漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩 中唐詩人選集【Ⅰ李商隠-150】Ⅱ韓退之(韓愈)-500Ⅶ孟郊(東野)賈島張籍柳宗元韋応物

Ⅰ李商隠は難解詩といわれている。約150首紹介済。(晩唐詩人) Ⅱ韓退之(韓愈)-約500首Ⅶ孟郊、中唐の詩人を掲載中。万物の性(さが)をテーマにした哲学的な詩。このブログは基本的に中唐詩人を中心にして掲載する予定。 韓愈詩文のこれまでの掲載分とこれから掲載予定分を時系列で整理した2014.3.29のブログに集約してそこから各年次を見ることができる  kanbuniinkai 検索で、《漢文委員会HP05》サイトあります。漢詩唐詩を理解するための総合サイト:≪漢文委員会 漢詩07≫。

2012年12月

少し、マニアックな晩唐詩人Ⅰ-李商隠150首をまず掲載済み。中唐は盛唐詩人(孟浩然・王維、杜甫、李白)を受け継いだ多様な詩人が出ている。この時代も驚くほど詩が発展している。Ⅱ韓退之(韓愈)500首、Ⅲ柳宗元40首、Ⅳ韋応物、Ⅴ劉長卿、Ⅵ韋荘、Ⅶ孟郊(孟東野)、Ⅷ張籍、Ⅸ賈島、Ⅹ劉禹錫、ほか2012~2020年の予定で気長に進める。同じ中唐ではあるが、白居易のグループについては、李白のブログ350首(2015/6月再開~2018/夏・秋月予定)の後掲載の予定。別に杜甫詩ブログ1500首(2011/7月~2018/8月の予定で)を進行中。詩数につぃては、予定の詩数より多くなる。気まぐれなところがあるのでこの予定が少し変わる場合があり、その節はご容赦ください。                 古詩・謝霊運詩 杜甫詩 韓愈詩 花間集500首全詩 それぞれ毎日ブログしています。 このブログ、索引=語句の「検索」 参考書以上掲載。漢詩力up。

秋懐詩十一首(7-2) 韓退之(韓愈)詩<107-#2>Ⅱ中唐詩543 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1738

秋懐詩十一首 七 韓退之(韓愈)

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩善哉行 曹丕(魏文帝) 魏詩<9-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻五 630 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1737 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩秋懐詩十一首(7-2) 韓退之(韓愈)詩<107-#2>Ⅱ中唐詩543 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1738 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(5) 從韋二明府續處覓綿竹 杜甫 <356>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1739 杜甫詩 700- 534 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#16> (12/31) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『南歌子七首』(二)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-31-5-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1740 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/



秋懐詩十一首(7-2) 韓退之(韓愈)詩<107-#2>Ⅱ中唐詩543 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1738

秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


秋懷詩十一首7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
秋の夜長はいつまでも夜が明けないが、秋の昼間はとてもすぐに暗くなる。
わたしにはせっせと励む志を持っていないというのに、どうして夜が長いことなどを云うことが出来ようか。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
凍えそうな鶏はむなしくすごもりしたままであり、二十日月が気になって何度も望めやる。
琴に徽も絃もそろえ、ととのえられ、ひけばひくほどその音色は淡薄である。
#2
古聲久埋滅,無由見真濫。
この琴の音色は昔からのものは久しく埋没されたり消滅したりしているし、どれが本物か偽物かを見分けるすべもないというのだ。
低心逐時趨,苦勉祗能暫。
それでも高士の心をおさえて時勢をおいかけることもしてみるが、そんな苦しい努力など出来るのはただほんの暫らくの間に過ぎないということだ。
有如乘風船,一縱不可纜。
それに時勢を追えばそのうちに追風に吹かれた舟のようなもので、一度放たれるともうつなぎとめられないようになるというものだ。
不如覷文字,丹鉛事點勘。
ともかくまあ文字をながめているにこしたことはないというもので、筆を手にして校勘にたずさわるのが一番というものだ
豈必求贏餘,所要石與甔。
とはいっても俸禄に余分を求めてるというわけではないのであって、必要なのはごく少しばかりの俸禄があれば事足りるというものだ。

DCF00197

『秋懷詩十一首』 現代語訳と訳註
(本文)
#1 
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡

#2
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。


(下し文)
古聾は久しく埋滅し、真濫【しんかん】を見るに由無し。
心を低くして時の趨くを逐ひ、苦しみ勉むるも紙だ暫くを能くするのみ。
風に乗る船の一たび縱【はな】てば纜【つな】ぐ可からざるが如き有り。
如かず 文字を覷て、丹鉛もて點勘を事とせむには。
豈に必ずしも贏餘を求めむや、要むる所は石と甔とのみ。


(現代語訳)
この琴の音色は昔からのものは久しく埋没されたり消滅したりしているし、どれが本物か偽物かを見分けるすべもないというのだ。
それでも高士の心をおさえて時勢をおいかけることもしてみるが、そんな苦しい努力など出来るのはただほんの暫らくの間に過ぎないということだ。
それに時勢を追えばそのうちに追風に吹かれた舟のようなもので、一度放たれるともうつなぎとめられないようになるというものだ。
とはいっても俸禄に余分を求めてるというわけではないのであって、必要なのはごく少しばかりの俸禄があれば事足りるというものだ。


(訳注)
古聲久埋滅,無由見真濫。
この琴の音色は昔からのものは久しく埋没されたり消滅したりしているし、どれが本物か偽物かを見分けるすべもないというのだ。
・埋滅 埋没されたり消滅したりしている。
・真濫 ほんとうのものと、にせもの.
・見 みわける。


低心逐時趨,苦勉祗能暫。
それでも高士の心をおさえて時勢をおいかけることもしてみるが、そんな苦しい努力など出来るのはただほんの暫らくの間に過ぎないということだ。
・低心 高い心をひくめる.
・逐 おいかける。妥協する。
・時趨 時代の趨勢。流行。
・祗能暫 しばらく我慢できただけだ.


有如乘風船,一縱不可纜。
それに時勢を追えばそのうちに追風に吹かれた舟のようなもので、一度放たれるともうつなぎとめられないようになるというものだ。
乗風船 帆に風をうけた船。
・一縱 いったん艫綱をといたら。
 

不如覷文字,丹鉛事點勘。
ともかくまあ文字をながめているにこしたことはないというもので、筆を手にして校勘にたずさわるのが一番というものだ。
・覷 のぞく。みる。
・丹鉛 朱と胡粉。朱は書きこみに用い、胡粉は訂正するために使う。鉛は、むかしこれで木の板に文字を書いた。特にノートするようなときに用いられたようである。
・点勘 テキストの校訂をする。点も勘も、しらべること。


豈必求贏餘,所要石與甔。
とはいっても俸禄に余分を求めてるというわけではないのであって、必要なのはごく少しばかりの俸禄があれば事足りるというものだ。
・贏余 余分。
・石与甔 石は十斗。甔は二十斗だといわれる。わずかの俸給をさす。

秋懐詩十一首(7) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<107>Ⅱ中唐詩542 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1734


◆◆◆2012年12月26日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#2>古詩源 巻五 女性詩629 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1733
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67765496.html

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
秋懐詩十一首(7) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<107>Ⅱ中唐詩542 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1734
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6162341.html

Ⅲ.杜甫詩1000詩集
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 
●理想の地を求めて旅をする
●全詩1/3を掲載済。"
成都(1)浣花渓の草堂(4) 蕭八明府實處覓桃栽 杜甫 <355>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1735 杜甫詩 700- 533
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67764563.html

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#15> (12/30) http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-583.html

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。
『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21534541.html


謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。

孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html
古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。

孟郊詩  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html
「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。

李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


秋懐詩十一首(7) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<107>Ⅱ中唐詩542 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1734


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


秋懷詩十一首7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。
秋の夜長はいつまでも夜が明けないが、秋の昼間はとてもすぐに暗くなる。
我無汲汲志,何以有此憾。
わたしにはせっせと励む志を持っていないというのに、どうして夜が長いことなどを云うことが出来ようか。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。
凍えそうな鶏はむなしくすごもりしたままであり、二十日月が気になって何度も望めやる。
有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
琴に徽も絃もそろえ、ととのえられ、ひけばひくほどその音色は淡薄である。
#2
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。

秋懷詩十一首 #1
秋夜は晨となる可からず、秋日は苦だ暗れ易し。
我に汲汲の志無し、何を以てか此の憾有る。
寒雞 空しく棲に在り、缺月【けつげつ】屢【しばし】ば瞰【み】ることを煩はす。
琴有り 徽弦【きげん】を具【そな】ふ、再び鼓いて聴けば愈よ淡し。

#2
古聾は久しく埋滅し、真濫【しんかん】を見るに由無し。
心を低くして時の趨くを逐ひ、苦しみ勉むるも紙だ暫くを能くするのみ。
風に乗る船の一たび縱【はな】てば纜【つな】ぐ可からざるが如き有り。
如かず 文字を覷て、丹鉛もて點勘を事とせむには。
豈に必ずしも贏餘を求めむや、要むる所は石と甔とのみ。

DCF00202

『秋懷詩十一首』 現代語訳と訳註
(本文)
7  #1 
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
#2
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。


(下し文) 7   
秋夜は晨となる可からず、秋日は苦だ暗れ易し。
我に汲汲の志無し、何を以てか此の憾有る。
寒雞 空しく棲に在り、缺月【けつげつ】屢【しばし】ば瞰【み】ることを煩はす。
琴有り 徽弦【きげん】を具【そな】ふ、再び鼓いて聴けば愈よ淡し。


(現代語訳)
秋の夜長はいつまでも夜が明けないが、秋の昼間はとてもすぐに暗くなる。
わたしにはせっせと励む志を持っていないというのに、どうして夜が長いことなどを云うことが出来ようか。
凍えそうな鶏はむなしくすごもりしたままであり、二十日月が気になって何度も望めやる。
琴に徽も絃もそろえ、ととのえられ、ひけばひくほどその音色は淡薄である。


(訳注)
秋夜不可晨,秋日苦易暗。
秋の夜長はいつまでも夜が明けないが、秋の昼間はとてもすぐに暗くなる。
・不可晨 なかなか夜明けとならない。


我無汲汲志,何以有此憾。
わたしにはせっせと励む志を持っていないというのに、どうして夜が長いことなどを云うことが出来ようか。
・汲汲 休まず勉めるさま。せっせせっせというほどの意。
此憾 秋の夜のあけがたく、秋の日のくれやすいこと。つまり勉める時間の少ないこと。


寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。
凍えそうな鶏はむなしくすごもりしたままであり、二十日月が気になって何度も望めやる。
・寒雞 さむそうな姿のにわとり。
・棲 ねぐら。『詩経』王風の君子于役「君子于役、不知其期、曷至哉 雞棲於塒羊牛下來。」(君子役に于【ゆ】く、其の期を知らず、 曷(いつ)か至らんや. 雞 塒(ねぐら)に棲む 日之夕矣 日の夕べ 羊牛下り來り雞は塒に棲り、日は夕べとなり、羊と牛とは下り来る。)の句がみえる。
・欠月 かけた月。満月から次第にかけていく月で別れることの象徴で気になるということから、二十日月をいう。
・煩屢瞰 見たくもないのにしばしは見なければならない。


有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
琴に徽も絃もそろえ、ととのえられ、ひけばひくほどその音色は淡薄である。
・具徽絃 ことじと、こといととを、ちゃんとととのえてある。陶淵明は白木の琴を一張もっていたが、ことじも、いとも、なかった、といわれる。
・鼓 ひく。ことはつま弾く,鼓くという。
・淡 音調が淡薄であることをさす。

秋懐詩十一首(6) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<106>Ⅱ中唐詩541 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1730

秋懐詩十一首 六

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#1>古詩源 巻五 女性詩628 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1729 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩秋懐詩十一首(6) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<106>Ⅱ中唐詩541 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1730 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(3) 王十五司馬弟出郭相訪兼遺營草堂資 杜甫 <355>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1731 杜甫詩 700- 532 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#14> (12/29) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『定西番三首』(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-29-4-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1732 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/


秋懐詩十一首(6) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<106>Ⅱ中唐詩541 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1730


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。

6秋懷詩十一首 六
今晨不成起,端坐盡日景。
今朝は横になったまま起き上がってもいない。そのあときちんと坐わり直し、日がな一日座り通しである。
蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
やがて虫が鳴いて部屋は暗くひっそりしてくる、そして月がすっと出てくると窓はあかるくなる。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。
目標を失っていて心はかきくれて道にまよったかのようにぼんやりしている、こんな時のとりとめのない考えというものは棘がささったままを我慢しているよりもひどくいためつけられるものだ。
塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
くだらない人間関係の世であるが.人に取り入ることなどする気はない、その代りに詩文、散文を文字に起こすことばかりをやたらにやっている。
尚須勉其頑,王事有朝請。

それでもこれからは自分の世間から外れの考えをつとめておさえねばならないし、天子様の御用事について出仕の義務があることには違いない。
   
今晨【こんしん】起つことを成さず、端坐【たんざ】して日景【じつけい】を尽くす。
虫鳴いて室幽幽【ゆうゆう】たり、月吐いて窗【まど】冏冏【かいかい】たり。
喪しないし懐いは方に迷うが若く、浮【あだ】しき念いは梗【とげ】を含むよりも劇だし。
塵挨【じんあい】伺候【しこう】するに慵【ものう】く、文字 浪【みだり】りに馳騁【ちてい】す
尚お須【すべ】からく其の頑なるを勉むべし、王事には朝請【ちょうせい】有り。



『秋懷詩十一首』 六 現代語訳と訳註
(本文)
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。


(下し文)
今晨【こんしん】起つことを成さず、端坐【たんざ】して日景【じつけい】を尽くす。
虫鳴いて室幽幽【ゆうゆう】たり、月吐いて窗【まど】冏冏【かいかい】たり。
喪しないし懐いは方に迷うが若く、浮【あだ】しき念いは梗【とげ】を含むよりも劇だし。
塵挨【じんあい】伺候【しこう】するに慵【ものう】く、文字 浪【みだり】りに馳騁【ちてい】す
尚お須【すべ】からく其の頑なるを勉むべし、王事には朝請【ちょうせい】有り。


(現代語訳)
今朝は横になったまま起き上がってもいない。そのあときちんと坐わり直し、日がな一日座り通しである。
やがて虫が鳴いて部屋は暗くひっそりしてくる、そして月がすっと出てくると窓はあかるくなる。
目標を失っていて心はかきくれて道にまよったかのようにぼんやりしている、こんな時のとりとめのない考えというものは棘がささったままを我慢しているよりもひどくいためつけられるものだ。
くだらない人間関係の世であるが.人に取り入ることなどする気はない、その代りに詩文、散文を文字に起こすことばかりをやたらにやっている。
それでもこれからは自分の世間から外れの考えをつとめておさえねばならないし、天子様の御用事について出仕の義務があることには違いない。


(訳注) 6   
今晨不成起,端坐盡日景。
今朝は横になったまま起き上がってもいない。そのあときちんと坐わり直し、日がな一日座り通しである。
・今晨 けさ。晨は、朝。
・成起 ちゃんと起きてしまう。成は、ものごとの完成する意。
・端坐 きちんとすわる。端は、端正。
・日景 景は影と同じ。ここでは光りの意。日景とは日光であり、昼のあいだのことをさす。


蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
やがて虫が鳴いて部屋は暗くひっそりしてくる、そして月がすっと出てくると窓はあかるくなる。
・幽幽 人けなくくらいさま。くらくひっそりしている。
・月吐 月が山からぬっと出ること。杜甫大歴2年の作で五言律詩『月』の詩にも、「四更山吐月,. 殘夜水明樓。 塵匣元開鏡,. 風簾自上鉤。」(四更山は月を吐き、残夜水は桟に明きらかなり。)とある。
・冏冏 煌煌、烔烔と同じく、光りのあきらかな形容。


喪懷若迷方,浮念劇含梗。
目標を失っていて心はかきくれて道にまよったかのようにぼんやりしている、こんな時のとりとめのない考えというものは棘がささったままを我慢しているよりもひどくいためつけられるものだ。
・喪懐 心を失しなう。ぼんやりする。
・迷方 どうしてよいか分からず方向に迷うこと。
・浮念 とりとめのない考え。
・含梗 梗は、草木のとげ。したがって含梗は、のどに何かがひかかっていること。とげが刺さって抜けていない状況。


塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
くだらない人間関係の世であるが.人に取り入ることなどする気はない、その代りに詩文、散文を文字に起こすことばかりをやたらにやっている。
・塵埃 ちりとほこり。世間のいろいろうるさいことがらを象徴する。くだらない人間関係。
・伺候 御機嫌うかがいをする。
・浪 むやみに。やたらに。
・馳騁 はやく走る。騁は逓。


尚須勉其頑,王事有朝請。
それでもこれからは自分の世間から外れの考えをつとめておさえねばならないし、天子様の御用事について出仕の義務があることには違いない。
・頑 頑固者。ものの道理にくらく片意地をはること。
・朝請 天子に奉仕すること、すなわち官吏として出勤すること。元来、地方の諸侯が天子の御撥嫌うかがいに都へ来ることで、春のときは朝といい、秋のときは請といった。


秋懐詩十一首(5) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<105>Ⅱ中唐詩540 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1726

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
秋懐詩十一首(5) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<105>


  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩雑詩二首(二) 曹丕(魏文帝) 魏詩<7>文選 雑詩 上 627 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1725 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩秋懐詩十一首(5) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<105>Ⅱ中唐詩540 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1726 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(2) 卜居 杜甫 <354>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1727 杜甫詩 700- 531 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#13> (12/28) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『定西番三首』(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-28-4-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1728 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/
秋懐詩十一首(5) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<105>Ⅱ中唐詩540 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1726



秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。

6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


5 秋懷詩十一首 五  
離離掛空悲,戚戚抱虛警。
秋が深まると離離としていたいたしくもとりとめない悲しみに歎き、気がかりなことや警戒すべき理由のないのにびくびくするものである。
露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
いつもより高かく感じる色づいた秋の木樹に露はこぼれおち、虫は冷え込が強く永い夜を、弔意を示すかのように鳴いている。
斂退就新懦,趨營悼前猛。
さっと退いては新しい臆病な態度をとってしまうし、こんどはあくせく走りまわったりする以前のむこうみずを悲しく思うのである。
歸愚識夷塗,汲古得修綆。
愚かさに帰結し、そこに平穏な道のあることを認識する、それはむかしのことを汲み、量るためにふさわしく長いつるべも手に入れたということだ。
浮猶有恥,味薄真自幸。
そして、実が伴わず名前だけひとりあるきすることは、なお恥じなければいけないことであり、世俗への関心(欲得)の度合いがうすくすることこそほんとうに自分を幸福するものなのだということだ。
庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
どうか願うこととしてはこのような悔いることとか、咎めだてすることはすべて忘れて、ここをそのまま隠棲の地か、隠れ家にしたいと思うのである。
   
離離【りり】として空悲【くうひ】を掛け、戚戚【せきせき】として虛警【きょけい】を抱く。
露は秋樹【しゅうじゅ】の高きを泫【うる】おし、虫は寒夜の永きを弔う。
斂退【れんたい】して新懦【しんだ】に就き、趨営【すうえい】して前猛【ぜんもう】を悼【いた】む。
愚に帰って夷塗【いと】を識り、古を汲んで修綆【しゅうこう】を得たり。
名の浮しきは猶お恥ずること有り、味の薄きは真に自ずから幸いなるなり。
庶幾【こいねが】わくは悔尤【かいゆう】を遺【わす】れて、即ち此こに是れ幽屏【ゆうへい】せん。


DCF00205

『秋懷詩十一首』五 現代語訳と訳註
(本文)
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。


(下し文)
離離【りり】として空悲【くうひ】を掛け、戚戚【せきせき】として虛警【きょけい】を抱く。
露は秋樹【しゅうじゅ】の高きを泫【うる】おし、虫は寒夜の永きを弔う。
斂退【れんたい】して新懦【しんだ】に就き、趨営【すうえい】して前猛【ぜんもう】を悼【いた】む。
愚に帰って夷塗【いと】を識り、古を汲んで修綆【しゅうこう】を得たり。
名の浮しきは猶お恥ずること有り、味の薄きは真に自ずから幸いなるなり。
庶幾【こいねが】わくは悔尤【かいゆう】を遺【わす】れて、即ち此こに是れ幽屏【ゆうへい】せん。


(現代語訳)
秋が深まると離離としていたいたしくもとりとめない悲しみに歎き、気がかりなことや警戒すべき理由のないのにびくびくするものである。
いつもより高かく感じる色づいた秋の木樹に露はこぼれおち、虫は冷え込が強く永い夜を、弔意を示すかのように鳴いている。
さっと退いては新しい臆病な態度をとってしまうし、こんどはあくせく走りまわったりする以前のむこうみずを悲しく思うのである。
愚かさに帰結し、そこに平穏な道のあることを認識する、それはむかしのことを汲み、量るためにふさわしく長いつるべも手に入れたということだ。
そして、実が伴わず名前だけひとりあるきすることは、なお恥じなければいけないことであり、世俗への関心(欲得)の度合いがうすくすることこそほんとうに自分を幸福するものなのだということだ。
どうか願うこととしてはこのような悔いることとか、咎めだてすることはすべて忘れて、ここをそのまま隠棲の地か、隠れ家にしたいと思うのである。


(訳注) 5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。
秋が深まると離離としていたいたしくもとりとめない悲しみに歎き、気がかりなことや警戒すべき理由のないのにびくびくするものである。
・離離 心のきれぎれになるさま。
・掛 心にかける。掛心・掛念(心配する)の掛である。
・空悲 あてどない悲しみ。はっきり悲しむべき対象もないのに何となしに悲しいこと。
・戚戚 気がかりなさま。
・虚警 いわれのない警戒心。警戒すべき理由のないのにびくびくすること。


露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
いつもより高かく感じる色づいた秋の木樹に露はこぼれおち、虫は冷え込が強く永い夜を、弔意を示すかのように鳴いている。
・泫 涙を流すさま。ここでは、蕗が下りていることをいう。謝靈運『從斤竹澗越嶺溪行詩』「猿鳴誠知曙。穀幽光未顯。巌下雲方合。花上露猶泫。逶迤傍隈隩。迢遞陟陘峴。」とみえる。


斂退就新懦,趨營悼前猛。
さっと退いては新しい臆病な態度をとってしまうし、こんどはあくせく走りまわったりする以前のむこうみずを悲しく思うのである。
斂退 ひっこみ退く。さっと退く。
新儒 新しい臆病な態度、自分の態度についていう。
趨営 あくせく走りまわる。
前猛 以前の無鉄砲なはげしさ。新儒とともに自分についていう。


歸愚識夷塗,汲古得修綆。
愚かさに帰結し、そこに平穏な道のあることを認識する、それはむかしのことを汲み、量るためにふさわしく長いつるべも手に入れたということだ。
・夷塗 平らかなみち。塗は途と同じ。
・修綆 修はながい。綆はつるべのなわ。古代のことを知るに適当な方法をさす。


名浮猶有恥,味薄真自幸。
そして、実が伴わず名前だけひとりあるきすることは、なお恥じなければいけないことであり、世俗への関心(欲得)の度合いがうすくすることこそほんとうに自分を幸福するものなのだということだ。
・名浮 名だけがうわすべりして。実が伴わず名前だけ一人歩きする。
・味薄 味は、世味。世俗への関心(欲得)の度合い。


庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
どうか願うこととしてはこのような悔いることとか、咎めだてすることはすべて忘れて、ここをそのまま隠棲の地か、隠れ家にしたいと思うのである。
・悔尤 後悔やとがめ。悔は、自分の心で悪かったと悔いること。尤は、人が自分の悪い所をとがめること。
・幽屏 人から見えないところにかくれしりぞく。幽は隠棲する。屏は隠れ家にする。

秋懐詩十一首(4) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<104>Ⅱ中唐詩539 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1722

秋懐詩十一首(4) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<104>

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝) 魏詩<6-#2>文選 雑詩 上 626 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1721 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩秋懐詩十一首(4) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<104>Ⅱ中唐詩539 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1722 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(1) 酬高使君相贈 杜甫 <354> 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1723 杜甫詩 700- 530 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#12> (12/27) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『定西番三首(一)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-27-4-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1724 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/


秋懐詩十一首(4) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<104>Ⅱ中唐詩539 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1722


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


『秋懐詩十一首』(4)
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。
秋のけはいが日ましに心に刺されたようにいたみ悲しくなるという、秋の空は日々に高くすみきって行く。
上無枝上蜩,下無盤中蠅。
上の方の枝にあれだけ鳴いていたせみももうい無くなって、下には皿に真っ黒になってあれだけ集っていた蠅もい無い。
豈不感時節,耳目去所憎。
どういうわけか時の移り変わりというものにはひどく心をゆすぶられる、耳に聞こえる騒がしい音や目に入ってくるわずらわしいものが嫌でないところへ行きたかったであった。
清曉卷書坐,南山見高棱。
あけがたに書物を読み終えて坐りなおしてみると、終南山はその高い稜線をくっきりとあらわしたのである。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。
終南山のすそのの澄み切った池の水の中では、みずちも凍えて網ですくえるようになっているだろう。
惜哉不得往,豈謂吾無能。
だが惜しいことにわたしは出かけて行くことができないのだ、それというのもわたしに蚊を捕える能力がないのだといってもどうしようもないことだ。

秋氣 日びに惻惻とし,秋空 日びに淩淩たり。
上に 枝上の蜩【せみ】無く,下に 盤中の蠅【はえ】無し。
豈に時節に感ぜざらん,耳目して憎き所を去らんとす。
清曉【せいぎょう】書を卷いて坐するに,南山 高棱を見【あらわ】す。
其下 澄湫【ちょうしゅう】の水,蛟 寒に罾すべきもの有り。
惜しい哉 往くことを得ず,豈に吾れ能くする無しと謂はんや。


『秋懐詩十一首』(4) 現代語訳と訳註
(本文)
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。


(下し文) 4   
秋氣 日びに惻惻とし,秋空 日びに淩淩たり。
上に 枝上の蜩【せみ】無く,下に 盤中の蠅【はえ】無し。
豈に時節に感ぜざらん,耳目して憎き所を去らんとす。
清曉【せいぎょう】書を卷いて坐するに,南山 高棱を見【あらわ】す。
其下 澄湫【ちょうしゅう】の水,蛟 寒に罾すべきもの有り。
惜しい哉 往くことを得ず,豈に吾れ能くする無しと謂はんや。


(現代語訳)
秋のけはいが日ましに心に刺されたようにいたみ悲しくなるという、秋の空は日々に高くすみきって行く。
上の方の枝にあれだけ鳴いていたせみももうい無くなって、下には皿に真っ黒になってあれだけ集っていた蠅もい無い。
どういうわけか時の移り変わりというものにはひどく心をゆすぶられる、耳に聞こえる騒がしい音や目に入ってくるわずらわしいものが嫌でないところへ行きたかったであった。
あけがたに書物を読み終えて坐りなおしてみると、終南山はその高い稜線をくっきりとあらわしたのである。
終南山のすそのの澄み切った池の水の中では、みずちも凍えて網ですくえるようになっているだろう。
だが惜しいことにわたしは出かけて行くことができないのだ、それというのもわたしに蚊を捕える能力がないのだといってもどうしようもないことだ。


