
東野【とうや】は連【しき】りに三子を産み、数日ならずして、輒【すなわ】ち之を失へり。
幾ど老いむとして、後無きを念ひて以て悲む。
其の友人、昌黎【しょうれい】の韓愈、その傷まむことを懼れるなり。
天を推し其の命を假って、以て之を喩【さと】しぬ。


(現代語訳)
東野は、つづけて三人の子を授かったけれども、数日ならずして、すなはちこれを矢へり。
老にちかくして、後つぐものなきをおもひて悲しぶ。
その友なる昌黎の韓愈、かれの傷かむことをおそる。
天のこころを推しはかりその天命【ことば】を借りて、もてこれをさとしぬ。


(訳注)

東野連産三子、不数日、輒失之。
東野は、つづけて三人の子を授かったけれども、数日ならずして、すなはちこれを矢へり。

幾老、念無後以悲。
老にちかくして、後つぐものなきをおもひて悲しぶ。

其友人昌黎韓愈。懼其傷也。
その友なる昌黎の韓愈、かれの傷かむことをおそる。

推天假其命。以喩之。
天のこころを推しはかりその天命【ことば】を借りて、もてこれをさとしぬ。


孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。
子を失うということは、まさに悲しいことで誰をとがめたらいいのか、『論語』にいう「天を怨みず。人を尤めず。」というが、わたしは、かの上なる天を尤めるものである。
女實主下人,與奪一何偏。
あなたの実際の存在は下界人の主なものである、子を与えておいて奪うと、どうしてそんな偏ったことをされるのか。
彼于女何有,乃令蕃且延。
彼の元気で育つ子供は、あなたにおいて何かがあったということなのであるが、それはすなわち、草木が生い茂るようにうまれ、かつ長生きをすることを願うのである。
此獨何罪辜,生死旬日間。
この亡くなった子供はひとり何の罪があるというのであろうか、生れてたった10日の間に、死んだのである。」
上呼無時聞,滴地淚到泉。
天上にむかってかく呼んではみたが聞える時はないのだ。とめどない涙だけは地に滴りて黄泉の国にいたるのである。
地祇為之悲,瑟縮久不安。

涙が落ちた地の神は、このことを大変悲しんだ、かわいそうに思ってくれたのだろう縮んで伸びず、久しく安らにはならないのである。

子を失ひて 將に何をか尤【】めむとする、吾 將に 上 天を尤めむとす。
女は實に下人に主たるに、與奪一に何ぞ偏なる。
彼 女に於て何か有らむ、乃ち 蕃にして且つ延ならしむる。
此れ 濁り何の罪辜ありて、旬日の間に生死せしむる。
上に呼べども 時に聞く無し、地に滴りて 涙 泉に到る。
地祇 之が爲に悲み、瑟縮 久しくして安んぜず。


現代語訳と訳註
(本文)
孟東野失子
失子將何尤,吾將上尤天。女實主下人,與奪一何偏。
彼于女何有,乃令蕃且延。此獨何罪辜,生死旬日間。
上呼無時聞,滴地淚到泉。地祇為之悲,瑟縮久不安。


(下し文)
子を失ひて 將に何をか尤【】めむとする、吾 將に 上 天を尤めむとす。
女は實に下人に主たるに、與奪一に何ぞ偏なる。
彼 女に於て何か有らむ、乃ち 蕃にして且つ延ならしむる。
此れ 濁り何の罪辜ありて、旬日の間に生死せしむる。
上に呼べども 時に聞く無し、地に滴りて 涙 泉に到る。
地祇 之が爲に悲み、瑟縮 久しくして安んぜず。


(現代語訳)
子を失うということは、まさに悲しいことで誰をとがめたらいいのか、『論語』にいう「天を怨みず。人を尤めず。」というが、わたしは、かの上なる天を尤めるものである。
あなたの実際の存在は下界人の主なものである、子を与えておいて奪うと、どうしてそんな偏ったことをされるのか。
彼の元気で育つ子供は、あなたにおいて何かがあったということなのであるが、それはすなわち、草木が生い茂るようにうまれ、かつ長生きをすることを願うのである。
この亡くなった子供はひとり何の罪があるというのであろうか、生れてたった10日の間に、死んだのである。」
天上にむかってかく呼んではみたが聞える時はないのだ。とめどない涙だけは地に滴りて黄泉の国にいたるのである。
涙が落ちた地の神は、このことを大変悲しんだ、かわいそうに思ってくれたのだろう縮んで伸びず、久しく安らにはならないのである。


(訳注)
孟東野失子

昌黎詩集巻四
孟郊『杏殤 九首』と対応している。
杏殤 九首 之五 孟郊(東野)詩<25>Ⅱ中唐詩470 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1489
杏殤 九首 之七 孟郊(東野)詩<26>Ⅱ中唐詩471 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1492


失子將何尤,吾將上尤天。
子を失うということは、まさに悲しいことで誰をとがめたらいいのか、『論語』にいう「天を怨みず。人を尤めず。」というが、わたしは、かの上なる天を尤めるものである。
尤天 『論語』憲問に
「天を怨みず。人を尤めず。下学して上達す。我を知る著は其れ天か」という有名なことばがある。ところがいま、孟郊ほ、天を怨み、天を尤めようとしているのである。その悲しみの深さが知れよう。


女實主下人,與奪一何偏。
あなたの実際の存在は下界人の主なものである、子を与えておいて奪うと、どうしてそんな偏ったことをされるのか。
・女 汝と同じ。
一何偏 『荘子』雑篇、列禦寇、第三十二の末部の段に荘子曰「在上為烏鳶食,在下為螻蟻食、奪彼與此、何其偏也。』「上に在れば烏鳶の食と為り、下に在れば螻蟻の食と為る。彼より奪ひて此に与ふ、何ぞ其れ偏なるや。」にもとづいている。儒者の韓愈たちはこのくだりはよく理解していることなのである。


彼于女何有,乃令蕃且延。
彼の元気で育つ子供は、あなたにおいて何かがあったということなのであるが、それはすなわち、草木が生い茂るようにうまれ、かつ長生きをすることを願うのである。
・彼 世間の元気な赤ん坊たちをさしていっている。
・蕃 しげる。草木が生い茂る。ふえる。草木が重なり合うようにして生える。


此獨何罪辜,生死旬日間。
この亡くなった子供はひとり何の罪があるというのであろうか、生れてたった10日の間に、死んだのである。」
・此 なくなった子をさしていう。
・旬日 10日間。10日くらいの日数。


上呼無時聞,滴地淚到泉。
天上にむかってかく呼んではみたが聞える時はないのだ。とめどない涙だけは地に滴りて黄泉の国にいたるのである。
・泉 黄泉、地下。黄泉の国。


地祇為之悲,瑟縮久不安。
涙が落ちた地の神は、このことを大変悲しんだ、かわいそうに思ってくれたのだろう縮んで伸びず、久しく安らにはならないのである。
・地舐 地の神。
・蕾縮 ちぢんでのびない。



『論語』憲問
子曰、莫我知也夫。
子貢曰、何為其莫知子也。
子曰、不怨天、不尤人、下学而上達、知我者其天乎。
子曰く、我を知る莫き(なき)かな。
子貢曰く、何為れぞそれ子を知る莫きや。
子曰く、天をも怨みず、人をも尤めず(とがめず)、下学(かがく)して上達す。我を知る者はそれ天か。
[現代語訳]先生が言われた。『私を知るものは誰もいない。』。子貢がそれを聞いて言った。『先生を知るものがいないというのはどうしてですか。』。先生が言われた。『天を恨まず、人もとがめることはない。下は人間社会について学問し、上は天命について学問をする。この私を正確に知るものは、やはり天であるか。』。
[解説]晩年の孔子は、最大の理解者である愛弟子の顔淵を失って悲嘆の淵に深く沈んでいた。自分の学問・思想・理念を根本から理解してくれる人間がこの世にいなくなったことを悲しんだ晩年の孔子が、ふと漏らしたのが『私を知るものはいない』という台詞であった。政治経済といった人間社会の原理から、人間社会の命運を規定する『天』にまで思索の範囲を延長した孔子……最後の最後で、自分のことを正確に理解してくれるのは、人智を超越した普遍の存在である『天』しかないと考えたのであろう。

杏殤 九首 之七 孟郊(東野)詩<26>Ⅱ中唐詩471 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1492

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上代~隋南北朝・隋の詩人初唐・盛唐・中唐・晩唐
杏殤 九首 之七 孟郊(東野)詩<26>Ⅱ中唐詩471 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1492



杏殤 九首 之七 
哭此不成春,淚痕三四班。
このことで慟哭して泣く、自分の家には春が来ることはないのだ。涙を流した頬には三筋四筋の跡が残ったままである。
失芳蝶既狂,失子老亦孱,
芳しい香ある花がなくなった世界に蝶は既に普通に暮らせるものではない、子を失ったことは廊下を進め又虚弱な体になってゆくのだ。
且無生生力,自有死死顏。
その上、生きて行こうという生命力さえなくなっているのだ、生きていく力がないことは死んでいるのであり、死人と同じような顔をしているのである。
靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖
靈力のある鳳凰鳥はなにも訴えることはできない、こんなことでどうして天の関門をたたいて闌れというのか。(誰がこんなことを天がさだめたことというのであろうか)

此を哭して春を成さず,淚の痕は三四の班。
芳を失いて蝶の既に狂い,子を失いて老いたるものの亦た孱【ひよわ】し,
且つ生生の力無く,自ら死 死の顏有り。
靈鳳 訴えを銜みてゆかんとせず,誰が為に天の關を扣【たた】かんや﹖


現代語訳と訳註
(本文)
杏殤 九首 之七
哭此不成春,淚痕三四班。
失芳蝶既狂,失子老亦孱,
且無生生力,自有死死顏。
靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖


(下し文)
此を哭して春を成さず,淚の痕は三四の班。
芳を失いて蝶の既に狂い,子を失いて老いたるものの亦た孱【ひよわ】し,
且つ生生の力無く,自ら死 死の顏有り。
靈鳳 訴えを銜みてゆかんとせず,誰が為に天の關を扣【たた】かんや﹖


(現代語訳)
このことで慟哭して泣く、自分の家には春が来ることはないのだ。涙を流した頬には三筋四筋の跡が残ったままである。
芳しい香ある花がなくなった世界に蝶は既に普通に暮らせるものではない、子を失ったことは廊下を進め又虚弱な体になってゆくのだ。
その上、生きて行こうという生命力さえなくなっているのだ、生きていく力がないことは死んでいるのであり、死人と同じような顔をしているのである。
靈力のある鳳凰鳥はなにも訴えることはできない、こんなことでどうして天の関門をたたいて闌れというのか。(誰がこんなことを天がさだめたことというのであろうか)


(訳注)
杏殤 九首 之七

杏殤 九首 孟郊 808年元和三年にこどもが死んで三年後の作という。 孟郊詩集卷十


哭此不成春,淚痕三四班。
このことで慟哭して泣く、自分の家には春が来ることはないのだ。涙を流した頬には三筋妤筋の跡が残ったままである。
淚痕三四班 涙があふれ出て頬をおちる涙の列は三筋四筋の跡が残った。


失芳蝶既狂,失子老亦孱,
芳しい香ある花がなくなった世界に蝶は既に普通に暮らせるものではない、子を失ったことは廊下を進め又虚弱な体になってゆくのだ。


且無生生力,自有死死顏。
その上、生きて行こうという生命力さえなくなっているのだ、生きていく力がないことは死んでいるのであり、死人と同じような顔をしているのである。
生生力 生きて行こうという生命力。
・死死顏 死んでいるか、死人と同じような顔をしているか。


靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖
靈力のある鳳凰鳥はなにも訴えることはできない、こんなことでどうして天の関門をたたいて闌れというのか。(誰がこんなことを天がさだめたことというのであろうか)
銜訴 天命を受け奉ずる。心に恨みを留める。根に持つ。訴えを申しで心に恨みを留める。

杏殤 九首 之五 孟郊(東野)詩<25>Ⅱ中唐詩470 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1489

      
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杏殤 九首 之五 孟郊(東野)詩<25>Ⅱ中唐詩470 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1489


杏殤 九首 并 序:
杏殤,花乳也。
霜翦而落,因悲昔嬰,故作是詩。
杏はわかじにをした。花の咲き始めである。
霜を断ち切りそして落とし、悲しみによって三年経過し、もう昔の乳呑児を思い出すとまた悲しい。そういうことでこの詩を作ったのだ。


孟郊 『杏殤 九首 之五』
踏地恐土痛,損彼芳樹根。
此誠天不知,翦棄我子孫。
垂枝有千落,芳命無一存。
誰謂生人家,春色不入門。
この土地を踏みしめていくことはこの土が居たいのではないかと心配する。それはその痛みで杏の香り良い樹がその根を傷めてしまうのではないかと思うのである。
こんな誠実な気持ちというのは天の神は知らないことである。それはわが子を切り、捨て子孫を残すことを許されないからである。
露は垂れた枝からは千々と根もとに落ちてゆくのである。しかしわが子の命は一滴たりとも恩恵を受けていないのである。
このことをだれが生きている人にあてはめていうことが出来ようか、世の中は春景色になっているのに我家の門からは入ってこないのである。

地を踏みては土の痛みて,彼の芳 樹の根を損うことを恐れる。
此の誠に天は知らず,我が子孫を翦り棄てたり。
垂し枝より千ゝ落つる有り,芳の命 一も存する無し。
誰か生ける人の家を謂わんや,春色は門に入らず。


現代語訳と訳註
(本文)
   杏殤 九首 之五
踏地恐土痛,損彼芳樹根。
此誠天不知,翦棄我子孫。
垂枝有千落,芳命無一存。
誰謂生人家,春色不入門。


(下し文)
地を踏みては土の痛みて,彼の芳 樹の根を損うことを恐れる。
此の誠に天は知らず,我が子孫を翦り棄てたり。
垂し枝より千ゝ落つる有り,芳の命 一も存する無し。
誰か生ける人の家を謂わんや,春色は門に入らず。


(現代語訳)
この土地を踏みしめていくことはこの土が居たいのではないかと心配する。それはその痛みで杏の香り良い樹がその根を傷めてしまうのではないかと思うのである。
こんな誠実な気持ちというのは天の神は知らないことである。それはわが子を切り、捨て子孫を残すことを許されないからである。
露は垂れた枝からは千々と根もとに落ちてゆくのである。しかしわが子の命は一滴たりとも恩恵を受けていないのである。
このことをだれが生きている人にあてはめていうことが出来ようか、世の中は春景色になっているのに我家の門からは入ってこないのである。


(訳注)
 
杏殤 九首 之五

杏殤 九首 孟郊 808年元和三年にこどもが死んで三年後の作という。 孟郊詩集卷十


踏地恐土痛,損彼芳樹根。
この土地を踏みしめていくことはこの土が居たいのではないかと心配する。それはその痛みで杏の香り良い樹がその根を傷めてしまうのではないかと思うのである。
恐土痛 木の周りの土を踏んで歩くことが杏の花を咲かせる木にとって痛いことである。


此誠天不知,翦棄我子孫。
こんな誠実な気持ちというのは天の神は知らないことである。それはわが子を切り、捨て子孫を残すことを許されないからである。


垂枝有千落,芳命無一存。
露は垂れた枝からは千々と根もとに落ちてゆくのである。しかしわが子の命は一滴たりとも恩恵を受けていないのである。
垂枝有千落 垂れた枝から木の根もとには、不老長寿の液が千々をおちる。恩恵を受けること。


誰謂生人家,春色不入門。
このことをだれが生きている人にあてはめていうことが出来ようか、世の中は春景色になっているのに我家の門からは入ってこないのである




杏殤 九首 孟郊 808年元和三年 孟郊詩集卷十

并序:
杏殤,花乳也。
霜翦而落,因悲昔嬰,故作是詩。

之 一
凍手莫弄珠,弄珠珠易飛;
驚霜莫翦春,翦春無光輝。
零落小花乳,爛斑昔嬰衣。
拾之不盈把,日莫空悲歸。


之二
地上空拾星,枝上不見花。
哀哀孤老人,戚戚無子家。
豈若沒水鳧﹖不如拾巢鴉;
浪鷇破便飛,風鶵裊相誇。
芳嬰不復生,向物空悲嗟。

之三
應是一線淚,入此春木心;
枝枝不成花,片片落翦金。
春壽何可長﹖霜哀亦已深。
常時喜芳泉,此日洗淚襟!

