韓愈《瀧吏》嶺南行(4)-3 御主人はこれから自分でその地においでになるんでしょうから、ここでみだりにお聞きになることなど及ばないのではないでしょうか。まったく思いがけなくもやりこめられたので、冷汗を流し、恥じ入り、且つ、驚きもしたのである。
《瀧吏》嶺南行(4)-3韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <908> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3524韓愈詩-233
嶺南行(4)-3
嶺南行(4) 瀧吏9分割―#1
南行逾六旬,始下昌樂瀧。
南へ南へと行くこと六十日あまりくると、やっと昌楽滝を下ることになった。
險惡不可狀,船石相舂撞。
その危険さは口にもいいあらわせないほど、船は岩石にぶつかりあってくだる。
往問瀧頭吏,潮州尚幾里。
急流を下る途中で、わざわざ瀧のほとりの役人に聞いてみた、「これから、私の任地である潮州までまだどのぐらいきょりがあるのでしょうか。」と
行當何時到,土風復何似。
「それから、わたしたちが任地に着くのはいつことになるだろうか、南蛮の異民族の風習があると聞いたが、土地の風俗はどんなだね。」と。
嶺南行(4)-#2
瀧吏垂手笑,官何問之愚。
瀧川役人はあいさつもせずに笑い出した、都の高官の御主人は何とおろかなことをお聞きになりますね。
譬官居京邑,何由知東吳。
御主人がみやこにいらっしゃるとき、南蛮の東呉の地方を御存知ではなかったでしょう。
東吳遊宦鄉,官知自有由。
東呉は地方官として赴任する土地だから、ご主人が御存知になるおりももちろんあったのではないでしょうか。
潮州底處所,有罪乃竄流。
だが潮州とはどんなところなのでしょうか、わたしは罪あるものとしてはじめてそこに流されるのです。
嶺南行(4)-#3
儂幸無負犯,何由到而知。
わたしは幸いに何の法にそむいたり、罪もおかすことなどなかったもので、どうしてそんなところへ行くことがありましょう。したがってそこを知るはずがありません。
官今行自到,那遽妄問為。
御主人はこれから自分でその地においでになるんでしょうから、ここでみだりにお聞きになることなど及ばないのではないでしょうか。
不虞卒見困,汗出愧且駭。
まったく思いがけなくもやりこめられたので、冷汗を流し、恥じ入り、且つ、驚きもしたのである。
吏曰聊戲官,儂嘗使往罷。
瀧川の役人は気の毒に思ったのか言う、「ええちょっとご主人をからかってみたんですよ、じつはわたしは或る時、役所の使いで行ったことがあるんです。」
#4
嶺南大抵同,官去道苦遼。
下此三千里,有州始名潮。
惡溪瘴毒聚,雷電常洶洶。
鱷魚大於船,牙眼怖殺儂。
#5
州南數十里,有海無天地。
颶風有時作,掀簸真差事。
聖人於天下,於物無不容。
比聞此州囚,亦在生還儂。
#6
官無嫌此州,固罪人所徙。
官當明時來,事不待說委。
官不自謹慎,宜即引分往。
胡為此水邊,神色久戃慌。
#7
缸大缾甖小,所任自有宜。
官何不自量,滿溢以取斯。
工農雖小人,事業各有守。
不知官在朝,有益國家不。
#8
得無虱其間,不武亦不文。
仁義飭其躬,巧姦敗群倫。
叩頭謝吏言,始慚今更羞。
歷官二十餘,國恩並未酬。
#9
凡吏之所訶,嗟實頗有之。
不即金木誅,敢不識恩私。
潮州雖云遠,雖惡不可過。
於身實已多,敢不持自賀。
『瀧吏』 現代語訳と訳註
(本文)
嶺南行(5) 瀧吏9分割―#3
儂幸無負犯,何由到而知。
官今行自到,那遽妄問為。
不虞卒見困,汗出愧且駭。
吏曰聊戲官,儂嘗使往罷。
(下し文) #3
儂【われ】幸にして負犯【ふはん】無し,何に由って到って知らん。
官 今行いて自ら到らん,那ぞ遽【にわか】に妄【みだり】に問うことを為さんと。
虞【はから】ざりき卒【にわか】に見困しめられんとは,汗出でて愧じ且つ駭【おどろ】く。
吏曰く聊【いささ】か戲官に【たわむ】る,儂【われ】嘗って使いして往いて罷【や】む。
(現代語訳)
わたしは幸いに何の法にそむいたり、罪もおかすことなどなかったもので、どうしてそんなところへ行くことがありましょう。したがってそこを知るはずがありません。
御主人はこれから自分でその地においでになるんでしょうから、ここでみだりにお聞きになることなど及ばないのではないでしょうか。
まったく思いがけなくもやりこめられたので、冷汗を流し、恥じ入り、且つ、驚きもしたのである。
瀧川の役人は気の毒に思ったのか言う、「ええちょっとご主人をからかってみたんですよ、じつはわたしは或る時、役所の使いで行ったことがあるんです。」
(訳注) #3(楽昌:下図g-24)から(潮州u-18)に向かう
儂幸無負犯,何由到而知。
わたしは幸いに何の法にそむいたり、罪もおかすことなどなかったもので、どうしてそんなところへ行くことがありましょう。したがってそこを知るはずがありません。
○儂 古い蘇州方言の第一人称といわれているが、今でも用いているところがあるという。広東省なのに、蘇州方言を用いいたのは地方の感じを出すためにあてはめたのだろう。
○負犯 法に負いたり罪を犯すこと。
官今行自到,那遽妄問為。
御主人はこれから自分でその地においでになるんでしょうから、ここでみだりにお聞きになることなど及ばないのではないでしょうか。
○行「まさに…:せんとす」の将と同じ意味。これから……するだろう。
○遽 「遂に」という意。「何遽」で、「何寛」とおなじく「何でまあ」という問いつめる気持ちをあらわす。
○妄問為 普通の語順なら「為妄問」であるが、押韻の関係で「為」字を句末に置いた。
不虞卒見困,汗出愧且駭。
まったく思いがけなくもやりこめられたので、冷汗を流し、恥じ入り、且つ、驚きもしたのである。
吏曰聊戲官,儂嘗使往罷。
瀧川の役人は気の毒に思ったのか言う、「ええちょっとご主人をからかってみたんですよ、じつはわたしは或る時、役所の使いで行ったことがあるんです。」






















獨釣,四首之四