(訳注) 4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。

秋のけはいが日ましに心に刺されたようにいたみ悲しくなるという、秋の空は日々に高くすみきって行く。
側側 人にせまるようにはげしく感傷を要させる形容。かなしみいたむさま。側は心に刺されたようにいたみ悲しむこと。
凌凌 高いさま。犯しがたきをもって高く高くすみわたっているさま。


上無枝上蜩,下無盤中蠅。
上の方の枝にあれだけ鳴いていたせみももうい無くなって、下には皿に真っ黒になってあれだけ集っていた蠅もい無い。
・蜩 ひぐらし。ここではひろく夏から秋懸けて泣いていた蝉一般をさす。
・盤中曜 皿にたかるはえ。かつての中国では、皿にたかる蝿は、まっ黒になって、皿の中のものが見えないほどだった。唐の段成式の『酉陽雑爼』に「長安の秋は蝿が多い」といってそのさまをくわしくえがいている。うまいから、毒が盛られていないことで蠅を極端には嫌わなかった。ここでは最も厭なものとされている。


豈不感時節,耳目去所憎。
どういうわけか時の移り変わりというものにはひどく心をゆすぶられる、耳に聞こえる騒がしい音や目に入ってくるわずらわしいものが嫌でないところへ行きたかったであった。
・所憎 憎たらしいもの。やかましい蝉と、うるさい蝿。


清曉卷書坐,南山見高棱。
あけがたに書物を読み終えて坐りなおしてみると、終南山はその高い稜線をくっきりとあらわしたのである。
・巻書 読んでいた巻物の本を、まきおさめる。読書、勉学が終わること。
南山 南の方の山。ここではたぶん長安の南にある終南山。
高稜 高い山かど。終南山の稜線。


其下澄湫水,有蛟寒可罾。
終南山のすそのの澄み切った池の水の中では、みずちも凍えて網ですくえるようになっているだろう。
澄漱水 澄んだ池の水。終南山には炭谷鰍という池があり、そこには竜が住む、といい伝えられた。
 水竜。
 よっであみで捕える。


惜哉不得往,豈謂吾無能。
だが惜しいことにわたしは出かけて行くことができないのだ、それというのもわたしに蚊を捕える能力がないのだといってもどうしようもないことだ。
無能 蚊を捕える能力がない。

秋懐詩十一首(3) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<103>Ⅱ中唐詩538 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1718

◆◆◆2012年12月26日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 
雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝) 魏詩<6-#1>文選 雑詩 上 625 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1717
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67762520.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
秋懐詩十一首(3) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<103>Ⅱ中唐詩538 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1718 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6154466.html

Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、全詩1/3を掲載済。" 
成都(1)浣花渓の草堂(0)  杜甫詩 index 杜甫 <353>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1719 杜甫詩 700- 529
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6154466.html

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#11> (12/26) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-579.html
 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『酒泉子』四首(四) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-24-3-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1720 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21399047.html
 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html
秋懐詩十一首(3) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<103>Ⅱ中唐詩538 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1718


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。

3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


太行山脈001
3 秋懷詩十一首 其三   
彼時何卒卒,我志何曼曼。
振り返ればあの時間経過は何とあわただしいことなのだろうかと思うし、わたしの志について考えると何とはるばる長く遠いものなのだ。
犀首空好飲,廉頗尚能飯。
故事にある犀首は自分のなすべき仕事が与えられず、閑職のままにおかれていることが不満で酒に気をまぎらせたというし、「史記」廉頗藺相如列伝に見える廉頗は老いてもなお食欲は盛んだといったものだ。
學堂日無事,驅馬適所願。
私も教室で学んでおるには犀首の思いと同じで日々、問題事が無いし、馬を走らせて好き勝手なところへ行こうとねがっているのだ。
茫茫出門路,欲去聊自勸。
門を出て行けば道はひろびろとひろがっているのだが、わたしはこの不愉快な職をやめ隠遁したいと思ったが、まあ何とかはやる気持ちを抑えるように自制することを勧めたのである。
歸還閱書史,文字浩千萬。
そうして自宅に帰ってきて書史の書物をひろげて見返してみると、文字数は途方なものでなんと千万と数えられるものではない。
陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
書物というものは、結局むかしの人のあとをだれもがほかに尋ねて行くということで、書物の中で、つまらぬものとか好なものというのは、貴いお方へ献上しようとするものではないのだ。(勉学は誰かのためにするものではない。)
丈夫意有在,女子乃多怨。
男子はしっかりした意志をもっているということで存在するもので、女子が怨みごとを多くするというのとは違うというものだ。

秋の懷い詩 十一首 其の三   
彼の時何ぞ卒卒たらん,我が志 何ぞ曼曼たらんや。犀首【さいしゅ】空しく好飲【こういん】し,廉頗【れんぱ】尚お能飯【のうはん】す。
堂に學ぶは日びに事無く,馬を驅って願う所に適かん。茫茫たり門を出ずる路,去らんと欲すれぞ聊【いささ】か自ら勸む。
歸還【きかん】して書史を閱【けみ】するに,文字は浩として千萬。
陳跡【ちんせき】は竟に誰か尋ねん,賤嗜【せんし】は貴獻【きけん】に非ず。
丈夫は意有【いゆう】在り,女子は乃ち怨み多し。



『秋懷詩十一首』 其三 現代語訳と訳註
(本文)

彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。


(下し文)
秋の懷い詩 十一首 其の三   
彼の時何ぞ卒卒たらん,我が志 何ぞ曼曼たらんや。犀首【さいしゅ】空しく好飲【こういん】し,廉頗【れんぱ】尚お能飯【のうはん】す。
堂に學ぶは日びに事無く,馬を驅って願う所に適かん。茫茫たり門を出ずる路,去らんと欲すれぞ聊【いささ】か自ら勸む。
歸還【きかん】して書史を閱【けみ】するに,文字は浩として千萬。
陳跡【ちんせき】は竟に誰か尋ねん,賤嗜【せんし】は貴獻【きけん】に非ず。
丈夫は意有【いゆう】在り,女子は乃ち怨み多し。


(現代語訳)
振り返ればあの時間経過は何とあわただしいことなのだろうかと思うし、わたしの志について考えると何とはるばる長く遠いものなのだ。
故事にある犀首は自分のなすべき仕事が与えられず、閑職のままにおかれていることが不満で酒に気をまぎらせたというし、「史記」廉頗藺相如列伝に見える廉頗は老いてもなお食欲は盛んだといったものだ。
私も教室で学んでおるには犀首の思いと同じで日々、問題事が無いし、馬を走らせて好き勝手なところへ行こうとねがっているのだ。
門を出て行けば道はひろびろとひろがっているのだが、わたしはこの不愉快な職をやめ隠遁したいと思ったが、まあ何とかはやる気持ちを抑えるように自制することを勧めたのである。
そうして自宅に帰ってきて書史の書物をひろげて見返してみると、文字数は途方なものでなんと千万と数えられるものではない。
書物というものは、結局むかしの人のあとをだれもがほかに尋ねて行くということで、書物の中で、つまらぬものとか好なものというのは、貴いお方へ献上しようとするものではないのだ。(勉学は誰かのためにするものではない。)
男子はしっかりした意志をもっているということで存在するもので、女子が怨みごとを多くするというのとは違うというものだ。


(訳注)
彼時何卒卒,我志何曼曼。

振り返ればあの時間経過は何とあわただしいことなのだろうかと思うし、わたしの志について考えると何とはるばる長く遠いものなのだ。
・卒卒 あわただしい形容。ばたばたするさま。
・曼曼 長く遠い形容。はるばる。


犀首空好飲,廉頗尚能飯。
故事にある犀首は自分のなすべき仕事が与えられず、閑職のままにおかれていることが不満で酒に気をまぎらせたというし、「史記」廉頗藺相如列伝に見える廉頗は老いてもなお食欲は盛んだといったものだ。
犀首空好欽 犀首は、戦国時代(前四世紀―前三世紀)の魏の国の官名で、公孫衍という人が、その官になっていた。楚の使者陳軫が魏の都の梁を通りすぎて、犀首すなわち公孫衍にたずねた。
司馬遷『史記』巻七十 張儀列伝第十 陳軫と犀首
陳軫者、游説之士。与張儀倶事秦惠王。皆貴重、争寵。
・・・
過梁、欲見犀首。犀首謝弗見。
軫曰「吾為事来、公不見軫、軫将行、不得待異日。」犀首見之。
陳軫曰「公何好飲也。」犀首曰「無事也。」
曰「吾請令公厭事可乎。」曰「奈何。」
・・・
梁を過り、犀首を見んと欲す。犀首、謝. して見ず。軫曰く、「吾、事の為に来たれり。公、軫を見ず。軫将に行か. んとす。異日を待つを得ず。」犀首、之を見る。陳軫曰く、「公何ぞ飲を. 好むや。」犀首曰く、「事無ければなり。」
つまり自分のなすべき仕事が与えられず、閑職のままにおかれていることが不満で酒に気をまぎらしていることをいったものである。
簾頗尚能飯 『史記、廉頗藺相如列伝』にみえる戦国時代、趙の国の将軍である簾頗の故事。天下統一をねらう秦は白起を中心に他国への侵略を開始。廉頗と相如が健在であるうちは秦に侵攻されなかった趙も、この頃になると相如は病に倒れ、廉頗も高齢となっていた。そのため趙は廉頗のもとに使者を送って帰参を許そうと図る。廉頗は年老いても「一飯に斗米、肉十斤、甲を被り馬に上り」といわれるほどに元気な姿を使者に見せて帰参を承知した。だが廉頗が趙にいた頃から不仲だった奸臣である郭開の謀略で使者が買収されてしまう。そして趙王が廉頗の様子を伺うと、使者は「三度遺失」と讒言した。このため趙王は廉頗が高齢で使いものにならないとして諦めたという。ここでは「廉将軍老いたりと雖も、尚善く飯す。」「史記」廉頗藺相如列伝に見える。年は取ってもまだ役に立つということを意味する。


學堂日無事,驅馬適所願。
私も教室で学んでおるには犀首の思いと同じで日々、問題事が無いし、馬を走らせて好き勝手なところへ行こうとねがっているのだ。
 学校の教室。このことばから韓愈が国子監で数えていたときのことであることが分かる。
日無事 日は毎日の何の問題ごとも無く過ごす。犀首曰「無事也。」と同じ心境であることを云う。
適所願 適は、最適、適材適所、あるきまった好みの場所に行くこと。


茫茫出門路,欲去聊自勸。
門を出て行けば道はひろびろとひろがっているのだが、わたしはこの不愉快な職をやめ隠遁したいと思ったが、まあ何とかはやる気持ちを抑えるように自制することを勧めたのである。
茫茫 はてしなくひろがっている形容。
出門 真の仕事をしたい、仕事欲をあらわす。官を辞して隠遁したいという事を意味する。
欲去聊自勸 この不愉快な職をやめ隠遁したいと思ったが、まあ何とかはやる気持ちを抑えるように自制することを勧めたこと。


歸還閱書史,文字浩千萬。
そうして自宅に帰ってきて書史の書物をひろげて見返してみると、文字数は途方なものでなんと千万と数えられるものではない。
・閱 目をとおす。見返してみる。閲覧。
・書史 書籍。王朝正史、史記、四庫全書など。
・浩 ものの多い形容。


陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
書物というものは、結局むかしの人のあとをだれもがほかに尋ねて行くということで、書物の中で、つまらぬものとか好なものというのは、貴いお方へ献上しようとするものではないのだ。(勉学は誰かのためにするものではない。))
・陳跡 むかしの人の行った事跡。
・戚嗜 下品な好み。
・貴献 食い入へのささげもの。この「餞嗜非貴献」とは、自分ですきだからといっても、つまらないもので、立派な人に献納できる与ったものではない、という零


丈夫意有在,女子乃多怨。
男子はしっかりした意志をもっているということで存在するもので、女子が怨みごとを多くするというのとは違うというものだ。
・丈夫 一人前のおとこ。男たるものというほどの意味。人間のおとなの身のたけが、むかしのものさしで一丈だったからだという。
・意有在 考えが一つのしっかりしたものを持っているということで初めて存在意義があるということ。。
・女子 おんな。
・乃 かえって。~の方こそ。
・多怨 女性の存在価値が低いこと。心情を通わすことで存在しているとしている。子を通じての夫、一族を考える存在。

秋懐詩十一首(2) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<102>Ⅱ中唐詩537 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1714


◆◆◆2012年12月25日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 
燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝) 魏詩<5>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 女性詩624 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1713 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67761873.html

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
秋懐詩十一首(2) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<102>Ⅱ中唐詩537 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1714 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6152748.html

Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、全詩1/3を掲載済。" 
杜甫詩 成都紀行まとめ(詩index)  <353> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1715 杜甫詩 700- 528 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67761127.html

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#10> (12/25) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-578.html
 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『酒泉子』 四首(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-23-3-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1716 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21374297.html
 
謝靈運詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html

秋懐詩十一首(2) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<102>Ⅱ中唐詩537 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1714


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。

3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。

岳陽樓003

秋懐詩十一首 其二(2) 韓愈 韓退之(韓愈)詩
白露下百草,蕭蘭共雕悴。
白露がにわの百草におりはじめれば、蓬も蘭もいっしょにしおれるし、枯れるものである。
青青四牆下,已複生滿地。
しかし春になるとまた四方の士べいの根もとに、青靑と地面いっぱい生い茂るのである。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。
ひぐらしぜみがしばらく鳴かなくなって静寂になるとこんどは、こおろぎがせいいっぱい鳴きまくるのである。
運行無窮期,稟受氣苦異。
天地万物の廻り行き、時の流れは突き詰めると正確無比に決まっているわけではない、天から授かるものはめいめいが受けている精気が大変ちがっていて、本質的に大きなちがいがあるのである。
適時各得所,松柏不必貴。

それぞれの季節によくあっていて、おのおのその場所を得さえすれば、松も東で檜は西がよいとすればこれらだけを貴ぶことはないのである。

白露 百草に下り,蕭蘭【しょうらん】共に雕悴【ちょうすい】す。
青青たり四牆【ししょう】の下,已に複た生じて地に滿つる。
寒蟬【かんぜん】暫く寂寞【せきばく】たるに,蟋蟀【しつしゅつ】自ら恣しいままに鳴く。
運行窮期無く,稟受【ひんじゅ】氣 苦【はなは】だ異る。
時に適【かな】いて各の所を得れば,松柏 必ずしも貴しとせず。


『秋懐詩十一首 其二』 現代語訳と訳註
(本文)

白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。

(下し文)
白露 百草に下り,蕭蘭【しょうらん】共に雕悴【ちょうすい】す。
青青たり四牆【ししょう】の下,已に複た生じて地に滿つる。
寒蟬【かんぜん】暫く寂寞【せきばく】たるに,蟋蟀【しつしゅつ】自ら恣しいままに鳴く。
運行窮期無く,稟受【ひんじゅ】氣 苦【はなは】だ異る。
時に適【かな】いて各の所を得れば,松柏 必ずしも貴しとせず。


(現代語訳)
白露がにわの百草におりはじめれば、蓬も蘭もいっしょにしおれるし、枯れるものである。
しかし春になるとまた四方の士べいの根もとに、青靑と地面いっぱい生い茂るのである。
ひぐらしぜみがしばらく鳴かなくなって静寂になるとこんどは、こおろぎがせいいっぱい鳴きまくるのである。
天地万物の廻り行き、時の流れは突き詰めると正確無比に決まっているわけではない、天から授かるものはめいめいが受けている精気が大変ちがっていて、本質的に大きなちがいがあるのである。
それぞれの季節によくあっていて、おのおのその場所を得さえすれば、松も東で檜は西がよいとすればこれらだけを貴ぶことはないのである。


(訳注)
白露下百草,蕭蘭共雕悴。

白露がにわの百草におりはじめれば、蓬も蘭もいっしょにしおれるし、枯れるものである。
・白露下 白露の下るのは、秋になったしるしである。『礼記』月令篇孟秋月「涼風至,白露降,寒蟬鳴,鷹乃祭鳥,用始行戮。」とある。宋玉『九辨』に、
悲哉秋之為氣也!蕭瑟兮草木搖落而變衰,
憭慄兮若在遠行,登山臨水兮送將歸,
泬寥兮天高而氣清,寂寥兮收潦而水清,
憯悽欷兮薄寒之中人,愴怳懭悢兮去故而就新,
坎廩兮貧士失職而志不平,廓落兮羇旅而無友生。
惆悵兮而私自憐。
燕翩翩其辭歸兮,蝉寂漠而無聲。
鴈廱廱而南遊兮,鶤鵾雞啁哳而悲鳴。
獨申旦而不寐兮,哀蟋蟀之宵征。
時亹亹而過中兮,蹇淹留而無成。
・・・・
皇天平分四时兮,窃独悲此凛秋。白露既下降百草兮,奄离披此梧楸。去白日之昭昭兮,袭长夜之悠悠。
・蕭蘭 蕭はよもぎ。つまり雑草の代表である。謂蘭は、よもぎのようなつまらぬ草も蘭のようなよいかおりのするりっはな草も、というほどの意味。 
・共 いっしょに。ひとまとめに。
・雕悴 しおれるしこと、おとろえること。


青青四牆下,已複生滿地。
しかし春になるとまた四方の士べいの根もとに、青靑と地面いっぱい生い茂るのである。
青青 五行思想で春は青である。
四牆 まわりの土べい。


寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。
ひぐらしぜみがしばらく鳴かなくなって静寂になるとこんどは、こおろぎがせいいっぱい鳴きまくるのである。
寒蟬 ひぐらし。つくづくぼうし。『礼記』月令篇孟秋月「涼風至,白露降,寒蟬鳴,鷹乃祭鳥,用始行戮。」とある。
・蟋蟀 こおろぎ。宋玉九弁は上記。『詩経』豳風七月こおろぎ。古詩十九首之第十二首『』「晨風懷苦心,蟋蟀傷局促。」

『詩経・唐風、蟋蟀』の篇名。晋の僖公が倹約に過ぎるのをそしった詩。今楽しまなければ月日はサッサと去って行く。勤勉で油断をしない人になれという内容のもの。

詩経・唐風、蟋蟀詩経・唐風、蟋蟀 
蟋蟀在堂、歲聿其莫。 今我不樂、日月其除。
無已大康、職思其居。 好樂無荒、良士瞿瞿。

蟋蟀在堂、歲聿其逝。 今我不樂、日月其邁。
無已大康、職思其外。 好樂無荒、良士蹶蹶。

蟋蟀在堂、役車其休。 今我不樂、日月其慆。
無已大康、職思其憂。 好樂無荒.良士休休。


運行無窮期,稟受氣苦異。
天地万物の廻り行き、時の流れは突き詰めると正確無比に決まっているわけではない、天から授かるものはめいめいが受けている精気が大変ちがっていて、本質的に大きなちがいがあるのである。
・運行 万物の時の流れ、天地自然のめぐり行き。「太陽星君、日宮炎光太陽星君」,「大明之神」,「太陽帝君」、「太陽公」いうが、「太陽帝君乃陽剛之神,司日之運行,掌火焰之輕重,日由東升,再由西墜,光熙普照大地」
・稟受 めいめい天から授けられていること。
・気苦異 めいめいが受けている精気が大変ちがっていて、本質的に大きなちがいがある。


適時各得所,松柏不必貴。
それぞれの季節によくあっていて、おのおのその場所を得さえすれば、松も東で檜は西がよいとすればこれらだけを貴ぶことはないのである。
・適時 その時節によくあっていて。
・得所 自分に過当な場所を得る。
・松柏 まつやひのきは、冬でも青いが、それは天から授けられた精気のちがいで、めいめいその自分自分に与えられた時節に存分にすごし、自分の安んずべき位置を得ていれば、それがよいので、冬青いからといって特に尊重する必要はないというのである。「論語」子罕篇に「子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。」(子曰く、歳寒くして、然る後、松柏の彫むに後るるを知る。)と儒家は松柏を尊ぶものとしているが、それをここでは否定している。


秋懐詩十一首(1)-#2 韓愈 韓退之(韓愈)詩<101>Ⅱ中唐詩536 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1710

秋懐詩十一首(1)-#2 韓退之(韓愈)詩

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩秋懐詩十一首(1)-#2 韓愈 韓退之(韓愈)詩<101>Ⅱ中唐詩536 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1710 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(12)”  成都府 杜甫詩1000 <352>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1711 杜甫1500- 527 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#9> (12/24) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『酒泉子』四首(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-22-3-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1704 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/



秋懐詩十一首(1)-#2 韓退之(韓愈)詩<101>Ⅱ中唐詩536 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1710

終南山03

秋懐詩十一首(1) #1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一披拂,策策鳴不已。
書斎の窓の前の二本の見事な樹があり、茂りあった葉がキラキラいきいきと輝いている。
それでも秋風の突風がぴゅうっと吹きつけはじめると、ざわわざわわ木の葉を鳴らし、いつまでも鳴りやまない。

微燈照空牀,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。

ほの暗いともしびが人気のない寝床を照らしている。今夜の夜ふけに風の音がことさらに耳について眠れない。
過去の愁いと先の心配事がどういうわけか気になって離れない、胸にせまってくるそれらの思いであたまがさえおきあがって坐り直してしまうのだ。
#2
天明視顏色,與故不相似。
天が明るくなったので自分の顔かたちをじっと見つめて視る。どういうわけか、今まで自分と似ても似つかない顔である。
羲和驅日月,疾急不可恃。
義和の神も、その馭者もが日月の馬車を速く走らせてしまうので、それがあまりに急に進むので、この世の時間をあてにはできないのである。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。
当てにできないのは不安定な人生にもいえて、多種多様な道があるというけれども、死に着くところは両車輪のあいだの轍の上を通ってきたのと同じことなのだ。
胡為浪自苦,得酒且歡喜。
だからどうしてそうむやみに自分を苦しめるのだろうか、酒を手にして、まあ、歓談し、愉快にやろうではないか。


秋の懐の詩
窗前【そうぜん】の両好樹、衆葉光って薿薿【ぎぎ】たり。
秋風一たび披沸【ひふつ】すれば、策策として鳴り己まず。
微燈 空牀【くうしょう】を照し、夜半【やはん】 偏に耳に入る。
愁憂 端無くも来り、感歎して坐起を成す。
#2
天明けて顔色を視るに、故【もよ】と相似ず。
義和の日月を駆るは、疾急にして恃【たの】むべからず。
浮生 多塗なりと雖も、死に趨【おもむ】くは惟れ軌を一にす。
胡【なん】すれぞ浪【みだり】に自ら苦むや、酒を得ては且つ歓喜せよ。



『秋懐詩十一首』(1) 現代語訳と訳註
(本文)
#2
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。


(下し文) #2
天明けて顔色を視るに、故【もよ】と相似ず。
義和の日月を駆るは、疾急にして恃【たの】むべからず。
浮生 多塗なりと雖も、死に趨【おもむ】くは惟れ軌を一にす。
胡【なん】すれぞ浪【みだり】に自ら苦むや、酒を得ては且つ歓喜せよ。


(現代語訳)
天が明るくなったので自分の顔かたちをじっと見つめて視る。どういうわけか、今まで自分と似ても似つかない顔である。
義和の神も、その馭者もが日月の馬車を速く走らせてしまうので、それがあまりに急に進むので、この世の時間をあてにはできないのである。
当てにできないのは不安定な人生にもいえて、多種多様な道があるというけれども、死に着くところは両車輪のあいだの轍の上を通ってきたのと同じことなのだ。
だからどうしてそうむやみに自分を苦しめるのだろうか、酒を手にして、まあ、歓談し、愉快にやろうではないか。


(訳注) #2
天明視顏色,與故不相似。
天が明るくなったので自分の顔かたちをじっと見つめて視る。どういうわけか、今まで自分と似ても似つかない顔である。
○顏色 韓愈の自分の顔色。
〇故もとの状態。


羲和驅日月,疾急不可恃。
義和の神も、その馭者もが日月の馬車を速く走らせてしまうので、それがあまりに急に進むので、この世の時間をあてにはできないのである。
○義和 日の神であり、日を乗せる馬車の御者とも考えられ、更には、二つの名に分けて、暦法を定めた人ともされた。「山海経」に記載のある太陽の母神であり、炎帝に属し東夷人の先祖にあたる帝俊の妻。東海の海の外、甘水のほとりに義和の国があり、そこに生える世界樹・扶桑の下に住む女神である義和は、子である「十の太陽たち」を世話している。天を巡ってきてくたびれた太陽を湯谷で洗っては扶桑の枝にかけて干し、輝きを蘇らせるという。ここでは日の御者としての義和とすると、時間を進める御者として、義和をいっているから、日月といってもそう矛盾を感じないものである。


浮生雖多塗,趨死惟一軌。
当てにできないのは不安定な人生にもいえて、多種多様な道があるというけれども、死に着くところは両車輪のあいだの轍の上を通ってきたのと同じことなのだ。
○浮生 浮世暮らし。不安定なこの人生。
○塗 みち。途と同じ。
一軌 軌は両車輪のあいだのはば。それからその通る路線。一軌は同じコースをたどること。


胡為浪自苦,得酒且歡喜。
だからどうしてそうむやみに自分を苦しめるのだろうか、酒を手にして、まあ、歓談し、愉快にやろうではないか。
○胡為 なぜ。どういうわけで。
○浪 むやみに。むだぼねを折って。
○且 まあ、と。

秋懐詩十一首(1) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<100>Ⅱ中唐詩535 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1706

秋懐詩十一首(1) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<100>Ⅱ中唐詩535 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1706


秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。


終南山03

秋懐詩十一首(1) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<100>


秋懐詩十一首(1) #1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。
書斎の窓の前の二本の見事な樹があり、茂りあった葉がキラキラいきいきと輝いている。
秋風一披拂,策策鳴不已。
それでも秋風の突風がぴゅうっと吹きつけはじめると、ざわわざわわ木の葉を鳴らし、いつまでも鳴りやまない。
微燈照空牀,夜半偏入耳。
ほの暗いともしびが人気のない寝床を照らしている。今夜の夜ふけに風の音がことさらに耳について眠れない。
愁憂無端來,感歎成坐起。
過去の愁いと先の心配事がどういうわけか気になって離れない、胸にせまってくるそれらの思いであたまがさえおきあがって坐り直してしまうのだ。
#2
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。

秋の懐の詩
窗前【そうぜん】の両好樹、衆葉光って薿薿【ぎぎ】たり。
秋風一たび披沸【ひふつ】すれば、策策として鳴り己まず。
微燈 空牀【くうしょう】を照し、夜半【やはん】 偏に耳に入る。
愁憂 端無くも来り、感歎して坐起を成す。

#2
天明けて顔色を視るに、故【もよ】と相似ず。
義和の日月を駆るは、疾急にして恃【たの】むべからず。
浮生 多塗なりと雖も、死に趨【おもむ】くは惟れ軌を一にす。
胡【なん】すれぞ浪【みだり】に自ら苦むや、酒を得ては且つ歓喜せよ。


『秋懐詩十一首』(1) 現代語訳と訳註
(本文)
1 #1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一披拂,策策鳴不已。
微燈照空牀,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。


(下し文) 秋の懐の詩
窗前【そうぜん】の両好樹、衆葉光って薿薿【ぎぎ】たり。
秋風一たび披沸【ひふつ】すれば、策策として鳴り己まず。
微燈 空牀【くうしょう】を照し、夜半【やはん】 偏に耳に入る。
愁憂 端無くも来り、感歎して坐起を成す。