之四
兒生月不明,兒死月始光;
兒月兩相奪,兒命果不長!
如何此英英,亦為弔蒼蒼﹖
甘為墮地塵,不為末世芳。

之五
踏地恐土痛,損彼芳樹根。
此誠天不知,翦棄我子孫。
垂枝有千落,芳命無一存。
誰謂生人家,春色不入門。

之六
冽冽霜殺春,枝枝疑纖刀。
木心既零落,山竅空呼號。
班班落地英,點點如明膏。
始知天地間,萬物皆不牢。

之七
哭此不成春,淚痕三四班。
失芳蝶既狂,失子老亦孱,
且無生生力,自有死死顏。
靈鳳不銜訴,誰為扣天關﹖

之八
此兒自見災,花發多不諧。
窮老收碎心,永夜抱破懷。
聲死更何言﹖意死不必喈。
病叟無子孫,獨立猶束柴。

之九
霜似敗紅芳,翦啄十數雙。
參差呻細風,噞喁沸淺江。
泣凝不可消,恨壯難自降,
空遺舊日影,怨彼小書窗。

剥啄行 韓退之(韓愈)詩<82-#3>Ⅱ中唐詩469 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1486

      
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剥啄行 韓退之(韓愈)詩<82-#3>Ⅱ中唐詩469 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1486


剝啄行
剝剝啄啄,有客至門。
こつこつ、とんとん、誰か客が来て戸を叩く。
我不出應,客去而嗔。
私はそれに門に出ないで応じないのである、すると客はぷんぷんしながら帰ってしまう。
從者語我,子胡為然。
すると従者が私に語りかけてくる。「あなたはどうしてそんなことをするのですか」と。
我不厭客,困於語言。
「私はその客がいやなのではない、(私が注目されてきて)何かと噂をたてられて、それでひどい目にあっているのだ。」
欲不出納,以堙其源。
そして、「だから客の出入りを避け、その源を断ちたいと思っているのだ。」
空堂幽幽,有秸有莞。
「奥座敷はひっそりと薄暗くして空けているし、私は座る藁の敷物があるし、客用のイ草によるむしろまで備えている。」
剝剝【はくはく】啄啄【たくたく】,客有りて門に至る。
我出でて應えず,客去りて嗔【いか】る。
從者 我に語る,子 胡為【なんすれ】ぞ然【しか】る。
我 客を厭【いと】わず,語言に困【くる】しめり。
出納せずして,以って其の源を堙【ふさ】がんと欲す。
空堂 幽幽とし,秸【かつ】有りて莞有る。


門以兩板,叢書於間。
戸は二枚の板であるが、なかに書物が多く集まって、生活に関ることはない。
窅窅深塹,其墉甚完。
それは私の世界には底も知れぬ深い堀をめぐらし、しごく完全な垣を設けているようなものである。
彼寧可隳,此不可幹。
それから、あちらの備えは崩すことはできないし、こちらにも手がつけられないことだろう。(悪口に対する防御は完全なのだ)
從者語我,嗟子誠難。
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
子雖雲爾,其口益蕃。
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
我為子謀,有萬其全。
つづいて「それに、あなた様はそう言うけれど、人の口はますますうるさくなるものです。」
そして、「我々があなたのために考えてあげても、万全の策というものはありません。」
門は兩板を以てし,書を間に於て叢む。
窅窅【ようよう】たる深塹【しんざん】,其の墉【よう】甚だ完【まっと】うし。
彼【かしこ】は寧【いずく】んぞ隳【おと】す可けん,此は幹す可からず。
從者 我に語る,嗟 子誠に難し。
子は爾【しか】雲【い】うと雖も,其の口 益【ますます】蕃【しげ】し。
我 子が為に謀るに,萬も其れ全きこと有らんや。

凡今之人,急名與官。
子不引去,與為波瀾。
雖不開口,雖不開關。
變化咀嚼,有鬼有神。
今去不勇,其如後艱。
我謝再拜,汝無複雲。
往追不及,來不有年。
おおむね今の人は、名誉・名声と官位とに敏感なものです。
あなたが今の地位から身を引いて去らないかぎり、妬みによる問題を作りだすでしょう。
あなたが口を開くわけではないと云えども、門戸、口火をきらずとも、
変化が起ったり、噛みくだかれたりするのは、靈がおり、神がいると思うほどに測りがたいものです。
いま勇気を奮って去らなければ、あとでむずかしい問題が起こるのを防ぎようはないのです」
私は従者に礼を言って、再拝しながら、「おまえはもうそれ以上は言ってくれるな。
過去のことはもう追いつかないし、将来につながることは、この年内に決着をつけるから」と告げたのだ。
凡【おおよ】そ今の人,名と官とに急なり。
子 引きて去らずんば,與【ため】に波瀾【はらん】を為さん。
口を開かずと雖も,關【かん】を開かずと雖も。
變化 咀嚼【そしゃく】し,鬼有りて神有り。
今去って勇ならずんば,其れ後の艱を如【いか】んせん。
我謝して再拜す,汝 複た雲【い】うことなかれ。
往は追うも及ばず,來は有年らじと。


現代語訳と訳註
(本文)

凡今之人,急名與官。子不引去,與為波瀾。
雖不開口,雖不開關。變化咀嚼,有鬼有神。
今去不勇,其如後艱。我謝再拜,汝無複雲。
往追不及,來不有年。


(下し文)
凡【おおよ】そ今の人,名と官とに急なり。
子 引きて去らずんば,與【ため】に波瀾【はらん】を為さん。
口を開かずと雖も,關【かん】を開かずと雖も。
變化 咀嚼【そしゃく】し,鬼有りて神有り。
今去って勇ならずんば,其れ後の艱を如【いか】んせん。
我謝して再拜す,汝 複た雲【い】うことなかれ。
往は追うも及ばず,來は有年らじと。


(現代語訳)
おおむね今の人は、名誉・名声と官位とに敏感なものです。
あなたが今の地位から身を引いて去らないかぎり、妬みによる問題を作りだすでしょう。
あなたが口を開くわけではないと云えども、門戸、口火をきらずとも、
変化が起ったり、噛みくだかれたりするのは、靈がおり、神がいると思うほどに測りがたいものです。
いま勇気を奮って去らなければ、あとでむずかしい問題が起こるのを防ぎようはないのです」
私は従者に礼を言って、再拝しながら、「おまえはもうそれ以上は言ってくれるな。
過去のことはもう追いつかないし、将来につながることは、この年内に決着をつけるから」と告げたのだ。


(訳注)
凡今之人,急名與官。
おおむね今の人は、名誉・名声と官位とに敏感なものです。


子不引去,與為波瀾。
あなたが今の地位から身を引いて去らないかぎり、妬みによる問題を作りだすでしょう。


雖不開口,雖不開關。
あなたが口を開くわけではないと云えども、門戸、口火をきらずとも、


變化咀嚼,有鬼有神。
変化が起ったり、噛みくだかれたりするのは、靈がおり、神がいると思うほどに測りがたいものです。


今去不勇,其如後艱。
いま勇気を奮って去らなければ、あとでむずかしい問題が起こるのを防ぎようはないのです」


我謝再拜,汝無複雲。
私は従者に礼を言って、再拝しながら、「おまえはもうそれ以上は言ってくれるな。


往追不及,來不有年。
過去のことはもう追いつかないし、将来につながることは、この年内に決着をつけるから」と告げたのだ。


剥啄行 韓退之(韓愈)詩<82-#2>Ⅱ中唐詩468 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1483

      
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剥啄行 韓退之(韓愈)詩<82-#2>Ⅱ中唐詩468 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1483


剝啄行
剝剝啄啄,有客至門。
こつこつ、とんとん、誰か客が来て戸を叩く。
我不出應,客去而嗔。
私はそれに門に出ないで応じないのである、すると客はぷんぷんしながら帰ってしまう。
從者語我,子胡為然。
すると従者が私に語りかけてくる。「あなたはどうしてそんなことをするのですか」と。
我不厭客,困於語言。
「私はその客がいやなのではない、(私が注目されてきて)何かと噂をたてられて、それでひどい目にあっているのだ。」
欲不出納,以堙其源。
そして、「だから客の出入りを避け、その源を断ちたいと思っているのだ。」
空堂幽幽,有秸有莞。
「奥座敷はひっそりと薄暗くして空けているし、私は座る藁の敷物があるし、客用のイ草によるむしろまで備えている。」
剝剝【はくはく】啄啄【たくたく】,客有りて門に至る。
我出でて應えず,客去りて嗔【いか】る。
從者 我に語る,子 胡為【なんすれ】ぞ然【しか】る。
我 客を厭【いと】わず,語言に困【くる】しめり。
出納せずして,以って其の源を堙【ふさ】がんと欲す。
空堂 幽幽とし,秸【かつ】有りて莞有る。


門以兩板,叢書於間。
戸は二枚の板であるが、なかに書物が多く集まって、生活に関ることはない。
窅窅深塹,其墉甚完。
それは私の世界には底も知れぬ深い堀をめぐらし、しごく完全な垣を設けているようなものである。
彼寧可隳,此不可幹。
それから、あちらの備えは崩すことはできないし、こちらにも手がつけられないことだろう。(悪口に対する防御は完全なのだ)
從者語我,嗟子誠難。
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
子雖雲爾,其口益蕃。
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
我為子謀,有萬其全。
つづいて「それに、あなた様はそう言うけれど、人の口はますますうるさくなるものです。」
そして、「我々があなたのために考えてあげても、万全の策というものはありません。」

門は兩板を以てし,書を間に於て叢む。
窅窅【ようよう】たる深塹【しんざん】,其の墉【よう】甚だ完【まっと】うし。
彼【かしこ】は寧【いずく】んぞ隳【おと】す可けん,此は幹す可からず。
從者 我に語る,嗟 子誠に難し。
子は爾【しか】雲【い】うと雖も,其の口 益【ますます】蕃【しげ】し。
我 子が為に謀るに,萬も其れ全きこと有らんや。

凡今之人,急名與官。子不引去,與為波瀾。
雖不開口,雖不開關。變化咀嚼,有鬼有神。
今去不勇,其如後艱。我謝再拜,汝無複雲。
往追不及,來不有年。


現代語訳と訳註
(本文)

門以兩板,叢書於間。窅窅深塹,其墉甚完。
彼寧可隳,此不可幹。從者語我,嗟子誠難。
子雖雲爾,其口益蕃。我為子謀,有萬其全。


(下し文)
門は兩板を以てし,書を間に於て叢む。
窅窅【ようよう】たる深塹【しんざん】,其の墉【よう】甚だ完【まっと】うし。
彼【かしこ】は寧【いずく】んぞ隳【おと】す可けん,此は幹す可からず。
從者 我に語る,嗟 子誠に難し。
子は爾【しか】雲【い】うと雖も,其の口 益【ますます】蕃【しげ】し。
我 子が為に謀るに,萬も其れ全きこと有らんや。


(現代語訳)
戸は二枚の板であるが、なかに書物が多く集まって、生活に関ることはない。
それは私の世界には底も知れぬ深い堀をめぐらし、しごく完全な垣を設けているようなものである。
それから、あちらの備えは崩すことはできないし、こちらにも手がつけられないことだろう。(悪口に対する防御は完全なのだ)
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」
つづいて「それに、あなた様はそう言うけれど、人の口はますますうるさくなるものです。」
そして、「我々があなたのために考えてあげても、万全の策というものはありません。」


(訳注)
門以兩板,叢書於間。

戸は二枚の板であるが、なかに書物が多く集まって、生活に関ることはない。


窅窅深塹,其墉甚完。
それは私の世界には底も知れぬ深い堀をめぐらし、しごく完全な垣を設けているようなものである。


彼寧可隳,此不可幹。
それから、あちらの備えは崩すことはできないし、こちらにも手がつけられないことだろう。(悪口に対する防御は完全なのだ)


從者語我,嗟子誠難。
すると従者は私に向かって言った「ああ、そんなことで悪口が防げると思っておいでのようですが、ほんとうはそれではむずかしいのですよ。」


子雖雲爾,其口益蕃。
つづいて「それに、あなた様はそう言うけれど、人の口はますますうるさくなるものです。」


我為子謀,有萬其全。
そして、「我々があなたのために考えてあげても、万全の策というものはありません。」

剥啄行 韓退之(韓愈)詩<82-#1>Ⅱ中唐詩467 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1480

      
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剝啄行
剝剝啄啄,有客至門。
こつこつ、とんとん、誰か客が来て戸を叩く。
我不出應,客去而嗔。
私はそれに門に出ないで応じないのである、すると客はぷんぷんしながら帰ってしまう。
從者語我,子胡為然。
すると従者が私に語りかけてくる。「あなたはどうしてそんなことをするのですか」と。
我不厭客,困於語言。
「私はその客がいやなのではない、(私が注目されてきて)何かと噂をたてられて、それでひどい目にあっているのだ。」
欲不出納,以堙其源。
そして、「だから客の出入りを避け、その源を断ちたいと思っているのだ。」
空堂幽幽,有秸有莞。
「奥座敷はひっそりと薄暗くして空けているし、私は座る藁の敷物があるし、客用のイ草によるむしろまで備えている。」
剝剝【はくはく】啄啄【たくたく】,客有りて門に至る。
我出でて應えず,客去りて嗔【いか】る。
從者 我に語る,子 胡為【なんすれ】ぞ然【しか】る。
我 客を厭【いと】わず,語言に困【くる】しめり。
出納せずして,以って其の源を堙【ふさ】がんと欲す。
空堂 幽幽とし,秸【かつ】有りて莞有る。

