韓愈(4) §2-1 《讀巻05-05 畫記 -(4)》 速足で行くもの、走るもの、服や物を載せて引くもの、狐や免を載せているものなどがあり、およそ馬の動作は二十七態、馬の数は大小八十三、しかも同じものは無いのである。
30-(4) §2-1 《讀巻05-05 畫記 -(4)》韓愈(韓退之)ID 795年貞元11年 28歳<1272> Ⅱ唐宋八大家文読本 巻三 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5344
韓愈詩-30-(4) §2-1
4.§2--1
馬大者九匹,於馬之中又有上者、下者、行者、牽者、
馬の大きなものが九匹、馬の車で、また、たけの高いもの、低いもの、歩いているもの、輓いているもの、
涉者、陸者、翹者、顧者、鳴者、寢者、訛者、立者、
水を渡るもの、陸にあがっていくもの、体を持ち上げようとする者、ふり返っているもの、鳴くもの、横になっているもの、動いているもの、立っているもの、
人立者,齕者、飲者、溲者、陟者、降者、痒磨樹者、
人のように後脚で立つもの、草をかむもの、水を飲むもの、小便をするもの、坂をのぼるもの、降りるもの、痺いので樹に体をこすりつけるもの、
噓者、嗅者、喜相戲者、怒相踶齧者、秣者、騎者、
息を吐くもの、嗅いでいるもの、喜んでたわむれるもの、怒って互いに蹴り、噛み合うもの、秣を食うもの、人が乗るもの、
驟者、走者、載服物者、載狐兔者,凡馬之事,二十有七,
速足で行くもの、走るもの、服や物を載せて引くもの、狐や免を載せているものなどがあり、およそ馬の動作は二十七態、
為馬大小,八十有三,而莫有同者焉。
馬の数は大小八十三、しかも同じものは無いのである。
5. -2
牛大小十一頭,橐駝三頭,驢如橐駝之數而加其一焉,
隼一,犬羊狐兔麋鹿共三十;旃車三兩,
雜兵器弓矢旌旗刀劍矛楯弓服矢房甲冑之屬,
缾盂簦笠筐筥錡釜飲食服用之器,
壺矢博奕之具,二百五十有一;皆曲極其妙。
4.§2--1
馬の大なる者が九匹,馬の中に於いて又た有上なる者、下なる者、行く者、牽く者、涉る者、陸【あが】れる者、翹【つまだ】つ者、顧る者、鳴く者、寢る者、訛【うご】く者、立つ者、人立する者,齕【か】む者、飲む者、溲【しょう】する者、陟【もぼ】る者、降る者、痒ゆくして樹に磨する者、噓する者、嗅ぐ者、喜んで相い戲むるる者、怒って相い踶齧【ていげつ】する者、秣【まぐさか】う者、騎る者、驟【か】くる者、走しる者、服物を載する者、狐兔【こと】を載する者,凡そ馬の事,二十有七,馬為ること大小,八十有三,而して同じき者有る莫し。
5. -2
牛大小十一頭,橐駝【たくだ】三頭,驢 橐駝の數の如くにして其の一を加う,隼一,犬羊狐兔麋鹿共に三十。
旃車【せんしゃ】三兩,雜兵器 弓矢 旌旗 刀劍 矛楯 弓服 矢房 甲冑の屬,缾盂【へいう】簦笠 筐筥【きょうきょ】錡釜 飲食服用の器,壺矢 博奕の具,二百五十有一。
皆 曲【つぶ】さに其の妙を極む。
6.§3-1
貞元甲戌年,余在京師甚無事,同居有獨孤生申叔者,始得其畫而與余彈棊,余幸勝而獲焉,意甚惜之,以為非一工人之所能運思,蓋藂集眾工人之所長耳,雖百金不願易也。
7.-2
明年,出京師至河陽,與二三客論畫品格,因出而觀之。座有趙侍御者,君子人也,見之戚然若有感然。少而進曰:「噫!余之手摸也。亡之且二十年矣,余少時常有志乎茲事,得國本,絕人事而摸得之,遊閩中而喪焉。
8.-3
居閒處獨,時往來余懷也,以其始為之勞而夙好之篤也。今雖遇之,力不能為已,且命工人存其大都焉。」
余既甚愛之,又感趙君之事,因以贈之,而記其人物之形狀與數,而時觀之以自釋焉。
『畫記』 現代語訳と訳註解説
(本文)