(現代語訳)
書斎の窓の前の二本の見事な樹があり、茂りあった葉がキラキラいきいきと輝いている。
それでも秋風の突風がぴゅうっと吹きつけはじめると、ざわわざわわ木の葉を鳴らし、いつまでも鳴りやまない。
ほの暗いともしびが人気のない寝床を照らしている。今夜の夜ふけに風の音がことさらに耳について眠れない。
過去の愁いと先の心配事がどういうわけか気になって離れない、胸にせまってくるそれらの思いであたまがさえおきあがって坐り直してしまうのだ。


(訳注) 1 #1   
秋懐詩十一首(1)
秋の自然の衰え行くに感じて作った詩。連作の形式をとっている。阮籍(210-263年)の詠懐持、謝惠連(397-433年)の秋懐詩など先行の詩の影響が強い。806年元和元年の作とも812年元和七年の作ともいわれるが、内容からいって、元和七年、四十五歳のとき、職方員外郎から、ある事件に関係したため、国子博士に降任させられたときの作とする方が妥当なようである。


窗前兩好樹,眾葉光薿薿。
書斎の窓の前の二本の見事な樹があり、茂りあった葉がキラキラいきいきと輝いている。
・窗 窓と同じ。下の句から東、東南の日が射す窓であるから書斎のまどである。
・薿薿 草木のいきおいよく生えているさま。


秋風一披拂,策策鳴不已。
それでも秋風の突風がぴゅうっと吹きつけはじめると、ざわわざわわ木の葉を鳴らし、いつまでも鳴りやまない。
・披払 吹き払う。ぴゅうっと風のふきつけるさま。
・策策 風が木の葉をさらさらと鳴らすおと。


微燈照空牀,夜半偏入耳。
ほの暗いともしびが人気のない寝床を照らしている。今夜の夜ふけに風の音がことさらに耳について眠れない。
・偏 そればかりがむやみと。


愁憂無端來,感歎成坐起。
過去の愁いと先の心配事がどういうわけか気になって離れない、胸にせまってくるそれらの思いであたまがさえおきあがって坐り直してしまうのだ。
・無端 どういうわけかわからないが。ゆくりなく。
・成 その状態(ここでは坐起)が完成することをいう。

誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#2>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702

誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#2>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(11)”  鹿頭山 杜甫詩1000 <351>#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1703 杜甫1500- 525 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩 (12/22) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩温庭筠 菩薩蛮 14首index(2) まとめ-2 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#2>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702

誰氏子
非癡非狂誰氏子,去入王屋稱道士。
痴呆というのではないし、一つの事だけで他が見えないというほどでもないがだれでどこの家の子であろうか、ここを去って王屋山に入って道士になるというらしい。
白頭老母遮門啼,挽斷衫袖留不止。
道士になろうとした息子を白髪頭の老母は門をさえぎるようにして啼いて、着物の袖を引っ張って留めようとするのを振り払って止められなかったのだ。
翠眉新婦年二十,載送還家哭穿市。
翠の眉の新婦である嫁の年はまだ二十なのである。実家に送り還えされるのだが、その哭き声は、市中をつんざくほどの声でわめいたのだ。
或雲欲學吹鳳笙,所慕靈妃媲蕭史。
或はこうも言う「鳳凰の笙笛を吹き方を学ぼうとして むかしの仙人の蕭史に嫁いだ弄玉みたいな仙女をもらうつもりだろう」という人があるのだ。
又雲時俗輕尋常,力行險怪取貴仕。

またこうも云う「現在の世俗の人たちは、あたりまえのことを軽蔑して、目先のかわったことをよろこぶ。
幻奇なあやしげなことをむりにやってのけて、それで高い地位をえようとする。」という人もあるのである。

神仙雖然有傳說,知者盡知其妄矣。
神仙思想についてはご承知の通りこれまでもさまざまの諸伝説あるとはいうものの、知識人のものはそれがことごとく迷信や、無知で盲目的に信じられて来たことを知っている。
聖君賢相安可欺,乾死窮山竟何俟。
聖人の天子、君主や賢い宰相を簡単に欺たりできようか、ひからびてミイラのようになるまで待ってみたところで山奥の奥で塵となって尽き果てるというものでしかない。
嗚呼余心誠豈弟,願往教誨究終始。
ああ、わたしが心の底から思うことはどうして一緒に和して楽しいということになろうか。ほんとうに可哀そうでしかたがないのだ。思い願うことはなんとか出かけていって教えてやり、事の始終をさとらせたいということだ。
罰一勸百政之經,不從而誅未晚耳。
「罰一勸百」ということは、一個人を罰するのは衆人をついてこさせるためであり、一個人を賞賛してやることは百人が進んで行うようになる政治の根本をいうのであり、とはいえ、どうにも聞く耳を持たないというなら、それから天誅を下しても、おそすぎるということにはならいのだ。
誰其友親能哀憐,寫吾此詩持送似。
こうなったら、だれか、友人親戚で愛情をもっている人が、わたしのこの詩を写しとって持ってゆき、その「誰かさん」に渡してやってくれないだろうか。

誰が氏の子

痴に非らず 狂に非ず 誰が氏の子ぞ,去りて王屋に入り道士と稱す。
白頭の老母 門を遮りて啼き,衫袖【さんしゅう】を挽斷【ばんだん】して留むれど止まらず。
翠眉の新婦 年二十,載送して 家に還らしむるに哭すこと 市を穿【うがて】り。
或は雲【い】う 「鳳笙を吹くを學ばんと欲し,慕う所は靈妃【れいひ】の蕭史【しょうし】の媲【へい】せしこと。」 と。
又 雲う 「時俗【じぞく】尋常を輕ろんずれば,力【つと】めて險怪【けんかい】を行い貴仕を取らんとす。」 と。

神仙 然【しか】く傳說【ふせつ】有りと雖も,知者は盡【ことごと】く其の妄なるを知る矣。
聖君と賢相とを 安んぞ欺く可けむ、窮山に乾死【】すとも 竟に何をか俟【ま】たむ。
鳴呼 余が心 誠に豈弟【がいてい】たらむや、願はくは 往きて教誨【きょうかい】し 終始を窮めむ。
一を罰し 百を勸むるは 政【まつりごと】の経、従はずして誅するも 未だ晩からざるのみ。
誰か其の友親の能く哀憐【あいりん】するもの、吾が此の詩を写し持して送りて 似【あた】へよ

fuyu0005

現代語訳と訳註
(本文)

神仙雖然有傳說,知者盡知其妄矣。
聖君賢相安可欺,乾死窮山竟何俟。
嗚呼余心誠豈弟,願往教誨究終始。
罰一勸百政之經,不從而誅未晚耳。
誰其友親能哀憐,寫吾此詩持送似。


(下し文)
神仙 然【しか】く傳說【ふせつ】有りと雖も,知者は盡【ことごと】く其の妄なるを知る矣。
聖君と賢相とを 安んぞ欺く可けむ、窮山に乾死【】すとも 竟に何をか俟【ま】たむ。
鳴呼 余が心 誠に豈弟【がいてい】たらむや、願はくは 往きて教誨【きょうかい】し 終始を窮めむ。
一を罰し 百を勸むるは 政【まつりごと】の経、従はずして誅するも 未だ晩からざるのみ。
誰か其の友親の能く哀憐【あいりん】するもの、吾が此の詩を写し持して送りて 似【あた】へよ


(現代語訳)
神仙思想についてはご承知の通りこれまでもさまざまの諸伝説あるとはいうものの、知識人のものはそれがことごとく迷信や、無知で盲目的に信じられて来たことを知っている。
聖人の天子、君主や賢い宰相を簡単に欺たりできようか、ひからびてミイラのようになるまで待ってみたところで山奥の奥で塵となって尽き果てるというものでしかない。
ああ、わたしが心の底から思うことはどうして一緒に和して楽しいということになろうか。ほんとうに可哀そうでしかたがないのだ。思い願うことはなんとか出かけていって教えてやり、事の始終をさとらせたいということだ。
「罰一勸百」ということは、一個人を罰するのは衆人をついてこさせるためであり、一個人を賞賛してやることは百人が進んで行うようになる政治の根本をいうのであり、とはいえ、どうにも聞く耳を持たないというなら、それから天誅を下しても、おそすぎるということにはならいのだ。
こうなったら、だれか、友人親戚で愛情をもっている人が、わたしのこの詩を写しとって持ってゆき、その「誰かさん」に渡してやってくれないだろうか。


(訳注)
神仙雖然有傳說,知者盡知其妄矣。

神仙思想についてはご承知の通りこれまでもさまざまの諸伝説あるとはいうものの、知識人のものはそれがことごとく迷信や、無知で盲目的に信じられて来たことを知っている。


聖君賢相安可欺,乾死窮山竟何俟。
聖人の天子、君主や賢い宰相を簡単に欺たりできようか、ひからびてミイラのようになるまで待ってみたところで山奥の奥で塵となって尽き果てるというものでしかない。
・乾死 ひからびて死ぬ。飢死すること。故なくして枉死し、ミイラのようになること。


嗚呼余心誠豈弟,願往教誨究終始。
ああ、わたしが心の底から思うことはどうして一緒に和して楽しいということになろうか。ほんとうに可哀そうでしかたがないのだ。思い願うことはなんとか出かけていって教えてやり、事の始終をさとらせたいということだ。
・豈弟 『詩経』斉風載駆に詩経 斉風載駆 斉子豈弟「斉の子は豈弟たり」小雅蓼蕭に 「既に君子に見れば、孔(はなは)だ燕(宴)は豈弟(和して楽しい)。」とみえ、やすらぎたのしむ、という意。ここでは平気でいられようかという反語である。


罰一勸百政之經,不從而誅未晚耳。
「罰一勸百」ということは、一個人を罰するのは衆人をついてこさせるためであり、一個人を賞賛してやることは百人が進んで行うようになる政治の根本をいうのであり、とはいえ、どうにも聞く耳を持たないというなら、それから天誅を下しても、おそすぎるということにはならいのだ。
・罰一勸百政之經 『例子』「子曰:‘賞一以勸百,罰一以懲眾。」一個人を罰するのは衆人をついてこさせるためであって一個人を賞賛してやることに基づく。


誰其友親能哀憐,寫吾此詩持送似。
こうなったら、だれか、友人親戚で愛情をもっている人が、わたしのこの詩を写しとって持ってゆき、その「誰かさん」に渡してやってくれないだろうか。
・似 あたえる。







誰氏子 韓退之(韓愈)詩<99-#1>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702

誰氏子 韓愈

◆◆◆2012年12月21日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 

於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 

誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#1>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6144076.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 

”成都紀行(11)”  鹿頭山 杜甫詩1000 <351>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1699 杜甫1500- 524 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67758700.html


Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#6> (12/21)
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-574.html
 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
温庭筠 菩薩蛮 14首index(1) 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21204898.html
 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html


誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#1>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702


誰氏子
非癡非狂誰氏子,去入王屋稱道士。
痴呆というのではないし、一つの事だけで他が見えないというほどでもないがだれでどこの家の子であろうか、ここを去って王屋山に入って道士になるというらしい。
白頭老母遮門啼,挽斷衫袖留不止。
道士になろうとした息子を白髪頭の老母は門をさえぎるようにして啼いて、着物の袖を引っ張って留めようとするのを振り払って止められなかったのだ。
翠眉新婦年二十,載送還家哭穿市。
翠の眉の新婦である嫁の年はまだ二十なのである。実家に送り還えされるのだが、その哭き声は、市中をつんざくほどの声でわめいたのだ。
或雲欲學吹鳳笙,所慕靈妃媲蕭史。
或はこうも言う「鳳凰の笙笛を吹き方を学ぼうとして むかしの仙人の蕭史に嫁いだ弄玉みたいな仙女をもらうつもりだろう」という人があるのだ。
又雲時俗輕尋常,力行險怪取貴仕。

またこうも云う「現在の世俗の人たちは、あたりまえのことを軽蔑して、目先のかわったことをよろこぶ。
幻奇なあやしげなことをむりにやってのけて、それで高い地位をえようとする。」という人もあるのである。

神仙雖然有傳說,知者盡知其妄矣。
聖君賢相安可欺,乾死窮山竟何俟。
嗚呼余心誠豈弟,願往教誨究終始。
罰一勸百政之經,不從而誅未晚耳。
誰其友親能哀憐,寫吾此詩持送似。

誰が氏の子

痴に非らず 狂に非ず 誰が氏の子ぞ,去りて王屋に入り道士と稱す。
白頭の老母 門を遮りて啼き,衫袖【さんしゅう】を挽斷【ばんだん】して留むれど止まらず。
翠眉の新婦 年二十,載送して 家に還らしむるに哭すこと 市を穿【うがて】り。
或は雲【い】う 「鳳笙を吹くを學ばんと欲し,慕う所は靈妃【れいひ】の蕭史【しょうし】の媲【へい】せしこと。」 と。
又 雲う 「時俗【じぞく】尋常を輕ろんずれば,力【つと】めて險怪【けんかい】を行い貴仕を取らんとす。」 と。

神仙 然【しか】く傳說【ふせつ】有りと雖も,知者は盡【ことごと】く其の妄なるを知る矣。
聖君と賢相とを 安んぞ欺く可けむ、窮山に乾死【】すとも 竟に何をか俟【ま】たむ。
鳴呼 余が心 誠に豈弟【がいてい】たらむや、願はくは 往きて教誨【きょうかい】し 終始を窮めむ。
一を罰し 百を勸むるは 政【まつりごと】の経、従はずして誅するも 未だ晩からざるのみ。
誰か其の友親の能く哀憐【あいりん】するもの、吾が此の詩を写し持して送りて 似【あた】へよ


真竹002
『誰氏子』 現代語訳と訳註
(本文) 誰氏子

非癡非狂誰氏子,去入王屋稱道士。
白頭老母遮門啼,挽斷衫袖留不止。
翠眉新婦年二十,載送還家哭穿市。
或雲欲學吹鳳笙,所慕靈妃媲蕭史。
又雲時俗輕尋常,力行險怪取貴仕。


(下し文)
誰が氏の子

痴に非らず 狂に非ず 誰が氏の子ぞ,去りて王屋に入り道士と稱す。
白頭の老母 門を遮りて啼き,衫袖【さんしゅう】を挽斷【ばんだん】して留むれど止まらず。
翠眉の新婦 年二十,載送して 家に還らしむるに哭すこと 市を穿【うがて】り。
或は雲【い】う 「鳳笙を吹くを學ばんと欲し,慕う所は靈妃【れいひ】の蕭史【しょうし】の媲【へい】せしこと。」 と。
又 雲う 「時俗【じぞく】尋常を輕ろんずれば,力【つと】めて險怪【けんかい】を行い貴仕を取らんとす。」 と。


(現代語訳)
痴呆というのではないし、一つの事だけで他が見えないというほどでもないがだれでどこの家の子であろうか、ここを去って王屋山に入って道士になるというらしい。
道士になろうとした息子を白髪頭の老母は門をさえぎるようにして啼いて、着物の袖を引っ張って留めようとするのを振り払って止められなかったのだ。
翠の眉の新婦である嫁の年はまだ二十なのである。実家に送り還えされるのだが、その哭き声は、市中をつんざくほどの声でわめいたのだ。
或はこうも言う「鳳凰の笙笛を吹き方を学ぼうとして むかしの仙人の蕭史に嫁いだ弄玉みたいな仙女をもらうつもりだろう」という人があるのだ。
またこうも云う「現在の世俗の人たちは、あたりまえのことを軽蔑して、目先のかわったことをよろこぶ。
幻奇なあやしげなことをむりにやってのけて、それで高い地位をえようとする。」という人もあるのである。


(訳注)
誰氏子

・誰氏子 巻五。『荘子』外物眉に「其の誰氏の子なるかを知らず」 の語がみえる。どこの家の子かしらないが、というほどの意味であるが、この人物は河南府の副官李素のことで、この人物は正直者で権力者に全くおもねらなかったため左遷など、小人輩に貶められた。名前を伏せて正当に評価することにしたものである。唐宋八大家文読本巻六『河南少尹李公墓誌銘』明治書院発行同読本(二)のP572~P583にある。この詩の内容についてはP576に詳しく表されている。
『河南少尹李公墓誌銘』「拝河南少尹、行大尹事、呂氏子炅 ,棄其妻,著道士衣冠,謝母曰:「當學仙王屋山。」去數月復出。間詣公,公立之府門外,使吏卒脫道士冠,給冠帶,送付其母。黜屬令二人以臓,減民賦錢歲五千萬,請緩民輸期一月。 詔天下輸皆緩一月。公一斷治,不收聲,事常出名上。 曾祖弘泰,簡州刺史;祖乾秀,伊闕令;父燮,宣州長史,贈絳州刺史,母夫人敦煌張氏,其舅參有大名。公之配曰彭城劉氏夫人,夫人先卒,其葬以夫人祔。夫人曾祖曰子玄,祖曰餗,皆有大名。公之子男四人,長曰道敏,舉進士;其次曰道樞,其次曰道本、道易,皆好學而文。 女一人,嫁蘇之海鹽尉韋潛。自簡州而下,皆葬鳴皋山下。銘曰: 高其上而坎其中,以為公之宮,奈何乎公!

「河南少尹李公墓誌銘」に「河南少尹を拝し大尹の事を行ひしとき呂氏の子炅、その事を棄てて遣士の衣冠を書け、母に謝して日く、当に仙を王屋山に学ぶべし、と。去って数ヶ月にして復た出づ。間に公に詣る。
公、これを府の門外に立たしめ、吏をして道士の冠を脱せしめ、冠帯を給し、その母に送付しむ」とみえらから、それが誰かはわからなかったわけではない。墓誌銘のように一部の人にしか、読まれないものと違って、詩歌はひろく世間にゆきわたものなので、そこに名を記すことは公を貶めたものに対して喧嘩を売ることになり、問題を大きくすることになる。今日ならともかく千年以上前の貴族社会では韓愈の詩の雰囲気でも勇気のいることである。


非癡非狂誰氏子,去入王屋稱道士。
痴呆というのではないし、一つの事だけで他が見えないというほどでもないがだれでどこの家の子であろうか、ここを去って王屋山に入って道士になるというらしい。
・王屋山 河南省済源市境内にあり、総面積は272.47平方キロメートルである。古代九大名山の一つとして、道教「天下第一洞天」で軒轅黄帝の天祭り場所であるほかに、『愚公山を移す』寓言の発祥地である


白頭老母遮門啼,挽斷衫袖留不止。
道士になろうとした息子を白髪頭の老母は門をさえぎるようにして啼いて、着物の袖を引っ張って留めようとするのを振り払って止められなかったのだ。
挽斷 ちぎるというほど必死になってひっぱる。


翠眉新婦年二十,載送還家哭穿市。
翠の眉の新婦である嫁の年はまだ二十なのである。実家に送り還えされるのだが、その哭き声は、市中をつんざくほどの声でわめいたのだ。
・翠屑 うつくしい眉。眉によってその容貌全体を代表させている。
・載送還家 実家にかえすこと。姑の我儘で実家に還される長編詩、古詩源 巻三『為焦仲卿妻作』十三場面の31回の為焦仲卿妻作-其一(1) 漢詩<144>古詩源 巻三 女性詩584 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1569よくある話のようだが、ここでは道士になるということで還されるのである。


或雲欲學吹鳳笙,所慕靈妃媲蕭史。
或はこうも言う「鳳凰の笙笛を吹き方を学ぼうとして むかしの仙人の蕭史に嫁いだ弄玉みたいな仙女をもらうつもりだろう」という人があるのだ。
・鳳笙 『列仙伝』に「簫史者、秦穆公時人也。善吹簫、穆公有女號弄玉、好之、遂以妻焉。遂教弄玉作鳳鳴。居數十年、吹似鳳凰、鳳凰來止其屋、為作鳳臺、夫婦止其下。不數年、一旦隨鳳凰飛去。」(秦の穆公の時、蕭史あり、善く簫を吹く。公の女弄玉これを好む。公もって奏す。遂に弄玉に教へて鳳鴫をなす。居ること数年、吹くに鳳凰の声あり。鳳来ってその星に止まる。公、為に鳳台を作る。夫妻その上に止りしが、一旦、みな鳳凰に随って飛去す)とみえる。
・霊妃 秦の穆公の女の弄玉。
・地 配偶する。
・蕭史 『列仙伝』にある。


又雲時俗輕尋常,力行險怪取貴仕。
またこうも云う「現在の世俗の人たちは、あたりまえのことを軽蔑して、目先のかわったことをよろこぶ。
幻奇なあやしげなことをむりにやってのけて、それで高い地位をえようとする。」という人もあるのである。
・時俗軽尋常 現在の世俗の人たちは、あたりまえのことを軽蔑して、めさきのかわったことをよろこぶ。
・力行瞼怪取貴仕 あやしげなことをむりにやってのけて、それで高い地位をえようとする。
元和五年、憲宗皇帝は朝廷で「神仙のことはまことか」とたずね重臣の一人から手きびしく諌められたことがある。このころから、憲宗の神秘的なものへの傾倒がふかまり、朝廷にも、怪しげな人物が出入しはじめるようになった。
唐の皇室は李氏で、老子の子孫だといわれていただけに(実際は老子とは何の関係もない)唐代を通じて道教は尊重され、民間でも仏教とならんで、広く深く信ぜられた。従って儒教を信じて、こつこつ官更としての道を進んでゆくより仏僧か道士になって奇蹟的なことをやってみせるほうが、早く高い地位にありつくことができたのである。

招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#3>Ⅱ中唐詩532 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1694

◆◆◆2012年12月20日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の男性から見た結婚感、女性感について述べる、今回は三国時代魏文帝曹丕。 
寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#2>古詩源 巻三 女性詩619 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1693 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67757930.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#3>Ⅱ中唐詩532 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1694 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6140993.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 
”成都紀行(11)”  鹿頭山 杜甫詩1000 <350>#1/3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1695 杜甫1500- 523 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67757841.html


Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#5> (12/20)
 http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-573.html


Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『更漏子 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-20-2-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1696 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21197658.html
 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html




招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#3>Ⅱ中唐詩532 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1694


#1
招揚之罦一首 
揚之罦君を招いての一首。
柏生兩石閒,萬歳終不大。野馬不識人、難以駕車蓋。
「児手柏」が、二つの石の間に生えている。それでは万年たったとしても大きくならないだろう。
野生の馬は人のことを識らないものである。だから、屋根つきのお車を引かせることはむつかしいものだ。

柏移就平地、馬覊入厩中。馬思自由悲、柏有傷根容。
「児手柏」を平地に植えかえることにしよう。野生の馬をつかまえて馬屋の中に入れることにしよう。
馬は自由になりたくて悲しいと思うだろうし、「児手柏」は根に傷がつくことだろう。

傷根柏不死、千丈日以至。馬悲罷遠欒、振迅矜鞍轡。
根に傷がつき、少し亡くなっても「児手柏」は死にはしないし、そのため日に日にのびて千丈の高さになるだろう。
馬が悲しんでいてもいつしか悲しみやんだら楽しくなるものだ。そうしたらたてがみを振ってふるいたち、鞍や手綱をつけてプライドを示すだろう。
#2
之罦南山來、文字得我驚。館置使讀書、日有求歸聾。
そんな中、之罦君は終南山から来た、詩文、書字がうまくてわたしを驚かせた。
私のところで書生にして本を読ませ勉強させたが、日々実家に帰りたいと言葉にだした。

我令之罘歸、失得柏與馬。之罘別我去、計出柏馬下。
そんなことで、わたしは之罘君に帰るようにいった。「児手柏」と馬との例で述べた様に何が利益か損失になることかを認識させるためだ。
之罘君はわたしに別れを告げて去った。「児手柏」や馬よりまずい計画だったということだ。

我自之罘歸、入門恩而悲。之罘別我去、能不忠我為。
わたしは之罘君が実家に帰ってからというものは、この家の門に入るたびにかれを思って悲しくなったものだ。
之罘君はわたしに別れを告げて去っていったのだが、わたしのことを思いもせずにいられるのだろうか
#3
灑掃縣中居、引水経竹閒。
この詩をつくったので之罘君をよぼうと、いま、朝に夕に 飢渇のおもいで待っているのだ。
県令の官舎の中宿舎をら掃除をさせすめるようにした。竹林の間をとおして、飲み水を懸樋でひいてやった。
囂譁所不及、何異山中閑。
竹林の間はうるさい物音のしないところなのだ、彼の実家の終南山の山中のしずけさとここがどれほどの違いがあるというのか。
前陳首家書、食有肉與魚。
きみの前には四書五経はもとより諸子百家の書にいたるまで、読みたいときどれでも読めるような状態でおいてあり、戦国時代の孟嘗君の食客の故事の通り君には食事に肉と魚をだしてあげるのだ。
先王遺文章、綴緝實在余。
堯・舜・禹・湯・文・武のような古代の聖帝といわれる人々の遺文をあつめまなび、『書経』などの遺文章を集め、学び、編纂し、注釈をするのが我々の責務である。だから君のような有能な人材が必要なのだ。
禮稱獨學陋、易貴不遠復。
独学は学友がなく「則孤陋而寡聞。」と狭い範囲の学問になると礼記にみえるし、易経の卦には「不遠而復、則不至於悔。」と間違ったことはすぐやりなおせばよいことにつながるというではないか。
作詩者之罘、晨夕抱飢渇。

#1
柏【はく】両石の閒【あいだ】に生じなば、萬歳 終に大ならざらむ。
野馬の人を識らざるは、以て車蓋【しゃがい】を駕し難し。
柏を移して平地に就け、馬を覊して厩中【きゅうちゅう】に入る。
馬は自由を思うて悲しみ、柏は根を傷くる容【かたち】有り。
根を傷くるも柏は死せず、千丈【せんじょう】は日に以って至らむ。
馬は悲しめども罷めて遠た欒み、振迅【しんじん】して鞍轡【あんび】を矜【ほこ】らむ。
#2
之罘【しふ】南山より来り、文字 我を鷲かすを得たり。
館置して書を讀ましむるに、日に歸らむことを求むる聾有り。
我 之罘をして歸って、柏と馬とを失得せしむ。
之罘 我に別れて去り、計は柏と馬との下に出づ。
我 之罘の歸りしより、門に入り 思うて悲む。
之罘 我に別れて去り、能く我を思うことを為さざらむや。
#3
縣中の居を灑掃【さいそう】し、水を引いて竹閒【ちくかん】を経。
囂譁【がくか】の及ばざる所、何ぞ山中の閑なるに異らむ。
前に百家の書を陳ね、食に肉と魚と有り。
先王 文章を遺す、綴緝【ていしゅう】實に余に在り。
禮に獨學は陋【ゆう】なりと稱し、易に遠からずして復するを貴ぶ。
詩を作って之罘を招き、晨夕 飢渇【きかつ】を抱く。


終南山04


『招揚之罦一首』 現代語訳と訳註
(本文)
#3
灑掃縣中居、引水経竹閒。
囂譁所不及、何異山中閑。
前陳首家書、食有肉與魚。
先王遺文章、綴緝實在余。
禮稱獨學陋、易貴不遠復。
作詩者之罘、晨夕抱飢渇。