門以兩板,叢書於間。窅窅深塹,其墉甚完。
彼寧可隳,此不可幹。從者語我,嗟子誠難。
子雖雲爾,其口益蕃。我為子謀,有萬其全。


凡今之人,急名與官。子不引去,與為波瀾。
雖不開口,雖不開關。變化咀嚼,有鬼有神。
今去不勇,其如後艱。我謝再拜,汝無複雲。
往追不及,來不有年。


現代語訳と訳註
(本文)
剝啄行
剝剝啄啄,有客至門。我不出應,客去而嗔。
從者語我,子胡為然。我不厭客,困於語言。
欲不出納,以堙其源。空堂幽幽,有秸有莞。


(下し文) 剝啄行
剝剝【はくはく】啄啄【たくたく】,客有りて門に至る。
我出でて應えず,客去りて嗔【いか】る。
從者 我に語る,子 胡為【なんすれ】ぞ然【しか】る。
我 客を厭【いと】わず,語言に困【くる】しめり。
出納せずして,以って其の源を堙【ふさ】がんと欲す。
空堂 幽幽とし,秸【かつ】有りて莞有る。


(現代語訳)
こつこつ、とんとん、誰か客が来て戸を叩く。
私はそれに門に出ないで応じないのである、すると客はぷんぷんしながら帰ってしまう。
すると従者が私に語りかけてくる。「あなたはどうしてそんなことをするのですか」と。
「私はその客がいやなのではない、(私が注目されてきて)何かと噂をたてられて、それでひどい目にあっているのだ。」
そして、「だから客の出入りを避け、その源を断ちたいと思っているのだ。」
「奥座敷はひっそりと薄暗くして空けているし、私は座る藁の敷物があるし、客用のイ草によるむしろまで備えている。」


(訳注)
剝啄行

此の詩は架空の対話である。「従者」という架空人物と、韓愈とのものがたりである。都へもどってまた出世街道を歩きはじめた彼を、中傷が再び取り巻きだした。また儒者の韓愈は、とかくじ禍を招きやすいところがあったように見える。韓門の若い連中が相手ならそれでもすんだであろうが、官僚社会のなかでは容赦してもらえない。
韓愈はついに、地位を去ることまで考えたことを楽府にしたものである。
807年元和二年長安の作。この後、洛陽勤務となる。


剝剝啄啄,有客至門。
こつこつ、とんとん、誰か客が来て戸を叩く。
剝剝 【はがす】. 表面に付着している物やおおっている物を、めくりとる。はぎとる。  【はぐ】. おおっているものを、めくるようにして取り除く。身につけているものを取り去る。脱がす。 奪い取る。取り上げる。
・啄啄 鳥が物をついばむ音。戸をたたく音


我不出應,客去而嗔。
私はそれに門に出ないで応じないのである、すると客はぷんぷんしながら帰ってしまう。
出應 家門に出て対応しない。客は中にいるとわかっていてもどうしようもない。
 1 怒ること。いきどおること。2 仏語。三毒・十悪の一。自分の心に逆らうものを怒り恨むこと。


從者語我,子胡為然。
すると従者が私に語りかけてくる。「あなたはどうしてそんなことをするのですか」と。


我不厭客,困於語言。
「私はその客がいやなのではない、(私が注目されてきて)何かと噂をたてられて、それでひどい目にあっているのだ。」


欲不出納,以堙其源。
そして、「だから客の出入りを避け、その源を断ちたいと思っているのだ。」


空堂幽幽,有秸有莞。
「奥座敷はひっそりと薄暗くして空けているし、私は座る藁の敷物があるし、客用のイ草によるむしろまで備えている。」
 脱穀した後の作物の茎秸秆同前.麦秸麦わら.豆秸豆がら.
 1 植物の名。フトイ。また、イで織ったむしろ。「莞席」 2 にこやかに笑うさま。

三星行 韓退之(韓愈)詩<81>Ⅱ中唐詩456 紀頌之の漢詩ブログ1447

      
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三星行 韓退之(韓愈)詩<81>Ⅱ中唐詩456 紀頌之の漢詩ブログ1447


自分の生まれた日の星回りを詠ったもの。

三星行
我生之辰,月宿南斗。
私が生まれた時の星回りについて言う。その日の月は満月で南斗の方角にあった。
牛奮其角,箕張其口。
淘汰する気の牽牛星はその角を振り回し、風の神である箕星はその噴出す口をひろげてはいなかった。
牛不見服箱,鬥不挹酒漿。
その牛は牛であっても車を引いていくわけではないし、柄杓といっても出来立てのうまい酒を酌めるわけではない。
箕獨有神靈,無時停簸揚。
箕星は独り神靈の力が備わっているというし、篩を動かし続けて止めることはないという。
無善名已聞,無惡聲已讙。
自分にとって良いことがないといってもその名声はいつの間にか知れ渡っており、悪いことがないといってもその評価については批判されるというものである。
名聲相乘除,得少失有餘。
名声はものすごく良いこともあれば悪い時もある、プラスマイナスして少しでも余っていればよいではないか。
三星各在天,什伍東西陳。
北斗、南斗、月がそれぞれ天に南北にならび、星座は部隊,連隊が並ぶように東から西へと並んでいる。
嗟汝牛與鬥,汝獨不能神。

ああ、牽牛星と北斗、南斗の星たちよ、どの星の一つでも私に力を貸してはくれまいか。


現代語訳と訳註
(本文)
三星行
我生之辰,月宿南斗。牛奮其角,箕張其口。
牛不見服箱,鬥不挹酒漿。箕獨有神靈,無時停簸揚。
無善名已聞,無惡聲已讙。名聲相乘除,得少失有餘。
三星各在天,什伍東西陳。嗟汝牛與鬥,汝獨不能神。


(下し文) 三星行
我か生れし この辰【ほしまわり】、月 南斗に宿かり、
牛はその角を奮【ふ】り、箕【みぼし】はその口を張【ひろ】げていた。
牛は箱【くるま】を服【ひ】くを見ず、斗は酒漿【しゅしょう】を挹【く】まず。
箕【みぼし】のみ独り神霊有り、簸【ふる】い揚【うごか】すを停むる時無し。
善きこと無きも 名は己に聞え、悪きことする無きに 声は己に讙【そし】らる。
名声 相乗【そうじょう】除して、得失 少しく余り有り。
三星 各【おのお】の天に在りて、什伍 東西に陳【つら】なるに。
嗟 汝 牛と斗と、汝 独り神【いみじ】き能わず。


(現代語訳)
私が生まれた時の星回りについて言う。その日の月は満月で南斗の方角にあった。
淘汰する気の牽牛星はその角を振り回し、風の神である箕星はその噴出す口をひろげてはいなかった。
その牛は牛であっても車を引いていくわけではないし、柄杓といっても出来立てのうまい酒を酌めるわけではない。
箕星は独り神靈の力が備わっているというし、篩を動かし続けて止めることはないという。
自分にとって良いことがないといってもその名声はいつの間にか知れ渡っており、悪いことがないといってもその評価については批判されるというものである。
名声はものすごく良いこともあれば悪い時もある、プラスマイナスして少しでも余っていればよいではないか。
北斗、南斗、月がそれぞれ天に南北にならび、星座は部隊,連隊が並ぶように東から西へと並んでいる。
ああ、牽牛星と北斗、南斗の星たちよ、どの星の一つでも私に力を貸してはくれまいか。


(訳注)
三星行

自分の生まれた日の星回りを詠ったもの。・中国にも、オリオン座(参)とさそり座(商)が天球上でほぼ反対側に位置して同時には上らないことから、不仲や疎遠な人間関係を指して「参商の如し」という言葉がある。二十八宿を7宿ごとにまとめた四象があり、東方青龍・北方玄武・西方白虎・南方朱雀に四分された。


我生之辰,月宿南斗。
私が生まれた時の星回りについて言う。その日の月は満月で南斗の方角にあった。
月宿南斗 北斗と南斗と方位を示す。どちらも北斗七星、南斗六星と星座をいう。南斗は亀で、月は水の別称で亀に水をやる時であり、満月が南の位置であったことをいう。


牛奮其角,箕張其口。
淘汰する気の牽牛星はその角を振り回し、風の神である箕星はその噴出す口をひろげてはいなかった。
 牽牛星 淘汰する気-車騎星・. 算命学思想-淘汰する気を持つ星 車騎星、牽牛星は、攻撃の星で、その本質は、淘汰することに役目がある。 必要な気と、不必要な気を淘汰する気が、車騎星、牽牛星。
 箕星二十八宿の一つで東方青龍七宿の第七宿。蒼龍の糞。米を篩いにかけて糠を取り除く農具。また風伯(風の神)を指す。


牛不見服箱,鬥不挹酒漿。
その牛は牛であっても車を引いていくわけではないし、柄杓といっても出来立てのうまい酒を酌めるわけではない。


箕獨有神靈,無時停簸揚。
箕星は独り神靈の力が備わっているというし、篩を動かし続けて止めることはないという。


無善名已聞,無惡聲已讙。
自分にとって良いことがないといってもその名声はいつの間にか知れ渡っており、悪いことがないといってもその評価については批判されるというものである。


名聲相乘除,得少失有餘。
名声はものすごく良いこともあれば悪い時もある、プラスマイナスして少しでも余っていればよいではないか。


三星各在天,什伍東西陳。
北斗、南斗、月がそれぞれ天に南北にならび、星座は部隊,連隊が並ぶように東から西へと並んでいる。


嗟汝牛與鬥,汝獨不能神。
ああ、牽牛星と北斗、南斗の星たちよ、どの星の一つでも私に力を貸してはくれまいか。



三星行
我生之辰,月宿南斗。牛奮其角,箕張其口。
牛不見服箱,鬥不挹酒漿。箕獨有神靈,無時停簸揚。
無善名已聞,無惡聲已讙。名聲相乘除,得少失有餘。
三星各在天,什伍東西陳。嗟汝牛與鬥,汝獨不能神。

我か生れし辰まはりは、月 南斗に宿かり
(牽)牛はその角を奮り、箕はしはその口を張げぬ。
牛といヘども箱を服くを見ず、斗といヘビも清栄を把まず。
箕のみ独り神霊きちから有り、簸ひ揚すを停むる時無し。
(われに)善きこと無きも 名は己に聞え、悪きことする無きに 声は己に謹らる。
名声 相乗除して、得失 少しく余り有り。
三星各おの天に在りて、什伍 東西に陳なるに。
嗟 汝 牛と斗と、汝 独り神き能はず。

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<18最終回>


皇帝大孝,慈祥悌友。
皇帝はひろく親孝行を大事にし、いつくしみぶかく友愛をあつくする。
怡怡愉愉,奉太皇后。
山ほどのたのしげなさまは皇太后、皇后様に奉る。
浹於族親,濡及九有。
徳のゆきわたる施政は親族にたたるまであまねくおこなわれ、徳の恩沢は九つ国、通津浦々におよんだ。
天錫皇帝,與天齊壽。
天は憲宗皇帝を賜れ、天子は福寿を等しく与えられた。
登茲太平,無怠永久。
このような太平の世を与えられる天子になられた、この努力は永久に怠ることはないであろう。
億載萬年,為父為母。
憶万年末代に至るまで天子は国民の父と為し、母と為す。
博士臣愈,職是訓詁。
権知国子博士をいただいている臣下の韓愈としては、この職を全うし訓詁するのである。
作為歌詩,以配吉甫。
このように詩として詠いあげ、周の宣王の賢臣尹吉甫の技を学んでいくことになる。


現代語訳と訳註
(本文)

皇帝大孝,慈祥悌友。怡怡愉愉,奉太皇后。
浹於族親,濡及九有。天錫皇帝,與天齊壽。
登茲太平,無怠永久。億載萬年,為父為母。
博士臣愈,職是訓詁。作為歌詩,以配吉甫。


(下し文)
皇帝は大孝にして,悌友【ていゆう】に慈祥【じしょう】し。
怡怡【いい】愉愉【ゆゆ】として,太【たい】皇后【こうごう】に奉ず。
族親【ぞくしん】に浹【あまね】くして,濡 九有【きゅうゆう】に及ぶ。
天 皇帝に錫【たま】い,天と壽とを齊【ひと】しうする。
茲【こ】の太平に登って,永久に怠【おこた】ること無けむ。
億載 萬年,父と為り母と為る。
博士 臣愈【しんゆ】,是の訓詁【くんわ】を職とする。
歌詩を作為し,以って吉甫【きっぽ】に配す。


(現代語訳)
皇帝はひろく親孝行を大事にし、いつくしみぶかく友愛をあつくする。
山ほどのたのしげなさまは皇太后、皇后様に奉る。
徳のゆきわたる施政は親族にたたるまであまねくおこなわれ、徳の恩沢は九つ国、通津浦々におよんだ。
天は憲宗皇帝を賜れ、天子は福寿を等しく与えられた。
このような太平の世を与えられる天子になられた、この努力は永久に怠ることはないであろう。
憶万年末代に至るまで天子は国民の父と為し、母と為す。
権知国子博士をいただいている臣下の韓愈としては、この職を全うし訓詁するのである。
このように詩として詠いあげ、周の宣王の賢臣尹吉甫の技を学んでいくことになる。


(訳注)#18・16
皇帝大孝,慈祥悌友。
皇帝はひろく親孝行を大事にし、いつくしみぶかく友愛をあつくする。
慈祥 いつくしみぶかい。
悌友 友愛があつい。


怡怡愉愉,奉太皇后。
山ほどのたのしげなさまは皇太后、皇后様に奉る。
怡怡愉愉 たのしげなさま。


浹於族親,濡及九有。
徳のゆきわたる施政は親族にたたるまであまねくおこなわれ、徳の恩沢は九つ国、通津浦々におよんだ。
・浹 徳のゆきわたること。
・濡 恩沢。
・九有 九州、すなわち中国全土。


天錫皇帝,與天齊壽。
天は憲宗皇帝を賜れ、天子は福寿を等しく与えられた。


登茲太平,無怠永久。
このような太平の世を与えられる天子になられた、この努力は永久に怠ることはないであろう。
登茲太平 この太平の世に天子の位にのぼられて、というほどの意であろう。二年つづけて五穀が豊穣であることを平、三年つづくときを太平という。もっとも、ここでいう太平は、それにはかかわらない。


億載萬年,為父為母。
憶万年末代に至るまで天子は国民の父と為し、母と為す。
 

博士臣愈,職是訓詁。
権知国子博士をいただいている臣下の韓愈としては、この職を全うし訓詁するのである。
訓詁 字義を解きあかすこと。転じて、歌謡すること。


作為歌詩,以配吉甫。
このように詩として詠いあげ、周の宣王の賢臣尹吉甫の技を学んでいくことになる。
 ならぶ。
吉甫 周の宣王の賢臣尹吉甫

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元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#17>Ⅱ中唐詩464 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1471