4.§2--1
馬大者九匹,於馬之中又有上者、下者、行者、牽者、
涉者、陸者、翹者、顧者、鳴者、寢者、訛者、立者、
人立者,齕者、飲者、溲者、陟者、降者、痒磨樹者、
噓者、嗅者、喜相戲者、怒相踶齧者、秣者、騎者、
驟者、走者、載服物者、載狐兔者,凡馬之事,二十有七,
為馬大小,八十有三,而莫有同者焉。
(下し文)
(現代語訳)
馬の大きなものが九匹、馬の車で、また、たけの高いもの、低いもの、歩いているもの、輓いているもの、
水を渡るもの、陸にあがっていくもの、体を持ち上げようとする者、ふり返っているもの、鳴くもの、横になっているもの、動いているもの、立っているもの、
人のように後脚で立つもの、草をかむもの、水を飲むもの、小便をするもの、坂をのぼるもの、降りるもの、痺いので樹に体をこすりつけるもの、
息を吐くもの、嗅いでいるもの、喜んでたわむれるもの、怒って互いに蹴り、噛み合うもの、秣を食うもの、人が乗るもの、
速足で行くもの、走るもの、服や物を載せて引くもの、狐や免を載せているものなどがあり、およそ馬の動作は二十七態、
馬の数は大小八十三、しかも同じものは無いのである。
(訳注)
〈畫記〉4.§2--1
(韓愈が人から画巻を手に入れて、また他人に記文して贈った画巻の詩文である。画の代わりにこの文を残したいというのである。)
時に韓愈は年28歳(795年貞元11年 )であった。画中の人や物をいちいち数え上げて描写した筆法には韓文の俳諧味が既に見える。
795年貞元11年は三度博学宏詞科を受験して落第、河陽に帰って墓参し、冬長安に戻る。
この詩文の画記は克明に人馬の状、雑物の数を挙げて記し、この画に代わる、文字による画としているのは、極めて特異な作品である。特に百二十三人と、馬八十三頭、その他二百五十一の物を記録して、自らの記憶の便にしたことも、韓愈のこの画に対する愛情の深さを物語るものであろう。ただ愛玩の絵画の記であるから、その発想表現は自ら諧謔、滑椿の趣向が生まれるのが、中国詩文の通例である。特にこの文では馬の描写に精彩がある。杜甫はじめ多くの詩人が画馬の詩に傑作を残したのを、韓愈は散文において試みたと見ることもできる。
馬大者九匹,於馬之中又有上者、下者、行者、牽者、
馬の大きなものが九匹、馬の車で、また、たけの高いもの、低いもの、歩いているもの、輓いているもの、
涉者、陸者、翹者、顧者、鳴者、寢者、訛者、立者、
水を渡るもの、陸にあがっていくもの、体を持ち上げようとする者、ふり返っているもの、鳴くもの、横になっているもの、動いているもの、立っているもの、
○陸 陸にあがる。
○翹 身を持ち上げてつまだつ。
○訛 動く。吪に同じ。
人立者,齕者、飲者、溲者、陟者、降者、痒磨樹者、
人のように後脚で立つもの、草をかむもの、水を飲むもの、小便をするもの、坂をのぼるもの、降りるもの、痺いので樹に体をこすりつけるもの、
○齕 かむ。まぐさを食うこと。
○溲 小便をする。
噓者、嗅者、喜相戲者、怒相踶齧者、秣者、騎者、
息を吐くもの、嗅いでいるもの、喜んでたわむれるもの、怒って互いに蹴り、噛み合うもの、秣を食うもの、人が乗るもの、
○嘘 うそぶく。息を吐く。
○踶 蹴る。
○齧 かむ。かじる。
驟者、走者、載服物者、載狐兔者,凡馬之事,二十有七,
速足で行くもの、走るもの、服や物を載せて引くもの、狐や免を載せているものなどがあり、およそ馬の動作は二十七態、
○驟 はしる。速く歩く。
○載服物 身の廻りのものを串に載せて引く。
○狐兔 狐と兎、狩りの獲物。
為馬大小,八十有三,而莫有同者焉。
馬の数は大小八十三、しかも同じものは無いのである。





