(下し文)
#3
縣中の居を灑掃【さいそう】し、水を引いて竹閒【ちくかん】を経。
囂譁【がくか】の及ばざる所、何ぞ山中の閑なるに異らむ。
前に百家の書を陳ね、食に肉と魚と有り。
先王 文章を遺す、綴緝【ていしゅう】實に余に在り。
禮に獨學は陋【ゆう】なりと稱し、易に遠からずして復するを貴ぶ。
詩を作って之罘を招き、晨夕 飢渇【きかつ】を抱く。


(現代語訳)
県令の官舎の中宿舎をら掃除をさせすめるようにした。竹林の間をとおして、飲み水を懸樋でひいてやった。
竹林の間はうるさい物音のしないところなのだ、彼の実家の終南山の山中のしずけさとここがどれほどの違いがあるというのか。
きみの前には四書五経はもとより諸子百家の書にいたるまで、読みたいときどれでも読めるような状態でおいてあり、戦国時代の孟嘗君の食客の故事の通り君には食事に肉と魚をだしてあげるのだ。
堯・舜・禹・湯・文・武のような古代の聖帝といわれる人々の遺文をあつめまなび、『書経』などの遺文章を集め、学び、編纂し、注釈をするのが我々の責務である。だから君のような有能な人材が必要なのだ。
独学は学友がなく「則孤陋而寡聞。」と狭い範囲の学問になると礼記にみえるし、易経の卦には「不遠而復、則不至於悔。」と間違ったことはすぐやりなおせばよいことにつながるというではないか。
この詩をつくったので之罘君をよぼうと、いま、朝に夕に 飢渇のおもいで待っているのだ。


(訳注)
#3
灑掃縣中居、引水経竹閒。
県令の官舎の中宿舎をら掃除をさせすめるようにした。竹林の間をとおして、飲み水を懸樋でひいてやった。
凛掃 そそぎ、はらう。掃除すること。
県中居 当時、韓愈は河南の県令だったから、その官舎をさす。
引水 懸樋で水をひく。
・経竹間 たぶん、官舎でも韓愈とその家族が住む本宅から、竹林をへだてたところに離れの草堂があって、そこに揚之罘をすまわせようとしたのだろう。


囂譁所不及、何異山中閑。
竹林の間はうるさい物音のしないところなのだ、彼の実家の終南山の山中のしずけさとここがどれほどの違いがあるというのか。
囂譁【ゴウカ】やかましい。さわがしい。さわがしき。


前陳首家書、食有肉與魚。
きみの前には四書五経はもとより諸子百家の書にいたるまで、読みたいときどれでも読めるような状態でおいてあり、戦国時代の孟嘗君の食客の故事の通り君には食事に肉と魚をだしてあげるのだ。
前陳百家書 きみの前には四書五経はもとより諸子百家の書にいたるまで、読みたいときどれでも読めるような状態で存在する。韓愈自身読書家だったから多くの書を蔵したに違いないが、中国では役所にもかなり各種の本を貯えていたから、その両方が利用できるとなれば、書生にとってはこの上ない宿といわればならない。
食有肉與魚 『史記』や『戦国策』にみえる話に、戦国時代に漏確という男が孟嘗君の食客となったが、待遇がわるいので釣のつかをたたいて「つかさんよ、帰ろうかい。膳に魚もつかんじゃないか!」とうたったので、これをきいた孟嘗君が、きっそくかれを立派な部屋にいれ膳には魚をつけさせ待遇を改善させたという故事。


先王遺文章、綴緝實在余
堯・舜・禹・湯・文・武のような古代の聖帝といわれる人々の遺文をあつめまなび、『書経』などの遺文章を集め、学び、編纂し、注釈をするのが我々の責務である。だから君のような有能な人材が必要なのだ。
先王 堯・舜・禹・湯・文・武のような古代の聖帝といわれる人々。
遺文章 『書経』には先王のことばといわれるものが集録されているが、その他にもかれらの教えといわれるものがある。
綴緝實在余  『書経』などの遺文章を集め、学び、編纂し、注釈をするのが我々の責務である。だから君のような有能な人材が必要なのだ。


禮稱獨學陋、易貴不遠復。
独学は学友がなく「則孤陋而寡聞。」と狭い範囲の学問になると礼記にみえるし、易経の卦には「不遠而復、則不至於悔。」と間違ったことはすぐやりなおせばよいことにつながるというではないか。
・獨學 『禮記』學紀「獨學而無友、則孤陋而寡聞。」(獨學にして友無ければ、則ち孤陋にして寡聞なり。)
・遠復 『易経』復の卦「惟失之不遠而復、則不至於悔。大善而吉也。」(惟だ之を失うは遠からずして復す、則ち悔に至ることなし。大善にして吉也。)


作詩者之罘、晨夕抱飢渇。
この詩をつくったので之罘君をよぼうと、いま、朝に夕に 飢渇のおもいで待っているのだ。

招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#2>Ⅱ中唐詩531 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1690


  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#1>古詩源 巻三 女性詩618 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1689 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#2>Ⅱ中唐詩531 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1690 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(10)” 剣門 杜甫詩1000 <350>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1691 杜甫1500- 522 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#4>4/18 (12/19) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『更漏子 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-19-2-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1692 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#2>Ⅱ中唐詩531 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1690



#1
招揚之罦一首 
揚之罦君を招いての一首。
柏生兩石閒,萬歳終不大。野馬不識人、難以駕車蓋。
「児手柏」が、二つの石の間に生えている。それでは万年たったとしても大きくならないだろう。
野生の馬は人のことを識らないものである。だから、屋根つきのお車を引かせることはむつかしいものだ。

柏移就平地、馬覊入厩中。馬思自由悲、柏有傷根容。
「児手柏」を平地に植えかえることにしよう。野生の馬をつかまえて馬屋の中に入れることにしよう。
馬は自由になりたくて悲しいと思うだろうし、「児手柏」は根に傷がつくことだろう。

傷根柏不死、千丈日以至。馬悲罷遠欒、振迅矜鞍轡。
根に傷がつき、少し亡くなっても「児手柏」は死にはしないし、そのため日に日にのびて千丈の高さになるだろう。
馬が悲しんでいてもいつしか悲しみやんだら楽しくなるものだ。そうしたらたてがみを振ってふるいたち、鞍や手綱をつけてプライドを示すだろう。
#2
之罦南山來、文字得我驚。
そんな中、之罦君は終南山から来た、詩文、書字がうまくてわたしを驚かせた。
館置使讀書、日有求歸聾。
私のところで書生にして本を読ませ勉強させたが、日々実家に帰りたいと言葉にだした。
我令之罘歸、失得柏與馬。
そんなことで、わたしは之罘君に帰るようにいった。「児手柏」と馬との例で述べた様に何が利益か損失になることかを認識させるためだ。
之罘別我去、計出柏馬下。
之罘君はわたしに別れを告げて去った。「児手柏」や馬よりまずい計画だったということだ。
我自之罘歸、入門恩而悲。
わたしは之罘君が実家に帰ってからというものは、この家の門に入るたびにかれを思って悲しくなったものだ。
之罘別我去、能不忠我為。

之罘君はわたしに別れを告げて去っていったのだが、わたしのことを思いもせずにいられるのだろうか
#3
灑掃縣中居、引水経竹閒。
囂譁所不及、何異山中閑。
前陳首家書、食有肉與魚。
先王遺文章、綴緝實在余。
禮稱獨學陋、易貴不遠復。
作詩者之罘、晨夕抱飢渇。


柏【はく】両石の閒【あいだ】に生じなば、萬歳 終に大ならざらむ。
野馬の人を識らざるは、以て車蓋【しゃがい】を駕し難し。
柏を移して平地に就け、馬を覊して厩中【きゅうちゅう】に入る。
馬は自由を思うて悲しみ、柏は根を傷くる容【かたち】有り。
根を傷くるも柏は死せず、千丈【せんじょう】は日に以って至らむ。
馬は悲しめども罷めて遠た欒み、振迅【しんじん】して鞍轡【あんび】を矜【ほこ】らむ。
#2
之罘【しふ】南山より来り、文字 我を鷲かすを得たり。
館置して書を讀ましむるに、日に歸らむことを求むる聾有り。
我 之罘をして歸って、柏と馬とを失得せしむ。
之罘 我に別れて去り、計は柏と馬との下に出づ。
我 之罘の歸りしより、門に入り 思うて悲む。
之罘 我に別れて去り、能く我を思うことを為さざらむや。

#3
縣中の居を灑掃【さいそう】し、水を引いて竹閒【ちくかん】を経。
囂譁【がくか】の及ばざる所、何ぞ山中の閑なるに異らむ。
前に百家の書を陳ね、食に肉と魚と有り。
先王 文章を遺す、綴緝【ていしゅう】實に余に在り。
禮に獨學は陋【ゆう】なりと稱し、易に遠からずして復するを貴ぶ。
詩を作って之罘を招き、晨夕 飢渇【きかつ】を抱く。

終南山03

『招揚之罦一首』 現代語訳と訳註
(本文)
#2
之罦南山來、文字得我驚。
館置使讀書、日有求歸聾。
我令之罘歸、失得柏與馬。
之罘別我去、計出柏馬下。
我自之罘歸、入門恩而悲。
之罘別我去、能不忠我為。


(下し文) #2
之罘【しふ】南山より来り、文字 我を鷲かすを得たり。
館置して書を讀ましむるに、日に歸らむことを求むる聾有り。
我 之罘をして歸って、柏と馬とを失得せしむ。
之罘 我に別れて去り、計は柏と馬との下に出づ。
我 之罘の歸りしより、門に入り 思うて悲む。
之罘 我に別れて去り、能く我を思うことを為さざらむや。


(現代語訳)
そんな中、之罦君は終南山から来た、詩文、書字がうまくてわたしを驚かせた。
私のところで書生にして本を読ませ勉強させたが、日々実家に帰りたいと言葉にだした。
そんなことで、わたしは之罘君に帰るようにいった。「児手柏」と馬との例で述べた様に何が利益か損失になることかを認識させるためだ。
之罘君はわたしに別れを告げて去った。「児手柏」や馬よりまずい計画だったということだ。
わたしは之罘君が実家に帰ってからというものは、この家の門に入るたびにかれを思って悲しくなったものだ。
之罘君はわたしに別れを告げて去っていったのだが、わたしのことを思いもせずにいられるのだろうか


(訳注) #2
之罦南山來、文字得我驚。
そんな中、之罦君は終南山から来た、詩文、書字がうまくてわたしを驚かせた。
・南山 長安で南山というと終南山をさす。ただし南山は、南の方の山という一殿的なよび方としても用いられるとしているものもあるがまちがい。南山は韓愈『南山詩』にあるように韓愈にとっては終南山は特別な存在である。
文字得我驚 之罦の書く文章と書字が、わたしの鷲歎を獲得した。わたしを驚かせた、ということ。


館置使讀書、日有求歸聾。
私のところで書生にして本を読ませ勉強させたが、日々実家に帰りたいと言葉にだした。
・館置 家に書生としておく。あるいは、こどもの家庭教師の場合もあるがこの段階では進士に及第していないので間違いなく書生である。韓愈の弟子の張籍も、家庭教師として韓愈の家にやっかいになっていたことがある。


我令之罘歸、失得柏與馬。
そんなことで、わたしは之罘君に帰るようにいった。「児手柏」と馬との例で述べた様に何が利益か損失になることかを認識させるためだ。
・失得 いずれが利益であるか損失であるかを考える。


之罘別我去、計出柏馬下。
之罘君はわたしに別れを告げて去った。「児手柏」や馬よりまずい計画だったということだ。


我自之罘歸、入門恩而悲。
わたしは之罘君が実家に帰ってからというものは、この家の門に入るたびにかれを思って悲しくなったものだ。
・入門 家に帰るたびに。


之罘別我去、能不忠我為。
之罘君はわたしに別れを告げて去っていったのだが、わたしのことを思いもせずにいられるのだろうか

招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#1>Ⅱ中唐詩530 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1686

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作 (まとめ-3) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#1>Ⅱ中唐詩530 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1686 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(10)” 剣門 杜甫詩1000 <349>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1687 杜甫1500- 521 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#3> (12/18) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#1>Ⅱ中唐詩530 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1686



#1
招揚之罦一首 
揚之罦君を招いての一首。
柏生兩石閒,萬歳終不大。
「児手柏」が、二つの石の間に生えている。それでは万年たったとしても大きくならないだろう。
野馬不識人、難以駕車蓋。
野生の馬は人のことを識らないものである。だから、屋根つきのお車を引かせることはむつかしいものだ。
柏移就平地、馬覊入厩中。
「児手柏」を平地に植えかえることにしよう。野生の馬をつかまえて馬屋の中に入れることにしよう。
馬思自由悲、柏有傷根容。
馬は自由になりたくて悲しいと思うだろうし、「児手柏」は根に傷がつくことだろう。
傷根柏不死、千丈日以至。
根に傷がつき、少し亡くなっても「児手柏」は死にはしないし、そのため日に日にのびて千丈の高さになるだろう。
馬悲罷遠欒、振迅矜鞍轡。
馬が悲しんでいてもいつしか悲しみやんだら楽しくなるものだ。そうしたらたてがみを振ってふるいたち、鞍や手綱をつけてプライドを示すだろう。
#2
之罦南山來、文字得我驚。
館置使讀書、日有求歸聾。
我令之罘歸、失得柏與馬。
之罘別我去、計出柏馬下。
我自之罘歸、入門恩而悲。
之罘別我去、能不忠我為。
#3
灑掃縣中居、引水経竹閒。
囂譁所不及、何異山中閑。
前陳首家書、食有肉與魚。
先王遺文章、綴緝實在余。
禮稱獨學陋、易貴不遠復。
作詩者之罘、晨夕抱飢渇。

揚之罦を招く 一首
柏【はく】両石の閒【あいだ】に生じなば、萬歳 終に大ならざらむ。
野馬の人を識らざるは、以て車蓋【しゃがい】を駕し難し。
柏を移して平地に就け、馬を覊して厩中【きゅうちゅう】に入る。
馬は自由を思うて悲しみ、柏は根を傷くる容【かたち】有り。
根を傷くるも柏は死せず、千丈【せんじょう】は日に以って至らむ。
馬は悲しめども罷めて遠た欒み、振迅【しんじん】して鞍轡【あんび】を矜【ほこ】らむ。

#2
之罘【しふ】南山より来り、文字 我を鷲かすを得たり。
館置して書を讀ましむるに、日に歸らむことを求むる聾有り。
我 之罘をして歸って、柏と馬とを失得せしむ。
之罘 我に別れて去り、計は柏と馬との下に出づ。
我 之罘の歸りしより、門に入り 思うて悲む。
之罘 我に別れて去り、能く我を思うことを為さざらむや。
#3
縣中の居を灑掃【さいそう】し、水を引いて竹閒【ちくかん】を経。
囂譁【がくか】の及ばざる所、何ぞ山中の閑なるに異らむ。
前に百家の書を陳ね、食に肉と魚と有り。
先王 文章を遺す、綴緝【ていしゅう】實に余に在り。
禮に獨學は陋【ゆう】なりと稱し、易に遠からずして復するを貴ぶ。
詩を作って之罘を招き、晨夕 飢渇【きかつ】を抱く。


『招揚之罘一首』 現代語訳と訳註
(本文)
#1
招揚之罦一首 
柏生兩石閒,萬歳終不大。
野馬不識人、難以駕車蓋。
柏移就平地、馬覊入厩中。
馬思自由悲、柏有傷根容。
傷根柏不死、千丈日以至。
馬悲罷遠欒、振迅矜鞍轡。


(下し文)
柏【はく】両石の閒【あいだ】に生じなば、萬歳 終に大ならざらむ。
野馬の人を識らざるは、以て車蓋【しゃがい】を駕し難し。
柏を移して平地に就け、馬を覊して厩中【きゅうちゅう】に入る。
馬は自由を思うて悲しみ、柏は根を傷くる容【かたち】有り。
根を傷くるも柏は死せず、千丈【せんじょう】は日に以って至らむ。
馬は悲しめども罷めて遠た欒み、振迅【しんじん】して鞍轡【あんび】を矜【ほこ】らむ。


(現代語訳)
揚之罦君を招いての一首。
「児手柏」が、二つの石の間に生えている。それでは万年たったとしても大きくならないだろう。
野生の馬は人のことを識らないものである。だから、屋根つきのお車を引かせることはむつかしいものだ。
「児手柏」を平地に植えかえることにしよう。野生の馬をつかまえて馬屋の中に入れることにしよう。
馬は自由になりたくて悲しいと思うだろうし、「児手柏」は根に傷がつくことだろう。
根に傷がつき、少し亡くなっても「児手柏」は死にはしないし、そのため日に日にのびて千丈の高さになるだろう。
馬が悲しんでいてもいつしか悲しみやんだら楽しくなるものだ。そうしたらたてがみを振ってふるいたち、鞍や手綱をつけてプライドを示すだろう。


(訳注)#1
招揚之罦一首 

揚之罦君を招いての一首。
・揚之罦 韓愈の門下生で、30歳近い年齢差であろう、この詩の2年後816年に進士及第しているほか、未詳の人物。この詩では終南山の出身となっている。


柏生兩石閒,萬歳終不大。
「児手柏」が、二つの石の間に生えている。それでは万年たったとしても大きくならないだろう。
・柏 「児手柏」のこと、かえともいう。ヒノキ科の植物の1種。コノテガシワ属唯一の現生種である。 朝鮮、中国北部に分布する常緑針葉高木。枝は密に出てほぼ直立し、枝葉の表裏の区別が無い。
児手柏01
・両石閒
 ふたつの岩石の間。
・万歳 万年。永久に。


野馬不識人、難以駕車蓋。
野生の馬は人のことを識らないものである。だから、屋根つきのお車を引かせることはむつかしいものだ。
・野馬 野生の馬。
・不識人 人を見知らないならば。人馬一体の喜びを感じることを認知していない。ということは人を認識できる訓練をうけていないということ。
・駕車蓋 車を引く。蓋は車の幌、屋根つきの車。一定以上の身分のものがのる。


柏移就平地、馬覊入厩中。
「児手柏」を平地に植えかえることにしよう。野生の馬をつかまえて馬屋の中に入れることにしよう。
・覊 草ひもをかぶせて馬をつなぎとめること。
・厩 うまや。


馬思自由悲、柏有傷根容。
馬は自由になりたくて悲しいと思うだろうし、「児手柏」は根に傷がつくことだろう。
・傷根容 根を傷つけたらしい様子。


傷根柏不死、千丈日以至。
根に傷がつき、少し亡くなっても「児手柏」は死にはしないし、そのため日に日にのびて千丈の高さになるだろう。
・千丈日以至 千丈の高さにも、日々のびていって到達できる。


馬悲罷遠欒、振迅矜鞍轡。
馬が悲しんでいてもいつしか悲しみやんだら楽しくなるものだ。そうしたらたてがみを振ってふるいたち、鞍や手綱をつけてプライドを示すだろう。
・振迅 ふるいたって勢のはげしいさま。
・矜鞍轡 鞍や手綱のような飼馬としての附加物をつけてもそれを自慢する態度をきっととるというほどの意味。

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#8-(最終回)>Ⅱ中唐詩529 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1682


  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#8-(最終回)>Ⅱ中唐詩529 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1682 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(9)” 桔柏渡 杜甫詩1000 <349>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1683 杜甫1500- 520 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 幷序 韓退之(韓愈)詩<80> (12/17) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/
石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#8-(最終回)>Ⅱ中唐詩529 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1682


#8-(最終回目)
羲之俗書趁姿媚,數紙尚可博白鵝。
今や書聖王義之の書が目の優しさによって世に評価されたが俗書となってしまっているが、それはもともと数枚の道徳経の写しと白い鵝鳥と交換できるというものであったのだ。
繼周八代爭戰罷,無人收拾理則那。
この周の石鼓を継承したことで、八代の王朝が戦争を終結させることとしたのである。それでもこれを大切にしまっておこうという人がいないというのは一体どうなっているのか。
方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。
この周の石鼓を継承したことで、八代の王朝が戦争を終結させることとしたのである。それでもこれを大切にしまっておこうという人がいないというのは一体どうなっているのか。
安能以此上論列,願借辨口如懸河。
いかにしたら、この問題をお上層部で審議してもらえるのでありましょうか。願うことなら、瀑布のように滔滔と流れおちる大弁舌をどなたかお貸し下さらないであろうか。
石鼓之歌止於此,嗚呼吾意其蹉跎。
石鼓の歌はこれでもって終わるのだけれど、ああ、こんなことでわたしの心はもうぐったりしている。

義之の俗書は 姿の媚なるを趁へども、数紙もて尚は白鵝【はくが】に博【か】ふべし。
周に繼ぐもの八代 爭戰【そうせん】罷み、人の収拾する無き 理は則ち那ぞ。
方今 太平にして日に無事、柄【へい】は儒術【じゅじゅつ】に任じて丘軻【きゅうか】を崇ぶ。
安んぞ能く此を以て上って論列【ろんれつ】せむ、願はくば 辨口【べんこう】の懸河の如きを借らむ。
石鼓之歌 此に止めむ,嗚呼 吾が意 其れ蹉跎【さた】たり。


『石鼓歌』-#8-(最終回) 現代語訳と訳註
(本文)

羲之俗書趁姿媚,數紙尚可博白鵝。
繼周八代爭戰罷,無人收拾理則那。
方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。
安能以此上論列,願借辨口如懸河。
石鼓之歌止於此,嗚呼吾意其蹉跎。


(下し文)
義之の俗書は 姿の媚なるを趁へども、数紙もて尚は白鵝【はくが】に博【か】ふべし。
周に繼ぐもの八代 爭戰【そうせん】罷み、人の収拾する無き 理は則ち那ぞ。
方今 太平にして日に無事、柄【へい】は儒術【じゅじゅつ】に任じて丘軻【きゅうか】を崇ぶ。
安んぞ能く此を以て上って論列【ろんれつ】せむ、願はくば 辨口【べんこう】の懸河の如きを借らむ。
石鼓之歌 此に止めむ,嗚呼 吾が意 其れ蹉跎【さた】たり。


(現代語訳)
今や書聖王義之の書が目の優しさによって世に評価されたが俗書となってしまっているが、それはもともと数枚の道徳経の写しと白い鵝鳥と交換できるというものであったのだ。
この周の石鼓を継承したことで、八代の王朝が戦争を終結させることとしたのである。それでもこれを大切にしまっておこうという人がいないというのは一体どうなっているのか。
この周の石鼓を継承したことで、八代の王朝が戦争を終結させることとしたのである。それでもこれを大切にしまっておこうという人がいないというのは一体どうなっているのか。
いかにしたら、この問題をお上層部で審議してもらえるのでありましょうか。願うことなら、瀑布のように滔滔と流れおちる大弁舌をどなたかお貸し下さらないであろうか。
石鼓の歌はこれでもって終わるのだけれど、ああ、こんなことでわたしの心はもうぐったりしている。


(訳注) #8
羲之俗書趁姿媚,數紙尚可博白鵝。

今や書聖王義之の書が目の優しさによって世に評価されたが俗書となってしまっているが、それはもともと数枚の道徳経の写しと白い鵝鳥と交換できるというものであったのだ。
・羲之俗書  王羲之(303年 - 361年)は書道史上、最も優れた書家で書聖と称される。末子の王献之と併せて二王(羲之が大王、献之が小王)あるいは羲献と称され、顔真卿と共に中国書道界の二大宗師とも謳われた。また「書道の最高峰」とも言われ、近代書道の体系を作り上げ、書道を一つの独立した芸術としての地位を確保し、後世の書道家達に大きな影響を与えた。「俗書」というのは王羲之の書いた書が超高価な価格で取引され、富豪のステイタスの象徴のよな存在になったことでこういう表現をした。
數紙尚可博白鵝 晋書『王羲之傳』
「性愛鵝、會稽有孤居姥. 養一鵝、善鳴、求市未能得、遂攜親友命駕就觀。姥聞羲之將至、烹以待之、羲之歎惜彌日。又山陰有一道士、養好鵝、羲之往觀焉、意甚悅、固求市之。道士云「為寫道德經、當舉群相贈耳。乃為寫訖。籠鵝而去。(性、鵝を愛す、會稽に孤居の姥有り.一鵝を養い、善く鳴く、市に求むが未だ能く得ず、遂に親友に駕を命じ就して觀て攜えん。姥聞き羲之 將って至り、烹を以って之を待ち、羲之歎じて彌日を惜む。又、山陰に一道士有り、好き鵝を養う、羲之、往きて焉を觀る、意甚だ悅び、固く求めて之を市はむとす。道士云う「為に道德經を寫さば、當に群を舉げて相い贈らむのみ。」と。乃ち為に寫して訖う。鵝を籠にして去る。)
これに基づき作る。王羲之の「道徳経の書」は白鵝と交換されたのに、孔子孟子の儒学の扱い、石鼓に書かれた文言の扱いと比較して今はどうなっているのかと疑問を投げかけるのである。


繼周八代爭戰罷,無人收拾理則那。
この周の石鼓を継承したことで、八代の王朝が戦争を終結させることとしたのである。それでもこれを大切にしまっておこうという人がいないというのは一体どうなっているのか。
・繼周八代 周以後、秦・漢・魏・晋・北魏・北斉・北周・隋の八代にわたって石鼓のあった陝西省岐陽を管轄したことをいう。


方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。
たしかに今日、世間は太平で日日が平穏無事である。しかし今こそ世を治める政治はその根本原理を儒教に求めるものであり、孔子、孟子が尊敬されないといけないというものである。
・柄 権柄。国家権力をさす。
・丘軻 孔子と孟子。


安能以此上論列,願借辨口如懸河。
いかにしたら、この問題をお上層部で審議してもらえるのでありましょうか。願うことなら、瀑布のように滔滔と流れおちる大弁舌をどなたかお貸し下さらないであろうか。


石鼓之歌止於此,嗚呼吾意其蹉跎。
石鼓の歌はこれでもって終わるのだけれど、ああ、こんなことでわたしの心はもうぐったりしている。
・蹉跎 うまくゆかないこと。


韓愈「三品の性」について
この詩の「孔子」について、韓愈は儒家として孔子の学問について、その論を否定して、小馬鹿にしたような表現八句「金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。」と少し小ばかにし、そして最終的には「方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。」とのべている。
 韓愈は儒家の道徳の根原を「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五つの本質を原【たず】ねて推論をのべている。特に孟子の性善、荀子の性悪、楊雄の性善性悪混在説の三説に対して三品の性という新しい見解を述べたのであるが、韓愈の詩の理解のためには、韓愈が精魂込めた「原性」などを理解しなければならないのである。そこで、少し難しいが、このブログに取り上げ解説する予定である。
「学問を進めるための解明文」進学解(まとめ) 韓退之(韓愈)詩<114-16>Ⅱ中唐詩572 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1854

原道 韓退之(韓愈)詩<115-1>Ⅱ中唐詩573 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1858
24解分割で掲載

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#7>Ⅱ中唐詩528 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1678

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作 (まとめその1) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#7>Ⅱ中唐詩528 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1678 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(9)” 桔柏渡 杜甫詩1000 <348>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1679 杜甫1500- 519 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集三星行 韓退之(韓愈)詩<81> (12/16) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#7>Ⅱ中唐詩528 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1678



石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん) 唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。