#17・15
無召水旱,耗於雀鼠。
天災地変も政治家の責任なので大水も日照り続きもないようにする、作物をつつくスズメや蔵に出る鼠などもいなくなるようにする。
億載萬年,有富無窶。
憶万年末代に至るまで富める者を増加させていき、貧乏なものをなくしていく。
皇帝正直,別白善否。
皇帝は正しく実直でなければいけないし、良いことも悪いことも白日の下に分かたれている。
擅命而狂,既翦既去。
命令・規律に従わないものは狂ったものとされ、そうしたものは罪とし追放されさらに斬殺される。
盡逐群奸,靡有遺侶。
数多いる利己的な悪い家臣をことごとく追放し、のこっている連中は宦官に至るまで残さない。
天錫皇帝,厖臣碩輔。
天は憲宗皇帝を賜れ、すぐれた臣下と、徳ある輔佐役を与え賜いた。
博問遐觀,以置左右。
天下のことにつき、くまなくたずね、遠くまで観察するために左右にそういう役割の宰相をおかれた。
億載萬年,無敢餘侮。

憶万年末代に至るまでわがきみを侮ろうとするよぅなものは存在しない。
水旱【すいかん】を召き,於雀鼠【じゃくそ】に耗ゆる無けむ。
億載 萬年,富める有りて窶【まずしき】無けむ。
皇帝 正直にして,善否を別白す。
命を擅【ほしいまま】にして狂せるは,既に翦り 既に去り。
盡【ことごと】く 群奸【ぐんかん】を逐い,遺侶【いりょ】有ること靡【な】し。
天 皇帝に錫【たま】い,厖臣【ぼうしん】碩輔【せきほ】あり。
博【ひろ】く問い 遐【とお】く觀,以って左右に置く。
億載 萬年,敢て餘【われ】を侮【あなど】るもの無けむ。


現代語訳と訳註
(本文)
#17・15
無召水旱,耗於雀鼠。億載萬年,有富無窶。
皇帝正直,別白善否。擅命而狂,既翦既去。
盡逐群奸,靡有遺侶。天錫皇帝,厖臣碩輔。
博問遐觀,以置左右。億載萬年,無敢餘侮。


(下し文)
水旱【すいかん】を召き,於雀鼠【じゃくそ】に耗ゆる無けむ。
億載 萬年,富める有りて窶【まずしき】無けむ。
皇帝 正直にして,善否を別白す。
命を擅【ほしいまま】にして狂せるは,既に翦り 既に去り。
盡【ことごと】く 群奸【ぐんかん】を逐い,遺侶【いりょ】有ること靡【な】し。
天 皇帝に錫【たま】い,厖臣【ぼうしん】碩輔【せきほ】あり。
博【ひろ】く問い 遐【とお】く觀,以って左右に置く。
億載 萬年,敢て餘【われ】を侮【あなど】るもの無けむ。


(現代語訳)
天災地変も政治家の責任なので大水も日照り続きもないようにする、作物をつつくスズメや蔵に出る鼠などもいなくなるようにする。
憶万年末代に至るまで富める者を増加させていき、貧乏なものをなくしていく。
皇帝は正しく実直でなければいけないし、良いことも悪いことも白日の下に分かたれている。
命令・規律に従わないものは狂ったものとされ、そうしたものは罪とし追放されさらに斬殺される。
数多いる利己的な悪い家臣をことごとく追放し、のこっている連中は宦官に至るまで残さない。
天は憲宗皇帝を賜れ、すぐれた臣下と、徳ある輔佐役を与え賜いた。
天下のことにつき、くまなくたずね、遠くまで観察するために左右にそういう役割の宰相をおかれた。
憶万年末代に至るまでわがきみを侮ろうとするよぅなものは存在しない。


(訳注) #17・15
無召水旱,耗於雀鼠。

天災地変も政治家の責任なので大水も日照り続きもないようにする、作物をつつくスズメや蔵に出る鼠などもいなくなるようにする。
無召水草 大水やひでりがやって来ない。召は招と同義。天災地変も政治家の責任だと、中国では考えられていた。


億載萬年,有富無窶。
憶万年末代に至るまで富める者を増加させていき、貧乏なものをなくしていく。
・窶 貧乏。


皇帝正直,別白善否。
皇帝は正しく実直でなければいけないし、良いことも悪いことも白日の下に分かたれている。
別白 判別する。


擅命而狂,既翦既去。
命令・規律に従わないものは狂ったものとされ、そうしたものは罪とし追放されさらに斬殺される。
檀命 命令をほしいままにして規律に従わない。


盡逐群奸,靡有遺侶。
数多いる利己的な悪い家臣をことごとく追放し、のこっている連中は宦官に至るまで残さない。
遺侶 のこっている連中。


天錫皇帝,厖臣碩輔。
天は憲宗皇帝を賜れ、すぐれた臣下と、徳ある輔佐役を与え賜いた。
厖臣碩輔 すぐれた臣下と、徳ある輔佐役。


博問遐觀,以置左右。
天下のことにつき、くまなくたずね、遠くまで観察するために左右にそういう役割の宰相をおかれた。
博問遐觀 天下のことにつき、くまなくたずね、とおくまで観察するために。
 

億載萬年,無敢餘侮。
憶万年末代に至るまでわがきみを侮ろうとするよぅなものは存在しない。
・無敢余侮 わがきみを侮ろうとするよぅなものは存在しない。『詩経豳風、鴟鴞【しきょう】』「今女下民、或敢侮予。」(今、汝 下民、敢て予を侮ること或らむや)の句が見える。ここでは、それに、少しことなった意味を与えて使ったのである。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#16>Ⅱ中唐詩463 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1468

     
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元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#16>Ⅱ中唐詩463 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1468


#16・14
生知法式,動得理所。
自然界の法則を生まれつき知っている。行動はすじみちの通ったところをうることができる。
天錫皇帝,為天下主。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、民の父母となり、天下の主となる。
並包畜養,無異細钜。
それはかばってもらうものであり、やしなってもらうものである。微細なものに対しても巨大なものに対しても、同様に心づかいをされ、差別待遇はされない。
億載萬年,敢有違者?
憶万年末代に至るまで違うものはありはいないのである。
皇帝儉勤,盥濯陶瓦。
皇帝はつつましく勤められ、陶製の粗末な皿に水を入れて両手を洗われる。
斥遣浮華,好此綈紵。
ぜいたくを徹底してしりぞけられ、このように、あらぎぬと粗末な麻で織ったぬのを好んで身に付けられる。
敕戒四方,侈則有咎。
この質素倹約は国の四方へ勅命としてせんせられ、贅沢をした場合罪として咎められることになった。
天錫皇帝,多麥與黍。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、五穀豊穣を与え賜えるのである。


現代語訳と訳註
(本文) #16・14
生知法式,動得理所。天錫皇帝,為天下主。
並包畜養,無異細钜。億載萬年,敢有違者?
皇帝儉勤,盥濯陶瓦。斥遣浮華,好此綈紵。
敕戒四方,侈則有咎。天錫皇帝,多麥與黍。


(下し文) #16・14
生れながらにして法式を知り,動いて理所を得たり。
天 皇帝に錫いて,天下の主と為らしむ。
並包【へいほう】畜養【ちくよう】し,細钜【さいきょ】を異にする無し。
億載【おくさい】萬年【ばんねん】,敢【あえ】て違う者有らんや?
皇帝は儉勤【けんきん】にして,盥濯【かんたく】するに陶瓦【とうが】もてす。
浮華【ふか】を斥遣【せきけん】し,此の綈紵【ていちょ】を好む。
四方に敕戒【ちょうかい】し,侈【おご】らば則【すなわ】ち咎【とが】むる有らむ。
天 皇帝に錫いて,麥と黍とを多からしむ。


(現代語訳)
自然界の法則を生まれつき知っている。行動はすじみちの通ったところをうることができる。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、民の父母となり、天下の主となる。
それはかばってもらうものであり、やしなってもらうものである。微細なものに対しても巨大なものに対しても、同様に心づかいをされ、差別待遇はされない。
憶万年末代に至るまで違うものはありはいないのである。
黄帝はつつましく勤められ、陶製の粗末な皿に水を入れて両手を洗われる。
ぜいたくを徹底してしりぞけられ、このように、あらぎぬと粗末な麻で織ったぬのを好んで身に付けられる。
この質素倹約は国の四方へ勅命としてせんせられ、贅沢をした場合罪として咎められることになった。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、五穀豊穣を与え賜えるのである。


(訳注) #16・14
生知法式,動得理所。

自然界の法則を生まれつき知っている。行動はすじみちの通ったところをうることができる。
生知 生まれつき知っている。『論語』季氏篇に「生れながらにして知る者は上也」という有名な句がある。ここはもちろん、その語を用いているのである。
法式 おきて。『荀子』堯問篇に「以て天下の法式表儀と為すに足る」の語がみえ『管子』の形勢解に「人主は其の度量を立つ。其の分職を陳し、其の法式を明にし、以て其の民に社む」の語がみえる。
 行動。
理所 すじみちの通ったところ。


天錫皇帝,為天下主。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、民の父母となり、天下の主となる。
・為天下主 揚雄の「劇秦美新」に「民の父母となり、天下の主となる。」みえる。


並包畜養,無異細钜。
それはかばってもらうものであり、やしなってもらうものである。微細なものに対しても巨大なものに対しても、同様に心づかいをされ、差別待遇はされない。
幷包 かばう。井は幷の俗字。
・畜養 やしなう。
無異細钜 微細なものに対しても巨大なものに対しても、同様に心づかいをされ、差別待遇はされない。


億載萬年,敢有違者?
憶万年末代に至るまで違うものはありはいないのである。


皇帝儉勤,盥濯陶瓦。
皇帝はつつましく勤められ、陶製の粗末な皿に水を入れて両手を洗われる。
盟濯 すすぎあらう。どちらも手を洗うという意味の字だが、盟は皿に水を入れて両手を洗うのであり、濯は水をかけて手を洗う意。
陶瓦 陶製の粗末なもの。


斥遣浮華,好此綈紵。
ぜいたくを徹底してしりぞけられ、このように、あらぎぬと粗末な麻で織ったぬのを好んで身に付けられる。
斥通 しりぞける。
浮華 ぜいたく。虚栄。
綿貯 あらぎぬと粗末な麻で織ったぬの。


敕戒四方,侈則有咎。
この質素倹約は国の四方へ勅命としてせんせられ、贅沢をした場合罪として咎められることになった。


天錫皇帝,多麥與黍。
天は憲宗皇帝を与え賜いて、五穀豊穣を与え賜えるのである。
多麦与黍 麦と黍とで五穀を代表させている。つまり農産物が豊富であったというほどの意で五穀豊穣というところか。。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#15>Ⅱ中唐詩462 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1465

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元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#15>Ⅱ中唐詩462 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1465


#15・13
乾清坤夷,境落褰舉。
天はどこまでも青く清く、地は平らかにつくられる。人里には神霊が降りてきて天国のようになっている。
帝車回來,日正當午。
天子のみくるまはそれぞれの所に廻りあるかれここに来られた、その日の今、正午なっている。
幸丹鳳門,大赦天下。
天子は丹鳳門からお出ましになられる、その日に大赦の令を天下に発せられた。
滌濯剗磢,磨滅瑕垢。
穢れたその身をけずりみがき、きれいに洗い清められるのであり、傷痕や垢を撫できれいにし癒し他のである。
續功臣嗣,拔賢任耇,
功臣に後継者のないものは後継をつくって、その家柄を顕彰する、優れた人抜粋し、老成した人をしかるべく任用する。
孩養無告,仁滂施厚。
告げるすべを知らぬ孤児たちをあやしつつそだてていき、人民たちのために篤く施される。
皇帝神聖,通達今古。
皇帝陛下は神聖であること古今東西に通達される。
聽聰視明,一似堯禹。
聞えてくるすべてのこと見えるものすべてのことすべて、古代の三皇五帝堯や禹にそっくりだ。

唐朝 大明宮2000

現代語訳と訳註
(本文)
#15・13
乾清坤夷,境落褰舉。帝車回來,日正當午。
幸丹鳳門,大赦天下。滌濯剗磢,磨滅瑕垢。
續功臣嗣,拔賢任耇,孩養無告,仁滂施厚。
皇帝神聖,通達今古。聽聰視明,一似堯禹。


(下し文)
乾 清く坤【こん】夷【たいらか】に,境落【きょうらく】褰舉【けんきょ】す。
帝車【ていしゃ】回【めぐ】り來り,日は正に午に當る。
丹鳳門【たんぼうもん】に幸【みゆき】し,天下に大赦す。
滌濯【できたく】剗磢【さんそう】し,瑕垢【かこう】を磨滅す。
功臣の嗣を續ぎ,賢を拔き耇【こう】に任ず,
無告を孩養【がいよう】し,仁 滂【あまね】く施【し】厚【あつ】し。
皇帝は神聖にして,今古に通達す。
聽【てい】は聰【そう】視は明にして,一に堯禹【ぎょう・う】に似たり。


(現代語訳)
天はどこまでも青く清く、地は平らかにつくられる。人里には神霊が降りてきて天国のようになっている。
天子のみくるまはそれぞれの所に廻りあるかれここに来られた、その日の今、正午なっている。
天子は丹鳳門からお出ましになられる、その日に大赦の令を天下に発せられた。
穢れたその身をけずりみがき、きれいに洗い清められるのであり、傷痕や垢を撫できれいにし癒し他のである。
功臣に後継者のないものは後継をつくって、その家柄を顕彰する、優れた人抜粋し、老成した人をしかるべく任用する。
告げるすべを知らぬ孤児たちをあやしつつそだてていき、人民たちのために篤く施される。
皇帝陛下は神聖であること古今東西に通達される。
聞えてくるすべてのこと見えるものすべてのことすべて、古代の三皇五帝堯や禹にそっくりだ。


(訳注)#15・13
乾清坤夷,境落褰舉。
天はどこまでも青く清く、地は平らかにつくられる。人里には神霊が降りてきて天国のようになっている。
乾清坤夷 天は清く地は平らかだ。
境落 人里。
褰舉 高くあがる。すなわち、天国のようになる。
 

帝車回來,日正當午。
天子のみくるまはそれぞれの所に廻りあるかれここに来られた、その日の今、正午なっている。


幸丹鳳門,大赦天下。
天子は丹鳳門からお出ましになられる、その日に大赦の令を天下に発せられた。
丹鳳門 大明官の正面の門。


滌濯剗磢,磨滅瑕垢。
穢れたその身をけずりみがき、きれいに洗い清められるのであり、傷痕や垢を撫できれいにし癒し他のである。
剗磢 けずりみがく。
瑕垢 きずやあか。


續功臣嗣,拔賢任耇,
功臣に後継者のないものは後継をつくって、その家柄を顕彰する、優れた人抜粋し、老成した人をしかるべく任用する。
続功臣嗣 功臣に後継者のないものは後継をつくってその家柄を顕彰する。
任耇 老成した人をしかるべく任用する。


孩養無告,仁滂施厚。
告げるすべを知らぬ孤児たちをあやしつつそだてていき、人民たちのために篤く施される。
孩養 あやしそだてる。
無告 告げるすべを知らぬ孤児たち。
仁滂 慈愛がくまもなくゆきわたる。
施厚 人民たちのために施され、篤厚にされる。
 

皇帝神聖,通達今古。
皇帝陛下は神聖であること古今東西に通達される。


聽聰視明,一似堯禹。
聞えてくるすべてのこと見えるものすべてのことすべて、古代の三皇五帝堯や禹にそっくりだ。
一似堯禹 すべて、古代の三皇五帝堯や禹にそっくりだ。