#7
大廈深簷與蓋覆,經歷久遠期無佗。
四方に吹き下ろした大きな屋根で、長い軒の影が深いとともに覆いかぶせるのです。そして年月が久しく経過したところであってもなんとか保存ができるというものです
中朝大官老於事,詎肯感激徒媕婀。
ところが中央朝廷の大官は事務に慣れ過ぎてしまっているから、もう感激などするはずないし、いたずらにだらだらとしてほったらかしにしている。
牧童敲火牛礪角,誰複著手為摩挲。
近くの牧童たちは石鼓に鎌か、蹴上げる石かなにかをぶちつけて火花を出したり、牛が角を研いでいる。あるいは誰がまた、わざわざ手をかけてくれてきれいに拭いたりしてくれるであろう。
日銷月鑠就埋沒,六年西顧空吟哦。

日一日と磨り減っていき、一月ごとに壊れてゆき、やがて埋没してはてるだろう。こうして六年間ものあいだ西の方をかえりみてはむなしく自分に言い聞かせ、欺いてきたものです。

大廈【たいか】深簷【しんえん】與【ため】に蓋覆【がいふ】し、経歴は久遠にして 佗【た】無きことを期せむ。
中朝の大官は 事に老【な】れたれば、詎【なん】ぞ育て感激せむ 徒に媕婀【あんあ】たり。
牧竜 火を敲【たた】き 牛 角を礪【と】ぐ、誰か復た手を著けて 爲に摩挲【まさ】せむ。
日に銷【き】え 月に鑠【さ】えて 埋没に就かむ、六年 西を顧【かえり】みて 空しく吟哦【ぎんが】す


『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文)
#7
大廈深簷與蓋覆,經歷久遠期無佗。
中朝大官老於事,詎肯感激徒媕婀。

牧童敲火牛礪角,誰複著手為摩挲。
日銷月鑠就埋沒,六年西顧空吟哦。


(下し文)
大廈【たいか】深簷【しんえん】與【ため】に蓋覆【がいふ】し、経歴は久遠にして 佗【た】無きことを期せむ。
中朝の大官は 事に老【な】れたれば、詎【なん】ぞ育て感激せむ 徒に媕婀【あんあ】たり。
牧竜 火を敲【たた】き 牛 角を礪【と】ぐ、誰か復た手を著けて 爲に摩挲【まさ】せむ。
日に銷【き】え 月に鑠【さ】えて 埋没に就かむ、六年 西を顧【かえり】みて 空しく吟哦【ぎんが】す。


(現代語訳)
四方に吹き下ろした大きな屋根で、長い軒の影が深いとともに覆いかぶせるのです。そして年月が久しく経過したところであってもなんとか保存ができるというものです
ところが中央朝廷の大官は事務に慣れ過ぎてしまっているから、もう感激などするはずないし、いたずらにだらだらとしてほったらかしにしている。
近くの牧童たちは石鼓に鎌か、蹴上げる石かなにかをぶちつけて火花を出したり、牛が角を研いでいる。あるいは誰がまた、わざわざ手をかけてくれてきれいに拭いたりしてくれるであろう。
日一日と磨り減っていき、一月ごとに壊れてゆき、やがて埋没してはてるだろう。こうして六年間ものあいだ西の方をかえりみてはむなしく自分に言い聞かせ、欺いてきたものです。


(訳注) #7
大廈深簷與蓋覆,經歷久遠期無佗。

四方に吹き下ろした大きな屋根で、長い軒の影が深いとともに覆いかぶせるのです。そして年月が久しく経過したところであってもなんとか保存ができるというものです。
・大廈 廈は大きな家。屋根を四方に吹き下ろした屋根。
・深簷 ひさしがながい。長い軒の影が深い。
・蓋覆 覆いかぶせる。


中朝大官老於事,詎肯感激徒媕婀。
ところが中央朝廷の大官は事務に慣れ過ぎてしまっているから、もう感激などするはずないし、いたずらにだらだらとしてほったらかしにしている。
・老於事 事務に老練であること。ここではむしろマンネリズムにおちいっていると指摘する言葉として使っている。
・媕婀 テキパキしないさま。


牧童敲火牛礪角,誰複著手為摩挲。
近くの牧童たちは石鼓に鎌か、蹴上げる石かなにかをぶちつけて火花を出したり、牛が角を研いでいる。あるいは誰がまた、わざわざ手をかけてくれてきれいに拭いたりしてくれるであろう。
・敲火 石鼓に鎌か、蹴上げる石かなにかをぶちつけて火花を出すことをいう。
・摩挲 さする。大切にしてみがくことをいう。


日銷月鑠就埋沒,六年西顧空吟哦。
日一日と磨り減っていき、一月ごとに壊れてゆき、やがて埋没してはてるだろう。こうして六年間ものあいだ西の方をかえりみてはむなしく自分に言い聞かせ、欺いてきたものです。


韓愈「三品の性」について
この詩の「孔子」について、韓愈は儒家として孔子の学問について、その論を否定して、小馬鹿にしたような表現八句「金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。」と少し小ばかにし、そして最終的には「方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。」とのべている。
 韓愈は儒家の道徳の根原を「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五つの本質を原【たず】ねて推論をのべている。特に孟子の性善、荀子の性悪、楊雄の性善性悪混在説の三説に対して三品の性という新しい見解を述べたのであるが、韓愈の詩の理解のためには、韓愈が精魂込めた「原性」などを理解しなければならないのである。そこで、少し難しいが、このブログに取り上げ解説する予定である。
「学問を進めるための解明文」進学解(まとめ) 韓退之(韓愈)詩<114-16>Ⅱ中唐詩572 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1854

原道 韓退之(韓愈)詩<115-1>Ⅱ中唐詩573 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1858
24解分割で掲載

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#6>Ⅱ中唐詩527 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1674

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十三(31) 漢詩<174>古詩源 巻三 女性詩614 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1673 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#6>Ⅱ中唐詩527 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1674 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(8)” 石櫃閣 杜甫詩1000 <348>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1675 杜甫1500- 518 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集短燈棨歌 韓退之(韓愈)詩<79> (12/15) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-15-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#6>Ⅱ中唐詩527 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1674




石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。

#6
薦諸太廟比郜鼎,光價豈止百倍過。
この石鼓を国家の大廟に供え安置されたならば魯の国祖周公を祭った郜鼎にくらべてみても、かがやく値打はどうして百倍以上というくらいではおさまるものではありません。
聖恩若許留太學,諸生講解得切磋。
天子のお許しを得ることができるなら、大学に留めおくことをおゆるしねがいたいのです。するとここの学生たちが研究しあい、たがいに励み合って努力を重ねることとなりましょう。
觀經鴻都尚填咽,坐見舉國來奔波。
後漢の霊帝は蔡邕に命じ書かれた觀経は鴻都学校がこれを見に来たものでなひっきりなしにテンヤワンヤであったというし、まして、この石鼓ならば、こんどは 国を挙げて怒涛のように押しかけてくることは誰が考えてもそうなると思うことです。
剜苔剔蘚露節角,安置妥帖平不頗。
この石鼓のむした苔を削り取り、節目、門目をあらわしきれいにすることと、平らかにして、傾かぬよう どっしり据えて安置することです。

諸【これ】を太廟【たいびょう】に薦めて郜【こう】の鼎【かなえ】に比ぶれは、光價【こうか】は 豈に止【ただ】に 百倍過ぐるのみならむや。
聖恩 若し太學【だいがく】に留むるを許したまはば、諸生 講解して 切磋【せつさ】することを得む。
經を鴻都【こうと】に觀るも尚お填咽【てんえつ】す。
坐して見む 図を挙げて来って奔波【ほんは】せむことを。
苔を剜【え】り 蘇【こけ】を剔【けず】って 節角【せつかく】を露【あら】はし。
安置すること妥帖【だちょう】にし 平にして頗【かたぶ】かざらしむ。



『石鼓歌』 現代語訳と訳註
 (本文)
#6
薦諸太廟比郜鼎,光價豈止百倍過。
聖恩若許留太學,諸生講解得切磋。
觀經鴻都尚填咽,坐見舉國來奔波。
剜苔剔蘚露節角,安置妥帖平不頗。


(下し文)
諸【これ】を太廟【たいびょう】に薦めて郜【こう】の鼎【かなえ】に比ぶれは、光價【こうか】は 豈に止【ただ】に 百倍過ぐるのみならむや。
聖恩 若し太學【だいがく】に留むるを許したまはば、諸生 講解して 切磋【せつさ】することを得む。
經を鴻都【こうと】に觀るも尚お填咽【てんえつ】す。
坐して見む 図を挙げて来って奔波【ほんは】せむことを。
苔を剜【え】り 蘇【こけ】を剔【けず】って 節角【せつかく】を露【あら】はし。
安置すること妥帖【だちょう】にし 平にして頗【かたぶ】かざらしむ。


(現代語訳)
この石鼓を国家の大廟に供え安置されたならば魯の国祖周公を祭った郜鼎にくらべてみても、かがやく値打はどうして百倍以上というくらいではおさまるものではありません。
天子のお許しを得ることができるなら、大学に留めおくことをおゆるしねがいたいのです。するとここの学生たちが研究しあい、たがいに励み合って努力を重ねることとなりましょう。
後漢の霊帝は蔡邕に命じ書かれた觀経は鴻都学校がこれを見に来たものでなひっきりなしにテンヤワンヤであったというし、まして、この石鼓ならば、こんどは 国を挙げて怒涛のように押しかけてくることは誰が考えてもそうなると思うことです。
この石鼓のむした苔を削り取り、節目、門目をあらわしきれいにすることと、平らかにして、傾かぬよう どっしり据えて安置することです。


 (訳注) #6
薦諸太廟比郜鼎,光價豈止百倍過。

この石鼓を国家の大廟に供え安置されたならば魯の国祖周公を祭った郜鼎にくらべてみても、かがやく値打はどうして百倍以上というくらいではおさまるものではありません。
・郜鼎 郜すなわち今の山東省にあった国で鋳造された鼎。春秋時代末の国から魯へうつされ、魯の国祖周公を祭った廟に安置されていた。
韓愈「薦士」に「魯侯國至小,廟鼎猶納郜。」春秋時代の魯侯は至って小さな国を領有していたが、それでも『左伝、桓公二年』によれば、太廟の鼎は宋国の郜から運んできた。
廟鼎猶納郜 廟:太廟 郜鼎:春秋時代宋の国にあった鼎:魯の桓公二年(前710年)内乱を起こした家老の華父督によって、魯の国に賄賂として贈られ魯の先祖を周公を祭る廟におかれた。今の山東省にあった郜の国で鋳造されたので郜鼎と称された。
左伝、桓公二年 無責任な甘やかしは、愛にもとづく厳格な戒めに及ばないことのたとえ。【城下の盟】敵に首都まで攻め入られてする、屈辱的な降伏の約束。
○紀元前701年、鄭の祭仲と公子突を抑留して脅迫し、盟を結ぶと帰国させて突(厲公)を国君に立てさせた。紀元前700年、魯の桓公や燕の人と穀丘で会談し、鄭との修好を求められた。また魯と虚や亀で会談したが、荘公は鄭との講和を拒否した。宋は魯・鄭の連合軍の攻撃を受けた。紀元前699年、斉・宋・衛・燕と魯・鄭・紀のあいだの会戦となった。

薦士 韓退之(韓愈)詩<62-#7>Ⅱ中唐詩374 紀頌之の漢詩ブログ1201


・光価 かがやくような価値。


聖恩若許留太學,諸生講解得切磋。
天子のお許しを得ることができるなら、大学に留めおくことをおゆるしねがいたいのです。するとここの学生たちが研究しあい、たがいに励み合って努力を重ねることとなりましょう。
・切磋/切瑳 骨・角(つの)などを切ったり磨いたりする意から、学問に励み徳義を磨くこと。努力を重ねること。


觀經鴻都尚填咽,坐見舉國來奔波。
後漢の霊帝は蔡邕に命じ書かれた觀経は鴻都学校がこれを見に来たものでなひっきりなしにテンヤワンヤであったというし、まして、この石鼓ならば、こんどは 国を挙げて怒涛のように押しかけてくることは誰が考えてもそうなると思うことです。
・観経 後漢の霊帝は蔡邕に命じ、五経を校定し古文と篆書と隷書の三つの書体で石に刻んで大学の門下に建てさせたので、これを観にくるもので市のようになったという。
・鴻都 後漢の霊帝のたてた学校の名。
・填咽 転んだり、息を衝かせたりする状況でてんやわんや、というほどの意。
・奔波 乱暴におしよせる。


剜苔剔蘚露節角,安置妥帖平不頗。
この石鼓のむした苔を削り取り、節目、門目をあらわしきれいにすることと、平らかにして、傾かぬよう どっしり据えて安置することです。
・剜苔剔蘚 こけをごっそりこそげとる。
節角 ふしやかど。
・妥帖 ぴったりおちつく。

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#5>Ⅱ中唐詩526 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1670

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十二(30) 漢詩<173>古詩源 巻三 女性詩613 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1669 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#5>Ⅱ中唐詩526 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1670 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(8)” 石櫃閣 杜甫詩1000 <347>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1671 杜甫1500- 517 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集記夢  韓退之(韓愈) (12/14) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻十四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-14-14-#14 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1672 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                           http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#5>Ⅱ中唐詩526 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1670




石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。



#5
憶昔初蒙博士征,其年始改稱元和。
思い返せば数年前に初めて国学博士の官に召されたときのことだが、その年、年号が変わり、はじめて元和とよばれた。
故人從軍在右輔,為我度量掘臼科。
ふるくからの友人が鳳翔府の幕府軍隊に勤務していて、わたしのためにその遺跡を掘ってみようときかくしてくれた。
濯冠沐浴告祭酒,如此至寶存豈多。
そこで、わたしは冠あらい身をそそぎ清め、祭酒の国子監の総長に申請したのである、「こんな至宝というべきものはめったにあるものではありません。
氈包席裹可立致,十鼓只載數駱駝。

毛氈でつつみこみその上をむしろで側を囲いすぐにも持って参れましょう。そして十もある石鼓だとしても数頭の駱駝にそっくり載せてまいりましょう。」と。

憶う昔 初めて博士の征【め】しを蒙【こうむ】りしを、其の年 始めて改めて 元和と稱【しょう】す
故人 軍に従って右輔に在り、我が為に量度して臼科【きゅうか】を掘らんとす。
冠を濯って沐浴【もくよく】し祭酒に告ぐ、此の如き至寶【しほう】は存すること豈に多からむ。
氈【せん】に包み 席に裹【つつ】みて 立どころに致す可し、十鼓を只【た】だ載せむには 敷駱駝【らくだ】のみ。


『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文)
#5
憶昔初蒙博士征,其年始改稱元和。
故人從軍在右輔,為我度量掘臼科。
濯冠沐浴告祭酒,如此至寶存豈多。
氈包席裹可立致,十鼓只載數駱駝。


(下し文)
憶う昔 初めて博士の征【め】しを蒙【こうむ】りしを、其の年 始めて改めて 元和と稱【しょう】す
故人 軍に従って右輔に在り、我が為に量度して臼科【きゅうか】を掘らんとす。
冠を濯って沐浴【もくよく】し祭酒に告ぐ、此の如き至寶【しほう】は存すること豈に多からむ。
氈【せん】に包み 席に裹【つつ】みて 立どころに致す可し、十鼓を只【た】だ載せむには 敷駱駝【らくだ】のみ。


(現代語訳)
思い返せば数年前に初めて国学博士の官に召されたときのことだが、その年、年号が変わり、はじめて元和とよばれた。
ふるくからの友人が鳳翔府の幕府軍隊に勤務していて、わたしのためにその遺跡を掘ってみようときかくしてくれた。
そこで、わたしは冠あらい身をそそぎ清め、祭酒の国子監の総長に申請したのである、「こんな至宝というべきものはめったにあるものではありません。
毛氈でつつみこみその上をむしろで側を囲いすぐにも持って参れましょう。そして十もある石鼓だとしても数頭の駱駝にそっくり載せてまいりましょう。」と。


(訳注)#5
憶昔初蒙博士征,其年始改稱元和。

思い返せば数年前に初めて国学博士の官に召されたときのことだが、その年、年号が変わり、はじめて元和とよばれた。


故人從軍在右輔,為我量度掘臼科。
ふるくからの友人が鳳翔府の幕府軍隊に勤務していて、わたしのためにその遺跡を掘ってみようときかくしてくれた。
・右輔 右扶風であり、鳳翔府のことをいう。
・量度 企画する。
・臼科 うすのようにくぼんだ所を云う。


濯冠沐浴告祭酒,如此至寶存豈多。
そこで、わたしは冠あらい身をそそぎ清め、祭酒の国子監の総長に申請したのである、「こんな至宝というべきものはめったにあるものではありません。
・祭酒 国子監の総長。国立大学の学長。


氈包席裹可立致,十鼓只載數駱駝。
毛氈でつつみこみその上をむしろで側を囲いすぐにも持って参れましょう。そして十もある石鼓だとしても数頭の駱駝にそっくり載せてまいりましょう。」と。
・氈包 毛氈で包む。
・席裹 筵やござで囲う


韓愈「三品の性」について
この詩の「孔子」について、韓愈は儒家として孔子の学問について、その論を否定して、小馬鹿にしたような表現八句「金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。」と少し小ばかにし、そして最終的には「方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。」とのべている。
 韓愈は儒家の道徳の根原を「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五つの本質を原【たず】ねて推論をのべている。特に孟子の性善、荀子の性悪、楊雄の性善性悪混在説の三説に対して三品の性という新しい見解を述べたのであるが、韓愈の詩の理解のためには、韓愈が精魂込めた「原性」などを理解しなければならないのである。そこで、少し難しいが、このブログに取り上げ解説する予定である。
「学問を進めるための解明文」進学解(まとめ) 韓退之(韓愈)詩<114-16>Ⅱ中唐詩572 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1854

原道 韓退之(韓愈)詩<115-1>Ⅱ中唐詩573 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1858
24解分割で掲載

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#4>Ⅱ中唐詩525 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1666


  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十一(29) 漢詩<172>古詩源 巻三 女性詩612 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1665 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#4>Ⅱ中唐詩525 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1666 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(7)” 龍門閣 杜甫詩1000 <347>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1667 杜甫1500- 516 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集記夢  韓退之(韓愈)詩 (12/13) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻十三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-13-13-#13 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1668 
      


 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
 ◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/ 
          http://kanbuniinkai7.dousetsu.com 
          http://kanbuniinkai8.dousetsu.com 
                   http://3rd.geocities.jp/miz910yh/ 


石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#4>Ⅱ中唐詩525 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1666



石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。


#4
金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。
金の縄や鉄のくさりで、がんじがらめに縛ったようであり、あるいは王権の象徴としても「古い鼎」が水にとびこんで竜が梭に化け昇天する、ま逆の出来事みたいでもある。
陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。
心が狭く卑しい学者が『詩経』を編纂したので、この石鼓詩を採用しなかった。詩経小雅・大雅はかたよっており、おおらかなところが全くない。
孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。
孔子は西へ旅したけれども秦までは来ておらず、星くずのような詩は拾ったが、義和の太陽や嫦娥の月についてはおさめのこしている。
嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。
ああ、わたしは古代のものを愛しているのに 生まれてくるのが遅すぎたというのか。これにむかえうって、涙がふたすじ流れ落ち、そしてそれはぼろぼろととめどなく落ちつづける。


『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文) #4
金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。
陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。
孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。
嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。


(下し文)
金繩【きんじょう】鐵索【てつさく】鎖紐、古鼎水に躍って 龍は梭を騰ぐ。
陋儒【ろうじゅ】詩を編みて 収め入れず、二雅は褊迫にして 委蛇たる無し。
孔子 西に行きしも 秦に到らず、星宿を掎摭して 義娥を遺せり。
嗟 余 古を好めども 生るること苦だ晩し、此に封して 涕淚 雙びて滂沱たり。


(現代語訳)
金の縄や鉄のくさりで、がんじがらめに縛ったようであり、あるいは王権の象徴としても「古い鼎」が水にとびこんで竜が梭に化け昇天する、ま逆の出来事みたいでもある。
心が狭く卑しい学者が『詩経』を編纂したので、この石鼓詩を採用しなかった。詩経小雅・大雅はかたよっており、おおらかなところが全くない。
孔子は西へ旅したけれども秦までは来ておらず、星くずのような詩は拾ったが、義和の太陽や嫦娥の月についてはおさめのこしている。
ああ、わたしは古代のものを愛しているのに 生まれてくるのが遅すぎたというのか。これにむかえうって、涙がふたすじ流れ落ち、そしてそれはぼろぼろととめどなく落ちつづける。


(訳注) #4
金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。
金の縄や鉄のくさりで、がんじがらめに縛ったようであり、あるいは王権の象徴としても「古い鼎」が水にとびこんで竜が梭に化け昇天する、ま逆の出来事みたいでもある。
・金縄鉄索 金や鉄のなわ。蒼海の三呉を取るためのものなどを云う。
・鎖紐 しばりつける。
・古鼎躍水 王権の象徴として殷・周に引き継がれ,楚(そ)の荘王が「鼎の軽重」を問い,秦統一の動乱で泗水に沈んだと言われている故事をいう。
・龍騰梭 晋の陶侃が雷沢で釣をしていると、はたを織る梭がひっかかった。壁にかけておくと夕立がしてその梭が竜になって飛び去ったという話が南朝宋‧劉敬叔の『異苑』にみえる。


陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。
心が狭く卑しい学者が『詩経』を編纂したので、この石鼓詩を採用しなかった。詩経小雅・大雅はかたよっており、おおらかなところが全くない。
・陋儒編詩不收入 心が狭く卑しい学者が『詩経』を編纂したので、この石鼓詩を採用しなかった。・陋 1 場所が狭苦しい。2 心が狭く卑しい。
・二雅編迫不蚕蛇 『詩経」 の大雅小雅は当然石鼓の歌のようなものを収むべきであるが。窮迫すなわちセセッコマしく、委蛇すなわち大らかなところがないので、この詩を編入しなかった。◎孔子について


孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。
孔子は西へ旅したけれども秦までは来ておらず、星くずのような詩は拾ったが、義和の太陽や嫦娥の月についてはおさめのこしている。
・星宿 星座のこと。ここでは取るに足らない詩を云う。
・羲娥 義和の太陽や嫦娥の月ということ。


嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。
ああ、わたしは古代のものを愛しているのに 生まれてくるのが遅すぎたというのか。これにむかえうって、涙がふたすじ流れ落ち、そしてそれはぼろぼろととめどなく落ちつづける。




◎孔子について
韓愈は儒家として孔子の学問について、その論を否定して、小馬鹿にしたような表現八句「金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。」をのべているのではない。
 韓愈は儒家の道徳の根原を「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五つの本質を原【たず】ねて推論をのべている。特に孟子の性善、荀子の性悪、楊雄の性善性悪混在説の三説に対して三品の性という新しい見解を述べた「原性」はこのブログに取り上げ解説する予定である。
これは2013年1月頃から開始している。
「学問を進めるための解明文」進学解(まとめ) 韓退之(韓愈)詩<114-16>Ⅱ中唐詩572 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1854

原道 韓退之(韓愈)詩<115-1>Ⅱ中唐詩573 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1858
24解分割で掲載

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#3>Ⅱ中唐詩524 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1662

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十一(28) 漢詩<171>古詩源 巻三 女性詩611 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1661 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#3>Ⅱ中唐詩524 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1662 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(7)” 龍門閣 杜甫詩1000 <346>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1663 杜甫1500- 515 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集記夢  韓退之(韓愈)詩<78-#1>Ⅱ中唐詩443 (12/12) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻十二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-12-12-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1664 
      



 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
 ◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/ 
          http://kanbuniinkai7.dousetsu.com 
          http://kanbuniinkai8.dousetsu.com 
                   http://3rd.geocities.jp/miz910yh/ 



石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#3>Ⅱ中唐詩524 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1662



石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。


#3
公從何處得紙本,毫髮盡備無差訛。
君は何処からこの拓本を見つけてもって来たのか、髪の毛ほどの微細な点まできれいにそなわっていて 間違ったところはない。
辭嚴義密讀難曉,字體不類隸與科。
「文辞謹厳」「義理縝密」であって、読もうとしても 難解でなかなか通じないものだし、書風、字体は科斗文字でも隷書にも似ていないではないか。
年深豈免有缺畫,快劍斫斷生蛟鼉。
なんにしても年月がたっており、字画が欠落してもやむをえないというものであり、鋭い鋼剣で生きた螭やワニを切りさいているようだ。
鸞翔鳳翥眾仙下,珊瑚碧樹交枝柯。

あるいは鸞が飛んで、鳳凰がはばたき、そのうえ仙人たちが下りてくるかのようであり、東海の滄海の珊瑚や仙郷の碧樹がたがいに枝を交わすほどに繁っているみたいでもある。

公 何れの處より 紙本を得たる、毫髪 盡く備はって 差訛 無し。
辭 厳に 義 密に 読めども曉【さと】り難く、字體は 隷と科とに類せず。
年深ければ 豈に 缺畫有るを免れんや、快劍 斫り断つ 生蛟鼉。
鸞 翔けり 鳳翥って 衆仙下り、珊瑚 碧樹 枝柯を交ふ。




『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文)
#3
公從何處得紙本,毫髮盡備無差訛。
辭嚴義密讀難曉,字體不類隸與科。
年深豈免有缺畫,快劍斫斷生蛟鼉。
鸞翔鳳翥眾仙下,珊瑚碧樹交枝柯。


(下し文)
公 何れの處より 紙本を得たる、毫髪 盡く備はって 差訛 無し。
辭 厳に 義 密に 読めども曉【さと】り難く、字體は 隷と科とに類せず。
年深ければ 豈に 缺畫有るを免れんや、快劍 斫り断つ 生蛟鼉。
鸞 翔けり 鳳翥って 衆仙下り、珊瑚 碧樹 枝柯を交ふ。


(現代語訳)
君は何処からこの拓本を見つけてもって来たのか、髪の毛ほどの微細な点まできれいにそなわっていて 間違ったところはない。
「文辞謹厳」「義理縝密」であって、読もうとしても 難解でなかなか通じないものだし、書風、字体は科斗文字でも隷書にも似ていないではないか。
なんにしても年月がたっており、字画が欠落してもやむをえないというものであり、鋭い鋼剣で生きた螭やワニを切りさいているようだ。
あるいは鸞が飛んで、鳳凰がはばたき、そのうえ仙人たちが下りてくるかのようであり、東海の滄海の珊瑚や仙郷の碧樹がたがいに枝を交わすほどに繁っているみたいでもある。


(訳注) #3
公從何處得紙本,毫髮盡備無差訛。
君は何処からこの拓本を見つけてもって来たのか、髪の毛ほどの微細な点まできれいにそなわっていて 間違ったところはない。
・紙本 拓本。
・毫髮 秋に生え変わる毛ほどのこまかいところ。
・差訛 まちがい。


辭嚴義密讀難曉,字體不類隸與科。
「文辞謹厳」「義理縝密」であって、読もうとしても 難解でなかなか通じないものだし、書風、字体は科斗文字でも隷書にも似ていないではないか。
辭嚴義密 文辞意義が厳密である。文章と意味、書風のことを謂う。「文辞謹厳」「義理縝密」
隷与科 隷書と料斗文。料斗については韓愈『岣嶁山』。「岣嶁山尖神禹碑,字青石赤形模奇。蝌蚪拳身薤倒披,鸞飄鳳泊拿虎螭。事嚴跡秘鬼莫窺,道人獨上偶見之,我來咨嗟涕漣洏。千搜萬索何處有,森森綠樹猿猱悲。」蝌蚪とあり、・蝌蚪 おたまじゃくし。古代の文字に科斗を組み合わせたような形のものがあった。碑の文字のことをいっている。

岣嶁山 韓退之(韓愈)詩<52>Ⅱ中唐詩348 紀頌之の漢詩ブログ1123


年深豈免有缺畫,快劍斫斷生蛟鼉。
なんにしても年月がたっており、字画が欠落してもやむをえないというものであり、鋭い鋼剣で生きた螭やワニを切りさいているようだ。
・欠画 文字の画のかけたところ。
・快剣 するどい剣。
・斫断 切断と同じ。
・生蛟鼉 生きているミズチ(螭)やワニ。


鸞翔鳳翥眾仙下,珊瑚碧樹交枝柯。
あるいは鸞が飛んで、鳳凰がはばたき、そのうえ仙人たちが下りてくるかのようであり、東海の滄海の珊瑚や仙郷の碧樹がたがいに枝を交わすほどに繁っているみたいでもある。
・鸞翔鳳翥 鸞が飛んで、鳳凰がはばたいている。
・碧樹 東海の滄海の珊瑚や仙郷の碧樹。
・枝柯 えだ。

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#2>Ⅱ中唐詩523 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1658

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十(27) 漢詩<170>古詩源 巻三 女性詩610 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1657 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#2>Ⅱ中唐詩523 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1658 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(6)” 五盤 杜甫詩1000 <345>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1659 杜甫1500- 514 
 Ⅳ漢・唐・宋詞詩集酔留東野  韓退之(韓愈)詩<77-#2>Ⅱ中唐詩442 (12/11) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻十一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-11-11-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1660 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index李白350首女性詩index女性詩人
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  

◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
          http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
          http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
          http://3rd.geocities.jp/miz910yh/



石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#2>Ⅱ中唐詩523 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1658


石鼓歌
石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)の時としているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。

石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。


石鼓歌 韓愈詩
#1  
張生手持石鼓文,勸我試作石鼓歌。
張籍君が「石鼓文」を私のところへ持って来ていう、「試みに石鼓の歌を作りませんか」とわたしに勧めるのだ。
少陵無人謫仙死,才薄將奈石鼓何。
そうはいっても、少陵にはもう大詩人の杜甫いないし、 謫仙の李白もこの世にはもういない。才能がとぼしいわたしなんかにいったい「石鼓」をどうしろというのだ。
周綱陵遲四海沸,宣王憤起揮天戈。
いにしえの周代の制度がおとろえ 四海に至る世界がみなわきかえるような動乱がおこった。その時、宜王は憤起して武力をもって天下を平らげたという。
大開明堂受朝賀,諸侯劍佩鳴相磨。

大礼を行なう殿堂を大いに開き諸侯の朝賀を受けられたので、それでかれら諸侯の剣や腰の佩び玉がすれあって、それは響いたものだという。

石鼓の歌
張生 手に石鼓の文を持し、我に勧めて 石鼓の歌を 試作せしむ
少陵に人無く謫仙【たくせん】死せり、才薄きに 將た石鼓を奈何せむ。
周綱【しゅうこう】 陵遲【りょうち】して四海 沸きしが、宣王【せんおう】憤起して天戈【てんか】を揮【ふる】う。
大いに明堂を開いて 朝賀を受け、諸侯の劍佩【けんぱい】鳴って相磨【ま】す。

#2
蒐于岐陽騁雄俊,萬里禽獸皆遮羅。
平定を祝って岐陽の野で「御狩」をされると、そこには豪傑や俊馬が馳せ参じて、万里にわたる地域の鳥や獣がことごとく網や仕掛けによってつかまえられた。
鐫功勒成告萬世,鑿石作鼓隳嵯峨。
またその功業を石碑に彫り刻むことで万年の後の世までも告げ知らそうとされた。それはけわしい山をうちくだき、石をはり、石鼓をつくったのである。
從臣才藝鹹第一,揀選撰刻留山阿。
宜王につき従う臣下らはみな一流の文武そろった学者であったが、選びにえらび、文章作り、刻ませて、山かげにとどめておいたという。
雨淋日炙野火燎,鬼物守護煩撝呵。

雨はしたたり、日の灼熱が照らし、野火に焼かれることもあったが、神はこのものの変化を守護してじゃまだてするものをしりぞけたのだ。
岐陽に蒐【かり】して 雄俊を騁【は】せ、萬里の禽獣 皆 遮羅せらる。
功を鐫り 成を勒して萬世に告げ,石を鑿【ほ】り鼓を作って嵯峨を隳【やぶ】りぬ。
従臣の才藝は鹹く第一、揀選し 撰刻し 山阿に留む
雨淋【そそ】ぎ 日炙り野火焼くも、鬼物 守護して 撝呵【きか】を煩はす。


『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文) #2
蒐于岐陽騁雄俊,萬里禽獸皆遮羅。
鐫功勒成告萬世,鑿石作鼓隳嵯峨。
從臣才藝鹹第一,揀選撰刻留山阿。
雨淋日炙野火燎,鬼物守護煩撝呵。


(下し文)
岐陽に蒐【かり】して 雄俊を騁【は】せ、萬里の禽獣 皆 遮羅せらる。
功を鐫り 成を勒して萬世に告げ,石を鑿【ほ】り鼓を作って嵯峨を隳【やぶ】りぬ。
従臣の才藝は鹹く第一、揀選し 撰刻し 山阿に留む
雨淋【そそ】ぎ 日炙り野火焼くも、鬼物 守護して 撝呵【きか】を煩はす。


(現代語訳)
平定を祝って岐陽の野で「御狩」をされると、そこには豪傑や俊馬が馳せ参じて、万里にわたる地域の鳥や獣がことごとく網や仕掛けによってつかまえられた。
またその功業を石碑に彫り刻むことで万年の後の世までも告げ知らそうとされた。それはけわしい山をうちくだき、石をはり、石鼓をつくったのである。
宜王につき従う臣下らはみな一流の文武そろった学者であったが、選びにえらび、文章作り、刻ませて、山かげにとどめておいたという。
雨はしたたり、日の灼熱が照らし、野火に焼かれることもあったが、神はこのものの変化を守護してじゃまだてするものをしりぞけたのだ。


(訳注) #2
蒐于岐陽騁雄俊,萬里禽獸皆遮羅。
平定を祝って岐陽の野で「御狩」をされると、そこには豪傑や俊馬が馳せ参じて、万里にわたる地域の鳥や獣がことごとく網や仕掛けによってつかまえられた。
・蒐 狩猟。
・岐陽 関内道岐州岐山県。(地図茶字参照・中国歴史地図第五冊、唐、京畿道・関内道40-41、⑨-5地点)いま陝西省岐陽県。
体系 地図458華州から秦州
・遮羅
 網や仕掛けにとらえる。


鐫功勒成告萬世,鑿石作鼓隳嵯峨。
またその功業を石碑に彫り刻むことで万年の後の世までも告げ知らそうとされた。それはけわしい山をうちくだき、石をはり、石鼓をつくったのである。
・鐫功 功業を石にはりきざむ。
・勒成 成果をきざむ。
・隳 くずす。
・嵯峨 けわしい山。


從臣才藝鹹第一,揀選撰刻留山阿。
宜王につき従う臣下らはみな一流の文武そろった学者であったが、選びにえらび、文章作り、刻ませて、山かげにとどめておいたという。
・従臣 宣王に随う臣。
・揀選 選抜。
・撰刻 文章を作って石に刻む。


雨淋日炙野火燎,鬼物守護煩撝呵。
雨はしたたり、日の灼熱が照らし、野火に焼かれることもあったが、神はこのものの変化を守護してじゃまだてするものをしりぞけたのだ。
・淋 しとどにぬれる。

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#1>Ⅱ中唐詩522 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1654


  同じ日の紀頌之5つのブログ 

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
為焦仲卿妻作-其十(26) 漢詩<169>古詩源 巻三 女性詩609 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1653
Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#1>Ⅱ中唐詩522 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1654
Ⅲ.杜甫詩1000詩集
”成都紀行(6)” 五盤 杜甫詩1000 <345>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1655 杜甫1500- 513
Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
酔留東野  韓退之(韓愈)詩<77-#1>Ⅱ中唐詩441 (12/10)
.晩唐五代詞詩・宋詞詩
『菩薩蠻 十』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-10-10-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1656
◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
                  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
                  http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
                             http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#1>Ⅱ中唐詩522 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1654



石鼓文(せっこぶん)とは、唐初期に陝西省鳳翔府天興県で出土した10基の花崗岩の石碑、またはそれに刻まれた文字をいう。現存する中国の石刻文字資料としては最古のもので、出土した当時から珍重され、現在は北京故宮博物院に展示されている。


石鼓歌 韓愈詩
#1  
張生手持石鼓文,勸我試作石鼓歌。
少陵無人謫仙死,才薄將奈石鼓何。
周綱陵遲四海沸,宣王憤起揮天戈。
大開明堂受朝賀,諸侯劍佩鳴相磨。
#2
蒐于岐陽騁雄俊,萬里禽獸皆遮羅。
鐫功勒成告萬世,鑿石作鼓隳嵯峨。
從臣才藝鹹第一,揀選撰刻留山阿。
雨淋日炙野火燎,鬼物守護煩撝呵。
#3
公從何處得紙本,毫髮盡備無差訛。
辭嚴義密讀難曉,字體不類隸與科。
年深豈免有缺畫,快劍斫斷生蛟鼉。
鸞翔鳳翥眾仙下,珊瑚碧樹交枝柯。
#4
金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。
陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。
孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。
嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。
#5
憶昔初蒙博士征,其年始改稱元和。
故人從軍在右輔,為我度量掘臼科。
濯冠沐浴告祭酒,如此至寶存豈多。
氈包席裹可立致,十鼓只載數駱駝。
#6
薦諸太廟比郜鼎,光價豈止百倍過。
聖恩若許留太學,諸生講解得切磋。
觀經鴻都尚填咽,坐見舉國來奔波。
剜苔剔蘚露節角,安置妥帖平不頗。
#7
大廈深簷與蓋覆,經歷久遠期無佗。
中朝大官老於事,詎肯感激徒媕婀。
牧童敲火牛礪角,誰複著手為摩挲。
日銷月鑠就埋沒,六年西顧空吟哦。
#8
羲之俗書趁姿媚,數紙尚可博白鵝。
繼周八代爭戰罷,無人收拾理則那。
方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。
安能以此上論列,願借辨口如懸河。
石鼓之歌止於此,嗚呼吾意其蹉跎。






石鼓歌 韓愈詩
#1  
張生手持石鼓文,勸我試作石鼓歌。
張籍君が「石鼓文」を私のところへ持って来ていう、「試みに石鼓の歌を作りませんか」とわたしに勧めるのだ。
少陵無人謫仙死,才薄將奈石鼓何。
そうはいっても、少陵にはもう大詩人の杜甫いないし、 謫仙の李白もこの世にはもういない。才能がとぼしいわたしなんかにいったい「石鼓」をどうしろというのだ。
周綱陵遲四海沸,宣王憤起揮天戈。
いにしえの周代の制度がおとろえ 四海に至る世界がみなわきかえるような動乱がおこった。その時、宜王は憤起して武力をもって天下を平らげたという。
大開明堂受朝賀,諸侯劍佩鳴相磨。

大礼を行なう殿堂を大いに開き諸侯の朝賀を受けられたので、それでかれら諸侯の剣や腰の佩び玉がすれあって、それは響いたものだという。

石鼓の歌
張生 手に石鼓の文を持し、我に勧めて 石鼓の歌を 試作せしむ
少陵に人無く謫仙【たくせん】死せり、才薄きに 將た石鼓を奈何せむ。
周綱【しゅうこう】 陵遲【りょうち】して四海 沸きしが、宣王【せんおう】憤起して天戈【てんか】を揮【ふる】う。
大いに明堂を開いて 朝賀を受け、諸侯の劍佩【けんぱい】鳴って相磨【ま】す。


『石鼓歌』 現代語訳と訳註
(本文)
#1  
張生手持石鼓文,勸我試作石鼓歌。
少陵無人謫仙死,才薄將奈石鼓何。
周綱陵遲四海沸,宣王憤起揮天戈。
大開明堂受朝賀,諸侯劍佩鳴相磨。


(下し文) 石鼓の歌
張生 手に石鼓の文を持し、我に勧めて 石鼓の歌を 試作せしむ
少陵に人無く謫仙【たくせん】死せり、才薄きに 將た石鼓を奈何せむ。
周綱【しゅうこう】 陵遲【りょうち】して四海 沸きしが、宣王【せんおう】憤起して天戈【てんか】を揮【ふる】う。
大いに明堂を開いて 朝賀を受け、諸侯の劍佩【けんぱい】鳴って相磨【ま】す。


(現代語訳)
張籍君が「石鼓文」を私のところへ持って来ていう、
「試みに石鼓の歌を作りませんか」とわたしに勧めるのだ。
そうはいっても、少陵にはもう大詩人の杜甫いないし、 謫仙の李白もこの世にはもういない。才能がとぼしいわたしなんかにいったい「石鼓」をどうしろというのだ。
いにしえの周代の制度がおとろえ 四海に至る世界がみなわきかえるような動乱がおこった。その時、宜王は憤起して武力をもって天下を平らげたという。
大礼を行なう殿堂を大いに開き諸侯の朝賀を受けられたので、それでかれら諸侯の剣や腰の佩び玉がすれあって、それは響いたものだという。


(訳注) #1  
石鼓歌

石臼のよう太鼓の形の石に、先秦時代の文字がほりつけてあるため、「石鼓」といわれ、十個ある。そこにほられている文字が、石鼓文で、ふつうの篆書すなわち小篆とはやや異なる大篆という書体である。またその文革は、四書の詩で「詩経」の詩によく似ている。
韓愈はこの詩では、周の宣王(紀元前828-728年在位)のときとしているが、現在では周の平王元年紀元前770年の作である。


張生手持石鼓文,勸我試作石鼓歌。
張籍君が「石鼓文」を私のところへ持って来ていう、「試みに石鼓の歌を作りませんか」とわたしに勧めるのだ。
張生 張籍のこと。
張籍【768年(大暦三年)~830年(太和四年)】。は、中唐の詩人。字は文昌。和州(かしゅう)烏江(安徽省和県)の人。師友の韓愈に目をかけられ、その推薦によって、国子博士となった。楽府に長じている。賈島・孟郊などと唱和して古詩をよくし、盟友の王建とともに七言楽府に優れた作品を発表して「張王」と併称された。名詩人になろうとして、杜甫の詩集を焼いてその灰に膏蜜を混ぜて飲んだという逸話がある。表現は平易だが、世相の矛盾を指摘することは鋭く、白居易から「挙世(いまのよ)には其の倫(たぐい)少なし」と評せられ、後輩の姚合より「古風は敵手なく、新語は是れ人ぞ知る」と称えられた。中唐楽府運動の重要な担い手であり、白居易・元稹とともに「元和体」を形成した。『張司業詩集』8巻がある。
張籍は汴州の乱のおこった年の貞元十五年(799年)の進士であるが、韓愈より年長かも知れない。韓愈は孟郊に比べて後輩である。しかし韓愈の門人であって、その推薦によって官につき、水部員外郎〔水運水利を管理する職)となったので張水部と言われ、のち国子司業(大学教授)となったから張司業とも称せられる。
楽府体の詩に関しては友人の王建【768?~830?年(大暦10年進士)】と名を等しくするといわれ、元稹・白居易らの一群に数える文学史家もある。しかし晩年は律詩に力をそそぎ門人が多かった.張王二人の楽府は政治に対する批判と人民の苦痛を訴える点では杜甫・元結の風をうけるもので、七言の体が多い。
・石鼓文 石鼓に刻まれた詩の拓本。
・少陵 長安の南の郊外の杜陵の南部。そこに詩人杜甫の家があった。杜博に「少陵の野老声を呑んで笑す」という有名な句があり、杜甫のことを杜少陵とよぶのもこの地名に因む。

陪諸貴公子丈八溝携妓納涼晩際遇雨二首其一 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 73

醉時歌  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の 漢詩ブログ 誠実な詩人 杜甫 特集 77

などの詩にその地の様子が見える。

少陵無人謫仙死,才薄將奈石鼓何。
そうはいっても、少陵にはもう大詩人の杜甫いないし、 謫仙の李白もこの世にはもういない。才能がとぼしいわたしなんかにいったい「石鼓」をどうしろというのだ。
・無人 少陵には詩人杜甫もいない。
謫仙 李白のこと。かれの「酒に対して賀藍を憶ふ詩」 の序に対酒憶賀監 二首 并序 其一 李白
對酒憶賀監併序 
太子賓客賀公、於長安紫極宮一見余、呼余為謫仙人。        
因解金亀換酒為楽、没後対酒、悵然有懐而作是詩。(太子賓客の賀公は長安の紫極官に於て余を一見して、呼びて諦仙人と為せり)という。賀監といい太子賓客賀公というのは「飲中八仙歌 杜甫」にもうたわれた賀知章のこと。諦仙人とは天上、あるいは仙人の世界から人間世界に追放された仙人のこと。
知章騎馬似乘船,眼花落井水底眠。
賀知章は何時も酔っていて、馬に乗っても船に乗っているように揺れている、くるくると回る目が井戸に落ちて水底に眠る。


○知章 賀知章。会稽永興の人、自から四明狂客と号し、太子賓客・秘書監となった。天宝三載、疏を上って郷に帰るとき、玄宗は詩を賦して彼を送った。○乗船 ゆらゆらする酔態をいう。知章は出身が商人で、商人は船に乗るので、騎馬にまたがった状態をいったのだ。○眼花 酔眼でみるとき現象のちらつくことをいう。
・才薄 わたしは才能が浅薄だ。もとより韓愈の謙辞である。


周綱陵遲四海沸,宣王憤起揮天戈。
いにしえの周代の制度がおとろえ 四海に至る世界がみなわきかえるような動乱がおこった。その時、宜王は憤起して武力をもって天下を平らげたという。
・周綱 周代の政治秩序。
・陵遲 盛なものが次第に衰えてゆくこと。
・四海 中国をとりまく四つの海。ひいて、世界のこと。
・沸 わきかえるような動乱がおこった。周の代もはじめのうちはすぐれた王が次次に出てよく治ったがそのうち政治の秩序がみだれ、厲王のころには人民が蜂起して、王を国外に追い目すようなこともあった。
・宜王 周の中興の名主といわれる人である。『詩経』小雅六月に
六月棲棲、戎車既飭。
四牡驥驥、載是常服。
玁狁孔熾、我是用急。
王于出征、以匡王國。
と中興の功業を讃えたものである。
・天戈 天から与えられたホコ。それをふるうとは、戦争することである。


大開明堂受朝賀,諸侯劍佩鳴相磨。
大礼を行なう殿堂を大いに開き諸侯の朝賀を受けられたので、それでかれら諸侯の剣や腰の佩び玉がすれあって、それは響いたものだという。
・明堂 天子が天や祖先の霊を祭ったり、諸侯の朝見をぅけるなどの、大礼を行なう殿堂。
・劍佩 剣と佩玉。佩玉は官吏の制服の腰にさげる玉。



韓愈「三品の性」について
この詩の「孔子」について、韓愈は儒家として孔子の学問について、その論を否定して、小馬鹿にしたような表現八句「金繩鐵索鎖紐壯,古鼎躍水龍騰梭。陋儒編詩不收入,二雅褊迫無委蛇。孔子西行不到秦,掎摭星宿遺羲娥。嗟予好古生苦晚,對此涕淚雙滂沱。」と少し小ばかにし、そして最終的には「方今太平日無事,柄任儒術崇丘軻。」とのべている。
 韓愈は儒家の道徳の根原を「原道」「原性」「原毀」「原人」「原鬼」の五つの本質を原【たず】ねて推論をのべている。特に孟子の性善、荀子の性悪、楊雄の性善性悪混在説の三説に対して三品の性という新しい見解を述べたのであるが、韓愈の詩の理解のためには、韓愈が精魂込めた「原性」などを理解しなければならないのである。そこで、少し難しいが、このブログに取り上げ解説する予定である。
「学問を進めるための解明文」進学解(まとめ) 韓退之(韓愈)詩<114-16>Ⅱ中唐詩572 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1854

原道 韓退之(韓愈)詩<115-1>Ⅱ中唐詩573 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1858
24解分割で掲載

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#8>Ⅱ中唐詩521 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1650

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-#25其十(10)-3 漢詩<168>古詩源 巻三 女性詩608 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1649 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#8>Ⅱ中唐詩521 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1650 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(5)”  飛仙閣 杜甫詩1000 <344>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1651 杜甫1500- 512 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集(10) 琴操十首殘形操 曾子夢見一狸,不見其首作 韓退之(韓愈)詩<66-#10>Ⅱ中唐詩440 (12/09) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻 九』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-9-9-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1652 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index李白350首女性詩index女性詩人
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  

◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
             http://kanbuniinkai7.dousetsu.com
             http://kanbuniinkai8.dousetsu.com
             http://3rd.geocities.jp/miz910yh/

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#8>Ⅱ中唐詩521 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1650


#7
烏龜怯奸,怕寒縮頸,以殼自遮。
冬の役目の黒亀はこの状態におびえてこわがっているし、おそれ寒そうに首をちぢめている。そして自分の甲羅の中にもぐりこんだ。
終令誇蛾抉汝出,卜師燒錐鑽灼滿板如星羅。
これではいっそのこと嫦娥の汝をよんで来てここに引っぱり出して、この甲羅いっぱいに錐で星ほどの穴を焼きあけて吉凶の占い師のようにやってみるか。
此外內外官,瑣細不足科。
このほかの朝廷内の百官、宦官、潘鎮、節度使、諸公にいたる、内外の官を内揃えるが、この些細な星くずのような者たちは谷をうめるほどの値うちしかないというものだ。
臣請悉掃除,慎勿許語令啾嘩。
わたしは臣下のものとしてなにとぞこいつらみんな追いはらうことをさせていただきたいのです。こいつらの讒言、謀言、告げ口、策略などペチャクチャ喋ることが出来ないようにしてやりたいのです。
並光全耀歸我月,盲眼鏡淨無纖瑕。
こうして平生ある光をみんな取り上げて、わが月さまにお返しいたし、盲目になられた鏡である月を浄らにキズのないようにしたいのです。
弊蛙拘送主府官,帝箸下腹嘗其皤。

このようなとんでもない蛙は所轄の朝廷の係りの大臣に拘送いたすことです。そうすれば、天子、天帝は箸おろし 白い腹の肉を召上がられるのがよろしいのです。
#8
依前使兔操杵臼,玉階桂樹閑婆娑。
そうすれば月にいる兔を前のように使って、杵や臼を操るのだ、月の天子の輝くキザハシには梧桐が繁って年増女には暇を出す。
姮娥還宮室,太陽有室家。
西王母の仙女が月に行ったが後宮を変えられたという。太陽はというと、そば添えを置かれているという。
天雖高,耳屬地。
簡単に天というがとても高いのだ、耳は地にある。
感臣赤心,使臣知意。
臣下の私の心持をあらわし、私の心持を知らしめたいのである。
雖無明言,潛喻厥旨。
ところが口でいうのはなかなかやさしいものではなく、ひそかにおもっていることをうまく表すように諭されるのである。
有氣有形,皆吾赤子。
雰囲気を持っていて、形で現れるものも持っている。皆私の子供である。
雖忿大傷,忍殺孩稚。
どうも大きなけがをしているようだし、殺すにはかわいそうで忍びないのである。
還汝月明,安行於次。
お前を月に還さねばならない。どうにかして次の月の運行する軌道にのせてやらねばならない。
盡釋眾罪,以蛙磔死。
集まったものもみんなことごとく許してやらねばと思うが、妥た、蝦蟇の奴は磔の死刑に致さねばなるまい
#7
烏亀は姦に怯え、寒さを伯れて頸を縮め、殻を以て自ら遮る。
終に李蛾をして女を決って出さしむるも、ト師の焼錐もて蹟灼して板に満たして星累の加からしめむのみ。
比の外の内外の官は、賓姫にして絆するに足らず。
臣請ふ 悉く掃除し、償みて語を許して琳辞せしむる勿らしめむ。
光を併せ 輝を全うして 我が月に辞し、盲眼 鏡浄らかにして 織暇も無からしむ。
弊蛙は王府の官に拘迭せん、帝の箸を腹に下して其の暗たるを嘗めたまへ。
#8
前の依く 兎滋して杵と日とを操らしめは、玉階の桂樹は閑にして婆娑たらむ。
姮娥は宮室に還り,太陽は室家有らむ。
天は高しと雖も、耳は地に属せり。
臣が赤心に感じ、臣をして意を知らしむ。
明言する無しと雖も、潜に灰の旨を喩せり。
気有り 形有り、皆 吾が赤子なり。
大いに傷つきしを怠ると雄も、窃椎を殺すに忍びむや。
女に月明を還し、次に安行せしめむ。
轟く衆罪を辞し、蛙を以て礫死せしめむと。


『月蝕詩效玉川子作 』 現代語訳と訳註
(本文)
#8
依前使兔操杵臼,玉階桂樹閑婆娑。
姮娥還宮室,太陽有室家。
天雖高,耳屬地。
感臣赤心,使臣知意。雖無明言,潛喻厥旨。
有氣有形,皆吾赤子。雖忿大傷,忍殺孩稚。
還汝月明,安行於次。盡釋眾罪,以蛙磔死。


(下し文)#8
前の依く 兎滋して杵と日とを操らしめは、玉階の桂樹は閑にして婆娑たらむ。
姮娥は宮室に還り,太陽は室家有らむ。
天は高しと雖も、耳は地に属せり。
臣が赤心に感じ、臣をして意を知らしむ。
明言する無しと雖も、潜に灰の旨を喩せり。
気有り 形有り、皆 吾が赤子なり。
大いに傷つきしを怠ると雄も、窃椎を殺すに忍びむや。
女に月明を還し、次に安行せしめむ。
轟く衆罪を辞し、蛙を以て礫死せしめむと。


(現代語訳)
そうすれば月にいる兔を前のように使って、杵や臼を操るのだ、月の天子の輝くキザハシには梧桐が繁って年増女には暇を出す。
西王母の仙女が月に行ったが後宮を変えられたという。太陽はというと、そば添えを置かれているという。
簡単に天というがとても高いのだ、耳は地にある。
臣下の私の心持をあらわし、私の心持を知らしめたいのである。
ところが口でいうのはなかなかやさしいものではなく、ひそかにおもっていることをうまく表すように諭されるのである。
雰囲気を持っていて、形で現れるものも持っている。皆私の子供である。
どうも大きなけがをしているようだし、殺すにはかわいそうで忍びないのである。
お前を月に還さねばならない。どうにかして次の月の運行する軌道にのせてやらねばならない。
・次 いえ、ということだが、ここでは月の運行する軌道のこと。
集まったものもみんなことごとく許してやらねばと思うが、妥た、蝦蟇の奴は磔の死刑に致さねばなるまい。


(訳注)#8
依前使兔操杵臼,玉階桂樹閑婆娑。
そうすれば月にいる兔を前のように使って、杵や臼を操るのだ、月の天子の輝くキザハシには梧桐が繁って年増女には暇を出す。
兔操杵臼 月の中でウサギが干不で臼をつく。
玉階 月の中にあるといわれる御殿の白玉の階段。
・桂 月の中に生えているといわれる桂の木。桂はモクセイのこと。