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14・12
群星從坐,錯落侈哆。
天の神にしたがった星々も祭壇に降下して、そして入り混じって立派な様子で居並んでいる。
日君月妃,煥赫婐姤。
日の神である天子、月の神である皇后。たおやかなるままにかがやきをはなっていらっしゃる。
瀆鬼濛鴻,嶽祗嶪峨。
黄河の河の神は広く大きな流域に及ぼしており、嵩山の山神は、国の中心にあって、たかくそびえておられるのである。
飫沃膻薌,產祥降嘏。
羊の脂と牛の脂と肉と穀物のお供えを肥沃に飽きる浦食べてもらって、この世に幸せをおろしていってもらいたいことを願うのである。
鳳凰應奏,舒翼自拊。
そうして、鳳凰は奏楽にあわせて異をひろげ、みずからははたきつつ舞う。
赤麟黃龍,逶陀結糾。
赤い麒麟がうっとりしていて、黄竜がとぐろを巻いている。
卿士庶人,黃童白叟。
諸侯、士太夫、それから庶民に至るまで、くちばしの黄色いこども、白髪の老人まですべてのものがあつまっている。
踴躍歡呀,失喜噎歐。

躍り、飛び上がって舞、そして喜び笑う、中にはよろこびすぎてむせび泣くものもいる。




現代語訳と訳註
(本文) #14・12
群星從坐,錯落侈哆。日君月妃,煥赫婐姤。
瀆鬼濛鴻,嶽祗嶪峨。飫沃膻薌,產祥降嘏。
鳳凰應奏,舒翼自拊。赤麟黃龍,逶陀結糾。
卿士庶人,黃童白叟。踴躍歡呀,失喜噎歐。


(下し文) 14・12
群星 從い坐し,錯落【さくらく】侈哆【しし】たり。
日君【じゅつくん】月妃【げつひ】,煥赫【かんかく】婐姤【かごう】たり。
瀆鬼【とくき】は濛鴻【もうこう】たり,嶽祗【がくぎ】は嶪峨【ぎょうが】たり。
膻薌【せんきょう】に飫沃【よよく】し,祥を產し嘏【か】を降【くだ】す。
鳳凰【ほうおう】奏に應じ,翼を舒【の】べ自ら拊【う】つ。
赤麟【せきりん】黃龍【こうりょう】,逶陀【いだ】結糾【けっきょう】たり。
卿士【きょうし】庶人【しょじん】,黃童【こうどう】白叟【はくそう】。
踴躍【ゆうやく】歡呀【かんが】し,失喜【しっき】して噎歐【えつおう】す。


(現代語訳)
天の神にしたがった星々も祭壇に降下して、そして入り混じって立派な様子で居並んでいる。
日の神である天子、月の神である皇后。たおやかなるままにかがやきをはなっていらっしゃる。
黄河の河の神は広く大きな流域に及ぼしており、嵩山の山神は、国の中心にあって、たかくそびえておられるのである。
羊の脂と牛の脂と肉と穀物のお供えを肥沃に飽きる浦食べてもらって、この世に幸せをおろしていってもらいたいことを願うのである。
そうして、鳳凰は奏楽にあわせて異をひろげ、みずからははたきつつ舞う。
赤い麒麟がうっとりしていて、黄竜がとぐろを巻いている。
諸侯、士太夫、それから庶民に至るまで、くちばしの黄色いこども、白髪の老人まですべてのものがあつまっている。
躍り、飛び上がって舞、そして喜び笑う、中にはよろこびすぎてむせび泣くものもいる。


(訳注)#14・12
群星從坐,錯落侈哆。
天の神にしたがった星々も祭壇に降下して、そして入り混じって立派な様子で居並んでいる。
群星從坐 天の神にしたがった星々も祭壇に降下して居並ぶ。
錯落侈哆 入り混じって立派な様子。


日君月妃,煥赫婐姤。
日の神である天子、月の神である皇后。たおやかなるままにかがやきをはなっていらっしゃる。
日君月妃 日の神、月の神。両者を天子と皇后とにたぐえてある。
煥赫 かがやく。
婐姤 たおやかなさま。


瀆鬼濛鴻,嶽祗嶪峨。
黄河の河の神は広く大きな流域に及ぼしており、嵩山の山神は国の中心にあって、たかくそびえておられるのである。
瀆鬼 黄河の河の神。
濠鴻 ひろく大きなさま。
岳祗 嵩山の山の神。
嶪峨 たかくそびえるさま。
『南山詩』「巨靈與誇蛾,遠賈期必售。」(巨霊【きょれい】と誇蛾【かが】と、遠く賈【あざ】なって必ず售【う】れんことを期す。)


飫沃膻薌,產祥降嘏。
羊の脂と牛の脂と肉と穀物のお供えを肥沃に飽きる浦食べてもらって、この世に幸せをおろしていってもらいたいことを願うのである。
飫沃 肥沃でたっぷり、あくほど、食べる、。
膻薌 羊の脂と牛の脂とも、肉と穀物ともいう。いずれも祭りにそなえる。
 さいわい。


鳳凰應奏,舒翼自拊。
そうして、鳳凰は奏楽にあわせて異をひろげ、みずからははたきつつ舞う。
応奏 奏楽にあわせて。
紆巽自相 異をひろげ、みずからははたきつつ舞う。


赤麟黃龍,逶陀結糾。
赤い麒麟がうっとりしていて、黄竜がとぐろを巻いている。
・蓮陀結糾 なごやかにあっまっている。あるいは、蓮陀ほ、赤い麒麟がうっとりしているさまで、結糾ほ、黄竜がとぐろを巻いているさまを、こういったのかもしれない。


卿士庶人,黃童白叟。
諸侯、士太夫、それから庶民に至るまで、くちばしの黄色いこども、白髪の老人まですべてのものがあつまっている。
黃童白叟 くちばしの黄色いこども、白髪の老人。


踴躍歡呀,失喜噎歐。
躍り、飛び上がって舞、そして喜び笑う、中にはよろこびすぎてむせび泣くものもいる。
・歓呀 よろこび、わらう。
・失喜喧欧 喜びのあまり、むせぶ。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#13>Ⅱ中唐詩460 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1459

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除于國南,鱗筍毛簴。
長安の都の南、陽の方角に祭場をつくり、除霊の式をする。鐘や磐などの楽器かけの横木と柱を設置し、横木には竜蛇の飾りをつけ、鱗の字を、柱には鳥獣の飾りをつけ、毛の字を加える。
廬幕周施,開揭磊砢,
幔幕を周囲に張り巡らせ、それは大きく開くように張られ、楽器をかかげられた。
獸盾騰拏,圓壇帖妥。
虎の模様をつけた楯をおどりあがってつかみ、つづいて、天を祭る壇にすすみ、安らかに落ち着く動きをした。
天兵四羅,旂常婀娜。
天子に侍衛する軍兵は四列の並び、のぼり竜とくだり竜とを描いた赤い旗は嫋やかに揺れる。
駕龍十二,魚魚雅雅。
天子の乗用車をひく竜馬は十二頭、天子の行列の威儀あるように並ぶ。
宵升於丘,奠璧獻斝。
夕方暮れなずむと丘に登って行き、玉とさかずきのいずれも祭器を供える。
眾樂驚作,轟豗融冶。
音楽隊は驚異の音を鳴らす、それは大きな響きとなり周囲と溶け合った美しいものとなっている。
紫焰噓呵,高靈下墮。

たいまつの紫色にかがやく炎がふきあがる。天の神霊が降りてこられたのだ。


現代語訳と訳註
(本文)
#13・11
除于國南,鱗筍毛簴。廬幕周施,開揭磊砢,
獸盾騰拏,圓壇帖妥。天兵四羅,旂常婀娜。
駕龍十二,魚魚雅雅。宵升於丘,奠璧獻斝。
眾樂驚作,轟豗融冶。紫焰噓呵,高靈下墮。


(下し文)
国南を除【はら】いて、鱗筍【りんじゅん】毛簴【もうきょ】。
廬幕【ろばく】周【あまね】く施して、開き掲ぐるに磊砢【らいか】たり。
獣盾【じゅうじゅん】騰拏【とうど】し、圓壇【えんだん】帖妥【ちょうだ】たり。
天兵 四もに羅【つらな】り、旂常【きじょう】婀娜【あだ】。
駕龍【がりゅう】十二、魚魚【ぎょぎょ】雅雅【がが】たり。
宵【よわ】に丘に昇り、壁を奠【てん】し 斝【か】を獻【けん】ず。
衆欒【しゅうがく】驚【とよも】し作り、轟豗【ごうかい】融冶【ゆうや】たり。
紫烙【しえん】嘘珂【きょか】し、高靈【こうれい】下り堕つ。


(現代語訳)
長安の都の南、陽の方角に祭場をつくり、除霊の式をする。鐘や磐などの楽器かけの横木と柱を設置し、横木には竜蛇の飾りをつけ、鱗の字を、柱には鳥獣の飾りをつけ、毛の字を加える。
幔幕を周囲に張り巡らせ、それは大きく開くように張られ、楽器をかかげられた。
虎の模様をつけた楯をおどりあがってつかみ、つづいて、天を祭る壇にすすみ、安らかに落ち着く動きをした。
天子に侍衛する軍兵は四列の並び、のぼり竜とくだり竜とを描いた赤い旗は嫋やかに揺れる。
天子の乗用車をひく竜馬は十二頭、天子の行列の威儀あるように並ぶ。
夕方暮れなずむと丘に登って行き、玉とさかずきのいずれも祭器を供える。
音楽隊は驚異の音を鳴らす、それは大きな響きとなり周囲と溶け合った美しいものとなっている。
たいまつの紫色にかがやく炎がふきあがる。天の神霊が降りてこられたのだ。


(訳注)#13・11
除于國南,鱗筍毛簴。

長安の都の南、陽の方角に祭場をつくり、除霊の式をする。鐘や磐などの楽器かけの横木と柱を設置し、横木には竜蛇の飾りをつけ、鱗の字を、柱には鳥獣の飾りをつけ、毛の字を加える。
除千国南 都の南方、すなわち陽の方角に、祭場を選定し、おはらいの式をする。
鱗筍毛篭 鐘や磬などの楽器かけの横木と柱。横木には竜蛇の飾りをつけるので鱗の字を、柱には鳥獣の飾りをつけるので毛の字を加える。


廬幕周施,開揭磊砢,
幔幕を周囲に張り巡らせ、それは大きく開くように張られ、楽器をかかげられた。
廬幕 天幕。
磊砢 荘重広大なさま。


獸盾騰拏,圓壇帖妥。
虎の模様をつけた楯をおどりあがってつかみ、つづいて、天を祭る壇にすすみ、安らかに落ち着く動きをした。
獣盾 虎の模様をつけた楯。
騰拏 おどりあがってつかむ。
円壇 天を祭る壇。
帖妥 やすらかにおちつく。


天兵四羅,旂常婀娜。
天子に侍衛する軍兵は四列の並び、のぼり竜とくだり竜とを描いた赤い旗は嫋やかに揺れる。
天兵 天子に侍衛する軍兵。
旂常 旂は、のぼり竜とくだり竜とを描いた赤い旗。常は日月を措いた二ひろの長さの旗。
婀娜 たおやか。


駕龍十二,魚魚雅雅。
天子の乗用車をひく竜馬は十二頭、天子の行列の威儀あるように並ぶ。
駕竜 天子の乗用車をひく竜馬。
魚魚雅雅 天子の行列の威儀あるさま。魚魚は魚が列をなして泳ぐさま、雅雅は烏烏でカラスがならんでとぶさま。


宵升於丘,奠璧獻斝。
夕方暮れなずむと丘に登って行き、玉とさかずきのいずれも祭器を供える。
奠璧獻斝 玉とさかずきのいずれも祭器を供える。


眾樂驚作,轟豗融冶。
音楽隊は驚異の音を鳴らす、それは大きな響きとなり周囲と溶け合った美しいものとなっている。
轟豗 大きなひびき。
融冶 とけあって美しい。


紫焰噓呵,高靈下墮。
たいまつの紫色にかがやく炎がふきあがる。天の神霊が降りてこられたのだ。
紫煩 たいまつの紫色にかがやく炎。
噓呵 ふきあがる。
高霊 天の神霊。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#12>Ⅱ中唐詩459 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1456

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皇帝曰籲,伯父叔舅。
皇帝は「おお」とはっせられ、「潘鎮、節度使並びに地方の大官よ」
各安爾位,訓厥甿畝。
「それぞれの位、地位の者たちよ、農夫がその畝をなすようにそれぞれがまずその役割をしてくれた。」
正月元日,初見宗祖。
今年の正月元日、今年初めての先祖の墓参りをした時の事である。
躬執百禮,登降拜俯。
幣帛を御手に執らして百礼し、廟の階を登り俯して拜された。
薦于新宮,視瞻梁梠。
先帝順宗の霊宮におそなえをし、先帝のおもかげを偲ぶため梁と棟木の方向ををじっと見る。
慼見容色,淚落入俎。
威風をとととのえ悲しみの表情が見える。涙はしとどに堕ち供えの机に入るほどあふれ出た
侍祠之臣,助我惻楚。
先帝を祭るために家臣は立ち並んで天子とともに祭事につらなる臣として涙を流した。
乃以上辛,於郊用牡。
こうしてその月の辛の日に(正月十九日)に過去を反省し新たな一歩をふみ出す決意を神に誓うということで長安の郊外において生贄の雄牛を捧げたのである。


現代語訳と訳註
(本文)

皇帝曰籲,伯父叔舅。各安爾位,訓厥甿畝。
正月元日,初見宗祖。躬執百禮,登降拜俯。
薦于新宮,視瞻梁梠。慼見容色,淚落入俎。
侍祠之臣,助我惻楚。乃以上辛,於郊用牡。


(下し文)
皇帝日く 吁【ああ】、伯父【はくふ】 叔舅【しゅくきゅう】。
各【おのお】の爾の位に安んじ、厥【そ】の忙晦【ぼうばく】を訓【おし】へよ と。
正月 元日、初めて宗祖【そうそ】に見【まみ】ゆ。
躬【み】百禮【ひゃくれい】執【と】って,登降【とうこう】拜俯【はいふ】す。
新宮に薦め,梁梠【りょうろ】を視瞻【しせん】す。
慼【うれい】容色に見【あら】われ,淚落ちて俎【そ】に入る。
侍祠【じし】の臣,我を助けて惻楚【そくそ】す。
乃【すなわ】ち上辛【じょうしん】を以って,郊に於いて牡【ぼ】を用いる。


(現代語訳)
皇帝は「おお」とはっせられ、「潘鎮、節度使並びに地方の大官よ」
「それぞれの位、地位の者たちよ、農夫がその畝をなすようにそれぞれがまずその役割をしてくれた。」
今年の正月元日、今年初めての先祖の墓参りをした時の事である。
幣帛を御手に執らして百礼し、廟の階を登り俯して拜された。
先帝順宗の霊宮におそなえをし、先帝のおもかげを偲ぶため梁と棟木の方向ををじっと見る。
威風をとととのえ悲しみの表情が見える。涙はしとどに堕ち供えの机に入るほどあふれ出た
先帝を祭るために家臣は立ち並んで天子とともに祭事につらなる臣として涙を流した。
こうしてその月の辛の日に(正月十九日)に過去を反省し新たな一歩をふみ出す決意を神に誓うということで長安の郊外において生贄の雄牛を捧げたのである。