姮娥還宮室,太陽有室家。
西王母の仙女が月に行ったが後宮を変えられたという。太陽はというと、そば添えを置かれているという。
姮娥 『准南子』に「翠、不死の薬を西王母に請ふ。その妻檀紙、これを病みて月官に奔る」とみえる。・誇蛾 恒蛾、嫦娥、常娥、娥娥 蛾娥など 神話中の女性。神話の英雄、羿(がい)が西方極遠の地に存在する理想国西王母の国の仙女にお願いしてもらった不死の霊薬を、その妻の嫦娥がぬすみ飲み、急に身軽くなって月世界まで飛びあがり月姫となった。漢の劉安の「淮南子」覧冥訓に登場する。なお、魯迅(1881-l936)にこの神話を小説化した「羿月」がいげつと題する小説がある。ここでは占いの雰囲気作りにはみょうれいな女性の神、巫女の登場というシチュエーションというところか。 


天雖高,耳屬地。
簡単に天というがとても高いのだ、耳は地にある。


感臣赤心,使臣知意。
臣下の私の心持をあらわし、私の心持を知らしめたいのである。


雖無明言,潛喻厥旨。
ところが口でいうのはなかなかやさしいものではなく、ひそかにおもっていることをうまく表すように諭されるのである。


有氣有形,皆吾赤子
雰囲気を持っていて、形で現れるものも持っている。皆私の子供である。


雖忿大傷,忍殺孩稚。
どうも大きなけがをしているようだし、殺すにはかわいそうで忍びないのである。


還汝月明,安行於次。
お前を月に還さねばならない。どうにかして次の月の運行する軌道にのせてやらねばならない。
 いえ、ということだが、ここでは月の運行する軌道のこと。


盡釋眾罪,以蛙磔死。
集まったものもみんなことごとく許してやらねばと思うが、妥た、蝦蟇の奴は磔の死刑に致さねばなるまい。


月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#7>Ⅱ中唐詩520 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1646


同じ日の紀頌之5つのブログ
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩

 為焦仲卿妻作-其十(24) 漢詩<167>古詩源 巻三 女性詩607 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1645

Ⅱ中唐詩・晩唐詩

 月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#7>Ⅱ中唐詩520 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1646

Ⅲ杜甫詩1000詩集

 ”成都紀行(5)”  飛仙閣 杜甫詩1000 <344>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1647 杜甫1500- 511

Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集

 琴操十首 (9)別鵠操 商陵穆子,娶妻五年無子。父母欲其改娶,其妻聞之,中夜悲嘯,穆子感之而作 韓退之(韓愈)詩<75-(9)>Ⅱ中唐詩439 (12/08)

.唐五代詞詩・宋詞詩

『菩薩蠻 八』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-8-8-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1648

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#7>Ⅱ中唐詩520 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1646




#7
烏龜怯奸,怕寒縮頸,以殼自遮。
冬の役目の黒亀はこの状態におびえてこわがっているし、おそれ寒そうに首をちぢめている。そして自分の甲羅の中にもぐりこんだ。
終令誇蛾抉汝出,卜師燒錐鑽灼滿板如星羅。
これではいっそのこと嫦娥の汝をよんで来てここに引っぱり出して、この甲羅いっぱいに錐で星ほどの穴を焼きあけて吉凶の占い師のようにやってみるか。
此外內外官,瑣細不足科。
このほかの朝廷内の百官、宦官、潘鎮、節度使、諸公にいたる、内外の官を内揃えるが、この些細な星くずのような者たちは谷をうめるほどの値うちしかないというものだ。
臣請悉掃除,慎勿許語令啾嘩。
わたしは臣下のものとしてなにとぞこいつらみんな追いはらうことをさせていただきたいのです。こいつらの讒言、謀言、告げ口、策略などペチャクチャ喋ることが出来ないようにしてやりたいのです。
並光全耀歸我月,盲眼鏡淨無纖瑕。
こうして平生ある光をみんな取り上げて、わが月さまにお返しいたし、盲目になられた鏡である月を浄らにキズのないようにしたいのです。
弊蛙拘送主府官,帝箸下腹嘗其皤。
このようなとんでもない蛙は所轄の朝廷の係りの大臣に拘送いたすことです。そうすれば、天子、天帝は箸おろし 白い腹の肉を召上がられるのがよろしいのです。
#8
依前使兔操杵臼,玉階桂樹閑婆娑。
姮娥還宮室,太陽有室家。
天雖高,耳屬地。
感臣赤心,使臣知意。雖無明言,潛喻厥旨。
有氣有形,皆吾赤子。雖忿大傷,忍殺孩稚。
還汝月明,安行於次。盡釋眾罪,以蛙磔死。

#7
烏亀は姦に怯え、寒さを伯れて頸を縮め、殻を以て自ら遮る。
終に李蛾をして女を決って出さしむるも、ト師の焼錐もて蹟灼して板に満たして星累の加からしめむのみ。
比の外の内外の官は、賓姫にして絆するに足らず。
臣請ふ 悉く掃除し、償みて語を許して琳辞せしむる勿らしめむ。
光を併せ 輝を全うして 我が月に辞し、盲眼 鏡浄らかにして 織暇も無からしむ。
弊蛙は王府の官に拘迭せん、帝の箸を腹に下して其の暗たるを嘗めたまへ。
#8
前の依く 兎滋して杵と日とを操らしめは、玉階の桂樹は閑にして婆娑たらむ。
姮娥は宮室に還り,太陽は室家有らむ。
天は高しと雖も、耳は地に属せり。
臣が赤心に感じ、臣をして意を知らしむ。
明言する無しと雖も、潜に灰の旨を喩せり。
気有り 形有り、皆 吾が赤子なり。
大いに傷つきしを怠ると雄も、窃椎を殺すに忍びむや。
女に月明を還し、次に安行せしめむ。
轟く衆罪を辞し、蛙を以て礫死せしめむと。


『月蝕詩效玉川子作』 現代語訳と訳註
(本文)
#7
烏龜怯奸,怕寒縮頸,以殼自遮。
終令誇蛾抉汝出,卜師燒錐鑽灼滿板如星羅。
此外內外官,瑣細不足科。
臣請悉掃除,慎勿許語令啾嘩。
並光全耀歸我月,盲眼鏡淨無纖瑕。
弊蛙拘送主府官,帝箸下腹嘗其皤。


(下し文) #7
烏亀は姦に怯え、寒さを伯れて頸を縮め、殻を以て自ら遮る。
終に李蛾をして女を決って出さしむるも、ト師の焼錐もて蹟灼して板に満たして星累の加からしめむのみ。
比の外の内外の官は、賓姫にして絆するに足らず。
臣請ふ 悉く掃除し、償みて語を許して琳辞せしむる勿らしめむ。
光を併せ 輝を全うして 我が月に辞し、盲眼 鏡浄らかにして 織暇も無からしむ。
弊蛙は王府の官に拘迭せん、帝の箸を腹に下して其の暗たるを嘗めたまへ。


(現代語訳)
冬の役目の黒亀はこの状態におびえてこわがっているし、おそれ寒そうに首をちぢめている。そして自分の甲羅の中にもぐりこんだ。
これではいっそのこと嫦娥の汝をよんで来てここに引っぱり出して、この甲羅いっぱいに錐で星ほどの穴を焼きあけて吉凶の占い師のようにやってみるか。
このほかの朝廷内の百官、宦官、潘鎮、節度使、諸公にいたる、内外の官を内揃えるが、この些細な星くずのような者たちは谷をうめるほどの値うちしかないというものだ。
わたしは臣下のものとしてなにとぞこいつらみんな追いはらうことをさせていただきたいのです。こいつらの讒言、謀言、告げ口、策略などペチャクチャ喋ることが出来ないようにしてやりたいのです。
こうして平生ある光をみんな取り上げて、わが月さまにお返しいたし、盲目になられた鏡である月を浄らにキズのないようにしたいのです。
このようなとんでもない蛙は所轄の朝廷の係りの大臣に拘送いたすことです。そうすれば、天子、天帝は箸おろし 白い腹の肉を召上がられるのがよろしいのです。


(訳注) #7
烏龜怯奸,怕寒縮頸,以殼自遮。

冬の役目の黒亀はこの状態におびえてこわがっているし、おそれ寒そうに首をちぢめている。そして自分の甲羅の中にもぐりこんだ。
鳥亀 冬、玄武、すなわち神亀。
五行関係図


終令誇蛾抉汝出,卜師燒錐鑽灼滿板如星羅。
これではいっそのこと嫦娥の汝をよんで来てここに引っぱり出して、この甲羅いっぱいに錐で星ほどの穴を焼きあけて吉凶の占い師のようにやってみるか。
・焼錐 やいたキリ。
・餞灼 穴をあけてやく。
誇蛾 恒蛾、嫦娥、常娥、娥娥 蛾娥など 神話中の女性。神話の英雄、羿(がい)が西方極遠の地に存在する理想国西王母の国の仙女にお願いしてもらった不死の霊薬を、その妻の嫦娥がぬすみ飲み、急に身軽くなって月世界まで飛びあがり月姫となった。漢の劉安の「淮南子」覧冥訓に登場する。なお、魯迅(1881-l936)にこの神話を小説化した「羿月」がいげつと題する小説がある。ここでは占いの雰囲気作りにはみょうれいな女性の神、巫女の登場というシチュエーションというところか。 


此外內外官,瑣細不足科。
このほかの朝廷内の百官、宦官、潘鎮、節度使、諸公にいたる、内外の官を内揃えるが、この些細な星くずのような者たちは谷をうめるほどの値うちしかないというものだ。


臣請悉掃除,慎勿許語令啾嘩。
わたしは臣下のものとしてなにとぞこいつらみんな追いはらうことをさせていただきたいのです。こいつらの讒言、謀言、告げ口、策略などペチャクチャ喋ることが出来ないようにしてやりたいのです。
・啾嘩 べちゃくちゃしゃべること。


並光全耀歸我月,盲眼鏡淨無纖瑕。
こうして平生ある光をみんな取り上げて、わが月さまにお返しいたし、盲目になられた鏡である月を浄らにキズのないようにしたいのです。


弊蛙拘送主府官,帝箸下腹嘗其皤。
このようなとんでもない蛙は所轄の朝廷の係りの大臣に拘送いたすことです。そうすれば、天子、天帝は箸おろし 白い腹の肉を召上がられるのがよろしいのです。


五行
五色青(緑)玄(黒)
五方西
五時土用
五節句人日上巳端午七夕重陽
五星歳星(木星)螢惑(火星)填星(土星)太白(金星)辰星(水星)
五虫(魚と爬虫類)羽(鳥)裸(ヒト)毛(獣)(カメ、甲殻類と貝類)
五獣青竜朱雀黄麟や黄竜白虎玄武
五竜青竜赤竜黄竜白竜黒竜

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#6>Ⅱ中唐詩519 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1642

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其十(23) 漢詩<166>古詩源 巻三 女性詩606 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1641 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#6>Ⅱ中唐詩519 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1642 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(4)” 水會渡 杜甫詩1000 <343>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1643 杜甫1500- 510 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集琴操十首 (8)雉朝飛操 牧犢子七十無妻,見雉雙飛,感之而作 韓退之(韓愈)詩<74-(8)>Ⅱ中唐詩438 (12/07) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-7-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#6>Ⅱ中唐詩519 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1642


#4
赤龍黑鳥燒口熱,翎鬣倒側相搪撐。
太陽の馭者の赤龍と太陽に住む九黒烏に口を役ばかりに厚いものを与え、主茎羽とたてがみを折りたたんで互いに突っつかせるのだ。
婪酣大肚遭一飽,饑腸徹死無由鳴。
むさぼりくらわせておなか一杯にしてやり、そして、次にはひもじいおなかになるまで徹底的に食わせずにいたとしてもグーグーおなかを鳴らせることはないだろう。
後時食月罪當死,天羅磕匝何處逃汝刑。
適当な時期をおくらせることでこともあろうに月を食ってしまったので、これは死罪にあたる出来事だ。天網、森羅万象 あまねくもので取り囲んでしまうので隠れるところはどこにもなくなるのだ。
玉川子立於庭而言曰:地行賤臣仝,再拜敢告上天公。
玉川先生は庭先に立って申された。「地上に生活している賤しき臣民の盧仝から、ふたたび礼拝して敢えて天上天子に申しあげたきことがあります。
臣有一寸刃,可刳凶蟆腸。
臣民盧仝には一寸の刃をもっております、これによって、蝦蟇の腸を書ききって抉り出してみせます。
無梯可上天,天階無由有臣蹤。
しかし私には天上に上る梯子がありません、天上天子のきざはしに参上いたして致すことが出来ません。
#5
寄箋東南風,天門西北祈風通。
だから、東南風にのせて、わたしのおもいを手紙によせている。天上の御門には西北の強い風に乗せて風のたよりに祈りを込めるのである。
丁甯附耳莫漏泄,薄命正值飛廉慵。
丁寧にお耳に入れていただき漏れたりこぼれたりしないよう祈っています。なさけないことには風の神である飛廉がどうやらズボラをしたようだ。
東方青色龍,牙角何呀呀。
五行思想でいう、東の方には青竜がひかえており、牙をむき、角を立てて、何とギギーッとかまえているではないか。
從官百餘座,嚼啜煩官家。
百人を超す家来を従えて、やってきてはいるが、お上の世話になって飲んだり食ったりしているだけなのだ。
月蝕汝不知,安用為龍窟天河。
だから月蝕が起こっても知らん顔しているのだ。天の川の河原で、竜がおさまってしまって、どうしてトグロを巻いているだけなのか。
赤鳥司南方,尾禿翅觰沙。
南の方には朱い鳥が担当しているのであるが、尾っぽの羽は抜け、頭は禿げて肝心な羽さえも跳ね上がって固くなっているのだ。
#6
月蝕於汝頭,汝口開呀呀。
月蝕となって欠けたとして、君自分の頭ではないか、それでも君の口はわんぐりと開いたままである。
蝦蟆掠汝兩吻過,忍學省事不以汝觜啄蝦蟆。
ガマは鼻先かすめても君の上唇とした唇を動かしている。朱の鳥はなるべく取り合わないでいようとしていて、自分の嘴でガマを突くこともしないのである。
於菟蹲於西,旗旄衛毿?.
秋の白虎星は、西に居すわりなんにもしない。星軍隊を示す旗だけはふわふわさせてはためいて、とりまいている。
既從白帝祠,又食於蠟禮有加。
すでに、秋をつかさどる白帝神社にまつられているのだ、そのうえ大蠟の祭には 追加のお供えもらう身であるという。
忍令月被惡物食,枉於汝口插齒牙。
よくもまあこれほどの悪者に月を食わせておくものである。私利私欲にはしる君の口には牙も歯も立派に生えている。(韓愈は若い時に歯が抜けてない。)

#4
赤龍と黒鳥との口を焼くはかり熱きを、細も藍も倒倒して相塘摸し。
埜離せば大牡も一たび飽くに遭ひ、飢腸も死に徹るまで鳴くに由無けむ。
時に後れて月を食ふ 罪は死に憤る、天羅は薩而重り 何れの虞にか女の刑を逃れしめむ。
玉川子 庭に立ちて 言ひて日く、出石の餞臣なる仝、再拝して敢て上なる天公に告ぐ。
臣一寸の刀を有てり、凶蟆の腸を刳く可し。
梯の天に上る可き無く、天階 臣の躍有るに由無し。
#5
欄を東南風に寄せ。天門の西北 風の通ぜんことを所る
丁甯に耳に附し漏泄する莫れ,薄命なるかな正に飛廉の慵きに值えり。
東方は青色の龍、牙と角と 何ぞ冴呼たる。
徒官 有除塵、囁喧 官家を煩はすに。
月蝕を汝の知らずんは、安を用ってか龍と為って天河に窟する。
赤鳥は南方を司る、尾は禿するも 麹は鮪沙たり。

#6
月蝕 汝の頭に於てするに、汝 口開いて呼呼たるのみ。
蝦蟆 汝の両吻を掠めて過ぐるに、忍んで事を省するを学び 汝の紫を以て蝦毒を啄まず。
於菟ほ西に縛まり、旗施 衛って窮塗たり。
既に自帝に従って両られ、又 蛤に食んで 鮭の加ふる有るに。
忍んで月をして悪物に食はしめ、柾に汝の口に歯牙を括めり。


『月蝕詩效玉川子作』 現代語訳と訳註
(本文)
#6
月蝕於汝頭,汝口開呀呀。
蝦蟆掠汝兩吻過,忍學省事不以汝觜啄蝦蟆。
於菟蹲於西,旗旄衛毿?.
既從白帝祠,又食於蠟禮有加。
忍令月被惡物食,枉於汝口插齒牙。


(下し文) #6
月蝕 汝の頭に於てするに、汝 口開いて呼呼たるのみ。
蝦蟆 汝の両吻を掠めて過ぐるに、忍んで事を省するを学び 汝の紫を以て蝦毒を啄まず。
於菟ほ西に縛まり、旗施 衛って窮塗たり。
既に自帝に従って両られ、又 蛤に食んで 鮭の加ふる有るに。
忍んで月をして悪物に食はしめ、柾に汝の口に歯牙を括めり。


(現代語訳)
月蝕となって欠けたとして、君自分の頭ではないか、それでも君の口はわんぐりと開いたままである。
ガマは鼻先かすめても君の上唇とした唇を動かしている。朱の鳥はなるべく取り合わないでいようとしていて、自分の嘴でガマを突くこともしないのである。
秋の白虎星は、西に居すわりなんにもしない。
星軍隊を示す旗だけはふわふわさせてはためいて、とりまいている。
すでに、秋をつかさどる白帝神社にまつられているのだ、そのうえ大蠟の祭には 追加のお供えもらう身であるという。
よくもまあこれほどの悪者に月を食わせておくものである。私利私欲にはしる君の口には牙も歯も立派に生えている。


(訳注) #6
月蝕於汝頭,汝口開呀呀。
月蝕となって欠けたとして、君自分の頭ではないか、それでも君の口はわんぐりと開いたままである。


蝦蟆掠汝兩吻過,忍學省事不以汝觜啄蝦蟆。
ガマは鼻先かすめても君の上唇とした唇を動かしている。朱の鳥はなるべく取り合わないでいようとしていて、自分の嘴でガマを突くこともしないのである。
・兩吻 上のクチバシと下のクチバツ。
 じっとしている。
・学省事 ものごとをしないですまそうとすること。


於菟蹲於西,旗旄衛毿?.
秋の白虎星は、西に居すわりなんにもしない。
星軍隊を示す旗だけはふわふわさせてはためいて、とりまいている。
・於菟 白虎のこと。楚の地方の方言である。
衛毿 ふさふさしたさま。


既從白帝祠,又食於蠟禮有加。
すでに、秋をつかさどる白帝神社にまつられているのだ、そのうえ大蠟の祭には 追加のお供えもらう身であるという。
・蠟 祭の名。『礼記』に「天子の大蠟、八たび虎を迎ふ」とある。


忍令月被惡物食,枉於汝口插齒牙。
よくもまあこれほどの悪者に月を食わせておくものである。私利私欲にはしる君の口には牙も歯も立派に生えている。(韓愈は若い時に歯が抜けてない。)
 法を悪用して、私利私欲にはしること。また、正しいきまりを曲げて、わがまま勝手に振る舞うこと。▽「枉」は曲げる、ゆがめる意。「徇」はしたがう意。「法 ほう を枉 ま げて私 し に徇 したが う」と訓読する。

中唐詩-262 落歯#2 監察御史 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈詩集-27

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#5>Ⅱ中唐詩518 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1638

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其九(22) 漢詩<165>古詩源 巻三 女性詩605 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1637 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#5>Ⅱ中唐詩518 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1638 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(4)” 水會渡 杜甫詩1000 <343>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1639 杜甫1500- 509 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集琴操十首 (7)履霜操 尹吉甫子伯奇無罪,為後母譖而見逐,自傷作 韓退之(韓愈)詩<73-(7)>Ⅱ中唐詩437 (12/06) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#5>Ⅱ中唐詩518 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1638


#4
赤龍黑鳥燒口熱,翎鬣倒側相搪撐。
太陽の馭者の赤龍と太陽に住む九黒烏に口を役ばかりに厚いものを与え、主茎羽とたてがみを折りたたんで互いに突っつかせるのだ。
婪酣大肚遭一飽,饑腸徹死無由鳴。
むさぼりくらわせておなか一杯にしてやり、そして、次にはひもじいおなかになるまで徹底的に食わせずにいたとしてもグーグーおなかを鳴らせることはないだろう。
後時食月罪當死,天羅磕匝何處逃汝刑。
適当な時期をおくらせることでこともあろうに月を食ってしまったので、これは死罪にあたる出来事だ。天網、森羅万象 あまねくもので取り囲んでしまうので隠れるところはどこにもなくなるのだ。
玉川子立於庭而言曰:地行賤臣仝,再拜敢告上天公。
玉川先生は庭先に立って申された。「地上に生活している賤しき臣民の盧仝から、ふたたび礼拝して敢えて天上天子に申しあげたきことがあります。
臣有一寸刃,可刳凶蟆腸。
臣民盧仝には一寸の刃をもっております、これによって、蝦蟇の腸を書ききって抉り出してみせます。
無梯可上天,天階無由有臣蹤。

しかし私には天上に上る梯子がありません、天上天子のきざはしに参上いたして致すことが出来ません。
#5
寄箋東南風,天門西北祈風通。
南の方には朱い鳥が担当しているのであるが、尾っぽの羽は抜け、頭は禿げて肝心な羽さえも跳ね上がって固くなっているのだ。
#6
月蝕於汝頭,汝口開呀呀。
蝦蟆掠汝兩吻過,忍學省事不以汝觜啄蝦蟆。
於菟蹲於西,旗旄衛毿?.
既從白帝祠,又食於蠟禮有加。
忍令月被惡物食,枉於汝口插齒牙。
だから、東南風にのせて、わたしのおもいを手紙によせている。天上の御門には西北の強い風に乗せて風のたよりに祈りを込めるのである。
丁甯附耳莫漏泄,薄命正值飛廉慵。
丁寧にお耳に入れていただき漏れたりこぼれたりしないよう祈っています。なさけないことには風の神である飛廉がどうやらズボラをしたようだ。
東方青色龍,牙角何呀呀。
五行思想でいう、東の方には青竜がひかえており、牙をむき、角を立てて、何とギギーッとかまえているではないか。
從官百餘座,嚼啜煩官家。
百人を超す家来を従えて、やってきてはいるが、お上の世話になって飲んだり食ったりしているだけなのだ。
月蝕汝不知,安用為龍窟天河。
だから月蝕が起こっても知らん顔しているのだ。天の川の河原で、竜がおさまってしまって、どうしてトグロを巻いているだけなのか。
赤鳥司南方,尾禿翅觰沙。

#4
赤龍と黒鳥との口を焼くはかり熱きを、細も藍も倒倒して相塘摸し。
埜離せば大牡も一たび飽くに遭ひ、飢腸も死に徹るまで鳴くに由無けむ。
時に後れて月を食ふ 罪は死に憤る、天羅は薩而重り 何れの虞にか女の刑を逃れしめむ。
玉川子 庭に立ちて 言ひて日く、出石の餞臣なる仝、再拝して敢て上なる天公に告ぐ。
臣一寸の刀を有てり、凶蟆の腸を刳く可し。
梯の天に上る可き無く、天階 臣の躍有るに由無し。

#5
欄を東南風に寄せ。天門の西北 風の通ぜんことを所る
丁甯に耳に附し漏泄する莫れ,薄命なるかな正に飛廉の慵きに值えり。
東方は青色の龍、牙と角と 何ぞ冴呼たる。
徒官 有除塵、囁喧 官家を煩はすに。
月蝕を汝の知らずんは、安を用ってか龍と為って天河に窟する。
赤鳥は南方を司る、尾は禿するも 麹は鮪沙たり。
#6
月蝕 汝の頭に於てするに、汝 口開いて呼呼たるのみ。
蝦蟆 汝の両吻を掠めて過ぐるに、忍んで事を省するを学び 汝の紫を以て蝦毒を啄まず。
於菟ほ西に縛まり、旗施 衛って窮塗たり。
既に自帝に従って両られ、又 蛤に食んで 鮭の加ふる有るに。
忍んで月をして悪物に食はしめ、柾に汝の口に歯牙を括めり。


『月蝕詩效玉川子作』 現代語訳と訳註
(本文)
#5
寄箋東南風,天門西北祈風通。
丁甯附耳莫漏泄,薄命正值飛廉慵。
東方青色龍,牙角何呀呀。
從官百餘座,嚼啜煩官家。
月蝕汝不知,安用為龍窟天河。
赤鳥司南方,尾禿翅觰沙。


(下し文) #5
箋【せん】を東南風に寄せ。天門の西北 風の通ぜんことを祈る。
丁寧に耳に附し漏泄【ろうせい】する莫れ,薄命なるかな正に飛廉【ひれん】の慵【ものう】きに值えり。
東方は青色の龍、牙と角と 何ぞ呀呀【がが】たる。
從官 百餘座、嚼啜【しゃくせつ】官家を煩【わづら】はすに。
月蝕を汝の知らずんは、安を用ってか龍と為って天河に窟【くつ】する。
赤鳥は南方を司る、尾は禿【とく】するも 翅は觰沙【たさ】たり。


(現代語訳)
だから、東南風にのせて、わたしのおもいを手紙によせている。天上の御門には西北の強い風に乗せて風のたよりに祈りを込めるのである。
丁寧にお耳に入れていただき漏れたりこぼれたりしないよう祈っています。なさけないことには風の神である飛廉がどうやらズボラをしたようだ。
五行思想でいう、東の方には青竜がひかえており、牙をむき、角を立てて、何とギギーッとかまえているではないか。
百人を超す家来を従えて、やってきてはいるが、お上の世話になって飲んだり食ったりしているだけなのだ。
だから月蝕が起こっても知らん顔しているのだ。天の川の河原で、竜がおさまってしまって、どうしてトグロを巻いているだけなのか。
南の方には朱い鳥が担当しているのであるが、尾っぽの羽は抜け、頭は禿げて肝心な羽さえも跳ね上がって固くなっているのだ。


(訳注) #5
寄箋東南風,天門西北祈風通。

だから、東南風にのせて、わたしのおもいを手紙によせている。天上の御門には西北の強い風に乗せて風のたよりに祈りを込めるのである。


丁甯附耳莫漏泄,薄命正值飛廉慵。
丁寧にお耳に入れていただき漏れたりこぼれたりしないよう祈っています。なさけないことには風の神である飛廉がどうやらズボラをしたようだ。
飛廉 風の神。
・慵 ものうい,だるい.ずぼらにする。


東方青色龍,牙角何呀呀。
五行思想でいう、東の方には青竜がひかえており、牙をむき、角を立てて、何とギギーッとかまえているではないか。
・東方青色竃 五行思想のこと。『淮南子』の天文訓に「東方は木なり、その獣は蒼竜。南方は火なり、その獣は朱鳥。西方は金なり、その獣は白虎。北方は水なり、その獣は玄武」とあるように。方角と五行と季節とそれをつかさどる獣とが定まっているとむかしの中国人は考えていた。
 ・呀呀 口をあけかまえているさま。