(訳注)#12・10
皇帝曰籲,伯父叔舅。
皇帝は「おお」とはっせられ、「潘鎮、節度使並びに地方の大官よ」
 吁
・伯父叔舅 天子が節度使などの地方の大官をこうよんだのである。古代の制度では同姓の大国を伯父、異姓のそれを伯舅、同姓の小国を叔父、異姓のそれを叔舅とよんだ、という。


各安爾位,訓厥甿畝。
「それぞれの位、地位の者たちよ、農夫がその畝をなすようにそれぞれがまずその役割をしてくれた。」
甿畝 農夫がその畝をなす、農民たち、というほどの意。以上が劉閲討伐。以下郊天告願の儀をうたう。


正月元日,初見宗祖。
今年の正月元日、今年初めての先祖の墓参りをした時の事である。


躬執百禮,登降拜俯。
幣帛を御手に執らして百礼し、廟の階を登り俯して拜された。


薦于新宮,視瞻梁梠.
先帝順宗の霊宮におそなえをし、先帝のおもかげをしのぶためはりとむなぎの方向ををじっと見る。
 お供えものを捧げる。
新宮 先帝順宗の遺体を埋葬するまえに、ひっぎを安置し祭ってある霊宮。
視膀薬指 はりとむなぎのあたりをじっと見る。そうして先帝のおもかげをしのぶのである。


戚見容色,淚落入俎。
威風をとととのえ悲しみの表情が見える。涙はしとどに堕ち供えの机に入るほどあふれ出た
 いけにえを供えるつくえ。


侍祠之臣,助我惻楚。
先帝を祭るために家臣は立ち並んで天子とともに祭事につらなる臣として涙を流した。
助我側楚 わが悲痛の情をいやますものとした。天子とともに祭事につらなる臣も涙を流したことをさす。


乃以上辛,於郊用牡。
こうしてその月の辛の日に(正月十九日)に過去を反省し新たな一歩をふみ出す決意を神に誓うということで長安の郊外において生贄の雄牛を捧げたのである。
上辛 月のはじめの辛の日。この日に天子が祭りをするのは、辛が新と同音だから、過去を反省し新たな一歩をふみ出す決意を神に誓うという意味がある。
正月初一,順宗在興慶宮進行內禪,正月十九日,他在興慶宮咸寧殿去世,終年46歲 :。
於郊 長安の南郊で.
 生贄の雄牛。

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經戰伐地,寬免租簿。
戦闘があった地域におけるその年の税金は免除されることとなった。
施令酬功,急疾如火。
この度の論功行賞を授けることが御触書で示され、燃えさかる火のような速さで為されたのである。
地中間,莫不順序。
天にも地にもそして人間の間においても秩序を乱すものはなくなったのである。
幽恒青魏,東盡海浦。
幽州盧竜節度、成徳軍節度、淄靑平盧節度、魏博節度、東は海に至る通津浦々まで平定され尽くした。
南至徐蔡,區外雜虜。
南側については武寧軍節度、成徳軍節度にいたり、中国の文化のゆきわたらぬ地域のさまざまの異民族に至るまで安寧となった。
怛威赧德,踧踖蹈舞。
唐朝の徳義に対し、異民族までがはずかしく思い威武をおそれるのであり、足を踏み鳴らし踊り舞い、おそれうやまったのである。
掉棄兵革,私習簋簠。
幟や旗が下され、捨てられ、兵隊が来ていた甲冑もおさめられた、知らず知らずに文化風俗の同化ということの礼楽によって理想的な体制になってきた。
來請來覲,十百其耦。
百の国を十ほど重ねたくらいたくさんの国が春秋の定まった時期に参朝することになったのである。




現代語訳と訳註
(本文)

經戰伐地,寬免租簿。
施令酬功,急疾如火。
天地中間,莫不順序。
幽恆靑魏,東盡海浦。
南至徐蔡,區外雜虜。
怛威赧德,踧踖蹈舞。
掉棄兵革,私習簋簠。
來請來覲,十百其耦。


(下し文)
戦伐を経し地は、租簿を寛免す
令を施し 功に酬いて、急疾なること火の如し。
天地の中間、順序あらざる莫し。
幽恆【ゆうこう】靑魏【せいぎ】、東 海浦【かいほ】に盡【つ】く。
南 徐蔡【じょさい】に至り、区外の雜虜【ざつりょ】。
威に怛【おそ】れ 徳に赧【は】ぢ、踧踖【しゅくせき】し 蹈舞【とうぶ】す。
兵革【へいかく】を掉棄【とうき】し、私【ひそか】に簋簠【きほ】を習ふ。
来り請ひ 乗り覲【み】、十百【じゅうひゃく】其れ耦【ぐう】す。


(現代語訳)
戦闘があった地域におけるその年の税金は免除されることとなった。
この度の論功行賞を授けることが御触書で示され、燃えさかる火のような速さで為されたのである。
天にも地にもそして人間の間においても秩序を乱すものはなくなったのである。
幽州盧竜節度、成徳軍節度、淄靑平盧節度、魏博節度、東は海に至る通津浦々まで平定され尽くした。
南側については武寧軍節度、成徳軍節度にいたり、中国の文化のゆきわたらぬ地域のさまざまの異民族に至るまで安寧となった。
唐朝の徳義に対し、異民族までがはずかしく思い威武をおそれるのであり、足を踏み鳴らし踊り舞い、おそれうやまったのである。
幟や旗が下され、捨てられ、兵隊が来ていた甲冑もおさめられた、知らず知らずに文化風俗の同化ということの礼楽によって理想的な体制になってきた。
百の国を十ほど重ねたくらいたくさんの国が春秋の定まった時期に参朝することになったのである。


(訳注)#11・9
經戰伐地,寬免租簿。
戦闘があった地域におけるその年の税金は免除されることとなった。
経戦伐地 戦闘の行なわれた地域。
租薄 税金。租庸調の租の部分である。租:均田制に基づく田地の支給に対して、粟(穀物)2石を納める義務を負った。これが租である。庸:律令においては、本来は年間20日の労役の義務があり、それを「正役」と称した。正役を免れるために収める税が庸であったが、唐代中期以後は庸を納めることが一般化した(なお、雑徭2日分が正役1日分と換算されたため、雑徭を年間40日を行った者はその年の正役も庸も免除され、庸を正役20日分納めた者は雑徭も40日分免除された)。正役1日に対し絹3尺あるいは布3.75尺を収めることとされていた。調:調は、絹2丈と綿3両を収めることとされていた。


施令酬功,急疾如火。
この度の論功行賞を授けることが御触書で示され、燃えさかる火のような速さで為されたのである。


天地中間,莫不順序。
天にも地にもそして人間の間においても秩序を乱すものはなくなったのである。
天地中間 すなわち地上。
順序 秩序。


幽恒青魏,東盡海浦。
幽州盧竜節度、成徳軍節度、淄靑平盧節度、魏博節度、東は海に至る通津浦々まで平定され尽くした。


南至徐蔡,區外雜虜。
南側については武寧軍節度、成徳軍節度にいたり、中国の文化のゆきわたらぬ地域のさまざまの異民族に至るまで安寧となった。
南至徐蔡 幽・恒・青・魏と共に徐・蔡は当時の勢力強大な藩鎮だった。西の方から北東南の順序でいうと、魏は魏博節度、幽は幽州盧竜節度、恒は成徳軍節度、青は淄靑平盧節度、徐は武寧軍節度、蔡は彰義軍節度。
区外 中国の文化のゆきわたらぬ地域。
雑虜 さまざまの異民族。


怛威赧德,踧踖蹈舞。
唐朝の徳義に対し、異民族までがはずかしく思い威武をおそれるのであり、足を踏み鳴らし踊り舞い、おそれうやまったのである。
坦成 威武をおそれる。
赧徳 唐朝の徳義に対し、異民族までがはずかしく思う。
踧踖 おそれうやまう。


掉棄兵革,私習簋簠。
幟や旗が下され、捨てられ、兵隊が来ていた甲冑もおさめられた、知らず知らずに文化風俗の同化ということの礼楽によって理想的な体制になってきた。
簋簠 きびを盛る祭界。転じて、制度風俗。ここまでの大意は、異民族までが唐の威武と文化に服し、その感化を積極的にとりいれようとすること、制度風俗のことを礼楽といい、礼楽によって異民族が漢化していき、服従することが政治の理想とされた。儒教・道教、中華思想の基本であろう。この思想は、現在の中国における、ウィグル、チベット、モンゴルに対する諸政策にも見える。


來請來覲,十百其耦。
百の国を十ほど重ねたくらいたくさんの国が春秋の定まった時期に参朝することになったのである。
來請來覲 春秋の定まった時期に参朝する。
十百其桐 十と百と掛け合わせた程の多数、

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#10・8
牽頭曳足,先斷腰膂。
子供らの頭を引っ張り足をひこずった、そして腰と背を切り裂いたのだ。
次及其徒,體骸撐拄。
次は劉闢一派の処刑に移っていった。次々に斬られて死体がぶつかり合い、重なり合って倒れていった。
末乃取辟,駭汗如寫。
最後に劉闢をひき出してきた。劉闢は驚きでそそぐように汗がふき出たのである。
揮刀紛紜,爭刌膾脯。
刀を目の前でふるいまくった、そしてなますと干し肉のように一寸きざみにきざんでいったのだ。
優賞將吏,扶珪綴組。
従軍した文武官僚に対して論功行賞がなされた。高崇文はこの功によって検校司空剣南西川節度観察等使を授けられ、南平郡王に封ぜられ、印綬を授けられた。
帛堆其家,粟塞其庾。
褒美の縞を功責のあった将兵の家に山のように積みあげさせ、戦功に対して賞与する五穀で、将兵の家の米倉をいっぱいにさせたのである。
哀憐陣沒,廩給孤寡。
哀れみ悲しまれるのは戦死したものであり、その遺族に対して俸禄が与えられたのである。
贈官封墓,周匝宏溥。
位官を追贈され、墓を立派にきずかれ、功のあるものにあまねく行き渡るようになされたのである。


現代語訳と訳註
(本文)
#10・8
牽頭曳足,先斷腰膂。次及其徒,體骸撐拄。
末乃取辟,駭汗如寫。揮刀紛紜,爭刌膾脯。
優賞將吏,扶珪綴組。帛堆其家,粟塞其庾。
哀憐陣沒,廩給孤寡。贈官封墓,周匝宏溥。


(下し文)
頭を牽き 足を曳き、先づ宰膏を断つ
衣に其の徒に及べば、睦骸 標柱す
末に乃ち閲を取るに、骸汗 寓ぐが如し
刀を揮って紛紀、苧ひ刊きて胎肺にす
婿嘉を優賞し、珪を耕き 組を綴り
烏は其の家に堆く、粟は其の庚を塞ぐ
陣没を哀憐し、孤寡を嗟給す
官を勝り 墓を封じ、周市にして宏滞なり


(現代語訳)
子供らの頭を引っ張り足をひこずった、そして腰と背を切り裂いたのだ。
次は劉闢一派の処刑に移っていった。次々に斬られて死体がぶつかり合い、重なり合って倒れていった。
最後に劉闢をひき出してきた。劉闢は驚きでそそぐように汗がふき出たのである。
刀を目の前でふるいまくった、そしてなますと干し肉のように一寸きざみにきざんでいったのだ。
従軍した文武官僚に対して論功行賞がなされた。高崇文はこの功によって検校司空剣南西川節度観察等使を授けられ、南平郡王に封ぜられ、印綬を授けられた。
褒美の縞を功責のあった将兵の家に山のように積みあげさせ、戦功に対して賞与する五穀で、将兵の家の米倉をいっぱいにさせたのである。
哀れみ悲しまれるのは戦死したものであり、その遺族に対して俸禄が与えられたのである。
位官を追贈され、墓を立派にきずかれ、功のあるものにあまねく行き渡るようになされたのである。


(訳注)#10・8
牽頭曳足,先斷腰膂。

子供らの頭を引っ張り足をひこずった、そして腰と背を切り裂いたのだ。
腰膂 腰、膂は背骨。


次及其徒,體骸撐拄。
次は劉闢一派の処刑に移っていった。次々に斬られて死体がぶつかり合い、重なり合って倒れていった。
体骸撐拄 体は生きている体、骸は死んだ体。撐拄はつっぱりささえあう。次々に斬られて死体がぶつかり合い、重なり合って倒れるさま。


末乃取辟,駭汗如寫。
最後に劉闢をひき出してきた。劉闢は驚きでそそぐように汗がふき出たのである。
末乃取辟 最後に劉闢をひき出す。
駭汗如寫 おどろきのためにそそぐように汗がふき出る。劉閲はつかまえられたとき、まさか死刑にはなるまいとたかをくくっていたが、長安に入る前に、首と手になわをかけられ、どうしてこんなことになったのだろうと驚いた、という話がのこっている。最後に処刑することは、心理的に最もきびしい処刑法ということになる。


揮刀紛紜,爭刌膾脯。
刀を目の前でふるいまくった、そしてなますと干し肉のように一寸きざみにきざんでいったのだ。
紛紜 盛んなさま。
 一寸きざみにきざむこと。
膾脯 膾はなます、脯は乾肉。


優賞將吏,扶珪綴組。
従軍した文武官僚に対して論功行賞がなされた。高崇文はこの功によって検校司空剣南西川節度観察等使を授けられ、南平郡王に封ぜられ、印綬を授けられた。
優賞将吏 従軍した文武官僚に対して論功行賞がなされた。『旧唐書』によれば、高崇文はこの功によって検校司空剣南西川節度観察等使を授けられ、南平郡王に封ぜられた上、鹿頭山上にその功績を記した碑が建てられた、という。
扶珪 扶は折と同じ。いにしえ諸侯を封ずるとき、珪を二つにわり、一つは手許におき、一つを諸侯に与えた。
綴組 ひもをつづる。ここでは組は印綬をさし、綴組は印綬を与えること。


帛堆其家,粟塞其庾。
褒美の縞を功責のあった将兵の家に山のように積みあげさせ、戦功に対して賞与する五穀で、将兵の家の米倉をいっぱいにさせたのである。
吊堆其家 褒美の縞を功責のあった将兵の家に山のように積みあげさせる。
粟塞其庾 粟は五穀、庾は米倉。戦功に対して賞与する五穀で、将兵の家の米倉をいっぱいにさせる。


哀憐陣沒,廩給孤寡。
哀れみ悲しまれるのは戦死したものであり、その遺族に対して俸禄が与えられたのである。
廉給 俸禄。
孤寡 孤児、未亡人。


贈官封墓,周匝宏溥。
位官を追贈され、墓を立派にきずかれ、功のあるものにあまねく行き渡るようになされたのである。
贈官 位官を追贈する。
封墓 墓をりつばにきずくこと。封は土をもること。
周市 あまねくゆきわたる。
宏博 宏大。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#9>Ⅱ中唐詩456 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1447

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   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
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   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

#9・7
俯視大江,不見洲渚。
追い詰められ見るとそこは大河岷江であった、隠れてにげるべきなぎさも中洲もまったくないのである。
遂自顛倒,若杵投臼。
遂に劉闢はしかたなく頭から飛び込んだのである、杵つきのうすの中に投げ込まれたようなものである。
取之江中,枷脰械手。
とびこんだ劉閲が死にきれずに流されるところを、官軍の騎将酈定進がいけどりにした。首に首かせをはめ、手に手かせをはめられたのである。
婦女累累,啼哭拜叩。
婦人とお付の女たちは数珠つなぎにされ、泣き叫び、おがんで頭を地につけている。
來獻闕下,以告廟社。
高崇文が都に帰って来て、捕虜たちを天子に献上し、それから国廟に報告したのである。
周示城市,鹹使觀睹。
劉闢は長安の市中をひきまわされ、衆人に見せしめとされたのである。
解脫攣索,夾以砧斧。
ひきまわすために縛ってあった縄をといて、刑にとりかかった。首斬台で首斬斧により首は落されるのである。
婉婉弱子,赤立傴僂。
稚い幼児がいたがはだかで立たされ、次には身を曲げたままでいるようにされた。


現代語訳と訳註
(本文)
#9・7
俯視大江,不見洲渚。遂自顛倒,若杵投臼。
取之江中,枷脰械手。婦女累累,啼哭拜叩。
來獻闕下,以告廟社。周示城市,鹹使觀睹。
解脫攣索,夾以砧斧。婉婉弱子,赤立傴僂。

 
(下し文)
俯【ふ】して大江を視るも、洲渚【しゅうちょ】を見ず。
遂に自ら顛倒【てんとう】し、杵【きね】の臼に投ずるが若し。
之を江中に取らへ、脰【くび】に枷【か】し 手に械【かい】す。
婦女 累累【るいるい】、啼哭【ていこく】して拝叩【はいこう】す。
来って闕下【きつか】に獻じ、以て廟杜【びょうしゃ】に告ぐ。
周【あまね】く城市に示し、威く觀睹【かんと】せしむ。
攣索【れんさく】を解脱【かいだつ】し、爽【はさ】むに砧斧【ちんぶ】を以てす。
婉婉【えんえん】たる弱子、赤立【せきりつ】して傴僂【うる】す。


(現代語訳)
追い詰められ見るとそこは大河岷江であった、隠れてにげるべきなぎさも中洲もまったくないのである。
遂に劉闢はしかたなく頭から飛び込んだのである、杵つきのうすの中に投げ込まれたようなものである。
とびこんだ劉閲が死にきれずに流されるところを、官軍の騎将酈定進がいけどりにした。首に首かせをはめ、手に手かせをはめられたのである。
婦人とお付の女たちは数珠つなぎにされ、泣き叫び、おがんで頭を地につけている。
高崇文が都に帰って来て、捕虜たちを天子に献上し、それから国廟に報告したのである。
劉闢は長安の市中をひきまわされ、衆人に見せしめとされたのである。
ひきまわすために縛ってあった縄をといて、刑にとりかかった。首斬台で首斬斧により首は落されるのである。
稚い幼児がいたがはだかで立たされ、次には身を曲げたままでいるようにされた。


(訳注)#9・7
俯視大江,不見洲渚。

追い詰められ見るとそこは大河岷江であった、隠れてにげるべきなぎさも中洲もまったくないのである。
不見洲渚 つたってにげるべきなぎさも中洲もない。


遂自顛倒,若杵投臼
遂に劉闢はしかたなく頭から飛び込んだのである、杵つきのうすの中に投げ込まれたようなものである。
転倒 河中にまっさかさまにとびこむ。
劉闢がとびこんだのは、今の四川省灌県の西の羊灌田を流れる岷江。


取之江中,枷脰械手。
とびこんだ劉閲が死にきれずに流されるところを、官軍の騎将酈定進がいけどりにした。首に首かせをはめ、手に手かせをはめられたのである。
取之江中 とびこんだ劉閲が死にきれずに流されるところを、官軍の騎将酈定進がいけどりにした。
枷脰 脰は首。首に首かせをはめる.
械手 手に手かせをはめる。


婦女累累,啼哭拜叩。
婦人とお付の女たちは数珠つなぎにされ、泣き叫び、おがんで頭を地につけている。
累累 連なりかさなるさま。ここでは数珠つなぎになっていることをいう。
拝叩 おがんで頭を地につける。


來獻闕下,以告廟社。
高崇文が都に帰って来て、捕虜たちを天子に献上し、それから国廟に報告したのである。
来献闕下 高崇文が帰って来て、捕虜たちを天子に献上する。劉闢は宮城の門。闕下は、人を直接にさすのは失礼だという考え方があり、その人に関係のあるものをさしてその人にかえる場合が少なくない。陛下、殿下、机下、執事など、みなそれである。ここは、高崇文が天子に対して。
廟社 国廟。


周示城市,鹹使觀睹。
劉闢は長安の市中をひきまわされ、衆人に見せしめとされたのである。
周示城市 大罪人を処刑するときは、みせしめのため、市中をひきまわす。劉闢たちの場合も、長安のまちをひきまわしたうえ、まちの西南の大きな柳の木の下で処刑した。


解脫攣索,夾以砧斧。
ひきまわすために縛ってあった縄をといて、刑にとりかかった。首斬台で首斬斧により首は落されるのである。
解脱攣索 ひきまわすためにはってあった縄をといて、刑にとりかかる。
爽以砧斧 砧は首斬台、斧は首斬斧。ギロチンにのせるというほどの意。


婉婉弱子,赤立傴僂
稚い幼児がいたがはだかで立たされ、次には身を曲げたままでいるようにされた。
婉婉 いとけないさま。
弱子 幼児。
赤立 はだかで立つ。
傴僂 身を曲げるさま。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#8>Ⅱ中唐詩455 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1444

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#8>Ⅱ中唐詩455 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1444

     
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#8・6
四軍齊作,殷其如阜。
荊・幷・梁三州の軍隊と高崇文の軍隊で攻めた。官軍の盛んな勢いはまるで丘のようだ。
或拔其角,或脫其距。
賊軍は猛獣であり、その角を抜いてやるということをするのである。あるいは賊軍は猛禽であり、その蹴爪をはがすことをするのである。
長驅洋洋,無有齟齬。
ゆっくりと長く広く攻め始めた、ひろくじっくり攻めることで法則にのっとり失敗のない攻め方をしたのだ。
八月壬午,辟棄城走。
八月二十二日、劉闢は成都城を棄ててチベットに逃げたのである。
載妻與妾,包裹稚乳。
劉闢は妻や妾たちを車にのせ、そしてわずかに乳飲み子だけをつれてほうほうのていで逃げ出したのだ。
是日崇文,入處其宇。
この日、高崇文は成都を鎮圧し、劉闢の住んでいた邸宅まですべて入り平定した。
分散逐捕,搜原剔藪。
散りじりになった賊を追跡して捕えた、それは野原をすみからすみまでさがすやぶや林もきりひらいて捜索したのである。
辟窮見窘,無地自處。

劉闢は追いつめられた。闢自身のおくべきところがないものとしないといけない。


現代語訳と訳註
(本文)
#8・6
四軍齊作,殷其如阜。
或拔其角,或脫其距。
長驅洋洋,無有齟齬。
八月壬午,辟棄城走。
載妻與妾,包裹稚乳。
是日崇文,入處其宇。
分散逐捕,搜原剔藪。
辟窮見窘,無地自處。


(下し文)
四軍 斉しく作し、殷たること其れ阜の如し。
戎ひは其の角を抜き、或ひほ其の距を脱す。
長駆洋洋、齟齬有ること無し。
八月壬午、闢は城を棄てて走ぐ。
妻と妾とを載せ、稚乳を包裹す。
是の日 崇文、入って其の字に處る。
分散して逐捕し、原を捜り 薮を剔る。
闢 窮して窘められ、自ら處るに地無し。


(現代語訳)
荊・幷・梁三州の軍隊と高崇文の軍隊で攻めた。官軍の盛んな勢いはまるで丘のようだ。
賊軍は猛獣であり、その角を抜いてやるということをするのである。あるいは賊軍は猛禽であり、その蹴爪をはがすことをするのである。
ゆっくりと長く広く攻め始めた、ひろくじっくり攻めることで法則にのっとり失敗のない攻め方をしたのだ。
八月二十二日、劉闢は成都城を棄ててチベットに逃げたのである。
劉闢は妻や妾たちを車にのせ、そしてわずかに乳飲み子だけをつれてほうほうのていで逃げ出したのだ。
この日、高崇文は成都を鎮圧し、劉闢の住んでいた邸宅まですべて入り平定した。
散りじりになった賊を追跡して捕えた、それは野原をすみからすみまでさがすやぶや林もきりひらいて捜索したのである。
劉闢は追いつめられた。闢自身のおくべきところがないものとしないといけない。


(訳注)#8・6
四軍齊作,殷其如阜。

荊・幷・梁三州の軍隊と高崇文の軍隊で攻めた。官軍の盛んな勢いはまるで丘のようだ。
四軍 荊・幷・梁三州の軍隊と高崇文の軍隊。荊州:荊南節度使;裴均、幷州:河東節度使;厳綬、染州:山南
西道節度使;厳礪
殷其如阜 官軍の盛んな勢いはまるで丘のようだ。鬨の声の盛んな勢いの形容だとする。


或拔其角,或脫其距。
賊軍は猛獣であり、その角を抜いてやるということをするのである。あるいは賊軍は猛禽であり、その蹴爪をはがすことをするのである
或抜其角 賊を猛獣にたとえ、その角を抜く、というのだ。
或脱其距 賊を猛禽にたとえ、その蹴爪をはがす、というのである。『左伝』の㐮公十四年に「譬へは鹿を捕ふる如し。晋人は之を角し、諸戎は之を椅す」とみえる。角するとは角をつかむこと、椅すは足をねじることだという。


長驅洋洋,無有齟齬。
ゆっくりと長く広く攻め始めた、ひろくじっくり攻めることで法則にのっとり失敗のない攻め方をしたのだ。
洋洋 盛大なさま。
齢酷 くいちがい。失敗。


八月壬午,辟棄城走。
八月二十二日、劉闢は成都城を棄ててチベットに逃げたのである。
八月壬午 八月二十二日。


載妻與妾,包裹稚乳。
劉闢は妻や妾たちを車にのせ、そしてわずかに乳飲み子だけをつれてほうほうのていで逃げ出したのだ。
我妻与妾 妻や妾たちを車にのせる。
包裏稚乳 妻や妾にうませた幼児や乳春子をつつみのせる。ここのところは、わずかに妻子だけをつれてほうほうのていで逃げ出したことを表現しているのである。これは、後の「婦女柴索」「梅娩弱子」などの句をひき出すためのたくみな伏線となっている。


是日崇文,入處其宇。
この日、高崇文は成都を鎮圧し、劉闢の住んでいた邸宅まですべて入り平定した。
其宇 劉闢の住んでいたやかた。


分散逐捕,搜原剔藪
散りじりになった賊を追跡して捕えた、それは野原をすみからすみまでさがすやぶや林もきりひらいて捜索したのである。
搜原 野原をすみからすみまでさがす。
剔藪 やぶや林もきりひらいて捜索する。


辟窮見窘,無地自處。
劉闢は追いつめられた。闢自身のおくべきところがないものとしないといけない。
見窘 追いつめられる。
無地目処 自分の身をおくべきところがない。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#7>Ⅱ中唐詩454 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1441

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#7・5
辟黨聚謀,鹿頭是守。
劉闢はここに集積し、謀をして鹿頭山に要塞をきずいてここを守りの拠点とした。
崇文奉詔,進退規矩。
官軍崇文は詔を奉ってから、訓練が行き届いており、進撃するにも退却するにも、戦術の法則に合致していた。
戰不貪殺,擒不濫數。
戦いの目的は勝つことにあるので、戦つためにむやみに殺すことをはしない。
四方節度,整兵頓馬。
近隣四方の節度使たちにも命令が行き届き、兵馬を整頓して規律を守らせた。
上章請討,俟命起坐。
そういうことがあって、討伐に参加させてほしいと、請願書を天子にたてまつることがふえた。そして、すべて、行動を起こすも待機するも御命令をまっておこなったのである。
皇帝曰嘻,無汝煩苦。
皇帝は喜びの声を挙げられた『ああ』と、そして、「おまえたちを煩わしたり苦しませたりすることはしないでおきなさい。」
荊並洎梁,在國門戶。
そして「荊州には荊南節度使裴均、幷州には河東節度使厳綬、染州には山南西道節度使厳礪を命じ、国には門戸をおく。」とされたのである。
出師三千,各選爾醜。
さらに「出兵は3千騎とし、その中の親族から将軍を選べ」とされた。



現代語訳と訳註
(本文)
#7・5
辟黨聚謀,鹿頭是守。崇文奉詔,進退規矩。
戰不貪殺,擒不濫數。四方節度,整兵頓馬。
上章請討,俟命起坐。皇帝曰嘻,無汝煩苦。
荊並洎梁,在國門戶。出師三千,各選爾醜。


(下し文)
闢の黨【とう】聚り謀り、鹿頭を是れ守る。
崇文 詔を奉じ、進退 規矩あり。
戦ひて殺すを貪【むさぼ】らず、檎【とりこ】にするに教を濫【みだり】にせず。
四方の節度、兵を整【しら】べ 馬を頓【ととの】へ。
章を上【たてまつ】って討たむことを請ひ、命を侯【ま】ちて起坐【きざ】せむ と。
皇帝日く 嘻【ああ】、汝に煩苦【はんく】せしむる無けむ。
荊並【けいへい】泊【およ】び 梁は、國の門戶に在。
師を出すこと 三千、各の 爾の醜【たぐい】を選せよ と。


(現代語訳)
劉闢はここに集積し、謀をして鹿頭山に要塞をきずいてここを守りの拠点とした。
官軍崇文は詔を奉ってから、訓練が行き届いており、進撃するにも退却するにも、戦術の法則に合致していた。
戦いの目的は勝つことにあるので、戦つためにむやみに殺すことをはしない。
近隣四方の節度使たちにも命令が行き届き、兵馬を整頓して規律を守らせた。
そういうことがあって、討伐に参加させてほしいと、請願書を天子にたてまつることがふえた。そして、すべて、行動を起こすも待機するも御命令をまっておこなったのである。
皇帝は喜びの声を挙げられた『ああ』と、そして、「おまえたちを煩わしたり苦しませたりすることはしないでおきなさい。」
そして「荊州には荊南節度使裴均、幷州には河東節度使厳綬、染州には山南西道節度使厳礪を命じ、国には門戸をおく。」とされたのである。
さらに「出兵は3千騎とし、その中の親族から将軍を選べ」とされた。 