五行関係図

從官百餘座,嚼啜煩官家。
百人を超す家来を従えて、やってきてはいるが、お上の世話になって飲んだり食ったりしているだけなのだ。
・囁畷 かんだりすすったりすること。のみくい。
煩官家 お上のお世話になる。


月蝕汝不知,安用為龍窟天河。
だから月蝕が起こっても知らん顔しているのだ。天の川の河原で、竜がおさまってしまって、どうしてトグロを巻いているだけなのか。
 穴居する。


赤鳥司南方,尾禿翅觰沙。
南の方には朱い鳥が担当しているのであるが、尾っぽの羽は抜け、頭は禿げて肝心な羽さえも跳ね上がって固くなっているのだ。
・觰沙 ピンと上にはねあがっているさま。

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#4>Ⅱ中唐詩517 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1634

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其九(21) 漢詩<164>古詩源 巻三 女性詩604 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1633 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#4>Ⅱ中唐詩517 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1634 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(3)” 白沙渡 杜甫詩1000 <343>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1635 杜甫1500- 508 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集琴操十首 (6)岐山操 周公為太王作 韓退之(韓愈)詩<72-(6)>Ⅱ中唐詩436 (12/05) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-5-5-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1636 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#4>Ⅱ中唐詩517 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1634


#4
赤龍黑鳥燒口熱,翎鬣倒側相搪撐。
太陽の馭者の赤龍と太陽に住む九黒烏に口を役ばかりに厚いものを与え、主茎羽とたてがみを折りたたんで互いに突っつかせるのだ。
婪酣大肚遭一飽,饑腸徹死無由鳴。
むさぼりくらわせておなか一杯にしてやり、そして、次にはひもじいおなかになるまで徹底的に食わせずにいたとしてもグーグーおなかを鳴らせることはないだろう。
後時食月罪當死,天羅磕匝何處逃汝刑。
適当な時期をおくらせることでこともあろうに月を食ってしまったので、これは死罪にあたる出来事だ。天網、森羅万象 あまねくもので取り囲んでしまうので隠れるところはどこにもなくなるのだ。
玉川子立於庭而言曰:地行賤臣仝,再拜敢告上天公。
玉川先生は庭先に立って申された。「地上に生活している賤しき臣民の盧仝から、ふたたび礼拝して敢えて天上天子に申しあげたきことがあります。
臣有一寸刃,可刳凶蟆腸。
臣民盧仝には一寸の刃をもっております、これによって、蝦蟇の腸を書ききって抉り出してみせます。
無梯可上天,天階無由有臣蹤。

しかし私には天上に上る梯子がありません、天上天子のきざはしに参上いたして致すことが出来ません。
#5
寄箋東南風,天門西北祈風通。
丁甯附耳莫漏泄,薄命正值飛廉慵。
東方青色龍,牙角何呀呀。
從官百餘座,嚼啜煩官家。
月蝕汝不知,安用為龍窟天河。
赤鳥司南方,尾禿翅觰沙。
#6
月蝕於汝頭,汝口開呀呀。
蝦蟆掠汝兩吻過,忍學省事不以汝觜啄蝦蟆。
於菟蹲於西,旗旄衛毿?.
既從白帝祠,又食於蠟禮有加。
忍令月被惡物食,枉於汝口插齒牙。

#4
赤龍と黒鳥との口を焼くはかり熱きを、細も藍も倒倒して相塘摸し。
埜離せば大牡も一たび飽くに遭ひ、飢腸も死に徹るまで鳴くに由無けむ。
時に後れて月を食ふ 罪は死に憤る、天羅は薩而重り 何れの虞にか女の刑を逃れしめむ。
玉川子 庭に立ちて 言ひて日く、出石の餞臣なる仝、再拝して敢て上なる天公に告ぐ。
臣一寸の刀を有てり、凶蟆の腸を刳く可し。
梯の天に上る可き無く、天階 臣の躍有るに由無し

#5
欄を東南風に寄せ。天門の西北 風の通ぜんことを所る
丁甯に耳に附し漏泄する莫れ,薄命なるかな正に飛廉の慵きに值えり。
東方は青色の龍、牙と角と 何ぞ冴呼たる。
徒官 有除塵、囁喧 官家を煩はすに。
月蝕を汝の知らずんは、安を用ってか龍と為って天河に窟する。
赤鳥は南方を司る、尾は禿するも 麹は鮪沙たり。
#6
月蝕 汝の頭に於てするに、汝 口開いて呼呼たるのみ。
蝦蟆 汝の両吻を掠めて過ぐるに、忍んで事を省するを学び 汝の紫を以て蝦毒を啄まず。
於菟ほ西に縛まり、旗施 衛って窮塗たり。
既に自帝に従って両られ、又 蛤に食んで 鮭の加ふる有るに。
忍んで月をして悪物に食はしめ、柾に汝の口に歯牙を括めり。


『月蝕詩效玉川子作』 現代語訳と訳註
(本文)
#4
赤龍黑鳥燒口熱,翎鬣倒側相搪撐。
婪酣大肚遭一飽,饑腸徹死無由鳴。
後時食月罪當死,天羅磕匝何處逃汝刑。
玉川子立於庭而言曰:地行賤臣仝,再拜敢告上天公。
臣有一寸刃,可刳凶蟆腸。
無梯可上天,天階無由有臣蹤。


(下し文) #4
赤龍と黒鳥との口を焼くはかり熱きを、細も藍も倒倒して相塘摸し。
埜離せば大牡も一たび飽くに遭ひ、飢腸も死に徹るまで鳴くに由無けむ。
時に後れて月を食ふ 罪は死に憤る、天羅は薩而重り 何れの虞にか女の刑を逃れしめむ。
玉川子 庭に立ちて 言ひて日く、出石の餞臣なる仝、再拝して敢て上なる天公に告ぐ。
臣一寸の刀を有てり、凶蟆の腸を刳く可し。
梯の天に上る可き無く、天階 臣の躍有るに由無し。


(現代語訳)
太陽の馭者の赤龍と太陽に住む九黒烏に口を役ばかりに厚いものを与え、主茎羽とたてがみを折りたたんで互いに突っつかせるのだ。
むさぼりくらわせておなか一杯にしてやり、そして、次にはひもじいおなかになるまで徹底的に食わせずにいたとしてもグーグーおなかを鳴らせることはないだろう。
適当な時期をおくらせることでこともあろうに月を食ってしまったので、これは死罪にあたる出来事だ。天網、森羅万象 あまねくもので取り囲んでしまうので隠れるところはどこにもなくなるのだ。
玉川先生は庭先に立って申された。「地上に生活している賤しき臣民の盧仝から、ふたたび礼拝して敢えて天上天子に申しあげたきことがあります。
臣民盧仝には一寸の刃をもっております、これによって、蝦蟇の腸を書ききって抉り出してみせます。
しかし私には天上に上る梯子がありません、天上天子のきざはしに参上いたして致すことが出来ません。


(訳注) #4
赤龍黑鳥燒口熱,翎鬣倒側相搪撐。

太陽の馭者の赤龍と太陽に住む九黒烏に口を役ばかりに厚いものを与え、主茎羽とたてがみを折りたたんで互いに突っつかせるのだ。
・赤龍黑鳥 日輪を引いてゆく赤龍と太陽に住むという三本足のからす。韓愈『苦寒』「草木不複抽,百味失苦甜。凶飆攪宇宙,铓刃甚割砭。日月雖雲尊,不能活烏蟾。羲和送日出,恇怯頻窺覘。」苦寒 韓愈<45>#2 Ⅱ韓退之(韓愈)詩321 紀頌之の漢詩ブログ 1042
李白『古朗月行』「蟾蜍蝕圓影、大明夜已殘。 羿昔落九烏、天人清且安。陰精此淪惑、去去不足觀。憂來其如何、淒愴摧心肝。」
古朗月行 #2 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集 265350
・搪撐 つっつく。


婪酣大肚遭一飽,饑腸徹死無由鳴。
むさぼりくらわせておなか一杯にしてやり、そして、次にはひもじいおなかになるまで徹底的に食わせずにいたとしてもグーグーおなかを鳴らせることはないだろう。
・婪酣 むさぼりくらう。
・無由鳴 腹が減っておなかがグーグーなくがここではなく事はないといっている。


後時食月罪當死,天羅磕匝何處逃汝刑。
適当な時期をおくらせることでこともあろうに月を食ってしまったので、これは死罪にあたる出来事だ。天網、森羅万象 あまねくもので取り囲んでしまうので隠れるところはどこにもなくなるのだ。
・後時 適当な時期におくれる。
・磕匝 とりかこむ。・形とあるテクストもあるが刑と同じ。


玉川子立於庭而言曰:地行賤臣仝,再拜敢告上天公。
玉川先生は庭先に立って申された。「地上に生活している賤しき臣民の盧仝から、ふたたび礼拝して敢えて天上天子に申しあげたきことがあります。


臣有一寸刃,可刳凶蟆腸。
臣民盧仝には一寸の刃をもっております、これによって、蝦蟇の腸を書ききって抉り出してみせます。


無梯可上天,天階無由有臣蹤。
しかし私には天上に上る梯子がありません、天上天子のきざはしに参上いたして致すことが出来ません。
無由有臣蹤 わたしの足あとをおくべきところがない。立ち入ることが出来ぬ。

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#3>Ⅱ中唐詩516 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1630

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩為焦仲卿妻作-其八(20) 漢詩<163>古詩源 巻三 女性詩603 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1629 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#3>Ⅱ中唐詩516 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1630 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(3)” 白沙渡 杜甫詩1000 <342>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1631 杜甫1500- 507 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集琴操十首 (5)拘幽操 文王羑裏作 韓退之(韓愈)詩<71-(5)>Ⅱ中唐詩435 (12/04) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『菩薩蠻 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-4-4-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1632 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex  
 謝靈運index謝靈運詩古詩index漢の無名氏  
孟浩然index孟浩然の詩韓愈詩index韓愈詩集
杜甫詩index杜甫詩 李商隠index李商隠詩
李白詩index 李白350首女性詩index女性詩人 
 上代・後漢・三国・晉南北朝・隋初唐・盛唐・中唐・晩唐北宋の詩人  
月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#3>Ⅱ中唐詩516 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1630


月蝕詩效玉川子作(憲宗元和五年時為河南令)
玉川先生の「月蝕の詩」の作に傚ってつくる。
#1
元和庚寅鬥插子,月十四日三更中。
憲宗皇帝の元和は庚寅の年、北斗七星の柄の部分の「招揺」が子(ね)の方向真北をさした。810年11月14日の丑三時のことであった。
森森萬木夜僵立,寒氣屭奰頑無風。
万木がシンシンとした中倒れた木もすっくと立った夜の事である。寒気は極寒は天まで抜け、ひしひしとひろがる、そして頑固なまでに風も吹かないのである。
月形如白盤,完完上天東。
月はもう成長して白盤の形のようになっている。完全な満月が天の東方から上ってゆく。
忽然有物來啖之,不知是何蟲。
忽然として起こった万物があるのであるがよって来て これをパクリ食ったのである。この喰ったのは何の虫か認知できないのだ。
如何至神物,遭此狼狽凶。
どうしたことかというと段階を進んで神聖の物にいたっているのである。この事態は進みも退きもならない状態におちいるというわざわいに遭うということだ。
星如撒沙出,攢集爭強雄。
星々は砂まくように輝きはじめ出しゃばりはじめる。寄り集まっては勢力あらそいはどこやらの争いのようである。
#2
油燈不照席,是夕吐焰如長虹。
普段は油燈の明かりは畳いちまい照すことさえもできないのに、今夜のあかりは、その焔が映え虹のように散り吐く明かりとなっている。
玉川子,涕泗下,中庭獨行。
おお、「玉川先生」、涙と鼻水がこぼれおとしながら中庭をひとり彷徨い歩かれている。
念此日月者,為天之眼睛。
この太陽と月のことを考えてみれば、太陽と月は昼と夜の天の目であり、ひとみである。
此猶不自保,吾道何由行。
そのようになお自分自身を守れていないということで、どうして儒者の道を行なうということができるのだ。嘗て聞いことがある古老の言う故事では、おそらく月は「蟾蜍は月の精なり」というではないか。
嘗聞古老言,疑是蝦蟆精。
徑圓千里納女腹,何處養女百醜形。
月は直径が千里の円いおおきなものであるのにそれをおのれの腹にのみこんでしまうとは、どこまで、おのれの体を肥満にして、百面相のドブスになろうというのか。
#3
杷沙腳手鈍,誰使女解緣青冥。
そんなことでのっそのっそと歩いて足は鈍足手は鈍いやつになってしまう。誰がそんな奴に深い青空に攀じ登ることを教えたのだろう。
黃帝有四目,帝舜重其明。
黃帝は太陽と月の四つも目があるというし,舜帝は二つ重って其の明るさである。
今天只兩目,何故許食使偏盲。
今夜の天は普通に二つ目なのだ。それなのにどうして片方食べさせて片目にされたのだろうか。
堯呼大水浸十日,不惜萬國赤子魚頭生。
堯帝は大水を呼びこまれて10日間も水浸しにされた、万国の人民の頭に魚を載せたのが見えたのでやむを得なかったことだろう。
女於此時若食日,雖食八九無嚵名。

三皇帝でさえそうなのだから、もし、太陽を食べられた日に君がその時そこにいたら、8,9つ食べたからといって意地汚いやつと名付けられることはないだろう。


月蝕の詩 玉川子の作に傚ふ
#1
元和庚寅 斗 子を揺す、月の十四日三更の中。
森森たる寓木夜僅立し、寒気屁桑として頑にして夙無し。
月形 自盤の如く、完完として天東に上る。
忽然物有り凍って之を囁ふ、知らず走れ 何の轟ぞ。
如何なれば 至神の物の、此の狼狽の凶に遭ふや。
星は沙を撒けるが如くに出で、樺集して 強雄を学ふ。
#2
油燈席を照らさざるに、是の夕は該を吐くこと長虹の如し。
玉川子、涕泗下って中庭に獨行す。
念ふに 此の日月なる者は、天の眼晴たり。
此すら猶は自らを保たずんは、吾が道何に由ってか行はれむ。
嘗て古老の言を聞けり、疑ふらくは是れ蝦幕の精か と。
徑圓千里なるを女の腹に嗣め、何れの虞にか女が首醜の形を義はむ。

#3
把沙として脚手の鈍なるに、誰か女をして青冥に練るを解せしめしや。
黄帝は四日を有てり、帝舜は其の明を重ねたり。
今 天は 稗だ両目のみなるに、何が故に食ふを許して偏旨ならしむる。
堯は大水を呼びて 十日を浸し、高閲の赤子に魚一頭の生ずるをも惜まざりき。
女 此の時に於て若し日を食はば、八、九を食ふと経も囁なりとの名は無けむ。


『月蝕詩效玉川子作』 現代語訳と訳註
(本文)
#3
杷沙腳手鈍,誰使女解緣青冥。
黃帝有四目,帝舜重其明。
今天只兩目,何故許食使偏盲。
堯呼大水浸十日,不惜萬國赤子魚頭生。
女於此時若食日,雖食八九無嚵名。


(下し文) #3
把沙として脚手の鈍なるに、誰か女をして青冥に練るを解せしめしや。
黄帝は四日を有てり、帝舜は其の明を重ねたり。
今 天は 稗だ両目のみなるに、何が故に食ふを許して偏旨ならしむる。
堯は大水を呼びて 十日を浸し、高閲の赤子に魚一頭の生ずるをも惜まざりき。
女 此の時に於て若し日を食はば、八、九を食ふと経も囁なりとの名は無けむ。


(現代語訳)
そんなことでのっそのっそと歩いて足は鈍足手は鈍いやつになってしまう。誰がそんな奴に深い青空に攀じ登ることを教えたのだろう。
黃帝は太陽と月の四つも目があるというし,舜帝は二つ重って其の明るさである。
今夜の天は普通に二つ目なのだ。それなのにどうして片方食べさせて片目にされたのだろうか。
堯帝は大水を呼びこまれて10日間も水浸しにされた、万国の人民の頭に魚を載せたのが見えたのでやむを得なかったことだろう。
三皇帝でさえそうなのだから、もし、太陽を食べられた日に君がその時そこにいたら、8,9つ食べたからといって意地汚いやつと名付けられることはないだろう。


(訳注) #3
杷沙腳手鈍,誰使女解緣青冥。

そんなことでのっそのっそと歩いて足は鈍足手は鈍いやつになってしまう。誰がそんな奴に深い青空に攀じ登ることを教えたのだろう。
杷沙 のそのそ歩くさま。
緑青冥 青空によじのぼる。緑は黄緑と熟して用いられる場合と同じ意味。


黃帝有四目,帝舜重其明。
黃帝は太陽と月の四つも目があるというし,舜帝は二つ重って其の明るさである。
黃帝有四目 ・黄帝は神話伝説上では、三皇の治世を継ぎ、中国を統治した五帝の最初の帝であるとされる。また、三皇のうちに数えられることもある。(紀元前2510年~紀元前2448年)。黄帝には四人の重臣がおり、優れた政治を行ったことから、四つの目を持つといわれた。ここでは太陽の目二つ、月の目二つと、四つもあるからひとつくらい失ってもいいではないかという笑い話である。


今天只兩目,何故許食使偏盲。
今夜の天は普通に二つ目なのだ。それなのにどうして片方食べさせて片目にされたのだろうか。


堯呼大水浸十日,不惜萬國赤子魚頭生。
堯帝は大水を呼びこまれて10日間も水浸しにされた、万国の人民の頭に魚を載せたのが見えたのでやむを得なかったことだろう。
・魚頭生 洪水の前触れとして百姓の頭に魚を載せて見えたという益州の故事。


女於此時若食日,雖食八九無嚵名。
三皇帝でさえそうなのだから、もし、太陽を食べられた日に君がその時そこにいたら、8,9つ食べたからといって意地汚いやつと名付けられることはないだろう。


月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#2>Ⅱ中唐詩515 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1626

 

 同じ日の紀頌之5つのブログ

 

Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩

為焦仲卿妻作-其八(19) 漢詩<162>古詩源 巻三 女性詩602 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1625

Ⅱ中唐詩・晩唐詩

月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#2>Ⅱ中唐詩515 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1626

Ⅲ杜甫詩1000詩集

”成都紀行(2)” 木皮嶺 杜甫詩1000 <342>#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1627 杜甫1500- 506

Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集

琴操十首 (4)越裳操 周公作 韓退之(韓愈)詩<70-(4)>Ⅱ中唐詩434  (12/03)

.唐五代詞詩・宋詞詩

『菩薩蠻 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-3-3-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1628

 

■今週の人気記事(漢詩の3部門ランキング)

 

謝靈運詩   漢の無名氏   孟浩然の詩   韓愈詩集   杜甫詩   李商隠詩    李白350   女性詩人

 

上代・後漢・三国・晉    南北朝・隋   初唐・盛唐・中唐・晩唐    北宋の詩人 



月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#2>Ⅱ中唐詩515 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1626


月蝕詩效玉川子作(憲宗元和五年時為河南令)
玉川先生の「月蝕の詩」の作に傚ってつくる。
#1
元和庚寅鬥插子,月十四日三更中。
憲宗皇帝の元和は庚寅の年、北斗七星の柄の部分の「招揺」が子(ね)の方向真北をさした。810年11月14日の丑三時のことであった。
森森萬木夜僵立,寒氣屭奰頑無風。
万木がシンシンとした中倒れた木もすっくと立った夜の事である。寒気は極寒は天まで抜け、ひしひしとひろがる、そして頑固なまでに風も吹かないのである。
月形如白盤,完完上天東。
月はもう成長して白盤の形のようになっている。完全な満月が天の東方から上ってゆく。
忽然有物來啖之,不知是何蟲。
忽然として起こった万物があるのであるがよって来て これをパクリ食ったのである。この喰ったのは何の虫か認知できないのだ。
如何至神物,遭此狼狽凶。
どうしたことかというと段階を進んで神聖の物にいたっているのである。この事態は進みも退きもならない状態におちいるというわざわいに遭うということだ。
星如撒沙出,攢集爭強雄。
星々は砂まくように輝きはじめ出しゃばりはじめる。寄り集まっては勢力あらそいはどこやらの争いのようである。
#2
油燈不照席,是夕吐焰如長虹。
普段は油燈の明かりは畳いちまい照すことさえもできないのに、今夜のあかりは、その焔が映え虹のように散り吐く明かりとなっている。
玉川子,涕泗下,中庭獨行。
おお、「玉川先生」、涙と鼻水がこぼれおとしながら中庭をひとり彷徨い歩かれている。
念此日月者,為天之眼睛。
この太陽と月のことを考えてみれば、太陽と月は昼と夜の天の目であり、ひとみである。
此猶不自保,吾道何由行。
そのようになお自分自身を守れていないということで、どうして儒者の道を行なうということができるのだ。
嘗聞古老言,疑是蝦蟆精。
嘗て聞いことがある古老の言う故事では、おそらく月は「蟾蜍は月の精なり」というではないか。
徑圓千里納女腹,何處養女百醜形。

月は直径が千里の円いおおきなものであるのにそれをおのれの腹にのみこんでしまうとは、どこまで、おのれの体を肥満にして、百面相のドブスになろうというのか。
#3
杷沙腳手鈍,誰使女解緣青冥。
黃帝有四目,帝舜重其明。
今天只兩目,何故許食使偏盲。
堯呼大水浸十日,不惜萬國赤子魚頭生。
女於此時若食日,雖食八九無嚵名。

月蝕の詩 玉川子の作に傚ふ
#1
元和庚寅 斗 子を揺す、月の十四日三更の中。
森森たる寓木夜僅立し、寒気屁桑として頑にして夙無し。
月形 自盤の如く、完完として天東に上る。
忽然物有り凍って之を囁ふ、知らず走れ 何の轟ぞ。
如何なれば 至神の物の、此の狼狽の凶に遭ふや。
星は沙を撒けるが如くに出で、樺集して 強雄を学ふ。
#2
油燈席を照らさざるに、是の夕は該を吐くこと長虹の如し。
玉川子、涕泗下って中庭に獨行す。
念ふに 此の日月なる者は、天の眼晴たり。
此すら猶は自らを保たずんは、吾が道何に由ってか行はれむ。
嘗て古老の言を聞けり、疑ふらくは是れ蝦幕の精か と。
徑圓千里なるを女の腹に嗣め、何れの虞にか女が首醜の形を義はむ。
#3
把沙として脚手の鈍なるに、誰か女をして青冥に練るを解せしめしや。
黄帝は四日を有てり、帝舜は其の明を重ねたり。
今 天は 稗だ両目のみなるに、何が故に食ふを許して偏旨ならしむる。
堯は大水を呼びて 十日を浸し、高閲の赤子に魚一頭の生ずるをも惜まざりき。
女 此の時に於て若し日を食はば、八、九を食ふと経も囁なりとの名は無けむ。


韓愈『月蝕詩效玉川子作』(憲宗元和五年時為河南令) 現代語訳と訳註
(本文)
#2
油燈不照席,是夕吐焰如長虹。
玉川子,涕泗下,中庭獨行。
念此日月者,為天之眼睛。
此猶不自保,吾道何由行。
嘗聞古老言,疑是蝦蟆精。
徑圓千里納女腹,何處養女百醜形。


(下し文) #2
油燈席を照らさざるに、是の夕は該を吐くこと長虹の如し。
玉川子、涕泗下って中庭に獨行す。
念ふに 此の日月なる者は、天の眼晴たり。
此すら猶は自らを保たずんは、吾が道何に由ってか行はれむ。
嘗て古老の言を聞けり、疑ふらくは是れ蝦幕の精か と。
徑圓千里なるを女の腹に嗣め、何れの虞にか女が首醜の形を義はむ。


(現代語訳)
普段は油燈の明かりは畳いちまい照すことさえもできないのに、今夜のあかりは、その焔が映え虹のように散り吐く明かりとなっている。
おお、「玉川先生」、涙と鼻水がこぼれおとしながら中庭をひとり彷徨い歩かれている。
この太陽と月のことを考えてみれば、太陽と月は昼と夜の天の目であり、ひとみである。
そのようになお自分自身を守れていないということで、どうして儒者の道を行なうということができるのだ。
嘗て聞いことがある古老の言う故事では、おそらく月は「蟾蜍は月の精なり」というではないか。
月は直径が千里の円いおおきなものであるのにそれをおのれの腹にのみこんでしまうとは、どこまで、おのれの体を肥満にして、百面相のドブスになろうというのか。


(訳注) #2
油燈不照席,是夕吐焰如長虹。
普段は油燈の明かりは畳いちまい照すことさえもできないのに、今夜のあかりは、その焔が映え虹のように散り吐く明かりとなっている。
・不照席 席は腰掛またはベッドにしく敷物、日本の畳表に似たもの。油燈の照明力がよわくて畳一枚分にも及ばないことをいう。


玉川子,涕泗下,中庭獨行。
おお、「玉川先生」、涙と鼻水がこぼれおとしながら中庭をひとり彷徨い歩かれている。
・涕泗 涙が日から出るなみだであるに対し、これは鼻から出るなみだ。儒家の韓愈の涕の語はたくさんあるが面白い使い方はない。
登岳陽樓 唐 杜甫
昔聞洞庭水,今上岳陽樓。
呉楚東南坼,乾坤日夜浮。
親朋無一字,老病有孤舟。
戎馬關山北,憑軒涕泗流。

李商隠『行次西郊作 一百韻』の最期の八句
叩頭出鮮血,滂沱污紫宸。
九重黯已隔,涕泗空沾唇。
使典作尚書,廝養爲將軍。
慎勿道此言,此言未忍聞。


念此日月者,為天之眼睛。
この太陽と月のことを考えてみれば、太陽と月は昼と夜の天の目であり、ひとみである。
・眼睛 目、睛はひとみ。
杜甫『遣興』其四
猛虎憑其威,往往遭急縛。
雷吼徒咆哮,枝撐已在腳。
忽看皮寢處,無複睛閃爍。
人有甚於斯,足以勸元惡。


此猶不自保,吾道何由行。
そのようになお自分自身を守れていないということで、どうして儒者の道を行なうということができるのだ。


嘗聞古老言,疑是蝦蟆精。
嘗て聞いことがある古老の言う故事では、おそらく月は「蟾蜍は月の精なり」というではないか。
・蝦蟆精 ガマの精。『史記』亀策伝に「日は徳を為して天下に君たり。月は刑して相佐け、蝦苺に食はる」とみえ『春秋孔演図』に「蟾蜍は月の精なり」とある。蟾蜍はヒキガエルである。韓愈は『苦寒』の中で“太陽と月は雲に隠されようとも尊ばれるものであるといいながらも、天の法則が乱れれば、日の九羽のカラス、三本足のカラス、月の蛙も生きてはおれないのだ。”日と月の中に鴉とかえるについて述べている。
韓愈『苦寒』 
四時各平分,一氣不可兼。
隆寒奪春序,顓頊固不廉。
太昊弛維綱,畏避但守謙。
遂令黄泉下,萌牙夭句尖。」
草木不複抽,百味失苦甜。
凶飆攪宇宙,铓刃甚割砭。
日月雖雲尊,不能活烏蟾。
羲和送日出,恇怯頻窺覘。」

苦寒 韓愈<45#2 Ⅱ韓退之(韓愈)321