(訳注)#7・5
辟黨聚謀,鹿頭是守。
劉闢はここに集積し、謀をして鹿頭山に要塞をきずいてここを守りの拠点とした。
鹿頭 成都北方百五十里。東川と西川を通ずる要地である。劉闢はここに要塞をきずいて、東方から来る官軍をふせごうとしていた。

秦州同谷成都紀行地図

崇文奉詔,進退規矩。
官軍崇文は詔を奉ってから、訓練が行き届いており、進撃するにも退却するにも、戦術の法則に合致していた。
進退規矩 進撃するにも退却するにも、戦術の法則に合致していた。高崇文の軍隊は実際よく訓練せられていたらしいから、この表現は事実をそのままうつしたものであろう。


戰不貪殺,擒不濫數。
戦いの目的は勝つことにあるので、戦つためにむやみに殺すことをはしない。
戰不貪殺 戦いの目的は勝つことにあるので、殺すことにはない。だから、戦っても、むやみに殺すことをはしない、というのである。いけどる捕虜の数の多さだけを目的としないというものであった。
檎不渡数 これも前と同じで、いけどる人の数の多さばかりを目的としない。


四方節度,整兵頓馬。
近隣四方の節度使たちにも命令が行き届き、兵馬を整頓して規律を守らせた。
整兵頓馬 兵馬を整頓する。


上章請討,俟命起坐。
そういうことがあって、討伐に参加させてほしいと、請願書を天子にたてまつることがふえた。そして、すべて、行動を起こすも待機するも御命令をまっておこなったのである。
上章請討 討伐に参加させてほしいと、請願書を天子にたてまつる。
俟命起坐 御命令をまって、行動を起こすなり、待機するなり、いたしましょう。


皇帝曰嘻,無汝煩苦。
皇帝は喜びの声を挙げられた『ああ』と、そして、「おまえたちを煩わしたり苦しませたりすることはしないでおきなさい。」
無汝煩苦 おまえたちを煩わすことはしないでおこう。


荊並洎梁,在國門戶。
そして「荊州には荊南節度使裴均、幷州には河東節度使厳綬、染州には山南西道節度使厳礪を命じ、国には門戸をおく。」とされたのである。
荊並洎梁 当時、荊州には荊南節度使裴均、幷州には河東節度使厳綬、染州には山南西道節度使厳礪がいた。洎は及と同義。


出師三千,各選爾醜。
さらに「出兵は3千騎とし、その中の親族から将軍を選べ」とされた。 
各選爾醜 汝の衆の中より選べ。は類衆。『左伝』の定公四年に、「其の類醜を将い」という語がみえる。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#6>Ⅱ中唐詩453 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1438

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#6・4
以錦纏股,以紅帕首。
劉闢の贅沢は錦のパンツを着衣するほどのもので、そのうえ赤い絹を鉢巻をするのである。
有恇其凶,有餌其誘。
叛乱軍の中には、劉閥の兇暴さがおそろしくて、いやいやながら従っているものもいるし、エサでもって劉闢の誘いに因っているのである。
其出穰穰,隊以萬數。
劉闢軍はざわざわといっぱい集まっている、その数は幾万という数の大部隊であった。
遂劫東川,遂據城阻。
遂には、兵を発して、東川節度使の李康を梓州に包囲した、そして遂には険岨な梓州の城を占領して拠点とした。
皇帝曰嗟,其又可許。
憲宗皇帝は「ああ、」ため息をつかれた、そして遂に劉闢討伐の勅命を出された。
爰命崇文,分卒禁禦。
その命は神策軍使であった高崇文に下された、「兵卒を分割して劉闢の軍の横暴を留めふせげよ」と。
有安其驅,無暴我野。
「劉闢軍の中には無理やり従わせられているものがいるがその者たちにを安全にしてやり、戦ではあるが、わが国土を荒らさぬようにせよ。」と。
日行三十,徐壁其右。

日行三十一日の行軍進度は三十里にもおよんだ。そして、敵の右側からだんだんに包囲遮断していった。


現代語訳と訳註
(本文)
#6・4
以錦纏股,以紅帕首。有恇其凶,有餌其誘。
其出穰穰,隊以萬數。遂劫東川,遂據城阻。
皇帝曰嗟,其又可許。爰命崇文,分卒禁禦。
有安其驅,無暴我野。日行三十,徐壁其右。


(下し文)
錦を以て股に纏ひ、紅を以て首に帽く。
悟れて其れ兇となれる有り、餌もて其れ誘はれたる有り。
其の出づること 穣穣、除 寓を以て数ふ。
遂に東川を劫し、蓬に城阻に操る。
皇帝日く 嗟、其れ 又 許す可けむや。
愛に 崇文に命じ、卒を分って禁禦せしむ。
即の訝ることを欝らにするがれ、我が野を暴する無かれと。


(現代語訳)
劉闢の贅沢は錦のパンツを着衣するほどのもので、そのうえ赤い絹を鉢巻をするのである。
叛乱軍の中には、劉閥の兇暴さがおそろしくて、いやいやながら従っているものもいるし、エサでもって劉闢の誘いに因っているのである。
劉闢軍はざわざわといっぱい集まっている、その数は幾万という数の大部隊であった。
遂には、兵を発して、東川節度使の李康を梓州に包囲した、そして遂には険岨な梓州の城を占領して拠点とした。
憲宗皇帝は「ああ、」ため息をつかれた、そして遂に劉闢討伐の勅命を出された。
その命は神策軍使であった高崇文に下された、「兵卒を分割して劉闢の軍の横暴を留めふせげよ」と。
「劉闢軍の中には無理やり従わせられているものがいるがその者たちにを安全にしてやり、戦ではあるが、わが国土を荒らさぬようにせよ。」と。
日行三十一日の行軍進度は三十里にもおよんだ。そして、敵の右側からだんだんに包囲遮断していった。


(訳注) #6・4
以錦纏股,以紅帕首。
劉闢の贅沢は錦のパンツを着衣するほどのもので、そのうえ赤い絹を鉢巻をするのである。
以錦繹股 錦の布をパソツにしてはく。むちゃくちゃなぜいたくをすることを、このように表現しているのである。
 紅い絹布。絹もこの時代には貨幣の代用とされた貴重なもの。
帕首 鉢巻をする。


有恇其凶,有餌其誘。
叛乱軍の中には、劉閥の兇暴さがおそろしくて、いやいやながら従っているものもいるし、エサでもって劉闢の誘いに因っているのである。
憶 おびえる。叛乱軍の中には、劉閥の兇暴さがおそろしくて、いやいやながら従っているものもいる、という意。


其出穰穰,隊以萬數。
劉闢軍はざわざわといっぱい集まっている、その数は幾万という数の大部隊であった。
穰穰 ざわざわといっぱいである。人数の多い形容。
隊以万数 幾万という数の大部隊であった。官軍の五千に対して、賊軍はその数倍あった、というのである。


遂劫東川,遂據城阻。
遂には、兵を発して、東川節度使の李康を梓州に包囲した、そして遂には険岨な梓州の城を占領して拠点とした。
拠城阻 険岨な梓州の城を占領して拠点とした。


皇帝曰嗟,其又可許。
憲宗皇帝は「ああ、」ため息をつかれた、そして遂に劉闢討伐の勅命を出された。
皇帝日 皇帝のことばは、嗟から無暴我野まで。瞳から其又可許まで。


爰命崇文,分卒禁禦。
その命は神策軍使であった高崇文に下された、「兵卒を分割して劉闢の軍の横暴を留めふせげよ」と。
崇文 高崇文のこと。宰相の杜黄裳により劉闢討伐に抜擢されたのが、神策軍使であった高崇文である。高崇文は、すぐれた武人で、平素から実戦の準備を怠らなかった。命をうけると、二時間後には、出発した。三月には梓州に進み、六月には鹿頭閑で劉闢を撃退し、九月には長駆して成郡にはいった。劉闢はついに数十騎のみを従え、チベットに向けて逃れたが、途中、高崇文の部下につかまった。十月、身柄が長安に送られ、その族党は課せられた。
禁禦 とどめふせぐ。
有安其駆 其駆とは、本心からでなく、劉闢軍の強制によってその軍に所属し、追いつかわれているもの。安は、安全に保護する。


有安其驅,無暴我野。
「劉闢軍の中には無理やり従わせられているものがいるがその者たちにを安全にしてやり、戦ではあるが、わが国土を荒らさぬようにせよ。」と。
無暴我野 わが国土を荒らさぬようにせよ。内乱だから、その戦場は国土内である。そこをむやみにいためつけないようにせよ、といましめている。


日行三十,徐壁其右。
日行三十一日の行軍進度は三十里にもおよんだ。そして、敵の右側からだんだんに包囲遮断していった。
日行三十  一日の行軍進度は三十里。
三十里は約17.5kmで、武装した大部隊の行進速度の標準である。
徐璧其右 敵の右側を、だんだんに包囲遮断していった。

元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#5>Ⅱ中唐詩452 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1435

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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

事始上聞,在列鹹怒。
事件の報告を、天子がはじめて聞かれたときのことである。朝廷にいならぶ朝臣たちはそのことを聞いて、ことごとくみな激怒した。
皇帝曰然,嗟遠士女。
憲宗皇帝は「しかり」といわれたことにつづいて「ああ、遠い辺境のよわき民たちよ」。
苟附而安,則且付與。
「もし、劉闢に附き随って、それで安らかに暮らせるならば、それならば、まあしばらくの間、劉闢に、おまえたちを治める権限を与えてみてみるか。」
讀命於庭,出節少府。
大臣の任命には、朝廷で、中書舎人が任命書を読みあげ、節度使を任命するさいの割符を朝廷の倉庫からださせた。
朝發京師,夕至其部。
ある朝都を出発し、幾日もかけてある日の夕刻に劉闢の所在地であるその場所についた。
辟喜謂黨,汝振而伍。
劉闢は喜びかえり、その使者に謂ったのだ、「使者よ君は君の五人の兵卒をしっかりとととのえなさい。」
蜀可全有,此不當受。
「この蜀の全土はすべて私が守るのであり、こんな狭い場所の節度使の任命は受けるにあたらない。」と。
萬牛臠炙,萬甕行酒。

「ありったけの牛を出して焼肉にせよ、そしてありったけの酒甕を出してお酌をしてやれ。」


現代語訳と訳註
(本文)
#5・3
事始上聞,在列鹹怒。皇帝曰然,嗟遠士女。
苟附而安,則且付與。讀命於庭,出節少府。
朝發京師,夕至其部。辟喜謂黨,汝振而伍。
蜀可全有,此不當受。萬牛臠炙,萬甕行酒。


(下し文)
事 始めて上聞せしとき、在列 鹹【ことごと】く怒る。
皇帝日く 然り、嗟 遠き士女。
苛【いやし】くも附きて安んぜば、則ち且く付與【ふよ】せむ と
命を庭に読み、節を少府より出す。
朝に京師【けいし】を發し、夕に其の部に至る。
闢【へき】は喜びて黨【とう】に謂ふ、汝 而の伍を振【ととの】へよ
蜀は全く有【たも】つ可し、此れ 當【まさ】に受くべからず と。
萬牛【ばんぎゅう】臠炙【しんしゃ】し,萬甕【ばんろう】酒を行【や】る。


(現代語訳)
事件の報告を、天子がはじめて聞かれたときのことである。朝廷にいならぶ朝臣たちはそのことを聞いて、ことごとくみな激怒した。
憲宗皇帝は「しかり」といわれたことにつづいて「ああ、遠い辺境のよわき民たちよ」。
「もし、劉闢に附き随って、それで安らかに暮らせるならば、それならば、まあしばらくの間、劉闢に、おまえたちを治める権限を与えてみてみるか。」
大臣の任命には、朝廷で、中書舎人が任命書を読みあげ、節度使を任命するさいの割符を朝廷の倉庫からださせた。
ある朝都を出発し、幾日もかけてある日の夕刻に劉闢の所在地であるその場所についた。
劉闢は喜びかえり、その使者に謂ったのだ、「使者よ君は君の五人の兵卒をしっかりとととのえなさい。」
「この蜀の全土はすべて私が守るのであり、こんな狭い場所の節度使の任命は受けるにあたらない。」と。
「ありったけの牛を出して焼肉にせよ、そしてありったけの酒甕を出してお酌をしてやれ。」


(訳注)#5・3
事始上聞,在列鹹怒。
事件の報告を、天子がはじめて聞かれたときのことである。朝廷にいならぶ朝臣たちはそのことを聞いて、ことごとくみな激怒した。
事始上聞 事件の報告を、天子がはじめて聞かれたとき。
在列 朝廷にいならぶ朝臣たち。


皇帝曰然,嗟遠士女。
憲宗皇帝は「しかり」といわれたことにつづいて「ああ、遠い辺境のよわき民たちよ」。
皇帝日然 天子がいわれる「ああそうか」皇帝のことばは「然」から「則且付与」までである。小伝にものべたように、この時、憲宗は即位早々でもあり、劉閲の権力が強かったので、討伐の決意がつかず、懐柔策をとったのである。
 ああ。感嘆詞。
遠士女 遠い辺境の国民たちよ。


苟附而安,則且付與。
「もし、劉闢に附き随って、それで安らかに暮らせるならば、それならば、まあしばらくの間、劉闢に、おまえたちを治める権限を与えてみてみるか。」
 もし。
・附而安 劉闢に附き随って、それで安らかに暮らせるならば。
・則且付与 それならば、まあしばらくの間、劉闢に、おまえたちを治める権限を与えてみてもよい。劉闢を検校工部尚書剣南西川節度使に任命したことをさし、憲宗の度量の広さをいう。


讀命於庭,出節少府。
大臣の任命には、朝廷で、中書舎人が任命書を読みあげ、節度使を任命するさいの割符を朝廷の倉庫からださせた。
読命於庭 大臣の任命には、朝廷で、中書舎人が任命書を読みあげるのが、ならわしだった。
・節 節度使のような兵馬の権をもつ官を任命するとき、そのしるしとして与えるわりふ。
・少府 朝廷の倉庫。


朝發京師,夕至其部。
ある朝都を出発し、幾日もかけてある日の夕刻に劉闢の所在地であるその場所についた。
 夜。朝、長安を出て、その夜覇につくというのではない。ここは対句として、朝と夕とをならべただけである。
其部 その地域、劉闢の所在地をさす。


辟喜謂黨,汝振而伍。
劉闢は喜びかえり、その使者に謂ったのだ、「使者よ君は君の五人の兵卒をしっかりとととのえなさい。」
 旅は軍隊の単位の一つ。五人を伍といい、伍が五つで丙。四両を卒、五卒を旅という。つまり一旅は五百人である。


蜀可全有,此不當受。
「この蜀の全土はすべて私が守るのであり、こんな狭い場所の節度使の任命は受けるにあたらない。」と。
 この任命書。蜀の一部の地域の節度使の任命書という意味。
不当受 受けとるべきでない。


萬牛臠炙,萬甕行酒。
「ありったけの牛を出して焼肉にせよ、そしてありったけの酒甕を出してお酌をしてやれ。」
臠炙 肉を火にあぶる。
行酒 酒の酌をする。ここでは宴会をするという意。

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